(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/11 20170101AFI20220207BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220207BHJP
【FI】
G06T7/11
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021027019
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2021-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520061088
【氏名又は名称】ガレージバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】磯田 岳洋
(72)【発明者】
【氏名】山本 義仁
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188123(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/110323(WO,A1)
【文献】特開2006-040151(JP,A)
【文献】特開2019-091322(JP,A)
【文献】特開2018-173731(JP,A)
【文献】特開2020-151542(JP,A)
【文献】特開2019-215651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得する情報処理装置であって、
前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記端末から取得し、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部
と、
前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない処理部とを備え、
前記立体性判別部は、前記2次元画像データを分析し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置を認識し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置に基づいて、前記3次元画像データにおける前記撮影対象の像の領域である特定領域を特定し、前記特定領域に属する像の立体性を判別することによって、前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記立体性判別部は、前記3次元画像データにおいて前記特定領域に属する像が、周囲の像と平面的に連続する平らな像であるか否かを判別し、平らな像である場合に前記撮影対象について立体性がないと判定する一方、それ以外の場合に立体性があると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記立体性判別部は、前記特定領域に、周囲の像から独立した立体的な像が形成されている場合に前記撮影対象について立体性があると判定する一方、それ以外の場合に立体性がないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記立体性判別部は、前記撮影対象の種別を認識し、画像処理技術による処理、或いは、機械学習されたモデルを用いた処理により前記2次元画像データにおける前記撮影対象の種別の物体の画像の位置を認識し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の種別の物体の画像の位置を、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置として認識する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得する情報処理装置であって、
前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記端末から取得し、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部
と、
前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない処理部とを備え、
前記立体性判別部は、前記撮影対象の種別を認識し、前記撮影対象の種別に対応する3次元的なテンプレートデータを用いたパターンマッチングを行い、パターンマッチングの結果に基づいて前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得する情報処理装置であって、
前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記端末から取得し、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部
と、
前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない処理部とを備え、
前記立体性判別部は、
2次元画像データと3次元画像データと前記撮影対象の種別とを入力とするか、3次元画像データと前記撮影対象の種別とを入力とするか、または、2次元画像データと3次元画像データとを入力とし、前記撮影対象の立体性の有無の判別に利用可能な情報を出力とする機械学習されたモデルに対して必要な入力値を入力し、その出力を得ることによって前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
端末と、前記端末とネットワークを介して通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記端末は、
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データ、および、前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記情報処理装置に送信する端末側制御部を有し、
前記情報処理装置は、
前記端末からネットワーク経由で前記2次元画像データおよび前記3次元画像データを取得し、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部
と、
前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない処理部とを有し、
前記立体性判別部は、前記2次元画像データを分析し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置を認識し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置に基づいて、前記3次元画像データにおける前記撮影対象の像の領域である特定領域を特定し、前記特定領域に属する像の立体性を判別することによって、前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
端末と、前記端末とネットワークを介して通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記端末は、
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データ、および、前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記情報処理装置に送信する端末側制御部を有し、
前記情報処理装置は、
前記端末からネットワーク経由で前記2次元画像データおよび前記3次元画像データを取得し、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部
と、
前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない処理部とを有し、
前記立体性判別部は、前記撮影対象の種別を認識し、前記撮影対象の種別に対応する3次元的なテンプレートデータを用いたパターンマッチングを行い、パターンマッチングの結果に基づいて前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
端末と、前記端末とネットワークを介して通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記端末は、
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データ、および、前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記情報処理装置に送信する端末側制御部を有し、
前記情報処理装置は、
前記端末からネットワーク経由で前記2次元画像データおよび前記3次元画像データを取得し、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部
と、
前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない処理部とを有し、
前記立体性判別部は、
2次元画像データと3次元画像データと前記撮影対象の種別とを入力とするか、3次元画像データと前記撮影対象の種別とを入力とするか、または、2次元画像データと3次元画像データとを入力とし、前記撮影対象の立体性の有無の判別に利用可能な情報を出力とする機械学習されたモデルに対して必要な入力値を入力し、その出力を得ることによって前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置の立体性判別部が、前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記端末から取得する第1ステップと、
前記情報処理装置の前記立体性判別部が、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する第2ステップと
、
前記情報処理装置の処理部が、前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない第3ステップとを含み、
前記第2ステップにおいて前記立体性判別部は、前記2次元画像データを分析し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置を認識し、前記2次元画像データにおける前記撮影対象の画像の位置に基づいて、前記3次元画像データにおける前記撮影対象の像の領域である特定領域を特定し、前記特定領域に属する像の立体性を判別することによって、前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置の立体性判別部が、前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記端末から取得する第1ステップと、
前記情報処理装置の前記立体性判別部が、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する第2ステップと
、
前記情報処理装置の処理部が、前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない第3ステップとを含み、
前記立体性判別部は、前記撮影対象の種別を認識し、前記撮影対象の種別に対応する3次元的なテンプレートデータを用いたパターンマッチングを行い、パターンマッチングの結果に基づいて前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
本人確認用の情報が記録された立体的な物体が撮影されるという想定の下で撮影対象に対するカメラによる撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記情報処理装置の立体性判別部が、前記カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で前記端末から取得する第1ステップと、
前記情報処理装置の前記立体性判別部が、前記3次元画像データを少なくとも利用して前記撮影対象の立体性の有無を判別する第2ステップと
、
前記情報処理装置の処理部が、前記立体性判別部により前記撮影対象に立体性があると判定された場合、前記2次元画像データに基づいて、本人の確認に関連する本人確認関連処理を実行する一方、立体性がないと判定された場合、前記本人確認関連処理を実行しない第3ステップとを含み、
前記第2ステップにおいて前記立体性判別部は、2次元画像データと3次元画像データと前記撮影対象の種別とを入力とするか、3次元画像データと前記撮影対象の種別とを入力とするか、または、2次元画像データと3次元画像データとを入力とし、前記撮影対象の立体性の有無の判別に利用可能な情報を出力とする機械学習されたモデルに対して必要な入力値を入力し、その出力を得ることによって前記撮影対象の立体性の有無を判別する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影されて生成されたデータを処理する情報処理装置、当該情報処理装置と端末とを備える情報処理システム、および、当該情報処理装置による情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な物体が撮影されるという想定の下、撮影によって生成された2次元画像データ(撮影画像データ)をネットワーク経由で情報処理装置が取得し、その2次元画像データに基づく処理を実行するシステムが知られている。例えば特許文献1には、中古車が撮影されて生成されたパノラマ写真(2次元画像データ)をネットワーク経由でサーバ(情報処理装置)が取得した後、パノラマ写真を保管し、事後的に中古車の傷の状況等をパノラマ写真によって確認できるようにしたシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1のシステムでは、以下の問題があった。すなわちサーバに保管されたパノラマ写真は、中古車の傷の状況を確認するために用いられるものであるが、サーバに送られてきたパノラマ写真が、傷のない中古車の画像が表示された別の写真や、傷のない中古車の画像が表示されたディスプレイ画面が撮影されることによって生成されたものである可能性がある。このような場合、パノラマ写真を傷の状況の確認用のデータとして保管してしまうと、不正なパノラマ写真から中古車の傷の状況の確認を行う事態が発生することになる。このため、上記の場合にパノラマ写真を保管することは適切でないものの、特許文献1のシステムではこれを回避する手段がなかった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、立体的な物体が撮影されるという想定の下で行われた撮影によって生成された2次元画像データをネットワーク経由で情報処理装置が取得するシステムにおいて、立体的な物体が撮影されるという想定が守られていないときに、2次元画像データを処理対象とする不適切な処理が行われてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明は、カメラの撮影結果に基づく2次元画像データだけではなく、カメラによる撮影と同時に実行された測距センサによるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワーク経由で端末から取得し、3次元画像データを少なくとも利用して撮影対象の立体性の有無を判別するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、2次元画像データだけでなく、このデータと同時に生成された3次元画像データが取得された上で、3次元画像データを利用して撮影対象の立体性の有無が判別されるため、カメラによる撮影が立体性のある物体を撮影対象として行われたか否かを判別することができる。このため立体性のある物体を撮影対象として撮影が行われていないときに、上記判別を通してそのことを検知でき、例えば立体性のある物体が撮影されて生成された2次元画像データを処理対象とする通常の処理を行わず、これに代えて立体性のある物体が撮影されていないことに対処する処理を実行する、といったことが可能となる。これにより立体的な物体が撮影されるという想定が守られていないときに、2次元画像データを処理対象とする不適切な処理が行われてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る端末およびサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】立体性判別部の処理の説明に利用する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図1で示すように情報処理システム1は、端末2とサーバ3とを備えている。端末2およびサーバ3は共に、インターネットを含むネットワークNに接続可能である。
【0010】
サーバ3は、端末2をクライアントの1つとするサーバ装置である。
図1では、サーバ3を1つのブロックで表しているが、サーバ3は単一のサーバ装置である必要はなく、例えば複数のサーバ装置により構成されてもよく、また、所定のシステムの一部であってもよい。サーバ3は、運営会社によって管理、運営されており、後述するサービスを提供する。サーバ3は、特許請求の範囲の「情報処理装置」に相当する。
【0011】
端末2は、タブレット型の筐体の全面の広い領域にタッチスクリーン4(表示パネル+タッチパネル)が設けられたスマートフォンである。特に本実施形態に係る端末2は、カメラ5およびLiDARスキャナ6が搭載されており、カメラ5による撮影の結果に基づいて2次元画像データを生成する機能を備えると共に、LiDARスキャナ6によるスキャンの結果に基づいて3次元画像データを生成する機能を備えている。LiDARスキャナ6は、特許請求の範囲の「測距センサ」に相当する。
【0012】
2次元画像データは、2次元の画像データ(いわゆる写真)であり、マトリックス状に配置された各画素について色に関する情報を保持している。また3次元画像データは、LiDARスキャナ6により距離が測定された画素が三次元直交座標系に配置された点群データである。三次元画像データでは、LiDARスキャナ6によるスキャン範囲内の各物体の表面(LiDARスキャナ6により距離の測定の対象となる表面)が三次元直交座標系における点の集合として表現される。
【0013】
なお本実施形態では、端末2がLiDARスキャナ6を搭載している構成であるが、三次元画像データの生成に用いられる他の機構(例えばステレオカメラや、LiDARとは異なる方式の光学的測距センサ等)を備える構成でもよい。本実施形態に係る端末2のような3次元画像データを生成する機能を有する端末(スマートフォンや、携帯電話機能を有さないタブレット端末、ノートパソコン等)は、現時点で広く普及しており、今後もますます普及していくと想定される。
【0014】
端末2には事前に、所定のアプリケーション(以下「専用アプリ」という)が、アプリケーションダウンロードシステムを利用してインストールされている。専用アプリの機能については後述する。以下、端末2の所有者を「ユーザ」と表現する。
【0015】
図2は、端末2およびサーバ3の機能構成例を示すブロック図である。
図2で示すように端末2は機能構成として、端末側制御部10および端末側通信部11を備えている。またサーバ3は機能構成として、サーバ側通信部12、立体性判別部13および処理部14を備えている。上記各機能ブロック10~14は、コンピュータのCPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUがROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することによって実現される。特に端末側制御部10は、CPUが、記憶媒体に記憶された専用アプリ(ただしOS、OSが提供するAPI、その他の付随するプログラムを含む)を読み出して実行することにより実行される。ただし、上記各機能ブロック10~14の実現方法は本実施形態で例示する方法に限られず、他の方法でソフトウェアとハードウェアとが協働することによって実現されてもよく、また、DSP等のハードウェアのみにより実現されてもよい。またサーバ3は記憶手段として、サーバ側記憶部16を備えている。
【0016】
端末側通信部11は、ネットワークNに接続された機器と所定のプロトコルに従って通信する。以下の説明では端末2とネットワークNに接続された機器とでの通信は、端末側通信部11により適切に行われるものとして詳細な説明を省略する。またサーバ側通信部12は、ネットワークNに接続された機器と所定のプロトコルに従って通信する。以下の説明ではサーバ3とネットワークNに接続された機器とでの通信は、サーバ側通信部12により適切に行われるものとして詳細な説明を省略する。
【0017】
以下、評価シーンと本人確認シーンとの2つのシーンにおける本実施形態に係る情報処理システム1の動作例について説明する。
【0018】
<評価シーン>
まず評価シーンにおける情報処理システム1の動作例について説明する。評価シーンではまず、ユーザが所有する物品が端末2のカメラ5によって撮影されることが想定されている。ユーザが所有する物品とは、立体的な物体であって、ユーザが評価される(評価の具体的な内容については後述)ことを望むものあり、一例としてブランド物のバック、ブランド物のアクセサリ、その他のブランド品であり、また一例としてノートパソコン、スマートフォン、ゲーム機、その他の電子機器である。以下、ユーザが所有する物品を対象物品という。対象物品は、特許請求の範囲の「評価対象の立体的な物体」に相当する。
【0019】
ユーザによる対象物品の撮影後、撮影結果に基づく2次元画像データがサーバ3に送信される。サーバ3は、2次元画像データに基づいて対象物品を評価する。本実施形態において「評価」とは、対象物品の価値を評価し、買取り価格(値段)をつけることを意味する。詳細な説明は省略するが、対象物品に買取り価格がつけられた後、ユーザによる同意があれば、その買取り価格で対象物品が運営会社によって買い取られると共に、その買取り価格に相当する金銭がユーザに支払われる。特に本実施形態では運営会社によって買い取られた対象物品は、ユーザにリースされる。このためユーザは、対象物品を運営会社に引き渡すことなく手元に置いたまま、買取り価格相当の金銭を得ることができる(ただし、リース料の支払い義務等が生じる)。
【0020】
以上の通り評価シーンにおいては、ユーザが、自身が所有する対象物品(立体的な物体)を撮影することが想定されていると共に、対象物品が撮影されて生成された2次元画像データがサーバ3に送信されることが想定されている。しかしながらユーザが、対象物品を撮影するのではなく、物品の画像が表示された写真や、物品の画像が表示されたディスプレイ画面(例えばパソコンのディプレイに映る画面や、テレビの画面等)を撮影し、その撮影の結果に基づく2次元画像データがサーバ3に送られてくる可能性がある。以下、物品の2次元的な画像が表示された平面的な媒体(上述した写真やディスプレイ画面のほか、例えば、写真以外の紙媒体がある)を「平面媒体」という。
【0021】
一例としてユーザが、実際にはブランド物のバッグを所有していないのにもかかわらず、ブランド物のバッグの画像が表示された写真が掲載されたカタログの、その写真部分を撮影したり、ブランド物のバッグの画像が表示されたウェブページの該当部分を撮影したりし、その撮影の結果に基づく2次元画像データがサーバ3に送られてくる可能性がある。
【0022】
以上のユーザの行動は、ユーザにより以下の事項が期待されて行われるものである。すなわち上述の通り情報処理システム1では、2次元画像データに基づいて対象物品の評価が行われ、対象物品に買取り価格が設定され、買取り価格に相当する金銭がユーザに支払われることになる。これを踏まえ、上記のユーザの行動は、2次元画像データに記録されたブランド物のバッグの画像(立体的な物体の撮影結果に基づく画像ではなく、カタログ或いはウェブページ等の撮影結果に基づく画像)に基づいて物品(本来はユーザが所有していない物品)の評価が行われ、買取り価格に相当する金銭が運営会社から支払われることが期待して行われる。
【0023】
この他、ユーザが対象物品を所有しているものの、少しでも高い買取り価格となることを企図して、その対象物品と同モデルの物品であって、新品状態のものが表示された写真等を撮影することも考えられる。そして本実施形態に係る情報処理装システム1は、ユーザが以上のような行動をとる可能性があることを踏まえ、以下の処理を実行する。
【0024】
まず2次元画像データの生成に先立って、ユーザは、端末2の専用アプリを起動し、物品種別選択画面をタッチスクリーン4に表示することを指示する。当該指示があると、そのことが立体性判別部13に通知され、立体性判別部13は、当該通知に応じて、端末側制御部10に物品種別選択画面をタッチスクリーン4に表示させる。物品種別選択画面は、物品種別のそれぞれが選択可能に一覧表示された画面である。物品種別とは、評価の対象となり得る物品について、機能や用途によって大きく区分したときの各種別のことを意味する。本実施形態では物品種別として、ノートパソコンや、スマートフォン、ゲーム機、バッグ、時計等が事前に用意されている。ユーザは、所定の操作を行って、物品種別選択画面に一覧表示された物品種別から1つの物品種別を選択する。以下、ユーザにより選択された物品種別のことを「選択物品種別」という。
【0025】
ユーザにより物品種別が選択されると、立体性判別部13は端末側制御部10を制御して、選択物品種別に応じた方法による対象物品の撮影を案内すると共に、カメラ5による撮影の実行を指示するための種々の撮影用画面G3(
図3)を表示する。ユーザは、撮影用画面G3の案内に従ってカメラ5による撮影の実行を指示する。この指示に応じて、カメラ5による撮影が実行されると共に、更にLiDARスキャナ6によるスキャンが実行され、カメラ5の撮影結果に基づく2次元画像データ、および、LiDARスキャナ6のスキャン結果に基づく3次元画像データが生成される。端末側制御部10は、2次元画像データと3次元画像データとの組合せを取得する。
【0026】
図3の各図は、選択物品種別がノートパソコンである場合に表示される撮影用画面G3の一例を示す図である。以下、
図3を用いて撮影用画面G3の内容の具体例と共に、情報処理システム1の動作について説明する。立体性判別部13は、端末側制御部10を制御して、
図3(A)の撮影用画面G3Aをタッチスクリーン4に表示させる。
図3(A)の撮影用画面G3Aでは、閉じた状態のノートパソコンを撮影する様子が描かれたイラストと共に、ノートパソコンを閉じた状態で上面を撮影することを指示する文章が表示されている。
【0027】
また
図3(A)の撮影用画面G3Aには撮影の開始を指示するボタンB3Aが表示されており、ユーザは、撮影の準備が整ったらボタンB3Aを操作する。ボタンB3Aの操作に応じて端末側制御部10は、OSが提供するAPIを利用して端末2のカメラ5およびLiDARスキャナ6を有効にし、更に
図3(B)の撮影用画面G3Bをタッチスクリーン4に表示する。
図3(B)の撮影用画面G3Bでは、端末2のカメラによる撮影画像上に、枠線と、対象物品たるノートパソコンの上面が枠線内に収まった状態で撮影を行うことを指示する文章とが重ねて表示される。また
図3(B)の撮影用画面G3Bには、撮影の実行を指示するボタンB3Bが表示されている。
【0028】
基本的にはユーザは、対象物品を机等に載置し、対象物品の画像が枠線内に収まった状態でボタンB3Bを操作する。するとカメラ5により撮影が実行されて2次元画像データが生成され、更にLiDARスキャナ6によりスキャンが実行さて3次元画像データが生成される。以上の通り本来であれば、この段階では、ユーザにより立体的な物体であるノートパソコンが撮影されることが想定されている。一方、この段階でユーザにより、閉じた状態のノートパソコンの(2次元的な)画像が表示された平面媒体(写真や、ディスプレイ画面等)が撮影される可能性がある。
【0029】
ユーザの指示に応じて撮影(およびスキャン)が実行されると、立体性判別部13は、端末側制御部10と協働して、
図3(C)の撮影用画面G3Cをタッチスクリーン4に表示する。
図3(C)の撮影用画面G3Cは、開いた状態のノートパソコンの撮影を促す画面である。撮影用画面G3CのボタンB3Cが操作されると、端末側制御部10は、カメラ5およびLiDARスキャナ6を有効にした上で、
図3(B)の撮影用画面G3Bに対応する画面を表示する。ユーザは、撮影用画面G3Bに対応する画面で所定のボタンを操作し、カメラ5による撮影およびLiDARスキャナ6によるスキャンを実行させる。これにより2次元画像データおよび3次元画像データが生成される。
【0030】
以上、
図3を用いて例示したように、立体性判別部13は、端末側制御部10を制御して、選択物品種別に応じた方法による対象物品の撮影を案内する。また端末側制御部10は、カメラ5による撮影およびLiDARスキャナ6によるスキャンに応じて生成された2次元画像データと3次元画像データとの組合せ(以下、「データ組合せ」という)を取得する。なお
図3の例のように、データ組合せは複数、生成されるケースもある。
【0031】
端末側制御部10は、1つ以上のデータ組合せを取得した後、全てのデータ組合せをサーバ3の立体性判別部13に送信する。立体性判別部13は、全てのデータ組合せを受信し、各データ組合せを対象として以下の立体性有無判別処理を実行する。以下、ある1つのデータ組合せについて立体性判別部13が実行する立体性有無判別処理について説明する。
【0032】
まず立体性判別部13は、データ組合せに含まれる2次元画像データを取得する。次いで立体性判別部13は、2次元画像データを分析し、2次元画像データにおける選択物品種別の物品の画像の位置を認識する。2次元画像データにおける選択物品種別の物品の画像の位置は、例えば、選択物品種別ごとに予め用意されたテンプレートデータを用いたパターンマッチングや、その他の画像処理技術(画像認識技術)により行われる。この他、ディープラーニングその他の機械学習手法により学習されたモデルが用いられて行われてもよい。
【0033】
上述の通り、2次元画像データにおける選択物品種別の物品の画像は、立体的な対象物品が撮影されることによって形成された画像とは限らず、物品の画像が表示された平面媒体が撮影されることによって形成された画像である可能性がある。
【0034】
次いで立体性判別部13は、2次元画像データに写る空間と3次元画像データに写る空間とが一致するように、2次元画像データと3次元画像データとを重ね合わせ、3次元画像データにおいて、「2次元画像データにおける選択物品種別の物品の画像の領域」に対応する領域を特定する。以下、特定した領域を「特定領域」という。次いで立体性判別部13は、3次元画像データにおいて特定領域に属する像が、周囲の像と平面的に連続する(平面上で連続する)、平らな像(凹凸のない或いは限定的にしか凹凸がない像)であるか否かを判別する。この判別は、特許請求の範囲の「撮影対象の立体性の有無を判別する」処理に相当する。
【0035】
図4の各図は、立体性判別部13の処理の説明に利用する図である。
図4の各図は、3次元画像データを説明に適した態様で模式的に示している。
図4の各図において符号20は、光学中心を示し、符号21は、LiDARスキャナ6によりスキャンされる放射状の領域を示し、符号22は、特定領域を示している。ユーザが立体的な対象物品を撮影およびスキャンした場合には、
図4(A)で示すように、特定領域には、周囲の像から独立した立体的な像J1(点群)が形成されることになる。一方、物品の画像が表示された平面媒体をユーザが撮影およびスキャンした場合には、
図4(B)で示すように、特定領域には、周囲の像と平面的に連続する平らな像J2(点群)が形成されることになる。
【0036】
以上を踏まえ立体性判別部13は、特定領域に、周囲の像と平面的に連続する平らな像が形成されている場合には、撮影対象について立体性がないと判定する。一方、それ以外の場合、立体性判別部13は、撮影対象について立体性があると判定する。ここで撮影対象とは、立体的な対象物品が撮影された場合のその対象物品と、物品の画像が表示された平面媒体が撮影された場合のその物品の画像とを含む概念である。
【0037】
なお立体性判別部13が、立体性の有無を判別するときの方法は、上記方法に限られない。例えば立体性判別部13が、特定領域に、周囲の像から独立した立体的な像(点群)が形成されている場合に撮影対象について立体性があると判定し、それ以外の場合に立体性がないと判定する構成でもよい。その他の例については後述する。
【0038】
以上の処理が立体性有無判別処理である。以上の立体性有無判別処理が実行されることにより、あるデータ組合せが、立体的な対象物体が撮影されて生成されたものではなく、平面媒体が撮影されて生成されたものである場合には、そのデータ組合せについての立体性有無判別処理において、撮影対象の立体性がないと判定される。
【0039】
処理部14は、立体性判別部13により撮影対象の立体性がないと判定された場合(データ組合せが複数存在するときは、撮影対象の立体性がないと判定されたデータ組合せが1つでも存在する場合)、以下の処理を実行する。すなわち処理部14は、端末側制御部10を制御して、立体的な物品が撮影されておらず、写真やディスプレイ画面が撮影された可能性があるため、再度、撮影を行うべき旨の情報をタッチスクリーン4に表示させ、その旨をユーザに伝える。この場合、処理部14は物体評価関連処理(後述)を実行しない。
【0040】
なお立体性判別部13により、撮影対象の立体性がないと判定された場合に処理部14が実行する処理は上述した処理に限られない(ただし、物体評価関連処理は実行されない)。例えば運営会社の担当者に対して通知する構成としてもよい。通知は、サーバ3に接続された表示装置への情報の表示や、担当者へのメール等どのような方法で行われてもよい。担当者は、当該通知に応じて、例えば、2次元画像データおよび3次元画像データを目視、その他の手段により確認し、立体的な物品が撮影されているかどうかを再検証する等の処置を行うことができる。
【0041】
一方、処理部14は、立体性判別部13により撮影対象の立体性があると判定された場合(データ組合せが複数存在するときは、全てのデータ組合せについて撮影対象の立体性があると判定された場合)、以下の処理を実行する。すなわち処理部14は、物体評価関連処理を実行する。
【0042】
物体評価関連処理において処理部14は、撮影された対象物品の価値を評価し、買取り価格を決定する。より詳細には処理部14は、画像処理技術(画像認識技術)により2次元画像データを分析し、対象物品について最深種別(例えば、ノートパソコンであればモデル、ブランド物のバッグであれば型番というように、対象物品を最も細かく区分した種別)を特定する。更に処理部14は、所定のデータベースにアクセスし、特定した最深種別の物品の相場価格を取得する。更に処理部14や、画像処理技術(画像認識技術)により2次元画像データを分析し、傷や汚れ、摩耗、凹み、部品の欠損等による見た目の劣化の状況の判別や、物品の真贋判別等を行う。その際、最深種別ごとにテンプレートデータを用意しておき、特定した最深種別に対応するテンプレートデータを用いたパターンマッチングを行うことができる。
【0043】
そして処理部14は、対象物品の相場価格や、劣化の状況、真贋を反映して対象物品の価値を評価し、買取り価格を決定する。以上が物体評価関連処理である。なお2次元画像データの分析に、所定の機械学習手法(例えばディープラーニング)で機械学習されたモデルを用いてもよい。また処理部14による物体評価関連処理は、外部装置と協働して行われてもよく、また一部に人間による判断が含まれてもよく、また2次元画像データに加えて3次元画像データが用いられて行われてもよい。また本実施形態では説明の便宜のため、簡略化しているが、物体評価関連処理で対象物品の価値を評価し、買取り価格を決定するにあたって必要な情報およびデータは、ユーザや運営会社の者から適切に提供される。
【0044】
評価シーンにおいて以上の処理が行われることにより、以下の効果を奏する。すなわち立体性判別部13は、2次元画像データだけでなく、このデータと同時に生成された3次元画像データを取得し、2次元画像データを利用して撮影対象の立体性の有無を判別する。そして立体性のある物体を撮影対象として撮影が行われていないとき、つまりユーザが対象物品を撮影したのではなく平面媒体を撮影しているときには、これを検知して物体評価関連処理が実行されず、これに代えて立体性のある物体が撮影されていないことに対処する処理が実行される。これにより立体的な物体が撮影されるという想定が守られていないときに、平面媒体が撮影されて生成された2次元画像データに基づいて買取り価格を決定するという不適切な処理が行われてしまうことを防止でき、ひいてはユーザに対して金銭が引き渡されることを防止できる。
【0045】
<本人確認シーン>
次に本人確認シーンにおける情報処理システム1の動作例について説明する。本人確認シーンでは、ユーザが所有する立体的な本人確認資料が端末2のカメラ5によって撮影され、その撮影の結果に基づく2次元画像データがサーバ3に送信され、サーバ3において2次元画像データに基づいて本人確認関連処理(処理の内容については後述)が実行される。本人確認資料は、例えば、運転免許証や、パスポート、マイナンバーカード等である。本人確認資料は、特許請求の範囲の「本人確認用の情報が記録された物体」に相当する。
【0046】
本人確認資料についても、ユーザが、自身が所有する本人確認資料ではなく、他人の本人確認資料の画像が表示された写真や、他人の本人確認資料の画像が表示されたディスプレイ画面を撮影する可能性がある。一例として、他人の本人確認資料をカメラによって不正に撮影し、他人の本人確認資料の画像が表示された写真をプリントアウトし或いはディスプレイ画面に映し、写真或いはディスプレイ画面を撮影する可能性がある。これを踏まえ、情報処理システム1は、以下の処理を実行する。
【0047】
すなわち本人確認シーンにおいてユーザにより撮影が指示されると、端末側制御部10は、端末2のカメラ5およびLiDARスキャナ6を有効にして、カメラ5による撮影およびLiDARスキャナ6によるスキャンを実行し、2次元画像データおよび3次元画像データを取得する。端末側制御部10は、取得した2次元画像データおよび3次元画像データを立体性判別部13に送信する。
【0048】
立体性判別部13は、2次元画像データおよび3次元画像データ(データ組合せ)を受信する。次いで立体性判別部13は、データ組合せについて立体性有無判別処理を実行し、撮影対象の立体性の有無を判別する。立体性有無判別処理では、評価シーンのときと同等の処理が実行される。
【0049】
簡単に説明すると立体性判別部13は、2次元画像データを分析し、2次元画像データにおける本人確認資料の画像の領域を特定する。例えば本人確認資料が運転免許証であれば、立体性判別部13は、2次元画像データを分析し、2次元画像データにおける運転免許証の画像の領域を特定する。例えば立体性判別部13は、ユーザの入力、その他の手段により本人確認資料の種類(運転免許証や、パスポート、マイナンバーカード等)を認識し、種類に応じたテンプレートデータを取得し(本人確認資料の種類ごとのテンプレートデータは事前に用意される)、テンプレートデータを用いたパターンマッチングを行って画像の領域を特定する。
【0050】
次いで立体性判別部13は、2次元画像データと3次元画像データとを重ね合わせ、3次元画像データにおいて、「2次元画像データにおける本人確認資料の画像の領域」に対応する領域(特定領域)を特定する。次いで立体性判別部13は、3次元画像データの特定領域に属する像が、周囲の像と平面的に連続する(平面上で連続する)、平らな像(凹凸のない或いは限定的にしか凹凸がない像)であるか否かを判別する(=撮影対象の立体性の有無を判別する)。立体性判別部13は、特定領域に、周囲の像と平面的に連続する平らな像が形成されている場合には、撮影対象について立体性がないと判定する。一方、それ以外の場合、立体性判別部13は、撮影対象について立体性があると判定する。
【0051】
処理部14は、立体性判別部13により撮影対象に立体性がないと判定された場合、本人確認関連処理を実行することなく、対応する処理を実行する。本実施形態では処理部14は、撮影対象に立体性がないと判定されたことを運営会社の担当者に通知する。当該担当者は、この通知に基づいて、例えば、2次元画像データおよび3次元画像データを目視その他の手段により確認し、立体的な本人確認書類が撮影されているかどうかを再検証する等の処置を行う。
【0052】
一方、処理部14は、立体性判別部13により撮影対象に立体性があると判定された場合、本人確認関連処理を実行する。本実施形態では処理部14は本人確認関連処理として、2次元画像データをユーザの識別情報と対応付けて所定のデータベースに登録する処理を実行する。データベースは、サーバ側記憶部16に記憶されている。ただし上記の本人確認関連処理は、あくまで一例であり、処理部14が本人確認関連処理として異なる処理を実行する構成でもよい。一例として処理部14は、本人確認関連処理として、2次元画像データの本人確認書類の画像を光学文字認識し、氏名や住所のテキストを抽出し、氏名や住所のテキストをデータベースに登録したり、氏名や住所のテキストに基づいて、事前に登録された情報との整合性を確認したりする。
【0053】
本人確認シーンにおいて以上の処理が行われることにより、本人確認シーンのときと同様、立体的な物体が撮影されるという想定が守られていないときに、平面媒体が撮影されて生成された2次元画像データがデータベースに登録されるという不適切な処理が実行されることを防止できる。
【0054】
次に情報処理システム1の動作例についてフローチャートを用いて説明する。以下の説明において、サーバ3の動作は、サーバ3(情報処理装置)による情報処理方法の一例を表している。
図5は、評価シーンにおける情報処理システム1の動作例を示すフローチャートである。
図5において(A)は端末2の動作を示し、(B)はサーバ3の動作を示している。
【0055】
図5(A)で示すようにユーザは、端末2の専用アプリを起動し、物品種別選択画面をタッチスクリーン4に表示することを指示する(ステップSX1)。当該指示に応じて端末側制御部10および立体性判別部13は協働して、物品種別選択画面をタッチスクリーン4に表示する(ステップSA1、SB1)。ユーザにより物品種別が選択されると(ステップSX2)、端末側制御部10および立体性判別部13は協働して、選択物品種別に応じた方法による対象物品の撮影を案内すると共に、カメラ5による撮影の実行を指示するための種々の撮影用画面G3(
図3)を表示する(ステップSA2、SB2)。
【0056】
ユーザにより撮影(およびスキャン)が指示され(ステップSX3)、2次元画像データおよび3次元画像データ(データ組合せ)が生成されると、端末側制御部10は、1つ以上のデータ組合せを取得する(ステップSA3)。次いで端末側制御部10は、ステップSA3で取得した全てのデータ組合せを立体性判別部13に送信する(ステップSA4)。
【0057】
立体性判別部13は、全てのデータ組合せを受信し(ステップSB3)、各データ組合せを対象として以下の立体性有無判別処理を実行する(ステップSB4)。上述の通り立体性有無判別処理では、撮影対象に立体性があるか否かが判別される。
【0058】
処理部14は、立体性判別部13により撮影対象の立体性があると判定されたか否かを判別する(ステップSB5)。処理部14は、立体性判別部13により撮影対象の立体性があると判定された場合(ステップSB5:YES)、物体評価関連処理を実行する(ステップSB6)。一方、処理部14は、立体性判別部13により撮影対象の立体性がないと判定された場合(ステップSB6:NO)、物体評価関連処理を実行することなく、立体性のある物体が撮影されていないことに対応する処理を実行する(ステップSB7)。
【0059】
以上詳しく説明したように、本実施形態に係るサーバ3は、カメラ5の撮影結果に基づく2次元画像データだけではなく、カメラ5による撮影と同時に実行されたLiDARスキャナ6によるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワークN経由で端末2から取得し、3次元画像データを少なくとも利用して撮影対象の立体性の有無を判別するようにしている。
【0060】
この構成によれば、2次元画像データだけでなく、このデータと同時に生成された3次元画像データが取得された上で、3次元画像データを利用して撮影対象の立体性の有無が判別されるため、カメラによる撮影が立体性のある物体を撮影対象として行われたか否かを判別することができる。このため立体性のある物体を撮影対象として撮影が行われていないときに、上記判別を通してそのことを検知でき、例えば立体性のある物体が撮影されて生成された2次元画像データを処理対象とする通常の処理を行わず、これに代えて立体性のある物体が撮影されていないことに対処する処理を実行する、といったことが可能となる。これにより立体的な物体が撮影されるという想定が守られていないときに、2次元画像データを処理対象とする不適切な処理が行われてしまうことを防止できる。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0062】
例えば上記実施形態では、サーバ3が2次元画像データに基づいて物体評価関連処理を行うシステム、および、サーバ3が2次元画像データに基づいて本人確認関連処理を行うシステムに本発明を適用する場合を説明した。しかしながら、本発明が適用されるシステムは上記実施形態で例示したシステムに限られない。すなわち、本発明は、立体的な物体が撮影されるという前提の下で撮影対象に対する撮影により生成された2次元画像データをネットワーク経由で端末から取得し、2次元画像データを処理する機能を有する情報処理装置、或いは、このような端末と情報処理装置とを含んで構成されるシステムに広く適用可能である。特に物体評価関連処理或いは本人確認関連処理に代えて異なる処理を実行するシステムに本発明を広く適用可能である。
【0063】
例えば、物体評価関連処理で決定された買取り価格に相当する金銭を支払うのではなく、単に買取り価格を査定額として提示するシステムに本発明を適用可能である。また例えば、運営会社が買い取った物品をリースによりユーザの手元に置いておけるようにするのではなく、所定の手段でユーザから運営会社に引き渡されるシステムに本発明を適用可能である。また2次元画像データに基づいて対象物品を評価するのではなく、撮影対象の立体性が確認された場合に2次元画像データを単に保管したり、公開したりするシステムに本発明を適用可能である。
【0064】
また例えば立体性判別部13による立体性有無判別処理は、上記実施形態で示した方法以外の方法で行われてもよい。一例として、上記実施形態では2次元画像データに基づいて特定領域を定めたが、このような処理を行わず、特定領域を予め定められた領域としてもよい。すなわち、評価シーンや、本人確認シーンにおいて、カメラ5による撮影(およびLiDARスキャナ6によるスキャン)時の端末2に対する撮影対象の相対的な位置は、ある程度、固定的であることが想定される。具体的には、
図3(B)の枠線内の中央部に撮影対象が位置した状態で、30~90センチ程度、端末2と撮影対象とが離間した状態で撮影が行われることが想定される。これを踏まえ、特定領域として、通常の態様で撮影が行われた場合に3次元画像データにおいて撮影対象が位置する領域を予め定めておき、立体性判別部13が、予め定められた特定領域に出現する像について、周囲の像と平面的に連続する、平らな像であるか否かを判別する構成でもよい。
【0065】
別の例として、以下の構成でもよい(ただしシーンは説明の便宜のため、評価シーンであるものとする)。すなわち物品種別ごとに3次元的なテンプレートデータ(点群データ)が用意される。そして立体性判別部13は、立体性判別処理において、選択物品種別に対応するテンプレートデータを用いたパターンマッチングを行って、テンプレートデータと類似度が一定以上である像(点群)が3次元画像データ中に存在するか否かを判定する。立体性判別部13は、このような像が存在する場合には、撮影対象が立体的であると判定し、存在しない場合には、撮影対象が立体的でないと判定する。なお後述するように選択物品種別は、より細かく区分することができ(例えばパソコンであればモデルや、ブランド物のバッグであれば型番とすることができる)、本構成は、このように選択物品種別がより細かく区分されている場合に、有効である。なぜなら細かく区分された選択物品種別ごとにテンプレートデータが用意されることになり、より高い精度で撮影対象が立体的であるか否かの判別を行うことができるからである。
【0066】
更に別の例として、以下の構成でもよい。すなわち、「2次元画像データおよび3次元画像データの双方」と、選択物品種別とを入力とし、撮影対象の立体性がある確率を出力とするモデルが事前に用意される。このモデルは、ディープラーニングその他の機械学習手法により学習されたモデルである。そして立体性判別部13が、このモデルに「2次元画像データおよび3次元画像データの双方」と、選択物品種別とを入力し、その出力を得ることによって、撮影対象が立体的であるか否かの判別を行う構成でもよい。ただし、モデルの入力は上記に限られず、3次元画像データおよび選択物品種別が入力であってもよく、選択物品種別が入力に含まれなくてもよい。また出力についても、立体性がない確率や、立体性の有無が出力されてもよい。
【0067】
また上記実施形態では、物品種別は、ノートパソコンや、スマートフォン、ゲーム機、バッグ、時計といった、物品を機能や用途によって大きく区分したときの各種別であった。しかしながら、物品種別がより細かく区分されていてもよい。例えばノートパソコンやスマートフォン、その他の電子機器についてはモデル(型番と呼ばれる場合もある)を物品種別としてもよい。また例えばブランド品のバッグや小物、洋服、アクセサリについては型番を物品種別としてもよい。物品種別は、ユーザに選択させ或いは入力させる構成でもよく、また、立体性判別部13が、2次元画像データを分析し、認識する構成でもよい。
【0068】
また上記実施形態では、端末2はスマートフォンであったが、端末2がスマートフォンに限られず、例えば、端末2は、端末機能を有さないタブレット端末やノートパソコンであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 情報処理システム
2 端末
3 サーバ(情報処理装置)
5 カメラ
6 LiDARスキャナ(測距センサ)
10 端末側制御部
13 立体性判別部
14 処理部
【要約】
【課題】立体的な物体が撮影されるという想定の下で行われた撮影によって生成された2次元画像データをネットワーク経由で情報処理装置が取得するシステムにおいて、立体的な物体が撮影されるという想定が守られていないときに、2次元画像データを処理対象とする不適切な処理が行われてしまうことを防止する。
【解決手段】サーバ3は、カメラ5による撮影と同時に実行されたLiDARスキャナ6によるスキャンにより生成された3次元画像データをネットワークN経由で端末から取得し、3次元画像データを少なくとも利用して撮影対象の立体性の有無を判別する立体性判別部13を備えており、立体的な物体が撮影されるという想定が守られているか否かを判定する。
【選択図】
図2