(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】血圧測定装置及び血圧測定装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
A61B5/022 J
(21)【出願番号】P 2018004448
(22)【出願日】2018-01-15
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】西田 知之
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】小原 昇
(72)【発明者】
【氏名】水野 真治
(72)【発明者】
【氏名】北上 耕太郎
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-033829(JP,A)
【文献】特開2004-195056(JP,A)
【文献】特開2006-158543(JP,A)
【文献】実開平02-082305(JP,U)
【文献】実開昭63-197509(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/0295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を構成し、流体を供給する装置本体と、
シート部材で構成され、開口を有する袋状の接続部、及び前記開口に連通する孔部を有し前記接続部よりも曲げ弾性率が高く構成され前記接続部に接合されるとともに前記装置本体に接着される接続プレート、を具備し、内部空間に前記流体が供給されることで膨張する、生体に巻き付けられる、カフと、
を備え
、
前記装置本体は、流路部を有するベースと、前記ベースの一方側に配されるポンプと、前記ベースの他方側に対向配置され前記流路部を覆う流路カバーと、前記流路カバーの他方側に配される裏蓋と、を具備し、
前記接続プレートは、板状に構成され、前記流路カバー及び前記裏蓋の間に配され、一方側の面が前記流路カバーに接着され、他方側の面において前記カフの前記接続部に接合される、血圧測定装置。
【請求項2】
流体の流路を構成し、流体を供給する装置本体と、
シート部材で構成され、開口を有する袋状の接続部、及び前記開口に連通する孔部を有し前記接続部よりも曲げ弾性率が高く構成され前記接続部に接合されるとともに前記装置本体に接着される接続プレート、を具備し、内部空間に前記流体が供給されることで膨張する、生体に巻き付けられる、カフと、
を備え
、
前記装置本体は、流路部を有するベースと、前記ベースの一方側に配されるポンプと、前記ベースの他方側に配される裏蓋と、を備え、
前記接続プレートは前記ベースの他方側に対向配置され前記流路部を覆う流路カバーであり、前記ベースに接着される血圧測定装置。
【請求項3】
前記流路カバーは、ベース板、前記ベース板の一方側に配される第1の接着層、及び前記ベース板の他方側に配される第2の接着層を具備し、
前記接続プレートは前記第2の接着層に貼り付けられる、請求
項1に記載の血圧測定装置。
【請求項4】
内部空間に流体が供給されることで膨張する
カフの、シート部材で構成されるとともに開口を有する袋状の接続部に、前記接続部よりも曲げ弾性率が高く構成されるとともに前記開口に連通する孔部を有する接続プレートを、接合する
、プレート接合工程と、
前記流体の流路を構成し前記流体を供給する装置本体に、前記接続プレートを接着する
接着工程と、を備え
前記装置本体は、流路部を有するベースと、前記ベースの一方側に配されるポンプと、前記ベースの他方側に対向配置され前記流路部を覆う流路カバーと、前記流路カバーの他方側に配される裏蓋と、を具備し、
前記接続プレートは、板状に構成され、前記流路カバー及び前記裏蓋の間に配され、
前記接着工程において、前記接続プレートの一方側の面が前記流路カバーに接着され、他方側の面において前記カフの前記接続部に接合される、血圧測定装置の製造方法。
【請求項5】
内部空間に流体が供給されることで膨張する
カフの、シート部材で構成されるとともに開口を有する袋状の接続部に、前記接続部よりも曲げ弾性率が高く構成されるとともに前記開口に連通する孔部を有する接続プレートを、接合する
、プレート接合工程と、
前記流体の流路を構成し前記流体を供給する装置本体に、前記接続プレートを接着する
接着工程と、を備え
前記装置本体は、流路部を有するベースと、前記ベースの一方側に配されるポンプと、前記ベースの他方側に配される裏蓋と、を備え、
前記接続プレートは前記ベースの他方側に対向配置され前記流路部を覆う流路カバーであり、前記接着工程において、前記ベースに接着される、血圧測定装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧を測定する血圧測定装置及び血圧測定装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば内部空間を有し生体の上腕または手首等に巻き付けられるカフと、カフの内部空間に流体を供給するポンプや圧力センサを備える装置本体と、を備える。例えば、カフを生体の上腕又は手首等に巻き付け、カフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような血圧測定装置において、装置本体とカフとは接続構造部により接続される。接続構造部として、例えば、カフに形成される孔部の周りに凹部を有するニップルが形成されるとともに、装置本体のノズルの周りにはニップルの凹部に係合する円環状の突起が形成されている。ニップルの凹部に装置本体の突起が挿入されて係合することにより、装置本体とカフとが互いに流路を連通させて接続される。このとき、ノズルの周りにOリングなどのシール材を装着することで、接合部分が流体密に塞がれる。
【0004】
このように、突起を有する接続構造部を用いる構成では、接続部分の厚み寸法が大きくなり、装置が大型化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような血圧測定装置において、装置を薄型化できる技術が求められている。
【0007】
そこで本発明は、装置を薄型化できる血圧測定装置及び血圧測定装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、流体の流路を構成し、流体を供給する装置本体と、シート部材で構成され、開口を有する袋状の接続部、及び前記開口に連通する孔部を有し前記接続部よりも曲げ弾性率が高く構成され前記接続部に接合されるとともに前記装置本体に接着される接続プレート、を具備し、内部空間に前記流体が供給されることで膨張する、生体に巻き付けられる、カフと、を備える血圧測定装置が提供される。
【0009】
ここで、流体とは、液体及び空気を含む。カフとは、血圧を測定するときに生体の上腕や手首等に巻き付けられ、流体が供給することで膨張するものであり、例えば、手首で血圧を測定する血圧測定装置に設けられる押圧カフ、センシングカフや上腕で血圧を測定する血圧測定装置に設けられるカフを含む。また、ここでのカフとは、押圧カフを構成する空気袋等の袋状構造体であってもよい。また、ここで、装置本体とは、ポンプや流路を含む血圧測定装置の供給装置である。
【0010】
この態様によれば、カフと供給装置との間に接続プレートを備え、接続プレートをカフに接合し、接続プレートを装置本体に貼り付けることで、カフと装置本体とを容易に接続できる。したがって、突起等を用いた接続構造と比べて接続部分の厚みを小さくすることができる。
【0011】
例えば、可撓性を有するカフが膨張すると、カフの変形により接続部分に応力がかかることから、接続部分が剥がれやすくなることがあるが、上記態様の血圧測定装置は、剛性が高い接続プレートを介在させることで、接続部分の変形を抑制し、変形による剥がれを抑制できる。
【0012】
また、接着部分を剥がすことによりリペアが可能であり、メンテナンス性が良い構成とすることができる。
【0013】
上記一態様の血圧測定装置において、前記カフは、内部空間を有する押圧カフ及びセンシングカフ、並びに前記押圧カフ及び前記センシングカフの内部空間にそれぞれ連通する複数の前記接続部を有し、前記接続部及び前記接続プレートは、前記開口及び前記孔部の周りで互いに接合され、前記内部空間は、前記開口及び前記孔部を介して前記流路に連通する、血圧測定装置が提供される。
【0014】
この態様によれば、押圧カフ及びセンシングカフの内部空間と装置本体の流路に連通させるとともに空気漏れを抑制できる。
【0015】
上記一態様の血圧測定装置において、前記装置本体は、流路部を有するベースと、前記ベースの一方側に配されるポンプと、前記ベースの他方側に対向配置され前記流路部を覆う流路カバーと、前記流路カバーの他方側に配される裏蓋と、を具備し、前記接続プレートは、板状に構成され、前記流路カバー及び前記裏蓋の間に配され、一方側の面が前記流路カバーに接着され、他方側の面において前記カフの前記接続部に接合される、血圧測定装置が提供される。
【0016】
この態様によれば、流路カバーと接続プレートとの接着部分を剥がすことにより、流路カバーがベースを覆った状態で接続プレートを個別に剥がしてリペアすることができ、メンテナンス性が良い。
【0017】
上記一態様の血圧測定装置において、前記装置本体は、流路部を有するベースと、前記ベースの一方側に配されるポンプと、前記ベースの他方側に配される裏蓋と、を備え、
前記接続プレートは前記ベースの他方側に対向配置され前記流路部を覆う流路カバーであり、前記ベースに接着される、血圧測定装置が提供される。
【0018】
この態様によれば、接続プレートを流路カバーとして構成したことにより、部品点数を減らし、製造工程を簡略化することができる。また、流路カバー毎ベースから取り外してリペアすることが可能であり、メンテナンス性が良い。
【0019】
上記一態様の血圧測定装置において、前記流路カバーは、ベース板、前記ベース板の一方側に配される第1の接着層、及び前記ベース板の他方側に配される第2の接着層を具備し、前記接続プレートは前記第2の接着層に貼り付けられる、血圧測定装置が提供される。
【0020】
この態様によれば、接続プレートを流路カバーに取付けることが容易となる。
【0021】
一態様によれば、シート部材で構成され、内部空間に流体が供給されることで膨張する、開口を有する袋状の接続部に、前記接続部よりも曲げ弾性率が高く構成されるとともに前記開口に連通する孔部を有する接続プレートを、接合し、前記流体の流路を構成し前記流体を供給する装置本体に、前記接続プレートを接着する、血圧測定装置の製造方法が提供される。
【0022】
この態様によれば、カフと装置本体とを容易に接続できる。したがって、突起等を用いた接続構造と比べて接続部分の厚みを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、装置を薄型化できる血圧測定装置及び血圧測定装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【
図6】同血圧測定装置の装置本体の構成を示す斜視図。
【
図10】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
【
図11】同血圧測定装置の装置本体とカフ構造体との接続部の構成を示す断面図。
【
図12】同血圧測定装置のカーラ及びカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図13】同カーラ及びカフ構造体の構成を示す断面図。
【
図14】同カフ構造体の押圧カフの膨張時の構成を模式的に示す側面図。
【
図15】同カフ構造体の押圧カフの膨張時の構成を模式的に示す断面図。
【
図16】同血圧測定装置の使用の一例を示す流れ図。
【
図17】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
【
図18】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
【
図19】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る同血圧測定装置の構成を示す分解図。
【
図21】同血圧測定装置の装置本体とカフ構造体との接続部の構成を示す断面図。
【
図22】本発明の第3の実施形態に係る同血圧測定装置の装置本体とカフ構造体との接続部の構成を示す断面図。
【
図23】本発明の第4の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、
図1乃至
図12を用いて以下例示する。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を、ベルト4を閉じた状態で示す斜視図である。
図2は、血圧測定装置1の構成を、ベルト4を開いた状態で示す斜視図である。
図3は、血圧測定装置1の構成を示す分解図である。
図4は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。
図5は、血圧測定装置1の構成を示す斜視図である。
図6は、血圧測定装置1の装置本体3の構成を裏蓋35側から示す斜視図である。
図7及び
図8は、装置本体3の内部の構成をそれぞれ風防32側及び裏蓋35側から示す平面図である。
図8において流路カバー34及びカフ構造体6を一部切り欠いて内部構造を示している。
図9は、装置本体3の内部の構成を、裏蓋35側から示す平面図である。
図9においてカフ構造体6を一部切り欠いて内部構造を示す。
図10は、血圧測定装置1のカフ構造体6の構成をセンシングカフ73側から示す平面図である。
図11は、装置本体3とカフ構造体6との接続部を示す断面図である。
【0027】
図12は、血圧測定装置1のカーラ5及びカフ構造体6の構成を
図10中X-X線断面で模式的に示す断面図である。
図13は、カーラ5及びカフ構造体6の構成を
図10中XI-XI線断面で示す断面図である。
図14及び
図15は、カフ構造体6の押圧カフ71及びセンシングカフ73が膨張したときの一例を側面及び断面で模式的に示す図である。なお、
図12において、カーラ5及びカフ構造体6は、説明の便宜上、直線形状で模式的に示すが、血圧測定装置1に設けられた構成においては、湾曲する形状である。
【0028】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態においては、生体の手首100に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明する。
図1乃至
図15に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、ベルト4と、カーラ5と、押圧カフ71及びセンシングカフ73を有するカフ構造体6と、流体回路7と、を備えている。ここで、押圧カフ71は、本発明の「カフ」の一例である。
【0029】
図1乃至
図8に示すように、装置本体3は、ケース11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、流路部15と、開閉弁16と、圧力センサ17と、電力供給部18と、振動モータ19と、制御基板20と、を備えている。装置本体3は、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17及び制御基板20等によって、押圧カフ71に流体を供給する供給装置である。
【0030】
ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の内部の下方に設けられたベースとしての基部33と、基部33の裏面の一部を覆う流路カバー34と、外郭ケース31の下方を覆う裏蓋35と、を備えている。また、ケース11は、流体回路7の一部を構成する流路チューブ36を備えている。
【0031】
外郭ケース31は、円筒状に形成される。外郭ケース31は、外周面の周方向で対称位置にそれぞれ設けられた一対のラグ31aと、2つの一対のラグ31a間にそれぞれ設けられるバネ棒31bと、を備えている。風防32は、円形状のガラス板である。
【0032】
基部33は、外郭ケース31の下部に設けられ、円板状に形成されている。基部33は一方の主面側に、表示部12、操作部13、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17、電力供給部18、振動モータ19及び制御基板20を保持する。また、基部33は、他方の主面側に流路部15の一部を構成する。
【0033】
基部33の、ポンプ14に対向する位置には貫通孔である孔部33aが形成されている。基部33の一方側、すなわち風防32側において、ポンプ14、開閉弁16、及び圧力センサ17等の部品は、例えば、ホットメルト樹脂や接着材によって封止されている。基部33の他方側、すなわち裏蓋35側の面には、流路部15の一部を構成する溝33bが形成されている。
【0034】
流路カバー34は、基部33の裏蓋35側の面である裏面に固定されている。基部33及び流路カバー34は、一方又は双方に溝が設けられることで、流路部15の一部を構成する。流路カバー34の所定カ所には流路部15とカフの内部空間とを連通させる貫通孔である一対の孔部34eが形成されている。
【0035】
流路カバー34は、ベース板34aと、ベース板34aの一方の面に設けられた第1の接着層34bと、ベース板34aの他方の面に設けられた第2の接着層34cと、を積層して備える。
【0036】
ベース板34aは、高い剛性を持つ材質であればよく、樹脂や金属やセラミックなどから選ばれる。例えば、厚さ0.1mm程度の金属板であり、例えばSUS板、で構成されている。ベース板34aの表面は平坦に形成されている。接着層34b、34cはそれぞれ厚さ0.1mm程度の両面接着テープである。接着層34b、34cは例えば基部33に貼り付けられていてもよく、あるいは接続プレート84に貼り付けられていてもよい。また、両面接着テープに限らず、接着剤などで貼り付けられていてもよい。
【0037】
第2の接着層34cの裏蓋側の面であって孔部34eを含む領域に、押圧カフ71及びセンシングカフ73がそれぞれ接着される。
【0038】
裏蓋35は、外郭ケース31の生体側の端部を覆う。裏蓋35は、例えば4つのビス35a等によって外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。
【0039】
流路チューブ36は、流路部15の一部を構成する。流路チューブ36は、例えば、開閉弁16及び基部33の流路部15を構成する一部を接続する。
【0040】
表示部12は、外郭ケース31の基部33上であって、且つ、風防32の直下に配置される。表示部12は、電気的に制御基板20に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0041】
操作部13は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサ42と、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備える。操作部13は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ42及びタッチパネル43は、電気的に制御基板20に接続され、電気信号を制御基板20へ出力する。
【0042】
複数の釦41は、例えば3つ設けられる。釦41は、基部33に支持されるとともに、外郭ケース31の外周面から突出する。複数の釦41及び複数のセンサ42は、基部33に支持される。タッチパネル43は、例えば、風防32に一体に設けられる。
【0043】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、空気を圧縮し、流路部15を介して圧縮空気をカフ構造体6に供給する。ポンプ14は、電気的に制御部55に接続される。
【0044】
流路部15は、基部33の裏蓋35側の主面及び基部33の裏蓋35側を覆う流路カバー34に設けられた溝等より構成された空気の流路である。流路部15は、ポンプ14から押圧カフ71へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路を構成する。また、流路部15は、押圧カフ71から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を構成する。
【0045】
開閉弁16は、流路部15の一部を開閉する。開閉弁16は、例えば、複数設けられ、各開閉弁16の開閉の組み合わせによりポンプ14から押圧カフ71へつながる流路、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路、押圧カフ71から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を選択的に開閉する。例えば、開閉弁16は、2つ用いられる。
【0046】
圧力センサ17は、押圧カフ71及びセンシングカフ73の圧力を検出する。圧力センサ17は、電気的に制御基板20に接続される。圧力センサ17は、電気的に制御基板20に接続され、検出した圧力を電気信号に変換し、制御基板20へ出力する。圧力センサ17は、例えば、ポンプ14から押圧カフ71へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路に設けられる。これらの流路は押圧カフ71及びセンシングカフ73と連続することから、これら流路内の圧力を押圧カフ71及びセンシングカフ73の内部空間の圧力となる。
【0047】
電力供給部18は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部18は、制御基板20に電気的に接続される。電力供給部18は、制御基板20に電力を供給する。
【0048】
図4及び
図7に示すように、制御基板20は、例えば、基板51と、加速度センサ52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55と、を備えている。制御基板20は、加速度センサ52、通信部53、記憶部54及び制御部55が基板51に実装されることで構成される。
【0049】
基板51は、ケース11の基部33にビス等によって固定される。
【0050】
加速度センサ52は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ52は、装置本体3の互いに直交する3方向の加速度を表す加速度信号を制御部55に出力する。例えば、加速度センサ52は、検出された加速度から血圧測定装置1を装着した生体の活動量を測定するために用いられる。
【0051】
通信部53は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部53は、例えば、制御部55によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0052】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブルなどを用いた外部の装置との直接的な通信であってもよい。このため、通信部53は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0053】
記憶部54は、血圧測定装置1全体及び流体回路7を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部54は、測定された血圧値や脈拍等の情報を記憶する。
【0054】
制御部55は、単数又は複数のCPUにより構成され、血圧測定装置1全体の動作、及び、流体回路7の動作を制御する。制御部55は、表示部12、操作部13、ポンプ14、各開閉弁16及び各圧力センサ17に電気的に接続されるとともに、電力を供給する。また、制御部55は、操作部13及び圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、表示部12、ポンプ14及び開閉弁16の動作を制御する。
【0055】
例えば、制御部55は、
図4に示すように、血圧測定装置1全体の動作を制御するメインCPU56及び流体回路7の動作を制御するサブCPU57を有する。例えば、サブCPU57は、操作部13から血圧を測定する指令が入力されると、ポンプ14及び開閉弁16を駆動して押圧カフ71及びセンシングカフ73に圧縮空気を送る。
【0056】
また、サブCPU57は、圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、ポンプ14の駆動及び停止、並びに、開閉弁16の開閉を制御し、圧縮空気を押圧カフ71及びセンシングカフ73に選択的に送るとともに、押圧カフ71及びセンシングカフ73を選択的に加圧する。また、メインCPU56は、圧力センサ17が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部12へ出力する。
【0057】
図1乃至
図3に示すように、ベルト4は、一方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第1ベルト61と、他方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第2ベルト62と、を備える。
【0058】
第1ベルト61は、所謂親と呼ばれ、帯状に構成される。第1ベルト61は、一方の端部に設けられ、第1ベルト61の長手方向に直交する第1孔部61aと、他方の端部に設けられ、第1ベルト61の長手方向に直交する第2孔部61bと、第2孔部61bに設けられた尾錠61cと、を有する。第1孔部61aは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第1ベルト61が回転可能な内径を有する。即ち、第1ベルト61は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第1孔部61aが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0059】
第2孔部61bは、第1ベルト61の先端に設けられる。
【0060】
尾錠61cは、矩形枠状の枠状体61dと、枠状体61dに回転可能に取り付けられたつく棒61eを有する。枠状体61dは、つく棒61eが取り付けられた一辺が第2孔部61bに挿入され、第1ベルト61に関して回転可能に取り付けられる。
【0061】
第2ベルト62は、所謂剣先と呼ばれ、枠状体61dに挿入可能な幅を有する帯状に構成される。また、第2ベルト62は、つく棒61eが挿入される小孔62aを複数有する。また、第2ベルト62は、一方の端部に設けられ、第2ベルト62の長手方向に直交する第3孔部62bを有する。第3孔部62bは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第2ベルト62が回転可能な内径を有する。即ち、第2ベルト62は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第3孔部62bが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0062】
このようなベルト4は、第2ベルト62が枠状体61dに挿入され、小孔62aにつく棒61eが挿入されることで、第1ベルト61及び第2ベルト62が一体に接続され、外郭ケース31とともに、手首100の周方向に倣った環状となる。
【0063】
カーラ5は、樹脂材料で構成され、手首の周方向に沿って湾曲する帯状に構成される。カーラ5は、例えば、一端が装置本体3の例えば基部33及び流路カバー34と裏蓋35との間に固定され、他端が装置本体3に近接して構成される。なお、カーラ5は、
図5に示すように、裏蓋35の外面に固定され、一端が裏蓋35の一方の一対のラグ31a側から突出するとともに、一端から他端に向かって裏蓋35の他方の一対のラグ31a側から突出し、他端が一端に隣接する位置まで延設される構成であってもよい。
【0064】
図1乃至
図3、
図12に示すように、カーラ5は、例えば、手首の周方向に対して直交する方向、換言すると手首の長手方向からの側面視で手首100の周方向に沿って湾曲する形状を有する、樹脂材料で形成される。カーラ5は、例えば、装置本体から手首の手の甲側から一方の側方側を通って手の平側へと渡り、他方の側方側の中央側へと延びる。即ち、カーラ5は、手首の周方向に沿って湾曲することで、手首100の周方向の大半に渡るとともに、両端が所定の間隔を有して離間する。
【0065】
カーラ5は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5に外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいい、例えば、ベルト4によってカーラ5が押圧されたときに、手首に近接するか、手首の形状に沿うか、又は、手首の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5が予め賦形された形状を維持できること、本実施形態においてはカーラ5の形状が手首の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。カーラ5は、樹脂材料で構成される。カーラ5は、例えば、ポリプロピレンによって厚さが1mm程度に形成される。カーラ5は、カーラ5の内面形状に沿ってカフ構造体6を保持する。
【0066】
図1乃至
図5、
図12乃至
図14に示すように、カフ構造体6は、押圧カフ71と、背板72と、センシングカフ73と、を備えている。カフ構造体6は、押圧カフ71、背板72、及びセンシングカフ73が積層され、一体に構成される。カフ構造体6は、カーラ5の内面に固定される。
【0067】
押圧カフ71は、カフの一例である。押圧カフ71は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。押圧カフ71は、膨張することで背板72及びセンシングカフ73を生体側に押圧する。押圧カフ71は、複数の空気袋81と、空気袋81と連通するチューブ82と、チューブ82の先端に設けられた接続部83と、を含む。
【0068】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。
【0069】
複数の空気袋81は、積層され、積層方向に流体的に連通する。具体例として、押圧カフ71は、積層方向に流体的に連通する二層の空気袋81と、一方の空気袋81の長手方向の一方の端部に設けられたチューブ82と、チューブ82の先端に設けられた接続部83と、接続プレート84と、を備える。
【0070】
押圧カフ71は、一方の空気袋81の主面がカーラ5の内面に固定される。例えば、押圧カフ71は、カーラ5の内面に両面テープや接着剤により貼付される。
【0071】
二層の空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋81は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材86を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、二層の空気袋81は、
図10、
図12,及び
図13に示すように、生体側から、第1シート部材86aと、第1シート部材86aと一層目の空気袋81を構成する第2シート部材86bと、第2シート部材86bと一体に接着される第3シート部材86cと、第3シート部材86cと二層目の空気袋81を構成する第4シート部材86dと、を備える。
【0072】
第1シート部材86a及び第2シート部材86bは、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋81を流体的に連続させる複数の開口86b1、86c1を有する。第4シート部材86dは、カーラ5側の外面に接着剤層や両面テープが設けられ、この接着剤層や両面テープによりカーラ5に貼付される。
【0073】
第3シート部材86c及び第4シート部材86dは、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。また、例えば、第3シート部材86c及び第4シート部材86dの一辺に、空気袋81の内部空間と流体的に連続するチューブ82が配置され、溶着により固定される。例えば、第3シート部材86c及び第4シート部材86dは、第3シート部材86c及び第4シート部材86dの間にチューブ82が配置された状態で四辺の周縁部を溶着して空気袋81を成形することで、チューブ82が一体に溶着される。
【0074】
チューブ82は、二層の空気袋81の一方に接続されるとともに、空気袋81の長手方向の一方の端部に設けられる。具体例として、チューブ82は、二層の空気袋81のカーラ5側であって、且つ、装置本体3に近い端部に設けられる。チューブ82は空気袋81と同様の材料で構成されるシート部材から管状に構成されている。チューブ82は、流体回路7のうち、装置本体3と空気袋81との間の流路を構成する。
【0075】
接続部83は、チューブ82の先端縁においてチューブ82を構成するシート部材87a,87bが溶着されて袋状に構成されている。接続部83は例えばチューブ82よりも幅が広く構成され、その外周縁が円弧状に構成されている。接続部83は装置本体3に対向する面を構成するシート部材87bの中央部に開口83aが形成されている。接続部83は、シート部材87bに、接続プレート84が接合される。
【0076】
接続プレート84は、接続部83よりも剛性の高い板状部材である。接続プレート84は例えばJISK7171に規定される3点曲げの、曲げ弾性率が、25℃で100MPa以上に、構成されている。本実施形態において、接続プレート84は、外周縁が接続部83と同形である円形の板状に構成されている。接続プレート84の両面は平坦に形成されている。接続プレート84の中央部に、開口83aと連通する貫通孔である孔部84aが形成されている。
【0077】
接続プレート84は、接続部83を構成するシート部材87a,87bよりも曲げ弾性率の高い材料で構成されていてもよく、あるいは接続部83よりも厚みが大きい構成としてもよい。接続プレート84は、接続部83よりも曲げ弾性率の高い材料で同じ種類の樹脂を用いて構成されていてもよく、異なる組成の材料で構成されていてもよい。例えば同じ組成の材料を用いる場合には接続部83との溶着性を向上できる。
【0078】
一例として、接続プレート84は、接続部83を構成するシート部材がTPUA95(タイプAデュロメーター硬度95)のポリウレタンの熱可塑性エラストマーで厚さ0.15mmに構成される場合、接続プレート84は例えば、TPUD74(タイプDデュロメーター硬度74)のポリウレタンの熱可塑性エラストマーで厚さ0.15mmに構成されている。
【0079】
他の一例として、接続プレート84は、例えば接続部83を構成するシート部材よりも厚さが大きく構成されている。例えば、接続部83を構成するシート部材がポリウレタンの熱可塑性エラストマー(TPUA95)で厚さ0.15mmに構成される場合、接続プレート84は、ポリウレタンの熱可塑性エラストマー(TPUA95)で厚さ0.6mmに構成される。
【0080】
接続プレート84の一方側の面は、流路カバー34の第2の接着層34cに貼付されている。接続プレート84の他方側の面は、孔部84aの周縁部が接続部83の開口83aの周縁部に溶着されている。
【0081】
押圧カフ71は、空気袋81から、チューブ82と、接続部83に形成された開口83aと、接続プレート84の孔部84aと、流路カバー34の孔部34eと、を通って、基部33と流路カバー34との間に形成される流路部15に、連通する。
【0082】
背板72は、押圧カフ71の第1シート部材86aの外面86a1に、接着剤層や両面テープ等により貼付される。背板72は、樹脂材料で形成され、板状に形成される。背板72は、例えば、ポリプロピレンからなり、厚さが1mm程度の板状に形成される。背板72は、形状追従性を有する。
【0083】
ここで、形状追従性とは、配置される手首100の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首100の被接触箇所とは、背板72と接触する領域をいい、ここでの接触とは、直接的な接触及び間接的な接触の双方を含む。
【0084】
このため、形状追従性とは、押圧カフ71に設けられた背板72が、又は、押圧カフ71及びセンシングカフ73の間に設けられた背板72が、背板72自身が又は背板72に設けられたセンシングカフ73が手首100に倣うか、又は、手首100に倣い密着する程度まで変形する機能である。
【0085】
例えば、背板72は、背板72の両主面に、それぞれ対向する位置にであって、且つ、背板72の長手方向に等間隔に配置された複数の溝72aを有する。これにより、背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首100の形状に倣って変形する形状追従性を有する。背板72は、手首100の手の平側を覆う長さに形成される。背板72は、手首100の形状に沿った状態で、押圧カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0086】
センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に固定される。センシングカフ73は、
図14に示すように、手首100の動脈が存する領域に直接接触する。センシングカフ73は、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、膨張することで手首100の手の平側の動脈110が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した押圧カフ71により、背板72を介して生体側に押圧される。
【0087】
具体例として、センシングカフ73は、一つの空気袋91と、空気袋91と連通するチューブ92と、チューブ92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が背板72に固定される。例えば、センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に両面テープや接着剤層等により貼付される。
【0088】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等であってもよい。このような複数の空気袋91は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0089】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、空気袋91は、
図10,
図12及び
図13に示すように、生体側から第5シート部材96a及び第6シート部材96bを備える。
【0090】
例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、第5シート部材96a及び第6シート部材96bの一辺に、空気袋91の内部空間と流体的に連続するチューブ92が配置され、溶着により固定される。例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、第5シート部材96a及び第6シート部材96b間にチューブ92が配置された状態で四辺の周縁部を溶着して空気袋91を成形することで、チューブ92が一体に溶着される。
【0091】
チューブ92は、空気袋91の長手方向の一方の端部に設けられる。具体例として、チューブ92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。チューブ92は、先端に、接続部93を有する。チューブ92は、流体回路7のうち、装置本体3と空気袋91との間の流路を構成する。
【0092】
接続部93は、チューブ92の先端縁においてチューブ92を構成する2枚のシート部材97a,97bが溶着されて袋状に構成されている。接続部93は例えばチューブ92よりも幅が広く構成され、その外周縁が円弧状に構成されている。接続部93の装置本体3に対向する面を構成するシート部材97bの中央部に開口93aが形成されている。接続部93は、シート部材97bに接続プレート94が接合される。
【0093】
接続プレート94は、接続部93よりも曲げ弾性率の高い板状部材である。接続プレート94は例えばJISK7171に規定される3点曲げの、曲げ弾性率が、25℃で100MPa以上に、構成されている。本実施形態において、接続プレート94は、外周縁が接続部93と同形である円形の板状に構成されている。接続プレート94の両面は平坦に形成されている。接続プレート94の中央部に、開口93aと連通する貫通孔である孔部94aが形成されている。
【0094】
接続プレート94は、接続部93を構成するシート部材97a,97bよりも曲げ弾性率の高い材料で構成されていてもよく、あるいは接続部93よりも厚みが大きい構成としてもよい。接続プレート94は、接続部93と同じ組成の材料を用いて構成されていてもよく、異なる組成の材料で構成されていてもよい。
【0095】
一例として、接続プレート94は、接続部93を構成するシート部材がポリウレタンの熱可塑性エラストマー(TPUA95)で厚さ0.15mmに構成される場合、接続プレート94は例えば、ポリウレタンの熱可塑性エラストマー(TPUD74)で厚さ0.15mmに構成されている。
【0096】
他の一例として、接続プレート94は、例えば接続部93を構成するシート部材よりも厚さが大きく構成されている。
【0097】
接続プレート94の一方側の面は、流路カバー34の第2の接着層34cに貼付されている。接続プレート94の他方側の面は、孔部94aの周縁部が接続部93の開口93aの周縁部に溶着されている。
【0098】
センシングカフ73は、空気袋91から、チューブ92と、接続部93に形成された開口93aと、接続プレート94の孔部94aと、流路カバー34の孔部34eと、を通って、基部33と流路カバー34との間に形成される流路部15に、連通する。
【0099】
また、押圧カフ71及びセンシングカフ73を形成する各シート部材86、96は、熱可塑性エラストマーにより構成される。シート部材86、96を構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)を用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、TPUを用いることが好ましい。シート部材は、単層構造を有していても良く、また、複層構造を有していても良い。
【0100】
なお、シート部材86、96は、熱可塑性エラストマーに限定されず、シリコーン等の熱硬化性エラストマーであってもよく、また、熱可塑性エラストマー(例えばTPU)と熱硬化性エラストマー(例えばシリコーン)との組み合わせであっても良い。
【0101】
シート部材86、96は、熱可塑性エラストマーを用いる場合には、Tダイ押し出し成形や射出成形等の成形方式が用いられ、熱硬化性エラストマーを用いる場合には、金型注型成形等の成形方式が用いられる。シート部材は、各成形方式で成形された後、所定の形状にサイジングされ、そして、サイジングした個片を接着や溶着等により接合することで袋状構造体である空気袋81、91を構成する。接合の方式としては、熱可塑性エラストマーを用いる場合には、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられ、熱硬化性エラストマーを用いる場合には、分子接着剤が用いられる。
【0102】
流体回路7は、ケース11、ポンプ14、流路部15、開閉弁16、圧力センサ17、押圧カフ71、及び、センシングカフ73によって構成される。流体回路7に用いられる二つの開閉弁16を第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bとし、二つの圧力センサ17を第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bとして、以下、流体回路7の具体例を説明する。
【0103】
流体回路7は、
図4に示すように、例えば、ポンプ14から押圧カフ71を連続する第1流路7aと、第1流路7aの中途部が分岐されることで構成され、ポンプ14からセンシングカフ73を連続する第2流路7bと、第1流路7aと大気を接続する第3流路7cと、を備えている。また、第1流路7aは、第1圧力センサ17Aを含む。第1流路7a及び第2流路7bの間には第1開閉弁16Aが設けられる。第2流路7bは、第2圧力センサ17Bを含む。第1流路7a及び第3流路7cの間には、第2開閉弁16Bが設けられる。
【0104】
このような流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7aのみがポンプ14と接続し、ポンプ14及び押圧カフ71が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが開き、そして、第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7a及び第2流路7bが接続され、ポンプ14及び押圧カフ71、並びに、ポンプ14及びセンシングカフ73が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが閉じ、そして、第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7a及び第3流路7cが接続され、押圧カフ71及び大気が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a、第2流路7b及び第3流路7cが接続され、押圧カフ71、センシングカフ73及び大気が流体的に接続される。
【0105】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、
図16乃至
図19を用いて説明する。
図16は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部55の動作の双方を示す。また、
図17乃至
図19は、ユーザが手首100に血圧測定装置1を装着する一例を示す。
【0106】
先ず、ユーザは、手首100に血圧測定装置1を装着する(ステップST1)。具体例として、例えば、ユーザは、
図17に示すように、手首100の一方をカーラ5内に挿入する。
【0107】
このとき、血圧測定装置1は、装置本体3及びセンシングカフ73がカーラ5の相対する位置に配置されることから、センシングカフ73を手首100の手の平側の動脈110が存する領域に配置される。これにより、装置本体3は、手首100の手の甲側に配される。次いで
図18に示すように、ユーザが血圧測定装置1を配した手とは反対の手によって、第1ベルト61の尾錠61cの枠状体61dに第2ベルト62を通す。次いで、ユーザは、第2ベルト62を引っ張り、カーラ5の内周面側の部材、即ち、カフ構造体6を手首100に密着させ、小孔62aにつく棒61eを挿入する。これにより、
図19に示すように、第1ベルト61及び第2ベルト62が接続され、血圧測定装置1が手首100に装着される。
【0108】
次に、ユーザは、操作部13を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。指令の入力操作が行われた操作部13は、測定開始に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST2)。制御部55は、当該電気信号を受信すると、例えば、第1開閉弁16Aを開くとともに、第2開閉弁16Bを閉じ、ポンプ14を駆動し、第1流路7a及び第2流路7bを介して押圧カフ71及びセンシングカフ73へ圧縮空気を供給する(ステップST3)。これにより、押圧カフ71及びセンシングカフ73は膨張を開始する。
【0109】
第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bは、押圧カフ71及びセンシングカフ73の圧力をそれぞれ検出し、この圧力に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST4)。制御部55は、受信した電気信号に基づいて、押圧カフ71及びセンシングカフ73の内部空間の圧力が血圧測定のための所定の圧力に達しているか否かを判断する(ステップST5)。例えば、押圧カフ71の内圧が所定の圧力に達しておらず、且つ、センシングカフ73の内圧が所定の圧力に達した場合には、制御部55は、第1開閉弁16Aを閉じ、第1流路7aを介して圧縮空気を供給する。
【0110】
押圧カフ71の内圧及びセンシングカフ73の内圧が、双方ともに所定の圧力に達した場合には、制御部55は、ポンプ14の駆動を停止する(ステップST5でYES)。このとき、
図12に示すように、押圧カフ71は十分に膨張しており、膨張した押圧カフ71は、手首100、背板72を押圧する。
【0111】
さらに、センシングカフ73は、十分に膨張しており、そして、押圧カフ71に押圧された背板72によって手首100に向かって押圧される。このため、センシングカフ73は、手首100内の動脈110を押圧し、
図15に示すように動脈110を閉塞する。
【0112】
また、制御部55は、第2開閉弁16Bを制御し、第2開閉弁16Bの開閉を繰り返すか、又は、第2開閉弁16Bの開度を調整することで、押圧カフ71の内部空間の圧力を加圧させる。この加圧の過程において第2圧力センサ17Bが出力する電気信号に基づいて、制御部55は、最高血圧及び最低血圧等の血圧値や心拍数等の測定結果を求める。
【0113】
なお、血圧測定時における第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bの開閉のタイミングは適宜設定でき、また、制御部55は、押圧カフ71の加圧過程において血圧を算出する例を説明したが、押圧カフ71の減圧過程で血圧を算出してもよく、また、押圧カフ71の加圧過程及び減圧過程の双方で血圧を算出してもよい。次に、制御部55は、求めた測定結果に対応した画像信号を、表示部12へ出力する。
【0114】
表示部12は、画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。使用者は、表示部12を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、使用者は、測定終了後、小孔62aからつく棒61eを外し、枠状体61dから第2ベルト62を外し、カーラ5から手首100を抜くことで、手首100から血圧測定装置1を取り外す。
【0115】
次に、一実施形態に係る血圧測定装置1の製造方法を説明する。血圧測定装置1の製造方法は、カフ構造体6と装置本体3との接続方法として、接続部83,93に接続プレート84,94を接合するプレート接合工程と、接続プレート84,94を装置本体3側の流路カバー34に貼付する接着工程と、を備える。
【0116】
まず、所定の成形方式で成形した板状部材を、所定の形状にサイジングして、接続プレート84,94を形成する。本実施形態においては、例えば中央に孔部84a,94aを有する円形状にカットする。
【0117】
プレート接合工程において、接続プレート84,94を、接続部83,93に、接合する。このとき、開口83a,93aと孔部84a,94aの外周縁の接合領域Pbを接合する。
【0118】
接合の方式として、例えば熱可塑性エラストマーを用いる場合には、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられ、熱硬化性エラストマーを用いる場合には、分子接着剤が用いられる。
【0119】
なお、プレート接合工程は、各成形方式で成形したシート部材を所定の形状にサイジングした個片を、接着や溶着等により接合することで接続部83,93を形成する際に同時に行うことも可能である。例えばシート部材87a,87b、97a,97b同士の溶着の際に、チューブ82,92の先端の接続部83,93に、円形状の接続プレート84,94を重ね合わせ、同時に接合する。このとき、開口83a,93aと孔部84a,94aを位置合わせし、開口83a,93aと孔部84a,94aの外周の接合領域Pbを溶着する。
【0120】
接着工程は、例えばプレート接合工程の後、カフとしてシート部材87b,97bに一体に構成された接続プレート84,94の一方の面を、流路カバー34の第2の接着層34cに貼り付ける。
【0121】
このように構成された一実施形態に係る血圧測定装置1は、押圧カフ71及びセンシングカフ73の接続部83,93と装置本体3の流路カバー34との間に接続プレート84,94を介在させ、接続プレート84,94を接続部83,93に接合し、接続プレート84,94を流路カバー34に貼り付けることで、カフ構造体6と装置本体3とを容易に接続できる。したがって、突起等を用いた接続構造と比べて接続部分の厚みを小さくすることができる。
【0122】
すなわち、例えば接続構造として、カフ側にニップルと呼ばれる突起を設け、供給装置側にノズルと呼ばれる突起を設ける場合、空気漏れの防止機能及び強度を確保するためにノズル及びニップルの軸方向の長さや太さを確保する必要があり、接続構造部の厚みが増大する。
【0123】
一方、一実施形態に係る血圧測定装置1は、薄い板状の接続プレート84,94をカフに直接接合し、平坦な流路カバー34に接続プレート84,94を貼り付ける構造であるため、数百μm程度の薄い接合構造で接続が実現できる。したがって、装置構成の薄型化及び小型化が可能となる。
【0124】
また、例えばカフを構成するシート部材87b,97bを直接装置本体3に接着し、カフを膨張させると、カフの変形により接続部分に応力がかかることから、接着部が剥がれやすくなるが、上記態様の血圧測定装置1は、曲げ弾性率の高い接続プレート84,94を装置本体3とシート部材87b,97bとの間に介在させることで、接続部位の変形を抑制し、変形による接着部分の剥がれを抑制できる。
【0125】
また、一実施形態に係る血圧測定装置1は、カフの接続部83,93の開口83a,93aと接続プレート84,94に設けられた孔部84a,94aの周りを溶着することで、装置本体3側の流路部15と押圧カフ71及びセンシングカフ73の内部空間を連通させている。
【0126】
また、装置本体3側と接続プレート84,94とを両面接着テープなどを用いて接着する構成により、接続プレート84,94を容易に剥がすことができるため、押圧カフ71やセンシングカフ73の交換などのリペアが容易である。さらに、リペア時にも接続プレート84,94自体は変形しにくい構成であることから、剥離時に周囲の部品への負担が軽減できる。
【0127】
また、実施形態に係る血圧測定装置1は、流路カバー34が、金属製のベース板34aを有する構成としたことにより、薄くても剛性が高く、変形し難い構成とすることができる。流路カバー34が、接着層34b,34cを有することにより、接続プレート84,94の貼り付けが容易となる。
【0128】
さらに、実施形態に係る血圧測定装置1は、流路部15に連通する流路の周りに接着層34b,34cがあることで、ゴミを吸着させ、流路部15へのゴミの進入を抑制できる。
【0129】
実施形態に係る血圧測定装置1は、さらに、カフ構造体6の製造時に接続プレート84,94を同時に接合してカフ構造体6と一体に構成することも可能であり、製造時の工程数を低減できる。
【0130】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態にかかる血圧測定装置1Aについて、
図20及び
図21を用いて説明する。なお、第2の実施形態にかかる血圧測定装置1Aは、上述した第1の実施形態に係る複数の接続プレート84,94を一体として流路カバー34と同形状とした構成である。なお、本実施形態の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0131】
図20及び
図21に示すように、血圧測定装置1Aは、流路カバー34に接続プレート84が一体に構成されている。本実施形態において、接続プレート84は流路カバー34の外形と同形状に構成され、流路カバー34の第2の接着層34cに貼り付けられている。
【0132】
接続プレート84は流路カバー34の一対の孔部34eと重なる位置に貫通孔である孔部84aが形成されている。接続プレート84は上記第1の実施形態にかかる接続プレート84、94と同様に、接続部83,93よりも曲げ弾性率が高く構成されている。
【0133】
次に、一実施形態に係る血圧測定装置1Aの製造方法を説明する。血圧測定装置1Aの製造方法は、カフ構造体6と装置本体3との接続方法として、接続部83,93に接続プレート84を接合するプレート接合工程と、接続プレート84を装置本体3側の流路カバー34に貼付する接着工程と、を備える。
【0134】
まず、所定の成形方式で成形した板状部材を、所定の形状にサイジングして、接続プレート84を形成する。本実施形態においては、例えば所定カ所に複数の孔部84aを形成するとともに、流路カバー34と同形状にカットする。
【0135】
プレート接合工程において、接続プレート84を、接続部83,93に、高周波ウェルダーやレーザー溶着により、接合する。このとき、開口83a,93aと孔部84a,84aの外周縁の接合領域Pbを溶着する。
【0136】
接着工程は、例えばプレート接合工程の後、カフとして接続部83,93に一体に構成された接続プレート84の一方の面を、流路カバー34の第2の接着層34cに貼り付ける。
【0137】
本実施形態にかかる血圧測定装置1A及び血圧測定装置1Aの製造方法においても、上記第1実施形態にかかる血圧測定装置1及び血圧測定装置1Aの製造方法と同様の効果が得られる。すなわち、接続部83,93と流路カバー34との接続部分に曲げ弾性率の高い接続プレート84を介在させることにより、接続部83,93の膨張に伴う変形を防止し、接着部分の剥がれを抑制できる。
【0138】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態にかかる血圧測定装置1Bについて、
図22を用いて説明する。
図22は第3の実施形態にかかる血圧測定装置1Bの接続部を示す断面図である。
図22に示すように、血圧測定装置1Bは、接続プレート84,94が外周縁部において接続部83,93に接合される構成である。なお、本実施形態の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0139】
本実施形態においても上記第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、接続部83,93と流路カバー34との接続部分に曲げ弾性率の高い接続プレート84,94を介在させることにより、接続部83,93の膨張に伴う変形を防止し、接着部分の剥がれを抑制できる。
【0140】
[第4の実施形態]
次に、押圧カフ71の第4の実施形態について、
図23乃至
図25を用いて説明する。なお、第4の実施形態は、上述した第1の実施形態に係る手首100用の血圧測定装置1に変えて、上腕に巻き付けて血圧を測定する血圧測定装置1Cにカフを用いる構成である。なお、本実施形態の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0141】
例えば、
図23乃至
図25に示すように、第2の実施形態における血圧測定装置1Cは、装置本体3Cと、カフ構造体6Cとを備える。装置本体3Cは、例えば、ケース11Cと、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、流路部15と、開閉弁16と、圧力センサ17と、電力供給部18と、制御基板20と、を備えている。
図25に示すように、装置本体3Cは、それぞれ一つのポンプ14、開閉弁16及び圧力センサ17を有する。
【0142】
ケース11Cは、例えば箱状に構成される。ケース11Cは、カフ構造体6Cを固定する取付部11aを有する。取付部11aは、例えば、ケース11Cの裏面に設けられた開口である。
【0143】
図23乃至
図25に示すように、カフ構造体6Cは、カーラ5と、カーラ5の生体側に設けられた押圧カフ71Cと、カーラ5及び押圧カフ71Cを内部に配置する布等からなる袋状カバー体74と、を備える。カフ構造体6Cは、上腕に巻き付けられる。
【0144】
カーラ5は、例えば、取付部11aに固定される突起部5aを有する。
【0145】
押圧カフ71Cは、袋状カバー体74内にカーラ5とともに、収容され、カーラ5の内面に固定される。例えば、押圧カフ71Cは、カーラ5の内面に両面テープや接着剤により貼付される。
【0146】
空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋81は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材86を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、空気袋81は、
図23に示すように、生体側から、第1シート部材86aと、第1シート部材86aと空気袋81を構成する第2シート部材86bと、を備える。
【0147】
カフ構造体6Cは、装置本体3Cに、カフ構造体6Cのシート部材よりも曲げ弾性率の高い接続プレート84を介して、接続されている。具体的には、カフ構造体6Cの接続部に形成された開口の外周部分と、接続プレート84との他方側(図中下側)の面の孔部84aの外周部分とが溶着などにより接合されている。一方、接続プレート84の一方側(図中上側)の面は装置本体3Cに、接着材や接着テープ等の接着層により貼り付けられている。カフ構造体6Cと装置本体3Cとは、流路部15とカフ構造体6Cの内部空間とが、孔部84a及び開口を通じて連通している。
【0148】
このように構成された血圧測定装置1Cは、上述した血圧測定装置1と同様に、カフに接合された曲げ弾性率の高い接続プレート84を、装置本体3C側に貼り付けることで、装置本体3Cとカフ構造体6Cとを容易に接続することができ、接続部位の変形を防止することで、貼り付け部分の剥がれを抑制し、空気漏れを抑制できる。またニップル等の突起を用いる接続構造に比べて薄型化ができる。
【0149】
なお、接続プレート84の形状や大きさも上記実施形態に限られるものではない。例えば1つの接続プレート84に、一対のカフが接合されている構成であってもよい。
【0150】
また、流路カバー34のベース板34aの構成は、上記実施形態に限られるものではない。例えば金属の他、樹脂製のプレートを用いてもよい。
【0151】
さらに、流路カバー34を接続プレート84として一体に構成してもよい。流路カバー34は、接続部83よりも曲げ弾性率の高い板状に構成されている。流路カバー34は例えばベース板34aと、ベース板34aの一方側に配される第1の接着層34bと、を備える。本実施形態において、ベース板34aは、例えば接続部83よりも硬度の高い樹脂層で構成されている。本実施形態において、プレート接合工程として、接続プレート84としての流路カバー34の他方側の面であって孔部34eを含む領域に、接続部83を位置決めし、孔部34eの周りの接合領域において接続部83,93に溶着する。そして、接着工程として、接続部83が接合された流路カバー34の第1の接着層34bを基部33に貼り付ける。
【0152】
本実施形態においても上記第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、接続部83と流路カバー34を曲げ弾性率の高い構成とすることで、接続部83の膨張に伴う変形を防止し、接着部分の剥がれを抑制できる。さらに、接続プレート84を流路カバー34として一体に構成することで、部品点数及び接続工程数が削減できる。
【0153】
また、接着層34b,34cとして、両面テープに代えて、接着剤を配する構成であってもよく、また接続プレート84,94と接続部83,93の接合は、溶着に限られるものではなく、接着であってもよい。
【0154】
ただし、上述した各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1…血圧測定装置、1C…血圧測定装置、3…装置本体、3C…装置本体、4…ベルト、5…カーラ、5a…突起部、6…カフ構造体、6C…カフ構造体、7…流体回路、7a…第1流路、7b…第2流路、7c…第3流路、11…ケース、11a…取付部、11C…ケース、12…表示部、13…操作部、14…ポンプ、15…流路部、16…開閉弁、16A…第1開閉弁、16B…第2開閉弁、17…圧力センサ、17A…第1圧力センサ、17B…第2圧力センサ、18…電力供給部、19…振動モータ、20…制御基板、30…基部、31…外郭ケース、31a…ラグ、31b…バネ棒、32…風防、35…裏蓋、35a…ビス、36…流路チューブ、41…釦、42…センサ、43…タッチパネル、51…基板、52…加速度センサ、53…通信部、54…記憶部、55…制御部、61…第1ベルト、61a…第1孔部、61b…第2孔部、61c…尾錠、61d…枠状体、61e…つく棒、62…第2ベルト、62a…小孔、71…押圧カフ、71A…押圧カフ、71B…押圧カフ、71C…押圧カフ、72…背板、72a…溝、73…センシングカフ、74…袋状カバー体、81…空気袋、82…チューブ、83…接続部、83a…開口、84…接続プレート、84a…孔部、86…シート部材、86a…第1シート部材、86a1…外面、86b…第2シート部材、86b1…開口、86c…第3シート部材、86c1…開口、86d…第4シート部材、87a,87b…シート部材、91…空気袋、92…チューブ、93…接続部、93a…開口、94…接続プレート、94a…孔部、96…シート部材、96a…第5シート部材、96b…第6シート部材、97a,97b…シート部材、100…手首、110…動脈。