(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】情報収集装置および情報収集システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20220207BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2017008631
(22)【出願日】2017-01-20
【審査請求日】2019-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】冨山 隆志
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510479(JP,A)
【文献】特開平10-279025(JP,A)
【文献】特開平05-208716(JP,A)
【文献】特開2006-256722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G08G 1/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影するカメラと、
前記カメラの上側に配置され、下方へ向けた前記カメラの撮影位置を移動させるアームと、
前記アーム
の先端を
位置センサが検知する検知信号に基づいて水平方向に移動させるリンク機構と、
前記リンク機構によって前記アームを棚の手前から奥に並べて配置される物品の上方を前記物品に沿って前記棚の内部に挿入し、前記カメラが撮影する画像を取得し、前記カメラが撮影する画像から
前記棚上の各収納位置における物品
数を特定するための画像情報を取得するコントローラと、
を有する情報収集装置。
【請求項2】
さらに、前記アームの先端に搭載し、前記アームの下側の領域を前記カメラの撮影位置とする光学系を有する、
請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記カメラは、複数であり、
前記アームには、複数のカメラが設置される、
請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項4】
さらに、前記アームを設置した筐体と、
前記筐体を移動させる移動機構と、
前記棚の奥行を示す情報を含む棚情報を記憶する補助記憶装置と、を有し、
前記コントローラは、前記移動機構により前記筐体を指定された位置へ移動させた後、前記アームに搭載した前記カメラを前記補助記憶装置が記憶する棚情報が示す前記棚の奥行に応じて前記棚の手前から奥に並べて配置される物品に沿って前記棚の内部に挿入させる、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報収集装置。
【請求項5】
情報収集装置と上位装置とを有する情報収集システムであって、
前記情報収集装置は、
画像を撮影するカメラと、
前記カメラの上側に配置され、下方へ向けた前記カメラの撮影位置を移動させるアームと、
前記アーム
の先端を
位置センサが検知する検知信号に基づいて水平方向に移動させるリンク機構と、
前記リンク機構によって前記アームを棚の手前から奥に並べて配置される物品の上方を前記物品に沿って前記棚の内部に挿入し、前記カメラが撮影する画像を取得し、前記カメラが撮影する画像から
前記棚上の各収納位置における物品
数を特定するための画像情報を取得するコントローラと、
前記カメラが撮影する画像から得た物品
数を特定するための画像情報を前記上位装置へ送信する通信インターフェースと、を有する、
情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報収集装置および情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店等においては、棚に並べた商品の管理が必要である。例えば、棚卸業務は、時間と手間がかかるため店員の負荷の大きな業務の一つである。従来、物体までの距離を計測する物体センサと物体センサを移動させる移動機構とを用いて物品の個数を数える棚卸システムがある。この棚卸システムは、棚の手前を移動する筐体に固定した距離センサが計測するデータに基づいて物体の実配置データを判定する。
【0003】
このような構成の棚卸システムでは、距離センサが手前に配置された物品の後方にある物品の状態を検知できない。実際の小売店等では、棚において手前から奥に向かって一列に並べた同一種類の複数の物品を棚の正面に対して前出し状態で配置するのが一般的である。このため、従来の棚卸システムは、実際の小売店等の棚に配置された物品の数を正しく数えるが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した課題を解決するために、棚に配置された複数の物品の状態を正確に判定するための情報を収集できる情報収集装置および情報収集システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、情報収集装置は、カメラとアームとリンク機構とコントローラとを有する。カメラは、棚に配置した物品の状態を計測する。アームは、カメラの上側に配置され、下方へ向けた前記カメラの撮影位置を移動させる。リンク機構は、前記アームの先端を位置センサが検知する検知信号に基づいて水平方向に移動させる。コントローラは、前記リンク機構によって前記アームを棚の手前から奥に並べて配置される物品の上方を前記物品に沿って前記棚の内部に挿入し、前記カメラが撮影する画像を取得し、前記カメラが撮影する画像から前記棚上の各収納位置における物品数を特定するための画像情報を取得する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報収集装置の構成例を示す外観図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報収集装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報収集装置におけるアームの構成を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報収集装置のアームに搭載する物品センサの構成例を示す図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、実施形態に係る情報収集装置のアームに搭載する物品センサの構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報収集装置のアームに搭載する物品センサの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報収集装置に作業を指示するための作業指示情報の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報収集装置に作業を指示するための作業指示情報の例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報収集装置が参照する棚情報の例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る情報収集装置が棚における収納位置を特定するための収納位置番号の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報収集装置の移動範囲におけるxy座標と棚の配置例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報収集装置が参照する物品情報の例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る情報収集装置における棚卸業務の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係る情報収集装置による棚卸業務の結果を示す情報の例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る情報収集装置における個数カウント処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態に係る情報収集装置が個数カウントの対象とする撮影画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る情報収集装置1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報収集装置1の外観の構成例を示す図である。また、
図2は、本実施形態に係る情報収集装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報収集装置1は、筐体11、車輪12、障害物センサ13、アーム14、物品センサ15および位置センサ16を備える。さらに、情報収集装置1は、
図2に示すように、システムコントローラ210、移動機構220およびアーム機構230を備える。
【0009】
筐体11は、車輪12、障害物センサ13およびアーム(リンク機構)14が取り付けられる。また、筐体11内には、システムコントローラ210、移動機構220およびアーム機構230の一部又は全部が格納される。
車輪12は、筐体11に取り付けられる。車輪12は、移動機構220の駆動制御によって回転することにより筐体11を移動させる。本実施形態において、筐体11は、車輪12の回転によって、物品Mが配置される棚の手前側の領域を移動するものとする。障害物センサ13は、障害物を検知するセンサである。障害物センサ13は、筐体11に取り付けられる。障害物センサ13は、例えば、車輪12による移動方向に対して筐体11の先端部に設けられる。
【0010】
アーム14は、筐体11に取り付ける。本実施形態において、アーム14は、筐体11の上部に設置される。アーム14は、リンク機構を有し、アーム機構230における駆動制御によって動く。また、アーム14には、物品センサ15及び位置センサ16が取り付けられる。アーム機構230は、物品Mが配置される棚の内部に物品センサ15を挿入するようにアーム14を移動させる。
【0011】
物品センサ15は、物品の状態を示す情報を取得するデバイスである。物品センサ15は、アーム14の移動に応じて計測位置を移動させて物品の状態を示す情報を計測する。位置センサ16は、アーム14の位置を決定するための情報を検知するデバイスである。物品センサ15及び位置センサ16の具体的な構成例は後述する。
【0012】
システムコントローラ210は、各部の動作制御および情報処理などを行う。移動機構220は、車輪12を駆動することにより筐体11を移動させる。アーム機構230は、アーム14としてのリンク機構を駆動させることによりアーム14を動かす。例えば、システムコントローラ210は、障害物センサ13が検知する情報等を参照して移動機構220による筐体11の移動を制御する。システムコントローラ210は、位置センサ16が検知する情報等を参照してアーム機構230によるアーム14の動きを制御する。システムコントローラ210は、物品センサ15が計測する情報を取得し、物品センサ15から取得した情報に基づく情報処理を行う。
【0013】
上位装置250は、情報収集装置1のシステムコントローラ210と通信可能な装置である。情報収集装置1と上位装置とは、情報収集システムを構成する。上位装置250は、例えば、プロセッサ、メモリ、及び通信インターフェースなどを有するコンピュータである。上位装置250は、プロセッサがメモリに記憶するプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現できる。例えば、上位装置250は、情報収集装置1から送信される情報を処理したり、情報収集装置1へ情報を配信したりする。
【0014】
上位装置250は、情報収集装置1から情報を受信し、情報収集装置1から受信する情報に基づいて情報処理を行うようにしても良い。この場合、後述する情報収集装置1のコントローラが実行する処理の一部は上位装置250が行うようにしても良い。例えば、上位装置250は、物品センサ15が計測する情報を情報収集装置1から受信し、物品センサ15が計測した情報に基づく情報処理を行うようにしても良い。また、上位装置250は、情報収集装置1に対して動作制御或いは情報処理用のデータを供給するようにしても良い。例えば、上位装置250は、情報収集装置1に対して動作指示を供給するようにしても良い。この場合、コントローラ210は、上位装置250からの動作指示に従って各部の動作を制御する。
【0015】
次に、システムコントローラ210について説明する。
図2に示すように、システムコントローラ210は、プロセッサ211、主記憶装置212、補助記憶装置213及び通信インターフェース(I/F)214を有する。
プロセッサ211は、例えば、CPUである。プロセッサ211は、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現する。主記憶装置212は、例えば、ROMおよびRAMなどのプロセッサ211が処理を実行するためのメモリである。主記憶装置212としてのROMは、プロセッサ211が実行するプログラムを記憶する。主記憶装置212としてのRAMは、作業用のデータなどを格納する。
【0016】
補助記憶装置213は、書換え可能な不揮発性のメモリである。補助記憶装置213は、例えば、HDD、SSDなどで構成する。補助記憶装置213は、後述する各処理を実行するためのプログラム及びデータを格納する。例えば、補助記憶装置213は、プロセッサ211が後述する情報収集処理としての各部の制御及びデータ処理を行うためのプログラムを記憶する。補助記憶装置213は、後述する作業指示情報、地図情報、棚情報、物品情報、および、収集した情報などを格納する。例えば、プロセッサ211は、補助記憶装置213が記憶するプログラムを実行することにより、作業指示情報及び地図情報を参照して物品センサ15が取得する情報を収集する。
【0017】
通信I/F214は、上位装置250と通信するための通信ユニットである。例えば、プロセッサ211は、情報収集処理によって収集した情報を通信I/F214を介して上位装置250へ送信する。また、プロセッサ211は、通信I/F214を介して上位装置250から供給される情報を受信する。
【0018】
なお、本実施形態において、システムコントローラ210は、後述する走行コントローラ221およびアームコントローラ231とは独立したハードウェアとして説明する。ただし、システムコントローラ210は、走行コントローラ221、および/または、アームコントローラ231の機能を有する1つのハードウェアとして実現してもよい。また、後述するシステムコントローラ210が実行する処理機能の一部は、上位装置250が実行するようにしても良い。
【0019】
次に、移動機構220について説明する。
移動機構220は、
図2に示すように、走行コントローラ221、モータ222、車輪12、及びロータリーエンコーダ223を有する。
走行コントローラ221は、モータ222の駆動を制御する。本実施形態において、走行コントローラ221は、システムコントローラ210からの制御指示に応じてモータ222を駆動させる。モータ222は、筐体11に取り付けられた車輪12を駆動する。
【0020】
次に、アーム機構230について説明する。
図2に示す構成例において、アーム機構230は、アームコントローラ231、モータ232、および、リンク機構(アーム)14を有する。
アームコントローラ231は、モータ232の駆動を制御する。本実施形態において、アームコントローラ231は、システムコントローラ210からの制御指示に応じてモータ232を駆動させる。モータ232は、リンク機構14を駆動する。
【0021】
図3は、アームとしてのリンク機構14の構成例を示す図である。
図3に示す構成例において、リンク機構14は、水平多関節型リンク機構(水平リンク機構)301と垂直移動機構302とを組み合わせて構成する。水平リンク機構301は、アームの先端を水平方向において移動させる。水平リンク機構301の先端部(アームの先端部)は、物品センサ15と位置センサ16とを搭載する。例えば、物品センサ15は、水平リンク機構301の先端部から下側が計測位置となるように取り付けられる。
【0022】
位置センサ16は、水平リンク機構301の先端から物体を検知する。位置センサ16は、水平リンク機構301の先端が移動する位置を決めるための検知信号を取得する。例えば、アームの先端を棚の内部に挿入する位置は、位置センサ16からの検知信号に基づいて決定する。また、アームの先端が棚の奥まで移動したことは、位置センサ16からの検知信号に基づいて決定しても良い。また、位置センサ16は、物体までの距離を計測する距離センサで構成しても良い。この場合、位置センサ16としての距離センサは、棚に配置された物品までの距離を計測するためのセンサとして利用してもよい。
【0023】
水平リンク機構301は、物品センサ15を搭載した部分が棚の手前から後方(奥)に並べられた物品に沿って棚の内部に挿入可能な形状で構成する。本実施形態において、水平リンク機構301は、物品センサ15を搭載した部分が棚に載置した物品と当該物品の上側の棚板との間に挿入しやすいように薄型の形状で形成するものとする。ただし、水平リンク機構301は、物品センサ15を棚に載置された物品に沿って棚の内部に移動させることができる形状であれば良く、薄型の形状に限定されるものではない。
【0024】
なお、
図3では、物品センサ15を搭載するアームの先端部を水平方向に移動させる機構として水平多関節型リンク機構で構成する例を示している。ただし、リンク機構14は、水平多関節型リンク機構を用いた構成に限定されるものではなく、直交座標型あるいは円筒座標型のリンク機構を用いた構成であっても良い。
【0025】
次に、物品センサ15について説明する。
情報収集装置1が収集する情報は、棚に配置された状態の物品Mの状態を示す情報である。例えば、情報収集装置1が収集する情報は、物品の形状、種類、配置、個数、温度、製造年月日や消費期限などの情報である。これらの状態を示す情報を取得するため、物品センサ15は、棚に配置された物品Mの状態を示す情報を計測する。物品センサ15は、計測する情報に応じたデバイスで構成する。例えば、物品センサ15は、撮像センサ、距離センサ、温度センサ、RFIDリーダなどで構成する。また、物品センサ15は、複数種類のセンサを組み合わせたものであっても良い。
【0026】
撮影センサは、CCDイメージセンサ或はCMOSイメージセンサなどで構成するデバイスである。例えば、撮像センサは、撮影領域の画像を撮影するカメラであっても良いし、ラインセンサなどで構成するスキャナであっても良い。距離センサは、レーザや超音波等により計測方向に存在する物体までの距離を計測するデバイスである。温度センサは、物品から放射される赤外線により物品の温度を計測するデバイスである。RFIDリーダは、物品に取り付けられたRFタグから電波を用いて情報を読み出すデバイスである。また、RFタグには、RFタグと接続されたセンサから計測データを読み出してRFIDリーダに送信できるものがある。物品センサ15は、上記のようなRFタグから読み出す計測データを取得するデバイスであっても良い。
【0027】
本実施形態においては、主として、物品センサ15が撮像センサとオートフォーカス機構とを組み合わせたカメラモジュール(以下、単にカメラとも称する)であることを想定して説明する。ただし、物品センサ15は、カメラモジュールに限定されるものではなく、各種のセンサが適用できる。また、物品センサ15は、例えば、撮像センサと距離センサとを組み合わせるなど、複数種類のセンサを合わせたデバイスであっても良い。
【0028】
物品センサ15としてのカメラは、アーム14に搭載した状態で棚に配置された物品に沿って移動可能な形状とする。アーム14に取り付けた物品センサ15を棚に配置された物品と当該物品の上側の棚板との間隙に挿入する場合、カメラは、上記の間隙に挿入可能な厚さとする。例えば、アーム14における物品センサ15の取り付け部位の形状を薄くするため、物品センサ15には、スマートフォン等で使用される薄型のカメラが適用できる。また、スマートフォン用のカメラでは性能が不足する場合、物品センサ15は、産業用のカメラを使用してもよい。また、アーム14には、測定位置(画像の読取位置)の画像を物品センサ15としてのカメラのイメージセンサへ導く光学系を設けても良い。
【0029】
図4は、アーム14の先端付近に物品センサ15としてのカメラを取り付けた場合の構成例を示す図である。
図5(a)及び(b)は、アーム14に物品センサ15としてのカメラと光学系とを取り付けた場合の構成例を示す図である。
図6は、アーム14に物品センサ15としての複数のカメラを取り付けた場合の構成例を示す図である。
【0030】
図4に示す構成例において、物品センサ15は、1つのカメラモジュールであり、アーム14の先端付近に取り付けられる。
図4に示す構成では、物品センサ15は、取り付け位置(アーム14の先端)におけるアーム14の下方側が撮影領域(測定位置)とする。
図4に示す状態において、アーム14の先端は、水平リンク機構301により物品と当該物品の上側の棚板との間を水平方向に移動できる。これにより、
図4に示す物品センサ15は、棚に配置された各物品を上方から撮影(測定)できる。
【0031】
また、
図5(a)は、物品センサ15へ画像を導く光学系としてのミラーをアーム14の先端付近に取り付けた構成例を示す図である。また、
図5(b)は、物品センサ15へ画像を導く光学系としてのプリズムをアーム14の先端付近に取り付けた構成例である。
図5(a)及び
図5(b)は、光学系を取り付けたアーム14の先端付近におけるアーム14の下側の領域が撮影位置(測定位置)となる。
図5(a)及び(b)に示す構成例であっても、アーム14の先端を物品と当該物品の上側の棚板との間で移動させて、棚に配置された物品を上方から撮影(測定)できる。
【0032】
また、
図6は、アーム14に物品センサ15としての複数のカメラを取り付けた構成例を示す図である。
図6に示す構成例において、各カメラは、アーム14の下方側を画像の読取位置(測定位置)とする。
図6に示す構成例では、アーム14を物品と当該物品の上側の棚板との間に挿入することにより、複数のカメラが、それぞれの測定位置の画像を撮影(測定)できる。すなわち、
図6に示す構成によれば、複数のカメラで広範囲の画像を撮影できる。1つのカメラでは画角が小さい場合であっても、
図6に示す構成によれば、棚の手前から奥までの広範囲を撮影位置(測定位置)とした画像が容易に撮影できる。
【0033】
次に、情報収集装置1が棚に配置した物品の状態を示す情報を収集する処理(情報収集処理)に用いる各種の情報について説明する。
図7及び
図8は、情報収集装置1が物品の状態を示す情報を収集する作業の手順を示す作業指示情報の例を示す図である。
作業指示情報は、例えば、補助記憶装置213に格納される。システムコントローラ210において、プロセッサ211は、補助記憶装置213が記憶する作業指示情報に従って情報収集処理を行うための作業を制御する。作業指示情報は、上位装置250から供給されるものであっても良い。
【0034】
図7及び
図8に示す例において、作業指示情報は、作業内容、使用センサ、作業番号、収納位置数、収納位置番号および移動速度などの情報を含む。
作業内容は、作業内容を示す情報である。
図7及び
図8に示す例では、作業内容として指定の収納位置における物品の個数を計数することを指示するものとしている。作業内容は、物品の個数を計数するものに限定されるものではない。例えば、作業内容は、収納位置番号で指定する収納位置における物品センサによる計測データ(例えば画像)の収集であっても良い。また、作業内容は、指定する収納位置にある物品の期限チェックや温度チェックであっても良い。
【0035】
使用センサは、作業を実施するために使用するセンサを示す情報である。例えば、物品センサ15として複数種類のセンサを有する場合、作業指示情報において、使用するセンサが指定できる。また、使用センサとしては、複数種類のセンサを指定しても良い。例えば、使用センサとしては、カメラと距離センサとを指定しても良い。
【0036】
作業番号は、作業指示情報によって指示する作業を管理するための管理番号である。作業番号は、各作業(各作業指示情報)に対して一意な番号を割り当てる。
収納位置数は、作業番号で特定される1つの作業指示情報で作業が指示される収納位置の数を示す。
移動速度は、該当する作業指示情報で指示される作業における移動機構による移動速度を示す。移動速度は、例えば、測定の対象となる物品の種類、或は、物品センサとして使用するセンサの種類に応じて指定される。
【0037】
収納位置番号は、作業対象となる位置(棚における収納位置)を示す情報である。収納位置番号は、例えば、後述する棚情報において棚における位置に対応付けられる情報である。1つの作業指示情報では、作業対象となる1つまたは複数の収納位置を示す1つ又は複数の収納位置番号が指定できる。また、
図7では、1つの作業指示情報において、同じ棚かつ同じ段における複数列を示す複数の収納位置番号を指定した例を示す。また、
図8では、1つの作業指示情報において、複数段における複数列を示す複数の収納位置番号を指定した例を示す。
【0038】
次に、情報収集装置1を移動させる場合に参照する地図情報について説明する。
地図情報は、例えば、補助記憶装置213に格納される。システムコントローラ210において、プロセッサ211は、補助記憶装置213が記憶する地図情報を参照して移動する経路を計画する。すなわち、プロセッサ211は、作業指示情報に従って作業を実行する場合、地図情報を参照して筐体11の移動経路を決定する。地図情報は、情報収集装置1の移動範囲内における、走行可能な領域、走行が禁止される領域、障害物の位置などを示す情報を含む。
【0039】
次に、情報収集装置1が作業の対象となる棚における物品の収納位置などを示す棚情報について説明する。
図9は、情報収集装置1の補助記憶装置213に記憶される棚情報の例を示す図である。
図9に示す例において、棚情報は、収納位置番号、開始位置、方向、奥行、および、列の幅等の情報を含む。
収納位置番号は、物品の収納場所を特定するための情報である。
図9に示す例において、収納位置番号は、棚番号、段番号、列番号から構成される。棚番号は、棚を特定するための情報である。段番号は、棚における段を示す情報である。列番号は、各段における列を示す情報である。
【0040】
図10は、棚における収納位置番号の構成例を示す図である。
図10は、棚番号が「A」の棚を正面から見た状態における各収納位置に対する収納位置番号の例を示している。
図10に示す収納位置番号は、棚番号、段番号および列番号を順に並べた番号である。例えば、収納位置番号が「A-1-1」の収納位置は、棚番号が「A」の棚における1段目かつ1列目であることが特定できる。
【0041】
開始位置は、収納位置番号により特定される収納位置に対して物品センサ15が計測を開始する位置(計測作業の開始位置)を示す情報である。
図9に示す例では、開始位置は、水平面上における位置を示すxy座標(x座標及びy座標)と、物品センサ15の地面からの高さを示すz座標とで示される。
【0042】
図11は、情報収集装置1の移動範囲における位置を示すxy座標と物品が配置される複数の棚の配置例とを示す図である。
図11に示す移動範囲は、例えば、地図情報により特定される。
図11に示す移動範囲における各位置は、xy座標で示される。例えば、
図11に示す位置P(200、600)は、
図9に示す収納位置番号が「A-1-1」の収納位置に対する開始位置のxy座標が示す位置である。
【0043】
方向は、地図情報が示す地図上において棚の面が向いている方向(棚の正面となる方向)を示す情報である。
図11に示す例では、棚番号がA~Hと設定される複数の棚が存在する。棚番号がAの棚は、例えば、位置P(200、600)から矢印aが示す方向に見た面が正面である。これに対して、棚番号がBの棚は、位置P(200、300)から矢印bが示す方向に見た面が正面である。
奥行は、棚における手前から奥までの長さ(棚の奥行)を示す情報である。
列の幅は、棚番号、段番号および列番号(収納位置番号)で指定される各収納位置における棚に向かって左右方向の長さを示す情報である。
【0044】
次に、物品情報について説明する。
図12は、情報収集装置1の補助記憶装置213に記憶される物品情報の例を示す図である。
物品情報は、監視対象となる物品に関する情報である。
図12に示す例では、物品情報は、物品番号、特徴情報、大きさ(縦、横、高さ)および収納位置番号を含む。
物品番号は、物品を管理するための識別番号である。物品番号は、例えばSKU(最小管理単位)毎に付与される。大きさ(縦、横、高さ)は、物品の大きさを示す情報である。収納位置番号は、物品が収納される位置を示す情報である。
【0045】
特徴情報は、物品の形状を示す情報や画像処理において必要となる特徴点等の情報である。特徴情報は、物品センサ15が計測する情報に基づいて物品を特定したり、物品の個数をカウントしたりするために必要となる情報である。特徴情報は、物品センサ15として使用するセンサの種類に応じた特徴情報を使用する。本実施形態においては、物品センサ15がカメラであることを想定する。このため、本実施形態においては、特徴情報は物品を特定するための特徴照合用の特徴量データベースに登録した特徴量データを参照するための情報とする。
【0046】
次に、本実施形態に係る情報収集装置における情報収集処理について説明する。
図13は、本実施形態に係る情報収集装置における情報収集処理の一例としての棚卸処理(業務)を説明するためのフローチャートである。
システムコントローラ210は、上位装置250又はユーザインタフェースの操作により作業開始の指示を受付ける。作業開始の指示を受けると、システムコントローラ210のプロセッサ211は、補助記憶装置213が記憶する作業指示情報を読み出す(ACT11)。ここでは、実行する作業内容が棚卸業務であるものとする。このため、プロセッサ211は、作業内容が棚卸となっている1つの作業指示情報を読込む。
【0047】
1つの作業指示情報を読み込むと、プロセッサ211は、読込んだ作業指示情報における収納位置数(収納位置の総数)を「残り収納位置数」を示す変数Aの初期値とする(ACT12)。変数Aを初期値とすると、プロセッサ211は、棚情報を読出し(ACT13)、棚卸情報を参照して最初の収納位置(作業対象とする収納位置)に対する開始位置を特定する(ACT14)。例えば、プロセッサ211は、作業指示情報から作業対象となる収納位置を示す収納位置番号を特定する。収納位置番号を特定すると、プロセッサ211は、収納位置番号に対応する開始位置の座標を棚情報に基づいて特定する。
【0048】
開始位置を特定すると、プロセッサ211は、地図情報を読出し(ACT15)、地図情報を参照して現在位置から開始位置に移動するための経路を計画する(ACT16)。経路を計画すると、システムコントローラ210のプロセッサ211は、計画した経路を示す情報と作業指示情報で指定される移動速度とを移動機構220に対して指示する。
【0049】
移動機構220の走行コントローラ221は、システムコントローラ210から指示に応じて走行用のモータ222を駆動させて情報収集装置1の筐体11を移動させる(ACT17)。また、走行用のモータ222を駆動させた後、移動機構220のロータリーエンコーダ223は、車輪12の回転量を計測する。ロータリーエンコーダ223が計測する車輪12の回転量を示す情報は定期的にシステムコントローラ210に通知される。システムコントローラ210のプロセッサ211は、車輪12の回転量と障害物センサ13の計測データとに基づいて筐体11の移動量を計算する。プロセッサ211は、走行環境中(移動範囲)における筐体11の位置を示す座標を随時更新する。プロセッサ211は、随時更新する筐体11の位置と経路計画とを突き合わせて移動機構220に指示する移動速度等の駆動指示内容を決定する。プロセッサ211は、更新される筐体11の位置に応じて決定した駆動指示内容を移動機構220へ指示する。
【0050】
筐体11の位置が開始位置に達すると、プロセッサ211は、棚情報で指定される棚の方向(棚の正面方向)とアーム14の先端の移動方向(計測位置の移動方向)とが正対するような駆動指示を移動機構220へ供給する。これにより、情報収集装置1の筐体11は、開始位置において作業対象となる収納位置が設けられた棚に向かった状態とする。
【0051】
筐体11が開始位置に達すると、プロセッサ211は、物品センサ15を搭載したアーム14の先端部を開始位置で指定される高さに移動させる(ACT18)。例えば、プロセッサ211は、アーム14の先端が作業指示情報で指定される開始位置の高さ(z座標)になるような動作指示をアーム機構230へ供給する。
【0052】
アーム14の先端が開始位置に到達すると、プロセッサ211は、物品センサ15が収納位置全体における物品の状態を計測できるようにアーム14の先端を棚に挿入する(ACT19)。プロセッサ211は、物品センサ15を搭載したアーム14の先端が当該収納位置に配置された物品と当該物品の上側の棚との間に挿入されるようアーム機構230を制御する。例えば、プロセッサ211は、棚情報が示す棚の奥行に応じてアーム14の先端を棚の内部に挿入する位置を決定し、アーム機構230を駆動制御する。また、プロセッサ211は、位置センサ16の計測結果に応じて物品センサ15及びアーム14が棚板および物品に接触しないようにアーム14の動きを制御する。
【0053】
物品センサ15を搭載したアーム14の先端を棚の内部に挿入すると、プロセッサ211は、当該収納位置に対する物品の個数カウント処理を実行する(ACT20)。個数カウント処理は、物品センサ15が計測する情報に基づいて当該収納位置に実際に存在する物品の個数をカウントする処理である。個数カウント処理については、後で詳述するものとする。
【0054】
当該収納位置に対する個数カウント処理が終了すると、プロセッサ211は、物品センサ15を搭載したアーム14の先端を棚の内部から抜去する(ACT21)。例えば、プロセッサ211は、アーム14の先端を棚から抜去し、所定のホームポジションに移動するようにアーム機構230に指示する。アーム14の先端を棚から抜去すると、プロセッサ211は、残り収納位置数を示す変更Aを1だけ減算(A=A-1)する(ACT22)。変数Aを減算すると、プロセッサ211は、変更A(残り収納位置数)が0よりも大きいかを判断する(ACT23)。変数Aが0より大きい場合、つまり、現在の作業指示情報に作業が未完了の収納位置がある場合(ACT23、YES)、プロセッサ211は、現在の作業指示情報が指定する次の収納位置に対して上述したACT13-23の処理を実行する。
【0055】
また、変数Aが0である場合、つまり、現在の作業指示情報が指定する全収納位置に対する作業が完了した場合(ACT23、NO)、プロセッサ211は、作業を実施していない残りの作業指示情報が存在するか判断する(ACT24)。残っている作業指示情報がある場合(ACT24、YES)、プロセッサ211は、上記ACT11へ戻り、次の作業指示情報に対して上述の処理を実行する。
【0056】
残りの作業指示情報がないと判断した場合(ACT24、NO)、プロセッサ211は、収集した情報に対する情報処理を実行する(ACT25)。ここでは、作業内容が棚卸業務であるため、プロセッサ211は、収集した情報(各物品の読取り個数)に基づく棚卸業務としての情報処理を実行する。なお、プロセッサ211は、収集した情報を上位装置250へ送信し、上位装置250が収集した情報に対する情報処理を実行するようにしても良い。
【0057】
例えば、プロセッサ211は、理論在庫を示す情報を読み込み、物品毎に実際にカウントした個数(読取り個数)と理論在庫との差を算出する。理論在庫を示す情報は、補助記憶装置213に記憶しても良いし、上位装置250から取得しても良い。読取り個数と理論在庫との差を算出すると、プロセッサ211は、各物品の読取り個数、理論在庫および差異などを示す棚卸結果を示す情報を作成する。棚卸結果を示す情報を作成すると、プロセッサ211は、作成する棚卸結果を示す情報を補助記憶装置213に記憶する。また、プロセッサ211は、作成する棚卸結果を示す情報を上位装置250へ送信しても良い。
【0058】
図14は、棚卸結果(収集した情報を集計した結果)を示す情報の例である。
図14に示す例において、棚卸業務結果情報は、物品番号、理論在庫数、読取り個数、および、差異などの情報を含む。物品番号は、棚卸業務の対象とした物品を示す情報である。理論在庫数は、在庫管理によって管理している帳簿上の物品の在庫数である。読取り個数は、上述の処理よって物品センサ15の計測結果に基づいて計数した物品の数である。差異は、理論在庫数から読取り個数を引いた数である。
【0059】
以上のような処理によれば、情報収集装置は、物品センサを搭載したアームを棚の内部に移動させて各収納位置に配置された物品の状態を物品センサにより計測する。このような情報収集装置によれば、物品センサを棚の内部に挿入することで、棚の手前側に配置された物品だけでなく、各収納位置全体における複数の物品の状態を確実に計測できる。
【0060】
また、情報収集装置は、作業指示情報で指定された各収納位置に配置された物品の状態を順に物品センサで計測し、棚に配置された物品の状態を示す情報を収集する。さらに、情報収集装置は、収集した情報に基づいて物品の個数のカウントおよび棚卸業務などの情報処理を行う。このような情報収集装置によれば、棚に配置されている各物品の状態を確実に計測できるため、個数のカウントおよび棚卸業務などの情報処理を正確に行うことができる。
【0061】
次に、情報収集装置1における個数カウント処理について説明する。
図15は、情報収集装置1における個数カウント処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
アーム14の先端を棚に挿入した後、システムコントローラのプロセッサ211は、物品センサ15が収納位置全体を計測できるように移動制御を開始する(ACT31)。例えば、プロセッサ211は、作業指示情報で指定された移動速度で、棚情報が示す当該収納位置の幅(列の幅)の分だけ移動機構220により筐体11を移動させる。プロセッサ211は、移動機構220により筐体11を移動させながら物品センサ15による計測を行う(ACT32)。
【0062】
すなわち、筐体11の移動に応じて棚の内部に挿入されたアーム14の先端も移動する。このため、アーム14の先端に搭載された物品センサ15は、筐体11の移動によって収納位置全体の領域における物品の状態を計測する。プロセッサ211は、筐体11が当該収納位置の幅に応じた移動量を移動すると、筐体11の移動を停止させる(ACT33)。筐体11の移動を停止すると、プロセッサ211は、当該収納位置に対する物品センサ15による計測を終了する。
【0063】
例えば、カメラとしての物品センサ15は、移動機構220による収納位置の幅(列の幅)に応じた筐体11の移動に伴って収納位置全体の画像を撮影する。
図3乃至
図5に示すような構成であれば、物品センサ15としてのカメラは、物品が載置される収納位置を物品の上方から撮影する。この場合、プロセッサ211は、物品センサ15としてのカメラが物品の上方から収納位置全体を撮影した撮影画像を取得する。
【0064】
収納位置に対する計測データ(撮影画像)を取得すると、プロセッサ211は、計測データとしての撮影画像に基づいて実際に配置されている物品の種類を特定する(ACT34)。例えば、プロセッサ211は、物品センサ15が撮影した画像と物品情報に記載された特徴量とを比較して撮影画像に存在する物品の種類を特定する。
【0065】
また、プロセッサ211は、物品センサ15の計測データ(撮影画像)から直接的にカウントできない物品をカウントするため、物品センサ15から物品までの距離を算出する(ACT35)。物品センサ15としてのカメラの撮影画像を用いて奥行き距離を算出する方法としては、種々の方法が適用可能である。例えば、物体までの距離に対する画像上の物体の大きさが分かっている場合、「物体に近づけば大きく映り、遠ざかれば小さく映る」ことを利用して距離が求められる。また、二つ以上のカメラを用いて左右の画像のずれを利用して距離を求める方法もある。さらには、物品センサ15としてカメラに加えて距離センサを設けた場合、距離センサが計測する計測値により物品までの距離を求めてもよい。
【0066】
物品の種類と物品センサ15から物体までの距離とを求めた後、プロセッサ211は、収納位置に存在する物品の個数を算出する(ACT36)。例えば、プロセッサ211は、撮影画像から物品の画像を抽出し、画像として抽出した各物品までの距離に応じて物品の数を判定する。具体的には、プロセッサ211は、撮影画像から抽出した物品の画像をグループ分けし、カメラに対して近いグループから順番に個数を数える。つまり、プロセッサ211は、最初に最も近いグループの個数を数え、2番目以降のグループの個数を数える場合には画像として見えている個数に前のグループの個数を加える。
【0067】
例えば、
図16は、撮影画像から切り出した物品画像をグループ分けした例を示す図である。
図16に示す例では、画像から切り出した物品画像をA、Bの2グループに分けた状態を示している。
図16に示す撮影画像が得られた場合、プロセッサ211は、最も近いグループがAグループであると判定する。プロセッサ211は、まず、撮影画像からAグループの数(Aグループに含まれる物品の個数)が3個と計数する。次に、プロセッサ211は、Aグループの次に近いグループとしてBグループを判定する。プロセッサ211は、Bグループの数(Bグループに含まれる物品の個数)を画像として見えている個数の2個と計数する。この場合、プロセッサ211は、画像に表れているBグループの数2個にAグループの数3個を加算して5個とする。プロセッサ211は、撮影画像から得られる物品の数として、3個(Aグループの数)+5個(AグループとBグループの数)を算出し、合計8個であると判定する。上述の手法は、画像として見えていない部分には上に積み重なっている物品と同じ数だけ物品があると仮定することで全体の個数を計数する手法である。
【0068】
なお、距離の算出は、重ねて載置された物品の個数をカウントするための処理である。このため、距離に基づく個数の判定無しで物品の個数がカウントできる場合、距離を算出する処理は、省略して良い。例えば、物品センサ15としてRFIDリーダを使用する場合、物品が積み重なっていても個々の物品に貼り付けられたRFタグを識別できる。この場合、プロセッサ211は、RFIDリーダがRFタグから読み取る情報によって物品の識別と個数のカウントとが可能である。
【0069】
以上のような個数カウント処理は、作業対象となる各収納位置に対して実行される。これにより、情報収集装置は、収納位置ごとに物品センサの計測データから実際に配置されている物品の個数をカウントできる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る情報収集装置は、物品の状態を計測するカメラなどの物品センサを搭載したアームを有する。情報収集装置は、アームを棚の内部に挿入した状態で物品センサによって棚に配置されている物品の状態を計測する。これにより、本実施形態によれば、棚の正面からでは手前に配置された物品によって計測が困難となる棚の奥に配置される物品の状態が計測可能となる。
【0071】
また、物品センサがカメラであれば、情報収集装置は、棚に載置した物品を上方などの棚の内部から撮影することができる。これにより、本実施形態に係る情報収集装置によれば、棚において手前から奥に向かって並べた物品の状態を正確に判定できる画像を収集できる。
また、情報収集装置は、センサを搭載したアームを棚の内部に挿入した状態で移動しながらセンサによる計測を行う。これにより、本実施形態に係る情報収集装置によれば、棚における収納位置全体などの広範囲を測定範囲として物品センサによる計測が容易に実現できる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
棚に配置した物品の状態を計測するセンサと、
前記センサを搭載するアームと、
前記アームに搭載した前記センサを前記棚に配置されている物品に近傍に移動させ、前記センサが計測する物品の状態を示す情報を取得するコントローラと、
を有する情報収集装置。
[2]
前記センサは、画像を撮影するカメラであり、
前記コントローラは、前記カメラが撮影する画像を取得する、
[1]に記載の情報収集装置。
[3]
さらに、前記アームを設置した筐体と、
前記筐体を移動させる移動機構と、を有し、
前記コントローラは、前記移動機構により前記筐体を指定された位置へ移動させた後、前記アームに搭載した前記センサを前記棚に配置されている物品の近傍に移動させる、
[1]又は[2]の何れかに記載の情報収集装置。
[4]
前記コントローラは、前記アームに搭載した前記センサを前記棚に配置されている物品の上方に移動させた後、前記移動機構により前記筐体を移動させながら前記センサが計測する情報を収集する、
[3]に記載の情報収集装置。
[5]
情報収集装置と上位装置とを有する情報収集システムであって、
前記情報収集装置は、
棚に配置した物品の状態を計測するセンサと、
前記センサを搭載するアームと、
前記アームに搭載した前記センサを前記棚に配置されている物品に近傍に移動させ、前記センサが計測する物品の状態を示す情報を取得するコントローラと、
前記センサが計測する物品の状態を示す情報を前記上位装置へ送信する通信インターフェースと、を有する、
情報収集システム。
【符号の説明】
【0073】
1…情報収集装置、11…筐体、14…アーム(リンク機構)、15…物品センサ、210…システムコントローラ、211…プロセッサ、212…主記憶装置、213…補助記憶装置、214…通信インターフェース、220…移動機構、230…アーム機構、250…上位装置。