(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】真空二重容器に収納された飲料用容器
(51)【国際特許分類】
A47J 41/02 20060101AFI20220207BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A47J41/02 104
A47J41/02 102D
B65D81/38 E
(21)【出願番号】P 2019101799
(22)【出願日】2019-05-14
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】301028071
【氏名又は名称】阪和ホーロー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597148264
【氏名又は名称】株式会社タイエイジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(72)【発明者】
【氏名】高野 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 忠広
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-007822(JP,A)
【文献】特開2016-152878(JP,A)
【文献】特開平08-126583(JP,A)
【文献】特開2014-000261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/00-41/02
B65D 67/00-85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の金属製内容器と有底筒状の金属製外容器とを備え、前記内容器と前記外容器との間の空間を真空にした真空二重容器の上方の開口から前記真空二重容器に収納され、
前記内容器に囲まれる形態で前記内容器内に収容され、有底筒状の金属の表面が琺瑯層で覆われると共に、収容物を出し入れする収容物用開口を上部に有する飲料用容器であって、
前記収容物用開口を塞ぐ蓋体を備え、
前記蓋体が前記収容物用開口を塞いだ状態で、前記蓋体が前記真空二重容器の上方の開口を塞ぐように構成される、真空二重容器に収納された飲料用容器。
【請求項2】
前記飲料用容器の底の下面と前記内容器の底の上面との間に、第一スペーサを具備し、
前記第一スペーサが、前記内容器の底の上面に止着されていることを特徴とする請求項1記載の真空二重容器に収納された飲料用容器。
【請求項3】
前記飲料用容器の外測面と前記内容器の内側面との間に、第二スペーサを具備し、
前記第二スペーサが、前記内容器の内側面に止着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空二重容器に収納された飲料用容器。
【請求項4】
前記真空二重容器の上方に雄ネジを備えると共に、前記蓋体には、前記雄ネジが螺入される雌ネジを備え、
前記雄ネジが前記雌ネジに螺入される形態で、前記蓋体が前記真空二重容器の上方を被嵌して前記蓋体が前記収容物用開口を塞ぐことを特徴とする請求項1から請求項3記載の真空二重容器に収納された飲料用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容器と外容器との間の空間を真空とすることで保温性を向上させた飲料容器に関し、飲料容器内部に収容された飲料や食品の味が変わってしまう問題や、飲料容器内部に収容された飲料や食品にいわゆる金属臭を感じるという問題が生じることが抑制された飲料用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような飲料用容器として、金属製外容器と、金属製内容器とを備え、外容器と内容器との間の空間を真空とした二重容器であって、金属製外容器と、金属製内容器との表面に琺瑯加工がなされた真空二重容器が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
この真空二重容器では、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着しない点で有意義である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された真空二重容器においては、内容器と外容器との間を真空にした真空二重容器であって、表面を琺瑯加工がなされているものであるが、金属の表面を琺瑯層で覆う場合、一般的に、金属の表面に釉薬を塗布する施釉工程の後、釉薬が塗布されたワークを高温の炉中で数百℃(例えば800℃)に加熱し、金属の表面に塗布された釉薬をガラス化させる工程を経ることになる。
【0005】
したがって、内容器と外容器との間を真空にした真空二重容器の表面を琺瑯層で覆う場合には、内容器と外容器との間を真空にした真空二重容器が高温の炉中で数百℃(例えば800℃)に加熱されることになる。
【0006】
この場合、内容器と外容器との間が完全な真空状態であれば特に問題は生じないが、内容器と外容器との間に多少の気体(例えば空気)が残存していたときには、残存している気体(例えば空気)が高温の炉中にて加熱されることで、内容器と外容器との間の圧力が上昇することになり、内容器と外容器とが変形するおそれがあり、その改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着せず、しかも、内容器と外容器とが変形することが抑制された、真空二重容器に収納された飲料用容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明による真空二重容器に収納された飲料用容器は、有底筒状の金属製内容器と有底筒状の金属製外容器とを備え、前記内容器と前記外容器との間の空間を真空にした真空二重容器の上方の開口から前記真空二重容器に収納され、前記内容器に囲まれる形態で前記内容器内に収容され、有底筒状の金属の表面が琺瑯層で覆われると共に、収容物を出し入れする収容物用開口を上部に有する飲料用容器であって、前記収容物用開口を塞ぐ蓋体を備え、前記蓋体が前記収容物用開口を塞いだ状態で、前記蓋体が前記真空二重容器の上方の開口を塞ぐように構成される点を特徴とする。
【0009】
このように構成されることで、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着せず、しかも、内容器と外容器とが変形することが抑制された、真空二重容器に収納された飲料用容器とすることができる。
【0010】
つまり、飲料用容器は、真空二重容器に収納されるので、飲料用容器を特に二重にすることなく保温性が備わることになり、また、真空二重容器には琺瑯加工する必要がなく、内容器と外容器とが変形することが抑制されることになり、飲料用容器の表面が琺瑯層で覆われているので、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着しないものとなる。
【0011】
なお、前記飲料用容器の底の下面と前記内容器の底の上面との間に、第一スペーサを具備し、前記第一スペーサが、前記内容器の底の上面に止着されていることが好ましい。
【0012】
このように構成することで、真空二重容器に収納された飲料用容器の底面と真空二重容器の内容器の底面とが当接することが抑制され、真空二重容器の変形や、飲料用容器の変形が抑制され、また、飲料用容器と真空二重容器の内容器との当接に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0013】
また、前記飲料用容器の外測面と前記内容器の内側面との間に、第二スペーサを具備し、前記第二スペーサが、前記内容器の内側面に止着されていることが好ましい。
【0014】
このように構成することで、真空二重容器に収納された飲料用容器の外測面と真空二重容器の内容器の内側面とが当接することが抑制され、真空二重容器の変形や、飲料用容器の変形が抑制され、また、飲料用容器と真空二重容器の内容器との当接に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0015】
また、前記真空二重容器の上方に雄ネジを備えると共に、前記蓋体には、前記雄ネジが螺入される雌ネジを備え、前記雄ネジが前記雌ネジに螺入される形態で、前記蓋体が前記真空二重容器の上方を被嵌して前記蓋体が前記収容物用開口を塞ぐように構成されていることが好ましい。
【0016】
このように構成することで、真空二重容器の上方に雄ネジを、蓋体に備える雌ネジに螺入する形態で真空二重容器の上方を蓋体が被嵌することで、蓋体によって収容物用開口を簡単に、しかも堅固に塞ぐことができ、このとき、蓋体が真空二重容器の上方の開口を塞ぐようになるので、保温性も確保されることになる。
【0017】
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着せず、しかも、内容器と外容器とが変形することが抑制された、真空二重容器に収納された飲料用容器とすることができる。
【0019】
また、真空二重容器に収納された飲料用容器の底面と真空二重容器の内容器の底面とが当接することが抑制され、真空二重容器の変形や、飲料用容器の変形が抑制され、また、飲料用容器と真空二重容器の内容器との当接に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0020】
また、真空二重容器に収納された飲料用容器の外測面と真空二重容器の内容器の内側面とが当接することが抑制され、真空二重容器の変形や、飲料用容器の変形が抑制され、また、飲料用容器と真空二重容器の内容器との当接に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0021】
また、真空二重容器の上方に雄ネジを、蓋体に備える雌ネジに螺入する形態で真空二重容器の上方を蓋体が被嵌することで、蓋体によって収容物用開口を簡単に、しかも堅固に塞ぐことができ、このとき、蓋体が真空二重容器の上方の開口を塞ぐようになるので、保温性も確保される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】 本発明による真空二重容器に収納された飲料用容器の要部正断面図。
【
図2】
図1における真空二重容器を示す要部正断面図。
【
図3】
図1における飲料用容器を示す要部正断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による炊飯器用内釜について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
本発明による「真空二重容器に収納された飲料用容器」01は、有底筒状の金属製内容器11と有底筒状の金属製外容器12とを備え、内容器11と外容器12との間の空間を真空にした真空二重容器10を備え、真空二重容器10の上方の開口から真空二重容器10に収納されると共に、内容器11に囲まれる形態で内容器11内に収容される飲料用容器20を備える。(
図1、
図2、
図3参照。)
【0025】
そして、有底筒状の金属で構成される飲料用容器20の表面のうち外面が外面琺瑯層21aで覆われ、内面が内面琺瑯層21bでが琺瑯層で覆われている。(
図3参照。)
【0026】
また、飲料用容器20は、上部に、収容物を出し入れする収容物用開口22を備える。(
図3参照。)
【0027】
また、「真空二重容器に収納された飲料用容器」01は、収容物用開口22を塞ぐ蓋体30を備える。
【0028】
そして、蓋体30が収容物用開口22を塞いだ状態で、蓋体30が真空二重容器10の上方の開口を塞ぐように構成されている。(
図1参照。)
【0029】
さらに詳しく説明すると、蓋体30が収容物用開口22を塞いだ状態で、蓋体30に備える収容物用開口用シール部材32が収容物用開口22を水密的にシールすると共に、蓋体30に備える真空二重容器の上方の開口用シール部材33が真空二重容器10の上方の開口を水密的にシールするように構成されている。
【0030】
「真空二重容器に収納された飲料用容器」01は、このように構成されているので、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着せず、しかも、真空二重容器10は、琺瑯層形成のために高温にさらされることがない。
【0031】
したがって、内容器11と外容器12とが変形することが抑制された、「真空二重容器に収納された飲料用容器」01とすることができている。
【0032】
つまり、飲料用容器20は、真空二重容器10に収納されるので、飲料用容器20を特に二重にすることなく保温性が備わることになり、また、真空二重容器10には琺瑯加工する必要がなく、内容器11と外容器12とが変形することが抑制されることになり、飲料用容器20の表面が琺瑯層で覆われているので、内部に収容された飲料や食品に金属特有の味や臭いが付着しないものとなる。
【0033】
なお、本実施形態では、飲料用容器20の底の下面と内容器11の底の上面との間に、第一スペーサ15を具備し、第一スペーサ15が、内容器11の底の上面に止着されている。
【0034】
このように構成することで、真空二重容器10に収納された状態で飲料用容器20の底面と真空二重容器10の内容器11の底面とが当接することが抑制され、真空二重容器10の変形や、飲料用容器20の変形が抑制され、また、飲料用容器20と真空二重容器10の内容器11との当接に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、飲料用容器20の外測面と、真空二重容器10を構成する内容器11の内側面との間に、第二スペーサ16を具備し、第二スペーサ16が、真空二重容器10を構成する内容器11の内側面に止着されている。
なお、
図2において、白抜きの矢印は、第一スペーサ15が、内容器11の底の上面に止着されることを表しており、第二スペーサ16が、真空二重容器10を構成する内容器11の内側面に止着されることを表している。
【0036】
このように構成することで、真空二重容器10に収納された状態で、飲料用容器20の外測面と真空二重容器10の内容器11の内側面とが当接することが抑制され、真空二重容器10の変形や、飲料用容器20の変形が抑制され、また、飲料用容器20と真空二重容器10の内容器11との当接に伴う異音の発生を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態では、真空二重容器10の上方に備える延長部13に雄ネジ14を備える。(
図1、
図2参照。)
【0038】
また、蓋体30には、雄ネジ14が螺入される雌ネジ31を備える。(
図1、
図4参照。)
そして、雄ネジ14が雌ネジ31に螺入される形態で、蓋体30が真空二重容器10の上方を被嵌して蓋体30が収容物用開口22を塞ぐように構成されている。
【0039】
このように構成されており、真空二重容器10の上方に雄ネジ14を蓋体30に備える雌ネジ31に螺入する形態で真空二重容器10の上方を蓋体30が被嵌することによって、蓋体30によって収容物用開口を簡単に、しかも堅固に塞ぐことができ、このとき、蓋体30が真空二重容器10の上方の開口を塞ぐようになるので、保温性も確保されることになる。
【0040】
なお、発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
01 真空二重容器に収納された飲料用容器
10 真空二重容器
11 内容器
12 外容器
13 延長部
14 雄ネジ
15 第一スペーサ
16 第二スペーサ
20 飲料用容器
21a 外面琺瑯層
21b 内面琺瑯層
22 収容物用開口
30 蓋体
31 雌ネジ
32 収容物用開口用シール部材
33 真空二重容器の上方の開口用シール部材