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特許7019377医用画像診断装置、治療計画システム及び放射線治療支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、治療計画システム及び放射線治療支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N5/10 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017211898
(22)【出願日】2017-11-01
(65)【公開番号】P2019083846
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野辺 昌史
(72)【発明者】
【氏名】平岡 学
【審査官】小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-160308(JP,A)
【文献】特開2014-171763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0297565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の治療の治療計画のために取得された第1のリファレンス画像と、第2の治療の治療計画に利用される医用画像を取得するための撮像範囲、撮像位置及びスライス厚の少なくとも1つを含む撮像条件とを取得するリファレンス情報取得部と、
前記第1のリファレンス画像に前記第2の治療の治療計画において取得された第2のリファレンス画像を線形位置合わせすることでずれ量を算出する位置合わせ部と、
前記ずれ量に基づいて前記第1のリファレンス画像に関連付けされた撮像条件を前記第2のリファレンス画像に適合させることで、前記医用画像を取得するための前記撮像条件を変更する撮像条件変更部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記撮像条件は、前記医用画像の前記撮像範囲、前記撮像位置及び前記スライス厚のうち前記撮像範囲のみを含み、
前記撮像条件変更部は、前記第1のリファレンス画像に関連付けされた前記撮像範囲を前記第2のリファレンス画像に適合させることで、前記医用画像を取得するための前記撮像範囲を変更する
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記撮像条件変更部は、前記位置合わせ部において前記第1のリファレンス画像が前記第2のリファレンス画像に前記線形位置合わせできるか否かを判定し、前記線形位置合わせができない場合、その旨を通知する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記撮像条件変更部は、前記第1のリファレンス画像に描出された領域と前記第2のリファレンス画像に描出された領域とが異なる場合、前記第2のリファレンス画像に描出された領域と前記第1のリファレンス画像に描出された領域とが同じになるよう、前記ずれ量に基づいて被検体の位置を変更する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記第1のリファレンス画像及び前記第2のリファレンス画像は、位置決め画像である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記位置合わせ部は、前記第2のリファレンス画像の種類に応じて、前記第2のリファレンス画像と位置合わせ可能な画像を前記第1のリファレンス画像から生成する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
第1の治療における治療情報に基づいて、第2の治療の治療計画に利用される医用画像を取得するための撮像範囲、撮像位置及びスライス厚の少なくとも1つを含む撮像条件を設定する撮像条件設定部と、
前記第1の治療の治療計画のために取得された第1のリファレンス画像と、前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件とを関連付けしたリファレンス情報を生成するリファレンス情報生成部と、
前記リファレンス情報を取得し、前記第1のリファレンス画像に前記第2の治療の治療計画において取得された第2のリファレンス画像を線形位置合わせすることでずれ量を算出する位置合わせ部と、
前記ずれ量に基づいて前記第1のリファレンス画像に関連付けされた撮像条件を前記第2のリファレンス画像に適合させることで、前記医用画像を取得するための前記撮像条件を変更する撮像条件変更部と、
を備える治療計画システム。
【請求項8】
第1の治療の治療計画における治療情報を取得するステップと、
前記治療情報に基づいて第2の治療の治療計画に利用される医用画像を取得するための撮像範囲、撮像位置及びスライス厚の少なくとも1つを含む撮像条件を生成するステップと、
前記第1の治療の治療計画のために取得された第1のリファレンス画像と、前記撮像条件とを関連付けしたリファレンス情報を生成するステップと、
前記第1のリファレンス画像に第2の治療計画において取得された第2のリファレンス画像を線形位置合わせすることでずれ量を算出するステップと、
前記ずれ量に基づいて前記第1のリファレンス画像に関連付けされた撮像条件を前記第2のリファレンス画像に適合させることで、前記医用画像を取得するための前記撮像条件を変更するステップと、
を備える放射線治療支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置、治療計画システム及び放射線治療支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、X線CT(Computed Tomography)装置で撮像したCT画像に基づいて治療計画が作成される。治療計画では、放射線が照射される部位(以下、治療ターゲットと称する)、治療ターゲットの大きさ、照射範囲、照射方法、照射線量、線量分布などの照射条件が策定される。同一の治療ターゲットに対する治療において、放射線の照射は、複数回に分けて実施される。治療計画は、放射線の照射毎に作成される。以下の説明では、特に説明の無い限り1回の放射線照射のことを放射線治療と称する。
【0003】
CT画像を撮像する場合よりも高い線量の放射線が照射される放射線治療では、治療計画において、治療ターゲット以外の領域における被曝量の均一化や感受性の高い臓器や部位に治療用放射線が照射されないように照射条件が設定される。
【0004】
治療ターゲットが鮮明に描出されたCT画像に基づいて照射条件を設定することで、適切な治療計画を作成できる。そのため、治療計画用の医用画像として画質の良い医用画像が取得されることが望ましい。また、放射線治療は、治療計画のために取得されたCT画像を撮像したときと同じ体位で実施されるのが望ましい。したがって、放射線治療に適した体位や照射条件を考慮して治療計画用のCT画像が取得されるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-164957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、治療計画に適した医用画像を取得しつつ、被曝量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医用画像診断装置は、リファレンス情報取得部と、位置合わせ部と、撮像条件変更部とを備える。リファレンス情報取得部は、第1の治療の治療計画のために取得された第1のリファレンス画像と、第2の治療の治療計画に利用される医用画像の撮像条件とを取得する。位置合わせ部は、第1のリファレンス画像に第2の治療の治療計画において取得された第2のリファレンス画像を位置合わせする。撮像条件変更部は、位置合わせ部における位置合わせ結果に応じて撮像条件を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る治療計画システムの一例を示す概念的な構成図。
図2図2は、実施形態に係る治療計画システムの機能構成例を示す機能ブロック図。
図3図3は、実施形態に係る治療計画システムの動作の一例を示すフローチャート。
図4図4は、実施形態に係る治療計画システムの動作の一例を示すフローチャート。
図5図5は、リファレンス情報を説明する模式図。
図6図6は、位置合わせ結果に応じて撮像範囲を適合させる方法を示す模式図。
図7図7は、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像が線形位置合わせできない場合を示す模式図。
図8図8は、第1のリファレンス画像の撮像範囲を第2のリファレンス画像に適用する場合の第1の表示例。
図9図9は、第1のリファレンス画像の撮像範囲を第2のリファレンス画像に適用する場合の第2の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、医用画像診断装置、治療計画システム及び放射線治療支援プログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(1)構成
図1は、実施形態に係る治療計画システムの一例を示す概念的な構成図である。図1に示すように、治療計画システム1は、放射線治療装置20とネットワークを介して接続している。ここでネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全体を意味し、病院基幹LAN、無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバー通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク及び衛星通信ネットワークなどを含む。放射線治療装置20は、治療計画システム1から治療計画データを取得し、取得した治療計画データに基づいて放射線治療を実行する。
【0011】
放射線治療装置20は、直線加速器を備え、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、重粒子線などの治療用放射線を発生させる。治療用放射線は、照射中心(アイソセンタ)に治療ターゲットを配置した状態で照射される。
【0012】
放射線治療装置20は、放射線照射手段としての放射線源21、絞り22、アーム部24、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28及び治療コントローラ29を有する。
【0013】
放射線源21は、放射線を発生させる。絞り22は、絞り駆動装置27によって、放射線源21から照射される放射線の照射範囲を調整する。即ち、絞り駆動装置27は、絞り22の開口を調整することによって、放射線の照射範囲を変更する。
【0014】
アーム部24は、放射線源21及び絞り22を一体として保持する。アーム部24は、放射線源21及び絞り22を一体として患者Pの周りに回転できるように構成されている。
【0015】
高電圧電源26は、治療コントローラ29による制御に従って、放射線の照射に必要な電力を放射線源21に供給する。
【0016】
絞り駆動装置27は、治療コントローラ29による制御に従って、絞り22により放射線の照射範囲を調整する。
【0017】
回転駆動装置28は、治療コントローラ29による制御に従って、アーム部24と支持部23との接続部25を中心としてアーム部24を回転させる。
【0018】
治療コントローラ29は、図示しないCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ及びメモリを備え、治療計画装置10で生成された治療計画データに従って放射線治療装置20を統括的に制御する。
【0019】
治療計画システム1は、放射線治療毎の治療計画データを作成する。治療計画システム1は、治療計画装置10及び医用画像診断装置30を有する。
【0020】
治療計画装置10は、医用画像診断装置30で取得された医用画像に基づいて放射線治療を行うための治療計画データを作成する。治療計画データには、治療ターゲットの位置、寝台の初期位置、照射中心、患者Pの体位、放射線を照射する範囲、照射線量及び線量分布などの照射条件が含まれる。治療計画装置10は、治療計画データの作成に必要な放射線の照射の方向、照射野の大きさ、照射線量及び体内の線量分布などの照射条件を設定する。
【0021】
治療計画装置10は、コンピュータをベースとして構成されており、ネットワークを介して外部装置と相互通信可能である。治療計画装置10は、処理回路11、記憶回路12、インタフェース13及びディスプレイ14などのハードウェアから構成される。処理回路11は、共通信号伝送路としてのバスを介して、治療計画装置10を構成する各ハードウェア構成要素に相互接続される。
【0022】
処理回路11は、専用のハードウェアで構成してもよいし、内蔵のプロセッサによるソフトウェア処理で各種機能を実現するように構成してもよい。ここでは一例として、プロセッサによるソフトウェア処理によって処理回路11が各種機能を実現する場合について説明する。
【0023】
上記プロセッサとは、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)などの回路を意味する。上記プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)などが挙げられる。処理回路11は、記憶回路12に記憶されたプログラム又は処理回路11のプロセッサ内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで、各機能を実現する。
【0024】
また、処理回路11は、単一のプロセッサによって構成されてもよいし、複数の独立したプロセッサの組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、複数のプロセッサにそれぞれ対応する複数の記憶回路12が設けられると共に、各プロセッサにより実行されるプログラムが当該プロセッサに対応する記憶回路に記憶される構成でもよい。別の例としては、1個の記憶回路12が複数のプロセッサの各機能に対応するプログラムを一括的に記憶する構成でもよい。また、各機能に対応するプログラムが複数の記憶回路に分散して配置され、処理回路11は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としてもよい。
【0025】
記憶回路12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどによって構成される。記憶回路12は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)などの可搬型メディアを脱着自在な回路して構成されてもよい。記憶回路12は、処理回路11において実行される各種プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)、プログラムの実行に必要なデータ、及び画像データを記憶する。また、記憶回路12には、OSを制御するための各種コマンドをインタフェース13から入力可能とするためのGUI(Graphical User Interface)のプログラムが記憶されていてもよい。
【0026】
インタフェース13は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチスクリーン、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、光学センサを用いた非接触入力回路及び音声入力回路などの入力デバイスによって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、インタフェース13はその操作に応じた入力信号を生成し、この入力信号を処理回路11に出力する。なお、インタフェースは、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備える入力デバイスには限定されない。例えば、別体として設けられた外部入力機器からの入力操作に対応する電気信号を受け取り、当該電気信号を処理回路11へ出力する入力デバイスも含まれる。
【0027】
ディスプレイ14は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル及び有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示デバイスである。ディスプレイ14は、処理回路11の制御に従って画像を表示する。
【0028】
医用画像診断装置30は、コンソール装置31及び撮像装置36を有する。撮像装置36では、治療計画用の医用画像が取得される。治療計画にはCT画像に加えて、X線診断装置など、X線により被検体の体内を撮像する装置によって取得されたX線画像も利用される。
【0029】
また、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置で取得されるMR画像、PET(Positron Emission Tomography)で取得される核医学画像、超音波診断装置で取得される超音波画像などの各種医用画像もX線CT画像やX線画像に併せて用いられることがある。したがって、撮像装置36は、治療計画に用いられる医用画像の種類に応じたモダリティに対応した構成を有する。以下、撮像装置36がX線CT装置の場合を例として説明する。
【0030】
撮像装置36は、検査室に設置される。撮像装置36は、寝台に載置された被検体に関するX線の検出データ(透過データ)を生成する。一方、コンソール装置31は、検査室に隣接する制御室に設置され、検出データに基づいて投影データを生成することで、再構成画像の生成及び表示を行う。
【0031】
コンソール装置31は、処理回路32、記憶回路33、インタフェース34、ディスプレイ35を有する。なお、コンソール装置31の各ハードウェア構成は、治療計画装置10と同様であるため説明を省略する。
【0032】
図2は、実施形態に係る治療計画システム1の機能構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、治療計画システム1の治療計画装置10の処理回路11は、治療情報取得機能111、次回撮像条件設定機能112、リファレンス情報生成機能113を有する。これらの各機能はそれぞれプログラムの形態で記憶回路12に記憶されている。治療情報取得機能111、次回撮像条件設定機能112、リファレンス情報生成機能113の各機能は記憶回路12に格納されたプログラムを処理回路11が実行することによって実現される機能である。
【0033】
以下、治療計画システム1において、前回の治療計画データに基づいて次回の治療計画データを作成する場合を例として説明する。以下の説明では、1回目治療のことを「第1の治療」と称し、第1の治療の次に実施される治療のことを「第2の治療」と称する。
【0034】
治療情報取得機能111は、放射線治療装置20から第1の治療における治療情報を取得する。治療情報は、放射線治療装置20が治療計画データに基づいて実施した放射線治療における照射情報を含む。なお、治療計画データに設定された通りに放射線治療が実施された場合、治療情報取得機能111は、放射線治療装置20から第1の治療における治療計画データを取得してもよい。
【0035】
次回撮像条件設定機能112は、第1の治療計画データに基づいて第2の治療のための治療計画用の医用画像を撮像する際の撮像条件を設定する。第2の治療では、第1の治療計画データを利用して、治療ターゲット以外の領域に繰り返し放射線が照射されないように第1の治療計画とは異なる照射範囲、照射方法、線量分布などの照射条件が設定される。また、第2の治療計画を作成する場合、第1の治療よりも治療ターゲットに効率的に治療用放射線が照射されるような照射条件が設定される。
【0036】
また、第1の治療計画用の医用画像から治療ターゲットの位置や大きさが把握できるため、第2の治療では、治療ターゲットの位置や大きさに応じて撮像位置を調整することができる。例えば、治療ターゲットが撮像領域の中心になるように撮像範囲、撮像位置、スライス厚などの撮像条件を調整することができる。このように、第2の治療計画では、第1の治療計画用の医用画像よりも画質の良い医用画像が取得できるよう撮像条件を設定できる。
【0037】
さらに、第2の治療計画では、第1の治療計画用の医用画像から治療ターゲットの位置や大きさが把握できるため、第2の治療計画用の医用画像の撮像範囲は、第1の治療計画用の医用画像の撮像範囲よりも小さく設定することができる。このように、第2の治療計画では、第1の治療計画における治療計画データや照射情報のフィードバックを受けて、第2の治療計画用の医用画像の撮像条件を設定できる。
【0038】
リファレンス情報生成機能113は、第1の治療の治療計画データに含まれる医用画像と、次回撮像条件設定機能112で設定された撮像条件とを関連付したリファレンス情報を生成する。第1の治療の治療計画データに含まれる医用画像は、例えば、第1の治療の治療計画用の医用画像の位置決め画像である。位置決め画像は、治療計画用のCT画像を収集する本スキャンの撮像条件を決定するために、当該本スキャン前に低被曝線量で取得される画像のことである。位置決め画像は、2次元画像であってもよいし3次元画像であってもよい。以下、リファレンス情報に含まれる医用画像を「第1のリファレンス画像」と称する。
【0039】
なお、第1のリファレンス画像は、CT画像の位置決め画像には限定されない。例えば、CT画像から画像処理により生成された画像であってもよい。また、他のモダリティで取得された医用画像であってもよい。第1のリファレンス画像は、第1の治療における治療用の放射線の照射範囲を含む被検体の領域が描出された画像である。リファレンス情報については後述の図5で詳細に説明する。
【0040】
治療計画システム1のコンソール装置31の処理回路32は、リファレンス情報取得機能321、位置合わせ機能322、撮像条件変更機能323を有する。これらの各機能はそれぞれプログラムの形態で記憶回路33に記憶されている。リファレンス情報取得機能321、位置合わせ機能322、撮像条件変更機能323の各機能は記憶回路33に格納されたプログラムを処理回路32が実行することによって実現される機能である。
【0041】
リファレンス情報取得機能321は、リファレンス情報を治療計画装置10から取得する。
【0042】
位置合わせ機能322は、第2の治療の治療計画用の医用画像の撮像のために取得された位置決め画像を第1のリファレンス画像に位置合わせする。以下、第2の治療の治療計画用の医用画像の撮像のために取得された位置決め画像のことを「第2のリファレンス画像」と称する。
【0043】
位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせし、第1のリファレンス画像に対する第2のリファレンス画像のずれ量を算出する。また、位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像に描出された範囲と第2のリファレンス画像に描出された範囲とが異なるか否かを判定し、範囲が異なる場合、その旨をディスプレイ35に表示しユーザに通知する。この場合、例えば、ユーザは、寝台の位置を調整し、被検体の位置を変更することで、撮像範囲を第1のリファレンス画像に合わせる。
【0044】
さらに、位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせできない場合、その旨をディスプレイ35に表示しユーザに通知する。この場合、ユーザは、被検体に体位を変更するように指示する。位置合わせ機能322における処理については、後述の図6又は図7で詳細に説明する。
【0045】
また、位置合わせ機能322は、第2のリファレンス画像の種類に応じて、第2のリファレンス画像と位置合わせ可能な画像を第1のリファレンス画像から生成してもよい。例えば、位置合わせ機能322は、第2のリファレンス画像が2次元画像、第1のリファレンス画像が3次元画像の場合、第1のリファレンス画像を画像処理して2次元画像を生成してもよい。
【0046】
なお、第2のリファレンス画像の種類が予め規定されている場合、リファレンス情報生成機能113が第2のリファレンス画像の種類に応じて、第2のリファレンス画像と位置合わせ可能な画像を第1のリファレンス画像から生成してもよい。なお、ここでの予めとは、リファレンス情報の生成前のことである。
【0047】
撮像条件変更機能323は、位置合わせ機能322における位置合わせの結果に応じて撮像条件を変更する。撮像条件変更機能323は、位置合わせ機能322で算出されたずれ量に基づいて、第1のリファレンス画像に関連付けされた撮像条件を第2のリファレンス画像に適合させる。撮像条件変更機能323における撮像条件の変更については後述の図6で詳細に説明する。
【0048】
(2)動作
図3及び図4は、実施形態に係る治療計画システム1の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図5を適宜参照しつつ、図3及び4のフローチャートのステップ番号に従って実施形態に係る治療計画システムの動作を説明する。
【0049】
なお、図3及び図4のフローチャートでは、第1の治療のための治療計画の策定から第2の治療のための治療計画用の医用画像の撮像までの治療計画システム1における動作を例として説明する。フローチャートにおいて、ステップS101からステップS103は、第1の治療に関する動作であり、ステップS103からステップS112は、第2の治療に関する動作である。
【0050】
図3のステップS101において、医用画像診断装置30の撮像装置36は、第1の治療計画用のCT画像を取得する。なお、CT画像の取得に先駆けて位置決め画像が取得される。
【0051】
ステップS102において、治療計画装置10は、医用画像診断装置30からCT画像を取得し、当該CT画像に基づいて第1の治療における治療計画データを生成する。治療計画データには、治療ターゲットの位置や範囲、放射線が照射される範囲、照射線量及び線量分布などの照射条件が含まれる。例えば、治療計画では、治療ターゲットの範囲を示す画像や、放射線が照射される範囲や線量分布などの照射条件を示す画像をCT画像に重畳した画像が生成される。
【0052】
ステップS103において、放射線治療装置20は、治療計画装置10から第1の治療のための治療計画データを取得し、当該治療計画データに基づいて放射線治療を実行する。放射線治療装置20は、放射線治療を実行したときの実際の照射情報を生成する。実際の照射情報は、治療計画データと関連付けされた治療情報として放射線治療装置20の不図示のメモリに記憶される。
【0053】
以上が第1の治療における治療計画システム1の動作の説明である。次に、第2の治療における治療計画システム1の動作を説明する。
【0054】
ステップS104において、治療計画装置10の治療情報取得機能111は、第1の治療の治療情報を放射線治療装置20から取得する。なお、第1の治療が第1の治療計画データで設定された照射条件と同じ条件で実行された場合、治療情報取得機能111は、第1の治療計画データを放射線治療装置20から取得してもよい。
【0055】
さらに、次回撮像条件設定機能112は、放射線治療装置20から取得した照射情報又は治療計画データに基づいて、第2の治療のための治療計画用の医用画像を撮像する際の撮像条件を設定する。
【0056】
ステップS105において、リファレンス情報生成機能113は、照射情報又は治療計画データに含まれる第1のリファレンス画像に次回撮像条件設定機能112で設定された撮像条件を関連付したリファレンス情報を生成する。
【0057】
医用画像診断装置30のコンソール装置31のリファレンス情報取得機能321は、治療計画装置10からリファレンス情報を取得する。
【0058】
なお、ステップS104及びステップS105の処理は、第1の治療が完了した後から第2の治療計画のためのCT画像を取得する前であれば、実行されるタイミングは限定されない。例えば、第2の治療のための治療計画用のCT画像を撮像するために被検体をX線CT装置の寝台に載置した状態で実行されてもよいし、位置決め画像を取得した後に実行されてもよい。
【0059】
図5は、リファレンス情報を説明する模式図である。図5に示すように、左から1番目は、第1の治療の治療計画において取得された第1の位置決め画像IMG1である。左から2番目は、第1の治療の治療計画において取得された第1のCT画像IMG2である。左から3番目は、第2の治療の治療計画の策定において、第1のCT画像IMG2に第2の治療において計画された放射線の照射範囲を重畳した画像IMG3である。左から4番目は、第1の位置決め画像に第2の治療における放射線の照射範囲を重畳した画像IMG4である。
【0060】
第1のCT画像IMG2において、白抜きの丸で示された領域は、治療ターゲットTAを示す。また、グレースケールでハッチングされた丸で示された領域は、放射線への感受性の高い領域SAを示す。放射線治療では、放射線への感受性が高い、例えば、水晶体などの領域に放射線が照射されないよう、照射条件が設定される。第1のCT画像IMG2において、治療ターゲットを含むよう破線で示された範囲は、放射線の照射範囲E1である。
【0061】
画像IMG3には、第2の治療において放射線が照射される予定の照射範囲E2が示されている。第2の治療では、第1の治療における照射範囲E1に基づいて、例えば、治療ターゲット以外の領域に連続して放射線が照射されないよう照射範囲が設定される。また、感受性の高い領域を避けるような照射範囲が設定される。照射範囲E2は、治療ターゲット以外の領域に連続して放射線が照射されないよう、照射範囲E1よりも頭頂部側に傾斜した範囲に放射線が照射されるよう設定されている。また、照射範囲E2は、感受性の高い領域SAと照射領域との距離が照射範囲E1よりも遠くなるように設定されている。また、照射範囲E2では、治療ターゲットの大きさに応じてより照射範囲を狭くすることで、被曝量が低減されるように設定されている。
【0062】
このように、第2の治療における照射範囲の策定では、第1の治療における照射条件の見直し及び改善が実施される。なお、第2の治療において行われる照射条件の見直し及び改善は、上述した撮像範囲の見直しには限定されない。例えば、治療ターゲットTAに治療用放射線が効率よく照射されるような被検体の体位や照射方向などの照射条件の策定も第2の治療において行われる照射条件の見直し及び改善に含まれる。
【0063】
治療計画用の医用画像における撮像範囲は、放射線治療において放射線が照射される範囲を含む。そのため、第2の治療において放射線が照射される予定の照射範囲E2が特定されると、第2の治療計画用のCT画像の撮像範囲が決定する。例えば、照射範囲E2は、第2の治療計画用のCT画像の撮像範囲IAに等しい。
【0064】
画像IMG4は、照射範囲E2に対応する撮像範囲IA2を第1の位置決め画像IMG1に重畳した画像である。このように、リファレンス情報は、第2の治療計画用のCT画像の撮像条件と第1の位置決め画像とを関連付した情報である。
【0065】
なお、リファレンス情報を生成する際、次回撮像条件設定機能112は、第2の治療計画用の画像の画質が第1の治療計画用の画像よりも向上するように撮像条件を設定してもよい。例えば、撮像中心に治療ターゲットTAが位置するように撮像位置が設定される。また、放射線の照射方向に併せてスライス方向を設定してもよい。また、治療計画においてCT画像に加えてMR画像を取得する場合、CT画像及びMR画像のスライス方向が一致するよう撮像条件を設定してもよい。これらの撮像条件は、第1の位置決め画像(第1のリファレンス画像)と関連付けされて医用画像診断装置30のコンソール装置31に送信される。
【0066】
また、第1のリファレンス画像は、位置決め画像には限定されない。第1のリファレンス画像は、第1の治療計画において取得されたCT画像やMR画像などの医用画像であってもよいし、これらの医用画像から画像処理により生成された画像であってもよい。また、第1のリファレンス画像は、2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。
【0067】
図3のフローチャートに戻って、第2の治療における治療計画システム1の動作の説明を続ける。
【0068】
ステップS106において、医用画像診断装置30の撮像装置36は、コンソール装置31の制御の下、第2の治療計画用のCT画像の第2の位置決め画像を取得する。
【0069】
ステップS107において、位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像(第1の位置決め画像)に第2のリファレンス画像(第2の位置決め画像)が線形位置合わせできるか否かを判定する。ステップS107において、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像が線形位置合わせできない場合、ステップS107のNOに分岐し、ステップS111に進む。ステップS111では、ディスプレイ35に被検体の体位変更を推奨する旨が表示される。
【0070】
一方、ステップS107において、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像が線形位置合わせできる場合、ステップS107のYESに分岐し、ステップS108に進む。
【0071】
ステップS108において、位置合わせ機能322は、さらに、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像の撮像範囲が一致するか否かを判定する。ステップS108において、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像の撮像範囲が一致しない場合、ステップS108のNOに分岐し、ステップS112に進む。ステップS112では、ディスプレイ35に寝台等を移動させて被検体の位置移動を推奨する旨が表示される。
【0072】
一方、ステップS108において、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像の撮像範囲が一致する場合、ステップS108のYESに分岐し、ステップS109に進む。
【0073】
ステップS109において、位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせした結果に基づいて、第1のリファレンス画像に対する第2のリファレンス画像のずれ量を算出する。
【0074】
さらに撮像条件変更機能323は、算出されたずれ量に基づいて、第1のリファレンス画像に設定された撮像範囲を第2のリファレンス画像に適合させる。
【0075】
ステップS110において、撮像装置36は、撮像条件変更機能323で変更された撮像条件に基づいて第2の治療計画用のCT画像を取得する。
【0076】
以上が第1の治療のための治療計画の策定から第2の治療のための治療計画用の医用画像の撮像までの治療計画システム1における動作の説明である。以下、図6及び図7を用いて第1のリファレンス画像と第2のリファレンス画像とを線形位置合わせすることで、第2の治療計画用の医用画像の撮像範囲を設定する方法を説明する。
【0077】
図6は、位置合わせ結果に応じて撮像範囲を適合させる方法を示す模式図である。図6は、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせできる場合、第1のリファレンス画像に設定された撮像範囲を第2のリファレンス画像に適合させる方法を示す。
【0078】
図6の上部左側は、第1のリファレンス画像IMG1であり、上部右側は、第2のリファレンス画像IMG5である。第2のリファレンス画像IMG5に描出された被検体は、第1のリファレンス画像に描出された被検体よりも頭部を頭頂部側に傾斜させた状態で寝台に横たわっている。即ち、第2のリファレンス画像IM5を撮像したときと、第1のリファレンス画像IMG1を撮像したときとで被検体の寝台への横たわり方が異なる。
【0079】
図6の中段は、第1のリファレンス画像IMG1に第2のリファレンス画像IMG5を重ね合わせた画像IMG6である。θは、第1のリファレンス画像IMG1に対する第2のリファレンス画像IMG5のずれ量を示している。このように、第1のリファレンス画像IMG1と第2のリファレンス画像IMG5とは、異なるタイミングで取得されるため、被検体の寝台への横たわり方が同じにならない場合がある。
【0080】
この場合、第1のリファレンス画像IMG1に関連付けされた撮像条件をそのまま第2の治療計画用のCT画像の撮像に適用できない。そこで、撮像条件変更機能323は、ずれ量θに基づいて、第1のリファレンス画像IMG1に関連付けされた第2の治療計画用画像の撮像範囲IA2を第2のリファレンス画像IMG6に位置合わせする。これにより、撮像条件変更機能323は、撮像範囲IA2を第2の治療計画用のCT画像の撮像範囲IA3に変更する。
【0081】
図6では、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせできる場合を説明したが、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせできない場合、治療計画システム1は、被検体の体位を変更し、再度位置決め画像を取得する。
【0082】
図7は、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像が線形位置合わせできない場合を示す模式図である。図6同様に、上部左側は、第1のリファレンス画像IMG1であり、上部右側は、第2のリファレンス画像IMG7である。
【0083】
図7では、第1のリファレンス画像IMG1を撮像したときと比較して、第2のリファレンス画像IMG7の撮像において、被検体の頭が左側に傾いている場合を例示している。この場合、線形位置合わせによって第1のリファレンス画像IMG1と第2のリファレンス画像IMG7とを位置合わせすることができない。
【0084】
この場合、位置合わせ機能322は、線形位置合わせできない旨をユーザに通知する。また、位置合わせ機能322は、被検体の体位を変更することを推奨する旨をディスプレイ35に表示してもよい。
【0085】
なお、第1のリファレンス画像に第2のリファレンス画像を線形位置合わせできるが、各画像に描出された被検体の領域(以下、描出領域と称する)が異なる場合、撮像条件変更機能323は、第1のリファレンス画像に関連付けされた撮像範囲を第2のリファレンス画像に適用できない場合がある。例えば、第1のリファレンス画像に設定された撮像範囲IA2が第2のリファレンス画像上に描出されていない場合、第2のリファレンス画像に撮像範囲IA2を適用できない。
【0086】
その場合、位置合わせ機能322は、描出領域が異なる旨をユーザに通知する。また、位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像の描出領域と第2のリファレンス画像の描出領域とが一致するように被検体が載置された寝台や撮像装置36の架台を移動させることを推奨してもよい。また、位置合わせ機能322は、第1のリファレンス画像の描出領域と第2のリファレンス画像の描出領域とのずれ量を算出し、当該ずれ量に基づいて、寝台等の移動量を算出してユーザに提示するよう、医用画像診断装置30の各部を構成してもよい。
【0087】
以上がリファレンス情報を利用した第2の治療計画用の医用画像の撮像条件の設定方法の説明である。以下、撮像条件の設定方法に関する表示例を説明する。
【0088】
図8は、第1のリファレンス画像の撮像範囲を第2のリファレンス画像に適用する場合の第1の表示例である。図8は、医用画像診断装置30のコンソール装置31のディスプレイ35において、第2の治療計画用の医用画像の撮像範囲を設定する場合を示している。図8の左側は、治療計画装置10から取得した第1のリファレンス画像IMG4であり、右側は、医用画像診断装置30の撮像装置で取得された第2のリファレンス画像IMG6である。
【0089】
第1のリファレンス画像IMG4には、第2の治療計画用の医用画像の撮像範囲IA2の範囲が重畳表示される。また、第2のリファレンス画像IMG6には、第2の治療計画用の医用画像の撮像範囲IA2の範囲を第2のリファレンス画像IMG6に適合させた撮像範囲IA3が重畳表示される。第1のリファレンス画像IMG4に第2のリファレンス画像IMG6を線形位置合わせし、算出されたずれ量に基づいて第2のリファレンス画像IMG6に撮像範囲IA3が設定される。
【0090】
図9は、第1のリファレンス画像の撮像範囲を第2のリファレンス画像に適用する場合の第2の表示例である。図9図8と異なる点は、図8の右側に示すように、第2のリファレンス画像IMG6と第1のリファレンス画像IMG4とを重畳した画像を表示する点である。
【0091】
即ち、図9は、第1のリファレンス画像IMG4と、第2のリファレンス画像IMG6と第1のリファレンス画像IMG4とを重畳した画像とを並べて表示する例を示している。
【0092】
このように、第1の治療計画で取得された医用画像及び治療計画データを利用して、第2の治療計画用の医用画像の撮像条件を予め設定することで、第2の治療計画用の医用画像の撮像における被曝量を低減することができる。また、第1の治療計画データを利用して、第1の治療計画用の医用画像よりも画質のよい医用画像を取得することができる。
【0093】
さらに、第2の治療計画用の医用画像を実際に撮像する際に、予め設定された撮像条件を実際の撮像条件に適合するよう変更することで、第2の治療計画用の医用画像を効率よく撮像することができる。
【0094】
なお、上述では、第2の治療計画用の医用画像を撮像する場合を例として説明したが、本実施形態は、例えば、放射線治療後のフォローアップ撮像にも適用できる。
【0095】
また、上述では、治療計画システム1を例として説明したが、治療計画システム1が有する各機能は、パーソナルコンピュータやタブレット端末などの放射線治療支援装置で実現されてもよい。
【0096】
具体的には、放射線治療支援装置は、治療計画装置10、放射線治療装置20、医用画像診断装置30とネットワークを介して相互接続し、治療計画システム1が有する各機能をプログラムの形態で記憶回路に記憶し、当該プログラムを処理回路で実行することによって各機能を実現する。この場合、放射線治療支援装置は、ネットワークを介して、治療計画装置10又は放射線治療装置20から治療計画データを取得し、医用画像診断装置30から第2のリファレンス画像を取得する。
【0097】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、治療計画に適した医用画像を取得しつつ、被曝量を低減することができる。
【0098】
請求項の用語と実施形態との対応関係を説明する。なお、以下に示す対応関係は、参考のために示した一解釈であり、本発明を限定するものではない。
【0099】
実施形態における次回撮像条件設定機能112は、撮像条件設定部の一例である。実施形態におけるリファレンス情報生成機能113は、リファレンス情報生成部の一例である。実施形態におけるリファレンス情報取得機能321はリファレンス情報取得部の一例である、実施形態における位置合わせ機能322は、位置合わせ部の一例である。実施形態における撮像条件変更機能323は、撮像条件変更部の一例である。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 治療計画システム
10 治療計画装置
111 治療情報取得機能
112 次回撮像条件設定機能
113 リファレンス情報生成機能
20 放射線治療装置
30 医用画像診断装置
321 リファレンス情報取得機能
322 位置合わせ機能
323 撮像条件変更機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9