(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】攪拌システム及び攪拌方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20220207BHJP
E02D 5/18 20060101ALI20220207BHJP
E02D 9/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
E02D3/12 102
E02D5/18
E02D9/00
(21)【出願番号】P 2021200331
(22)【出願日】2021-12-09
【審査請求日】2021-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510321424
【氏名又は名称】横浜ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】浜口 伸一
(72)【発明者】
【氏名】橋田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】澤部 朝男
(72)【発明者】
【氏名】中島 浩平
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-80789(JP,A)
【文献】特開平9-273145(JP,A)
【文献】特開昭49-95420(JP,A)
【文献】特開平4-161609(JP,A)
【文献】特開昭55-145291(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112392036(CN,A)
【文献】特開平9-67819(JP,A)
【文献】特開平8-260454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
E02D 5/18
E02D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔に注入した注入物と前
記孔内の泥水とを攪拌するシステムであって、
前
記孔内の泥水を吸引し、サイクロン装置に送出する吸引装置と、前記吸引装置が吸引した泥水を、前
記孔に戻す前記サイクロン装置と、を有する攪拌システムであって、
前記吸引装置は、
筒状の筐体で構成され、
前記筐体の最下部付近の内壁に、第1角度上方に水を噴出するジェット噴出部と、
前記筐体の前記ジェット噴出部より上部の内壁に、第2角度上方に空気を噴出するエアー噴出部を有し、
前記ジェット噴出部が噴出した水及び前記エアー噴出部が噴出した空気によって生成される上昇渦で、
前記孔内の泥水を吸引し、前記吸引した泥水を前記筐体の上部に引き上げ、前記引き上げた泥水を前記サイクロン装置に引き渡し、
前記サイクロン装置は、前記吸引装置から受け取った泥水から空気を除去し、前
記孔に戻す、
攪拌システム。
【請求項2】
前記吸引装置は、さらに、前記ジェット噴出部より下方の前記筐体の内壁に、第3角度下方に水を噴出するカットジェット噴出部を有する
請求項1記載の攪拌システム。
【請求項3】
前記ジェット噴出部は、複数個所から水を噴出する
請求項1記載の攪拌システム。
【請求項4】
前記ジェット噴出部は、前記複数個所から水を噴出するとき、前記複数個所それぞれが噴出する水が、互いにぶつからない方向に噴出する
請求項3記載の攪拌システム。
【請求項5】
前記エアー噴出部は、複数個所から空気を噴出する
請求項1記載の攪拌システム。
【請求項6】
前記エアー噴出部は、前記複数個所から空気を噴出するとき、前記複数個所それぞれが噴出する空気が、互いにぶつからない方向に噴出する
請求項5記載の攪拌システム。
【請求項7】
前記カットジェット噴出部は、複数個所から水を噴出する
請求項2記載の攪拌システム。
【請求項8】
前記カットジェット噴出部は、前記複数個所から水を噴出するとき、前記複数個所それぞれが噴出する水が、前記筐体の内径の中心に向かうよう噴出する
請求項7記載の攪拌システム。
【請求項9】
さらに、前記サイクロン装置に粉状セメントを供給するミニサイロ装置を有し、
前記サイクロン装置は、前記ミニサイロ装置から供給された前記粉状セメントを前記泥水と混同し、前
記孔に戻す
請求項1記載の攪拌システム。
【請求項10】
前記注入物は
、埋設杭の引き抜き工程において、
前記孔に注入されたベントナイト水である
請求項9記載の攪拌システム。
【請求項11】
前記埋設杭の引き抜き工程において、セメント成分を含む注入物を注入しない
請求項10記載の攪拌システム。
【請求項12】
前記注入物は
、埋設杭の引き抜き工程において
、前記孔に注入されたセメントベントナイトミルクである
請求項1記載の攪拌システム。
【請求項13】
孔に注入した注入物と前
記孔内の泥水とを攪拌する攪拌方法であって、
吸引装置が、前
記孔内の泥水を吸引し、
サイクロン装置に送出し、
前記サイクロン装置が、前記吸引装置から受け取った泥水から空気を除去し、前記孔に戻し、
前記吸引装置は、筒状の筐体で構成され、前記筐体の最下部付近の内壁に、第1角度上方に水を噴出するジェット噴出部と、前記筐体の前記ジェット噴出部より上部の内壁に、第2角度上方に空気を噴出するエアー噴出部を有し、前記ジェット噴出部が噴出した水及び前記エアー噴出部が噴出した空気によって生成される上昇渦で、
前記孔内の泥水を吸引し、前記吸引した泥水を前記筐体の上部に引き上げ、前記引き上げた泥水を
前記サイクロン装置に引き渡す
攪拌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌システム及び攪拌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建造物の建て替えの際には、既存建造物の解体撤去や、地中に埋設された基礎杭(埋設杭)の引抜き工事が行われる。埋設杭の引抜き工事では、埋設杭を引き抜いた後に残る孔(以下、埋設孔という)の埋め戻しが行われる。この埋め戻しは、例えば、埋設孔に流動化処理土、セメントベントナイトミルク等を注入し、固化させることにより行われる。
【0003】
例えば、埋設杭の引き抜き工事において、ある工法では、セメントベントナイトミルクなどの注入物を、埋設孔を引き抜きながら注入する。この工法では、例えば、もともとの地盤から発生した泥水などが埋設孔の下部に、注入物が埋設孔の上部に蓄積されることで、注入物と泥水が分離してしまう。注入物と泥水が分離すると、下部の泥水部分が固化しない。
【0004】
そこで、埋め戻しにおいて、泥水と注入物の攪拌が行われることがある。
【0005】
攪拌に関する技術については、以下の特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-82744号公報
【文献】特開2018-135741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、埋設孔の大きさは、作業現場によって様々である。例えば、埋設孔の深さが所定以上に深い場合や埋設孔径の大きさが所定以上の場合、例えば、上記特許文献に記載された装置を使用しても、適切に攪拌されない場合がある。
【0008】
また、作業現場によっては、埋設孔内に付着した泥土塊が落下し、攪拌の妨害となり、適切に攪拌されない場合がある。
【0009】
そこで、一開示は、埋設孔の埋め戻しにおいて、埋設孔内の泥水と注入物を適切に攪拌することができる攪拌システム及び攪拌方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
地中に埋設した埋設杭を抜いた後の穴である埋設孔において、前記埋設孔に注入した注入物と前記埋設孔内の泥水とを攪拌するシステムであって、前記埋設孔内の泥水を吸引し、サイクロン装置に送出する吸引装置と、前記吸引装置が吸引した泥水を、前記埋設孔に戻す前記サイクロン装置と、を有する攪拌システムであって、前記吸引装置は、筒状の筐体で構成され、前記筐体の最下部付近の内壁に、第1角度上方に水を噴出するジェット噴出部と、前記筐体の前記ジェット噴出部より上部の内壁に、第2角度上方に空気を噴出するエアー噴出部を有し、 前記ジェット噴出部が噴出した水及び前記エアー噴出部が噴出した空気によって生成される上昇渦で、埋設孔内の泥水を吸引し、前記吸引した泥水を前記筐体の上部に引き上げ、前記引き上げた泥水を前記サイクロン装置に引き渡し、前記サイクロン装置は、前記吸引装置から受け取った泥水から空気を除去し、前記埋設孔に戻す。
【発明の効果】
【0011】
一開示によれば、埋設孔の埋め戻しにおいて、埋設孔内の泥水と注入物を適切に速く循環攪拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図3は、エアー噴出部11の例を示す図である。
【
図4】
図4は、高圧ジェット噴出部12の例を示す図である。
【
図5】
図5は、高圧カットジェット噴出部13の例を示す図である。
【
図6】
図6は、パイプ部14の内壁の例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態における、攪拌システム1の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。
【0014】
<攪拌システム1>
図1は、攪拌システムの例を示す図である。攪拌システム1は、吸引装置10、チェーン20、ホース30、サイクロン40、ジェットホース60、及びエアホース50を含む。攪拌システム1は、例えば、埋め戻しにおいて注入されたセメントベントナイトミルク(注入物)と、埋設孔内の泥水とを、攪拌するシステムである。
【0015】
セメントベントナイトミルクは、例えば、埋設杭を引き抜きながら、埋設孔に注入される。セメントベントナイトミルクは、埋設杭を引き抜きながら注入されることで、埋設杭が引き抜かれた埋設孔の上部に入り込み、底部の泥水と混合されない。なお、注入物は、例えば、所定時間経過後、所望する固さで固まる固化剤であり、セメントベントナイトミルク以外であってもよい。
【0016】
泥水は、埋設孔の現場の土砂(泥、泥土塊など)と水を混合させたものである。水は、引き抜きの現場において埋設孔に注入されるもので、例えば、埋設杭の掘削時に使用するケーシングの先端から噴射される。
【0017】
吸引装置10は、埋設孔の底のほうから泥水(あるいは泥水とセメントベントナイトミルクなどの注入物の混合物)を吸引する装置である。吸引装置10の詳細については、後述する。
【0018】
吸引装置10は、チェーン20に吊るされている。チェーン20は、所定以上の重量に耐えられる金属製のチェーンやワイヤーである。吸引装置10は、例えば、クレーン車などによって、チェーン20を介して埋設孔に搬入される。吸引装置10が吸い上げた泥水は、ホース30を通ってサイクロン40まで搬送される。
【0019】
また、吸引装置10は、ジェットホース60及びエアホース50が接続される。
【0020】
ジェットホース60は、水を吸引装置10に供給するホースであり、例えば、高圧ポンプに接続されている。
【0021】
エアホース50は、空気を吸引装置10に供給するホースであり、例えば、エアコンプレッサに接続されている。
【0022】
サイクロン40は、エアー抜き部41及び泥水注入部42を有する。サイクロン40は、搬送された泥水から空気を抜き、エアー抜き部41から抜いた空気を放出する。そして、サイクロン40は、空気を抜いた泥水を、泥水注入部42から埋設孔に向けて噴出する。
【0023】
攪拌システム1は、吸引装置10で吸引した泥水を、サイクロン40で空気を抜いて埋設孔に戻す。これにより、埋設孔の底部にある泥水を吸い上げ、吸い上げた泥水を埋設孔の上部に戻すという工程が繰り返され、埋設孔内の泥水とセメントベントナイトミルクなどの注入物とを、循環攪拌することができる。
【0024】
<吸引装置10>
図2は、吸引装置10の例を示す図である。吸引装置10は、ホース接続部15、パイプ部14、エアー噴出部11、高圧ジェット噴出部12、及び高圧カットジェット噴出部13を有する。
【0025】
ホース接続部15は、ホース30とパイプ部14を接続する部位であり、例えば、鉄などの金属製のフランジである。
【0026】
パイプ部14は、吸い上げた泥水の通路であり、例えば、筒状の金属製パイプである。パイプ部14の上部は、ホース接続部15と接続してり、下部は穴(吸引口)が開いている。
【0027】
エアー噴出部11は、パイプ部14内に空気を噴出する装置であり、エアホース50と接続される。パイプ部14に噴出された空気は、パイプ部14内を上昇し、泥水を上昇させる。
【0028】
高圧ジェット噴出部12は、パイプ部14内に水を噴出する装置であり、ジェットホース60と接続される。パイプ部14に噴出された水は、上昇水流を構成し、吸引口から泥水を吸い上げ、エアー噴出部11付近(あるいはさらに上部)まで上昇させる。
【0029】
高圧カットジェット噴出部13は、吸引口の下側(パイプ部14の下外側)に向けて、水を噴出する装置であり、ジェットホース60と接続される。吸引口の下外側に噴出された水は、吸引口付近に存在する泥土塊などを粉砕し、細かくする。吸引装置10は、吸引口付近の泥土塊を細かく粉砕することで、泥土塊で吸引口をふさがれることによる吸引の妨害を防ぐことができる。また、吸引装置10は、吸引口付近の泥土塊を細かく粉砕し、泥水に混同させ、泥水の一部として吸引することができる。
【0030】
以下、エアー噴出部11、高圧ジェット噴出部12、及び高圧カットジェット噴出部13それぞれについて説明する。
【0031】
<エアー噴出部11>
図3は、エアー噴出部11の例を示す図である。エアー噴出部11は、エアー出口111及びエアー出口112を有する。エアー出口111とエアー出口112は、例えば、パイプ部14の内径円の中心を挟んで逆側(180度の位置)に設置される。なお、エアー出口が3つ以上ある場合、例えば、パイプ部14の内径上に均等(中心から均等の角度上)に配置される。
【0032】
エアー出口は、上下方向において、斜め上方向(第2角度上方)に空気を噴出する。噴出する方向は、例えば、水平より45度上の方向である。また、エアー出口は、左右方向において、パイプの内径中心に向かないで、互いに中心を挟んで逆方向に向くように設置される。内径中心に向かないようにするのは、噴出した空気同士がぶつかり合うことを防止するためのである。また、噴出する方向は、例えば、噴出する空気の単位時間あたりの量、噴出する勢い(力量)、空気を噴出する時間間隔などに応じて、決定されてもよい。
【0033】
エアー出口111とエアー出口112は、
図3に示すように、例えば内径の中心を基準として、互いに逆方向に空気を噴出する。これにより、エアー出口から噴出された空気が、上昇する渦を形成する。エアー噴出部11は、上昇する渦によって、泥水を吸い上げ、泥水を上部に持ち上げることができる。
【0034】
<高圧ジェット噴出部12>
図4は、高圧ジェット噴出部12の例を示す図である。高圧ジェット噴出部12は、高圧ジェット出口121及び高圧ジェット出口122を有する。高圧ジェット出口121と高圧ジェット出口122は、例えば、パイプ部14の内径円の中心を挟んで逆側(180度の位置)に設置される。なお、ジェット噴出部が3つ以上ある場合、例えば、パイプ部14の内径上に均等(中心から均等の角度上)に配置される。
【0035】
高圧ジェット出口は、上下方向において、斜め上方向(第1角度上方)に水を噴出する。高圧ジェット出口は、所定の噴出強度以上の圧力で、水を噴出する。噴出する方向は、例えば、水平より45度上の方向である。また、噴出する方向は、例えば、噴出する水の単位時間あたりの量、噴出する勢い(力量)、水を噴出する時間間隔などに応じて、決定されてもよい。また、高圧ジェット出口は、左右方向において、パイプの内径中心に向かないで、互いに中心を挟んで逆方向に向くように設置される。内径中心に向かないようにするのは、噴出した水同士がぶつかり合うことを防止するためである。
【0036】
高圧ジェット出口121と高圧ジェット出口122は、
図4に示すように、例えば内径の中心を基準として、互いに逆方向に水を噴出する。これにより、高圧ジェット出口から噴出された水が、上昇する渦を形成する。高圧ジェット噴出部12は、上昇する渦によって、泥水を吸い上げ、泥水を上部に持ち上げることができる。
【0037】
<高圧カットジェット噴出部13>
図5は、高圧カットジェット噴出部13の例を示す図である。高圧カットジェット噴出部13は、高圧カットジェット出口131及び高圧カットジェット出口132を有する。高圧カットジェット出口131と高圧カットジェット出口132は、例えば、パイプ部14の内径円の中心を挟んで逆側(180度の位置)に設置される。なお、カットジェット噴出部が3つ以上ある場合、例えば、パイプ部14の内径上に均等(中心から均等の角度上)に配置される。
【0038】
高圧ジェット出口は、所定の噴出強度以上の圧力で、水を噴出する。圧力は、例えば、現地の埋設孔内に存在する泥土塊を砕くのに十分な強さである。水を噴出する強度は、例えば、現地の地質(泥土塊の固さや量)に応じて決定されてもよい。
【0039】
高圧カットジェット出口は、上下方向において、斜め下方向(第3角度下方)に水を噴出する。噴出する方向は、例えば、水平より0~45度下の方向であり、パイプ部14の吸引口方向である。また、噴出する方向は、例えば、噴出する水の単位時間あたりの量、噴出する勢い(力量)、水を噴出する時間間隔などに応じて、決定されてもよい。また、高圧カットジェット出口は、左右方向において、パイプの内径中心に向かう方向である。高圧カットジェット出口131と高圧カットジェット出口132は、ある一点(例えば、内径の中心)に向かって水を噴出することで、高圧カットジェット出口から噴出された水が、ある一点付近に存在する泥土塊に集中して複数方向から水流をあてることができ、効率よく破砕することができる。
【0040】
第1の実施の形態の吸引装置10は、エアー噴出部11と高圧ジェット噴出部12を有することで、泥水を吸い上げることができ、また、高圧カットジェット噴出部13を有することで、吸引口付近の泥土塊などを砕くことができる。また、サイクロン40は、吸引した泥水から空気を抜いて、埋設孔に戻すことで、適切に泥水とセメントベントナイトミルクを攪拌することができる。
【0041】
例えば、エアー噴出部11のみで泥水を吸引した場合、吸引力が弱く、攪拌の循環が適切に行えない場合がある。しかし、第1の実施の形態では、高圧ジェット噴出部12を組み合わせ、気圧差(水圧差)を生じさせることにより吸引力を上昇させ、攪拌の循環が適切に行うことができる。
【0042】
なお、パイプ部14は、例えば、内壁に斜め上方向の複数(例えば3本)のスリット(又はらせん状の溝)を有してもよい。これにより、スリットに沿った渦が発生しやすくなり、泥水を吸引しやすくなる。
【0043】
さらに、スリットに代替し、板状あるいは棒状の金属を、内壁に貼り付けてもよい。
図6は、パイプ部14の内壁の例を示す図である。
図6のように、パイプ部14を上部から見たとき、板状の金属の上部が、らせん状になるように貼り付けられている。
【0044】
ある実験データによると、第1の実施の形態の攪拌システム1は、例えば、特開2018-135741号に開示されたロータリーテーブル装置で攪拌と比較した場合、約1/3の時間で攪拌を行うことができる。攪拌の度合いについては、例えば、泥水と注入物とを攪拌した攪拌後の液体の比重や色などから判定する。また、攪拌の度合いについては、適切に固化することを指標としてもよい。
【0045】
さらに、第1の実施の形態の攪拌システム1は、例えば、特開2018-135741号に開示されたロータリーテーブル装置と比較し、重機の使用を抑制することができる。例えば、システムの設置や撤去においては重機を使用する場合があるが、攪拌作業そのものおいては、重機を使用しない。
【0046】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態において、攪拌システム1は、さらに、ミニサイロを有する。
図7は、第2の実施の形態における、攪拌システム1の例を示す図である。攪拌システム1は、さらに、ミニサイロ70を有する。
【0047】
ミニサイロ70は、例えば、粉状のセメントをサイクロン40に供給する装置である。ミニサイロ70は、供給口71を有する。ミニサイロ70は、供給口71を介して、サイクロン40に粉状セメントを供給する。
【0048】
第2の実施の形態の攪拌システム1を用いる場合、埋設杭の引き抜き工程において、セメントベントナイトミルクなどのセメント成分を含む注入物を、埋設孔に注入しない。第2の実施の形態における注入物は、ベントナイト水であり、埋設杭の引き抜き工程において注入される。
【0049】
そして、サイクロン40は、攪拌工程において、ミニサイロ70から供給された粉状セメントを泥水と混合し、埋設孔に戻す。これにより、埋設孔内に粉状セメントが供給され、固化させることができる。なお、サイクロン40は、泥水と粉状セメントを、自装置内で攪拌してもよい。
【0050】
例えば、セメントベントナイトミルクを引き抜き工程で注入する場合、セメントベントナイトミルクを注入するための全自動プラントなどの大型機器が必要となり、費用が膨大となる。また、湧水によりセメントベントナイトミルクの注入量が減り固化に影響を及ぼす場合がある。
【0051】
そこで、第2の実施の形態において、ベントナイト水注入後の攪拌時に粉体セメントを添加する事で、セメント配合を目標量にコントロールする事が出来る。
【0052】
[その他の実施の形態]
吸引装置10は、例えば、特開2018-135741号公報に示すロータリーテーブル装置に組み込まれてもよい。作業現場において、作業者が作業現場の状況を勘案し、いずれに攪拌の仕組みを使用するかを決定し、切り替えて運用してもよい。
【0053】
また、吸引装置10は、例えば、作業現場において、泥水を吸い上げるためだけに使用されてもよい。
【0054】
さらに、攪拌システム1は、それぞれ別々の装置で構成されてもよいし、一体型の一つの装置であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 :攪拌システム
10 :吸引装置
11 :エアー噴出部
12 :高圧ジェット噴出部
13 :高圧カットジェット噴出部
14 :パイプ部
15 :ホース接続部
20 :チェーン
30 :ホース
38 :攪拌翼
40 :サイクロン
41 :エアー抜き部
42 :泥水注入部
60 :ジェットホース
50 :エアホース
70 :ミニサイロ
71 :供給口
111 :エアー出口
112 :エアー出口
121 :高圧ジェット出口
122 :高圧ジェット出口
131 :高圧カットジェット出口
132 :高圧カットジェット出口
【要約】
【課題】 一開示によれば、埋設孔の埋め戻しにおいて、埋設孔内の泥水と注入物を適切に攪拌することができる攪拌システム及び攪拌方法を提供する。
【解決手段】
地中に埋設した埋設杭を引き抜いた後の穴である埋設孔において、前記埋設孔に注入した注入物と前記埋設孔内の泥水とを攪拌するシステムであって、前記埋設孔内の泥水を吸引し、サイクロン装置に送出する吸引装置と、前記吸引装置が吸引した泥水を、前記埋設孔に戻す前記サイクロン装置と、を有する攪拌システムであって、前記吸引装置は、筒状の筐体で構成され、 前記筐体の最下部付近の内壁に、第1角度上方に水を噴出するジェット噴出部と、前記筐体の前記ジェット噴出部より上部の内壁に、第2角度上方に空気を噴出するエアー噴出部を有し、 前記ジェット噴出部が噴出した水及び前記エアー噴出部が噴出した空気によって生成される上昇渦で、埋設孔内の泥水を吸引し、前記吸引した泥水を前記筐体の上部に引き上げ、前記引き上げた泥水を前記サイクロン装置に引き渡し、前記サイクロン装置は、前記吸引装置から受け取った泥水から空気を除去し、前記埋設孔に戻す。
【選択図】
図1