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特許7019165パワーコンディショナ及びその送出電力制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】パワーコンディショナ及びその送出電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20220207BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220207BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J3/38 150
H02M3/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017164110
(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2019041554
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591031485
【氏名又は名称】株式会社高砂製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】奴田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】本田 一晃
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-005543(JP,A)
【文献】特開2016-226208(JP,A)
【文献】特開2013-138530(JP,A)
【文献】特開2017-121171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルで発電された発電電力を伝達する直流バスと、
前記直流バス上に設けられる分岐点から分岐される分岐直流バスと、
前記分岐点よりも前記太陽電池パネル寄りの前記直流バスから発電電流及び発電電圧を検出して充放電電流指令値を生成するコンバータ制御部と、
前記分岐直流バスと蓄電装置との間に設けられ、前記充放電電流指令値に応じた電流量で、前記蓄電装置の充放電を行う双方向直流/直流コンバータと、
送出電流指令値に基づき前記直流バスから与えられる送出直流電力を系統電源に与える送出交流電力に変換する単方向直流/交流コンバータと、
前記分岐点よりも前記単方向直流/交流コンバータ寄りの前記直流バスから送出電流及び送出電圧を検出して前記送出電流指令値を生成する最大電力点追従制御部と、を有し、
前記コンバータ制御部は、外部から与えられる出力制御指令値により指定される送出可能電力と前記発電電力とに基づき、前記送出可能電力に対する前記発電電力の余剰電力又は不足電力を算出して、前記余剰電力又は前記不足電力に相当する電流量で前記蓄電装置に充放電を行わせる前記充放電電流指令値を生成し、
前記最大電力点追従制御部は、前記太陽電池パネルが出力する電流と電圧との関係を示す最大電力点をプロットした出力特性曲線を参照して、前記送出電圧において前記最大電力点となる電流を算出し、算出した電流値と前記送出電圧とに基づき前記太陽電池パネルの最大発電電力を算出し、
前記出力制御指令値による前記送出可能電力が指定されていない場合、前記送出交流電力が前記最大発電電力となる前記送出電流を送出可能な前記送出電流指令値を算出し、
前記出力制御指令値による前記送出可能電力が指定され、かつ、前記最大発電電力が前記送出可能電力よりも大きい場合、検出した前記送出電圧において前記送出交流電力が前記送出可能電力以下となる前記送出電流を送出可能な前記送出電流指令値を算出し、
前記出力制御指令値による前記送出可能電力が指定され、かつ、前記最大発電電力が前記送出可能電力よりも小さい場合、検出した前記送出電圧において前記送出交流電力が前記送出可能電力以下かつ前記発電電力以上となる前記送出電流を送出可能な前記送出電流指令値を算出するパワーコンディショナ。
【請求項2】
前記コンバータ制御部は、
前記発電電流及び前記発電電圧に基づき前記発電電力を算出する発電電力演算部と、
前記送出可能電力と前記発電電力との比を示す電力比率を算出する電力比率算出部と、
前記電力比率から1を引いて充放電係数を算出する充放電係数算出部と、
前記発電電流と前記充放電係数との積を前記充放電電流指令値として出力する充放電電流指令値算出部と、を有する請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記分岐点より前記分岐点よりも前記単方向直流/直流コンバータ寄りの前記直流バス上に前記系統電源から前記蓄電装置への電流の流入を防止する逆流防止部を有する請求項1又は2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
太陽電池パネルで発電された発電電力を伝達する直流バスと、
前記直流バス上に設けられる分岐点から分岐される分岐直流バスと、
前記分岐直流バスと蓄電装置との間に設けられ、充放電電流指令値に応じた電流量で、前記蓄電装置の充放電を行う双方向直流/直流コンバータと、
送出電流指令値に基づき前記直流バスから与えられる送出直流電力を系統電源に与える送出交流電力に変換する単方向直流/交流コンバータと、を有するパワーコンディショナの送出電力制御方法であって、
外部から与えられる出力制御指令値により指定される送出可能電力と前記発電電力とに基づき、前記送出可能電力に対する前記発電電力の余剰電力又は不足電力を算出して、前記余剰電力又は前記不足電力に相当する電流量に基づき前記充放電電流指令値を算出し、
前記太陽電池パネルが出力する電流と電圧との関係を示す最大電力点をプロットした出力特性曲線を参照して、前記分岐点よりも前記単方向直流/交流コンバータ寄りの前記直流バスから検出した送出電圧において前記最大電力点となる電流を算出し、算出した電流値と前記送出電圧とに基づき前記太陽電池パネルの最大発電電力を算出し、
前記出力制御指令値による前記送出可能電力が指定されていない場合、前記送出交流電力が前記最大発電電力となる前記送出電流を送出可能な前記送出電流指令値を算出し、
前記出力制御指令値による前記送出可能電力が指定され、かつ、前記最大発電電力が前記送出可能電力よりも大きい場合、検出した前記送出電圧において前記送出交流電力が前記送出可能電力以下となる前記送出電流を送出可能な前記送出電流指令値を算出し、
前記出力制御指令値による前記送出可能電力が指定され、かつ、前記最大発電電力が前記送出可能電力よりも小さい場合、検出した前記送出電圧において前記送出交流電力が前記送出可能電力以下かつ前記発電電力以上となる前記送出電流を送出可能な前記送出電流指令値を算出するパワーコンディショナの送出電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーコンディショナ及びその送出電力制御方法に関し、特に太陽電池パネルと蓄電装置とを併用した分散電源から交流電源を生成するパワーコンディショナ及びその送出電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池パネル、風車等の発電装置を利用して発電した再生可能エネルギーを商用電力が供給される系統配線を通じて送出する交流電源装置(例えば、パワーコンディショナ)が多く利用されている。このように多数の発電装置で発電された再生可能エネルギーを1つの系統配線に送出するシステムを分散電源システムと称す。また、再生可能エネルギーは、気象条件により発電量が変動する。そのため、系統配線の電圧を安定化させるためには、各パワーコンディショナから系統配線に送出する電力を安定化させる必要がある。そこで、送出電力を安定化させる技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の太陽光発電装置は、太陽電池と、該太陽電池の発電電力によって充電される蓄電池と、前記太陽電池及び蓄電池の直流を交流に変換するインバータと、該インバータと連系接続される商標電力系統と、よりなる太陽光発電装置である。この太陽光発電装置では、前記インバータの送出電力量を前記太陽電池の最大発電電力量も大きく設定する。決められた電力送出パターンに沿って運転し、電力送出以上の発電が発生した場合は余剰分を蓄電池に充電し、発電電力を不足した場合には蓄電池より電力を補う。しかしながら、特許文献1に記載の太陽光発電装置では、発電電力は太陽電池の電流値と蓄電池の電圧の積によって求められており太陽電池の出力特性を考慮した最大発電電力点で発電しておらず、効率よく発電されていない問題がある。
【0004】
そこで、太陽光発電システムにおいて太陽電池の最大発電能力を発揮させる最大電力点追従制御に関する技術が特許文献2に開示されている。また、最大電力点追従制御を行った場合、太陽電池の発電能力を最大化させることができるが、系統配線に送出される電力は、日射条件等の発電条件の変動により大きく変動することになる。そのため、系統配線を管理する商用電力業者は、発電事業者に対して送出電力を一定の電力以下に制限する出力制御要求をすることがある。この出力制御要求が通知された場合、発電事業者は、出力要求に応じて送出電力を制限する必要がある。そこで、特許文献2では、系統配線に送出する送出電力を抑制する出力制御技術についても開示している。
【0005】
特許文献2に記載の太陽光発電システムは、太陽電池アレイの動作電圧を設定し、かつ前記太陽電池アレイの出力する直流電力を交流に変換するインバータと、前記太陽電池アレイの出力する電流および電圧を計測する計測部と、前記計測部により計測される前記太陽電池アレイの動作電圧および出力電流値を基に前記太陽電池アレイの動作電圧指令値を算出する最大電力点追従部と、前記計測部より得られる前記太陽電池アレイの動作電圧値と、前記最大電力点追従部より設定される前記太陽電池アレイの動作電圧指令値とを比較し、その差分を基に比例積分制御を行う自動電圧調整部と、前記自動電圧調整部より出力される電流指令値を基に前記インバータのゲート信号を生成するパルス幅変調信号生成部と、日の出から日の入りまで、低日射の場合も含めて常に最大電力点追従による電圧指令出力により制御する電力制御部と、を有する。また、特許文献2の太陽光発電システムでは、前記電力制御部が、電力抑制時の前記太陽電池アレイの動作電圧設定方法において、前記最大電力点追従部での前記太陽電池アレイの動作電圧設定毎の電力測定値を電力抑制値と比較し、電圧設定値を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平1-303022号公報
【文献】特開2015-28694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1では、太陽電池の発電効率を最大化させることが出来ない問題がある。一方、特許文献2に記載の最大電力点追従機能を用いることで太陽電池の発電効率を最大化させることが可能である。しかしながら、再生可能エネルギーは電圧変動が大きく、系統配線に送出される再生可能エネルギーの電力量が大きくなり、商用電力網の安定稼働に問題が生じている。そこで、特許文献2に記載された出力制御要求に基づく送出電力の抑制が行われるようになってきている。
【0008】
特許文献2では、出力制御期間中は、太陽電池の出力電圧を決定する電圧設定値を調節することで太陽電池の発電効率を本来の発電効率よりも抑制する。そのため、特許文献2に記載の太陽光発電システムでは、出力制御期間中に発電効率が低下し、結果的に系統配線に送出できる電力が減る問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるパワーコンディショナの一態様は、太陽電池パネルで発電された発電電力を伝達する直流バスと、前記直流バス上に設けられる分岐点から分岐される分岐直流バスと、前記分岐点よりも前記太陽電池パネル寄りの前記直流バスから発電電流及び発電電圧を検出して充放電電流指令値を生成するコンバータ制御部と、前記分岐直流バスと蓄電装置との間に設けられ、前記充放電電流指令値に応じた電流量で、前記蓄電装置の充放電を行う双方向直流/直流コンバータと、前記分岐点よりも前記単方向直流/直流コンバータ寄りの前記直流バスから送出電流及び送出電圧を検出して送出電流指令値を生成する最大電力点追従制御部と、前記送出電流指令値に基づき前記直流バスから与えられる送出直流電力を系統電源に与える送出交流電力に変換する単方向直流/交流コンバータと、を有し、前記コンバータ制御部は、外部から与えられる出力制御指令値により指定される送出可能電力と前記発電電力とに基づき、前記送出可能電力に対する前記発電電力の余剰電力又は不足電力を算出して、前記余剰電力又は前記不足電力に相当する電流量で前記蓄電装置に充放電を行わせる前記充放電電流指令値を生成し、前記最大電力点追従制御部は、前記出力制御指令値を受けて、前記直流バスの電圧を前記送出可能電力とは独立した状態で前記発電電力が最大となる電圧としながら、前記発電電力が前記送出可能電力よりも大きい場合は前記送出電力が前記送出可能電力以下となるような前記送出電流指令値を生成し、前記発電電力が前記送出可能電力よりも小さい場合は前記送出電力が前記送出可能電力以下かつ前記発電電力以上となるように前記送出電流指令値を生成する。
【0010】
本発明にかかるパワーコンディショナの送出電力制御方法の一態様は、太陽電池パネルで発電された発電電力を伝達する直流バスと、前記直流バス上に設けられる分岐点から分岐される分岐直流バスと、前記分岐直流バスと蓄電装置との間に設けられ、充放電電流指令値に応じた電流量で、前記蓄電装置の充放電を行う双方向直流/直流コンバータと、送出電流指令値に基づき前記直流バスから与えられる送出直流電力を系統電源に与える送出交流電力に変換する単方向直流/交流コンバータと、を有するパワーコンディショナの送出電力制御方法であって、外部から与えられる出力制御指令値により指定される送出可能電力と前記発電電力とに基づき、前記送出可能電力に対する前記発電電力の余剰電力又は不足電力を算出して、前記余剰電力又は前記不足電力に相当する電流量に基づき前記充放電電流指令値を算出し、前記出力制御指令値を受けて、前記直流バスの電圧を前記送出可能電力とは独立した状態で前記発電電力が最大となる電圧としながら、前記発電電力が前記送出可能電力よりも大きい場合は前記送出交流電力が前記送出可能電力以下となり、前記発電電力が前記送出可能電力よりも小さい場合は前記送出電力が前記送出可能電力以下かつ前記発電電力以上となるような前記送出電流指令値を算出する。
【0011】
本発明にかかるパワーコンディショナ及びその送出電力制御方法では、上記構成をとることにより、出力制御要求があった場合においても、太陽電池パネルを最大の発電効率で発電させ、系統配線に送出できない発電電力の余剰分を蓄電池に蓄えることができる。また、本発明にかかるパワーコンディショナ及びその送出電力制御方法では、太陽電池パネルを最大の発電効率で発電させた場合であっても出力制御要求により指定された送出可能電力よりも発電電力が小さな場合には、蓄電池に蓄えた太陽電池パネルで発電された電力をその時点の発電電力と合わせて系統配線に送出する。これにより、
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるパワーコンディショナ及びその送出電力制御方法によれば、系統配線に送出できる発電電力量を最大化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1にかかるパワーコンディショナのブロック図である。
図2】実施の形態1にかかるコンバータ制御部及び双方向直流/直流コンバータのブロック図である。
図3】実施の形態1にかかるパワーコンディショナにおいて出力制御が行われていないときの最大電力点追従制御部の動作を説明する図である。
図4】実施の形態1にかかるパワーコンディショナにおいて太陽電池パネルの発電量が送出可能電力より大きい場合の最大電力点追従制御部の動作を説明する図である。
図5】実施の形態1にかかるパワーコンディショナにおいて太陽電池パネルの発電量が送出可能電力より小さい場合の最大電力点追従制御部の動作を説明する図である。
図6】実施の形態1にかかるパワーコンディショナの第1の動作を説明するタイミングチャートである。
図7】実施の形態1にかかるパワーコンディショナの第2の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
以下では、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、発電所等で発電された電力を需要者に供給する商用系統電源SPSと連系して動作する連系動作を行う。この連系動作において、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、太陽電池パネル2で発電される発電電力及び蓄電池3から放電される放電電力を用いて商用電源SPSに送出する送出電力を生成する。
【0015】
ここで、図1に実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1のブロック図を示す。なお、図1では、パワーコンディショナ1が出力する送出電力の出力先である商用電源SPS、パワーコンディショナ1に発電電力を供給する太陽電池パネル2及びパワーコンディショナ1が利用する蓄電池3を示した。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、第1の逆流防止部(例えば、逆流防止ダイオード11)、第2の逆流防止部(例えば、逆流防止ダイオード12)、最大電力点追従制御部13、単方向直流/交流コンバータ14、コンバータ制御部21、双方向直流/直流コンバータ22を有する。また、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、直流バスW1と、直流バスW1上に設けられる分岐点N1から分岐する分岐直流バスW2と、を有する。直流バスW1上には、分岐点N1よりも上流側(例えば、太陽電池パネル2側)に電流検出部31及び電圧検出部32が設けられ、分岐点N1よりも下流側(例えば、商用電源SPS側)に電流検出部33及び電圧検出部34が設けられる。
【0017】
逆流防止ダイオード11は、直流バスW1において、分岐点N1よりも上流側(例えば、太陽電池パネル2が接続される側)に設けられ、分岐点N1から太陽電池パネル2に対して電流が逆流することを防止する。逆流防止ダイオード12は、直流バスW1において、分岐点N1よりも下流側(例えば、単方向直流/交流コンバータ14が設けられる側)に設けられ、商用電源SPSから蓄電池3に流れ込む電流を防止する。
【0018】
最大電力点追従制御部13は、分岐点N1よりも単方向直流/交流コンバータ14寄りの直流バスW1から送出電流Io及び送出電圧Voを検出して送出電流指令値Isps*を生成する。送出電流Ioは、電流検出部33により取得され、送出電圧Voは電圧検出部34により取得される。また、最大電力点追従制御部13は、外部から出力制御指令値Pg*を受けて単方向直流/交流コンバータ14から送出される送出電力が、出力制御指令値Pg*で指定される送出可能電力を超えないように送出電流指令値Isps*の値を調整する。
【0019】
最大電力点追従制御部13は、出力制御指令値Pg*により出力制御要求がなされていない状態では、送出電流指令値Isps*により単方向直流/交流コンバータ14の出力能力を調節することで、太陽電池パネル2の発電効率が最も高くなるように送出電流Ioを制御する。
【0020】
また、最大電力点追従制御部13は、出力制御指令値Pg*により出力制御要求がなされている状態では以下のような制御を行う。太陽電池パネル2の発電電力が送出可能電力よりも大きい場合、最大電力点追従制御部13は、送出電流を太陽電池パネル2の発電電力が最大となる送出電流Ioとしながら、送出電力が送出可能電力以下となるような送出電流指令値Isps*を生成する。なお、太陽電池パネル2の発電電力が送出可能電力よりも大きい場合、最大電力点追従制御部13は、直流バスW1の送出電圧Voを送出可能電力とは独立した状態で、太陽電池パネル2の発電能力を最大化させるように送出電圧Voを設定する。一方、発電電力が前記送出可能電力よりも小さい場合、最大電力点追従制御部13は、送出電力が送出可能電力以下かつ太陽電池パネル2の発電電力以上となるように送出電流指令値Isps*を生成する。なお、太陽電池パネル2の発電電力が送出可能電力よりも小さい場合、最大電力点追従制御部13は、直流バスW1の送出電圧Voを送出可能電力とは独立した状態で、太陽電池パネル2の発電能力を最大化させるように送出電圧Voを設定する。
【0021】
単方向直流/交流コンバータ14は、送出電流指令値Isps*に基づき直流バスW1から与えられる送出直流電力を商用電源SPSに与える送出交流電力に変換する。この送出直流電力は、送出電流Ioと送出電圧Voとの積により求まる。また、送出交流電力は以下では単に送出電力と称す。図1に示す例では、単方向直流/交流コンバータ14を、単方向直流/直流コンバータ15及びインバータ16により構成する。単方向直流/直流コンバータ15は、送出電流指令値Isps*により出力する電流量を調整しながら、送出電圧Voを所定の直流電圧に変換する。インバータ16は、直流電圧を交流電圧に変換する。インバータ16が出力する電力が送出電力となる。
【0022】
コンバータ制御部21は、分岐点N1よりも太陽電池パネル2寄りの直流バスW1から発電電流Ipv及び発電電圧Viを検出して充放電電流指令値Is*を生成する。この充放電電流指令値Is*を生成するに当たり、コンバータ制御部21は、出力制御指令値Pg*を参照する。具体的には、コンバータ制御部21は、外部から与えられる出力制御指令値Pg*により指定される送出可能電力と太陽電池パネル2の発電電力とに基づき、送出可能電力に対する発電電力の余剰電力又は不足電力を算出して、余剰電力又は不足電力に相当する電流量で蓄電装置3に充放電を行わせるように充放電電流指令値Is*を生成する。このコンバータ制御部21についての詳細は後述する。
【0023】
双方向直流/直流コンバータ22は、分岐直流バスW2と蓄電装置3との間に設けられ、充放電電流指令値Is*に応じた電流量(例えば、充放電電流Is)で、蓄電装置3の充放電を行う。
【0024】
ここで、コンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22について詳細に説明を行う。図2に実施の形態1にかかるコンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22のブロック図を示す。図2に示すように、コンバータ制御部21は、発電電力算出部41、ローパスフィルタ42、電力比率算出部(例えば、除算器43)、充放電係数算出部(例えば、加算器44)、充放電電流指令値算出部(例えば、乗算器45)を有する。双方向直流/直流コンバータ22は、PWM制御部51、を有する。
【0025】
発電電力算出部41は、電流検出部31で検出された発電電流Ipv及び電圧検出部32で検出された発電電圧Voに基づき発電電力Ppvを算出する。発電電力算出部41は、発電電流Ipvと発電電圧Viとの積を求めることで発電電力Ppvを算出する。ローパスフィルタ42は、所定の期間に取得される発電電力Ppvの平均値を算出することで、発電電力Ppvの突発的な変動に起因するノイズを除去する。除算器43は、出力制御指令値Pg*により示される送出可能電力と発電電力Ppvとの比を示す電力比率を算出する。加算器44は、-1に除算器43で算出された電力比率を加算することで、充放電係数Mを算出する。この充放電係数Mは、発電電力Ppv中の余剰電力又は発電電力Ppvの不足電力比率を示すものである。加算器44で算出される充放電係数Mは(1)式で示される。
M=(Pg*/Ppv)-1・・・(1)
乗算器45は、発電電流Ipvと充放電係数Mとの積を充放電電流指令値Is*として出力する。この充放電電流指令値Is*は(2)式によって表される。
Is*=M*Ipv・・・(2)
【0026】
PWM制御部51は、充放電電流指令値Is*に応じたデューティー比のPWM信号を生成する。直流/直流コンバータ52は、PWM制御部51が出力するPWM信号デューティー比に応じて、充放電電流Isを蓄電池3に与える。このとき、直流/直流コンバータ52は、分岐直流バスW2(若しくは直流バスW1)の直流電圧値を蓄電池3に与える直流電圧値に変換する。
【0027】
ここで、(1)式及び(2)式を参照してコンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22により蓄電池3に充放電される充放電電流Isの大きさについて説明する。(2)式に(1)式の充放電係数Mを代入すると、(3)式を得ることができる。
Is*=((Pg*/Ppv)-1)Ipv
=(Pg*/Vi×Ipv)Ipv-Ipv)
=Pg*/Vi-Ipv
=(Vo×Io)/Vi-Ipv ・・・(3)
ここで、送出電圧Voと発電電圧Viは、同じ直流バスW1の電圧であり、同電圧である。また、送出電流Ioは、発電電流Ipvと充放電電流Isの合計値である。このようなことから(3)式は(4)式のように変形することができる。
Is*=(Vi×(Ipv-Is))/Vi-Ipv
=Ipv-Is-Ipv
=Is ・・・(4)
【0028】
つまり、コンバータ制御部21では、出力制御指令値Pg*と発電電力Ppvの比率を電力比率として算出し、現状発電されている電力が出力制御指令値Pg*に対してどれほどの比率で過剰なのか、或いは、不足しているのかを充放電係数Mとして算出し、充放電係数Mと発電電流Ipvとの積を充放電電流指令値Is*とする。このようにして充放電電流指令値Is*を算出することで、蓄電池3がどの程度の電流を充放電することで出力制御指令値Pg*に相当する送出電力を生成できるのかを求めることができる。
【0029】
続いて、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1の動作について説明する。ここでは、まず最大電力点追従制御部13の動作について説明する。上述したように最大電力点追従制御部13は、3つの動作モードを有する。第1の動作モードは、出力制御指令値Pg*が入力されていないとき動作である。第2の動作モードは、出力制御指令値Pg*により出力制御要求が通知されており、かつ、太陽電池パネル2の発電電力が送出可能電力よりも大きなときの動作である。第3の動作モードは、出力制御指令値Pg*により出力制御要求が通知されており、かつ、太陽電池パネル2の発電電力が送出可能電力よりも小さなときの動作である。
【0030】
そこで、図3に、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1において出力制御が行われていないときの最大電力点追従制御部13の動作を説明する図を示す。図3に示すように、太陽電池パネル2の最大電力点は、所定の出力曲線としてプロットすることができる。最大電力点追従制御部13は、この出力曲線に従って、送出電力が最大となる送出電圧Voとなる送出電流指令値Isps*を生成する。これにより、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、最も高い効率で送出電力を出力する。
【0031】
続いて、図4に、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1において太陽電池パネル2の発電量が送出可能電力より大きい場合の最大電力点追従制御部13の動作を説明する図を示す。図4に示すように、この場合、太陽電池パネル2を最大の効率で発電させてしまうと、送出可能電力よりも発電電力の方が大きくなってしまう。そのため、実施の形態1にかかる最大電力点追従制御部13は、単方向直流/交流コンバータ14に与える送出電流指令値Isps*を太陽電池パネル2の発電により生じる発電電流Ipvよりも小さな電流値となる送出電流Ioを出力可能な程度に抑制する。このとき、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1では、コンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22が充放電電流Isを分岐直流バスW2により蓄電池3側に引き込むことで、送出電流Ioの大きさを発電電流Ipvよりも小さくする。
【0032】
続いて、図5、に実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1において太陽電池パネル2の発電量が送出可能電力より小さい場合の最大電力点追従制御部13の動作を説明する図を示す。図5に示すように、この場合、太陽電池パネル2を最大の効率で発電させても、送出可能電力の方が大きくなる。太陽電池パネル2の発電電力だけでは送出可能電力に満たない送出電力しか出力出来ないことになる。そのため、実施の形態1にかかる最大電力点追従制御部13は、単方向直流/交流コンバータ14に与える送出電流指令値Isps*を太陽電池パネル2の発電により生じる発電電流Ipvよりも大きな電流値となる送出電流Ioを出力可能な程度に増強する。このとき、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1では、コンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22が充放電電流Isを、分岐直流バスW2を介して直流バスW1に放電することで、送出電流Ioの大きさを発電電流Ipvよりも大きくする。
【0033】
なお、図4及び図5に示すように、最大電力点追従制御部13は、コンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22による蓄電池3の充放電制御が行われている期間には、最大電力点を追従させる出力特性曲線を本来の太陽電池パネル2の出力特性から得られる出力特性曲線からシフトさせた出力特性曲線を用いる。
【0034】
上述したように、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1では、コンバータ制御部21及び双方向直流/直流コンバータ22で発電電力Ppvの出力可能電力との差を蓄電池3の充放電により吸収することで、発電電力の大部分を商用電源SPSに送出することができる。そこで、以下では、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ全体の動作を説明する。
【0035】
図6に実施の形態1にかかるパワーコンディショナの第1の動作を説明するタイミングチャートを示し、図7に実施の形態1にかかるパワーコンディショナの第2の動作を説明するタイミングチャートを示す。第1の動作と第2の動作の違いは、送出可能電力の大小であり、第2の動作では第1の動作よりも送出可能電力が小さく設定される。
図6及び図7に示すように、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、発電電力Ppvが送出可能電力よりも上回っている期間は、余剰となった発電電力を蓄電池3に充電する(タイミングT10~T11、T20~T21)。そして、太陽電池パネル2の発電電力Ppvが送出可能電力を下回った場合には、タイミングT10~T11(又はタイミングT20~T21)で蓄電池3に充電した電力を放電することにより発電電力Ppvと送出可能電力との差分を埋め合わせる(タイミングT11~T12、T21~T22)。さらに、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1では、太陽電池パネル2の発電が行われていない期間であっても、蓄電池3に放電可能な電力が残っていれば、送出可能電力以下の放電能力で蓄電池3を放電させる(タイミングT12~T13、T22~T23)。
【0036】
ここで、図6及び図7を参照すると、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1では、出力制御指令値Pg*により指定される放電可能能力が小さくなった場合であっても、蓄電池3には太陽電池パネル2が発電した電力が蓄えられており、太陽電池パネル2の発電動作終了後に蓄電池3に充電された電力を放電する。つまり、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、出力制御指令値Pg*により指定される送出可能電力の大小に関わらず、最大の効率で発電させた電力の大部分を商用電源SPSに送出する。
【0037】
上記説明より、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、コンバータ制御部21及びコンバータ制御部21により外部から指定される送出可能電力と太陽電池パネル2の発電電力Ppvとの差を蓄電池3の充放電動作により吸収する。また、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、太陽電池パネル2を最大効率で発電させながら、出力制御指令値Pg*で指定される送出可能電力に漸近する送出電力となるように最大電力点追従制御部13を制御する。これにより、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1は、出力制御指令値Pg*により指定される送出可能電力の大小に関わらず、最大の効率で発電させた電力の大部分を商用電源SPSに送出することができる。
【0038】
近年、商用電源SPSを運営する事業者は、電力網の安定稼働のために出力制御を要求することがあり、このような出力制御が要求された場合、太陽電池パネル2の発電能力を抑制して本来発電できる電力を無駄にしなければならい問題がある。そのため、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1の様に出力制限の有無に関わらず、最大効率で発電した発電電力の大部分を商用電源SPSに送出できる効果は大きい。
【0039】
また、特許文献2に記載の最大電力追従機能では、発電電力Ppvの出力特性に基づく送出電力の制御しか行われないため、蓄電池3の充放電によりインバータに与えられる電流が変化すると、制御に不具合が生じる可能性がある。しかしながら、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1によれば、蓄電池3の充放電動作に起因する不具合は生じない。
【0040】
また、実施の形態1にかかるパワーコンディショナ1では、逆流防止ダイオード12を設けることで、商用電源SPSから流れ込む電流により蓄電池3が充電され、蓄電池3に充電された電流が再び商用電源SPSに流れないとこを保障することができる。これにより、商用電源SPSを運営する事業者は、このような供給した電力の商用電源SPSへの再送出を禁止しており、逆流防止ダイオード12を設けることで蓄電池3を設置しても電力を再送出しないことを保障することは重要である。
【0041】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 パワーコンディショナ
2 太陽電池パネル
3 蓄電池
11、12 逆流防止ダイオード
13 最大電力点追従制御部
14 単方向直流/交流コンバータ
15 単方向直流/直流コンバータ
16 インバータ
21 コンバータ制御部
22 双方向直流/直流コンバータ
31、33 電流検出部
32、34 電圧検出部
41 発電電力算出部
42 ローパスフィルタ
43 除算器
44 加算器
45 乗算器
51 PWM制御部
52 直流/直流コンバータ
N1 分岐点
W1 直流バス
W2 分岐直流バス
SPS 商用電源
Ipv 発電電流
Vi 発電電圧
Io 送出電流
Vo 送出電圧
Is 充放電電流
Is* 充放電電流指令値
Isps* 送出電流指令値
Pg* 出力制御指令値
Ppv 発電電力
M 充放電係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7