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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】変換アダプタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/06 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
H01R31/06 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018114162
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019220249
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】安 洋史
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-339874(JP,A)
【文献】特開平08-031292(JP,A)
【文献】特開2017-010662(JP,A)
【文献】実開平05-006629(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 27/00 - 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リレーの端子を接続するための第1端子差込口が配設されている第1ジャック板に着脱自在に装着される変換アダプタであって、
一方の面に第2リレーの端子を接続する前記第1端子差込口とは構造が異なる第2端子差込口が配設され、他方の面に当該第2端子差込口に対応する配線接続用の端子片が配設されている第2ジャック板と、
前記第2ジャック板の端子片と電気的に接続され、前記第1ジャック板の第1端子差込口に差し込まれる差込端子と、
を備えていることを特徴とする変換アダプタ。
【請求項2】
前記第2リレーは、互いに種類が異なる複数のリレーで構成され、
前記第2ジャック板は、前記複数のリレーのそれぞれに対応する複数のジャック板で構成され、
前記差込端子は、前記複数のジャック板の各端子片と電気的に接続され、前記第1ジャック板の第1端子差込口に差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の変換アダプタ。
【請求項3】
前記第1ジャック板に装着可能な螺子受け部材を更に備え、
前記螺子受け部材は、
前記第1ジャック板にアダプタ本体を固定する際に用いられる固定用スタッドを受け入れる雌螺子と、
筒状部と、を具備し、
前記第1ジャック板に前記第1リレーを固定する際に用いられる固定用スタッドを受け入れる雌螺子が形成された棒状部に前記筒状部を嵌合させることにより前記第1ジャック板に装着されることを特徴とする請求項2に記載の変換アダプタ。
【請求項4】
前記アダプタ本体は、前記第2リレーとしての複数のリレーを配設する配設面が段状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の変換アダプタ。
【請求項5】
前記第1リレーは、非デジタル時素リレーであり、
前記第2リレーとしての複数のリレーは、デジタル時素リレーと前記デジタル時素リレーに倣って動作する反応リレーであることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の変換アダプタ。
【請求項6】
所定の端子を前記第2リレーの配設面側に備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の変換アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道における踏切しゃ断機の制御は、各種のリレーを用いて行われる。これらのリレーは、線路わきに設置された器具箱内に設置されているジャック板(例えば、特許文献1参照)に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-113786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のジャック板は、器具箱内の限られたスペースに多数設置されているが、例えば、一のリレーを他のリレーに交換しようとした際、それぞれのリレーを取り付けるジャック板が異なる場合には、リレーの交換に伴い、ジャック板に接続された配線も変更しなければならず、作業効率が低下してしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、一のリレーを他のリレーに交換する際の作業効率を向上させることができる変換アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明は、
第1リレーの端子を接続するための第1端子差込口が配設されている第1ジャック板に着脱自在に装着される変換アダプタであって、
一方の面に第2リレーの端子を接続する前記第1端子差込口とは構造が異なる第2端子差込口が配設され、他方の面に当該第2端子差込口に対応する配線接続用の端子片が配設されている第2ジャック板と、
前記第2ジャック板の端子片と電気的に接続され、前記第1ジャック板の第1端子差込口に差し込まれる差込端子と、
を備えていることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、第1ジャック板に取り付けられている第1リレーを取り外し当該第1ジャック板に変換アダプタを取り付けた後、変換アダプタに配設された第2ジャック板に第2リレーを取り付けることによって、第1リレーを第2リレーに交換することができる。
したがって、第1リレーを第2リレーに交換する際に、第1ジャック板を変更する必要が無いので、第1ジャック板に接続された配線を変更する手間を省くことができ、第1リレーを第2リレーに交換する際の作業効率を向上させることができる。また、第1ジャック板に接続された配線を変更する手間を省くことによって、誤配線や配線抜け等の虞がなくなるので、第1リレーを第2リレーに交換することに伴う障害リスクを低減することができる。
【0008】
好ましくは、前記第2リレーは、互いに種類が異なる複数のリレーで構成され、
前記第2ジャック板は、前記複数のリレーのそれぞれに対応する複数のジャック板で構成され、
前記差込端子は、前記複数のジャック板の各端子片と電気的に接続され、前記第1ジャック板の第1端子差込口に差し込まれるように構成されるとよい。
【0009】
この構成によれば、第1リレーを第2リレーに交換する際に、変換アダプタを介することによって、第2リレーである互いに種類が異なる複数のリレーを第1ジャック板上に集約することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、好ましくは、前記第1ジャック板に装着可能な螺子受け部材を更に備え、
前記螺子受け部材は、
前記第1ジャック板にアダプタ本体を固定する際に用いられる固定用スタッドを受け入れる雌螺子と、
筒状部と、を具備し、
前記第1ジャック板に前記第1リレーを固定する際に用いられる固定用スタッドを受け入れる雌螺子が形成された棒状部に前記筒状部を嵌合させることにより前記第1ジャック板に装着されるように構成されるとよい。
【0011】
この構成によれば、第1リレーを第1ジャック板に固定する際に用いられる固定用スタッドの配設位置と、アダプタ本体を第1ジャック板に固定する際に用いられる固定用スタッドの配設位置と、が互いに異なる場合でも、螺子受け部材を用いることによって、第1ジャック板にアダプタ本体を好適に固定することができる。
また、螺子受け部材の筒状部を第1ジャック板の棒状部に嵌合させることにより、当該螺子受け部材を第1ジャック板に装着する際の位置決めを行うことができるので、第1ジャック板の適切な位置に螺子受け部材を容易に装着することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記アダプタ本体は、前記第2リレーとしての複数のリレーを配設する配設面が段状に形成されるように構成されるとよい。
【0013】
この構成によれば、アダプタ本体に実装された各リレーの前端面のバラつきを抑制することができるので、各リレーの保守性を向上させることができる。
【0014】
また、好ましくは、前記第1リレーは、非デジタル時素リレーとし、
前記第2リレーとしての複数のリレーは、デジタル時素リレーと前記デジタル時素リレーに倣って動作する反応リレーとして構成されるとよい。
【0015】
この構成によれば、非デジタル時素リレーをデジタル時素リレーに交換する際に、当該デジタル時素リレーに倣って動作する反応リレーも実装されることとなるので、交換されたデジタル時素リレーの雷サージ等による接点溶着を防止することができる。
したがって、雷サージ等による影響を受けやすい外線混在回路であっても、非デジタル時素リレーをデジタル時素リレーに交換することができる。
【0016】
また、好ましくは、所定の端子を前記第2リレーの配設面側に備えるように構成されるとよい。
【0017】
この構成によれば、外部機器と所定の端子を介して電気的に接続する際の作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1ジャック板に取り付けられている第1リレーを取り外し当該第1ジャック板に変換アダプタを取り付けた後、変換アダプタに配設された第2ジャック板に第2リレーを取り付けることによって、第1リレーを第2リレーに交換することができる。
したがって、第1リレーを第2リレーに交換する際に、第1ジャック板を変更する必要が無いので、第1ジャック板に接続された配線を変更する手間を省くことができ、第1リレーを第2リレーに交換する際の作業効率を向上させることができる。また、第1ジャック板に接続された配線を変更する手間を省くことによって、誤配線や配線抜け等の虞がなくなるので、第1リレーを第2リレーに交換することに伴う障害リスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る変換アダプタの構成の一例を示す分解斜視図である。
図2】(a)はアダプタ本体の正面図、(b)はアダプタ本体の裏面図である。
図3】変換アダプタの内部配線の様子を示す概略図である。
図4】C形ジャック板にC形時素リレーが取り付けられている状態を示す斜視図である。
図5】変換アダプタの取付過程を説明するための図である。
図6】C形ジャック板に変換アダプタを介してA形デジタル時素リレー及びF形反応リレーが取り付けられている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0021】
[変換アダプタの構成]
先ず、図1図3を参照して、本実施の形態の変換アダプタ1の構成を説明する。図1は、変換アダプタ1の構成の一例を示す分解斜視図である。図2(a)は、アダプタ本体10の正面図であり、同図(b)は、アダプタ本体10の裏面図である。図3は、変換アダプタ1の内部配線の様子を示す概略図である。
本実施の形態の変換アダプタ1は、旧JRS規格C形(W147mm×H147mm×D200mm)の従来の時素リレー(第1リレー)を旧JRS規格A形(W147mm×H74mm×D167mm)のデジタル時素リレー(第2リレー)に交換する際に用いられるアダプタであり、C形ジャック板(第1ジャック板)30に取り付けられる。
【0022】
図1に示すように、変換アダプタ1は、アダプタ本体10と、スタッド位置変換金具(螺子受け部材)20と、を備えている。
【0023】
アダプタ本体10は、図2(a)及び図2(b)に示すように、アダプタケース11と、A形ジャック板(第2ジャック板)12と、F形ジャック板(第2ジャック板)13と、ロック用スタッド(固定用スタッド)14と、測定端子15と、電源入力端子16と、差込端子板17と、裏面カバー18と、を備えている。
【0024】
アダプタケース11は、各部品を実装するためのケースである。アダプタケース11は、図1に示すように、前面が段状に形成されており、この前面の上側部分が下側部分よりも前方に突出するように形成されている。このように、アダプタケース11の前面を段状に形成しているのは、アダプタケース11の前面にA形デジタル時素リレー50とF形反応リレー60とがそれぞれ実装された際に(図3参照)、A形デジタル時素リレー50の前端面とF形反応リレー60の前端面とのバラつきを抑制することによって各リレーの保守性を向上させるためである。
また、アダプタケース11は、図2(b)に示すように、裏面が開口しており、差込端子板17及び裏面カバー18によって、裏面の開口が塞がれるようになっている。
【0025】
A形ジャック板12は、第2リレーとしての旧JRS規格A形(W147mm×H74mm×D167mm)の直流リレー(例えば、A形デジタル時素リレー50)を取り付けるためのジャック板である。A形ジャック板12は、図2(a)に示すように、前面に、A形リレーの端子が差し込まれる複数の端子差込口(第2端子差込口)12aを有し、裏面に、配線接続用に突出した複数の端子片12b(図3参照)を有している。図1に示すように、A形ジャック板12とC形ジャック板30とでは、互いに端子差込口のレイアウト(構造)が異なっており、A形ジャック板12の端子差込口12aに異種のリレー(例えば、C形リレー)の端子を接続することができないようになっている。A形ジャック板12は、アダプタケース11の前面の下側部分に配設される。
【0026】
F形ジャック板13は、第2リレーとしての旧JRS規格F形(W58mm×H96mm×D146mm)の直流リレー(例えば、F形反応リレー60)を取り付けるためのジャック板である。F形ジャック板13は、図2(a)に示すように、前面に、F形リレーの端子が差し込まれる複数の端子差込口(第2端子差込口)13aを有し、裏面に、配線接続用に突出した複数の端子片13b(図3参照)を有している。図1に示すように、F形ジャック板13とC形ジャック板30とでは、互いに端子差込口のレイアウト(構造)が異なっており、F形ジャック板13の端子差込口13aに異種のリレー(例えば、C形リレー)の端子を接続することができないようになっている。F形ジャック板13は、アダプタケース11の前面の上側部分に配設される。具体的には、F形ジャック板13は、F形反応リレー60が横向きの状態(寝かせた状態)で取り付けられるようにアダプタケース11の前面の上側部分に配設される。
【0027】
ロック用スタッド14は、アダプタ本体10をC形ジャック板30に固定するための螺子である。ロック用スタッド14は、図2(a)に示すように、F形ジャック板13が配設されているアダプタケース11の前面の上側部分のうちの左下部と右下部とにそれぞれ配設される。
【0028】
測定端子(所定の端子)15は、F形ジャック板13に取り付けられたF形リレーのコイル電圧を測定するための端子である。測定端子15は、図2(a)に示すように、アダプタケース11の前面の上側部分に配設されたF形ジャック板13の左方に配設される。なお、測定端子15は、アダプタケース11の前面、すなわち、A形リレー(例えば、A形デジタル時素リレー50)やF形リレー(例えば、F形反応リレー60)の配設面側に備えられていればよく、F形ジャック板13の左方に配設される場合に限られない。
【0029】
電源入力端子(所定の端子)16は、A形ジャック板12に取り付けられたA形リレーに対して電源入力を行うための端子である。電源入力端子16は、図2(a)に示すように、アダプタケース11の前面の上側部分に配設されたF形ジャック板13の右方に配設される。なお、電源入力端子16は、アダプタケース11の前面、すなわち、A形リレー(例えば、A形デジタル時素リレー50)やF形リレー(例えば、F形反応リレー60)の配設面側に備えられていればよく、F形ジャック板13の右方に配設される場合に限られない。また、電源入力端子16は、制御入力とは別に緩放時素を刻むための電源を入力するための端子であるため、交換対象のC形リレー(例えば、C形時素リレー)が緩放リレーでない場合、アダプタ本体10は、電源入力端子16を備えなくてもよい。
【0030】
差込端子板17は、図2(b)及び図3に示すように、C形ジャック板30の端子差込口(第1端子差込口)31に差し込まれる複数の差込端子17aを有している。また、差込端子板17は、アダプタケース11裏面の開口のうち上部の開口部分を塞ぐ役目を果たしている。各差込端子17aは、差込端子板17を貫通するようにして設けられており、端子差込口31に差し込まれる一端とは反対側の他端において、A形ジャック板12の裏面に設けられた端子片12b、及び、F形ジャック板13の裏面に設けられた端子片13bとそれぞれ配線接続がなされている。なお、差込端子板17の配設位置は、上記配線接続がなされた際の配線Cの許容曲げ半径を満たすように調整されている。
【0031】
裏面カバー18は、図2(b)に示すように、アダプタケース11裏面の開口のうち下部の開口部分を塞ぐためのカバーである。裏面カバー18は、上端左側及び上端右側のそれぞれの縁に、ロック用スタッド14をアダプタケース11の前面側から裏面側へ挿通させるための切欠18aが施されている。
【0032】
スタッド位置変換金具(螺子受け部材)20は、図5に示すように、アダプタ本体10をC形ジャック板30に固定する際に、ロック用スタッド14が受け入れられる雌螺子22aの位置を調整するための金具である。
C形ジャック板30のガイド棒(棒状部)32に形成されている雌螺子32aは、C形のリレー(例えば、C形時素リレー40)に備えられているロック用スタッド41(図4参照)を受け入れるために設けられた雌螺子であり、アダプタ本体10に備えられているロック用スタッド14には対応していない。そこで、スタッド位置変換金具20をC形ジャック板30に取り付けることによって、アダプタ本体10に備えられているロック用スタッド14の位置と対応する位置に雌螺子22aが配設されるように調整している。
【0033】
具体的には、スタッド位置変換金具20は、図1に示すように、C形ジャック板30に設けられている各ガイド棒32に被せるための筒状部21と、各筒状部21をつなぐブリッジ状の連結部22と、を備えている。
筒状部21は、一端に抜け止め螺子21aを有している。これにより、図5に示すように、抜け止め螺子21aが設けられている側とは反対側の端部よりガイド棒32を受け入れた後、抜け止め螺子21aを雌螺子32aにねじ込むことで、スタッド位置変換金具20をC形ジャック板30に固定することができるようになっている。
連結部22は、両端部にロック用スタッド14を受け入れるための雌螺子22aが形成されている。つまり、スタッド位置変換金具20は、C形ジャック板30にアダプタ本体10を固定する際に用いられるロック用スタッド14を受け入れる雌螺子22aを具備したこととなる。
【0034】
[変換アダプタ取付方法]
次に、従来の時素リレーであるC形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換する際の変換アダプタ1の取付方法について、図4図6を参照して説明する。
図4は、C形ジャック板30にC形時素リレー40が取り付けられている状態を示す斜視図である。図5は、変換アダプタ1の取付過程を説明するための図である。図6は、C形ジャック板30に変換アダプタ1を介してA形デジタル時素リレー50及びF形反応リレー60が取り付けられている状態を示す斜視図である。
【0035】
変換アダプタ1をC形ジャック板30に取り付けるにあたり、先ず、図4に示すように、C形時素リレー40をC形ジャック板30に取り付ける際に用いられたロック用スタッド41を緩めることにより、C形ジャック板30からC形時素リレー40を取り外す。なお、ロック用スタッド41は、C形ジャック板30のガイド棒32に形成された雌螺子32aに螺合されるようになっている(図1図5参照)。
【0036】
次いで、C形時素リレー40が取り外されたC形ジャック板30にスタッド位置変換金具20を取り付ける。
具体的には、図1及び図5に示すように、C形ジャック板30の各ガイド棒32にスタッド位置変換金具20の各筒状部21を嵌合させた後、各ガイド棒32に形成された雌螺子32aに抜け止め螺子21aを螺合させることによって、C形ジャック板30にスタッド位置変換金具20を固定する。そして、アダプタ本体10の差込端子板17に設けられた各差込端子17aがC形ジャック板30の端子差込口31に差し込まれるようにしてC形ジャック板30にアダプタ本体10を取り付ける。そして、アダプタ本体10に備えられた各ロック用スタッド14をスタッド位置変換金具20の連結部22に形成された各雌螺子22aに螺合させることによって、C形ジャック板30にアダプタ本体10を固定する。
【0037】
次いで、図6に示すように、アダプタ本体10に配設されたA形ジャック板12にA形デジタル時素リレー50を取り付けるとともに、F形ジャック板13にF形反応リレー60を取り付ける。
【0038】
以上のように、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、C形ジャック板30に取り付けられているC形時素リレー40を取り外し当該C形ジャック板30に変換アダプタ1を取り付けた後、変換アダプタ1に配設されたA形ジャック板12にA形デジタル時素リレー50を取り付けることによって、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換することができる。したがって、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換する際に、C形ジャック板30を変更する必要が無いので、C形ジャック板30に接続された配線を変更する手間を省くことができ、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換する際の作業効率を向上させることができる。また、C形ジャック板30に接続された配線を変更する手間を省くことによって、誤配線や配線抜け等の虞がなくなるので、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換することに伴う障害リスクを低減することができる。
【0039】
また、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換する際に、変換アダプタ1を介することによって、A形デジタル時素リレー50だけでなくF形反応リレー60もC形ジャック板30上に集約することができるので、省スペース化を図ることができる。また、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換する際に、A形デジタル時素リレー50だけでなくF形反応リレー60も実装することによって、交換されたA形デジタル時素リレー50の雷サージ等による接点溶着を防止することができるので、雷サージ等による影響を受けやすい外線混在回路であっても、C形時素リレー40をA形デジタル時素リレー50に交換することができる。
【0040】
また、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、C形時素リレー40をC形ジャック板30に固定する際に用いられるロック用スタッド41の配設位置と、アダプタ本体10をC形ジャック板30に固定する際に用いられるロック用スタッド14の配設位置と、が互いに異なる場合でも、スタッド位置変換金具20を用いることによって、C形ジャック板30にアダプタ本体10を好適に固定することができる。
【0041】
また、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、スタッド位置変換金具20の筒状部21をC形ジャック板30のガイド棒32に嵌合させることにより、当該スタッド位置変換金具20をC形ジャック板30に取り付ける際の位置決めを行うことができるので、C形ジャック板30の適切な位置にスタッド位置変換金具20を容易に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、アダプタ本体10のアダプタケース11は、A形デジタル時素リレー50及びF形反応リレー60の配設面が段状に形成されているので、アダプタ本体10に実装された各リレーの前端面のバラつきを抑制することができ、各リレーの保守性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、F形反応リレー60のコイル電圧を測定するための測定端子15を当該F形反応リレー60の配設面側に備えるように構成されているので、F形反応リレー60のコイル電圧の測定に係る作業効率を向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態の変換アダプタ1によれば、A形デジタル時素リレー50に対して電源入力を行うための電源入力端子16を当該A形デジタル時素リレー50の配設面側に備えるように構成されているので、A形デジタル時素リレー50に対する電源入力を行い易くすることができる。
【0045】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、第2リレーとして、互いに種類が異なるA形デジタル時素リレー50とF形反応リレー60の2つのリレーを例示したが、当該第2リレーは、例えば、A形デジタル時素リレー50だけでもよいし、互いに種類が異なる3つ以上のリレーであってもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、スタッド位置変換金具20は、アダプタ本体10がC形ジャック板30から取り外される際に当該スタッド位置変換金具20もC形ジャック板30から取り外す旨の指示が記された銘板を更に具備するように構成されてもよい。この構成によれば、アダプタ本体10がC形ジャック板30から取り外される際に、スタッド位置変換金具20もC形ジャック板30から取り外すよう促すことができるので、スタッド位置変換金具20の取り忘れを防止することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 変換アダプタ
10 アダプタ本体
11 アダプタケース
12 A形ジャック板(第2ジャック板)
12a 端子差込口(第2端子差込口)
12b 端子片
13 F形ジャック板(第2ジャック板)
13a 端子差込口(第2端子差込口)
13b 端子片
14 ロック用スタッド(固定用スタッド)
15 測定端子(所定の端子)
16 電源入力端子(所定の端子)
17 差込端子板
17a 差込端子
18 裏面カバー
20 スタッド位置変換金具(螺子受け部材)
21 筒状部
21a 抜け止め螺子
22 連結部
22a 雌螺子
30 C形ジャック板(第1ジャック板)
31 端子差込口(第1端子差込口)
32 ガイド棒(棒状部)
32a 雌螺子
40 C形時素リレー(第1リレー)
50 A形デジタル時素リレー(第2リレー)
60 F形反応リレー(第2リレー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6