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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】無線充電送信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20220207BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20220207BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
H02J50/10
H01F27/28 176
H01F38/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017245520
(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2018102124
(43)【公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2016-0175415
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0087103
(32)【優先日】2017-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】516131681
【氏名又は名称】アモテック シーオー,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ギョンチュン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヒ、チョル
(72)【発明者】
【氏名】ファン、スン、ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン、ウン
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-155307(JP,A)
【文献】特開2014-207366(JP,A)
【文献】特開2008-235860(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014430(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H01F 38/14
H01F 27/28
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルユニット;
前記複数のコイルユニットの一側に配置される磁場遮蔽シート
前記磁場遮蔽シートの一側に付着する放熱プレート;および
前記複数のコイルユニットを収容する放熱ブラケットを含
前記放熱プレートは、前記放熱ブラケットの一側面を覆っている前記磁場遮蔽シートの露出面および外側の終端を覆うように配置される、無線充電送信モジュール。
【請求項2】
前記放熱ブラケットはグラファイトを含む、請求項1に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項3】
前記磁場遮蔽シートは、Ni-Znフェライトシートで形成され、
前記放熱プレートは金属材質で形成される、請求項1に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項4】
前記放熱プレートは、アルミニウム材質で形成される、請求項3に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項5】
前記磁場遮蔽シートの厚さ(A)と前記放熱プレートの厚さ(B)は、「0<A/B<1」の関係式を満足する、請求項4に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項6】
前記複数のコイルユニットは、前記放熱ブラケットの一側に配置される第1コイルユニットと、前記放熱ブラケットの他側に並んで配置される一対の第2コイルユニットを含み、
前記第1コイルユニットは、前記一対の第2コイルユニットと重なる、請求項に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項7】
前記放熱ブラケットは、第1面に設けられて前記第1コイルユニットを収容する第1載置溝と、前記第1面と反対側の第2面に並んで設けられて前記一対の第2コイルユニットを収容する一対の第2載置溝を含み、
前記第1載置溝と前記一対の第2載置溝はその一部の面積が重なって重複領域を形成し、
前記磁場遮蔽シートは、前記放熱ブラケットの前記第2面を覆うように配置される、請求項に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項8】
前記重複領域のうち少なくとも一部の領域は、前記放熱ブラケットを貫通するように形成されて前記一部の領域を通じて前記第1載置溝と前記一対の第2載置溝が連通する、請求項に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項9】
前記第1載置溝は前記第1コイルユニットの厚さと同じ深さを有し、
前記一対の第2載置溝は前記一対の第2コイルユニットの厚さと同じ深さを有する、請求項に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項10】
前記第1載置溝から突出して前記第1コイルユニットの内側を支持する第1支持部と、
前記一対の第2載置溝から突出して前記一対の第2コイルユニットの内側を支持する一対の第2支持部をさらに含む、請求項に記載の無線充電送信モジュール。
【請求項11】
前記第1支持部は前記第1載置溝の深さと同じ高さを有し、
前記一対の第2支持部は前記一対の第2載置溝の深さと同じ高さを有する、請求項10に記載の無線充電送信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線充電送信モジュールに関し、より詳細には、軽く、かつコイルユニットで発生した熱を効率的に放熱できる無線充電送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車両内で簡便に携帯用端末のバッテリーを充電できる無線充電送信モジュールの使用が次第に増加している。
【0003】
車両内無線充電の場合、コンソールボックスのような広い空間で携帯電話を充電しなければならないため、携帯電話の位置が移動したときにも充電を持続するために充電可能な面積が広いWPC規格の3個のコイルユニットを備えた無線充電送信モジュールが使われている。
【0004】
このような無線充電送信モジュールは、コイルユニットで発生する磁場を吸収するように設けられた磁場吸収素材を含む。
【0005】
従来の自動車産業では、磁場吸収素材で低透磁率センダスト(SENDUST)素材を射出してコイルユニットを載置する方法を使うか、高透磁率の薄膜フェライトの上にコイルユニットを付着する方法を使っていた。
【0006】
しかし、センダスト素材の場合、透磁率が低いため効率性が劣る問題があり、薄膜フェライトの場合、薄膜フェライトの脆性によって壊れやすいためコイルユニットを載置させることが難しいという問題があった。
【0007】
また、無線充電送信モジュールが高速無線充電を遂行するようにするためには、無線充電送信モジュールに高電力を供給しなければならないが、無線充電送信モジュールに高電力が供給される場合、コイルユニットにおいては適正の水準より多くの熱が発生する。したがって、コイルユニットで発生する熱によって無線充電送信モジュールに高電力を使うことが困難であり、そのため、無線充電速度を向上させることに制約がある。
【0008】
このため、高透磁率の磁気吸収材上にコイルユニットを安定して載置できるとともに、放熱性が良好であるため高速充電時にも発熱を最小化し、製造ばらつきを最小化できる素材および構造技術が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一側面は、コイルユニットの熱を効率的に放熱できる無線充電送信モジュールを提供することである。
【0010】
本発明の他の側面は、十分な磁場の遮蔽効果および放熱性能を有しつつ、軽量化が可能な無線充電送信モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面に係る無線充電送信モジュールは、複数のコイルユニットと、前記複数のコイルユニットの一側に配置される磁場遮蔽シートおよび前記磁場遮蔽シートの一側に付着する放熱プレートを含む。
【0012】
また、前記複数のコイルユニットを収容する放熱ブラケットを含み、前記放熱ブラケットはグラファイトを含む。
【0013】
また、前記磁場遮蔽シートは、Ni-Znフェライトシートで形成され、前記放熱プレートは金属材質で形成される。
【0014】
また、前記放熱プレートはアルミニウム材質で形成される。
【0015】
また、前記磁場遮蔽シートの厚さ(A)と前記放熱プレートの厚さ(B)は、「0<A/B<1」の関係式を満足させる。
【0016】
また、前記磁場遮蔽シートは、0.5mm以下に形成される。
【0017】
また、前記磁場遮蔽シートは前記放熱ブラケットの一側面を覆っている前記磁場遮蔽シートの露出面を覆うように配置される。
【0018】
また、前記放熱プレートは前記放熱ブラケットの一側面を覆っている前記磁場遮蔽シートの露出面および外側終端を覆うように配置される。
【0019】
また、前記複数のコイルユニットは、前記放熱ブラケットの一側に配置される第1コイルユニットと、前記放熱ブラケットの他側に並んで配置される一対の第2コイルユニットを含み、前記第1コイルユニットは前記一対の第2コイルユニットと重なる。
【0020】
また、前記放熱ブラケットは、第1面に設けられて前記第1コイルユニットを収容する第1載置溝と、前記第1面と反対側である第2面に並んで設けられて前記一対の第2コイルユニットを収容する一対の第2載置溝を含み、前記第1載置溝と前記一対の第2載置溝はその一部の面積が重なって重複領域を形成し、前記磁場遮蔽シートは前記放熱ブラケットの前記第2面を覆うように配置される。
【0021】
また、前記重複領域の少なくとも一部の領域は、前記放熱ブラケットを貫通するように形成されて前記一部の領域を通じて前記第1載置溝と前記一対の第2載置溝が連通される。
【0022】
また、前記第1載置溝は前記第1コイルユニットの厚さと同じ深さを有し、前記一対の第2載置溝は前記一対の第2コイルユニットの厚さと同じ深さを有する。
【0023】
また、前記第1載置溝から突出して前記第1コイルユニットの内側を支持する第1支持部と、前記一対の第2載置溝から突出して前記一対の第2コイルユニットの内側を支持する一対の第2支持部をさらに含む。
【0024】
また、前記第1支持部は前記第1載置溝の深さと同じ高さを有し、前記一対の第2支持部は前記一対の第2載置溝の深さと同じ高さを有する。
【発明の効果】
【0025】
上述した通り、本発明の一側面に係る無線充電送信モジュールは放熱ブラケットと放熱プレートを通じてコイルで発生した熱をより効率的に拡散および放熱することができる。
【0026】
また、本発明の他の一側面に係る無線充電送信モジュールは磁場遮蔽部材として Ni-Znフェライトシートを使うため、十分な磁場者平衡化を維持しつつ、軽量化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施例に係る無線充電送信モジュールの斜視図。
図2図1の無線充電送信モジュールをAA’方向に切断した断面斜視図。
図3図1の無線充電送信モジュールの分解斜視図。
図4図1の無線充電送信モジュールの底面分解斜視図。
図5】本発明の第1実施例に係る無線充電送信モジュールの複数個のコイルユニットの積層された状態を示した平面図。
図6】本発明の第1実施例に係る無線充電送信モジュールにおいて、載置溝を形成した例を示した平面図。
図7】本発明の第2実施例に係る放熱ブラケットの断面斜視図。
図8】本発明の第1実施例に係る無線充電送信モジュールの概略図。
図9】本発明の第3実施例に係る無線充電送信モジュールの断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
明細書の全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指し示す。本明細書が実施例のすべての要素を説明しているのではなく、本発明が属する技術分野における一般の内容または実施例間に重複する内容は省略する。明細書で使われる「部、モジュール」という用語は、ソフトウェアまたはハードウェアで具現され得、実施例によって複数の「部、モジュール」が一つの構成要素で具現されるか、一つの「部、モジュール」が複数の構成要素を含むことも可能である。
【0029】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
第1、第2等の用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために使われるものであって、構成要素が前述された用語によって制限されるものではない。
【0031】
単数の表現は文脈上明白に例外がない限り、複数の表現を含む。
【0032】
以下、添付された図面を参照して本発明の作用原理および実施例について説明する。
【0033】
図1は本発明の第1実施例に係る無線充電送信モジュールの一面を図示した図面であり、図2図1の無線充電送信モジュールをAA’方向に切断した断面を図示した図面であり、図3図1の無線充電送信モジュールを一面の方向から見た分解斜視図であり、図4図1の無線充電送信モジュールを他面の方向から見た分解斜視図である。
【0034】
図1図4を参照すると、本発明の第1実施例に係る無線充電送信モジュール100は、複数個のコイルユニット111、112、放熱ブラケット120、磁場遮蔽シート130および放熱プレート140を含む。
【0035】
開示された発明に係る無線充電送信モジュール100は充電が必要な電子機器側に無線電力を送出するためのものである。ここで電子機器は、携帯電話、PDA、PMP、タブレット、マルチメディア機器などのような携帯用電子機器であり得る。また、無線充電送信モジュール100は車両内に備え付けられるか設置され得る。
【0036】
コイルユニット111、112は、無線電力を送出して電子機器が必要とする電力を伝達する役割を遂行する。コイルユニット111、112は電子機器に内蔵された受信コイル側に無線電力を送出する送信コイルの役割を遂行し、この場合、電磁気誘導現象に基づいた誘導結合方式が適用され得る。コイルユニット111、112は多様に構成され得、一例として平板型コイルで設けられ得る。
【0037】
電子機器側にはコイルユニット111、112と対応する別途の受信用アンテナ(一例として、受信コイルユニット(Rx coil))が備えられる。受信用アンテナにはコイルユニット111、112で変化する磁場の変化を通して電流が誘導され、これによって電力が伝えられる。
【0038】
コイルユニット111、112はQi方式で作動することができ、PMA方式で作動することができ、Qi方式とPMA方式が混ざった形態で作動することができる。
【0039】
コイルユニット111、112は、両端部側に一対の連結端子を有する所定の長さの導電性部材が時計回り方向または反時計回り方向に複数回巻かれる円形、楕円形または四角形状の平板状に備えられ得る。ここで、導電性部材は銅のような導電性を有する金属材質であり得、所定の線径を有する複数個の筋が長さ方向に沿ってよれた形態で備えられてもよい。
【0040】
コイルユニット111、112は複数個で備えられ得、複数のコイルユニット111、112は少なくとも一部が互いに重なるように積層され得る。図5は複数個のコイルユニット111、112が互いに重なるように積層された様子の一例を図示した図面であって、WPC A13標準コイルが一例として図示されている。
【0041】
図5に図示した通り、コイルユニット111、112は3個で備えられ得、3個のコイルユニット111、112のうちいずれか一つのコイルユニット111が残りの二つのコイルユニット112の上部側に配置されるものの、残りの二つのコイルユニット112とそれぞれ一部が互いに重なる(A1、A2、A3、A4)ように配置され得る。
【0042】
以下では、説明の便宜上、前記のいずれか一つのコイルユニット111を第1コイルユニット111と呼称し、同一面上に配置される残りの二つのコイルユニット112を一対の第2コイルユニット112と呼称する。しかし、本発明のコイルの配置形態を図5に図示されたような結合および配置関係に限定するのではなく、第1コイルユニット111および第2コイルユニット112の上下の配置関係およびコイルユニットの全体の個数は多様に変更され得ることを明白にしておく。
【0043】
放熱ブラケット120は複数個のコイルユニット111、112の位置を固定するためのものである。すなわち、複数個のコイルユニット111、112の一部が互いに重なるように積層配置される場合、コイルユニット111、112の間に重なった領域が目的とする位置および面積に重なるようにする。
【0044】
図3および図4を参照すると、放熱ブラケット120は互いに反対面である第1面120aと第2面120bを有して所定の面積を有する板状の部材からなり、第1面120aと第2面120bには少なくとも一つの載置溝121、122が所定の深さに陥没するように形成され得る。
【0045】
本実施例において、複数個の載置溝121、122は、複数個のコイルユニット111、112のうち上部に配置される第1コイルユニット111を収容するための第1載置溝121と同一面上に配置される二つの第2コイルユニット112をそれぞれ収容するための二つの第2載置溝122を含む。
【0046】
図6は複数個の載置溝121、122の形成例を図示した図面である。
【0047】
図6を参照すると、第1載置溝121および第2載置溝122は互いに反対面にそれぞれ形成される。すなわち、第1載置溝121は放熱ブラケット120の第1面120aに形成され、第2載置溝122は放熱ブラケット120の第2面120bに形成される。
【0048】
また、第1載置溝121および第2載置溝122は少なくとも一部の面積が互いに重なる重複領域S1、S2を形成するように、第1面120aと第2面120bにそれぞれ形成される。
【0049】
これにより、作業者が第1載置溝121に第1コイルユニット111を挿入し、第2載置溝122に第2コイルユニット112をそれぞれ挿入すると、前述した重複領域S1、S2のうち一部の領域S11、S22と対応する位置で第1コイルユニット111は第2コイルユニット112とそれぞれ重なるように配置される。
【0050】
このとき、重複領域S1、S2のうち一部の領域S11、S22は放熱ブラケット120を貫くように形成される。したがって、重複領域S1、S2のうち一部の領域S11、S22は、第1載置溝121と第2載置溝122を互いに連通させて第1載置溝121に配置される第1コイルユニット111の一部が第2載置溝122に配置される第2コイルユニット112の一部と互いに接触され得るようにする。
【0051】
このため、第1載置溝121および第2載置溝122を形成する過程において、互いに重なる重複領域を要求される規定に合うように位置と面積を形成すると、特に整列作業を遂行する必要なく簡便にコイルユニット111、112間の整列を完了することができる。
【0052】
また、放熱ブラケット120は、第1載置溝121および第2載置溝122の中央部にコイルユニット111、112の中央の空き空間と対応するように突出した支持部123、124を含むことができる。
【0053】
支持部123、124は、第1載置溝121の中央部に第1載置溝121の底面から所定高さ突出する第1支持部123と、第2載置溝122の中央部に第2載置溝122の底面から所定高さ突出する第2支持部124を含むことができる。
【0054】
ここで、第1支持部123および第2支持部124はそれぞれの載置溝121、122の深さと同じ高さを有するように形成され得る。
【0055】
このような支持部123、124は、それぞれのコイルユニット111、112の挿入時にコイルユニット111、112の中央部の空き空間に位置してコイルユニット111、112の内側と接触され得る。これを通じて、それぞれの載置溝121、122に挿入されたコイルユニット111、112は、内側が支持部123、124によってそれぞれ支持され、外側が載置溝121、122の内壁によって支持され得る。これによって、無線充電送信モジュール100の揺れ、一例として、車両の走行中に発生可能な揺れが発生しても第1コイルユニット111および第2コイルユニット112の位置がそれぞれの載置溝121、122によって固定されて、それぞれのコイルユニット111、112が流動することを防止することができる。
【0056】
このとき、支持部123、124はコイルユニット111、112の中央部の空き空間と対応する形状および面積を有するように備えられ得る。これにより、支持部123、124のうち一部の面積は第1載置溝121および第2載置溝122が互いに重なる重複領域に配置され、残りの面積は第1載置溝121および第2載置溝122が互いに重ならない領域に配置される。
【0057】
これによって、第1載置溝121に形成された第1支持部123のうち重複領域S1、S2に配置される一部の面積は第2載置溝122に配置されるコイルユニット112の一部と直接接触して第2載置溝122に配置されるコイルユニット112の一部を支持し、第2載置溝122に形成された第2支持部124のうち重複領域S1、S2に配置される一部の面積は第1載置溝121に配置されるコイルユニット111の一部と直接接触して第1載置溝121に配置されるコイルユニット111の一部を支持することができる。
【0058】
一方、放熱ブラケット120は後述するように、放熱特性を有する素材で設けられて放熱機能が付加されるが、この場合、それぞれのコイルユニット111、112は一面のうち重複領域(A1、A2、A3、A4)を除いた残りの部分がすべて放熱ブラケット120側に接することができるようになるので、放熱ブラケット120との接触面積を最大限確保してコイルユニット111、112で発生する熱が放熱ブラケット120を通じて速やかに拡散するようにすることができる。ここで、放熱ブラケット120の放熱機能は関連する部分で後述する。
【0059】
一方、第1載置溝121および第2載置溝122はコイルユニット111、112の厚さと同じ深さを有するように形成され得、放熱ブラケット120の厚さは互いに積層された二つのコイルユニット111、112の厚さを合わせた厚さと同じ厚さを有することができる。すなわち、放熱ブラケット120の厚さは第1コイルユニット111の厚さと第2コイルユニット112の厚さを合わせた厚さと同じ厚さであり得る。
【0060】
これにより、本発明に係る無線充電送信モジュール100はコイルユニット111、112の位置を整列するための放熱ブラケット120を使用しても厚さが増加することなく、かつ複数個のコイルユニット111、112を簡便に整列するようにすることができる。
【0061】
また、放熱ブラケット120に形成された載置溝121、122にコイルユニット111、112が収容された後、コイルユニット111、112の一面を含んだ放熱ブラケット120の一面が水平面をなすようになるので、磁場遮蔽シート130との接触面積を広げることができる。これにより、磁場遮蔽シート130が放熱ブラケット120により支持され得るので、磁場遮蔽シート130が柔軟性を有するか脆性の強い材質からなるシート形態で製作されても適用が可能となる。
【0062】
一方、放熱ブラケット120の少なくとも一面には、それぞれのコイルユニット111、112に備えられる一対の連結端子111a、112aを収容するためのガイド溝125が形成され得る。このようなガイド溝125は、第1載置溝121および第2載置溝122のうち少なくとも一つと連通するように形成されることによって、該当載置溝121、122にそれぞれ収容されたコイルユニット111、112の連結端子111a、112aが適切に配置され得るようにする。一例として、ガイド溝125は放熱ブラケット120の第2面120bにすべて形成され得るが、ガイド溝125が形成される面が第2面120bに限定されるものではない。
【0063】
このようなガイド溝125は、コイルユニット111、112を構成する導電性部材の線径と略同じ大きさの高さを有するように備えられて放熱ブラケット120の一面に磁場遮蔽シート130が配置される場合、第1コイルユニット111および第2コイルユニット112の一面が磁場遮蔽シート130の一面に完全に面接され得るようにする。
【0064】
一方、開示された発明に係る無線充電送信モジュール100に適用される放熱ブラケット120は、コイルユニット111、112の配置を容易にし位置を固定する役割とともにコイルユニット111、112の作動時にコイルユニット111、112で発生する熱を速やかに拡散させて発熱問題を解消できるように放熱機能を有する素材で設けられ得る。
【0065】
図7は本発明の第2実施例に係る放熱ブラケット120を図示した図面である。
【0066】
本実施例に係る放熱ブラケット120はその外面に放熱性を有するコーティング層126が形成される。
【0067】
ここで、放熱ブラケット120はそれ自体が放熱性を有するプラスチック材質で形成されてもよく、放熱性を有するプラスチック材質からなる放熱ブラケット120の外面に放熱性を有するコーティング層126が形成されてもよい。
【0068】
放熱性を有するコーティング層126は、エポキシ(epoxy)およびグラファイト(graphite)混合組成物からなるコーティング組成物などによって形成され得る。
【0069】
ただし、コーティング層126の種類はこれに限定されず、エポキシ(epoxy)樹脂にはカーボン系フィラーのような熱伝導性フィラー、グラフェン、炭素ナノチューブおよびボロンナイトライドなどのような物質が含まれてもよい。
【0070】
また、放熱性を有するプラスチックとしては、ベース樹脂にグラファイト(graphite)を添加した素材が使われ得る。ここで、ベース樹脂は、ポリカーボネート(PC)樹脂、ABS(acrylonitrile-butadiene-styrene)樹脂、PA6樹脂、PA66樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂およびPBT樹脂を含む群から選択された少なくとも一つを含むことができ、実施例によってベース樹脂にはグラファイトだけでなく、ドーパミンコーティングされたニッケル(Ni)が一緒に添加され得る。
【0071】
本実施例において、放熱ブラケット120はベース樹脂にグラファイトを添加した素材で形成される。
【0072】
しかし、放熱のためのコーティング層126および/または放熱プラスチックの材質はこれに限定されず、放熱のために使われる公知のコーティング材および放熱プラスチックがすべて使われ得ることを明らかにしておく。
【0073】
一方、放熱ブラケット120は他の部材との結合のための少なくとも一つの締結孔が貫通形成され得る。このような締結孔はボルト部材のような締結合体が結合されるか通過することができる。
【0074】
放熱ブラケット120がプラスチック材質からなる場合、締結部材による他の部品との結合時に放熱ブラケット120が破損することを防止することができるように、放熱ブラケット120には所定の面積を有する金属部材が部分的に内蔵され、締結孔が金属部材と対応する位置に形成されることによって、締結力および耐久性を高めることもできる。ここで、金属部材はインサートモールディングを通じて放熱ブラケット120と一体化することができるが、金属部材と放熱ブラケット120の結合方式はこれに限定されるものではない。
【0075】
磁場遮蔽シート130は、コイルユニット111、112の一面に配置されてコイルユニット111、112に誘起する無線電力信号によって発生する磁場を遮蔽すると共に所要の方向に集束させる役割を遂行する。
【0076】
磁場遮蔽シート130は所定の面積を有する板状の部材からなり、放熱ブラケット120の第2面120bを覆うように配置される。磁場遮蔽シート130は磁場を遮蔽すると共に所要の方向に集束させることができるように磁性を有する材質からなる。
【0077】
磁場遮蔽シート130は磁場を遮蔽できる材質であるセンダスト(Fe-Si-Al)粉末にポリマーを含ませたセンダストシート、Mn-Znフェライトシート、またはNi-Znフェライトシートなどを含む。
【0078】
センダストシートは、本実施例の無線充電送信モジュール100に適用されて十分な磁場遮蔽効果を得るためには、厚さが2.3mm以上に形成されなければならないので、薄膜化が難しく、無線充電送信モジュール100の体積および重さが増加する。
【0079】
また、Mn-Znフェライトシートの場合には、センダストシートと対比して浅い厚さで形成され得るものの、素材自体の重さ減少効果が大きくない。
【0080】
したがって、本実施例において磁場遮蔽シート130としては、Ni-Znフェライトシートが使われる。
【0081】
Ni-ZnフェライトシートはMn-Znフェライトシートに比べて薄くて軽い材質であるため、同じコイルユニット111、112を基準として実験した結果、Ni-Znフェライトシートは1.6mmの厚さで2.3mm厚さのセンダストシートと類似の遮蔽効果を得ることができる。また、このような厚さでNi-Znフェライトシートを形成する場合、センダストシートで形成される場合と比べて略32%の重さ減少効果を得ることができる。
【0082】
また、Ni-Znフェライトシートには可撓性(flexibility)を確保するために、焼結後に微細なかけらに粉砕するプレート工程が遂行される。したがって、磁場遮蔽シート130としてNi-Znフェライトシートを使う場合、外部の衝撃が伝えられてもこれによる磁場遮蔽シート130の損傷およびそれによる磁気特性の変更を予防することができる。
【0083】
放熱ブラケット120の一側面を覆う磁場遮蔽シート130は、放熱ブラケットの一側面に対応する一面とその反対側に外部に露出している露出面を含み、磁場遮蔽シート130の露出面には熱の拡散を助ける放熱プレート140が配置される。放熱プレート140はその一面が磁場遮蔽シート130の露出面を覆うように配置される。
【0084】
したがって、コイルユニット111、112で発生した熱は放熱プレート140を通じてよりはやく拡散および放熱され得る。
【0085】
放熱プレート140は、磁場遮蔽シート130と対応するように所定の面積を有する板状の部材で形成されて磁場遮蔽シート130の外面を覆うように配置される。放熱プレート140は高い熱伝導率を有する金属材質で形成される。放熱プレート140は、一例としてアルミニウムであり得るが、これに限定されず、ステンレススチール、銅などのように熱伝導度が良好な金属材質であればどのような材質も可能である。
【0086】
磁場遮蔽シート130と放熱プレート140は互いに一定の関係式を有するように形成され得る。一例として、磁場遮蔽シート130の厚さよりも放熱プレート140の厚さをより厚く形成できるが、磁場遮蔽シート130の厚さをA、放熱プレート140の厚さをBとするとき、下記の関係式を満足することができる。
【0087】
[関係式1]
0<A/B<1
【0088】
本実施例において、磁場遮蔽シート130は0.1mmの厚さを有し、放熱プレート140は1mmの厚さを有することができる。すなわち、磁場遮蔽シート130の厚さよりも放熱プレート140の厚さはより厚く形成され得、好ましくは放熱プレート140の厚さは磁場遮蔽シート130の厚さと比較して2倍以上であり得る。しかし、これに限定されず、必要に応じて磁場遮蔽シート130と放熱プレート140の厚さは前記の[関係式1]を充足する範囲内で調節可能である。
【0089】
図8には無線充電送信モジュール100の概略図を図示した。
【0090】
無線充電送信モジュール100は、前述したコイルユニット111、112、放熱ブラケット(図示されず)、磁場遮蔽シート130および放熱プレート140と共に無線充電送信モジュールの駆動を制御する印刷回路基板150と、無線充電送信モジュール100の外観を形成し、前述した無線充電送信モジュール100の構成を収容するカバー16を含むことができる。
【0091】
このように、印刷回路基板150を有する無線充電送信モジュール100の場合、印刷回路基板150が動作する過程で印刷回路基板150にはEMI(電磁波干渉、Electro Magnetic Interference)が発生せざるを得なくなるが、放熱プレート140は上述した通り、金属であるアルミニウム材質で形成されているだけでなく、磁場遮蔽シート130と印刷回路基板150の間に配置されるので、放熱プレート140が印刷回路基板150で発生したEMIが磁場遮蔽シート130側に伝えられることを防ぐ。すなわち、金属材質である放熱プレート140はEMIを遮断する役割も遂行する。
【0092】
したがって、コイルユニット111、112で発生した磁場が印刷回路基板150で発生するEMIによって妨害されることが防止され、それにより、EMIによるコイルユニット111、112のインダクタンスの減少および抵抗の増加が防止される。
【0093】
本実施例において、放熱プレート140は放熱ブラケット120の一側面を覆っている磁場遮蔽シート130の露出面を覆うように形成されるか、これに限定されるものではない。
【0094】
図9には本発明の第3実施例に係る無線充電送信モジュール100が開示されている。
【0095】
本発明の第3実施例に係る放熱プレート140’は磁場遮蔽シート130’の外面だけでなく、磁場遮蔽シート130’の外側の終端を覆うように配置されて、磁場遮蔽シート130’の外側の終端を通じて伝えられた熱もよりはやく拡散させることができるようになっている。
【0096】
また、実施例によって磁場遮蔽シート130は、フレーク処理されて複数の微細なかけらに分離され得、Ni-Znフェライトの代わりに非晶質金属を利用した薄板磁性シート材質で形成される場合には、多層構造で形成されてもよい。
【0097】
以上、一実施例に係る放熱ブラケット120およびこれを含む無線充電送信モジュール100の構造について詳察した。
【0098】
前述した放熱ブラケットおよびこれを含む無線充電送信モジュール100によると次のような効果を期待することができる。
【0099】
まず、コイルユニット111、112と放熱ブラケット120が隣り合って配置されるようにすることによって、コイルユニット111、112で発生した熱を効果的に除去するようにすることができる。また、無線充電送信モジュール100に放熱機能を有する放熱ブラケット120を適用することによって、コイルユニット111、112の動作時に発生する発熱の問題を改善することができる。
【0100】
それだけでなく、放熱ブラケット120の一面と他面に載置溝121、122を形成して複数個のコイルユニット111、112を認証規格に合うように簡便に配置するようにすることができる。これによって組立生産性を高めることができ、コイルユニット111、112の位置が載置溝121、122を通じて固定されるようにすることによって、受信コイルと送信コイル間の整列位置が変更されることを防止して一定した充電効率を達成することができる。
【0101】
以下、無線充電部品の効率および放熱性を評価するために開示された発明に係る放熱ブラケット120を使ってコイルアッセイ試片を製作し、これを無線充電器の部品に適用して充電効率を測定する実験を遂行した。
【0102】
後述するように[実施例1]、[実施例2]、[比較例1]および[比較例2]の試片を製作してこれを無線充電器の部品に適用して充電効率を測定した。
【0103】
[実施例1]
Ni-Znフェライトフィルムと開示された発明に係る放熱ブラケットが適用されたコイルアッセイ試片を無線充電器の部品に適用した場合である。
【0104】
[実施例2]
[実施例1]の放熱ブラケットの表面にコーティング層を形成した場合である。
【0105】
[比較例1]
センダスト素材を射出してコイルを固定下コイルアッセイ試片を無線充電器の部品に適用した場合である。
【0106】
[比較例2]
Ni-Znフェライトフィルムにコイルを付着したコイルアッセイ試片を無線充電器の部品に適用した場合である。
【0107】
[実施例1]、[実施例2]、[比較例1]および[比較例2]の試片を適用した無線充電送信モジュール100の無線充電効率および発熱性を評価した結果を下記の[表1]に表わした。
【0108】
【表1】
【0109】
実験結果、[実施例1]および[実施例2]の場合、[比較例1]および[比較例2]の場合と比較して充電効率のばらつきが少なく、発熱温度も低いことを確認することができた。
【0110】
以上、添付図面を参照して開示された実施例を説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく開示された実施例と異なる形態で本発明を実施できることが理解できるであろう。開示された実施例は例示的なものであり、限定的なものと解釈されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9