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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】収着ヒートポンプ及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 15/00 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
F25B15/00 306R
F25B15/00 306V
F25B15/00 301Z
F25B15/00 306A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018556912
(86)(22)【出願日】2017-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 US2017032175
(87)【国際公開番号】W WO2017197124
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-02-27
(31)【優先権主張番号】62/334,664
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518378374
【氏名又は名称】ストーン・マウンテン・テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ガラブラント,マイケル・エー
(72)【発明者】
【氏名】スタウト,ロジャー・イー
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270968(JP,A)
【文献】特開2004-101129(JP,A)
【文献】特開2010-216779(JP,A)
【文献】特開2012-167905(JP,A)
【文献】特開2006-138614(JP,A)
【文献】特公平07-039894(JP,B2)
【文献】特開平09-089405(JP,A)
【文献】特開平05-248726(JP,A)
【文献】特開2015-183967(JP,A)
【文献】特開平10-213358(JP,A)
【文献】特開2014-190679(JP,A)
【文献】米国特許第04667485(US,A)
【文献】米国特許第07347057(US,B1)
【文献】米国特許第06718792(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ及び吸収装置を備え、前記コンデンサ及び前記吸収装置が作動液の流れに対して並列に配置されている吸着ヒートポンプを制御する方法であって、
a)前記コンデンサ内に入るか、又は前記コンデンサ内に存在し、前記コンデンサから凝縮熱を集熱する作動液の温度を測定することと、
b)a)で測定された温度に応じて、前記コンデンサに入る前記作動液の流量を制御することとを備え、
これにより、前記温度が所定値を下回るとき、前記コンデンサ内に入る前記作動液の前記流量が、低減されるとともに前記吸収装置内に入る前記作動液の前記流量が、比例して増加する方法。
【請求項2】
(i)前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量を低減することにより、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量を比例して増加させ、(ii)前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量を増加させることにより、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量を比例して低減させる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量は、少なくとも部分的に弁を閉鎖するか、又は部分的に弁を解放することによって制御される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記弁は、前記コンデンサに作動液を供給する供給ライン内にある請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記弁は、前記吸収装置に作動液を供給する供給ライン内にある請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記弁は、オン/オフ弁、多位置弁、及び比例弁からなる群より選択される請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記弁は、オフモードから前記吸着ヒートポンプを稼働させた後、約5~20分間、閉鎖される請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量は、オフモードから前記吸着ヒートポンプを稼働させた後、約5~20分間、低減される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定値は、約21~32℃(約70~90°F)である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
吸着ヒートポンプ制御システムであって、
a)凝縮熱が作動液に伝達されるように冷媒を液体に凝縮するコンデンサと、
b)前記作動液は吸収熱を集熱し、前記冷媒吸収剤に吸収させる吸収装置と、
c)前記コンデンサを出入りする前記作動液の温度を測定する温度センサと、
d)前記コンデンサを出入りする前記作動液の前記温度に応じて、前記コンデンサに入る前記作動液の流量を制御するコントローラとを備え、
前記吸収装置及びコンデンサは、前記作動液の流れに対して並列に配置され、
前記温度が所定値を下回るとき、前記コンデンサに入る作動液の前記流量は低減され、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量は比例して増加する吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項11】
(i)前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量を低減することにより、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量を比例して増加させ、(ii)前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量を増加させることにより、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量を比例して低減させる請求項10に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項12】
前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量を調節する弁をさらに備える請求項10に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項13】
前記弁は、前記コンデンサに作動液を供給する供給ライン内にある請求項12に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項14】
前記弁は、前記吸収装置に作動液を供給する供給ライン内にある請求項12に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項15】
前記弁は、オン/オフ弁、多位置弁、及び比例弁からなる群より選択される請求項12に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項16】
前記弁は、オフモードから前記吸着ヒートポンプを稼働させた後、約5~20分間、部分的又は断続的に閉鎖される請求項12に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項17】
前記コントローラは、オフモードから前記吸着ヒートポンプを稼働させた後、約5~20分間、前記コンデンサに入る前記作動液の前記流量を制御する請求項10に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項18】
前記所定値は、約21~32℃(約70~90°F)である請求項10に記載の吸着ヒートポンプ制御システム。
【請求項19】
作動液の流れに対して並列に配置されたコンデンサ及び吸収装置を備えた吸着ヒートポンプの制御方法であって、
オフモードから前記吸着ヒートポンプを稼働させた後、所定時間、前記コンデンサに入るとともに凝縮熱を集熱する作動液の流量を低減し、また、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量を比例して増加させることを備える方法。
【請求項20】
吸着ヒートポンプ制御システムであって、
a)凝縮熱が作動液に伝達されるように、冷媒を液体に凝縮するコンデンサと、
b)吸収熱が前記作動液に伝達されるように、冷媒が吸収剤に吸収されるようにする吸収装置と、
c)前記作動液は前記コンデンサから凝縮熱を集熱し、前記コンデンサに入る前記作動液の流量を制御するコントローラとを備え、
前記吸収装置及び前記コンデンサは前記作動液の流れに対して並列に配置され、
オフモードから前記吸着ヒートポンプを稼働させた後、所定時間、前記コンデンサに入る作動液の流量が低減され、また、前記吸収装置に入る前記作動液の前記流量が比例して増加する吸着ヒートポンプ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー部門による助成を受け、認証DE-EE0006116号として政府支援の下になされたものである。政府は、本発明に対して特定の権利を有するものである。
【0002】
本開示は、収着ヒートポンプを制御する方法及びシステムに関連する。特に、本開示は、作動液のコンデンサへの流動を制御する方法及びシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
加熱活性化吸収サイクルは、多岐に亘る作動流体を使用しており、長年に亘って冷却、冷凍、及び加熱を行うために利用されてきた。吸収サイクルでは、蒸気圧縮ヒートポンプサイクルで利用される機械的仕事(最も一般的なものとして、電気モータによって駆動されるコンプレッサを使用する)の代わりに、一次エネルギー源として熱エネルギーを利用する。吸収サイクルの最も一般的な流体として、他にも好適な組み合わせがあるが、アンモニア-水(NH-HO)及び臭化リチウム-水(LiBr-H2O)がある。
【0004】
吸収ヒートポンプは、下位(低温)の熱を伝達し、より上位のエネルギー源(例えば、化石燃料の燃焼、太陽、熱、又は排熱)を使用して、より高温で、且つより有用な温度まで「ポンプ」するものである。結果としての加熱サイクル効率は、関与するサイクル及び温度に応じて100%を上回る(通常、150~200%)(より正確には、より上位の熱入力によって分割される総伝達熱出力に基づき、1.5~2.0の動作係数(COP))。家庭内の水加熱への適用において、下位の熱エネルギー源は、通常、屋内又は屋外の大気であり(地熱等、その他のエネルギー源も使用可能であるが)、水は、通常の地温(約35~80°F)から110~160°Fまで加熱される。暖房への適用については、下位の熱エネルギー源は、屋外の大気又は地熱であり、建物内部の加熱システムに接続された作動液は、通常、90~160°Fの温度まで加熱される。
【0005】
吸収ヒートポンプは、一部は高圧で作動し、他は低圧で作動するいくつかの特殊熱交換機と、低圧側から高圧側にサイクル作動流体を移動させる溶液ポンプとを備える。冷媒は、好適な熱源からの熱エネルギーを使用して、高圧で、脱着装置内の吸収剤から脱着される。この冷媒の蒸気は、コンデンサ内で液体に凝縮される。コンデンサを出る冷媒液体の飽和温度は、高圧側圧力の値を決める(飽和温度が低いほど、対応して高圧側圧力が低くなる)。コンデンサを出る液体冷媒は、これが下位のエネルギー源(通常は、外気又は地熱シンク)によって蒸発される蒸発器に入る前に、絞り弁又は固定の制限(オリフィス又はキャピラリチューブ)を使用して、低圧側圧力に拡張する。低圧側圧力は下位のエネルギー源より低い冷媒の沸点に対応するため、下位のエネルギー源の温度は、低圧側圧力の値を決める。脱着装置を出る冷媒に弱い吸収剤も、絞り弁又は固定の制限を使用して低圧側圧力に拡張され、冷媒蒸気が吸収剤に吸収される蒸発器を出る低圧冷媒とともに、吸収装置に入る。吸収装置を出る冷媒-吸収剤液体は、高圧側圧力に送り戻され、脱着装置に入ってサイクルを再開させる。
【0006】
サイクルが適正に機能するには、ヒートポンプ作動流体(冷媒及び吸収剤)は、システムの高圧側圧力部分から制限装置を通じてシステムの低圧側圧力部分へ(ポンプへ)連続的に流れて戻らなければならない。高圧側と低圧側との間の差圧により、この流動を可能にする。差圧が十分に高くなければ、作動流体の流量は低減することがあり、吸収システムを適正に動作させないか、又は動作上の問題を生じることがある。
【0007】
加熱への適用では、流体(通常、水又はグリコール-水の混合物等の作動液)は、コンデンサ及び吸収装置を通じて循環されて凝縮熱及び吸収熱を集熱し、その温度を上昇させてもよい。その後、加熱された作動液を使用して、建物内の空気(例えば、暖房)又は貯留タンク(例えば、家庭用温水加熱)内の水であり得る負荷を加熱してもよい。作動液は、コンデンサ及び吸収装置を通じて直列に、並列に、又はこれらの組み合わせで流動してもよい。サイクル効率を最大化するには、吸収装置を最大限冷却することが望ましく、高圧側圧力が可能な限り低いことが望ましい。吸収加熱サイクルでは、コンデンサ及び吸収装置を通じて作動液の並列流動構成を使用して、最大効率が得られてもよい。
【0008】
効率を最大化し、最適な顧客満足を与えるには、システム開始後、吸収ヒートポンプの加熱能力又は冷却能力が速やかに最大値まで上昇することが非常に望ましい。吸収システムが特定期間オフモードであった後に稼働されるとき、高圧側と低圧側の圧力差は、非常に低いか、又はゼロであることが多い。システムが稼働されて熱が脱着装置に付与されるとき、冷媒蒸気が生成されてコンデンサへ入るので、高圧側圧力が上昇し始めるであろう。しかしながら、コンデンサの熱交換器(通常、スチール製)の温度のように、冷媒蒸気の初期流量が低いこともあり、高圧側圧力が非常にゆっくり上昇することが多い。従って、高圧側と低圧側との間の圧力差は徐々に増加して、高圧側と低圧側との間の作動流体の循環率を低くし、システムの加熱能力又は冷却能力を所望より遅く上昇させる。
【0009】
加熱の適用で、特にヒートポンプを使用して貯留タンク内の冷水を加熱する家庭内温水への適用では、システムのスタートアップ時における作動液の温度は、非常に低くなることがある。暖房の適用では、加熱システムが長い期間、オフモードにあった場合、スタートアップ時の温水循環温度も非常に低くなることがある。コンデンサ及び吸収装置を通じて流れる作動液の温度が低いとき、コンデンサを出る冷媒温度も低くなり、結果として高圧側圧力が低くなる。これにより、高圧側と低圧側との間の圧力差は、ヒートポンプが作動するのに不十分となるか、又は問題無く作動するのに不十分となる。極端な場合として温水循環温度が低く、蒸発器に連結された下位の熱源(暑い日の家庭用温水加熱等)が温かいとき、高圧側と低圧側との飽和圧力差が非常に低くなるか、潜在的には負圧にさえなることがある。
【0010】
温水循環ループに直列構成を使用すると、作動液はまずコンデンサに入る前に吸収装置(ここでは、温水循環がより高い温度に加熱される)を通過し、コンデンサに入る温水循環温度を上昇させることにより、スタートアップを早め、低い温水循環温度での動作を改善するという効果を奏する。しかしながら、この実施では、高圧側圧力を必要以上に高くすることにより、スタートアップ期間後のヒートポンプの最大効率を下げてしまう。直列構成はまた、ヒートポンプの部品の最大作動圧力で、温水循環温度をどの程度高く加熱できるかを制限し得る。
【概要】
【0011】
我々は、コンデンサ及び吸収装置を備えた収着ヒートポンプを制御する方法を提供する。当該方法は、コンデンサを出入りする作動液の温度を測定することと、測定された温度に応じて、コンデンサに入る作動液の流量を制御することとを備え、これにより、温度が所定値を下回るとき、コンデンサに入る作動液の流量が可能な総流量に対して低減される。
【0012】
我々は、作動液を液体に凝縮するコンデンサと、作動液から熱を吸収する吸収装置と、コンデンサを出入りする作動液の温度を測定する温度センサと、コンデンサを出入りする作動液の温度に応じて、コンデンサに入る作動液の流量を制御するコントローラとを備え、温度が所定値を下回るとき、コンデンサに入る作動液の流量が可能な総流量に対して低減される収着ヒートポンプ制御システムも提供する。
【0013】
我々は、コンデンサ及び吸収装置を備えた収着ヒートポンプを制御する方法も提供する。当該方法は、オフモードからのヒートポンプの可動後、所定時間、コンデンサに入る作動液の流量が可能な総流量に対して低減されることを備える。
【0014】
我々は、凝縮熱が作動液に伝達されるように、冷媒を液体に凝縮するコンデンサと、吸収熱が作動液に伝達されるように、冷媒が吸収剤に吸収されるようにする吸収装置と、コンデンサに入る作動液の流量を制御するコントローラとを備えることにより、オフモードからのヒートポンプの稼働後の所定時間、コンデンサに入る作動液の流量が可能な総流量に対して低減されるようにする収着ヒートポンプ制御システムも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、吸収ヒートポンプのポンプサイクルの概略である。
図2図2は、制御弁を備えた一例としての吸収ヒートポンプのポンプサイクルの概略である。
図3図3は、制御弁を備えた代替例としての吸収ヒートポンプのポンプサイクルの概略である。
図4図4は、2つの制御弁を備えた代替例としての吸収ヒートポンプのポンプサイクルの概略である。
図5図5は、バイパスライン内に制御弁を備えた代替例としての吸収ヒートポンプのポンプサイクルの概略である。
図6図6は、バイパスライン内に制御弁を備えたさらに他の代替例としての吸収ヒートポンプのポンプサイクルの概略である。
【実施形態の説明】
【0016】
以下の説明は、図示の説明のために選択された構造の特定例について言及することを意図されており、添付のクレーム以外で本開示を規定又は限定することを意図されていない。
【0017】
我々は、コンデンサ及び吸収装置を備える収着ヒートポンプを制御するシステム及び方法であって、当該方法は、コンデンサを出入りする作動液の温度を測定することと、測定された温度に応じて、コンデンサに入る作動液の流量を制御することとを備え、温度が所定値を下回るとき、コンデンサに入る作動液の流量は、潜在的な総流量に対して低減されるシステム及び方法を提供する。
【0018】
我々はまた、コンデンサ及び吸収装置を備える収着ヒートポンプを制御するシステム及び方法であって、当該方法は、オフモードからヒートポンプを稼働した後の所定時間、コンデンサに入る作動液の流量を制御することを備えるシステム及び方法を提供する。
【0019】
簡易且つ単一効果の吸収ヒートポンプサイクル100が図1に示されている。この説明の目的で、サイクルは、気体燃焼NH-HOサイクルであると想定する。しかしながら、任意の数のサイクル構成及び作動流体のペアが可能であり、当業界において周知である。
【0020】
高温熱源(図示せず)は、冷媒を高圧(通常、約200~300psia)にてNH-HO溶液から蒸発させる脱着装置(DES)101に熱エネルギーを提供する。NH蒸気は、脱着装置101を出ると、整流器NH蒸気供給ライン102によって整流器(RECT)1-3に送られる。整流器103内のNH蒸気流に存在する少量の水蒸気は、凝縮ライン104によって除去され、脱着装置101に戻されてもよい。熱は、コンデンサ供給ライン106を通じてコンデンサ(COND)1-5に精製NH蒸気を送ることにより、精製NH蒸気から除去されてもよく、精製NH蒸気がコンデンサ105内で液体に凝縮されるようにする。コンデンサ105内の液体NHは、冷媒熱交換器液体供給ライン108により、冷媒熱交換機(RHX)107に送られてもよい。液体NHは、冷媒熱交換器(RHX)107内でさらに冷却された後、液体NHを冷媒熱交換器(RHX)107から第1の制限装置入力ライン110を通じて第1の制限装置109に液体NHを送ることにより、低圧(通常、50~150psia)となるように低減される。低圧液体NHは、その後、第1の制限装置出力ライン112によって蒸発器(EVAP)111に送られてもよい。低圧液体NHは、蒸発器(EVAP)111内の下位のエネルギー源(図示せず)からの熱を使用して、蒸発器(EVAP)111内で蒸発されることにより、下位の熱源を冷却してもよい。蒸発されたNHは、冷媒熱交換器蒸気供給ライン114により、蒸発器111から冷媒熱交換器107に送られる。冷媒熱交換器107において、冷媒熱交換器蒸気供給ライン114から蒸発したNHが加熱される。加熱されたNHは、その後、吸収装置供給ライン116により、冷媒熱交換器107から吸収装置(ABS)113に送られてもよい。
【0021】
NH濃度の低い、高温且つ高圧のNH-HO溶液は(「弱い」溶液と称されることが多い)、弱い溶液の供給ライン118を通じて脱着装置101を出て、溶液熱交換器(SHX)115に送られる。弱い溶液は、溶液熱交換器(SHX)115において冷却されてもよい。冷却された弱い溶液は、その後、冷却された弱い溶液を第2の制限装置入力ライン120を通じて第2の制限装置117に送ることにより、低圧まで低減されてもよい。低圧且つ冷却された弱い溶液は、第2の制限装置出力ライン122により、第2の制限装置117から吸収装置113に送られてもよい。吸収装置113において、NH蒸気は、弱いNH-HO溶液内に吸収して戻される。これは発熱プロセスであり、吸収熱が継続して除去されることにより、吸収プロセスを続けることが好ましい。
【0022】
吸収装置出力ライン124を介して吸収装置113を出た冷却高NH濃度溶液(「強い」溶液と称されることが多い)は、ポンプ119によって高圧に送り戻され、強い溶液の供給ライン126によって整流器103のコイル121に送られる。強い溶液は、整流器コイル121を通過し、NH蒸気を冷却及び精製する。強い溶液は、その後、溶液熱交換器蒸気供給ライン128により、整流器121から溶液熱交換器115に移送されてもよい。強い溶液は、その後、脱着装置蒸気供給ライン130を通じて脱着装置101に入るのに先立って溶液熱交換器115内で予熱され、プロセスを再開させてもよい。
【0023】
炭素燃料の燃焼、太陽熱、排熱等を使用して、上位の熱を脱着装置101に提供することもできる。蒸発器111は、エアフィンチューブコイル熱交換器への直接冷媒、又は温水循環作動流体熱交換器への間接冷媒を利用してもよい。間接法の1つの効果として、冷凍チャージ全体量を低減できることが挙げられる。
【0024】
図2は、コントローラを有する暖房又は水加熱を行うように構成された簡易且つ単一効果の吸収ヒートポンプサイクル200を示している。脱着装置201、整流器203、コンデンサ205、冷媒熱交換器207、蒸発器211、吸収装置213、及び溶液熱交換器215は、図1に示される通り、配置される。
【0025】
しかしながら、図2は、冷媒を沸騰させる蒸発器211を通過する低温熱源としての大気223を示している。大気223は、蒸発器熱源入力ライン231によって蒸発器211に入り、蒸発器熱源出力ライン232によって蒸発器211を出る。大気223は、建物の内外をソースとするものとし得る。
【0026】
図2は、吸収ヒートポンプから加熱対象の負荷に熱を送る温水循環(例えば、水又はグリコール-水の混合物)ループ225をさらに示している。図2は、例えば、暖房のための空気結合熱交換機、水を加熱するための水槽に接続された熱交換器等であり得る屋内コイルとしての負荷を特定している。作動液は、この負荷によって冷却されるが、まず、温水循環入力ライン233によって、任意の凝縮熱交換機(CHX)227に送られてもよい。凝縮熱交換器227は、さらに、高温脱着装置201の加熱源を冷却し、損失を低減する(この場合、炭素燃料の燃焼が想定される)ように機能する。温水循環入力ライン233からの作動液の温度が脱着装置201を出る燃焼排気の露点を下回るとき、脱着装置201を出た燃焼排気ライン235内の水蒸気は、凝縮され、凝縮熱交換機227に送られ、燃焼排気からのエネルギー損失を著しく低減することができる。
【0027】
凝縮熱交換器227を出た後、作動液は、コンデンサ205及び吸収装置213に入り、ヒートポンプサイクルから凝縮熱及び吸収熱を集熱する。温水循環は、直列、並列、又はこれらの何等かの組み合わせでコンデンサ205及び吸収装置213を流動することができる。並列構成が図2に示されており、ここでは温水循環の一部がコンデンサ温水循環流動入力ライン237を介してコンデンサ205に入り、残りの温水循環流動が吸収装置温水循環流動入力ライン239を介して吸収装置213に入る。コンデンサ温水循環流動出力ライン241及び吸収装置温水循環流動出力ライン243を介してコンデンサ205及び吸収装置213を出た後、加熱された温水循環流動は、再び合流し、作動液出力ライン251を介して加熱対象の負荷に移動する。並列流動配置では、コンデンサ205を通過する温水循環流動全体のパーセンテージは、選択された特定のサイクル又は特定の適用によって決まることが多い。一般的に、温水循環流動を分割するパーセンテージは、コンデンサ/吸収装置の加熱能力比率と同様であり、これは吸収装置の約60%であることが多い。
【0028】
温水循環流動を分割するパーセンテージは、弁247を作動するコントロール245によって制限することができる。任意で、コントロール245は、凝縮熱交換機227を出入りする作動液の温度に応じて弁247を作動してもよい。例えば、コントロール245は、温度が約70~90°Fの温度を下回る等、所定値を下回るとき、可能な総流量に対してコンデンサを出入りする作動液の流量を低減してもよい。作動液の温度を測定するには、温度センサ249aが凝縮熱交換機227の上流の温水循環入力ライン233に採用されてもよく、温度センサ249bが凝縮熱交換機227の下流の温水循環入力ライン233に採用されてもよい。
【0029】
図2は、コンデンサ温水循環流動入力ライン237における弁247を示しており、ここでコンデンサ205に入る。弁247は、オン/オフタイプか、又は可変位置タイプとすることができる。弁247(全開、全閉、又はこの中間のどこか)の位置は、凝縮熱交換227を出る(或いは、凝縮熱交換器227に入る)作動液の温度に応じて、コントローラ245によって制御される。温度センサ249a及び249b(熱電対、RTD、サーミスタ、又はその他の温度測定装置)が温水循環入力ライン233に装着され、凝縮熱交換器227を出入りする作動液の温度が把握されるようにする。
【0030】
コンデンサ205に入る作動液の温度が所定値を下回るとき、コントローラ245は、弁247を閉鎖又は一部閉鎖するように挙動し、コンデンサ205を通じた作動液の流量を停止又は低減する。コンデンサ205を通じた温水循環流量を停止又は低減することにより、コンデンサ温水循環流動出力ライン241を介してコンデンサ205を出る冷媒の温度が上昇させられ、高圧側圧力を上昇させる。この制御方法では、高圧側圧力が最小値を上回るように維持し、高圧側圧力と低圧側圧力との圧力差が、圧力制限装置209及び217を通じて十分に高い比率で作動流体が流れるようにし、ヒートポンプサイクル200を適正に動作させ続けるのに十分な圧力差となるようにする。
【0031】
このようにコンデンサ205を通じた温水循環流量を停止又は低減することにより、通常の温水循環流量より多くの流量が吸収装置213を通過し、吸収装置温水循環流動出力ライン243を介して吸収装置213を出た強い溶液がより低温で出るようにする。ライン224内の吸収装置213を出た強い溶液の温度が低下するほど、ヒートポンプサイクル200の効率は上がるため、コントロール245が弁を閉鎖又は部分閉鎖するように作動する期間中、吸収装置213を通じた余剰の流量により、ヒートポンプをより効率的に動作させることとなろう。
【0032】
コンデンサ205を通じた温水循環流量は、コンデンサ205に入る作動液の温度に基づき、簡易のオン/オフ弁、多位置弁、又は比例弁(247として総称する)を使用して制御することができる。オン/オフ弁は、最も簡易で、且つ最も安価なオプションを提供するものである。オン/オフ弁が使用されると、コントロール245は、作動液の温度に基づき、所定の間隔で、弁247をオン及びオフするように構成することができる。例えば、作動液が非常に冷たかった場合、コントロール245は、オンである期間より長く、弁をオフに維持するように挙動するであろう。温水循環温度が上昇するほど、これに応じて(より長時間オンにし、より短時間オフにする)オン及びオフのサイクルの時間間隔を調整し、コンデンサ205に入る作動液の温度に基づき、略最低の高圧側圧力を維持することができる。温水循環温度は所定値まで上昇するとき、コントロール245は、弁247を常時開放した状態に維持し、「正常な」ヒートポンプ動作を許容することができる。弁247がオフ(閉鎖)である期間中、温水循環流動全体がコンデンサ205をバイパスし、吸収装置213を通じて流動する。
【0033】
多位置弁又は比例弁が使用されるとき、コントローラ254は、コンデンサ205に入る温水循環の温度に基づき、所定位置に弁247を位置付けるように挙動してもよい。例えば、温水循環温度が非常に冷たい場合、弁は、温水循環温度がより高いときに比べ、より閉鎖された位置に設定されてもよい(吸収装置213により多くの温水循環流動をバイパスする)。温水循環温度が所定値まで上昇するとき、コントロール245は、弁247を常時開放した状態に維持し、「正常な」ヒートポンプ動作を許容すしてもよい。
【0034】
吸収ヒートポンプ200がオフ(非稼働)であったとき、通常、高圧側圧力と低圧側圧力は、正常な高圧と正常な低圧との間の圧力に等しい。ヒートポンプ作動流体が冷却を継続するので、この等しくされた「システム」圧力は、冷媒の濃度及び周辺温度に基づき、飽和圧力に達するまで減衰し続けるであろう。ヒートポンプ200がオフ状態から稼働するとき、高圧側圧力が可能な限り速く上昇することが望ましく、低圧側圧力が可能な限り速く低下することが望ましく、ヒートポンプ200が可能な限り速く最大加熱能力又は最大冷却能力に達することが望ましい。
【0035】
従って、スタートアップ条件の間(例えば、ヒートポンプサイクルが稼働された後の最初の5~20分)、代替の弁制御方法論が利用されてもよい。コンデンサ205を通じた温水循環流量が停止又は低減される場合、高圧側圧力がより急速に上昇するであろうため、コントロール245はスタートアップ期間中の所定期間、弁247を閉鎖することが望ましい。弁が閉鎖するとき、吸収装置213を通じた温水循環流量が増加されることにより、低圧側圧力をより急速に低下させる。
【0036】
ヒートポンプのスタートアップ期間中、コンデンサ205に入る温水循環温度に基づいてコントローラ245が弁247をオン又はオフするのに使用する期間は、恒常状態動作での使用(又は、多位置弁又は比例弁が使用される場合は弁の位置)と異なってもよい。例えば、コントローラ245は、温水循環温度を問わず(この期間は温水循環温度の関数となってもよいが)、スタートアップ中の所定期間、弁247を閉鎖(又は部分閉鎖)するようにプログラムされてもよい。温水循環温度の関数としてのオン/オフ期間(又は弁の位置)は、恒常状態の条件と比較して、スタートアップ期間中と僅かに異なり、ヒートポンプシステム200が可能な限り速く、最大能力及び最大効率に達するようにしてもよい。
【0037】
図3において、並列構成において温水循環で冷却されるコンデンサ305及び吸収装置313を備えたヒートポンプサイクル300の簡易図では、弁347がコンデンサ305への注入口においてコンデンサ温水循環流動入力ライン237に配置され、温度センサ349がコンデンサ305に入る温水循環の温度を測定するように配置され、コントロール345が温水循環温度に関連して弁347の位置を制御するように構成されている。この配置によると、コンデンサ305を通過しない温水循環流動の部分が吸収装置313を通過し、吸収装置313内の作動流体をさらに冷却し、ヒートポンプの効率を向上する。
【0038】
図4では、同様の吸収装置-コンデンサの並列構成を備えたヒートポンプサイクル400が示されており、第2の弁447bの追加が吸収装置温水循環流動入力ライン439に配置されている。双方の弁(447a及び447b)の位置は、コンデンサ405-吸収装置413に入る温水循環温度を測定するために配置された温度測定装置449に接続されたコントローラ445によって制御される。この構成によると、吸収装置413を通じた温水循環流動は、作動液温度に応じて停止又は低減されてもよく、温水循環流動の一部は、吸収装置413を通過せず、(コンデンサ403をさらに冷却し、高圧側圧力を低下させる)コンデンサ403を通過する。この配置は、非常に高温の温水循環温度を負荷に送達することが求められるシステムにおいて有利となることがある。温水循環温度が所定温度まで上昇するとき、これはヒートポンプの部品の許容可能な最大高圧側圧力を示すが、コントロール445は、吸収装置413を通じた温水循環流動を停止又は低減するように挙動し、コンデンサ405がより冷却して稼働できるようにし、高圧側圧力を限定するようにできる。上述の通り、弁447a及び/又は447bがオン/オフタイプであれば、コントローラ445は、温水循環温度に基づく異なる期間において、弁447a及び/又は447bをオン/オフするように挙動することができる。この配置は、吸収装置413を通じた温水循環を低減することにより、ヒートポンプの効率を低減することがあるが、必要に応じて、ヒートポンプにより高い温水循環温度を提供させるであろう。或いは、コンデンサを通じた流動は、弁447bを使用して制御することもできる。正常動作中、弁447bは、半開き位置に設定される。コンデンサを通じ、温水循環流動を通じた流動を低減することが望ましいとき、弁447bが開放され、コンデンサ脚部に対して吸収装置脚部を通じて流れる作動液の圧力損失を低減し、これにより、吸収装置を通じた流動を増加させ、コンデンサを通じた流動を低減させる。
【0039】
ヒートポンプサイクルの他に例によると、コンデンサを通じた流動は、弁447bを使用して制御することもできる。正常動作中、弁447bは、半開き位置に設定される。コンデンサを通じ、温水循環流動を通じた流動を低減することが望ましいとき、弁447bは、開放されてもよい。これにより、コンデンサ脚部に対して吸収装置脚部を通じて流れる作動液の圧力損失を低減することで、吸収装置を通じた流動を増加させ、コンデンサを通じた流動を低減させる。
【0040】
図5では、ヒートポンプサイクル500が示されており、吸収装置513及びコンデンサ505が直列構成の温水循環ループに紐づけられている(まず、コンデンサ505が示されている)。この場合、弁547は、コンデンサ505の周辺でバイパスライン553内に配置される。正常動作中、弁547は、閉鎖されることにより、コンデンサ505を通じて温水循環流動全体を押し進めてもよい。コンデンサ505に入る温水循環温度が所定値を下回る場合(又は、ヒートポンプのスタートアップシーケンス中)、コントローラ545は、弁547を開放(又は、一部開放)し、温水循環流動の全部又は一部にバイパスライン553を介してコンデンサ505をバイパスさせることができる。この配置において、弁が開放されれば、吸収装置513に入る温水循環の温度は、閉鎖された弁に比べて低くなることにより、吸収装置513内での冷却を促進し、ヒートポンプ効率を向上するであろう。
【0041】
図6は、ヒートポンプサイクル600を示しており、吸収装置613及びコンデンサ605が直列構成で温水循環ループに紐づけられている(まず、吸収装置613が示されている)。この場合、弁647は、コンデンサ605の周辺でバイパスライン653内に配置される。正常動作中、弁647が閉鎖されることにより、コンデンサ605を通じて温水循環流動全体を押し進めてもよい。コンデンサ605に入る温水循環温度が所定値を下回る場合(又は、ヒートポンプのスタートアップシーケンス中)、コントローラ645は、弁647を開放(又は、一部開放)し、温水循環流動の全体又は一部にバイパスライン653を介してコンデンサ605をバイパスさせることができる。この配置において、温水循環流動全体がまず、吸収装置613を通過することができるため、この冷却能力(及びヒートポンプの効率)は、弁の位置の影響を受けるものでない。
【0042】
装置及び方法について特定の形態との関係で説明したが、添付のクレームに記載の本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の特定の要素について、種々の同等物で代替されてよいことが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6