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特許70196082パートシアノアクリレート硬化性接着剤系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】2パートシアノアクリレート硬化性接着剤系
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/42 20060101AFI20220207BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220207BHJP
   C08F 290/04 20060101ALI20220207BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20220207BHJP
   C09J 4/04 20060101ALI20220207BHJP
   C09J 4/06 20060101ALI20220207BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20220207BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220207BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
C08F220/42
C08F2/44 B
C08F2/44 C
C08F290/04
C09J4/02
C09J4/04
C09J4/06
C09J5/00
C09J11/06
C09J133/08
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2018561517
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2017062047
(87)【国際公開番号】W WO2017202698
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】1609024.3
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ウォード、 エマー
(72)【発明者】
【氏名】コールマン、 デボラ
(72)【発明者】
【氏名】タリー、 レイモンド
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522899(JP,A)
【文献】特表2009-500517(JP,A)
【文献】特表2016-515153(JP,A)
【文献】特開平06-145605(JP,A)
【文献】特開2006-256551(JP,A)
【文献】特公昭46-037276(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-301/00
C08L 1/00-101/16
C09J 4/04
C09J 123/08
C09J 133/08
C09J 11/06
C09J 4/06
C09J 4/02
C09J 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2パート硬化性組成物であって、
(a)シアノアクリレート組成物を含む第1パートであって、
シアノアクリレート成分、並びに
(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤
を含む、第1パート、並びに
(b)第2パートであって、
2-置換ベンゾチアゾール又はその誘導体(ここで、2-置換基は、C1-20アルキル基、C2-20アルケン基、C8-20アルキルベンジル基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20アルコキシ基、C1-20アルキルヒドロキシ基、エーテル基、スルフェンアミド基、C1-20チオアルキル基、又はC1-20チオアルコキシ基である)
を含む、第2パート
を含み、かつ
第1パート又は第2パートのうちの少なくとも一方は、さらに、
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分、
ハロ、-NO、又は-CN、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つ又はそれ以上の電子求引基で置換されている少なくとも1種のベンゾニトリル化合物、及び
少なくとも1種の無水物成分
を含
前記少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、式:
【化1】
(式中、Aは、O、N、及びSからなる群より選択されるヘテロ原子を場合により含むことができるC ~C 30 脂肪族鎖であり;
前記鎖は、1若しくは複数のアクリレート若しくはメタクリレート官能基、及び/又は1若しくは複数のC ~C 10 アルキル基で場合により置換されており;かつ
とR は同一でも異なっていてもよく、H及びC ~C アルキルからなる群より各々任意に選択される)
によって表される、2パート硬化性組成物。
【請求項2】
シアノアクリレート成分が、構造HC=C(CN)-COOR(式中、Rは、C1-15アルキル基、C2-15アルコキシアルキル基、C3-15シクロアルキル基、C2-15アルケニル基、C6-15アラルキル基、C5-15アリール基、C3-15アリル基、及びC1-15ハロアルキル基から選択される)に含まれる材料から選択される、請求項1に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項3】
シアノアクリレート成分が、エチル-2-シアノアクリレートを含む、請求項2に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項4】
2-置換ベンゾチアゾールが、少なくとも1つのハロ、C1-20チオアルキル、C1-20ハロアルキル、C1-20アルキル、C1-20アルコキシ、又はヒドロキシル置換基でさらに置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項5】
ハロ置換基が、Cl、F、又はBrである、請求項4に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項6】
2-置換ベンゾチアゾールが、
5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾール、5-ブロモ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-[(tert-ブチルアミノ)チオ]-1,3-ベンゾチアゾール-5-オール、5,6-ジクロロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、6-ブロモ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、5-フルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、6,7-ジクロロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2,5-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール、4,5,6,7-テトラフルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、4,5,6,7-テトラフルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(アリルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-メチル-5-(メチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(エチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(ヘキシルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(1,3-ジメチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(オクタデシルチオ)ベンゾチアゾール、2-(1-エチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(オクチルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(1-メチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(2-フェニルエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-[(1-メチルヘプチル)オキシ]-1,3-ベンゾチアゾール、2-アリル-1,3-ベンゾチアゾール、2-[(1-メチルヘキシル)オキシ]-1,3-ベンゾチアゾール、4-クロロ-2-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール、2-(3-メチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、4-クロロ-2-(エチニルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2,5,6-トリメチル-1,3-ベンゾチアゾール、4-メトキシ-2,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール、5,6-ジメトキシ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2,5,7-トリメチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(ブチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、5-クロロ-2-(エチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(ウンデシルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、5-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-メチル-5-ベンゾチアゾロール、2-(メチルメルカプト)-ベンゾチアゾール、及び2-[(シクロヘキシルアミノ)チオ]-ベンゾチアゾール)からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項7】
2-置換ベンゾチアゾールが、5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾール、2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)-ベンゾチアゾール、5-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、6-メトキシベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、及び2-メチル-5-ベンゾチアゾロールからなる群より選択される、請求項6に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項8】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項9】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、第2パート(b)に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項10】
無水物成分が、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、4-メチルフタル酸無水物、無水イタコン酸、無水ジフェン酸、フェニルコハク酸無水物、1,8ナフタル酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、2,3-ジクロロマレイン酸無水物、2-ドデセン-1-イル-コハク酸無水物、ホモフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、3-フルオロフタル酸無水物、3,3,4,4-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-ニトロフタル酸無水物、3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4,5,8ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、無水メタクリル酸、無水シトラコン酸、ヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物、無水マレイン酸、2,3-ジフェニルマレイン酸無水物、ヘキサフルオログルタル酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水グルタル酸、ブロモマレイン酸無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物、エキソ-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジ-O-アセチル-L-酒石酸無水物、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項11】
ベンゾニトリル化合物が、テトラフルオロイソフタロニトリル、3,5-ジニトロベンゾニトリル;2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル;ペンタフルオロベンゾニトリル;α,α,α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリル;及び、テトラクロロターフタロニトリル、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項12】
ベンゾニトリル化合物が、組成物の総重量を基準として0.05~5重量%の量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項13】
無水物成分が、組成物の総重量を基準として0.1~5重量%の量で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項14】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、組成物の総重量を基準として1~20重量%の量で存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項15】
2-置換ベンゾチアゾールが5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾールであり、無水物が、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、無水イタコン酸、又は4-メチルフタル酸無水物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ、少なくとも1種のベンゾニトリル化合物が、テトラフルオロイソフタロニトリル又はペンタフルオロベンゾニトリル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項16】
組成物の総重量を基準として、ベンゾニトリルが0.1~1重量%の量で存在し、無水物が0.1~2重量%の量で存在し、そして少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が4~12重量%の量で存在する、請求項15に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項17】
カリックスアレーン、オキサカリックスアレーン、シラクラウン、シクロデキストリン、クラウンエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート(ただし、このポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートは、前記少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分として選択された化合物とは異なるものとする)、エトキシル化ヒドロキシ化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤成分をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項18】
促進剤成分が、テトラブチルテトラ[2-エトキシ-2-オキソエトキシ]カリックス-4-アレーンであるカリックスアレーンを含む、請求項17に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項19】
促進剤成分が、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、ベンゾ-15-クラウン-5-ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、トリベンゾ-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、ジベンゾ-14-クラウン-4、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、シクロヘキシル-12-クラウン-4、1,2-デカリル-15-クラウン-5、1,2-ナフト-15-クラウン-5、3,4,5-ナフチル-16-クラウン-5、1,2-メチル-ベンゾ-18-クラウン-6、1,2-メチルベンゾ-5,6-メチルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-18-クラウン-6、1,2-ビニルベンゾ-15-クラウン-5、1,2-ビニルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-シクロヘキシル-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、及び1,2-ベンゾ-1,4-ベンゾ-5-酸素-20-クラウン-7、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるクラウンエーテルを含む、請求項17又は請求項18に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項20】
促進剤成分が、以下の構造に含まれるポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物:
【化2】
(式中、nは3より大きい)
【請求項21】
耐衝撃性付与添加剤、チキソトロピー付与剤、増粘剤、染料、耐熱分解性向上剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項22】
耐衝撃性付与添加剤がクエン酸である、請求項21に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項23】
2-スルホ安息香酸無水物、トリエチレングリコールジ(パラトルエンスルホネート)、トリフルオロエチルパラ-トルエンスルホネート、ジメチルジオキソレン-4-イルメチルパラ-トルエンスルホネート、パラトルエンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、1,3-プロピレンサルファイト、ジオキサチオレンジオキサイド、1,8-ナフトスルトン、スルトン1,3-プロパン、スルトン1,4-ブテン、アリルフェニルスルホン、4-フルオロフェニルスルホン、ジベンゾチオフェンスルホン、ビス(4-フルオロフェニル)スルホン、エチルp-トルエンスルホネート、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、エチレンサルファイト、及びそれらの組み合わせ
からなる群から選択される、少なくとも1種の添加剤をさらに含む請求項1~22のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項24】
添加剤が、1,8-ナフトスルトン及びエチレンサルファイト、並びにそれらの組み合わせから選択される、請求項23に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項25】
2パート硬化性組成物であって、
(a)シアノアクリレート組成物を含む第1パートであって、
シアノアクリレート成分、並びに
(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤
を含む、第1パート、並びに
(b)第2パートであって、
2-置換ベンゾチアゾール又はその誘導体(ここで、2-置換基は、C1-20アルキル基、C2-20アルケン基、C8-20アルキルベンジル基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20アルコキシ基、C1-20アルキルヒドロキシ基、エーテル基、スルフェンアミド基、C1-20チオアルキル基、又はC1-20チオアルコキシ基である)
を含む、第2パート
を含み、かつ
第1パート又は第2パートのうちの少なくとも一方は、さらに、
無水物成分
を含み;かつ
第2パートは、さらに、
組成物の総重量を基準として1~20重量%の量で存在する、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分;及び
ハロ、-NO、又は-CN、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つ又はそれ以上の電子求引基で置換されている少なくとも1種のベンゾニトリル化合物
を含み、
前記少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、式:
【化3】
(式中、Aは、O、N、及びSからなる群より選択されるヘテロ原子を場合により含むことができるC ~C 30 脂肪族鎖であり;
前記鎖は、1若しくは複数のアクリレート若しくはメタクリレート官能基、及び/又は1若しくは複数のC ~C 10 アルキル基で場合により置換されており;かつ
とR は同一でも異なっていてもよく、H及びC ~C アルキルからなる群より各々任意に選択される)
によって表される、2パート硬化性組成物。
【請求項26】
2-置換ベンゾチアゾールが、5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾール、2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)-ベンゾチアゾール、5-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、6-メトキシベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、及び2-メチル-5-ベンゾチアゾロール、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択され;
無水物成分が、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、4-メチルフタル酸無水物、無水イタコン酸、無水ジフェン酸、フェニルコハク酸無水物、1,8ナフタル酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、2,3-ジクロロマレイン酸無水物、2-ドデセン-1-イル-コハク酸無水物、ホモフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、3-フルオロフタル酸無水物、3,3,4,4-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-ニトロフタル酸無水物、3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4,5,8ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、無水メタクリル酸、無水シトラコン酸、ヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物、無水マレイン酸、2,3-ジフェニルマレイン酸無水物、ヘキサフルオログルタル酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水グルタル酸、ブロモマレイン酸無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物、エキソ-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジ-O-アセチル-L-酒石酸無水物、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され;
ベンゾニトリル化合物が、テトラフルオロイソフタロニトリル、3,5-ジニトロベンゾニトリル;2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル;ペンタフルオロベンゾニトリル;α,α,α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリル;及びテトラクロロターフタロニトリル、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択され;かつ
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、及びジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項27】
第1パートと第2パートとの比率が、1:1から10:1の範囲である、請求項1~26のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項28】
第1パートと第2パートとの比率が10:1である、請求項27に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項29】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、少なくとも1種のベンゾニトリル化合物のための担体材料として使用される、請求項1~28のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物。
【請求項30】
求項1~29のいずれか一項に記載の組成物の硬化反応生成物。
【請求項31】
2つの基材を合わせて接合する方法であって、
請求項1~29のいずれか一項に記載の2パート硬化性組成物を、基材の少なくとも一方に塗布し、そして対にした基材の間でシアノアクリレート組成物から接着接合を形成させるのに十分な時間、基材を対合させる工程
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
分野
本発明は、シアノアクリレート含有組成物に関し、該組成物は、硬化すると改善された耐湿性及び耐熱性をもたらす。
【背景技術】
【0002】
関連技術の簡単な説明
シアノアクリレート接着剤組成物はよく知られており、また広範な用途を有する急速硬化型(quick setting)瞬間接着剤として広く使用されている。Handbook of Adhesives,27,463-77,I.Skeist,ed.,Van Nostrand Reinhold,New York,3rd ed.(1990)のH.V.Coover,D.W.Dreifus、及びJ.T.O’Connor,“Cyanoacrylate Adhesives”を参照されたい。また、Structural Adhesives:Chemistry and Technology,S.R.Hartshorn,ed.,Plenum Press,New York,p.249-307(1986)のG.H.Millet,“Cyanoacrylate Adhesives”も参照されたい。
【0003】
これまで、特に高温条件(120℃、150℃、及び180℃など)に曝されたときの、シアノアクリレート組成物の硬化生成物の耐熱性を改善する努力がなされてきた。硬化生成物は本来熱可塑性であるので、温度が上昇するにつれて軟化する傾向にあり、そして材料のTgを超えると硬化生成物は流動し始める。温度上昇が進行するにつれて、分解が始まり、物性が損なわれる。その結果、高温条件への曝露の可能性が高いシアノアクリレートの商業的応用は難しいことが分かっており、結果的に限定されている。
【0004】
耐熱性付与剤をシアノアクリレートに使用することが知られている。
【0005】
例えば、米国特許第5,328,944号(Attarwala)には改良型のシアノアクリレートモノマー接着剤配合物が記載されており、ここで該配合物は、硬化したポリマーの耐熱性を向上させるのに有効な量の、アンヒドロサルファイト、スルホキシド、サルファイト、スルホネート、メタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、スルフィネート、及び環状スルフィネートを含めた特定の式の硫黄含有化合物を含み;米国特許第5,288,794号(Attarwala)には、改良型のシアノアクリレートモノマー接着剤配合物が記載されており、ここで該配合物は、硬化したポリマーの耐熱性を向上させるのに有効な量の、その芳香環上に少なくとも3つの置換基を有し、該置換基の2つ以上が電子求引基であることを特徴とするモノ、ポリ、又はヘテロ芳香族化合物を含み、該芳香族化合物の例は、2,4-ジニトロフルオロベンゼン、2,4-ジニトロクロロベンゼン、2,4-ジフルオロニトロベンゼン、3,5-ジニトロベンゾニトリル、2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン、ペンタフルオロニトロベンゼン;ペンタフルオロベンゾニトリル、α,α,α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリル、及びテトラクロロターフタロニトリルであり;そして、米国特許第5,424,343号(Attarwala)には、硬化してポリマーを形成するシアノアクリレートモノマー接着剤配合物が記載されており、該配合物は、シアノアクリレートモノマーと、硬化したポリマーの耐熱性を向上させるのに有効な量の、少なくとも1つの強電子求引基(該基は、少なくともニトロ基程度に強い電子求引性を有する)で置換されているナフトスルトン化合物とを含む。耐熱性付与剤を含むシアノアクリレート組成物のさらなる例は、例えば、米国特許第5,536,799号及び日本国特許文献特開平6-145606号に見出される。
【0006】
また、耐熱性及び耐湿性を改善するために、シアノアクリレート組成物にカルボン酸及びその無水物を使用することも知られている。
【0007】
例えば、米国特許第3,832,334号は無水マレイン酸の添加に関するものであり、これにより、速い硬化速度を維持しながら(硬化したときに)向上した耐熱性を有するシアノアクリレート接着剤がもたらされることが報告されている。
【0008】
米国特許第4,196,271号はトリ-、テトラ-、及びより高級のカルボン酸又はその無水物に関するものであり、これらは硬化したシアノアクリレート接着剤の耐熱性を改善するために有用であると報告されている。
【0009】
米国特許第4,450,265号は、シアノアクリレート接着剤の耐熱性を改善するための無水フタル酸の使用に関する。より具体的には、‘265特許は、その大部分が少なくとも1種の2-シアノアクリル酸のエステルから構成される重合可能成分を含む接着剤組成物を対象とし、これを特許請求しており、該組成物は、湿気又は高温に曝された状態で、該組成物から形成された接着接合の強度及び/又は耐久性に好ましい影響を及ぼすのに有効な比率の無水フタル酸をさらに含むことを特徴とする。有効量は、組成物の0.1重量%~5重量%、例えば0.3重量%~0.7重量%と報告されている。‘265特許は、添加剤を使用せず、かつ無水マレイン酸を使用した組成物に対する無水フタル酸の優位性を報告している(ただし、ステンレス鋼の重ねせん断の場合はアルミニウムの場合よりも顕著ではない)。
【0010】
米国特許第4,532,293号は、シアノアクリレート接着剤に優れた耐熱性をもたらすためのベンゾフェノンテトラカルボン酸又はその無水物の使用に関する。
【0011】
ゴムで強化したシアノアクリレートは知られている。
【0012】
例えば、米国特許第4,440,910号(O’Connor)は、本来エラストマー性の、すなわちゴム状の特定の有機ポリマーを強化添加剤として使用することによって、ゴム強化シアノアクリレート組成物を開発した。すなわち、‘910特許は、(a)シアノアクリレートエステルと、(b)約0.5重量%~約20重量%のエラストマーポリマーと、の実質的に溶媒を含まない混合物を含む硬化性接着剤に関し、これを特許請求している。エラストマーポリマーは、低級アルケンモノマーと、(i)アクリル酸エステル、(ii)メタクリル酸エステル、又は(iii)酢酸ビニルとのエラストマーコポリマーから選択される。より具体的には、‘910特許は、シアノアクリレートのための強化添加剤として、アクリルゴム;ポリエステルウレタン;エチレン-酢酸ビニル;フッ化ゴム;イソプレン-アクリロニトリルポリマー;クロロスルフィン化ポリエチレン;及びポリ酢酸ビニルのホモポリマーが特に有用であることが判明したことを記載している。
【0013】
‘910特許において、エラストマーポリマーは、アクリル酸のアルキルエステルのホモポリマー;低級アルケンなどの他の重合性モノマーとアクリル酸のアルキル若しくはアルコキシエステルとのコポリマー;及びアクリル酸のアルキル若しくはアルコキシエステルのコポリマーのいずれかであると記載されている。アクリル酸のアルキル及びアルコキシエステルと共重合され得る他の不飽和モノマーとしては、ジエン、反応性ハロゲン含有不飽和化合物、及びアクリルアミドなどの他のアクリルモノマーが挙げられる。エラストマーポリマーの1つの群は、VAMAC(登録商標)N123及びVAMAC(登録商標)B-124などのVAMAC(登録商標)の名称でDuPont(商標)によって製造されている、メチルアクリレートとエチレンとのコポリマーである。DuPont(商標)によると、VAMAC(登録商標)N123及びVAMAC(登録商標)B-124は、エチレン/アクリルエラストマーのマスターバッチであると報告されている。
【0014】
Henkel Corporation(Loctite Corporationの承継会社として)は、‘910特許の出願から何年もの間、ゴム強化シアノアクリレート接着剤製品をBLACK MAXの商品名で販売しており、これは、ゴム強化成分としてVAMAC(登録商標)B-124及びN123と呼ばれるDuPontの材料を採用している。さらに、Henkelは、過去に、透明で実質的に無色のゴム強化シアノアクリレート接着剤製品、すなわちLOCTITE(商標)4203、4204、及び4205を販売しており、これらは、ゴム強化成分としてDuPontの材料、VAMAC Gを採用している。
【0015】
米国特許出願公開第2008-0314519号(Attarwala)は、このゴム強化シアノアクリレート接着技術の改良に関するものであり、より具体的には、ゴム強化剤が(a)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(b)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、及び(a)と(b)の組み合わせから本質的に構成され、離型剤、酸化防止剤、ステアリン酸、及び/又はポリエチレングリコールエーテルワックスを実質的に含まない技術に関する。
【0016】
米国特許第5,536,799号(Takahashi)は、熱老化を改善するための、シアノアクリレートにおけるジペンタエリスリトールエステルの使用について述べている。好ましいエステルは、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(KAYARAD(登録商標)D-330として日本化薬株式会社から入手可能)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(KAYARAD(登録商標)D-320として日本化薬株式会社から入手可能)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(KAYARAD(登録商標)D-310として日本化薬株式会社から入手可能)、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標)DPHAとして日本化薬株式会社から入手可能)であると記載されている。この技術の目的は、基材を接合するのにより柔軟なシアノアクリレート接着剤を用いなければシアノアクリレート接着剤に亀裂が生じることとなる可撓性基材を接合することであると思われる。接合しようとする基材として記載されているのは、クロロプレンゴム、EPDM及び他の合成ゴム、並びにベークライトである。
【0017】
近年、Henkel Adhesive Technologiesのビジネスは、これらの要望に対処するために2つの技術を発明した。1つは、(a)単官能性シアノアクリレート成分(アリル-2-シアノアクリレートなど)、及び(b)多官能性シアノアクリレート成分(ビスシアノアクリレートなど)を含むシアノアクリレート接着剤組成物に関する。もう一方は、シアノアクリレート成分に加えて、水素化無水フタル酸及び場合によりベンゾニトリルを含むシアノアクリレート含有組成物に関する。米国特許出願公開第2014/0124137号を参照されたい。
【0018】
これらの努力にもかかわらず、シアノアクリレート組成物からより着実な熱的性能及び湿度性能を達成することが長年の要望であった。したがって、その要望に別の解決策を提供することは非常に有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
一態様では、本発明は、2パート(two-part)硬化性組成物であって、
(a)シアノアクリレート組成物を含む第1パートであって、
シアノアクリレート成分、及び
(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤
を含む、第1パート、並びに
(b)第2パートであって、
2-置換ベンゾチアゾール又はその誘導体(ここで、2-置換基は、C1-20アルキル基、C2-20アルケン基、C8-20アルキルベンジル基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20アルコキシ基、C1-20アルキルヒドロキシ基、エーテル基、スルフェンアミド基、C1-20チオアルキル基、又はC1-20チオアルコキシ基である)
を含む、第2パート
を含み、かつ
第1パート又は第2パートのうちの少なくとも一方は、さらに、
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分、
ハロ、-NO、又は-CN、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つ又はそれ以上の電子求引基で置換されている少なくとも1種のベンゾニトリル化合物、及び
少なくとも1種の無水物成分
を含む、2パート硬化性組成物を提供する。
【0020】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、第1パートに存在しても、第2パートに存在しても、又は両パートに存在してもよい。ハロ、-NO、又は-CN、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つ又はそれ以上の電子吸引基で置換されている少なくとも1種のベンゾニトリル化合物は、第1パートに存在しても、第2パートに存在しても、又は両パートに存在してもよい。少なくとも1種の無水物成分は、第1パートに存在しても、第2パートに存在しても、又は両パートに存在してもよい。
【0021】
有利には、本発明の組成物は、広範な基材(substrate)を接合し、熱老化及び湿潤老化後に優れた引張強度性能を示す。
【0022】
好適には、シアノアクリレート成分は、構造HC=C(CN)-COOR(式中、Rは、C1-15アルキル基、C2-15アルコキシアルキル基、C3-15シクロアルキル基、C2-15アルケニル基、C6-15アラルキル基、C5-15アリール基、C2-15アリル基、及びC1-15ハロアルキル基から選択される)に含まれる材料から選択され;例えば、好適には、シアノアクリレート成分はエチル-2-シアノアクリレートである。
【0023】
2-置換ベンゾチアゾールは、少なくとも1つのハロ、C1-20チオアルキル、C1-20ハロアルキル、C1-20アルキル、C1-20アルコキシ、又はヒドロキシル置換基でさらに置換されていてもよく、例えば、2-置換ベンゾチアゾールは、ハロで置換されていてもよく、そして該ハロ置換基は、Cl、F、又はBrであり得る。
【0024】
好適には、2-置換ベンゾチアゾールは、以下から選択され得る:
5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾール、5-ブロモ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-[(tert-ブチルアミノ)チオ]-1,3-ベンゾチアゾール-5-オール、5,6-ジクロロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、6-ブロモ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、5-フルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、6,7-ジクロロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2,5-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール、4,5,6,7-テトラフルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、4,5,6,7-テトラフルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(アリルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-メチル-5-(メチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(エチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(ヘキシルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(1,3-ジメチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(オクタデシルチオ)ベンゾチアゾール、2-(1-エチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(オクチルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(1-メチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-(2-フェニルエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-[(1-メチルヘプチル)オキシ]-1,3-ベンゾチアゾール、2-アリル-1,3-ベンゾチアゾール、2-[(1-メチルヘキシル)オキシ]-1,3-ベンゾチアゾール、4-クロロ-2-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール、2-(3-メチルブトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、4-クロロ-2-(エチニルオキシ)-1,3-ベンゾチアゾール、2,5,6-トリメチル-1,3-ベンゾチアゾール、4-メトキシ-2,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール、5,6-ジメトキシ-2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2,5,7-トリメチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(ブチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、5-クロロ-2-(エチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、2-(ウンデシルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール、2-メチル-1,3-ベンゾチアゾール、5-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-メトキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-メチル-5-ベンゾチアゾロール、2-(メチルメルカプト)-ベンゾチアゾール、及び2-[(シクロヘキシルアミノ)チオ]-ベンゾチアゾール)。
【0025】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、以下の式によって表され得る:
【0026】
【化1】
(式中、Aは、O、N、及びSから選択されるヘテロ原子を場合により含むことができるC~C30脂肪族鎖であり;
該鎖は、1若しくは複数のアクリレート若しくはメタクリレート官能基、及び/又は1若しくは複数のC~C10アルキル基で場合により置換されており;かつ
とRは同一でも異なっていてもよく、H及びC~Cアルキルから各々任意に選択される)。好適には、Aは、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルからなる群から選択されるアルキル鎖である。
【0027】
例えば、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、及びジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0028】
有利には、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、本発明のシアノアクリレート硬化性組成物の熱及び湿潤老化性能を向上させる。
【0029】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、2パート硬化性組成物の第2パート(b)に存在することが望ましく、これは、2液型(two-part)組成物の熱及び湿潤老化性能を向上させることに加えて、シアノアクリレート組成物の貯蔵安定性に影響しないようにし得るためであり、一方、2パート硬化性組成物の第1パート(a)に前記成分を含めた場合は、シアノアクリレート組成物の貯蔵安定性の低下につながる場合がある。したがって、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が組成物のどのパートに存在するかにかかわらず、前記組成物の熱及び湿潤老化性能は改善され、この改善は望ましいものであるが、より大きな貯蔵安定性を達成するためには、該成分を組成物の第2パートに含めることがさらに望ましい。
【0030】
驚くべきことに、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分(例えば、ヘキサンジオールジアクリレート又はヘキサンジオールジメタクリレート)が2液型組成物の第2パートに存在した場合、熱老化性能は、該成分を2液型組成物の第1パートに入れた場合よりもさらに向上した。
【0031】
有利には、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を有する成分は、2液型組成物の第2パートに配置された場合、2つの役割を果たすために使用され得る。組成物の熱老化性能、特に湿潤老化性能を向上させることに加えて、該成分はさらに、ベンゾチアゾール成分のための担体として使用され得る。このことにより、ベンゾチアゾール成分のための追加分の担体又は別個の担体(グリセロールトリアセテートなど)の必要性がなくなる。ヘキサンジオールジアクリレート及びヘキサンジオールジメタクリレートは、特に好適な少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分である。
【0032】
好適には、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を有する成分がベンゾチアゾールの担体材料として用いられる場合、2液型組成物中の可塑剤の総量、すなわち、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を有する成分と、あらゆる追加のベンゾチアゾールの担体材料との総量は、2パート硬化性組成物の総重量を基準として約20重量%以下であり、例えば、2液型組成物中のこのような可塑剤の総量は、約18重量%、又は16重量%、又は14重量%、又は12重量%以下である。可塑剤の総量が2パート硬化性組成物の総重量を基準として約20重量%を超える場合、引張強度の低下が認められる。
【0033】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、組成物の総重量を基準として、1~20重量%、例えば約2~約18重量%、好適には約3~約17重量%、例えば約4~約16重量%、又は約4~約15重量%、又は約4~約14重量%、又は約4~約13重量%の量、好ましくは4~12重量%の量で存在し得る。少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、組成物の総重量を基準として4~12重量%の量で存在する場合、本発明の組成物の引張強度性能を維持しながら、湿潤老化が特に向上する。
【0034】
無水物成分は、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、無水イタコン酸、又は4-メチルフタル酸無水物からなる群から選択され得る。
【0035】
無水物成分は、組成物の総重量を基準として0.1~5重量%の量、好ましくは0.1~2重量%の量で存在し得る。無水物が組成物の総重量を基準として0.1~2重量%の量で存在する場合に、湿潤老化の最大の向上が観察される。
【0036】
ベンゾニトリル化合物は、テトラフルオロイソフタロニトリル、3,5-ジニトロベンゾニトリル;2-クロロ-3,5-ジニトロベンゾニトリル;ペンタフルオロベンゾニトリル;α,α,α-2-テトラフルオロ-p-トルニトリル;及び、テトラクロロターフタロニトリルからなる群より選択され得る。
【0037】
好適には、ベンゾニトリル化合物は、組成物の総重量を基準として0.05~5重量%、より好適には0.1~1重量%の量で存在する。ベンゾニトリル化合物が組成物の総重量を基準として0.1~1重量%の量で存在する場合に、最適な硬化が得られる。
【0038】
好適には、本発明の組成物において、2-置換ベンゾチアゾールは5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾールであり得、無水物成分は、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、無水イタコン酸、及び4-メチルフタル酸無水物、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され得、そして少なくとも1種のベンゾニトリル化合物は、テトラフルオロイソフタロニトリル又はペンタフルオロベンゾニトリル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。このような組成物は、従来技術の組成物と比較して熱的性能が向上している。
【0039】
本発明の組成物において、組成物の総重量を基準として、ベンゾニトリル成分は0.1~1重量%の量で存在し得、無水物は0.1~2重量%の量で存在し得、そして少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は4~12重量%の量で存在し得る。このような組成物は、従来技術の組成物と比較して優れた熱的性能及び湿潤老化性能を有する。
【0040】
別の態様において、本発明は、2パート硬化性組成物であって、
(a)シアノアクリレート組成物を含む第1パートであって、
シアノアクリレート成分と、(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤と
を含む、第1パート、並びに
(b)第2パートであって、
2-置換ベンゾチアゾール又はその誘導体(ここで、2-置換基は、C1-20アルキル基、C2-20アルケン基、C8-20アルキルベンジル基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20アルコキシ基、C1-20アルキルヒドロキシ基、エーテル基、スルフェンアミド基、C1-20チオアルキル基、又はC1-20チオアルコキシ基である)
を含む、第2パート
を含み;かつ
第1パート又は第2パートのうちの少なくとも一方は、さらに、
無水物成分
を含み;かつ
第2パートは、さらに、
組成物の総重量を基準として1~20重量%の量、好ましくは4~12重量%の量で存在する、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分;及び
ハロ、-NO、又は-CN、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つ又はそれ以上の電子求引基で置換されている少なくとも1種のベンゾニトリル化合物
を含む、2パート硬化性組成物を提供する。
【0041】
好適には、第1パートと第2パートは、約1:1~約10:1の範囲の比率である。例えば、第1パートと第2パートは、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1の比率で存在し得る。
【0042】
別の態様において、本発明は、本発明に係る組成物の硬化反応生成物を提供する。
【0043】
本発明のさらに別の態様は、2つの基材を一緒に接合する方法であって、以下の工程:
(a)シアノアクリレート組成物を含む第1パートであって、
シアノアクリレート成分、並びに
(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤
を含む、第1パート;並びに
(b)第2パートであって、
2-置換ベンゾチアゾール又はその誘導体(ここで、2-置換基は、C1-20アルキル基、C2-20アルケン基、C8-20アルキルベンジル基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20アルコキシ基、C1-20アルキルヒドロキシ基、エーテル基、スルフェンアミド基、C1-20チオアルキル基、又はC1-20チオアルコキシ基である)を含む、第2パート
を含み;かつ
第1パート又は第2パートのうちの少なくとも一方は、さらに、
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分、
ハロ、-NO、又は-CN、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つ又はそれ以上の電子求引基で置換されている少なくとも1種のベンゾニトリル化合物、及び
少なくとも1種の無水物成分
を含む、2パート硬化性組成物を、少なくとも1つの基材に塗布する工程、並びに
対にした基材の間でシアノアクリレート組成物から接着接合を形成させるのに十分な時間、基材を対合させる工程
を含む、方法を提供する。
【0044】
本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】室温、100℃、及び120℃で6週間の熱老化;そして、相対湿度98%において40℃で湿潤老化後の、グリットブラスト仕上げ軟鋼(GBMS)に対する2パートシアノアクリレート組成物の引張強度性能を示す。
図2】室温、100℃、及び120℃で3週間の熱老化;そして、相対湿度98%において40℃で湿潤老化後の、グリットブラスト仕上げ軟鋼(GBMS)に対する2パートシアノアクリレート組成物の引張強度性能を示す。
図3】室温で6週間の老化後の、軟鋼(MS)及びアルミニウム基材に対する2パートシアノアクリレート組成物の引張強度性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
シアノアクリレート成分としては、多くの置換基により選択することができる少なくとも1種のシアノアクリレートモノマー、例えば、構造HC=C(CN)-COOR(式中、Rは、C1-15アルキル基、C2-15アルコキシアルキル基、C3-15シクロアルキル基、C2-15アルケニル基、C6-15アラルキル基、C5-15アリール基、C2-15アリル基、及びハロアルキル基から選択される)により表されるものが挙げられる。望ましくは、シアノアクリレートモノマーは、メチルシアノアクリレート、エチル-2-シアノアクリレート、プロピルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート(n-ブチル-2-シアノアクリレートなど)、オクチルシアノアクリレート、アリルシアノアクリレート、β-メトキシエチルシアノアクリレート、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1種から選択される。特に望ましいシアノアクリレートモノマーとしては、エチル-2-シアノアクリレートが挙げられる。
【0047】
シアノアクリレート成分は、組成物中、約50重量%~約99.98重量%の範囲内の量で含まれるべきであり、組成物全体の約70重量%~約85重量%の範囲が望ましい。
【0048】
ゴム強化成分は、いくつかの候補から選択され得る。そのような候補の1つは、エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物である。例えば、ゴム強化成分は、エチレンアクリル酸エラストマー、例えば、VAMAC N123及びVAMAC B-124などのVAMACの商品名でDupont(商標)から入手可能なものであり得る。VAMAC N123及びVAMAC B-124は、DuPontによると、エチレン/アクリルエラストマーのマスターバッチであると報告されている。DuPontの材料VAMAC Gは同じようなコポリマーであるが、色合いを与えるフィラーや安定剤を含まない。VAMAC VCSゴムはベースゴムであり、これからVAMAC製品ラインの残りのメンバーが配合されるものと思われる。VAMAC VCS(VAMAC MRとしても知られている)は、エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物であり、これは、いったん形成されると、離型剤のオクタデシルアミン、複合有機リン酸エステル(complex organic phosphate ester)、及び/又はステアリン酸、並びに抗酸化剤、例えば置換ジフェニルアミンなどの加工助剤を実質的に含まない。
【0049】
近年、DuPontは、商品表示VAMAC VMX 1012及びVCD 6200で市場に提供しており、これらはエチレン及びメチルアクリレートからできたゴムである。VAMAC VMX 1012ゴムは、ポリマー主鎖中にカルボン酸をほとんど又は全く有さないと考えられている。VAMAC VCSゴムと同様に、VAMAC VMX 1012及びVCD 6200ゴムは、上記の離型剤のオクタデシルアミン、複合有機リン酸エステル、及び/又はステアリン酸、並びに抗酸化剤、例えば置換ジフェニルアミンなどの加工助剤を実質的に含まない。これらのVAMACエラストマーポリマーはすべて本明細書において有用である。
【0050】
1つの変形例において、このように形成された反応生成物は、加工助剤及び抗酸化剤を実質的に含まないものとなる。加工助剤は、離型剤、例えばオクタデシルアミン(DuPont(商標)によると、Akzo NobelからARMEEN(登録商標)18Dの商品名で市販されていると報告されている)、複合有機リン酸エステル(DuPontによると、R.T.Vanderbilt Co.,Inc.からVANFRE VAMの商品名で市販されていると報告されている)、ステアリン酸、及び/又はポリエチレングリコールエーテルワックスである。抗酸化剤は、置換ジフェニルアミン(DuPontによると、Uniroyal ChemicalからNAUGARD(登録商標)445の商品名で市販されていると報告されている)である。
【0051】
あるいは、ゴム強化成分は、エチレンとメチルアクリレートとのジポリマーである。この代替手段の1つの変形例では、このように形成されたジポリマーは加工助剤及び酸化防止剤を実質的に含まないものとなっている。当然ながら、ゴム強化剤は、前段落の反応生成物と本段落のジポリマーとの組み合わせであってもよく、そのいずれか一方又は両方が加工助剤及び酸化防止剤を実質的に含まないものであってもよい。
【0052】
ゴム強化成分は、組成物の総重量を基準として約1.5重量%~約20重量%、例えば約5重量%~約15重量%の濃度で存在すべきであり、約8重量%~約10重量%が特に望ましい。
【0053】
有利には、ゴム強化成分が組成物の総重量を基準として約5重量%~約15重量%の量で存在する場合、本発明の組成物は向上した柔軟性と靭性を有する。
【0054】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を、好ましくは脂肪族鎖の末端に有する脂肪族化合物であるべきであるが、特に2つより多い(メタ)アクリレート官能基が存在する場合、脂肪族鎖に沿ったペンダントも同様に適切である。アルカンジ-及びトリ-オールジ-及びトリ-(メタ)アクリレートが、それぞれ、そのような化合物の一部の例である。より具体的には、ヘキサンジオールジメタクリレート及びヘキサンジオールジアクリレートが望ましい。加えて、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートも望ましい。
【0055】
例えば、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、以下の式を有し得る:
【0056】
【化2】
(式中、Aは、O、N、及びSから選択されるヘテロ原子を場合により含むことができるC~C30脂肪族鎖であり、ここで、該鎖は、1若しくは複数のアクリレート及び/若しくはメタクリレート官能基、並びに/又は1若しくは複数のC~C10アルキル基で場合により置換されており;かつ、式中、RとRは同一でも異なっていてもよく、H及びC~Cアルキルから各々任意に選択される)。
【0057】
好適には、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を有する成分は、以下の式を有する:
【0058】
【化3】
(式中、RとRは同一であるか異なっており、かつH又はMeから選択され;かつ、式中、Xは、O、N、及びSから選択されるヘテロ原子を場合により含むことができるC~C30脂肪族鎖であり、ここで、該鎖は、1若しくは複数のアクリレート及び/若しくはメタクリレート官能基、並びに/又は1若しくは複数のC~C10アルキル基で場合により置換されている)
【0059】
XはC~C30アルキル鎖であってよく、例えばXは、Cアルキル鎖、又はCアルキル鎖、又はCアルキル鎖、又はCアルキル鎖、又はCアルキル鎖、又はCアルキル鎖、又はC10アルキル鎖、又はC11アルキル鎖、又はC12アルキル鎖であり得る。好適には、Xは、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシル鎖からなる群から選択されるアルキル鎖であり得る。
【0060】
好適には、このような成分は、本発明の組成物に改善された熱的性能及び湿潤老化性能を付与する。
【0061】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を有する成分は、以下から選択され得る:
【0062】
【化4】
【0063】
少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分は、約0.5~約20重量%、例えば約1~約15重量%の濃度で存在すべきであり、約4~約12重量%が特に望ましい。少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が約20重量%を超える量で存在する場合、組成物の引張強度が低下する。該成分が約1重量%未満の量で存在する場合、湿潤老化の改善が低下する。該成分が約4~約12重量%の量で存在する場合、引張強度性能を維持しながら、湿潤老化の最大の向上が観察される。有利には、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分が、活性な可塑剤として作用し、2液型組成物の湿潤老化性能を向上させることに加えて、ベンゾチアゾール成分の担体として機能し、それにより追加の担体を含有する必要がなくなる。
【0064】
無水物成分は、無水フタル酸のような芳香族のもの、又はその完全若しくは部分水素化型であるべきであるが、無水フタル酸(又はその完全若しくは部分的に水素化型のもの)とともに、またはこれを含まずに、他の無水物を使用してもよい。
【0065】
例えば、無水物成分は、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、4-メチルフタル酸無水物、無水イタコン酸、無水ジフェン酸、フェニルコハク酸無水物、1,8ナフタル酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、2,3-ジクロロマレイン酸無水物、2-ドデセン-1-イル-コハク酸無水物、ホモフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、3-フルオロフタル酸無水物、3,3,4,4-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-ニトロフタル酸無水物、3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,4,5,8ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、無水メタクリル酸、無水シトラコン酸、ヘキサヒドロ-4-メチルフタル酸無水物、無水マレイン酸、2,3-ジフェニルマレイン酸無水物、ヘキサフルオログルタル酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水グルタル酸、ブロモマレイン酸無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物、エキソ-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジ-O-アセチル-L-酒石酸無水物、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物、及びそれらの組み合わせから好適に選択してよい。好適には、無水物成分は、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、無水イタコン酸、又は4-メチルフタル酸無水物である。
【0066】
無水物成分は、約0.1~約5重量%、例えば約0.1~約2重量%の濃度で存在すべきであり、組成物の総重量を基準として約0.5重量%が特に望ましい。無水物成分が組成物の総重量を基準として約5重量%を超える濃度で存在する場合、性能のさらなる改善は観察されない。無水物成分が組成物の総重量を基準として0.1重量%未満で存在する場合、湿潤老化性能の改善はそれほど顕著ではない。
【0067】
また耐熱性付与剤を添加してもよい。そのような薬剤として挙げられるものとしては、米国特許第5,328,944号(Attarwala)(その開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる)に記載されているような、スルホネート、スルフィネート、サルフェート、及びサルファイトなど特定の硫黄含有化合物である。
【0068】
例えば、本発明の組成物は、2-スルホ安息香酸無水物、トリエチレングリコールジ(p-トルエンスルホネート)、トリフルオロエチルp-トルエンスルホネート、ジメチルジオキソレン-4-イルメチルp-トルエンスルホネート、p-トルエンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、1,3プロピレンサルファイト、ジオキサチオレンジオキサイド、1,8-ナフトスルトン、スルトン1,3-プロパン、スルトン1,4-ブテン、アリルフェニルスルホン、4-フルオロフェニルスルホン、ジベンゾチオフェンスルホン、ビス(4-フルオロフェニル)スルホン、エチルp-トルエンスルホネート、及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物などの耐熱性を付与する添加剤を場合により含んでもよい。
【0069】
本発明のシアノアクリレート組成物に、カリックスアレーン及びオキサカリックスアレーン、シラクラウン、クラウンエーテル、シクロデキストリン、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ヒドロキシ化合物、及びそれらの組み合わせから選択される任意の一又は複数などの促進剤を含めてもよい。
【0070】
カリックスアレーン及びオキサカリックスアレーンのうち、多くのものが知られており、特許文献に報告されている。例えば、米国特許第4,556,700号、第4,622,414号、第4,636,539号、第4,695,615号、第4,718,966号、及び第4,855,461号(これらの各々の開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる)を参照されたい。
【0071】
例えば、カリックスアレーンに関しては、以下の構造に含まれるものが本明細書において有用である:
【0072】
【化5】
(式中、Rは、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、置換C1-10アルキル、又はC1-10置換アルコキシであり;Rは、H又はC1-10アルキルであり;そしてnは、4、6、又は8である)
【0073】
1つの特に望ましいカリックスアレーンはテトラブチルテトラ[2-エトキシ-2-オキソエトキシ]カリックス-4-アレーンである。
【0074】
多数のクラウンエーテルが知られている。例えば、本明細書において、個々に又は組み合わせて、あるいは他の第1の促進剤と組み合わせて使用され得るものの例としては、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、ベンゾ-15-クラウン-5-ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、トリベンゾ-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、ジベンゾ-14-クラウン-4、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、シクロヘキシル-12-クラウン-4、1,2-デカリル-15-クラウン-5、1,2-ナフト-15-クラウン-5、3,4,5-ナフチル-16-クラウン-5、1,2-メチル-ベンゾ-18-クラウン-6、1,2-メチルベンゾ-5,6-メチルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-18-クラウン-6、1,2-ビニルベンゾ-15-クラウン-5、1,2-ビニルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-シクロヘキシル-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、及び1,2-ベンゾ-1,4-ベンゾ-5-酸素-20-クラウン-7が挙げられる。米国特許第4,837,260号(Sato)(その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる)を参照されたい。
【0075】
シラクラウンもまた、その多くのものが知られており、文献に報告されている。例えば、典型的なシラクラウンは、以下の構造に表され得る:
【0076】
【化6】
(式中、R及びRは、それ自体はシアノアクリレートモノマーの重合を引き起こさない有機基であり、Rは、H又はCHであり、そしてnは、1~4の整数である)。好適なR基及びR基の例は、R基、C1-20アルコキシ基、例えばメトキシ基、及びアリールオキシ基、例えばフェノキシである。R基及びR基は、ハロゲン又は他の置換基を含んでいてもよく、その例はトリフルオロプロピルである。しかしながら、アミノ、置換アミノ、及びアルキルアミノなどの塩基性基は、R基及びR基として適していない。
【0077】
本発明の組成物に有用なシラクラウン化合物の特定の例としては:
【0078】
【化7】
ジメチルシラ-11-クラウン-4;
【0079】
【化8】
ジメチルシラ-14-クラウン-5;
【0080】
【化9】
及びジメチルシラ-17-クラウン-6が挙げられる。
例えば、米国特許第4,906,317号(Liu)(その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる)を参照されたい。
【0081】
多くのシクロデキストリンが本発明に関して使用され得る。例えば、少なくとも部分的にシアノアクリレートに可溶性であるα-、β-、又はγ-シクロデキストリンのヒドロキシル基誘導体として、米国特許第5,312,864号(Wenz)(その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる)に記載及び特許請求されているものは、適切な選択肢であろう。
【0082】
例えば、本明細書における使用に好適なポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートとしては、以下の構造に含まれるものが挙げられる:
【0083】
【化10】
(式中、nは3より大きく、例えば3~12の範囲内であり、nが9であることが特に望ましい)。より具体的な例としては、PEG200DMA(式中、nは約4)、PEG400DMA(式中、nは約9)、PEG600DMA(式中、nは約14)、及びPEG800DMA(式中、nは約19)が挙げられ、ここで、数字(例えば、400)は、2つのメタクリレート基を除いた、該分子のグリコール部分の平均分子量を表し、グラム/モル(すなわち、400g/モル)として表される。特に望ましいPEG DMAはPEG400DMAである。
【0084】
またエトキシル化ヒドロキシ化合物(又は、用いられ得るエトキシル化脂肪アルコール)のうち、以下の構造に含まれるものから適切なものを選択してもよい:
【0085】
【化11】
(式中、Cは、直鎖又は分枝のアルキル又はアルケニル鎖であることができ、mは、1~30、例えば5~20の整数であり、nは、2~30、例えば5~15の整数であり、そしてRは、H、又はアルキル、例えばC1-6アルキルであってよい)
【0086】
上記の構造に含まれる市販の材料の例としては、BASF SE,Ludwigshafen,GermanyからDEHYDOL(登録商標)の商品名で提供されているものが挙げられる。
【0087】
使用される場合、上記の構造に包含される促進剤は、約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で組成物中に含まれるべきであり、約0.1重量%~約0.5重量%の範囲内が望ましく、全組成物の約0.4重量%が特に望ましい。
【0088】
また安定剤パッケージも、シアノアクリレート組成物中に通常見出される。安定剤パッケージは、1又は複数のフリーラジカル安定剤及びアニオン性安定剤を含み得、その種類及び量の各々は当業者によく知られている。例えば、米国特許第5,530,037号及び第6,607,632号(これらの各々の開示は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0089】
一般的に使用されるフリーラジカル安定剤としてはハイドロキノンが挙げられ、一方、一般的に使用されるアニオン性安定剤としては、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素-エーテラート、三酸化硫黄(及びその加水分解生成物)、二酸化硫黄、及びメタンスルホン酸が挙げられる。
【0090】
追加の物理的特性を付与するために他の添加剤を含めてもよく、例えば改善された耐衝撃性(例えば、クエン酸)、濃度(例えば、ポリメチルメタクリレート)、チキソトロピー(例えば、ヒュームドシリカ)、及び色などである。
【0091】
これらの他の添加剤は、本発明の組成物において、当然ながら添加剤の種類に応じて、個々に、約0.05~約20重量%、例えば約1~15重量%、望ましくは5~10重量%の量で使用され得る。例えば、そしてより具体的には、クエン酸を本発明の組成物中5~500ppm、望ましくは10~100ppmの量で使用してもよい。
【実施例
【0092】
本発明に係る代表的な組成物の成分を表1に規定する。
【0093】
【表1】
【0094】
柔軟性CA成分は、エチル-2-シアノアクリレート、(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤、並びに安定剤を含む。使用されるゴム強化剤は、本明細書に記載されているもののいずれでもよいが、この例では、VAMAC(登録商標)VCS 5500の商品名で提供されているものである。ここで使用される安定剤は、メタンスルホン酸とSOとの組み合わせである。柔軟性CA組成物の総重量を基準として、エチル-2-シアノアクリレートは80重量%超で存在し、ゴム強化剤は6重量%で存在する。表1の組成物において、第1パート(パートA)と第2パート(パートB)との比率は10:1であるが、他の比率も使用することができる。
【0095】
所与のシアノアクリレート組成物を第1の重ねせん断(lap shear)基材(25.4mm×101.6mm×1.6mm)の末端領域に塗布し、同じサイズの第2の基材を、前記組成物を前記第1及び第2の基材の間に挟んで、塗布領域で、第1の基材と対にする。対にした基材の間でシアノアクリレート組成物から接着接合を形成するのに十分な時間にわたって基材を対合させる。基材のオーバーラップ領域は0.5平方インチ、すなわち322.6mmである。対合させた基材を、室温で1週間硬化させた後に、特定条件下で接合の引張強度性能を試験する。
【0096】
重ねせん断試験片を使用して接着剤のせん断強度の測定のために、ASTM D 1002に従って引張強度を測定した。
【0097】
表1の組成物1及び2の引張強度を、GBMS上で、様々な温度で3週間及び6週間老化させた後評価した。組成物1及び2の引張強度を、Loctite(登録商標)3090[パートA:エチル-2-シアノアクリレート(>80重量%)及びパートB:活性化剤]の引張強度と比較した。
【0098】
Loctite(登録商標)3090は、プラスチック、ゴム、及び金属を含めた様々な基材に対する優れた接合特性を有する、2成分系、速硬化型の、ギャップ充填用接着剤である。Loctite(登録商標)3090は、様々な又は不定形の接合ギャップ(最大5mm)を有する部品のアセンブリ用に、あるいは過剰な接着剤の完全硬化が必要な用途用に設計されている。ゲルの稠度により垂直面においても接着剤の流動が防止される。Loctite 3090は、木材、紙、皮革、及び布地など、多孔質材料の接合にも好適である。
【0099】
【表2】
【0100】
エチル-2-シアノアクリレート組成物の熱老化及び湿潤老化性能を表2に示す。組成物1及び2は、100℃及び120℃の各々で3週間及び6週間老化させた場合、引張強度性能の向上を示した。
【0101】
各組成物の引張強度は、GBMS基材上で、40℃、相対湿度98%で、3週間及び6週間の熱老化後に測定した。組成物1及び2は、湿潤条件での老化後に優れた熱的性能を示した。
【0102】
シアノアクリレート成分における、ゴム強化剤、ベンゾニトリル成分、無水物成分、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分、及び2-置換ベンゾチアゾール成分の組み合わせは、本発明の組成物に、従来技術のシアノアクリレート組成物に比べて、優れた熱老化引張強度性能及び向上した湿潤老化性能をもたらす。
【0103】
比較目的で、様々な成分の組み合わせの添加剤を2パートシアノアクリレート組成物において評価した。様々な添加剤を含む2液型組成物を、表3に規定したように調製した。表3の組成物において、第1パートと第2パートとの比率は10:1である。
【0104】
【表3】
【0105】
柔軟性CA成分は、エチル-2-シアノアクリレート、(i)エチレン、メチルアクリレート、及びカルボン酸硬化部位を有するモノマーの組み合わせの反応生成物、(ii)エチレンとメチルアクリレートとのジポリマー、又は(i)と(ii)との組み合わせで構成されるゴム強化剤、並びに安定剤を含む。使用したゴム強化剤は、VAMAC(登録商標)VCS 5500の商品名で提供されているものである。ここで使用した安定剤は、メタンスルホン酸とSOとの組み合わせである。柔軟性CA組成物の総重量を基準として、エチル-2-シアノアクリレートは80重量%超で存在し、ゴム強化剤は6重量%で存在する。
【0106】
【表4】
【0107】
ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びポリメチルメタクリレート((Perspex)、PX PMMA)基材に対する組成物3~8及びLOCTITE(登録商標)3090の引張強度性能を測定した(表4参照)。さらに、GBMSに対する組成物3~8及びLOCTITE(登録商標)3090の引張強度性能を、室温並びに100℃及び120℃の各々で3週間の熱老化後に評価した(図2参照)。組成物3~8の各々は、室温で3週間の老化後、GBMSに対する引張強度性能の向上を示した。組成物6~8は、100℃及び120℃の各々で3週間の老化後、GBMSに対する引張強度性能の改善を示した。前記組成物はまた、湿潤条件で3週間の熱老化後の引張強度性能の改善を示した。しかしながら、比較組成物の各々の性能を組成物1及び2の引張強度性能と比較すると、本発明の組成物の効果の向上は明らかである。少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分の存在は、ベンゾチアゾール成分、無水物成分、及びゴム強化剤と協働して、本発明のシアノアクリレート組成物の熱的性能の予期せぬ向上をもたらす。表4及び図2から分かるように、テトラフルオロイソフタロニトリル(TFIPN)が特に好ましい添加剤である。
【0108】
また、組成物6~8及びLOCTITE(登録商標)3090の引張強度性能を、軟鋼(MS)及びアルミニウム(Al)基材上で、室温で6週間の老化後に評価した(図3参照)。組成物6~8は、MS基材及びAl基材の両方について、室温で6週間の老化後、優れた引張強度を示した。
【0109】
表3の組成物の活性剤成分は、グリセロールトリアセテート及び5-クロロ-2-メチルベンゾチアゾールを含む。表3の組成物は、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分を含まない。表3の組成物を表1及び2の組成物1及び2と比較すると、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分の存在が、本発明の組成物の熱的性能を顕著に高めることが見て取れる。驚くべきことに、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分(すなわち、ヘキサンジオールジアクリレート)が2パート組成物の第2パートに存在した場合、前記成分を2パート組成物の第1パートに入れた場合よりも、熱老化性能がさらにもっと向上した。ヘキサンジオールジアクリレート及びヘキサンジオールジメタクリレートは、少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む成分として特に好ましいものである。
【0110】
本発明の組成物はまた、従来技術の組成物と比較すると、柔軟性及び靭性の向上も示した。
【0111】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「含む(comprises/comprising)」という用語、及び「有する/含む(having/including)」という用語は、記載した特徴、整数、工程、又は成分の存在を特定するために使用されるが、1又は複数の他の特徴、整数、工程、成分、又はそれらの群の存在又は付加を除外するものではない。
図1
図2
図3