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特許7019174フック装置の装着用アタッチメントカプラ
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  • 特許-フック装置の装着用アタッチメントカプラ 図1
  • 特許-フック装置の装着用アタッチメントカプラ 図2
  • 特許-フック装置の装着用アタッチメントカプラ 図3
  • 特許-フック装置の装着用アタッチメントカプラ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】フック装置の装着用アタッチメントカプラ
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
E02F3/40 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018024560
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019138110
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591117402
【氏名又は名称】株式会社室戸鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】西岡 敬雄
(72)【発明者】
【氏名】森内 孝志
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-095577(JP,A)
【文献】特開2016-089523(JP,A)
【文献】特開2014-020012(JP,A)
【文献】特開2007-023607(JP,A)
【文献】特開2003-147797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック装置の装着可能なパワーショベルに用いられるアタッチメントカプラであって、
パワーショベルのアームは先端側に一端を連結したリフトリンクと当該リフトリンクの他端に連節したフロントリンクとを備え、
前記アタッチメントカプラはアタッチメントに連結する前後方向に一対の第1アームと第2アームとが支点部にて開閉可能に枢着してあり、
前記第1アームは前記フロントリンク及びフック装置の基端部と第1軸着部にて相互に軸着してあり、
前記第2アームは前記パワーショベルのアームの先端部と第2軸着部にて軸着してあり、
前記第1アームは前記フック装置を吊り下げた際にフック装置のフック部が干渉しないように逃げ部を有し、
前記第1アームは前記第1軸着部を構成する左右に一対の軸着プレートをベース部から立設してあり、
前記ベース部に前記フック部の逃げ部を設けてあり、
前記左右に一対の軸着プレートは相互に対向する位置に設けた一対の連結孔を有し、前記フロントリンクは円筒状の連結部を有し、前記フック装置の基部は後方に設けた円筒状の連結部を有し、
前記フロントリンクの円筒状の連結部と、前記フック装置の基部の後方に有する円筒状の連結部とが前記一対の軸着プレートに設けた一対の連結孔の間にピンを用いて回動連結されていることを特徴とするフック装置の装着用アタッチメントカプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン機能を備えたパワーショベル(油圧ショベル)に用いられるアタッチメントカプラに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーショベルは、各種土木建設作業に対応できるように、アームの先端に装着するアタッチメントの取り替えが可能になっている。
アタッチメントとしては、掘削用バケット,掴み爪装置,振動破砕機,カッター装置等、各種アタッチメントが提案されている。
これらのアタッチメントの交換作業を簡単で且つ迅速に行うために、パワーショベルのアームの先端に連結するアタッチメントカプラが、例えば特許文献1等に開示されている。
また、種々の作業に対応できるように、クレーン機能を備えたパワーショベルが、例えば特許文献2,3等に提案されている。
クレーン機能に関しては、日本クレーン協会規格(JCAS:Japan Crane Association Standard)が制定公表されており、同規格に適合するものでなければならない。
【0003】
例えば、図4にパワーショベルのブーム(図示を省略する)に、連結されているアーム11の先端部にバケット12を装着した状態を示す。
ブームの先端部とアーム11の後部側の回動連結部となる枢支軸11aとが回動自在に連結され、ブームに備えたアームシリンダーのロッド(図示を省略する)にアーム11の後端部11bが回動自在に連結されている。
これにより、アームシリンダーの伸縮に合せてアーム11が枢支軸11aを回動中心に上下方向に揺動する。
【0004】
アーム11の先端には、例えばバケット12が上下方向に回動自在に装着される。
アーム11の先端側であって、先端部より少し基部側にリフトリンク14の一端側が連結され、リフトリンク14の他端側にフロントリンク15が連節されている。
バケット12の基部は、ピン12aにてフロントリンク15と連結され、ピン12bにてアームの先端部と連結されている。
また、リフトリンク14とフロントリンク15との連節部13cは、バケットシリンダー13のロッド13bと連結され、バケットシリンダー13の基部13aはアーム11と連結されている。
これにより、バケットシリンダーが伸縮すると、バケット12がピン12bを回動中心にして回動する。
【0005】
クレーン機能を備えたパワーショベルであっては、ピン12aにフック装置30の基部側が連結され、先端側のフック31が垂下されている。
クレーンモードにおいては、フック31に吊り下げられる荷等の荷重が加わるが、その許容範囲が定められている。
この許容範囲は、ピン12aの回動半径Rの影響を受ける。
また、この許容範囲はアーム11の枢支軸11aと、ピン12bとを結んだ基準線からオフ角θの影響を受ける。
【0006】
これに対して、例えば図3に示すように、アームの先端にアタッチメントカプラを装着すると、フック装置30がアタッチメントカプラのベース部121aに干渉して自由に垂下できなかったり、上記回動半径Rやオフ角θが変わってしまい、荷重の許容範囲が変化する恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-174920号公報
【文献】特開2001-159149号公報
【文献】特開2002-167173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、クレーン機能を確保できるアタッチメントカプラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るフック装置の装着用アタッチメントカプラは、フック装置の装着可能なパワーショベルに用いられるアタッチメントカプラであって、パワーショベルのアームは先端側に一端を連結したリフトリンクと当該リフトリンクの他端に連節したフロントリンクとを備え、前記アタッチメントカプラはアタッチメントに連結する前後方向に一対の第1アームと第2アームとが支点部にて開閉可能に枢着してあり、前記第1アームは前記フロントリンク及びフック装置の基端部と第1軸着部にて相互に軸着してあり、前記第2アームは前記パワーショベルのアームの先端部と第2軸着部にて軸着してあり、前記第1アームは前記フック装置を吊り下げた際にフック装置のフック部が干渉しないように逃げ部を有していることを特徴とする。
本発明において逃げ部とは、フック装置のフック部が自由に垂下できるようにアタッチメントカプラに逃げ空間を設けてあることをいう。
【0010】
ここでアタッチメントは、アタッチメントカプラの一対の第1アームと第2アームに着脱でき、交換作業が簡便で迅速にできる。
アタッチメントとしては、バケット,掴み爪装置(グラッパー),振動破砕機,カッター装置等が例として挙げられる。
本明細書においては、アームのアタッチメントカプラ側を先端側と表現し、アームを先端側から見て、左右方向及び上下方向と表現する。
【0011】
本発明において、第1アームは前記第1軸着部を構成する左右に一対の軸着プレートをベース部から立設してあり、前記ベース部に前記フック部の逃げ部を設けたものでもよい。
また、フック装置が吊り下げ姿勢の状態では前記第1軸着部の上下方向の回動半径がパワーショベルのアームにアタッチメントカプラを使用しない状態の第1軸着部の上下方向の回動半径と同一になるように制御する制御手段を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアタッチメントカプラは、パワーショベルのアームに直接アタッチメントを装着したと同様に、フック装置を自由に垂下させることができるので、パワーショベルのクレーン機能を確保しつつ、アタッチメントカプラを用いて、アタッチメントの交換作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るアタッチメントカプラの構造例を示す。なお分かりやすくするために連結ピン及びアタッチメントの記載を省略してある。
図2】本発明に係るアタッチメントカプラを用いて、バケットを装着した状態を示す。
図3】従来のアタッチメントカプラの例を示す。
図4】パワーショベルのアームに直接、バケットを装着した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図2に本発明に係るアタッチメントカプラを用いて、フック装置を装着した状態を示す。
アーム11の構造は、図4に示したものと共通しているので、同じ符号を用いて一部説明を省略する。
【0015】
アタッチメントカプラ20は、先端側の第1アーム21とその後方側の第2アーム22とが上部側の支点部23にて枢着されている。
なお、支点部23はピン等にて連結されているが、図1では、このピンの表示を省略してある。
第1アーム21と第2アーム22との内側には、シリンダー装置等の伸縮具24を有し、この伸縮具の伸縮動作により、一対のアームの下端側に設けた第1U字部21dと、第2U字部22bとの間隔が近接及び離間動作を行う。
伸縮具34を縮小し、この第1U字部21dと第2U字部22bとをバケットの一対のピン12a,12bとの間に挿入し、伸縮具24を伸長させると、上記一対のU字部の内側に一対のピン12a,12bがそれぞれ納まり、アタッチメントカプラにアタッチメントが装着される。
【0016】
アタッチメントカプラ20の第1アーム21は、図1に示すように左右方向のベース部21aの左右両端部から一対の軸着プレート21c,21cを立設し、その間にフロントリンク15の円筒状の連結部15bとフック装置30の基部32の後方に設けた円筒状の連結部33が納まるようになっていて、一対の軸着プレート21c,21cに設けた連結孔を介して、図示を省略したピンを挿入することで、回動自在の第1軸着部Aを形成する。
これにより、フック装置30の先端側のフック部31が回動自在に垂下される。
なお、フック部31は、左右方向の動きも許容出来るように、フック装置の連結部33と基部32とが枢着部32aにて枢着されている。
第1アーム21のベース部21aには、一部を切り欠くことで逃げ部21bを形成してあり、フック部31及び基部32がこの第1アームと干渉しないようにしてある。
この逃げ部21bは、フック部が第1アーム21に当たるのを防止するためのものであり、本実施例に限定されるものではなく、各種形状の許容空間部であってよい。
【0017】
第2アーム22も左右両側に軸着プレート22a,22aを立設してあり、その間にアームの先端側の連結孔が納まり、図示を省略したピンを軸着プレート22a,22aの連結孔を介して挿入することで、第2軸着部Bを形成する。
【0018】
リフトリンク14は、後端側の連結孔14aにてアーム11の第2軸着部Bよりも後方側にて図示を省略したピンを用いて連結してあり、リフトリンク14の先端側は連結孔14bを設けてあり、フロントリンク15の連結孔15及びバケットリシンダー13のロッド13bの先端孔13cとが、ピン等にて連節及び軸着されている。
これにより、バケットシリンダーの操作により、アタッチメントカプラ(アタッチメント)が第2軸着部Bを回動中心にして回動操作される。
この際にクレーンモードにすると、図2に示すように回動半径R及び基準線からのオフ角θが、図4に示したバケット12をアーム11に直接連結した場合の回動半径R,オフ角θと一致するように、制御手段にて制御されている。
これにより、パワーショベルに設定されたクレーンモードの制御パラメータを変更することなく、アタッチメントカプラを使用することができる。
【符号の説明】
【0019】
11 アーム
11a 枢支軸
12 バケット
13 バケットシリンダー
14 リフトリンク
15 フロントリンク
20 アタッチメントカプラ
21 第1アーム
21a ベース部
21b 逃げ部
21c 軸着プレート
22 第2アーム
23 支点部
30 フック装置
31 フック部
A 第1軸着部
B 第2軸着部
図1
図2
図3
図4