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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】携帯端末保持具
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/11 20060101AFI20220207BHJP
   B62J 11/00 20200101ALI20220207BHJP
【FI】
H04M1/11 Z
B62J11/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017218161
(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公開番号】P2019091985
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500283310
【氏名又は名称】株式会社ユニコ
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】建部 広行
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-276251(JP,A)
【文献】特開2010-245972(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107117239(CN,A)
【文献】特開2009-253436(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105549(WO,A1)
【文献】特開2015-163491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00-11/06
B62J 1/00-99/00
H04M 1/02- 1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形平板状の携帯端末が着脱自在に保持される携帯端末保持具において、
前記携帯端末が着脱される平板状の基板と、
前記基板を支持構造体に取り付けるための取付部材と、
前記基板に設けられ、寸法の異なる複数種類の前記携帯端末を前記基板に保持するための複数の係止部材と、を備え、
前記複数の係止部材は、
前記携帯端末の前面に当接して前記基板の面に対して垂直方向である前後方向に移動自在な第1の係止部材と、
前記基板の左端および右端にあって、前記携帯端末の左端および右端に当接し、少なくとも一方が左右方向に移動自在な第2の係止部材と、
前記基板の上端および下端にあって、前記携帯端末の上端および下端に当接し、少なくとも一方が上下方向に移動自在な第3の係止部材と、を備え、
前記第1、第2および第3の係止部材は、それぞれ前記基板の面との距離、左右間の距離および上下間の距離が小さくなる方向に、前記携帯端末を保持するための付勢力を付与する付勢部材を備え
前記第1、第2および第3の係止部材における移動自在な係止部材は、使用者が前記携帯端末を着脱する際に前記使用者が前記携帯端末に加える外力を前記携帯端末から受けることによって、前記付勢部材による前記付勢力に抗して移動するように構成されている、ことを特徴とする携帯端末保持具。
【請求項2】
前記第1の係止部材は、前記第2の係止部材と一体的に移動する構成とされている、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末保持具。
【請求項3】
前記第1および第2の係止部材は、前記携帯端末が装着されるとき、該携帯端末が接触して該第1および第2の係止部材自身が移動するように作用する案内面を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯端末保持具。
【請求項4】
前記第1および第2の係止部材を付勢する前記付勢部材は、これらの係止部材を結束する共通のリング状弾性部材から成る、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯端末保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を保持する携帯端末保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される携帯可能な小型の携帯端末が、自転車、手押し車、自動車などの移動体や、冷蔵庫などの非移動体などに、専用の保持具によって着脱可能に固定されて用いられている。これらの携帯端末は、矩形平板状であって、その前面にタッチパネルなどの操作部を有している。このような携帯端末の保持具として、車両、自動二輪車、自転車などに用いられるものであって、携帯端末に対し、背面に当接する基板と、左右から挟持するクランプと、下端を支える下部突起とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、利用者によって携行される保持具として、矩形の支持基板と、支持基板の各4隅に斜めに渡した伸縮性の紐体とを備えて、支持基板に載置された携帯端末の各4隅を紐体で支持基板に固定するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、片手で携帯端末を着脱できる保持具として、携帯端末に対し、背面に当接する基板と、左右から挟持する側板と、下端を支持するように上方に付勢された底板とを備え、底板の降昇動により側板が開閉動するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-258572号公報
【文献】特開2013-192085号公報
【文献】実用新案登録第3211364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献3に示されるような保持具は、携帯端末を左右端で挟持し、かつ、背面と下端を支持しているが、上端や前面を支持していないので、自転車などの振動の激しい移動体への適用は脱落の虞などがあり難しい。また、特許文献2に示されるような保持具は、携帯端末を背面と前面および上下左右端で保持するものであるが、各4隅の紐体を個別に操作して携帯端末を基板に保持させる動作が必要であり、保持具への装着が煩わしいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解消するものであって、自転車などの振動の激しい移動体へ適用しても携帯端末を確実に保持でき、しかも携帯端末の着脱が容易な携帯端末保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明の携帯端末保持具は、矩形平板状の携帯端末が着脱自在に保持される携帯端末保持具において、携帯端末が着脱される平板状の基板と、基板を支持構造体に取り付けるための取付部材と、基板に設けられ、寸法の異なる複数種類の携帯端末を基板に保持するための複数の係止部材と、を備え、複数の係止部材は、携帯端末の前面に当接して基板の面に対して垂直方向である前後方向に移動自在な第1の係止部材と、基板の左端および右端にあって、携帯端末の左端および右端に当接し、少なくとも一方が左右方向に移動自在な第2の係止部材と、基板の上端および下端にあって、携帯端末の上端および下端に当接し、少なくとも一方が上下方向に移動自在な第3の係止部材と、を備え、第1、第2および第3の係止部材は、それぞれ基板の面との距離、左右間の距離および上下間の距離が小さくなる方向に、携帯端末を保持するための付勢力を付与する付勢部材を備え、第1、第2および第3の係止部材における移動自在な係止部材は、使用者が携帯端末を着脱する際に使用者が携帯端末に加える外力を携帯端末から受けることによって、付勢部材による付勢力に抗して移動するように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯端末保持具によれば、付勢部材を備えた移動自在な係止部材により携帯端末を前後両面、上下両端面、左右両端面の合計6面で保持するので、確実に保持でき、しかも使用者は片手で携帯端末を保持具に着脱自在に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る携帯端末保持具の斜視図、(b)は同保持具に携帯端末を装着した状態の斜視図。
図2】(a)は同保持具を背面から見た斜視図、(b)は同保持具に携帯端末を装着した状態の斜視図。
図3】(a)は同保持具の正面図、(b)は(a)のA-A線断面図、(c)は(a)のB-B線断面図。
図4】(a)は同保持具の右側面の係止部材および右前面の係止部材の分解斜視図、(b)は各部材を背面から見た分解斜視図。
図5】(a)乃至(e)は同保持具に携帯端末を装着する手順を時系列に示す断面図。
図6】(a)(b)(c)はそれぞれ図5(c)(d)(e)に対応する正面図。
図7】(a)は第2の実施形態に係る携帯端末保持具の下部分の正面図、(b)は(a)のC-C線断面図、(c)は同保持具に携帯端末を装着した状態の断面図。
図8】(a)は第3の実施形態に係る携帯端末保持具の正面図、(b)は(a)のD-D線断面図、(c)は同保持具に携帯端末を装着した断面図。
図9】(a)(b)(c)は同保持具に携帯端末を装着する手順を時系列に示す正面図。
図10】(a)は第4の実施形態に係る携帯端末保持具の下部分の斜視図、(b)は同保持具の下部分を背面から見た斜視図。
図11】(a)は同保持具の下部分の正面図、(b)は(a)のE-E線断面図、(c)は同保持具に携帯端末を装着した状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る携帯端末保持具について、図面を参照して説明する。図1乃至図6は、第1の実施形態の携帯端末保持具1を示す。図1図2に示すように、携帯端末保持具1は、前面に操作部を有する矩形平板状の携帯端末9を着脱自在に保持する保持具である。携帯端末9は寸法の異なる複数種類のものがあり、携帯端末保持具1はそれら全てに対応可能とされている。携帯端末保持具1は、携帯端末9が着脱される平板状の基板10と、基板10を支持構造体90に取り付けるための取付部材11と、寸法の異なる複数種類の携帯端末9を基板10に保持するための複数の係止部材2,3,4,40とを備えている。
【0011】
支持構造体90は、例えば、自転車のハンドルの左右に延びる円管の水平部分である。自転車の乗り手は、例えば、ハンドル中央付近に携帯端末保持具1を取り付け、スマートホンなどの携帯端末9を、そのタッチパネル式の操作画面が操作できるように携帯端末保持具1に保持させる。
【0012】
基板10は、着脱される携帯端末9の外形より小さい外形を有し、その縦長中央部は、携帯端末9を着脱する際に携帯端末9を把持する手の指が当たらず操作しやすように、横幅の小さいくびれたデザイン形状を有する。基板10の背面の略中央には、取付部材11が備えられている。
【0013】
複数の係止部材2,3,4,40は、基板10の前面に突出配置されている。係止部材2は、携帯端末9の前面に当接し、係止部材3は、携帯端末9の左右両側面に当接し、係止部材4は、携帯端末9の上端面に当接し、係止部材40は、基板10の下端部に設けられ、携帯端末9の下端面に当接する。携帯端末9は、その背面が基板10の前面に当接することで、前面、背面、上下両端面、左右両端面の合計6面で保持される。係止部材2,3,4は、基板10に対して相対移動自在であり、携帯端末9が装着されるときに移動するが、その移動を妨げる方向に付勢力を付与する係止部材2,3用の付勢部材6および係止部材4用の付勢部材7を備えている。係止部材2,3,4は、使用者が携帯端末9を携帯端末保持具1に着脱する際に、使用者が付勢力に抗して携帯端末9に加える外力によって、移動する。係止部材2,3,4,40は、最も小型、薄型と考えられる厚み、左右寸法、上下寸法を有する携帯端末9が装着されるときにも、これらを押し拡げて装着されるような寸法関係に構成されている。
【0014】
係止部材2は、携帯端末9の前面に当接して基板10の面に対して垂直方向である前後方向に移動自在な部材(第1の係止部材)である。係止部材2は、基板10の下部の左右に、基板10の前面に覆い被さるオーバーハング状態で左右対称に配置されている。係止部材2は係止部材3にピギーバック(おんぶ)状態で一体化され、一体的に移動する構成とされており、係止部材3が左右方向に移動した位置で、係止部材2が前後方向に移動する。係止部材2は、左右に係止部材3と一体移動するので、携帯端末9の左右の大きさにかかわらず常に左右両端部を保持でき、携帯端末9の操作面への干渉を抑制できる。
【0015】
係止部材3は、基板10の左端および右端にあって、携帯端末9の左端および右端に当接し、少なくとも一方(本実施形態では両方)が左右方向に移動自在な部材(第2の係止部材)である。係止部材3は、基板10の下部の左右に、左右対称に配置されている。係止部材3は、基板10の背面に備えられた左右方向のガイド10aに沿って左右に移動する。ガイド10aは、左右の係止部材3に対応して基板10の背面下部の左右に、上下一対となって基板10から突出するように設けられ、それらのうちの下側のものは、係止部材40が背面側に突出することにより設けられている。
【0016】
係止部材2,3を付勢する付勢部材6は、本実施形態では、これらの係止部材を結束する共通のリング状弾性部材、例えばゴムバンドから成る。付勢部材6は、基板10の下部および4つの係止部材2,3の全体を結束するように、これらの外周Lに沿って配置されている。付勢部材6は、係止部材2と基板10の面との距離、および左右の係止部材3間の距離が小さくなる方向に付勢力を付与する。携帯端末9は、その下部において付勢部材6の付勢力により、前後間を係止部材2と基板10とによって挟持され、左右間を係止部材3によって挟持される。付勢部材6は、本実施形態では、基板10を含めて結束するものを示したが、基板10を含めずに係止部材2,3を結束する形態であっても構わない。
【0017】
係止部材4,40は、それぞれ基板10の上端および下端にあって、携帯端末9の上端および下端に当接し、少なくとも一方(本実施形態では上端の係止部材4)が上下方向に移動自在な部材(第3の係止部材)である。係止部材4は、基板10の上部中央に配置されいる。係止部材4は、基板10上端の前面側に覆い被さるオーバーハング状態とした当接部41と、当接部41に連続して、基板10の背面側に位置する平板状の摺動部42と、を有する。摺動部42は、基板10の背面に突出するように設けられた一対のガイド10bに挿通され、ガイド10bに沿って上下に移動する。摺動部42は、その下部の先端にガイド10bから抜け出るのを防止する抜止爪4bを有している。移動可能な係止部材4は、本実施形態では、基板10の上端にあるものを示したが、下端にある形態であっても構わない。
【0018】
係止部材4を付勢する付勢部材7は、例えば、コイルスプリングであり、摺動部42に設けられた支持部7aと、基板10に設けられた支持部7b(図3参照)との間に、張力を発生する状態で懸架されている。係止部材4は、上下の係止部材4,40間の距離が小さくなる方向に付勢力を付与する。
【0019】
係止部材40は、基板10の下辺に左右対称に壁状に立設されている。係止部材40は、付勢部材7の付勢力による携帯端末9からの力に抗して、携帯端末9の下端を支持する。この係止部材40は、係止部材4と対になって携帯端末9の上下方向を規制するものである。
【0020】
取付部材11は、支持構造体90に嵌合するための溝部を有する枕体11aと、溝部に配置されたライナ11bと、枕体11aをライナ11bを介して支持構造体90に結束する結束バンド11cと、を有する。ライナ11bは、緩衝材かつ滑り止め材であり、例えば種々のゴムをシート状に成形したものである。結束バンド11cは、例えば、面ファスナである。結束バンド11cは、基板10と枕体11aの隙間を通して基板10に装着される。
【0021】
次に、図3図4を参照して、係止部材2,3,4,40の詳細構造を説明する。係止部材2は、基板10の前面に平行となる面であって携帯端末9の前面に接して押圧する押圧面2aを有する押圧部21と、押圧面2aから立設され、係止部材3の挿通孔3c,3gに挿入される摺動部22とを有する。押圧部21は、押圧面2aの上辺側に設けられた斜面からなり携帯端末9を案内する案内面2bと、押圧面2aの裏面2cの上辺と下辺の位置に互いに離間し左右方向に延びる2本の凸条2dと、を有する。裏面2cと凸条2dとは、付勢部材6を案内配置するためのものとなる。案内面2bは、付勢部材6の付勢力に抗して携帯端末9の下部が挿入され装着される際に、携帯端末9が接触して係止部材2自身が移動するように作用する。摺動部22は、可撓性を有した2つの脚部2eと、脚部2eの先端に互いに外向きに設けられ、摺動部22が係止部材3の挿通孔3c,3gから抜け出るのを防止する抜止爪2fとを有する。
【0022】
係止部材3は、装着される携帯端末9の側面に接して押圧する押圧面3aを有する角柱状の押圧部31と、押圧部31と一体であって、基板10に左右上下に各一対設けられたガイド10a,10aの間に挿通される摺動部32とを有する。押圧部31は、押圧面3aの上辺側に設けられた直角三角柱の斜面からなり携帯端末9を案内する案内面3bを有し、内部に挿通孔3c,3gを有する。案内面3bは、係止部材3の間に携帯端末9を挿入する際に、係止部材3自身を移動させるように作用する。挿通孔3cと挿通孔3gは、係止部材2の抜止爪2fが係合するための段差(図3(c)参照)を有して連通している。押圧面3aの裏面側には、付勢部材6を案内配置するための前後に延びる凸条3dが設けられている。摺動部32は、可撓性を有した2つの脚部3eと、脚部3eの先端に互いに外向きに設けられ、摺動部32がガイド10aから抜け出るのを防止する抜止爪3fとを有する。
【0023】
付勢部材6は、左右の係止部材2の押圧部21と、左右の係止部材3の押圧部31と、左右の各ガイド10aとを内部に含む外周L(図1参照)上に配置され、単一の付勢部材6によって、係止部材2,3を付勢する。左右各一対のガイド10aは、基板10の背面において、前面における押圧部21,31と同様に、付勢部材6を案内配置する。
【0024】
係止部材4は、その当接部41の湾曲した内面に、携帯端末9に当接して滑り止めおよび緩衝材となるライナ44を備えている。当接部41は、その端部側が基板10の前面から離れる傾斜面を有し、傾斜面のいずれかの位置で携帯端末9の上部前面の辺縁に当接し、付勢部材7による付勢力によって携帯端末9を基板10に保持する。当接部41は、傾斜面を有することにより、携帯端末9の異なる厚みに対応して保持できる。
【0025】
次に、図5図6を参照して、携帯端末保持具1に携帯端末9を装着する手順を説明する。図5(a)(b)に示すように、使用者は、携帯端末9を片手に持って、携帯端末9の上端を係止部材4の内面に当接させ、携帯端末9の下端が係止部材3よりも上方に位置するように、係止部材4を移動させる。その後、図5(c)、図6(a)に示すように、携帯端末9の下部を基板10の左右中央に降ろして、基板10の前面に当接させる。
【0026】
さらに、図5(d)、図6(b)に示すように、使用者が付勢部材6からの付勢力に抗して係止部材40に向けて携帯端末9を押し下げることにより、案内面3bの作用によって係止部材3が左右に離間する。携帯端末9の下部は、係止部材3の押圧面3aと基板10との間に進入する状態になり、また、係止部材2の案内面2bに当接する状態となる。
【0027】
さらに、図5(e)、図6(c)に示すように、携帯端末9を押し下げることにより、係止部材2は、案内面2bの作用によって携帯端末9から力を受けて移動し、押圧面2aと基板10との間に携帯端末9を案内する。使用者は、携帯端末9が係止部材40に当接するまで移動させ、携帯端末9から手を離して、携帯端末保持具1への携帯端末9の装着を完了する。
【0028】
携帯端末保持具1に装着された携帯端末9は、係止部材2,3,4,40が携帯端末9の前面、上下端面、および左右端面の5面に当接し、基板10の前面が携帯端末9の背面に当接して、合計6面で付勢部材6,7の付勢力によって保持される。付勢部材6および付勢部材7の付勢力は、携帯端末保持具1が使用される状況、例えば、振動の激しい厳しい環境で用いられるなどを考慮して、任意に設定すればよい。
【0029】
基板10は、例えば、ガイド10a,10b、係止部材40、および取付部材11と共に、樹脂成形により一体に製造してもよく、軽金属材料や樹脂材料と組み合わせて製造してもよい。各係止部材2,3,4についても同様である。付勢部材6は、携帯端末9の前面を隠さないように、例えば、透明または半透明のシリコンゴムの一体成形品が好適に用いられるが、シリコンゴムの一体成形品に限られず、他の金属や樹脂などと組み合わせて構成してもよい。付勢部材7は、コイルスプリングに限られず、張力を発生する任意の弾性部材を用いればよい。
【0030】
本実施形態の携帯端末保持具1によれば、移動自在の付勢された係止部材2,3,4により携帯端末9を保持するので、異寸法の複数種類の携帯端末9に確実に対応できる。また、基板10および係止部材40と、付勢部材6,7を備えた係止部材2,3,4とにより、携帯端末9を前面、背面、上下面、左右面の6面で保持するので、携帯端末9を確実に保持でき、着脱が容易である。係止部材2,3が有する案内面2b,3bに携帯端末9を押し当てることにより携帯端末9を携帯端末保持具1に装着できるので、片手で容易に着脱できる。
【0031】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の携帯端末保持具1を示す。本実施形態の携帯端末保持具1は、第1の実施形態の携帯端末保持具1とは、係止部材2,3を付勢する構成が異なり、他は同様である。携帯端末保持具1は、係止部材2,3を一括して付勢する付勢部材8を、基板10の背面側に備えている。付勢部材8は、張力を発生する弾性部材80と、弾性部材80の両端にそれぞれ接続されたと伝達部材81とを備えている。
【0032】
弾性部材80は、例えばコイルスプリングである。伝達部材81は、伸縮性のない紐状またはシート状の部材であり、弾性部材80の張力を係止部材2,3に伝達する。各伝達部材81は、一端を弾性部材80の端部に接続され、他端を係止部材2の摺動部22における端部に接続されている。係止部材3は、その摺動部32の一部に、伝達部材81の中途に接触して伝達部材81の両端間の経路を直角に曲げる曲面33を有している。曲面33は、円柱状の曲面を有し、その曲面に沿って伝達部材81の中途部分の向きを変えて摺動させる。曲面33は、プーリなどの回転体で構成してもよい。
【0033】
係止部材2は、伝達部材81から弾性部材80の張力Tを受けて、基板10の前面に垂直な方向の押圧力を、携帯端末9に及ぼす。また、係止部材3は、曲面33等を介して伝達部材81から、張力Tに基づく左右内向きの押圧力を、携帯端末9の左右側面に及ぼす。携帯端末保持具1は、付勢部材8によって係止部材2,3を付勢し、携帯端末9を、その左右面と、前面と、背面とから保持する。
【0034】
(第3の実施形態)
図8図9は、第3の実施形態の携帯端末保持具1を示す。図8に示すように、本実施形態の携帯端末保持具1は、第1の実施形態の携帯端末保持具1における左右に備えた移動可能な係止部材2,3を右側だけに備えている。左側の係止部材5は、例えば、第1の実施形態における係止部材4と同様の係止部材を、基板10に対する固定位置を調整可能に半固定構造としたものである。係止部材5は、固定ねじ5aによって基板10の背面に固定されており、固定ねじ5aを緩めて固定位置を調整することができる。
【0035】
また、右側の移動可能な係止部材2,3は、例えば、第2の実施形態の携帯端末保持具1における付勢部材8を用いて付勢される。弾性部材80の一端は基板10に直接固定され、他端は係止部材2の摺動部22における端部に接続されている。
【0036】
携帯端末保持具1への携帯端末9の装着は、図9(a)に示すように、初めに、携帯端末9によって上方の係止部材4を上方に移動させ、携帯端末9の右下端角部が係止部材3の案内面3bに当接する位置に配置して行われる。次に、図9(b)に示すように、携帯端末9を右方に移動させることにより係止部材3を右方に移動させ、携帯端末9の左端が係止部材5の内部に移動可能な状態とする。最後に、図9(c)に示すように、携帯端末9を下方に移動させ、係止部材2と基板10との間、および係止部材5と基板10との間に携帯端末9を挿入して、携帯端末9の装着が完了する。
【0037】
(第4の実施形態)
図10図11は、第4の実施形態の携帯端末保持具1を示す。本実施形態の携帯端末保持具1は、第1の実施形態の携帯端末保持具1における係止部材2,3に共通のリング状の付勢部材6に替えて、係止部材2用の左右2つの付勢部材61と、係止部材3用の1つの付勢部材62とを備えている。付勢部材61,62は、本実施形態ではコイルスプリングであって両端間に張力が発生する態様で用いられる。付勢部材61,62は、コイルスプリングに限られず、張力を発生できる任意の弾性材料、例えば、ゴムで構成してもよく、輪ゴムやOリングなどを用いてもよい。
【0038】
左側の付勢部材61は、係止部材2の左側面に設けられた突起状の支持部6aと、係止部材3の左側面の下部に設けられた突起状の支持部6bとの間に、張力を発生する状態で懸架されている。右側の付勢部材61は、左側の付勢部材61と同様に、係止部材2,3の右側面に懸架されている。各付勢部材61は、係止部材2,3間の前後の距離が小さくなる方向に付勢力を付与する。係止部材3が基板10の背面に備えられているので、係止部材2は、基板10の面との距離が小さくなる方向に付勢力を付与される。突起状の支持部6a,6bの両方またはいずれか一方に替えて、係止部材2または3に孔や凹部を備え、付勢部材61の端部を孔や凹部に支持させてもよい。
【0039】
付勢部材62は、左右の各係止部材3の摺動部32に設けられた突起状の支持部6c,6c間に、張力を発生する状態で懸架されている。付勢部材62は、係止部材3,3間の左右の距離が小さくなる方向に付勢力を付与する。突起状の支持部6cに替えて、係止部材3に孔や凹部を備え、付勢部材62の端部を孔や凹部に支持させてもよい。
【0040】
本実施形態の携帯端末保持具1によれば、付勢部材61,62が、リング状の付勢部材6とは異なり、携帯端末9の側面と背面側にあって前面にはないので、スマホなどの携帯端末の表示画面の視野を広くできる。付勢部材61,62は、それぞれ独立しているので、設計自由度が高く、携帯端末保持具1の用途に応じて張力を適切に設定できる。
【0041】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成としてもよい。例えば、第1の実施形態の携帯端末保持具1において、係止部材3が上方の係止部材4に向けて突出する突出量を、例えば、左の係止部材3で小さくし、右の係止部材3で大きくして、第3の実施形態に示した手順で携帯端末9を装着するようにしてもよい。この場合、非保持状態の左右の係止部材3の案内面3b間の最大間隔よりも大きな左右幅を有する携帯端末9であっても、容易に片手で携帯端末9を、左右の係止部材3の間に保持させることができる。
【0042】
また、各実施形態における係止部材4,5は、携帯端末9の上部前面の辺縁に当接して携帯端末9を保持する傾斜面に替えて、付勢部材を有する係止部材2と同様の構成を備えて、携帯端末9の上部前面を保持するようにしてもよい。係止部材2は、係止部材3に備えることに替えて、基板10に固定された係止部材40に備えるようにしてもよい。
【0043】
上述の各実施形態において、移動可能な係止部材2,3を共通の付勢部材6または付勢部材8で付勢する例を示したが、係止部材2と係止部材3とをそれぞれ個別の付勢部材で付勢するようにしてもよい。複数の係止部材のうち移動自在とされていない、例えば、係止部材40は、基板10に対する固定位置を調整可能にねじなどによって半固定構造としてもよい。取付部材11は、支持構造体90に対する基板10の姿勢を変化させることができる首振り機構や携帯端末9を90度回転する回転機構などを備えてもよく、基板10と取付部材11とは互いに着脱自在としてもよい。取付部材11は、結束バンド11cによって基板10を支持構造体90に取り付けることに替えて、ねじ止めで取り付ける構成としてもよい。また、取付部材11は、自転車に限られず、手押し車、自動車などの移動体や、冷蔵庫などの非移動体などに基板10を固定する構造としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 携帯端末保持具
2 係止部材(第1の係止部材)
2b 案内面
3 係止部材(第2の係止部材)
3b 案内面
4 係止部材(第3の係止部材)
40 係止部材(第3の係止部材)
5 係止部材(第2の係止部材)
6 付勢部材
61 付勢部材
62 付勢部材
7 付勢部材
8 付勢部材
9 携帯端末
10 基板
11 取付部材
90 支持構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11