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  • 特許-リポソームの調製方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】リポソームの調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/127 20060101AFI20220207BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220207BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220207BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A61K9/127
A61K39/395 A
A61K39/395 N
A61K47/24
A61K47/26
A61K39/395 T
A61K39/395 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019527768
(86)(22)【出願日】2017-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017044865
(87)【国際公開番号】W WO2018026794
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】15/226,364
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519038677
【氏名又は名称】キュリアールエックス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CURIRX INC.
【住所又は居所原語表記】205 Lowell Street,Suite 1c,Wilmington,MA 01887,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ジャベリ,インドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ネライアッパン,カリアッパナダール
【審査官】古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-062084(JP,A)
【文献】特開2015-187168(JP,A)
【文献】特表2007-509040(JP,A)
【文献】特表2015-509085(JP,A)
【文献】特表2007-503514(JP,A)
【文献】特表2004-525916(JP,A)
【文献】特表2008-536944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0070292(US,A1)
【文献】Biochimica et Biophysica Acta,1987年,Vol.901,p.157-160
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリポソームの疎水性膜領域と非共有結合的に会合された複数の抗体分子を含む、リポソーム結合抗体組成物であって、
抗体分子の疎水性領域またはポケットが、リポソームの脂質二重層の疎水性膜領域と、化学修飾を介することなく、非共有結合してなる、前記リポソーム結合抗体組成物
【請求項2】
共有結合した抗体分子を持たない、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項3】
リポソームの脂質と抗体分子のモル比が約50以下である、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項4】
前記複数のリポソームが水性媒体中に懸濁されている、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項5】
前記水性媒体中の抗体の濃度が、少なくとも約5mg/mlである、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項6】
凍結乾燥された、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項7】
前記複数のリポソームが大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項8】
前記組成物がトレハロースを含む、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項9】
前記複数のリポソームの疎水性膜領域に結合していない抗体分子を持たない、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項10】
前記抗体が、トラスツズマブまたはアダリムマブである、請求項1に記載のリポソーム結合抗体組成物。
【請求項11】
(a)凍結乾燥または可溶化された抗体、およびリポソームの水性懸濁液を提供することと、
(b)前記抗体をリポソームの水性懸濁液と接触させ、それによって、前記抗体の疎水性領域またはポケットリポソームの脂質二重層の疎水性膜領域と、非共有結合してなること、
を含むリポソーム結合抗体組成物を調製する方法。
【請求項12】
(c)リポソームと結合していない抗体と、リポソーム結合抗体を分離すること、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(d)前記リポソーム結合抗体組成物を凍結乾燥すること、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)が、さらに均一化、せん断機の使用、ミクロ流動化操作、または前記抗体の添加後の濾過をせずに行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体の少なくとも60%が、リポソームと結合する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記リポソームが大豆ホスファチジルコリンを含み、前記抗体が、トラスツズマブまたはアダリムマブである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が洗浄剤または有機溶媒に暴露されず、前記抗体が、浸透圧またはpH勾配を用いて、またはリポソームの水性懸濁液の凍結融解を使用して、リポソームに充填されない、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポソームの調製方法およびその使用に関する。ある態様において、プロセス中に熱、有機溶媒、タンパク質、および/または無機塩を使用せずにリポソームを調製する。ある態様において、リポソーム調製物は、1つ以上の活性剤を含有する。ある態様において、リポソーム調製物は、疾患または障害の処置に使用される。
【背景技術】
【0002】
医薬品の生体利用可能性は、薬物の溶解性および安定性に部分的に大きく依存する。pH調整、洗浄剤のミセル中の薬物の会合、有機溶媒への可溶化、シクロデキストリンまたは他のポリマーとの複合体生成、および薬物をリポソーム二重層にカプセル化することを含むが、これらに限定されない多くの方法が薬物の生体利用可能性を改善するために使用されて来た(Strickley, R.G., Pharmaceutical Research, No. 21, 2004: 201 230)。薬物自体または薬物を可溶化するために使用される賦形剤は、アレルギー反応または溶血などの副作用を有し得る。
【0003】
エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)などの溶媒、錯化剤(例えばニコチンアミド)、および界面活性剤(例えばオレイン酸ナトリウム)は溶血性であることが知られており、注射液での使用は望ましくない。注射可能な製品に有機溶媒を使用する他の制限は、沈殿、痛み、および注射時の炎症を含む。
【0004】
リポソームは、同心二重層(ラメラ)によって形成された脂質膜によって囲まれた中心の水性キャビティから構成される微視的な脂質小胞である。リポソームは、(水性の内部に)親水性物質または(脂質膜にある)疎水性物質を取り込むことができる。リポソームは、一連の脂質二重層(「オリゴラメラ小胞(oligolamellar vesicle)」とも呼ばれる)を有する単一脂質二重層または多重層小胞(「MLV」)を有する単層小胞(「UMV」)であり得る。多重層小胞は、典型的には、直径が0.2μm~10μmの範囲である。例えば、WO98/006882を参照されたい。抗溶血対策は処方物中で一般的に行われるが、処方物中に十分な量のリポソームを維持することは、リポソームと賦形剤との不適合性、または処方物中のリポソームの不安定性のために実現可能でない可能性がある。さらに、疎水性薬物を含有する凍結乾燥処方物を再構成することはしばしば困難である。さらに、リポソームは、濃縮有機溶媒を含む処方物中では安定ではない。
【0005】
直径が0.2μm未満(例えば、0.02および0.2μmの間)の単層小胞は、一般に、小さな単層小胞(「SUV」)として知られている。0.45μmより大きい(場合によっては1μmより大きい)直径を有する単層小胞は、一般に、大きな単層小胞(「LUV」)として知られている。
【0006】
リポソームの二重層は、ほとんどの場合、リン脂質を含むが、脂肪酸、脂肪酸塩および/または脂肪族アルコールを含むがこれに限定されない脂質も含み得る。リポソームの特性は、とりわけ、構成成分の性質に依存する。したがって、ある特性を有するリポソームを得る場合、その極性基の電荷および/またはその脂肪酸鎖の長さおよび飽和度を考慮する必要がある。
【0007】
加えて、リポソームの特性は、例えば、コレステロールおよび他の脂質を膜に取り込み、脂質二重層の数を変化させ、または天然分子(例えば、タンパク質、多糖類、糖脂質、抗体、酵素)または合成分子(例えば、ポリエチルグリコール)を表面に共有結合させるなどの修飾がされ得る。リポソームを得るために、水性媒体中に、場合により他の脂質またはコレステロールとリン脂質の多数の組み合わせが存在する。調製方法および使用される脂質に依存して、異なるサイズ、構造および特性の小胞を得ることが可能である。
【0008】
リポソームの形成に関して考慮すべきもう一つの重要なパラメータは、脂質二重層の剛性である。二重層の一部を発泡させる水和脂質は、液晶(流体)またはゲル状態のいずれかであり得る。温度が上昇するにつれて、ゲル状態は液晶状態に変換される。これは、各脂質に特異的な転移温度(Tc)として知られる温度で起こる。Tcは鎖長に正比例し、脂肪酸の不飽和度に反比例し、極性基の性質に依存する。
【0009】
それにもかかわらず、リポソームなどの脂質小胞の調製における一般的な方法は、脂質が溶解された有機溶媒を蒸発させ、次に任意に緩衝化された水溶液中に分散させることを含む。Bangham法として知られている1つの例示的な方法は、もともとBangham et al., J. Hot. Biol., 11:238 252 (1965)に記載されていた。Bangham法の変形例は当業者に知られており、そのいくつかを以下に記載する。
【0010】
薄い脂質層の水和。二重層の構成脂質の有機溶液から出発して、脂質フィルムは、有機溶媒の除去によって調製され、これは蒸発(例えば、ロータリーエバポレーター中の減圧下)または凍結乾燥によって達成することができる。得られた乾燥脂質フィルムは、水溶液を添加し、当該混合物をTcを超える温度で撹拌することによって水和される。
【0011】
逆相蒸発。二重層の構成脂質の有機溶液から出発して、有機溶媒の除去によって脂質フィルムが調製される。系を窒素でパージし、脂質を通常ジエチルエーテルおよび/またはイソプロピルエーテルで構成される第2の有機溶液に再溶解する。水相を再溶解した脂質に添加する。この系を連続窒素下で維持する。第2の有機溶媒を除去することによりゲルが形成される。
【0012】
溶媒注入。有機溶媒に溶解した脂質は、水溶液中にゆっくり注入される。使用された有機溶媒は、しばしば水溶性溶媒で、その水溶液は温めてもよい。
【0013】
多層小胞のさらなる調製方法は、Szoka およびPapandjopoulos, Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 2: 467508 (1980), ならびにDoussetおよびDousteBlazy, Les Liposomes, Puisieux and Delattre, Editors, Tecniques et Documentation Lavoisier, Paris, pp. 173 (1985)に見出し得る。
【0014】
さらに、複数の脂質の取り込みが所望される場合、脂質はリポソーム小胞に均一に分布したままであるべきである。伝統的に、これは、予め有機溶媒に脂質を溶解し、得られた有機溶媒をリポソームの調製に使用することによって達成される。
【0015】
米国特許番号第4,508,703号明細書には、少なくとも1種の両親媒性脂質と場合により疎水性または部分疎水性の少なくとも1種の成分の粉末混合物を得る方法、この混合物の成分を少なくとも1種の有機溶媒に溶解し、得られた溶液を不活性ガス中に噴霧することを含む方法が記載されいる。この方法は、水性媒体中に容易に分散することができる脂質混合物の調製を可能にするが、有機溶媒の使用を回避しない。
【0016】
国際公開第92/10166号公報には、高いカプセル化能力を有するリポソームを調製する方法が記載されている。該方法は、脂質の混合物の使用を可能にする。しかし、混合物は、有機溶媒中の脂質の事前の溶解およびその後の蒸発によって得られる。さらに、脂質と活性剤の水溶液との接触は、Tcより高い温度で行われる。
【0017】
さらに、有機溶媒を使用せずにリポソームを製造する場合、ある種の好ましくない特性を有する処方物をもたらす可能性がある、他の操作が一般的に必要であることが報告されている。例えば、米国特許出願公開第2008/0274172号には、有機溶媒を使用せずに少なくとも2つのリン脂質を含有するリポソームを調製する方法が記載されている。しかしながら、無機塩を含有する水溶液から安定なリポソームを得るために、Tcを超える温度を使用していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
結果として、リポソームを調製するための既存の方法は、有機溶媒、タンパク質、無機塩および/または熱を利用している。それらの毒性および可燃性のために、有機溶媒は、医薬品、化粧品および他の使用のためのリポソームの調製において望ましくない。さらに、有機溶媒およびタンパク質の使用は、製造コスト、安全性、作業衛生および環境の点でネガティブな影響を有する。同様に、リポソームの調製における熱の使用は、製造コスト、安全性および環境の点で望ましくない。リポソームの調製における無機塩の使用は、無機塩の導入がリポソームのサイズを増大させ、および/またはより濁った処方物をもたらすので、望ましくない。Castile et al., International Journal of Pharmaceutics, 1999, vol. 188, issue 1, pp. 8795を参照されたい。こうして、望ましくない薬剤や手順を使用しないリポソーム調製の方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本明細書には、リポソーム調製方法が提供される。ある態様において、リポソームは、プロセス中において熱、有機溶媒、タンパク質、および/または無機塩を使用せずに調製される。
【0020】
一態様において、リポソーム調製方法が提供され、当該方法は、
(a)周囲温度で水性媒体中において1以上の脂質を組み合わせること、
(b)水性媒体中において脂質を分散させること、および
(c)もたらされた混合物に1以上の糖類を添加し、それによって、リポソームの溶液を浪費させること、
を含む。
【0021】
ある態様において、リポソーム調製は、1以上の活性剤を含有する。ある態様において、活性剤は、医薬品である。ある態様において、活性剤は、限定はされないが、ラパコン;トランスフェリン;シクロスポリン;コルヒチン;ならびに単一リポソーム処方物において、ラパコンおよびトランスフェリンの組合せを包含する。
【0022】
ある態様において、前記1以上の活性剤は、リポソームまたはリポソーム溶液の調製後に、添加される。他の態様において、前記1以上の活性剤は、リポソームの生成中に添加される。
【0023】
また、本明細書では、疾患または障害の処置におけるリポソーム調製物の使用が提供される。一態様において、リポソーム調製物は、前記疾患または障害に罹患している患者への非経口投与に適している。一態様において、患者はヒトである。
【0024】
定 義
本明細書に使用されるように、および特定されなければ、「脂質」は、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコールまたはリン脂質であると理解される。脂質はまた、コレステロールを含むがこれに限定されないステロール;スフィンゴミエリンを含むがこれに限定されないスフィンゴ脂質;がんグリオシド、グロボシドおよびセレブロシドを含むが、これらに限定されないスフィンゴ糖脂質;およびステアリル、オレイルおよびリノレイルアミンを含むが、それらに限定されない界面活性剤アミンを包含するように読み得る。
【0025】
本明細書中で使用されているように、および他に特定されない限り、「リン脂質」は、そのヒドロキシル基の1つがリン酸でエステル化され、他の2つのヒドロキシル基が等価であるか、互いに異なり得、飽和または不飽和であり得る、長鎖脂肪酸でエステル化される、グリセロールの両親媒性誘導体であると理解される。中性リン脂質は、一般に、他のリン酸ヒドロキシルが極性基(通常はヒドロキシルまたはアミノ)で置換されたアルコールによってエステル化され、正味電荷がゼロであるものである。電荷を有するリン脂質は、一般に、他のリン酸ヒドロキシルが極性基で置換されたアルコールによってエステル化され、正味電荷が正または負であるものである。
【0026】
リン脂質の例には、限定はされないが、ホスファチジン酸(「PA」)、ホスファチジルコリン(「PC」)、ホスファチジルグリセロール(「PG」)、ホスファチジルエタノールアミン ホスファチジルイノシトール(Pr)、およびホスファチジルセリン(PS)、スフィンゴミエリン(脳スフィンゴミエリンを含む)、レシチン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、セレブロシド、ジアラキドイルホスファチジルコリン(「DAPC」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルコリン(「DDPC」)、ジエライドイルホスファチジルコリン(「DEPC」)ジラウロイルホスファチジルコリン(「DLPC」)、ジリノレオイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)、ジオレオイルホスファチジルコリン(「DOPC」)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(「DPPC」)、ジステアロイルホスファチジルコリン(「DSPC」)、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(「POPC」)、ジアラキドイルホスファチジルグリセロール(「DAPG」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルグリセロール(「DDPG」)、ジエライドイルホスファチジルグリセロール(「DEPG」)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(「DLPG」)、ジリノレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(「DOPG」)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(「DPPG」)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(「DSPG」)、1-パリミトイル-2-オレオイルホスファチジルグリセロール (「POPG」)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(「DAPE」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルエタノールアミン(「DDPE」)、ジエライドイルホスファチジルエタノールアミン(「DEPE」)、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン(「DLPE」)、ジリノレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(「DMPE」)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(「DPPE」)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(「DSPE」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(「POPE」)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(「DAPI」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルイノシトール(「DDPI」)、ジエライドイルホスファチジルイノシトール(「DEPI」)、ジラウロイルホスファチジルイノシトール(「DLPI」)、ジリノレオイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(「DMPI」)、ジオルコイルホスファチジルイノシトール(「DOPI」)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(「DPPI」)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(「DSPI」)、1-パルミトイル-2-オレオイ-ルホスファチジルイノシトール(「POPI」)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(「DAPS」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルセリン(「DDPS」)、ジエライドイルホスファチジルセリン (「DEPS」)、ジラウロイルホスファチジルセリン(「DLPS」)、ジリノレオイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン(「DMPS」)、ジオレオイルホスファチジルセリン(「DOPS」)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(「DPPS」)、ジステアロイルホスファチジルセリン(「DSPS」)、1-パルミトイル-2-オールコイルホスファチジルセリン(「POPS」)、ジアラキドイルスフィンゴミエリン、ジデカノイルスフィンゴミエリン、ジエライドイルスフィンゴミエリン、ジラウロイルスフィンゴミエリン、ジリノレオイルスフィンゴミエリン、ジミリストイルスフィンゴミエリン、スフィンゴミエリン、ジオレオイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、および1-パルミトイル-2オレオイル-スフィンゴミエリンを含む。
【0027】
本明細書中で使用されるように、特に限定しない限り、「カプセル化(encapsulate)」または「カプセル化(encapsulation)」は、活性剤をリポソームまたはリポソーム小胞に取り込むプロセスであると理解される。カプセル化された活性剤は、水性の内部に留まるか、または膜と会合することができる。
【0028】
本明細書中で使用されるように、および他に特定しない限り、化合物の溶解度に関して使用される場合、用語「増大する(enhance)」または「増大する(enhancing)」は、本明細書で提供される方法が、水中で同じ化合物の溶解度と比べて、化合物の増大する溶解度をもたらすことを意味する。具体的には、用語「増大する(enhance)」または「増大する(enhancing)」は、本明細書で提供される方法が使用される場合、化合物の溶解度が、参照溶媒中の同じ化合物の溶解度の約20%以上、約40%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、または約200%以上増加することを意味する。いくつかの態様においては、参照溶媒は水である。
【0029】
本明細書中で使用されるように、および他に特定しない限り、用語「疎水性化合物」は、水溶性がほとんどまたは全くない化合物を意味する。いくつかの態様においては、疎水性化合物は、約20重量パーセント未満、約15重量パーセント未満、約10重量パーセント未満、約5重量パーセント未満、約1重量パーセント未満、約0.1重量パーセント未満、または約0.01重量パーセント未満の固有水溶性(すなわち、非イオン形態の水溶性)を有する。他の態様において、疎水性化合物は、約10mg/mL、約7mg/mL、約5mg/mL、約3mg/mL、約1mg/mLまたは約0.1mg/mL未満の固有水溶性を有する。
【0030】
本明細書で使用されているように、または他に特定しない限り、用語「水性媒体(aqueous medium)」または「水性媒体(aqueous media)」は、水、食塩水、糖溶液、輸液、緩衝液および任意の他の容易に入手可能な水系媒体などの水系媒体を包含する。さらに、水性媒体は、1種以上の水溶性有機溶媒を含有してもよい。非経口溶液の場合、水性媒体は好ましくは無菌であり、活性剤の担体としての使用に適している。水性媒体の例には、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、D5W、またはデキストロースおよび他の電解質などの水混和性物質の他の溶液を包含するが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「脂肪酸」は、その構造が1以上の炭素原子を有する炭化水素鎖に結合されたカルボキシル基である化合物を意味する。炭化水素鎖は、飽和または不飽和(すなわち、アルキル、アルケニル、またはアルキニル炭化水素鎖)であってもよい。また、炭化水素鎖は、直鎖または分枝状であってもよい。さらにいくつかの態様において、炭化水素鎖の水素は置換されてもよい。
【0032】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「脂肪族アルコール」は、その構造が1以上の炭素原子を有する炭化水素鎖に結合されたアルコール基である化合物を意味する。炭化水素鎖は、飽和または不飽和(すなわち、アルキル、アルケニル、またはアルキニル炭化水素鎖)であってもよい。また、炭化水素鎖は、直鎖または分枝状であってもよい。さらにいくつかの態様において、炭化水素鎖の水素は置換されてもよい。
【0033】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「脂肪酸塩」は、脂肪酸と無機/有機塩基との反応から形成された化合物を意味する。加えて、当該用語は脂肪族アルコールと無機/有機酸との間の反応から形成された化合物を包含する。かかる酸の例は、限定はされないが、硫酸、リン酸を包含する。脂肪酸塩の炭化水素鎖は、飽和または不飽和(すなわち、アルキル、アルケニル、またはアルキニル炭化水素鎖)であってもよい。加えて、該炭化水素鎖は、直鎖または分枝状であってもよい。さらにいくつかの態様において、炭化水素鎖の水素は置換されてもよい。
【0034】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「置換」は、限定はされないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アロイル、ハロ、ハロアルキル(例えば、トリフロロメチル)、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、ハロアルコキシ(例えば、トリフロロメトキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロオキシ、オキソ、アルカノイル、アリール、置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル、および同様のもの)、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクロ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、モノ-およびジ-置換アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、置換アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アラルカノイルアミノ、カルバミル(例えば、-CONH)、置換カルバミル(例えば、CONH-アルキル、CONH-アリール、CONH-アリールアルキル、または前記窒素に2個の置換基がある例)、カルボニル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、シアノ、エステル、エーテル、グアニジノ、ニトロ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルホンアミド(例えば、-SONH)、置換スルホンアミド、チオール、アルキルチオ、アリールアルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールアルキルチオノを包含する1以上の置換基によって置換された基を意味する。
【0035】
本明細書で使用されるように、そして他に特定されない限り、用語「アルキル」は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、最も好ましくは1~4個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝非環式炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、およびn-デシルを包含し、飽和分枝アルキルは、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2.5-ジメチルヘキシル、2,2,-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3.3-ジメチルヘキシル、4,4,-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3,-ジエチルヘキシル、2,2,-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルなどを包含する。アルキル基は非置換または置換され得る。非置換アルキル基は、以下で述べるアルケニル基、アルキニル基を包含する。
【0036】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「アルケニル」は、直鎖または分枝の2~20個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子、最も好ましくは2~6個の炭素原子を有する非環式炭化水素を意味し、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を包含する。代表的な直鎖および分枝(C-C10)アルケニルは、ビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニルなどを包含する。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基に非結合または結合され得る。アルケニル基は、非置換または置換され得る。
【0037】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「アルキニル」は、直鎖または分枝の2~20個の炭素原子、好ましくは2~10個の炭素原子、最も好ましくは2~6個の炭素原子を有する非環式炭化水素を意味し、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を包含する。代表的な直鎖および分枝(C-C10)アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-ヘプチニル、2-ヘプチニル、6-ヘプチニル、1-オクチニル、2-オクチニル、7-オクチニル、1-ノニニル、2-ノニニル、8-ノニニル、1-デシニル、2-デシニル、9-デシニルなどを包含する。アルキニル基の三重結合は、別の不飽和基に非結合または結合され得る。アルキニル基は、非置換または置換され得る。
【0038】
本明細書で使用されているように、および他に特定しない限り、用語「薬学的に許容し得る塩」は、無機酸および塩基、および有機酸および塩基を包含する薬学的に許容し得る非毒性酸および塩基から調製される塩を言う。本明細書に提供される組成物のための適切な薬学的に許容し得る塩基添加塩は、限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作られた金属塩、またはリジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインから作られた有機塩を包含する。
【0039】
適切な非毒性の酸には、限定されないが、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロニン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、およびp-トルエンスルホン酸などの無機酸および有機酸が包含される。特定の非毒性の酸には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、およびメタンスルホン酸が包含される。したがって、特定の塩の例には、塩酸塩およびイネシレート塩を包含する。他のものは当技術分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton Pa. (1990) or Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th cd., Mack Publishing, Easton Pa. (1995)を参照されたい。
【0040】
本明細書で使用されているように、用語「水和物」は、本明細書に提供された化合物、またはその塩であって、さらに非共有分子間力によって結合された水の化学量論的または非化学量論的量を含むものを意味する。
【0041】
本明細書で使用されているように、「包接化合物(クラスレート;clathrate)」とは、その中に補足されたゲスト分子(例えば、溶媒または水)を有する空間(例えば、溝)を含有する結晶格子の形態における本明細書で提供される化合物、またはその塩を意味する。
【0042】
本明細書で使用されているように、そして他に示さない限り、用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で加水分解、酸化、またはそうでなければ反応して活性化合物を提供し得る化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、限定されないが、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性リン酸塩類似物などの生加水分解性部分を包含する化合物の誘導体および代謝産物を包含する。好ましくは、カルボキシ官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。その分子に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化してカルボキシレートエステルを生成する。プロドラッグは、典型的にはBurger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley)、およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載されたものなどのよく知られた方法を使用して調製され得る。
【0043】
本明細書で使用されているように、そして他に特定しない限り、処方物と関連して使用される場合の「安定な」という用語は、本明細書で提供される方法を使用して調製される場合の処方物の活性剤が特定の時間可溶化されたままであり、著しく分解したり、または凝集したり、さもなければ(例えば、HPLCによって測定されるように)修飾されるようにならないことを意味する。
【0044】
本明細書で使用されているように、そして他に特定されない限り、「Tc未満の温度」は最も低いTcを有する脂質のTcより低い温度であると理解され、そして「Tcより高い温度」は最も高いTcを有する脂質のTcよりも高い温度であると理解される。
【0045】
本明細書で使用されているように、そして他に特定されない限り、医薬組成物と関連して使用されるとき、用語「有害成分」は、限定されるものではないが、溶血、過敏性反応、末梢神経障害、および/または組成物の活性成分の生物学的利用能の低下などの、臨床的副作用を引き起こす可能性がある医薬組成物に、通常使用される成分を意味する。有害成分の例としては、これらに限定されないが、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(「MTBE」)、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジグライム、1,2-ジメトキシエタン、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、ベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、ヘキサメチルホスホルアミド(「HMPA」)、N-メチルピロリドン、グリセリン、ニトロメタン、トリエチルアミン、キシレン、CREMOPIIOR(登録商標)EL、およびポリエチレングリコール(「PEG」)などの有機溶媒を含む毒性溶媒;共洗剤または界面活性剤、例えばポリソルベート(例えばTween)またはビタミンE;ひまし油またはトウモロコシ油などの油;HSAなどのタンパク質;またはその他の潜在的な汚染源となる生物学的薬剤を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1Aは、リポソーム無添加のアダリムマブ(HUMIRA)抗体のサイズ排除HPLCの対照溶出プロファイルを示す。
図1Bは、リポソームカプセル化トラスツズマブ(HERCEPTIN)抗体のサイズ排除HPLCの溶出プロファイルを示す。
図1Cは、リポソームカプセル化アダリムマブ(HUMIRA)抗体のサイズ排除HPLCの溶出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳細な説明
本明細書に提供されるのは、リポソームの調製方法であって、該方法は、以下を含む:
(a)周囲温度で水性媒体中において1以上の脂質を組み合わせること、
(b)水性媒体中において脂質を分散させること、および
(c)もたらされた混合物に1以上の糖類を添加し、それによって、リポソームの懸濁液を生成すること。
【0048】
別の態様において、ステップ(b)において、該方法はさらに水性媒体中で脂質の均一化を含む。
【0049】
いくつかの態様では、さらに、1以上の活性剤をリポソーム溶液に添加するステップ(d)を含む。一態様において、活性剤は、疎水性薬物である。一態様において、活性剤は固体として添加される。別の態様において、活性剤は有機溶媒中で添加される。別の態様において、活性剤は、1以上の脂肪酸塩、脂肪酸および/またはリン脂質をさらに含む有機溶媒中で添加される。
【0050】
別の態様において、活性剤は、リポソームの形成中に添加される。
ある態様において、得られたリポソームは約1μm未満の直径である。
一態様において、得られたリポソームは、約500nm未満の直径である。
一態様において、得られたリポソームは、約100nm未満の直径である。
【0051】
一態様において、脂質の少なくとも1つは、リン脂質またはリン脂質の混合物である。リン脂質の例は、限定されないが、ホスファチジン酸(「PA」)、ホスファチジルコリン(「PC」)、ホスファチジルグリセロール(「PG」)、ホスファチジルエタノールアミン(「PE」)、ホスファチジルイノシトール(「PI」)、およびホスファチジルセリン(「PS」)、スフィンゴミエリン(脳スフィンゴミエリンを含む)、レシチン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、セレブロシド、ジアラキドイルホスファチジルコリン(「DAPC」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルコリン(DDPC)、ジエライドイルホスファチジルコリン(「DEPC」)、ジラウロイルホスファチジルコリン(「DLPC」)、ジリノールコイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)、ジオレオイルホスファチジルコリン(「DOPC」)ジパルミトイルホスファチジル(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(「DSPC」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(「POPC」)、ジアラキドイルホスファチジルグリセロール(「DAPG」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルグリセロール(「DDPG」)、ジエライドイルホスファチジルグリセロール(「DEPG」)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(「DLPG」)、ジリノーレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(「DOPG」)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(「DPPG」)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(「DSPG」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルグリセロール(「POPG」)、ジアラキドイルホスファチジルエタノールアミン(「DAPE」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルエタノールアミン(「DDPE」)、ジエライドイルホスファチジルエタノールアミン(「DEPE」)、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン(「DLPE」)、ジリノーレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(「DMPE」)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(「DPPE」)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(「DSPE」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(「POPE」)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(「DAPI」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルイノシトール(「DDPI」)、ジエライドイルホスファチジルイノシトール(DEPT)、ジラウロイルホスファチジルイノシトール(「DLPI」)ジリノーレオイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(「DMPI」)、ジオレオイルホスファチジルイノシトール(「DOPI」)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(「DPPI」)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(「DSPI」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルイノシトール(「POPI」)、ジアラキジルホスファチジルセリン(「DAPS」)、ジデカノイル-L-アルファ-ホスファチジルセリン(「DDPS」)、ジエライドイルホスファチジルセリン(「DEPS」)、ジラウロイルホスファチジルセリン(「DLPS」)、ジリノーレオイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン(「DMPS」)、ジオレオイルホスファチジルセリン(「DOPS」)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(「DPPS」)、ジステアロイルホスファチジルセリン(「DSPS」)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルセリン(「POPS」)、ジアラキドイルスフィンゴミエリン、ジデカノイルスフィンゴミエリン、ジエライドイルスフィンゴミエリン、ジラウロイルスフィンゴミエリン、ジリノーレオイルスフィンゴミエリン、ジミリストイルスフィンゴミエリン、スフィンゴミエリン、ジオレオイルスフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、および1-パルミトイル-2-オレオイルスフィンゴミエリンを包含する。
【0052】
本明細書に提供されるリン脂質は、キラルまたはアキラルであってもよい。本明細書に提供されるキラルのリン脂質は、DまたはLリン脂質、例えば、L-a-ホスファチジルコリン、またはI,3-ホスファチジルコリンであり得る。
一態様において、L-a-ホスファチジルコリンは、本明細書に提供される方法に使用される。
【0053】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、リポソームの調製方法であって、該方法は、以下を含む:
(a)周囲温度で水性媒体中においてオレイン酸ナトリウムとホスファチジルコリンを組み合わせること、
(b)水性媒体中においてオレイン酸ナトリウムとL-a-ホスファチジルコリンを分散させること、および
(c)もたらされた混合物に1以上の糖類を添加し、それによって、リポソームの懸濁液を形成すること。
【0054】
一態様において、水性媒体は、1以上の活性剤、またはそれらの薬学的に許容し得る塩、水和物、包接化合物もしくはそのプロドラッグを含有する。活性剤の例としては、限定されないが、ラパコン(13-ラパコン)、タキサン(タキソール、7-エピタキソール、7-アセチルタキソール、10-デスアセチルタキソール、10-デスアセチル-7-エピタキソール、7-キシロシルタキソール、10-デスアセチル-7-シロシルタキソール、7-グルタリルタキソール、7-N,N-ジメチルグリシルタキソール、7-L-アラニルタキソール、タキソテール、およびそれらの混合物)、パクリタキセル、コルヒチン、トランスフェリン、シクロスポリン、シクロスポリンA、ケトプロフェン、プロポフォール、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、アムホテリシン、ジゴキシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ビタキシン、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA4、フマギリン類似物、(例えば、TNP470)CM101、IFN-u、インターロイキン10、インターロイキン12、血小板因子4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、アンジオスタチン、エンドスタチン、2-メトキシエストラジオール、テコガラン、サリドマイド、プロラクチン、リノマイド、アンジオポエチン-1、塩基性線維芽細胞増殖因子、血管内皮増殖因子)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、エトポシド、エトポシドホスフェート、およびテニポシド)、シタラビン、アクチノマイシン、エトポシド、ブレオマイシン、ゲンタマイシン、シクロホスファミド、メトトレキセート、ストレプトゾトシン、シトシン、13D-アラビノフラノシド-5’-トリフォスフェート、シトクロームC、シスプラチン、N-ホスホノ-アセチル-L-アスパラギン酸、5-フルオロオロト酸、アシクロビル、ジドブジン、インターフェロン、アミノグリコシド、セファロスポリン、テトラサイクリン、プロプラノロール、チモロール、ラベトロール、クロニジン、ヒドララジン、イミプラミン、アミトリプチリン、ドキセピン、フェニロイン、ジフェンヒドラミン、クロロフェニリミン、プロメタジン、プロスタグランジン、メトトレキサート、プロゲステロン、テストステロン、エストラジオール、エストロゲン、エピルビシン、ベクロメタゾンおよびエステル、ビタミンE、コルチゾン、デキサメタゾンおよびエステル、ベタメタゾンバレレート、ビフェニルジメチルジカルボン酸、カルシトニン、カンプトテシン、カプトプリル、セファゾリン、クロロキニン、クロロチアゾール、凝固因子VIIIおよびIX、d-アルファ-トコフェロール、デキサメタゾン、ジクロフェナク、エトポシド、フェルデン、フルビプロフェン、5-フルオロウラシル、フルオキセチン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グリブリド、グラニセトロン、成長ホルモン、インドメタシン、インスリン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、メトトレキセート、メトロニダゾール、ミノキシジル、マイトマイシン、ナフシリン、ナプロキセン、オンダンセトロン、オキシフェンブタゾン、パラゾシン、フィゾスチグミン、ピロキシカム、プレドニゾロン、プリマキン、キニーネ、ラミプリル、タキソタン、テノキシカム、テラゾシン、トリアムシノロン、ウロキナーゼ、オピオイド鎮痛剤(例えば、アルフェンタニル、アニレリジン、コジエン、ジアモルヒネ、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、モペリジン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、プロポキシフェン、スフェンタニル、ペンタゾシンおよびナルブフィン)、非ステロイド系抗炎症薬(例えばアスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、メフェナム酸およびフェニルブタゾン)、アンギオテンシン変換酵素(「ACE」)阻害剤(例、カプトプリルポリエン)、プロテインキナーゼC阻害剤、抗生物質(例えばイミダゾールおよびトリアゾール抗生物質)、葉酸、アントラサイクリン抗生物質、アンチセンスRNA、トリカテカム、微生物リボソーム不活性化毒素(例えばゲロニン、アブリン、リシンA鎖、シュードモナス外毒素、ジフテリア毒素、ヤマゴボウ抗ウイルスペプチド)、ピペコリン酸誘導体(例、タクロリムス)、植物アルカロイド、染料、放射性同位体標識化合物、放射線不透過性化合物、放射線増感剤(例えば、5-クロロ-2 '-デオキシウリジン、5-ブロモ-2'-デオキシウリジンおよび5-ヨード-2 '-デオキシウリジン)、蛍光化合物、散瞳薬、気管支拡張薬、局所麻酔薬(例えば、ジブカインおよびクロルプロマジン)、抗真菌剤(例えば、ミコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、ブタコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ナイスタチン、ナフチフィンおよびアンホテリシンB)、抗寄生虫剤、ホルモン、ホルモン拮抗薬、免疫調節薬、神経伝達物質拮抗薬、抗糖尿病薬、抗緑内障薬、ビタミン、麻薬、および造影剤を包含する。活性剤の追加の開示は、Gilman et al., Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., McGrawHill, New York, 2001; The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, Berkow, M. D. et al. (eds.), 17th Ed., Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, Rahway, N.J., 1999; Cecil Textbook of Medicine, 20th Ed., Bennett and Plum (eds.), W.B. Saunders, Philadelphia, 1996を参照されたい。
【0055】
一態様において、活性剤は、疎水性化合物、または水に難溶の化合物である。
別の態様において、活性剤は非疎水性化合物である。
一態様において、活性剤は、ペプチド、たんぱく質、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、炭化水素、またはそれらの類似物などの水溶性膜不透過性薬剤である。
【0056】
一態様において、水性媒体は活性剤を含有しない。
別の態様において、もたられた溶液は10重量%のトレハロースを含有する。
別の態様において、活性剤は、ラパコンまたは薬学的に許容し得る塩、水和物、包接化合物、またはそれらのプロドラッグである。
【0057】
別の態様において、活性剤は、トランスフェリンまたは薬学的に許容し得る塩、水和物、包接化合物、またはそれらのプロドラッグである。
別の態様において、活性剤は、シクロスポリンまたは薬学的に許容し得る塩、水和物、包接化合物、またはそれらのプロドラッグである。
別の態様において、活性剤は、トランスフェリンおよびラパコンまたは薬学的に許容し得る塩、水和物、包接化合物、またはそれらのプロドラッグである。
【0058】
本明細書で提供される方法において使用され得る糖類の例は、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、マンノース、ガラクトースおよびトレハロースを包含するが、これらに限定されない。
一態様において、糖類はトレハロースである。
一態様において、リポソーム調製物は、1つまたは複数の疾患または障害を患っている患者への非経口投与に適している。
一態様において、患者はヒトである。
【0059】
ある態様において、活性剤の添加順序は、活性剤の溶解度を高める。リポソームに疎水性薬物を取り込む従来の方法は、リポソームの調製前に脂質に薬物を添加することによる。例えば、Immordino, M.L. et al., Journal of Controlled Release, 2003, 91: 417 429を参照されたい。従来法によって、薬物の取込みは僅か0.3~0.7mg/mlである。
【0060】
本明細書で提供されるのは、リポソームの形成後の活性剤の添加が活性剤の溶解度を高めるリポソームの調製方法である。一態様において、リポソーム中の活性剤の溶解度は、従来の方法と比較して少なくとも約2倍、5倍または10倍増加する。一態様において、リポソーム中の活性剤の溶解度は、約5mg/mLに増加する。
【0061】
活性剤が疎水性薬物であるある態様において、活性剤は固体としてまたは有機溶媒中で予め作製されたリポソームに添加される。一態様において、予め作製されたリポソームは、活性剤の溶解度を高めるために1以上の脂肪酸塩、脂肪酸および/またはリン脂質を含む。
【0062】
一態様において、活性剤の添加の順序は、リポソームへの活性剤の取込みのより大きな効率をもたらす。ある態様において、リポソームへの取込み効率は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%または100%である。ある態様において、取込み効率は、90%、95%、98%、99%または100%である。
【0063】
特定の理論または機構に限定されないが、予め作製されたリポソームへの活性剤の取込みの増加(例えば、約5mg/mLの濃度への)は、リポソームの表面積の増加に起因し得る。
以下を含む方法によって調製されたリポソーム組成物もまた本明細書に提供される:
(a)周囲温度で水性媒体中において1以上の脂質を組み合わせること、
(b)水性媒体中において脂質を分散させること、 および
(c)得られた混合物に1つ以上の糖類を添加し、それによってリポソームの溶液を形成すること。
【0064】
別の態様において、以下を含む方法によって調製されたリポソーム組成物が本明細書に提供される:
(a)周囲温度で水性媒体中において1以上の脂質を組み合わせること、
(b)水性媒体中において脂質を分散させること、
(c)得られた混合物に1つ以上の糖類を添加し、それによってリポソームの溶液を形成すること、および
(d)活性剤をリポソームの溶液に添加すること。
【0065】
一態様において、活性剤は疎水性薬物である。
一態様において、活性剤は固体として添加される。
一態様において、活性剤は有機溶媒中に添加される。
一態様において、有機溶媒中の活性剤は、1以上の脂肪酸塩、脂肪酸およびリン脂質をさらに含む。
【0066】
ある態様において、本明細書で提供される方法は、リポソームおよび1以上の活性剤を含む安定な溶液、組成物または処方物をもたらす。これらの態様において、活性剤は指定された時間の間可溶化されたままであり、著しく分解、凝集または(例えばHPLCによって測定されるように)他の方法で変性されることはない。
【0067】
いくつかの態様において、活性剤の約70%以上、約80%以上、または約90%以上が上昇する温度(例えば、約35℃またはそれを超える温度)にて許容し得る希釈剤と希釈後1週間後に可溶化されたままである。
【0068】
いくつかの態様において、活性剤の約70%以上、約80%以上、または約90%以上が室温にて許容し得る希釈剤と希釈後1週間後に可溶化されたままである。
【0069】
いくつかの態様において、活性剤の約70%以上、約80%以上、または約90%以上が低下する温度(例えば、約10℃またはそれより低い温度)にて許容し得る希釈剤と希釈後1週間後に可溶化されたままである。
【0070】
ある態様において、本明細書で提供される方法は、水性媒体中の同じ活性剤の溶解度と比較して、活性剤の溶解度の増加をもたらす。具体的には、本明細書に提供される方法が使用される場合、活性剤の溶解度は、参照溶媒中の同じ活性剤の溶解度の約20パーセント以上、約40パーセント以上、約60パーセント以上、約80パーセント以上、約100パーセント以上、または約200パーセント増加する。いくつかの態様において、参照溶媒は水である。
【0071】
本明細書で提供されるリポソーム組成物を使用して疾患または障害を処置する方法も本明細書で提供される。いくつかの態様において、疾患または障害は、腫瘍性障害、増殖性障害、中枢神経系障害、自己免疫障害、および炎症性疾患または障害を含むが、これらに限定されない。他の態様において、本方法は細菌、ウイルスまたは真菌感染症の処置に関する。
【0072】
本明細書で提供される方法によって処置することができる増殖性障害(例えばがん)には、限定されないが、新生物、腫瘍(悪性および良性)および転移、あるいは制御されない細胞増殖を特徴とする任意の疾患または障害を包含する。がんは原発性がんまたは転移性がんであり得る。本発明の方法に従って予防、管理、処置または改善することができるがんの具体例には、それだけに限らないが、頭、首、目、口、のど、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、ならびに脳のがんを包含する。
【0073】
追加のがんとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病)、急性骨髄性白血病(例えば、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病および骨髄異形成症候群)、慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病、非ホジキン病)、多発性骨髄腫(例えば、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌型骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫、および髄外性形質細胞腫)、ワルデンストロームマクログロブリン血症、意義不明のモノクローナル性ガンマグロブリン血症、良性モノクローナルガンマグロブリン血症、重鎖病、骨および結合組織肉腫(例えば、骨肉腫、オステオ肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の繊維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(ヘマンジオ肉腫)、繊維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫)、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、神経膠腫、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、ピンコサイトーマ、松果体芽腫、原発性脳リンパ腫)、乳がん(例えば、腺癌、小葉(小細胞)癌、管内癌、髄様乳がん、粘液性乳がん、管状乳がん、乳頭状乳がん、パジェット病、炎症性乳がん)、副腎がん(例えば、褐色細胞腫および副腎皮質癌)、甲状腺がん(例えば、甲状腺乳頭がんまたは濾胞性がん、甲状腺髄様がんおよび未分化甲状腺がん)、膵臓がん(例えば、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、脂肪腫、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドまたは膵島細胞腫瘍)、下垂体がん(例えば、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、末端肥大症、糖尿病性尿崩症)、眼がん(例えば、虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマ、毛様体メラノーマなどの眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、膣がん(例えば、扁平上皮がん、腺がん、および黒色腫)、外陰がん(例えば、扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびパジェット病)、子宮頸がん(例えば、扁平上皮癌、腺癌)、子宮がん(例えば、子宮内膜癌および子宮肉腫)、卵巣がん(例えば、卵巣上皮癌、境界腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質腫瘍)、食道がん(例:扁平上皮がん、腺がん、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、線扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌、および燕麦(小細胞)癌)、胃がん(例えば、腺癌、真菌性(ポリープ状)、潰瘍性、表在性、びまん性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および カルシノ肉腫)、結腸がん、直腸がん、肝がん(例えば、肝細胞癌および肝芽細胞腫、腺癌などの胆嚢癌)、胆管癌(例えば、乳頭状、結節、びまん性)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺がん)、精巣がん(例えば、胚性腫瘍、セミノーマ、未分化型、古典型(典型的)、精細胞性、非セミノーマ、胚性癌、奇形腫癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)、限定されないが、腺癌、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫などの前立腺がん、陰茎がん、口腔がん(例えば、扁平上皮癌)、基底がん、唾液腺がん(例えば、腺癌、粘表皮癌、腺様嚢胞癌)、咽頭癌がん(例えば、扁平上皮がん、および疣状)、皮膚がん(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫、表在性黒色腫、結節性黒色腫、レンズマメ悪性黒色腫、先端レンズマメ黒色腫)、腎臓がん(例えば、腎細胞がん、腺癌、過腎腫、線維肉腫、移行上皮がん(腎盂および/または尿管))、ウィルムス腫瘍、膀胱がん(例えば、移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫)、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌および乳頭腺癌、濾胞性リンパ腫、p53突然変異を伴う癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、家族性腺腫性ポリープ症などの前癌病変、および骨髄異形成症候群。
【0074】
本明細書に提供される方法によって処置され得る他の特定の疾患および障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アレルギー性障害、炎症、喘息、関節炎、脳炎、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、炎症性骨溶解、慢性または急性閉塞性肺疾患、慢性または急性肺炎症性疾患、炎症性腸疾患、クローン病、痛風、ベーチェット病、Henoch Schonlein紫斑病(「FISP」)、敗血症性ショック、敗血症、髄膜炎、大腸炎、再灌流による炎症、乾癬、肺線維症を含む線維症、パーキンソン病、運動緩慢、筋肉の硬直、パーキンソン震え、パーキンソン病、運動凍結、うつ病;長期記憶障害、ルビンシュタインテイビ症候群(RTS)、認知症、睡眠障害、不眠症、体位不安定性、低運動障害、多動障害、シヌクレイン障害、多系統性萎縮症、線条体黒質変性、オリーブ橋小脳萎縮、シャイドラガー症候群、パーキンソン病的特徴を伴う運動ニューロン疾患、レビー小体型認知症、タウ病理障害、進行性超硬直性麻痺、皮質基底核変性、前頭側頭型認知症;アミロイド病理学的障害、軽度認知障害、アルツハイマー病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、ウィルソン病、Hallervorden Spatz病、Chediak Hagashi病、SCA 3脊髄小脳性運動失調症、X連鎖ジストニアパーキンソニズム、ハンチントン病、プリオン病、舞踏病、バリズム、ジストニア振戦、筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)、CNS外傷、ミオクローヌス、および望ましくない免疫反応に関連する疾患または障害(例えば、臓器移植に関連する臓器拒絶反応)。
【0075】
本明細書に提供される方法によって処置されるウイルス性感染症には、限定されないが、以下が包含される:ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、インフルエンザウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトパピローマウイルス(「HPV」)、アデノウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デング熱、黄熱病、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、GBウイルスA、GBウイルスB、GBウイルスC、ウシウイルス性下痢ウイルス(「BVDV」)、古典的ブタ熱ウイルス(すなわち、ブタコレラウイルス)、国境病ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、天然痘、はしか、狂犬病ウイルス、アルボウイルス、サイトメガロウイルス、おたふく風邪ウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーBウイルス、エプスタインバーウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルスB19、コロナウイルス。
SARSコロナウイルス、アストロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、およびアデノウイルス。
【0076】
本明細書で提供される方法によって処置することができる真菌感染症には、限定されないが、アスペルギルス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、真菌性副鼻腔炎、ヒストプラスマ症、過敏性肺炎、ムコール症、パラコクシジオイデス症、スポロトリコーシス、およびバレー熱が包含される。
【0077】
本明細書で提供される方法によって処置されることができる細菌感染症には、限定されないが、ブルセラ症、コレラ、ハンセン病、レプトスピラ症、シゲラ症、塹壕熱、野兎病、Q熱、ウィットモア病、エルシニア症、ヨー、ビブリオ・ブルニフィカス感染症、ストレプトコッカス感染症、ブドウ球菌感染症および大腸菌感染症が包含される。
【0078】
本発明はまた、抗体または他の治療用タンパク質をカプセル化するリポソームを含む組成物、およびそのようなリポソームカプセル化型抗体またはリポソームカプセル化型治療用タンパク質を作製する方法を企図する。本発明者らは、免疫グロブリンおよび他の治療用タンパク質が、リポソームの脂質二重層の疎水性コアに対する親和性をそれらに提供する疎水性領域またはポケットを含有することを見出した。驚くべきことに、凍結乾燥された抗体または他のタンパク質が予め形成されたリポソームの水性媒体中の懸濁液にさらされる場合、抗体および他の治療用タンパク質は自発的にリポソームに取り込まれ得る。そのような取り込みは、洗剤、界面活性剤、および有機溶媒の使用を必要とせず、そして好ましくは完全に避け、そして均質化、ミクロ流動化、濾過、または脂質二重層を破壊する他の機構も必要としない。そのような取り込みはまた、リポソームへの取り込みの前または後に、免疫グロブリンまたは他の治療用タンパク質のいかなる共有結合またはさらに非共有結合の修飾も必要とせず、好ましくは回避する。免疫グロブリンまたは他の治療用タンパク質は、疎水性相互作用および/またはファンデルワールス相互作用などの非共有結合によって脂質アルキル鎖と好ましくは会合し、誘導体化脂質およびストレプトアビジンおよびビオチンなどのような高親和性適合結合対を含有する誘導体化タンパク質の使用を含まない。得られる抗体またはタンパク質含有脂質小胞は、100以下、80以下、60以下、50以下、40以下、さらには30以下の脂質(例えば、リン脂質)対タンパク質のモル比を有することができる。タンパク質または抗体の取り込み(すなわちカプセル化)の収率は、少なくとも約40%、50%、60%、70%、または80%である。カプセル化された抗体またはタンパク質は、脂質二重層の疎水性部分内に部分的または全体的に埋め込まれており、小胞内腔に実質的に閉じ込められたり、脂質分子に共有結合されたり、ストレプトアビジンまたはビオチンなどの親和性の高い適合された結合分子に共有結合されない。カプセル化方法は生物学的機能を保持しながら穏やかであり、そしてリポソームカプセル化抗体またはタンパク質は凍結乾燥され得、そして例えば患者への投与など使用前に、あとで再構成され得る。
【実施例
【0079】
実施例1:薬物を有さないリポソームの調製:6%L-a-ホスファチジルコリン(Soy)リポソーム
6gのL-a-ホスファチジルコリン(Soy)を、マグネチックスターラーを用いて200rpmで10分間、周囲温度で100mLの水中に分散させた。分散したリポソーム(多層)を15,000psiでミクロ流体ホモジナイザー(Microfluidic homogenizer)に通した。3サイクルの通過により、直径100nm未満のリポソームが得られた。次いでトレハロースをリポソームに最終濃度10%(w/w)まで添加した。得られた安定な等張性リポソームを液体として使用するかまたは凍結乾燥した。
【0080】
実施例2:ラパコンでカプセル化されたリポソームの調製
200mgのラパコンおよび6gのL-a-ホスファチジルコリン(Soy)を周囲温度でマグネチックスターラーを使用して200rpmで10分間、100mlの水中に分散させた。分散したリポソーム(多層)を15,000psiでミクロ流体ホモジナイザーに通した。3サイクルの通過により、直径100nm未満の2mg/mLラパコンでカプセル化されたリポソームが得られた。次いでトレハロースをリポソームに最終濃度10%(w/w)まで添加した。得られたラパコンでカプセル化された安定な等張性リポソームを液体として使用するかまたは凍結乾燥した。
【0081】
実施例3:シクロスポリンでカプセル化し、ミクロ乳化したリポソームの調製
5mLのMygliol中の500mgのシクロスポリンおよび6gのL-a-ホスファチジルコリン(Soy)を、周囲温度で10分間、200rpmでマグネチックスターラーを使用して100mLの水中に分散させた。分散したリポソーム(多層)をミクロ流体ホモジナイザーに15,000psiで通過させた。3サイクルの通過により、直径100nm未満の5mg/mLシクロスポリンでカプセル化されたリポソームが得られた。次いでトレハロースをリポソームに最終濃度10%(w/w)まで添加した。シクロスポリンでカプセル化およびミクロ乳化された、得られた安定な等張性リポソーム処方物は、液体として使用するかまたは凍結乾燥した。
【0082】
実施例4:トランスフェリンでカプセル化したリポソームの調製
200mgのトランスフェリンおよび6gのL-a-ホスファチジルコリン(Soy)を、周囲温度でマグネチックスターラーを用いて200rpmで10分間、100mLの水中に分散させた。分散したリポソーム(多層)を15,000psiでミクロ流体ホモジナイザーに通した。3サイクルの通過により、直径100nm未満の5mg/mLのトランスフェリンでカプセル化されたリポソームが得られた。次いでトレハロースをリポソームに最終濃度10%(w/w)まで添加した。得られたトランスフェリンでカプセル化された安定な等張性リポソーム処方物は、液体として使用されるかまたは凍結乾燥された。
【0083】
実施例5:コルヒチンでカプセル化されたリポソームの調製
6mgのオレイン酸ナトリウム、10gのトレハロースおよび6gのL-a-ホスファチジルコリン(Soy)を、周囲温度でマグネチックスターラーを用いて200rpmで10分間、100mLの水中に分散させた。分散したリポソーム(多層)をミクロ流体ホモジナイザーに15,000psiで10回通過させた。アセトンに溶解した100μLのコルヒチンを1mLの予め製造したリポソームに添加し、凍結乾燥した。薬物でカプセル化された、得られた安定な等張性の凍結乾燥されたリポソームは、凍結乾燥後に有機溶媒を本質的に含まない。凍結乾燥後、産物は1mg/mL、2mg/mL、3mg/mLまたは4mg/mLの水溶液(例えば注射用水)として再構成することができる。
【0084】
実施例6:抗体のリポソーム中のカプセル化
抗体を含む多くの治療用タンパク質は、疎水性部分を有する。一態様において、抗体は、丁度他の疎水性タンパク質または疎水性薬物と同様に、抗体を予め形成されたリポソームに添加することによってリポソームによってカプセル化することができる。驚くべきことに、リポソーム膜は、リポソームの二重層のアルキル鎖部分に抗体の疎水性部分をカプセル化できることが見出された。これは、抗体を含むタンパク質が、チオール-マレイミド反応またはペプチド反応を介するなどの化学修飾によって脂質に結合される従来の方法とは対照的である。本発明では、治療用タンパク質の化学修飾は不要であり、タンパク質はその天然の構造を維持している。
【0085】
ハーセプチン(HERCEPTIN)は、HER2を過剰発現し、リンパ節転移陽性またはリンパ節転移陰性(ER/PR陰性または1つの高リスクの特徴を有する)の乳がんの補助処置のために必要である。ハーセプチンは、静脈内投与用の無菌の白色~淡黄色の防腐剤不含の凍結乾燥粉末として提供される。ハーセプチンの各マルチ使用バイアルは440mgのトラスツズマブ、400mgのα,α-1,1-トレハロース二水和物、9.9mgのL-ヒスチジンHCl、6.4mgのL-ヒスチジン、および1.8mgのポリソルベート20,USPを含有する。
【0086】
注射用の水20mLでのハーセプチンのバイアルの再構成は、約6.0のpHで21mg/mLのトラスツズマブを含有する溶液を生じた。1.75mgのトラスツズマブを含有する溶液のアリコートを3mLのバイアル中で凍結乾燥し、そして200μLの6%ダイズホスファチジルコリン(SPC)リポソーム(ミクロ流動化操作を使用して調製)を凍結乾燥抗体に添加することによって8.75mg/mLの抗体最終濃度にて再構成した(抗体の添加後に穏やかに混合しただけでミクロ流動化操作は実施しなかった)。移動相として100mM硫酸ナトリウムおよび100mM酢酸ナトリウムpH6.0を用いて、10μLのサンプルをTosoh G3000 SWXLゲル濾過カラムに注入することにより、その試料をサイズ排除HPLCにより分析した。リポソームを含まないHUMIRA試料を対照として使用した(図1A参照)。データは、5.6mg/mLのトラスツズマブが、空隙容量でのその溶出に基づいてリポソーム中にカプセル化されたことを示した(図1B)。
【0087】
リポソーム化したハーセプチンの組成物は表1に示される。
【表1】
【0088】
フミラ(HUMIRA)は、慢性関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、およびプラーク乾癬の処置に必要とされる腫瘍壊死因子(TNF)遮断薬である。フミラは皮下投与のためのアダリムマブの無菌、防腐剤不含の溶液として供給される。薬物製品は、使い捨てのプレフィルドペン(HUMIRA Pen)、または使い捨ての1mLプレフィルドガラスシリンジとして供給される。フミラの溶液は無色透明で、pHは約5.2である。各注射器は、アダリムマブ40mg、塩化ナトリウム4.93mg、一塩基性リン酸ナトリウム二水和物0.69mg、二塩基性クエン酸ナトリウム二水和物1.22mg、クエン酸ナトリウム0.24mg、クエン酸一水和物1.04mg、マンニトール9.6mg、0.8mgのポリソルベート80、および注射用水、USPを含有する0.8mLの薬物製品を送達する。pHを調整するために必要に応じて水酸化ナトリウムを添加する。
【0089】
1.75mgのアダリムマブを含有するアリコートを3mLバイアル中で凍結乾燥し、そして次に最終濃度8.75mg/mL抗体を有する200μLを有する6%SPCリポソームで再構成した。移動相として100mM硫酸ナトリウムおよび100mM酢酸ナトリウムpH6.0を使用して、Tosoh G3000 SWXLゲル濾過カラムを使用して10μLの試料を注入することにより、試料をSEC-HPLCにより分析した。フミラ試料をリポソームなしの対照として使用した。驚くべきことに、データは、空隙容量での溶出に基づいて、5.6mg/mLのハーセプチンがリポソーム中にカプセル化されていたことを示した(図1C)。これらのデータは、ハーセプチンの疎水性ポケットが、二層のホスファチジルコリンのアルキル基の間に化学修飾なしに収容されていることを示唆している。
【0090】
リポソームのフミラの組成物が、以下の表2に示される。
【表2】
抗体の同様の取り込みは、抗体の液体(すなわち、水溶化で、凍結乾燥されない)調製物をリポソームの水性懸濁液に添加することによって得られた。
【0091】
本明細書中に引用された全ての参考文献は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願がその全体として全ての目的のために組み入れられるように具体的におよび個別に示されるかのように同じ程度まで、全ての目的のためにその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
図1A
図1B
図1C