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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】車両用ドアのアウトハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20220207BHJP
   E05B 79/06 20140101ALI20220207BHJP
   E05B 85/02 20140101ALI20220207BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
E05B85/16 D
E05B79/06 C
E05B85/02
B60J5/04 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018229265
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020090862
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨士原 泰斗
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-90028(JP,A)
【文献】実開平5-34266(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 85/00-85/18
E05B 79/06
E05B 5/00- 5/04
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア(11)のアウターパネル(12)に取付けられる支持ケース(17)と、手動操作可能な操作部(13a)を有するとともに当該操作部(13a)が前記支持ケース(17)側に収納される収納位置ならびに手動操作によるフルストローク位置間での回動を可能としつつ前記収納位置および前記フルストローク位置間にはポップアップ位置が設定されるようにして前記支持ケース(17)に支持されるアウトハンドル(13)と、当該アウトハンドル(13)に連動、連結されて前記支持ケース(17)に回動可能に支持されるとともに前記アウトハンドル(13)が前記収納位置に在るときの初期位置側に向けて弾発付勢されるハンドルレバー(33)と、前記アウトハンドル(13)が前記収納位置から前記ポップアップ位置に回動するように前記ハンドルレバー(33)を前記初期位置から駆動する通電作動状態ならびに前記アウトハンドル(13)が前記ポップアップ位置に達したときの通電停止による非作動状態を切替え可能として前記支持ケース(17)に取付けられる電動アクチュエータ(26)とを備える車両用ドアのアウトハンドル装置において、
前記アウトハンドル(13)を前記収納位置から前記ポップアップ位置側に回動するように前記ハンドルレバー(33)を前記電動アクチュエータ(26)で駆動したときに当該ハンドルレバー(33)の前記初期位置から遠ざかる側への動きに追随して作動するとともに前記初期位置から遠ざかる側ヘの前記ハンドルレバー(33)の前記電動アクチュエータ(26)によって動作される最大作動位置から前記初期位置側への前記ハンドルレバー(33)の戻りを規制する規制手段(48)を含み、
前記規制手段(48)は、前記アウトハンドル(13)の前記収納位置から前記ポップアップ位置側への作動時に前記ハンドルレバー(33)が通過するのに応じて当該ハンドルレバー(33)に前記初期位置側から当接する傾斜当接面(57)を有する規制部材(49)と、前記傾斜当接面(57)を前記ハンドルレバー(33)に当接させる側に前記規制部材(49)を前記初期位置側から付勢する弾発付勢部材(50)とを備え、前記傾斜当接面(57)は、前記弾発付勢部材(50)で付勢された前記規制部材(49)の前記ハンドルレバー(33)に追随した作動量が多くなるにつれて前記初期位置から遠ざかる位置で前記ハンドルレバー(33)に当接するように傾斜して形成されることを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項2】
前記電動アクチュエータ(26)および前記規制手段(48)が、前記アウトハンドル(13)が前記フルストローク位置となってから所定の状態が成立するのに応じた前記電動アクチュエータ(26)の通電による戻り作動に伴って前記規制手段(48)による規制を解除するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアのアウターパネルに取付けられる支持ケースと、手動操作可能な操作部を有するとともに当該操作部が前記支持ケース側に収納される収納位置ならびに手動操作によるフルストローク位置間での回動を可能としつつ前記収納位置および前記フルストローク位置間にはポップアップ位置が設定されるようにして前記支持ケースに支持されるアウトハンドルと、当該アウトハンドルに連動、連結されて前記支持ケースに作動可能に支持されるとともに前記アウトハンドルが前記収納位置に在るときの初期位置側に向けて弾発付勢されるハンドルレバーと、前記アウトハンドルが前記収納位置から前記ポップアップ位置に回動するように前記ハンドルレバーを前記初期位置から駆動する通電作動状態ならびに前記アウトハンドルが前記ポップアップ位置に達したときの通電停止による非作動状態を切替え可能として前記支持ケースに取付けられる電動アクチュエータとを備える車両用ドアのアウトハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アクチュエータで、アウトハンドルに連動、連結されたロック解除レバー(本願発明のハンドルレバーに対応)が駆動されることにより、アウトハンドルが収納位置からポップアップ位置に回動され、そのポップアップ位置で前記ロック解除レバーが初期位置側に戻るのを、前記電動アクチュエータが備える回転部材に固定されたピンの前記ロック解除レバーへの当接によって規制するようにした車両用ドアのアウトハンドル装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-66605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1で開示されたものでは、アウトハンドルを収納位置からポップアップ位置まで回動するように電動アクチュエータを通電作動させたときに、前記ロック解除レバーは慣性力によって正規の位置を越えて作動する可能性があり、上記特許文献1で開示されたものでは、初期位置側に付勢されたロック解除レバーが、前記慣性力と、付勢力で前記ピンに当接する際の反力とでばたついてしまい、それに応じてアウトハンドルもばたつくことで商品性の低下を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、アウトハンドルを収納位置からポップアップ位置まで回動するように電動アクチュエータでハンドルレバーを駆動した際に、ハンドルレバーひいてはアウトハンドルのばたつきが生じないようにして商品性を高めた車両用ドアのアウトハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ドアのアウターパネルに取付けられる支持ケースと、手動操作可能な操作部を有するとともに当該操作部が前記支持ケース側に収納される収納位置ならびに手動操作によるフルストローク位置間での回動を可能としつつ前記収納位置および前記フルストローク位置間にはポップアップ位置が設定されるようにして前記支持ケースに支持されるアウトハンドルと、当該アウトハンドルに連動、連結されて前記支持ケースに回動可能に支持されるとともに前記アウトハンドルが前記収納位置に在るときの初期位置側に向けて弾発付勢されるハンドルレバーと、前記アウトハンドルが前記収納位置から前記ポップアップ位置に回動するように前記ハンドルレバーを前記初期位置から駆動する通電作動状態ならびに前記アウトハンドルが前記ポップアップ位置に達したときの通電停止による非作動状態を切替え可能として前記支持ケースに取付けられる電動アクチュエータとを備える車両用ドアのアウトハンドル装置において、前記アウトハンドルを前記収納位置から前記ポップアップ位置側に回動するように前記ハンドルレバーを前記電動アクチュエータで駆動したときに当該ハンドルレバーの前記初期位置から遠ざかる側への動きに追随して作動するとともに前記初期位置から遠ざかる側ヘの前記ハンドルレバーの最大作動位置から前記初期位置側への前記ハンドルレバーの戻りを規制する規制手段を含み、前記ハンドルレバーが前記支持ケースに回動可能に支持され、前記規制手段は、前記アウトハンドルの前記収納位置から前記ポップアップ位置側への作動時に前記ハンドルレバーが通過するのに応じて当該ハンドルレバーに前記初期位置側から当接する傾斜当接面を有する規制部材と、前記傾斜当接面を前記ハンドルレバーに当接させる側に前記規制部材を前記初期位置側から付勢する弾発付勢部材とを備え、前記傾斜当接面は、前記弾発付勢部材で付勢された前記規制部材の前記ハンドルレバーに追随した作動量が多くなるにつれて前記初期位置から遠ざかる位置で前記ハンドルレバーに当接するように傾斜して形成されることを第の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記電動アクチュエータおよび前記規制手段が、前記アウトハンドルが前記フルストローク位置となってから所定の状態が成立するのに応じた前記電動アクチュエータの通電による戻り作動に伴って前記規制手段による規制を解除するように構成されることを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、アウトハンドルを収納位置からポップアップ位置側に回動するようにハンドルレバーを駆動したときに、ハンドルレバーの初期位置から遠ざかる側の動きに追随して作動する規制手段によってハンドルレバーの初期位置側への戻りが規制されるので、ハンドルレバーが慣性力によって正規位置を越えて作動しても、そのハンドルレバーの動きに規制手段が追随することで、正規位置を越えたハンドルレバーをその位置で規制して初期位置側に戻るのを規制し、ハンドルレバーひいてはアウトハンドルのばたつきが生じないようにして商品性を高めることができる。
【0009】
た、規制手段は、傾斜当接面を有する規制部材と、傾斜当接面をハンドルレバーに当接させる側に規制部材を初期位置側から付勢する弾発付勢部材とを備え、ハンドルレバーが通過するのに応じて当該ハンドルレバーに初期位置側から当接する傾斜当接面が、弾発付勢部材で付勢された規制部材のハンドルレバーに追随した作動量が多くなるにつれて初期位置から遠ざかる位置でハンドルレバーに当接するように傾斜しているので、ハンドルレバーが慣性力によって正規の位置を越えて作動してもそのハンドルレバーの動きに追随して傾斜当接面をハンドルレバーに確実に当接させながら正規位置を越えたハンドルレバーの位置を弾発的に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ドアの要部を示す側面図である。
図2】アウトハンドルが収納位置(a)、ポップアップ位置(b)およびフルストローク位置(c)にある状態でドアの要部を示す側面図である。
図3図1の3-3線に沿う断面図である。
図4図3の4矢視方向から見た図である。
図5】アウトハンドルが収納位置に在る状態での図4の要部を示す側面図である。
図6図5の6-6線断面図である。
図7】規制部材の斜視図である。
図8】アウトハンドルがポップアップ位置にある状態での図5に対応した側面図である。
図9図8の9-9線断面図である。
図10】アウトハンドルがフルストローク位置にある状態での図5に対応した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図1図10を参照しながら説明すると、先ず図1および図2において、乗用車両のサイドドア11におけるアウターパネル12には、車両前後方向に長く延びるとともに手動操作を可能とした操作部13aを有するアウトハンドル13が配設されており、このアウトハンドル13は、図2(a)で示すように前記操作部13aの外面を前記アウターパネル12の外面と面一とした収納位置から、図2(b)で示すように前記操作部13aを前記アウターパネル12の外面から外側方に突出させたポップアップ位置を経て、図2(c)で示すように前記操作部13aを把持して操作することによって前記ポップアップ位置よりもさらに外側方に回動したフルストローク位置に回動することが可能である。
【0012】
図3を併せて参照して、前記アウトハンドル13は、車両前後方向に長く延びるハンドル本体14と、当該ハンドル本体14を外側から覆うようにして前記ハンドル本体14に締結されるカバー部材15とで構成され、前記ハンドル本体14には、タッチセンサやアンテナ等の電子部品が搭載される基板16が取付けられ、この基板16は前記カバー部材15で覆われる。また前記操作部13aは、前記ハンドル本体14と、前記カバー部材15とで車両前後方向に長く延びるように構成される。
【0013】
前記アウトハンドル13における前記ハンドル本体14の車両前後方向に沿う前端部は、前記アウターパネル12に固定される支持ケース17に、鉛直方向に延びる第1の支軸18を介して回動可能に支持される。前記第1の支軸18で回動可能に支持されることで、前記アウトハンドル13は、前記収納位置(実線で示す位置)と、前記操作部13aをアウターパネル12の外面から外側方に突出させるポップアップ位置PP(鎖線で示す位置)との間で回動可能であるとともに、そのポップアップ位置PPと、当該ポップアップ位置PPよりもさらに外側方に回動したフルストローク位置PF(鎖線で示す位置)との間でも回動可能である。
【0014】
また前記アウターパネル12には、車両前後方向に長く延びる開口部19が設けられており、前記支持ケース17は、前記開口部19を前記アウターパネル12の内方側から閉じるようにして当該アウターパネル12の内面側に締結され、この支持ケース17および前記アウターパネル12間には前記開口部19の周縁部をシールするシール部材20が介装される。
【0015】
前記支持ケース17には、前記開口部19に対応して車両前後方向に長く延びる収納凹部21が前記アウターパネル12の内方側に凹むように形成されており、前記アウトハンドル13の前記操作部13aは、当該操作部13aが前記アウターパネル12の外面と面一となる前記収納位置にあっては、前記収納凹部21に収容される。また前記第1の支軸18は前記収納凹部21を上下方向に横断するようにして前記支持ケース17に取付けられており、前記操作部13aの前記前端部寄りで前記ハンドル本体14に一体に設けられて前記収納凹部21内に配置される支持部14aに前記第1の支軸18が挿通される。
【0016】
前記支持ケース17には、前記収納位置で前記アウトハンドル13の前記ハンドル本体14に一体に設けられる当接突部14bを当接させる第1の弾性部材22が前記収納凹部21内に位置するようにして取付けられるとともに、前記フルストローク位置で前記アウトハンドル13における前記ハンドル本体14の前記前端部を当接させる第2の弾性部材23が前記収納凹部21内に位置するようにして貼着される。
【0017】
前記アウトハンドル13の前記ハンドル本体14には、前記支持部14aに連なる連結突部14cが一体に設けられ、この連結突部14cは、前記支持ケース17に設けられて車両の前後方向に長く延びる長孔24を貫通し、当該連結突部14cの先端部は前記支持ケース17から内方に突出する。
【0018】
図4を併せて参照して、前記アウトハンドル13の前記操作部13aとは反対側の前記支持ケース17の背面における前部には、前記支持ケース17側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドル13を前記操作部13aが前記アウターパネル12から外側方に突出するポップアップ位置まで回動駆動することを可能とした電動アクチュエータ26が取付けられる。
【0019】
この電動アクチュエータ26は、駆動レバー27と、その駆動レバー27を回動する動力を発揮するようにしてアクチュエータケース29に収容される電動モータ(図示せず)とを備える。前記駆動レバー27は、図4で示す初期非作動位置と、後述の図8で示す作動位置との間で回動するものであり、前記電動モータは、その通電時に前記初期非作動位置から前記作動位置に前記駆動レバー27を回動駆動することができるとともに、逆回転によって前記作動位置から前記初期非作動位置に戻すように前記駆動レバー27を回動駆動することもできる。
【0020】
前記アクチュエータケース29は、前記支持ケース17の前記背面の前側下部に、該支持ケース17から下方に張り出すようにして取付けられる。また前記アクチュエータケース29の上部に回動自在に支持される回動軸30に前記駆動レバー27の一端部が固定され、前記電動モータおよび前記回動軸30間に設けられる伝動機構(図示せず)が前記アクチュエータケース29に収容される。
【0021】
また前記支持ケース17には、前記駆動レバー27が前記初期非作動位置にあるときに前記駆動レバー27に近接、対向する第1のストッパ31と、前記駆動レバー27が前記作動位置にあるときに前記駆動レバー27に近接、対向する第2のストッパ32とが、前記駆動レバー27の必要以上の回動を阻止するようにして設けられる。
【0022】
一方、前記アウトハンドル13の前記操作部13aとは反対側の前記支持ケース17の背面には、前記アウトハンドル13に連動、連結されるハンドルレバー33が作動可能、この実施の形態では回動可能に支持される。
【0023】
前記ハンドルレバー33は、前記電動アクチュエータ26よりも後方で前記支持ケース17に水平な回動軸線Cまわりの回動を可能として支持されるレバー基部33aと、そのレバー基部33aから上方に延びる第1連結腕部33bと、前記レバー基部33aから前記駆動レバー27側に向けて前方側に延びる第2連結腕部33cと、前記レバー基部33aから前記第2連結腕部33cとは反対側に延びる第3連結腕部33dと、前記レバー基部33aから下方に延びるセクタギヤ部33eとを一体に有する。
【0024】
前記第1連結腕部33bには、その長手方向に長く延びる連結孔34が形成されており、前記アウトハンドル13が備える前記連結突部14cの先端部が前記連結孔34に挿入、連結される。すなわち前記ハンドルレバー33は、前記アウトハンドル13に連動、連結される。しかも前記ハンドルレバー33の前記レバー基部33aと、前記支持ケース17との間には、ねじりばねである第1の弾発付勢部材35が設けられており、前記ハンドルレバー33は、前記第1の弾発付勢部材35の弾発付勢力によって、前記アウトハンドル13が前記収納位置に在る状態に対応した初期位置(図4で示す位置)側に向けて付勢される。
【0025】
また前記支持ケース17には、前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置までの前記アウトハンドル13の手動操作に伴う前記ハンドルレバー33の回動に応じて回動するラッチ切替えレバー36が回動可能に支持される。
【0026】
ところで前記サイドドア11には、そのサイドドア11の閉じ状態を車体側に係合することで保持するラッチ状態ならびに前記サイドドア11を開放操作することを可能としたアンラッチ状態を切り換え可能としたラッチ機構37が、前記ラッチ切替えレバー36の下方に配置されるようにして配設される。このラッチ機構37は、そのラッチ状態を解除することを可能としたアンロック状態ならびに前記ラッチ状態を解除することを不能としたロック状態を切換える電動モータ(図示せず)を備えており、ロック状態で前記アウトハンドル13を正規の車両ユーザが把持したことを前記アウトハンドル13内のタッチセンサが検出するのに応じて、前記ラッチ機構37はアンロック状態となる。
【0027】
前記ラッチ切替えレバー36は、前記ハンドルレバー33における前記第3連結腕部33dの下方で前記支持ケース17に、前記ハンドルレバー33の回動軸線Cと平行な軸線を有する第2の支軸38を介して回動可能に支持されつつ前記ハンドルレバー33の前記レバー基部33aから離反する方向に延出されており、このラッチ切替えレバー36の回動は、当該ラッチ切替えレバー36の先端部に一端部が連結された伝動ロッド39を介して前記ラッチ機構37に伝達される。
【0028】
前記ラッチ切替えレバー36は、前記第2の支軸38のまわりに配置されて前記支持ケース17および当該ラッチ切替えレバー36に両端部が係合されるねじりばねである第2の弾発付勢部材40の付勢力で前記伝動ロッド39を引き上げる方向(図4の時計方向)に付勢されており、前記支持ケース17には、前記第2の弾発付勢部材40による付勢方向への前記ラッチ切替えレバー36の回動限を規制する第3のストッパ41が、前記ラッチ切替えレバー36の上部側面に当接することを可能として設けられる。
【0029】
車両前後方向で前記第3のストッパ41および前記第2の支軸38間に配置される受圧部42が前記ラッチ切替えレバー36の上部に設けられる。この受圧部42には、前記アウトハンドル13が前記ポップアップ位置となったときに、前記ハンドルレバー33における前記第3連結腕部33dの先端部が上方から近接、対向するものであり、前記アウトハンドル13が前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置に回動すると、前記第3連結腕部33dの先端部が前記受圧部42を押し下げて、前記ラッチ切替えレバー36は前記伝動ロッド39を押し下げるように回動し、それによって前記ラッチ機構37がラッチ状態からアンラッチ状態となる。
【0030】
車両前後方向で前記ラッチ切替えレバー36の中間下部には、下方に延びる腕部36aが一体に設けられており、この腕部36aは、前記支持ケース17に取付けられたリミットスイッチ2のスイッチング態様を、第3連結腕部33dによる前記ラッチ切替えレバー36の回動に伴って変化させる。
【0031】
また前記ハンドルレバー33の前記セクタギヤ部33eは、前記支持ケース17に締結されたロータリーダンパ43が有するギヤ44に噛合される。このロータリーダンパ43は、前記アウトハンドル13の前記収納位置すなわち前記ハンドルレバー33の初期位置側に前記アウトハンドル13および前記ハンドルレバー33が第1の弾発付勢部材35で付勢されているのに対して、前記アウトハンドル13を前記フルストローク位置まで回動した後に該アウトハンドル13から手を離しても当該アウトハンドル13が前記ポップアップ位置および前記収納位置側に緩やかに回動するようにする働きをする。
【0032】
前記電動アクチュエータ26が有する前記駆動レバー27の先端部には、当接ピン45が植設される。この当接ピン45は、前記ハンドルレバー33が前記初期位置にあって前記駆動レバー27が初期非作動位置にある状態では、前記ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cに下方から当接しており、この当接ピン45の周方向複数箇所には、当該当接ピン45の前記駆動レバー27への固定強度を確保するための補強リブ46が設けられる。
【0033】
前記アウトハンドル13が前記収納位置に在る状態で前記電動アクチュエータ26を通電作動状態とすることで前記駆動レバー27が前記初期非作動位置から前記作動位置に向けて回動し、前記当接ピン45で前記第2連結腕部33cが押し上げられることによって前記ハンドルレバー33が図4の反時計方向に回動し、前記アウトハンドル13が前記収納位置から前記ポップアップ位置側に回動駆動される。また前記アウトハンドル13が前記ポップアップ位置に達したときには前記電動アクチュエータ26への通電は停止され、その通電停止によって前記電動アクチュエータ26は非作動状態となる。
【0034】
前記支持ケース17には、前記アウトハンドル13を前記収納位置から前記ポップアップ位置側に回動するように前記ハンドルレバー33を前記初期位置から前記電動アクチュエータ26で駆動したときに、当該ハンドルレバー33がその電動アクチュエータ26によって動作される最大作動位置から前記初期位置側に戻ることを規制する規制手段48が設けられる。
【0035】
図5および図6を併せて参照して、前記規制手段48は、前記アウトハンドル13の前記収納位置から前記ポップアップ位置側への作動時に前記ハンドルレバー33が通過するのに応じて当該ハンドルレバー33に前記初期位置側から当接する傾斜当接面57を有する規制部材49と、前記ハンドルレバー33の水平な回動軸線Cに沿う一方向に前記規制部材49を前記初期位置側から付勢する弾発力を発揮する第3の弾発付勢部材50とを備えるものであり、第3の弾発付勢部材50は、この実施の形態ではコイルばねである。
【0036】
前記規制手段48を配設するために、前記支持ケース17には、前記ハンドルレバー33の回動軸線Cと平行に延びる収容孔52が設けられ、この収容孔52の一端側の一部は、前記ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cで覆われる。この収容孔52は、矩形の収容孔主部52aと、車両前後方向で前記収容孔主部52aの中央部に連なって上方に延びる矩形の延出孔部52bとを有するように形成されており、前記支持ケース17の表面側すなわち前記アウターパネル12側で前記収容孔主部52aの開口端を閉じる蓋部材53が前記支持ケース17に取付けられる。
【0037】
図7において、前記規制部材49は、前記収容孔52の前記収容孔主部52aに収容される規制部材主部49aに、前記収容孔52の前記延出孔部52bに収容されるようにして略L字状に形成される支持腕部49bの基端部が一体に連設されて成るものであり、前記支持腕部49bの先端部には、略C字状である被支持部54が形成される。一方、前記支持ケース17には、車両前後方向で前記収容孔52の前記延出孔部52bを横断する第3の支軸55が設けられており、前記被支持部54に前記第3の支軸55が嵌合することで前記支持腕部49bすなわち前記規制部材49は、前記支持ケース17に回動可能に支持されることになり、前記第3の弾発付勢部材50は前記蓋部材53および前記規制部材主部49a間に設けられる。
【0038】
前記規制部材主部49aは、前記第3の支軸55よりも下方に配置されて前記収容孔主部52a内で作動するものであり、前記第2連結腕部33cに臨む側で前記規制部材主部49aの車両前後方向での中央部には隆起部56が形成される。この隆起部56の先端部は、前記アウトハンドル13前記収納位置から前記ポップアップ位置側に回動駆動するように前記ハンドルレバー33が前記初期位置から回動する際に、そのハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cに前記初期位置側から当接することを可能とした傾斜当接面57として形成される。
【0039】
前記第3の弾発部材50は、前記アウトハンドル13の前記収納位置から前記ポップアップ位置側への作動時に前記ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cが通過するのに応じて当該第2連結腕部33cに前記初期位置側から前記傾斜当接面57を当接させる側に前記規制部材49を弾発付勢しており、前記傾斜当接面57は、前記第3の弾発付勢部材50で付勢された前記規制部材49の前記ハンドルレバー33に追随した作動量が多くなるにつれて前記初期位置から遠ざかる位置で前記ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cに当接するように傾斜して形成される。
【0040】
また前記隆起部56の両側で前記規制部材主部49aには、傾斜方向を前記傾斜当接面57と同方向とした第1傾斜面58と、第1傾斜面58よりも傾斜角度を大きくしつつ前記第1傾斜面58よりも前記初期位置から遠ざかる側に配置される第2傾斜面59と、第1および第2傾斜面58,59間を結ぶ湾曲面60とが、それぞれ形成される。
【0041】
このような規制部材49は、前記ハンドルレバー33が前記初期位置にある状態では、図5および6で示すように、前記規制部材主部49aにおける前記隆起部56の両側の前記第1傾斜面58、前記第2傾斜面59および前記湾曲面60のうち一方の側の第1傾斜面58に駆動レバー27が当接した状態にあり、規制部材主部49aの傾斜当接面57は前記ハンドルレバー33の第2連結腕部33cとは当接していない。しかるに、図8および図9で示すように、前記アウトハンドル13が前記ポップアップ位置となるまで前記ハンドルレバー33が回動したときには、駆動レバー27の前記作動位置側への回動によって前記規制部材主部49aの前記収容孔主部52aから突出する方向の移動が許容されることになり、図9で示すように、前記ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cが通過するのに応じて当該ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cに、前記傾斜当接面57が前記ハンドルレバー33の前記初期位置側から当接することになる。
【0042】
この際、前記ハンドルレバー33が慣性力によってポップアップ位置に対応した正規位置を越えて作動しても、第3の弾発付勢部材50で前記初期位置側から弾発付勢されている前記規制部材49がそのハンドルレバー33の動きに追随することで、前記ハンドルレバー33の第2連結腕部33cに前記傾斜当接面57が当接した状態は維持される。
【0043】
さらに前記アウトハンドル13の前記操作部13aを車両運転者が操作することで前記アウトハンドル13が前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置まで回動したときには、図10で示すように、前記ハンドルレバー33は前記規制部材49の前記規制部材主部49aを置き去りにしたまま回動する。この際、前記第3の弾発付勢部材50で付勢されている前記規制部材49は、その支持腕部49bが、前記収容孔52における前記延出孔部52bの前記収容孔主部52a側の端部に車両前後方向に延びるように設けられた棒状の第4のストッパ61に当接することで回動が規制されている。
【0044】
ところで前記電動アクチュエータ26の前記駆動レバー27が前記初期非作動位置から前記作動位置まで回動して前記アウトハンドル13が前記収納位置から前記ポップアップ位置まで回動することで、通電停止による非作動状態となっている前記電動アクチュエータ26に通電すると、前記電動アクチュエータ26の前記電動モータは、前記駆動レバー27を前記初期非作動位置から前記作動位置に起動したときとは反対方向に回転する。これにより前記駆動レバー27は、前記作動位置から前記初期非作動位置に戻るように回動し、前記規制部材主部49aにおける前記隆起部56の両側のうち一方の側の第2傾斜面59から前記湾曲面60および第1傾斜面58に前記駆動レバー27が順次当接することで、前記規制部材主部49aは第3の弾発付勢部材50の弾発力に抗して収容孔主部52aに収容されるように押され、前記ハンドルレバー33の前記第2連結腕部33cへの前記傾斜当接面57の当接が解消され、前記ハンドルレバー33は前記第1の弾発付勢部材35によって前記初期位置側に戻ることになる。
【0045】
すなわち前記電動アクチュエータ26および前記規制手段48は、前記アウトハンドル13が前記フルストローク位置となって以降の前記電動アクチュエータ26への通電により、当該電動アクチュエータ26の戻り作動に伴って前記規制手段48による規制を解除するように構成されている。
【0046】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、アウトハンドル13を収納位置からポップアップ位置側に回動するようにハンドルレバー33を電動アクチュエータ26で駆動したときに当該ハンドルレバー33の前記電動アクチュエータ26によって動作される最大作動位置から初期位置側に戻ることが規制手段48で規制されるので、ハンドルレバー33が慣性力によって正規の位置を越えて作動しても、そのハンドルレバー33の前記最大作動位置を規制することで、初期位置側にハンドルレバー33が付勢されていてもハンドルレバー33のばたつきが生じることはなく、ハンドルレバー33ひいてはアウトハンドル13のばたつきが生じないようにして商品性を高めることができる。
【0047】
また前記ハンドルレバー33が前記支持ケース17に回動可能に支持され、前記規制手段48は、前記アウトハンドル13の前記収納位置から前記ポップアップ位置側への作動時に前記ハンドルレバー33の第2連結腕部33cが通過するのに応じて当該第2連結腕部33cに前記初期位置側から当接する傾斜当接面57を有する規制部材49と、前記傾斜当接面57を前記第2連結腕部33cに当接させる側に前記規制部材49を前記初期位置側から付勢する第3の弾発付勢部材50とを備え、前記傾斜当接面57は、前記第3の弾発付勢部材50で付勢された前記規制部材49の前記ハンドルレバー33に追随した作動量が多くなるにつれて前記初期位置から遠ざかる位置で前記第2連結腕部33cに当接するように傾斜して形成されるので、前記ハンドルレバー33が慣性力によって正規の位置を越えて作動してもそのハンドルレバー33の動きに追随して傾斜当接面57をハンドルレバー33の第2連結腕部33cに確実に当接させながら正規位置を越えたハンドルレバー33の位置を弾発的に規制することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0049】
11・・・サイドドア
12・・・アウターパネル
13・・・アウトハンドル
13a・・・操作部
17・・・支持ケース
26・・・電動アクチュエータ
33・・・ハンドルレバー
48・・・規制手段
49・・・規制部材
50・・・弾発付勢部材
57・・・傾斜当接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10