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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】事前及び事後の自動定量的冠動脈造影
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/12 20060101AFI20220207BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A61B6/12
A61B6/00 331E
A61B6/00 350D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018503775
(86)(22)【出願日】2016-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2016066740
(87)【国際公開番号】W WO2017016885
(87)【国際公開日】2017-02-02
【審査請求日】2019-07-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】15306216.1
(32)【優先日】2015-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オーブレイ ヴィンセント マウリス アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ネムポント オリビエ ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ピザイネ ギヨーム ジュリアン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】フローレント ラウル
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-297236(JP,A)
【文献】特表2015-503416(JP,A)
【文献】米国特許第10664970(US,B2)
【文献】欧州特許第3329459(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管構造の一部の自動定量化のための装置であって、前記装置は、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットと、
を含み、
前記入力ユニットは、前記処理ユニットに、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像を提供し、前記少なくとも1つの第1の画像は、血管治療に使用される医療デバイスの一部の場所を表す画像データを含み、前記医療デバイスの前記一部は、前記血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態のうちにあるバルーンであり、前記画像データは、前記バルーンの少なくとも部分的に膨らんだ状態を示す署名画像データを有し、
前記入力ユニットは、前記処理ユニットに、前記血管構造の前記関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像を提供し、前記少なくとも1つの第2の画像は、造影剤が存在して取得される画像データを含み、前記画像データにおいて、前記血管構造の少なくとも一部が明白に見えるように表され、前記少なくとも1つの第2の画像は、前記血管治療が施される前及び施された後取得された画像のうち少なくとも一方を含み、
前記処理ユニットは、i)前記少なくとも1つの第1の画像の取得時間を前記血管治療の時間として決定し、ii)前記少なくとも1つの第1の画像において、前記署名画像データの場所を決定し、
前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの第1の画像内の少なくとも1つの場所を、前記少なくとも1つの第2の画像内の対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換を決定し、前記変換を、前記少なくとも1つの第1の画像における前記署名画像データの場所に適用して、前記少なくとも1つの第2の画像における対応する場所を提供し、
前記出力ユニットは、前記少なくとも1つの第2の画像における前記対応する場所における前記血管構造を表すデータを出力し、出力された前記データは、前記血管治療の結果を認定する情報を含む、装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記変換を決定及び適用するために、前記少なくとも1つの第1の画像における前記血管構造の前記関心領域の前記空間表現を、前記少なくとも1つの第2の画像における前記血管構造の前記関心領域の前記空間表現と位置合わせする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
血管構造の一部の自動定量化のための医用システムであって、前記医用システムは、
少なくとも1つの画像取得ユニットと、
請求項1又は2に記載の血管構造の一部の自動定量化のための装置と、
を含み、
前記少なくとも1つの画像取得ユニットは、前記入力ユニットに、前記血管構造の前記関心領域の前記空間表現を含む前記少なくとも1つの第1の画像を提供し、また、前記入力ユニットに、前記血管構造の前記関心領域の前記空間表現を含む前記少なくとも1つの第2の画像を提供する、医用システム。
【請求項4】
血管構造の一部の自動定量化のための装置の作動方法であって、前記装置は、入力ユニットと、処理ユニットと、出力ユニットとを含み、
a)前記入力ユニットが、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像を提供するステップであって、前記少なくとも1つの第1の画像は、血管治療に使用される医療デバイスの一部の場所を表す画像データを含み、前記医療デバイスの前記一部は、前記血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態のうちにあるバルーンであり、前記画像データは、前記バルーンの少なくとも部分的に膨らんだ状態を示す署名画像データを有する、ステップと、
b)前記入力ユニットが、前記血管構造の前記関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像を提供するステップであって、前記少なくとも1つの第2の画像は、造影剤が存在して取得される画像データを含み、前記画像データにおいて、前記血管構造の少なくとも一部が明白に見えるように表され、前記少なくとも1つの第2の画像は、前記血管治療が施される前及び施された後取得された画像のうち少なくとも一方を含む、ステップと、
c)前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの第1の画像の取得時間を前記血管治療の時間として決定するステップと、
d)前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの第1の画像において、前記署名画像データの場所を決定するステップと、
e)前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの第1の画像における少なくとも1つの場所を、前記少なくとも1つの第2の画像における対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換を決定し、前記少なくとも1つの第2の画像における対応する場所を提供するように、前記署名画像データの場所に前記変換を適用するステップと、
f)前記出力ユニットが、前記少なくとも1つの第2の画像における前記対応する場所における前記血管構造を表すデータを出力するステップであって、出力された前記データは、前記血管治療の結果を認定する情報を含む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の画像の前記画像データは、非注入X線データを含み、画像の前記取得時間に造影剤が存在しない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記血管治療はステントの展開であり、前記方法は、前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの第2の画像を、ステント留置前の画像とステント留置後の画像とに分けるステップを更に含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記署名画像データは、前記バルーンの造影剤を含むことで膨らんだ状態示す、請求項4乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップe)は、
e1)前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの第1の画像における前記血管構造の前記関心領域の前記空間表現を、前記少なくとも1つの第2の画像における前記血管構造の前記関心領域の前記空間表現と位置合わせするステップを含む、請求項4乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記位置合わせするステップは、心臓ロードマッピングによって達成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップe1)は更に、前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの第2の画像における前記決定された場所における又は前記決定された場所の周りの領域における血管半径が減少した領域を決定するステップを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサによって実行されると、請求項4乃至10の何れか一項に記載の方法を行う、請求項1若しくは2に記載の装置、又は請求項3に記載のシステムを制御する、コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管構造の一部を自動定量化する装置、血管構造の一部を自動定量化する医用システム及び血管構造の一部を自動定量化する方法並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管治療において、例えば心臓狭窄症を治療するための経皮経管冠動脈形成術(PTCA)において、血管治療に関する情報が提供される必要がある。具体的には、臨床医は、例えば冠動脈の概略図上で狭窄部の場所を特定することによってどの狭窄部が治療されたのかを説明しなければならない。更に、しばしば、ステント留置前後の各狭窄部の定量的冠動脈造影(QCA)値が提供される必要がある。米国特許出願公開第2011/0081057A1号は、QCAシステムに関する。QCA値は、狭窄位置における動脈直径の相対的減少である。これらの値は、インターベンションの必要をサポートし、インターベンションの成功又は失敗を記録するために使用することができる。臨床医は、しばしば、インターベンション前に、即ち、実際のインターベンション又は治療前に得られた一連の血管造影画像を選択し、当該一連からフレームを選択し、狭窄部の位置を特定し、マウスカーソルを用いてフレーム上を数回クリックして、QCA値を決定しなければならない。これは、インターベンション後に、即ち、インターベンション又は治療後に得られた一連の血管造影画像にも行われなければならない。したがって、QCA値の取得には時間がかかり、単調で、したがって、時に省略されるか又は視覚的に大雑把にしか推定されない。
【0003】
Tobias J.他によるAmerican Journal of Cardiology、第56巻、第4号、(1985)237-241頁は、冠動脈血管形成の実行を支援するものとしてのデジタル冠動脈ロードマッピングについて説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定量的冠動脈造影値を提供する改良技術があることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって達成される。更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。なお、以下に説明される本発明に態様は、血管構造の一部の自動定量化のための装置、血管構造の一部の自動定量化のための医用システム、血管構造の一部の自動定量化のための方法、並びに、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも当てはまる。
【0006】
第1の態様によれば、血管構造の一部の自動定量化のための装置が提供される。当該装置は、入力ユニットと、処理ユニットと、出力ユニットとを含む。
【0007】
入力ユニットは、処理ユニットに、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像を提供する。少なくとも1つの第1の画像は、医療デバイスの一部の場所を表す画像データを含み、医療デバイスは、血管治療に使用され、医療デバイスの一部は、血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態にあるように構成される。入力ユニットは更に、処理ユニットに、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像を提供する。画像データは、血管構造の少なくとも一部を明白に見えるように表す。処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を決定し、特徴は、血管治療の段階に関連付けられる複数の状態のうちの1つにある医療デバイスの一部に関連付けられる。処理ユニットは更に、少なくとも1つの第1の画像内の少なくとも1つの場所を、少なくとも1つの第2の画像内の対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換を決定し、当該変換を、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所に適用して、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における決定された場所を提供する。出力ユニットは、決定された場所における血管構造を表すデータを出力する。
【0008】
結果として、インターベンション前及びインターベンション後のQCA値を決定することができる。更に、インターベンション時のQCA値も決定することができる。これにより、インターベンションが予定通りに行われたかどうか、インターベンションが成功したかどうか、インターベンションが予定通りに展開したかどうか、及び、インターベンション後の血管構造が予定通りであるかどうかを決定することができる。
【0009】
一実施例では、血管治療は、少なくとも1つの第1の画像の取得時に対応する時間に施された。処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像から、血管治療が少なくとも1つの第1の画像の取得時に施されたことを決定する。血管治療が施された時間を決定することにより、少なくとも1つの第2の画像が血管治療の時間の前に取得されたのか若しくは後に取得されたのか、又は、血管治療が少なくとも1つの第2の画像の取得時に施されたことを決定することができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像を、血管治療に関して時間的に適切な位置に自動的に置くことができる。
【0010】
一実施例では、処理ユニットは、変換を決定及び適用するために、少なくとも1つの第1の画像における血管構造の関心領域の空間表現を、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の関心領域の空間表現と位置合わせする。
【0011】
「少なくとも1つの第1の画像内の少なくとも1つの場所を、少なくとも1つの第2の画像内の対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換を決定する」との表現は、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における1つの場所を、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における相関された場所に相関させることを意味する場合があり、また、第1の画像内の1つの場所を第2の画像内の1つの場所に関連付けるために、第1の画像を第2の画像と位置合わせすることを意味する場合もある。
【0012】
第2の態様によれば、血管構造の一部の自動定量化のための医用システムが提供される。当該システムは、少なくとも1つの画像取得ユニットと、上記実施例のうちの何れかによる血管構造の一部の自動定量化のための装置とを含む。
【0013】
少なくとも1つの画像取得ユニットは、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像を提供し、また、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像を提供する。インターベンション前及びインターベンション後に、例えば異常部又は狭窄部の場所において、血管構造の一部を自動定量化する医用システムを提供することによって、臨床医は、インターベンションに関連付けられる必要な報告情報が自動的に提供される。臨床医は、どの狭窄が治療されたか、当該狭窄が血管構造内のどこにあるかに関する情報が提供される。臨床医は、インターベンション前に狭窄の深刻さと、インターベンションが成功したかどうかに関する情報が提供される。臨床医は、いつインターベンションが行われたかの手動決定と、当該インターベンションの前及び後の両方での血管造影(アンギオ)画像フレームの評価と、更に、これらの画像内のどこでインターベンションが行われたかの手動決定を必要とするインターベンションに関連するQCA値を手動で決定する必要がない。
【0014】
第3の態様によれば、血管構造の一部の自動定量化のための方法が提供される。当該方法は、
a)血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像を提供するステップと、
b)血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像を提供するステップと、
d)少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を決定するステップと、
e)少なくとも1つの第1の画像における少なくとも1つの場所を、少なくとも1つの第2の画像における対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換を決定し、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における決定された場所を提供するように、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所に変換を適用するステップと、
f)決定された場所における血管構造を表すデータを出力するステップとを含み、少なくとも1つの第1の画像は、医療デバイスの一部の場所を表す画像データを含み、医療デバイスは、血管治療に使用され、医療デバイスの一部は、血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態にあるように構成され、少なくとも1つの第2の画像は、血管構造の少なくとも一部を表す画像データを、明白に見えるように含み、特徴は、血管治療の段階に関連付けられる複数の状態のうちの1つにある医療デバイスの一部に関連付けられる。
【0015】
結果として、少なくとも1つの第2の画像を、血管治療及び狭窄部に関して空間的に適切な位置に自動的に置くことができる。この場合、QCA値を、狭窄部に関して少なくとも1つの第2の画像から決定することができ、これは、ステント留置前及び留置後の両方で行うことができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像における対応する場所を決定するのに有益であるのは、少なくとも1つの第1の画像における特徴自体ではなく、その位置だけが重要である。
【0016】
一実施例では、ステップd)は、少なくとも1つの第1の画像における医療デバイスの一部の場所を表す画像データの場所を決定するステップを含む。血管構造における1つの場所における医療デバイスの一部の場所を決定することは、当該場所に異常部又は狭窄部があることを決定するのに役立つ。
【0017】
一実施例では、医療デバイスの一部の場所を表す画像データは、非注入X線データを含む。
【0018】
一実施例では、非注入X線データは、蛍光画像データを含む。
【0019】
一実施例では、医療デバイスの一部の場所を表す画像データは、蛍光画像データを含む。したがって、蛍光透視X線機器といった標準的な手順及び機器を使用することができる。
【0020】
一実施例では、血管治療は、少なくとも1つの第1の画像の取得時に対応する時間に施された。方法は更に、次のステップ:
c)少なくとも1つの第1の画像から、血管治療が、少なくとも1つの第1の画像の取得時に施されたことを決定するステップを含む。
【0021】
血管治療が施された時間を決定することにより、少なくとも1つの第2の画像が血管治療の時間の前に取得されたのか若しくは後に取得されたのか、又は、血管治療が少なくとも1つの第2の画像の取得時に施されたことを決定することができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像を、血管治療に関して時間的に適切な位置に自動的に置くことができる。
【0022】
一実施例では、血管治療は、医療デバイスの一部が、非展開状態から展開状態に動かされることを含み、少なくとも1つの第1の画像は、非展開状態以外の状態にある医療デバイスの一部を表す画像データを含む。
【0023】
したがって、医療デバイスの展開を使用して、特徴の場所を決定し、また、血管治療の時間を決定することができる。したがって、医療デバイスの展開を使用して、少なくとも1つの第2の画像を、異常部又は狭窄部及びその治療に関して空間的及び時間的に適切な位置に置くことができる。
【0024】
一実施例では、ステップe)は、
e1)少なくとも1つの第1の画像における血管構造の関心領域の空間表現を、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の関心領域の空間表現と位置合わせするステップを含む。
【0025】
これは、例えば心臓ロードマッピングを変換の決定に使用でき、また、変換の適用に使用できることを意味する。
【0026】
一実施例では、ステップe1)は、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の一部の関心領域の空間表現における決定された場所における又は決定された場所の周りの領域における血管半径が減少した領域を決定するステップを含む。
【0027】
結果として、これは、例えば少なくとも1つの第1の画像及び少なくとも1つの第2の画像におけるその検出から少なくとも1つの第1の画像マッチングに変換される狭窄位置が要望通りに正確ではない場合に、位置合わせ処理の微調整を提供する。
【0028】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は、血管構造の一部内にある医療デバイスの一部を表す画像データを含み、ステップe1)は更に、少なくとも1つの第1の画像における血管構造の一部内にある医療デバイスの一部を表す画像データを、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の一部の関心領域の空間表現と位置合わせするステップを含む。
【0029】
結果として、医療デバイス自体を心臓ロードマッピング技術に使用することができ、これにより変換が決定される。
【0030】
別の態様によれば、処理ユニットによって実行されると、上記方法のステップを行う、上記装置を制御するコンピュータプログラム要素が提供される。
【0031】
別の態様によれば、上記コンピュータ要素が記憶されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0032】
有利には、上記態様のいずれかによって提供されるメリットは、他の態様のすべてに同等に当てはまり、その反対も同様である。
【0033】
上記態様及び実施例は、以下に説明される実施形態から明らかとなり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、例示的な実施形態について、次の図面を参照して説明する。
【0035】
図1図1は、血管構造の一部を自動定量化する方法の一実施例を示す。
図2図2は、血管構造の一部を自動定量化する方法に含まれる方法ステップの一 実施例を示す。
図3図3は、血管構造の一部を自動定量化する装置の一実施例の概略構成を示す 。
図4図4は、血管構造の一部を自動定量化する医用撮像システムの一実施例の概 略構成を示す。
図5図5は、血管構造の一部を自動定量化する方法のワークフローの一実施例の 図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、血管構造の一部の自動定量化のための方法10を、その基本ステップにおいて示す。方法は次を含む。
【0037】
第1の提供ステップ12(ステップa)とも呼ぶ)において、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像が提供される。当該少なくとも1つの第1の画像は、医療デバイスの一部の場所を表す画像データを含む。医療デバイスは、血管治療に使用され、医療デバイスの一部は、血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態となるように構成される。
【0038】
第2の提供ステップ14(ステップb)とも呼ぶ)において、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像が提供される。当該少なくとも1つの第2の画像は、血管構造の少なくとも一部を表す画像データを明白に見えるように(in a visible and distinct manner)含む。
【0039】
第1の決定ステップ18(ステップd)とも呼ぶ)において、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所が決定される。特徴は、血管治療の1つの段階に関連付けられる状態のうちの1つにある医療デバイスの一部に関連付けられる。
【0040】
第2の決定ステップ20(ステップe)とも呼ぶ)において、少なくとも1つの第1の画像における少なくとも1つの場所を、少なくとも1つの第2の画像における対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換が決定される。ステップ20は更に、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所に変換を適用して、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における決定された場所を提供するステップも含む。
【0041】
出力ステップ22(ステップf)とも呼ぶ)において、決定された場所における血管構
造を表すデータが出力される。
【0042】
血管構造の少なくとも一部に関して「明白に見える(visible and distinct)」との表現は、手動で若しくは自動的に又はこれらの組み合わせで、血管構造の位置が突き止められる、特定される又は描かれるように示される血管構造の少なくとも一部に関連する。例えば少なくとも1つの第2の画像における決定された場所は、明白に見えるように示される。
【0043】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像においては、血管構造は明白に見えない。例えば少なくとも1つの第1の画像は、蛍光透視低線量X線監視中に取得された。
【0044】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、少なくとも1つの第1の画像とは異なる画像タイプである。一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は血管造影図ではない。
【0045】
「血管造影図」との用語は、心臓領域の血管、また、或いは又は更に、患者の心臓の外側の血管構造の視覚化に関連する。
【0046】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像はX線放射に基づいている。
【0047】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像の取得中に、造影剤が存在する。例えば造影剤は、明白に見えるように血管構造の画像データを提供するために、血管構造の少なくとも一部に注入されている。一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管造影図である。
【0048】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は、血管造影の方法で取得されるが、画像の取得中に、造影剤は血管構造の少なくとも一部に注入されていないか又はほとんどない。つまり、方法は、造影剤が注入されたときは第2の画像として取得され、造影剤が注入されていない(又はほとんどない)ときは第1の画像として取得される幾つかの同様の画像を撮像システムが取得することを含む。
【0049】
一実施例では、血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態となるように構成される医療デバイスの一部とは、医療デバイスの一部が、患者の血管構造内の特定の場所にあることが可能であることを意味する。例えば医療デバイスの一部は、動脈内で狭窄部の場所にあってよい。又は、医療デバイスの一部は、狭窄部の位置にあってよく、狭窄部の治療に関連する作業を行うために使用することができる。
【0050】
一実施例では、決定された場所において、狭窄部が、治療前に取得された少なくとも1つの第2の画像においてよく見える。
【0051】
一実施例では、決定された場所において、ステント留置された狭窄部が、治療後に取得された少なくとも1つの第2の画像においてよく見える。「よく見える」との表現は、決定された場所における血管構造が、手動で又は自動的に特定可能であるように、少なくとも1つの第2の画像において存在することに関連する。一実施例では、「よく見える」との表現は、決定された場所における血管構造が、当該場所におけるQCAといった定量分析の影響を受けやすいことに関連する。
【0052】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施される前に取得された複数の第2の画像を含む。この場合、ステップb)は更に、最良注入画像を構成する画像、決定された場所又は関心の狭窄部における血管構造の周りの最良注入画像を構成する画像、及び、血管治療の時間に最も近い時間に取得された画像の群のうちの少なくとも1つに基づいて、これらの第2の画像のうちの1つを選択するステップを含む。
【0053】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施された後に取得された複数の第2の画像を含む。この場合、ステップb)は更に、最良注入画像を構成する画像、決定された場所又は関心の狭窄部における血管構造の周りの最良注入画像を構成する画像、及び、血管治療の時間に最も近い時間に取得された画像の群のうちの少なくとも1つに基づいて、これらの第2の画像のうちの1つを選択するステップを含む。
【0054】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、複数の画像を含み、この場合、ステップb)は更に、決定された場所又は狭窄部における血管構造が最も長く登場する(つまり、最小の遠近法がある)画像を選択するステップを含む。
【0055】
一実施例では、ステップd)は、特徴の場所の第1の画像座標を決定するステップを含み、ステップe)は、決定された場所における血管構造の第2の画像座標を決定するステップを含む。
【0056】
一実施例では、特徴は、少なくとも1つの第1の画像において、明白に見えるように示される。例えばステントが適用された後の狭窄部の場所における血管構造の一部は、血管構造のステント留置された部分として明白に見える。別の実施例では、医療デバイスの一部の場所を表す画像データは、医療デバイスの一部が明白に見えるように示されるような画像データである。
【0057】
一実施例では、血管構造内の狭窄部の場所において、血管治療が施される。例えば変換を決定及び適用することによって、少なくとも1つの第2の画像における血管治療の場所、したがって、狭窄部の場所を決定することができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像を、血管治療及び狭窄部に関して空間的に適切な位置に自動的に置くことができる。この場合、QCA値を、狭窄部に関して少なくとも1つの第2の画像から決定することができ、これは、ステント留置前及び留置後の両方で行うことができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像における対応する場所を決定するために有益であるのは、少なくとも1つの第1の画像における特徴自体ではなく、その位置だけが重要である。
【0058】
一実施例では、ステップ)は、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における相関された場所と相関させるステップを含む。
【0059】
一実施例では、特徴は、医療デバイスの一部の操作からもたらされる。
【0060】
一実施例では、ステップf)は、少なくとも1つの第2の画像上の決定された位置における血管構造を表すデータを出力するステップを含む。
【0061】
一実施例では、複数の状態となるように構成される医療デバイスは、動かされ、配置され、及び、膨らむ/膨らまないバルーンを含む。例えばしぼんだバルーンが、最初に、動脈内に滑り入れられることによって導入される。次に、バルーンは狭窄部の位置まで動かされる。バルーンが膨らむ(治療が行われる)と、狭窄部の場所が正確に分かる。
【0062】
一実施例によれば、ステップd)は、少なくとも1つの第1の画像内の医療デバイスの
一部の場所を表す画像データの場所を決定するステップを含む。
【0063】
一実施例では、医療デバイスは、血管構造内に挿入され、血管構造の関心領域まで前進させられているフレキシブルで部分的又は完全に不透明のガイドワイヤを含む。
【0064】
一実施例では、ガイドワイヤは、その一部が異常部又は狭窄部の位置にあるように挿入されている。つまり、特徴はガイドワイヤ、又は、或いは若しくは更に、異常部若しくは狭窄部である。例えば異常部の場所におけるガイドワイヤの一部の場所を決定することは、血管構造内の異常部又は狭窄部の位置を特定するのに役立つ。例えばバルーン付きガイドワイヤの端部又は一部は導かれて位置付けられ、次に膨らむ。つまり、血管構造内のある場所における医療デバイスの一部の場所の決定は、当該場所において異常部又は狭窄部があることの決定に役立つ。例えば第1の画像の画像処理は、特定の場所における異常又は狭窄の可能性があることを決定する。しかし、医療デバイスの一部も当該場所にあると、画像処理は当該場所に異常又は狭窄があることを決定する。
【0065】
一実施例では、医療デバイスは、インターベンショナルデバイスを含み、ガイドワイヤは、インターベンショナルデバイスを運ぶレールの役割を果たす。例えば医療デバイスはカテーテルを含む。例えばインターベンショナルデバイスは、膨張及びステントデリバリのためのバルーンを含む。
【0066】
一実施例では、バルーンは造影剤を含み、医療デバイスの一部の場所を表す画像データの場所を決定することは、バルーンの場所を決定することを含む。例えばバルーンは、狭窄部を圧搾してステントをデリバリするために膨らむ。バルーンは、膨らむと、造影剤を含み、これは、実際にバルーンを見て検出するのに有益である。
【0067】
一実施例では、インターベンショナルデバイスは、異常部又は狭窄部の位置までデリバリされている。例えば異常部の場所におけるインターベンショナルデバイスの場所を決定することは、血管構造における異常部の位置を特定するのに役立つ。つまり、医療デバイスを、少なくとも1つの第1の画像から検出することができ、また、異常部又は狭窄部自体が当該特定の画像においてあまりよく見えなくても、異常部又は狭窄部の位置を特定するために使用する。一実施例では、異常部又は狭窄部と医療デバイスの一部とは共に、ある程度までは可視であり、共に、血管構造における異常部又は狭窄部の位置を特定するのに役立つ。
【0068】
つまり、特徴は医療デバイスの一部の場所における血管構造であるか、特徴は当該場所における医療デバイスの一部であるか、又は、特徴は当該場所における血管構造と医療デバイスの一部との組み合わせである。
【0069】
一実施例によれば、医療デバイスの一部の場所を表す画像データは、蛍光透視画像データを含む。
【0070】
一実施例では、蛍光透視低線量X線監視を使用して、医療デバイスの一部の場所が決定される。
【0071】
一実施例では、医療デバイスの一部の位置は、狭窄部の位置にあり、狭窄部は、次に、例えばマーカ検出によって、例えば蛍光透視(フルオロ)画像上のバルーンマーカを検出すること(バルーンは狭窄部の位置に置かれる)によって、蛍光透視(フルオロ)画像上で空間的に位置が特定される。
【0072】
例えば医療デバイスの一部の場所を表す画像データは、膨らんだバルーンを含む。一実施例では、膨らんだバルーンは造影剤を含み、蛍光透視画像データは、造影剤を含む膨らんだバルーンを示す。
【0073】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は「非注入」であり、画像取得時に、造影剤が注入されていない又はされていなかったが、狭窄部の位置は、医療デバイスの一部により可視である又は決定可能であることを意味する。例えば少なくとも1つの第1の画像では、患者の脈管構造は不可視である、即ち、明白に見えない。しかし、少なくとも1つの第2の画像は「注入」であり、画像取得時に、造影剤が注入されている又はされていたが、狭窄部の位置は不可視であることを意味する。例えば少なくとも1つの第2の画像では、患者の脈管構造は明白に見える。しかし、これは、少なくとも1つの第1の画像のどれもが、低X線線量蛍光透視画像として取得されなければならないことを意味するものではない。少なくとも1つの第1の画像は、高X線線量(血管造影)画像であってよいが、造影剤はない。
【0074】
一実施例によれば、血管治療が、少なくとも1つの第1の画像の取得時に対応する時間に施された。方法10は更に次を含む。
【0075】
決定ステップ16(ステップc)とも呼ぶ)において、少なくとも1つの第1の画像から、少なくとも1つの第1の画像の取得時に血管治療が施されたことが決定される。
【0076】
一実施例では、ステップc)は、血管治療が施された時間を決定するステップを含む。
【0077】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は、血管治療時に取得された画像と、血管治療の時間とは異なる時間に取得された更なる画像とを含む。この場合、ステップc)は、少なくとも1つの第1の画像のうちどれが血管治療時に取得されたものであるかを、例えばどの画像が特定の場所における拡大した領域又は特徴といった特徴を含むかを決定することによって、決定するステップを含む。
【0078】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は、血管治療時に取得された画像と、2つ以上の更なる画像とを含み、各更なる画像は、血管治療の時間とは異なる時間に取得される。この場合、ステップc)は、少なくとも1つの第1の画像のうちどれが血管治療時に取得されたものであるかを、例えばどの画像が特定の場所における他の画像との相違といった特徴を含むかを決定することによって、決定するステップを含む。
【0079】
一実施例では、上記決定は、血管治療の1つの段階に関連付けられる状態のうちの1つ
にある医療デバイスの一部を用いて達成される。
【0080】
例えば血管治療が施された時間を決定することによって、少なくとも1つの第2の画像が、血管治療時間の前に取得されたのか若しくは後に取得されたのか、又は、血管治療が少なくとも1つの第2の画像の取得時に施されたことを決定することができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像を、血管治療に関して、時間的に適切な位置に自動的に置くことができる。
【0081】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像の実際の取得時間を決定する必要がない。例えば少なくとも1つの第1の画像及び少なくとも1つの第2の画像を、時系列で取得及び保存することができる。血管治療が施されたときの少なくとも1つの第1の画像を決定することは、時系列において先の画像を治療前と線引きし、時系列において後の画像を治療後と線引きすることを可能にする。この線引きでは、画像自体が時間的に順序付けられているので、画像の実際の取得時間が分かる必要がない。
【0082】
一実施例では、決定された場所における血管構造を表すデータの出力は、治療された狭窄部に関する情報を含む。例えば血管治療は、狭窄部の場所において施された。別の実施例では、決定された場所における血管構造を表すデータの出力は、これから治療される狭窄部に関する情報を含む。別の実施例では、決定された場所における血管構造を表すデータの出力は、治療された狭窄部に関する情報を含む。例えば血管治療は、狭窄部の場所において施される。
【0083】
例えばデータの出力は、冠状動脈の概略図上に示される治療済み狭窄部の場所を含む。例えば治療済み狭窄部の場所は、少なくとも1つの第1の画像上で示されても、又は、更に若しくは代わりに、少なくとも1つの第2の画像上で示されてもよい。一実施例では、QCA値を、概略図上に示される治療済み狭窄部と関連付けることができる。
【0084】
一実施例では、どの冠状動脈枝(その解剖学上の名称)が治療されたのかを決定することが難しい場合があり、臨床医は、この情報を提供するために、概略図をクリックする。
【0085】
一実施例では、決定された場所における血管構造を表すデータの出力は、ステント留置
前の狭窄部の定量的冠動脈造影(QCA)を含む。一実施例では、データの出力は、ステント留置後の狭窄部のQCAを含む。ここでは、QCAは、例えば狭窄位置における動脈直径の相対的減少である。
【0086】
一実施例では、既知のツールを使用して、1つの血管造影フレームからQCAをデジタル的に計算する。例えばQCAは少なくとも1つの第2の画像から決定される。つまり、狭窄部に関連付けられるQCA値を、インターベンション前及び後に示すことができる。
【0087】
一実施例では、様々な狭窄部に関連付けられるQCA値のリストが、インターベンション前及び後に示され、血管治療の場所は狭窄部の場所にある。
【0088】
一実施例によれば、血管治療は、医療デバイスの一部が、非展開状態から展開状態に動かされることを含み、少なくとも1つの第1の画像は、非展開状態以外の状態にある医療デバイスの一部を表す画像データを含む。
【0089】
一実施例では、ステップd)は、少なくとも1つの第1の画像から、医療デバイスの一部が非展開状態以外の状態にあることを決定するステップを含む。
【0090】
一実施例では、ステップ)は、少なくとも1つの第1の画像から、医療デバイスの一部が非展開状態以外の状態にあることを決定するステップを含む。
【0091】
つまり、医療デバイスが非展開状態以外の任意の状態にあることの決定は、医療デバイスがまだ完全に展開されていなくても、展開されていることを示す。この情報を使用して、血管治療がその時間に施されていることが決定され、また、展開の場所、したがって、決定された場所における血管構造の場所が決定される。
【0092】
つまり、医療デバイスの展開を使用して、特徴の場所を決定し、血管治療の時間を決定することができる。又は、別の言い方をすれば、医療デバイスの展開は、少なくとも1つの第2の画像を、異常部又は狭窄部及びその治療に関して、空間的及び時間的に適切な位置に置くことができる。
【0093】
一実施例では、医療デバイスの展開に関連付けられる画像データは署名を有し、この署名を使用して、医療デバイスが展開したことを決定することができる。一実施例では、医療デバイスの一部はバルーンを含む。例えば署名は膨らんだ状態又は部分的に膨らんだ状態にあるバルーンである。
【0094】
一実施例では、血管治療の場所及び特徴の場所は、少なくとも1つの第1の画像においてバルーンが膨らんだ場所を検出することによって決定される。
【0095】
一実施例では、血管治療の時間は、バルーンが膨らんだときに対応する少なくとも1つの第1の画像を決定することによって決定される。
【0096】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は、血管造影の方法で取得される。造影剤が、画像の取得中に血管構造の少なくとも一部に注入されるが、少なくとも1つの第1の画像は医療デバイスの展開に関連付けられている署名画像データを含む。つまり、方法は、撮像システムが幾つかの同様の画像を取得することを含む。造影剤が注入されるときは、これらの画像は第2の画像として取得され、造影剤がまったく(又はほとんど)注入されないときは、これらの画像は第1の画像として取得される。しかし、造影剤が注入された場合に画像が取得されると、医療デバイスの一部の展開に関連付けられる署名画像データも示す。これらの画像は、第1の画像として取得される。つまり、この画像は、特徴の空間的な場所(バルーン展開の位置)と、血管治療の時間(画像は、バルーン展開の時間に対応する)との両方を決定するために使用することができるので、第1の画像である。
【0097】
したがって、有利には、同じX線デバイス又はシステムを、第1及び第2の画像を得るために使用することができ、これらの画像は、造影剤が存在していたか否かに基づいて区別される。
【0098】
一実施例では、蛍光透視低線量X線デバイスを使用して、第1の画像が取得され、X線CTスキャナといった別のデバイスを使用して、第2の画像が取得される。
【0099】
図2は、血管構造の一部の自動定量化方法に含まれる方法ステップ20(ステップe))の一実施例を示す。一実施例によれば、方法のステップe)は、次を含む。
【0100】
位置合わせステップ24(ステップe1)とも呼ぶ)において、少なくとも1つの第1の画像内の血管構造の関心領域の空間表現は、少なくとも1つの第2の画像内の血管構造の関心領域の空間表現と位置合わせされる。
【0101】
一実施例では、血管治療は、少なくとも1つの第1の画像の取得時に対応する時間に施された。
【0102】
一実施例では、位置合わせは、心臓ロードマッピングによって達成される。例えば蛍光透視画像における位置が、対応する血管造影画像における位置に変換され、これらの血管造影画像は、インターベンションの前及びインターベンションの後の両方で取得されていてよい。例えば位置合わせは、変換の決定に使用することができる。
【0103】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像における少なくとも幾つかの特徴(例えばA、B、C)が、少なくとも1つの第2の画像における少なくとも幾つかの同様の特徴(例えばA’、B’、C’)と位置合わせされるか又は当該少なくとも幾つかの同様の特徴上に投影される。
【0104】
一実施例では、位置合わせは、少なくとも1つの第1の画像の関心領域が、少なくとも1つの第2の画像の関心領域の上に置かれることを含む。
【0105】
一実施例では、ガイドワイヤの先端又はバルーンマーカが、位置合わせの一部として使用される。別の実施例では、ガイドワイヤの先端及びバルーンマーカが、位置合わせの一部として使用される。
【0106】
一実施例では、位置合わせは、患者の心周期を考慮し、又は、更に若しくは代わりに、呼吸サイクルを考慮する。
【0107】
一実施例では、位置合わせは、少なくとも1つの第1の画像の関心領域、又は、更に若しくは代わりに、少なくとも1つの第2の画像の関心領域をゆがめるステップを含む。
【0108】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像の取得は、少なくとも1つの第2の画像の取得に使用された姿勢と同じ姿勢において行われる。例えば両取得は、同じCアームの姿勢で行われる。これは画像の位置合わせを容易にする。
【0109】
一実施例では、位置合わせは、少なくとも1つの第1の画像の関心領域の少なくとも1つの第2の画像の関心領域との空間的マッチングにつながる。
【0110】
一実施例によれば、方法のステップe1)は更に、次を含む。決定ステップ26において、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の一部の関心領域の空間表現における決定された場所における又はその周りの領域における血管の半径が減少している領域が決定される。
【0111】
これは、例えばフルオロ(蛍光透視)におけるその検出から変換された狭窄位置と、アンギオ/フルオロマッチング(血管造影/蛍光透視のマッチング)とが要望通りに正確ではない場合に、位置合わせ処理の微調整を提供する。
【0112】
一実施例によれば、少なくとも1つの第1の画像は、血管構造の一部内にある医療デバイスの一部を表す画像データを含む。この実施例では、方法のステップe1)は更に、次を含む。位置合わせステップ28において、少なくとも1つの第1の画像における血管構造の一部内にある医療デバイスの一部を表す画像データは、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の一部の関心領域の空間表現と位置合わせされる。例えば位置合わせは、変換の決定に使用することができる。
【0113】
一実施例では、蛍光透視画像内で可視であるインターベンショナルオブジェクトを血管造影画像内で可視である脈管構造と位置合わせすることによって、アンギオ/フルオロマッチングを行うことができる。
【0114】
例えば少なくとも1つの第1の画像の血管構造内のガイドワイヤの画像は、少なくとも1つの第2の画像において観察可能である血管構造と位置合わせすることができる。
【0115】
図3は、血管構造の一部の自動定量化のための装置40の一実施例を示す。装置は、入力ユニット42、処理ユニット44及び出力ユニット46を含む。入力ユニット42は、処理ユニット44に、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像を提供する。少なくとも1つの第1の画像は、医療デバイスの一部の場所を表す画像データを含む。医療デバイスは、血管治療に使用され、医療デバイスの一部は、血管治療の様々な段階に関連付けられる複数の状態となるように構成される。入力ユニット42は更に、処理ユニット44に、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像を提供する。少なくとも1つの第2の画像は、血管構造の少なくとも一部を表す画像データを、明白に見えるように含む。処理ユニット44は更に、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を決定する。当該特徴は、血管治療の1つの段階に関連付けられる状態のうちの1つにある医療デバイスの一部に関連付けられる。処理ユニット44は更に、少なくとも1つの第1の画像内の少なくとも1つの場所を、少なくとも1つの第2の画像内の対応する少なくとも1つの場所に関連付ける変換を決定し、当該変換を、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所に適用して、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における決定された場所を提供する。出力ユニット46は、決定された場所における血管構造を表すデータを出力する。
【0116】
一実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像における血管治療の1つの段階に関連付けられる状態のうちの1つにある医療デバイスの一部の場所を表す画像データの場所を決定する。このようにして、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を決定することができる。
【0117】
一実施例では、医療デバイスの一部の場所を表す画像データは非注入X線データを含む。
【0118】
一実施例では、非注入X線データは蛍光透視画像データを含む。
【0119】
一実施例では、医療デバイスの一部の場所を表す画像データは蛍光画像データを含む。
【0120】
一実施例では、処理ユニットは、画像処理ユニットを使用して、場所を決定する。
【0121】
一実施例では、処理ユニットは、画像処理ユニットを使用して、変換を決定及び適用する。
【0122】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施される前に取得された。これは、例えばインターベンション前のQCA値を決定することを可能にする。
【0123】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施された後に取得された。これは、例えばインターベンション後のQCA値を決定することを可能にする。
【0124】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施されたときに取得された。これは、例えばインターベンションQCA値を決定することを可能にする。
【0125】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施される前及び施された後の両方で取得された画像を含む。これは、例えばQCA値からインターベンションの成功を決定することを可能にする。つまり、インターベンションアウトカムを定量化することを可能にする。
【0126】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施される前及び施されたときの両方で取得された画像を含む。これは、例えばQCA値を使用して、インターベンションが予定通りに展開したかどうかを決定することを可能にする。
【0127】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施されたとき及び施された後の両方で取得された画像を含む。これは、インターベンションが予定通りに展開したかどうか、また、インターベンション後の血管構造は予定通りであるかどうかが決定されることを可能にする。
【0128】
一実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における相関された場所に相関させる。
【0129】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管治療が施される前、施された後及び施されたときに取得された画像を含む。これは、狭窄部及びインターベンションの全体像又は理解が決定されることを可能にする。
【0130】
一実施例では、医療デバイスの一部はバルーンを含む。
【0131】
一実施例によれば、血管治療は、少なくとも1つの第1の画像の取得時に対応する時間に施された。この実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像から、血管治療が少なくとも1つの第1の画像の取得時に施されたことを決定する。
【0132】
一実施例では、処理ユニットは血管治療が施された時間を決定する。
【0133】
血管治療が施された時間を決定することによって、少なくとも1つの第2の画像が血管治療の時間の前に取得されたのか若しくは後に取得されたのか、又は、血管治療は、少なくとも1つの第2の画像の取得時に施されたことを決定することができる。つまり、少なくとも1つの第2の画像を、血管治療に関して時間的に適切な位置に自動的に置くことができる。
【0134】
一実施例では、血管治療は、医療デバイスの一部が非展開状態から展開状態に動かされることを含み、少なくとも1つの第1の画像は、非展開状態以外の状態にある医療デバイスの一部を表す画像データを含む。この実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像から、医療デバイスの一部が非展開状態以外の状態にあることを決定する。この実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像から、医療デバイスの一部が展開状態にあることを決定する。
【0135】
一実施例によれば、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像における血管構造の関心領域の空間表現を、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の関心領域の空間表現と位置合わせして、変換を決定及び適用する。
【0136】
一実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の一部の関心領域の空間表現における決定された場所における又はその周りの領域における血管の半径が減少している領域を決定する。
【0137】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は、血管構造の一部内にある医療デバイスの一部を表す画像データを含む。この実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像における血管構造の一部内にある医療デバイスの一部を表す画像データを、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の一部の関心領域の空間表現と位置合わせする。
【0138】
一実施例では、処理ユニットは、少なくとも1つの第1の画像における血管構造の関心領域の空間表現を、少なくとも1つの第2の画像における血管構造の関心領域の空間表現と位置合わせする。これは、第1の画像の血管構造の関心領域の空間表現における特徴の場所を、少なくとも1つの第2の画像の血管構造の関心領域の空間表現における相関された場所に相関させるために行われる。
【0139】
一実施例では、特徴は、狭窄部といった異常部を含む。
【0140】
一実施例では、少なくとも1つの第2の画像は、血管造影図を含む。
【0141】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像及び少なくとも1つの第2の画像は、同じアンギュレーションにおいて取得される。
【0142】
図4は、血管構造の一部の自動定量化のための医用撮像システム50を示す。システムは、少なくとも1つの画像取得ユニット52と血管構造の一部の自動定量化のための装置40とを含む。装置40は、上記図3によるアプリケーションとして提供される。少なくとも1つの画像取得ユニット52は、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第1の画像54を提供する。少なくとも1つの画像取得ユニット52は更に、血管構造の関心領域の空間表現を含む少なくとも1つの第2の画像56を提供する。画像取得ユニット52は、Cアームアンギュレーション装置として示されているが、他の実施例では、異なるタイプの画像取得ユニットが使用される。
【0143】
一実施例では、少なくとも1つの画像取得ユニットは、X線撮像デバイス、例えばCT装置を含む。例えば少なくとも1つの画像取得ユニットは、CアームCTシステムを含む。一実施例では、少なくとも1つの画像取得ユニットは、インターベンショナルX線システムを含む。
【0144】
一実施例では、少なくとも1つの画像取得ユニットは、蛍光透視撮像デバイスを含む。例えば蛍光透視低線量X線デバイスを含む。
【0145】
一実施例では、同じ画像取得ユニットが、少なくとも1つの第1の画像及び少なくとも1つの第2の画像を提供する。
【0146】
一実施例では、決定された場所における血管構造を表す出力データは、これから治療される又は治療された狭窄部に関する情報を含む。
【0147】
一実施例では、出力データは、臨床医がステントのサイズをその展開の前に決定できるように使用可能である。
【0148】
一実施例では、出力データは、臨床医がインターベンションの血管治療が成功したかどうかを決定できるように使用可能である。
【0149】
一実施例では、システムは、心臓狭窄を治療するためのカテーテル処置室での経皮経管冠動脈形成術(PTCA)及び経皮冠動脈インターベンション(PCI)の群のうちの少なくとも1つに使用される。
【0150】
インターベンションの前及び後に、例えば異常部又は狭窄部の場所にある血管構造の一部の自動定量化のための医用システムを提供することによって、臨床医は、インターベンションに関連付けられる必要な報告情報が自動的に提供される。臨床医は、どの狭窄が治療されたか、当該狭窄が血管構造内のどこにあるかに関する情報が提供される。臨床医は、インターベンション前に狭窄の深刻さと、インターベンションが成功したかどうかに関する情報が提供される。臨床医は、いつインターベンションが行われたかの手動決定と、当該インターベンションの前及び後の両方での血管造影画像フレームの評価と、更に、これらの画像内のどこでインターベンションが行われたかの手動決定を必要とするインターベンションに関連するQCA値を手動で決定する必要がない。
【0151】
一実施例では、少なくとも1つの第1の画像は複数の画像を含み、少なくとも1つの第2の画像は複数の画像を含み、幾つかの血管治療が様々な時間に行われた。各血管治療は、血管構造における特徴又は異常部(例えば狭窄部)に関連付けられ、血管構造の一部の自動定量化のための装置は、異なる狭窄を表すデータを出力する。
【0152】
図5は、詳細なワークフローの更なる実施例を示す。蛍光透視画像がストレージ媒体62に記憶される。血管造影画像がストレージ媒体64に記憶される。ボックス66において、ステント展開イベントといったインターベンションが示される。ステント展開イベント66は、血管造影画像を、ステント留置前の血管造影画像68と、ステント留置後の血管造影画像70とに分けるために使用可能である。血管造影画像の分離は、例えば造影剤が血管構造内に適切に注入された場合に、血管構造が明白に見えるように示される画像68の選択も含む。血管造影画像の分離は、例えば造影剤が血管構造内に適切に注入された場合に、血管構造が明白に見えるように示される画像70の選択も含む。矢印72は、画像取得時間及びCアームアンギュレーションが、画像68及び70に関して相関されることが可能であることを示す。矢印76は、ステント展開中の蛍光透視画像シーケンスを示す。ボックス80において、蛍光透視画像シーケンスは、蛍光透視画像内でのステントの位置特定に使用される。ボックス82において、蛍光透視画像シーケンス76が、蛍光透視画像内のステントの位置特定、即ち、ボックス80と共に、(実施例では、同じアンギュレーションにおける)膨張前の血管造影画像シーケンス74として提供されるステント留置前の血管造影画像68と組み合わせて使用され、ステント留置前画像に関する血管造影画像/蛍光透視画像の空間-時間マッチング(心臓ロードマッピング)が提供される。ボックス84において、矢印76の蛍光透視画像シーケンスは、蛍光透視画像内のステントの位置特定、即ち、ボックス80と共に、(実施例では、同じアンギュレーションにおける)膨張後の血管造影画像シーケンス78として提供されるステント留置後の血管造影画像70と組み合わせて使用され、ステント留置画像に関する血管造影画像/蛍光透視画像の空間-時間マッチング(心臓ロードマッピング)が提供される。矢印86において、血管造影画像/蛍光透視画像の空間-時間マッチング82から、アンギオ(血管造影)画像88上の大まかなステント位置が膨張前画像に関して提供される。同様に、矢印88において、血管造影画像/蛍光透視画像の空間-時間マッチング84から、アンギオ画像88上の大まかなステント位置が膨張後画像に関して提供される。膨張前シーケンス74は、フレーム選択92が行われる。これは、蛍光透視画像におけるその検出から変換された狭窄位置と、血管造影画像/蛍光透視画像のマッチングが完全に正確ではない場合があるからである。ボックス90において、血管造影画像における狭窄位置の微調整が行われる。フレーム選択92は、大まかなステントの場所86の付近における半径が減少した血管を見つけるべく血管造影画像を探して行われ、これにより、膨張前の画像における微調整90が提供される。同様に、膨張後シーケンス78もフレーム選択96が行われる。フレーム選択96は、血管造影画像88上の大まかなステント位置と組み合わせて、膨張後の血管造影画像における狭窄位置の微調整94を提供するために使用される。矢印98は、ステント留置前の血管造影画像に関連し、これを狭窄位置の微調整90と組み合わせて使用して、ボックス102において、ステント留置前の狭窄の位置における定量的冠動脈造影(QCA)値106が自動的に提供される。同様に、矢印100は、ステント留置前の血管造影画像に関連し、これを狭窄位置の微調整94と組み合わせて使用して、ボックス104において、ステント留置後の狭窄の位置における定量的冠動脈造影(QCA)値108が自動的に提供される。
【0153】
別の例示的な実施形態では、上記実施形態のうちの1つによる方法のステップを実行するように構成されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0154】
したがって、コンピュータプログラム要素は、これも一実施形態の一部であってよいコンピュータユニットに記憶される。このコンピュータユニットは、上記方法のステップを行うか又は上記方法のステップの実行を誘導する。更に、このコンピュータユニットは、上記装置の構成要素を動作させる。コンピュータユニットは、自動的に動作するように構成されても、及び/又は、ユーザの命令を実行するように構成されてもよい。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされてよい。したがって、データプロセッサは、上記実施形態のうちの1つによる方法を実行する能力を備えている。
【0155】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって、既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を対象とする。
【0156】
更に、コンピュータプログラム要素は、上記方法の例示的な実施形態の手順を実現する
のに必要なステップをすべて提供してもよい。
【0157】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROMといったコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラム要素が記憶されている。コンピュータプログラム要素は、前段に説明されている。
【0158】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶される及び/又は分散配置されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介した形態といった他の形態で分配されてもよい。
【0159】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブといったネットワーク上に提示され、当該ネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、ダウンロード用にコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供され、当該コンピュータプログラム要素は、本発明の上記実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成される。
【0160】
なお、本発明の実施形態は、様々な主題を参照して説明されている。具体的には、方法タイプのクレームを参照して説明される実施形態もあれば、デバイスタイプのクレームを参照して説明される実施形態もある。しかし、当業者であれば、上記及び以下の説明から、特に明記されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、様々な主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本願によって開示されていると見なされると理解できるであろう。しかし、すべての特徴は、特徴の単なる足し合わせ以上の相乗効果を提供する限り、組み合わされることが可能である。
【0161】
本発明は、図面及び上記説明において詳細に例示され、説明されたが、当該例示及び説明は、例示的に見なされるべきであり、限定的に見なされるべきではない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
【0162】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5