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特許7019624回転テーブルの特性を監視するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】回転テーブルの特性を監視するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23C 1/14 20060101AFI20220207BHJP
   B23Q 1/01 20060101ALI20220207BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220207BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B23C1/14 ZIT
B23Q1/01 T
B23Q17/00 A
G05B19/418 Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019073005
(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公開番号】P2019181691
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】1805668.9
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519125782
【氏名又は名称】ニッケン・コウサクショ・ヨーロッパ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ローワン・ロバート・イースター-ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・レイ
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-274947(JP,A)
【文献】特開2004-348350(JP,A)
【文献】特開平06-190693(JP,A)
【文献】特表2013-546079(JP,A)
【文献】特開昭63-139640(JP,A)
【文献】米国特許第04822217(US,A)
【文献】特開平01-092053(JP,A)
【文献】特開平06-179152(JP,A)
【文献】特開2008-097363(JP,A)
【文献】特開2014-048774(JP,A)
【文献】特開平11-058181(JP,A)
【文献】特開2000-227805(JP,A)
【文献】特開2010-125544(JP,A)
【文献】特開2010-280034(JP,A)
【文献】中国実用新案第204094480(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/14
B23Q 1/00-1/76
B23Q 5/00-5/58
B23Q 15/00-15/28
B23Q 16/00-16/12
B23Q 17/00-23/00
G05B 19/18-19/416
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライス盤のための回転テーブルであって、前記回転テーブルの2つの相手部品間のクリアランスを測定及び/又は算出するように構成された検知手段と、前記測定/算出されたクリアランスを中央処理装置に送信するように構成された送信手段とを備え、ここにおいて、前記回転テーブルの前記相手部品は、ウォームねじ及びウォームホイールであり、
前記検知手段は、電力線を通って前記回転テーブルのサーボモータに至る電流フローを測定するように構成された電流センサを備え、
前記検知手段は、前記回転テーブルのフェースプレートに取り付けられたスイッチを更に備える、回転テーブル。
【請求項2】
フライス盤のための回転テーブルであって、前記回転テーブルの2つの相手部品間のクリアランスを測定及び/又は算出するように構成された検知手段と、前記測定/算出されたクリアランスを中央処理装置に送信するように構成された送信手段とを備え、ここにおいて、前記回転テーブルの前記相手部品は、ウォームねじ及びウォームホイールであり、
前記検知手段は、前記回転テーブルのサーボモータの位置を測定するように構成されたエンコーダと、前記回転テーブルのフェースプレートに取り付けられたスイッチとを備える、回転テーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転テーブル及びフライス盤を備えるフライス加工ステーション。
【請求項4】
請求項に記載のフライス加工ステーションを2つ以上備える工業作業現場構成。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の少なくとも1つの回転テーブルと、前記少なくとも1つの回転テーブルから送信されたデータを受信及び処理するための中央プロセッサとを備える、回転テーブルの特性を監視するシステム。
【請求項6】
前記回転テーブルの前記監視された特性はバックラッシュである、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記中央プロセッサはコンピュータである、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの回転テーブルのうちの1つと同じ敷地にローカルサーバを更に備え、前記ローカルサーバは、前記中央プロセッサに接続されている、請求項5乃至7のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ローカルサーバは、オフサイトロケーションからデータ及び情報を送信及び受信するように構成された送信手段及び受信手段を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ローカルサーバは、ユーザインターフェース手段を備える、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ローカルサーバと同じ敷地に位置している前記少なくとも1つの回転テーブルのうちの1つ又は複数がワイヤード又はワイヤレスの送信手段を介して前記ローカルサーバに接続されている、請求項8乃至10のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ローカルサーバと同じ敷地に位置している各回転テーブルは、ワイヤード又はワイヤレスの送信手段を介して前記ローカルサーバに接続されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ローカルサーバとは異なる敷地に位置しているマスタサーバを更に備える、請求項8乃至10のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記マスタサーバは、ユーザインターフェース手段を備える、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、回転テーブルの1つ又は複数の特性を監視するための、特に回転テーブルのバックラッシュ状態を監視するための、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]製造技術におけるデータ交換及び自動化の利用可能性の増加について、多くの産業分野ではニーズが高まっている。
【0003】
[0003]いくつかの産業分野では、理想的な状況は、いわゆる「スマートファクトリ」の作成であり、ここでは、このファクトリは、モジュール式構造で配置されており、サイバーフィジカルシステムは、物理プロセスを監視し、自然界の仮想コピーを作成し、分散的決定を行うために使用される。
【0004】
[0004]モノのインターネットを通じてサイバーフィジカルシステムがリアルタイムで互いと及び人間と通信及び協力すること、並びに、サービスのインターネットを介して内部サービス及び組織をまたがるサービスの両方がバリューチェーンの参加者によって提供及び使用されることは想像される。
【0005】
[0005]回転テーブルは一般に、それによりオペレータが固定軸の周りを正確な間隔でドリル加工又は切断加工することが可能になるため、精密加工測位デバイスとしてのフライス盤、特にコンピュータ数値制御(CNC)フライス盤、と共に使用される。
【0006】
[0006]CNCフライス加工ステーション(CNC milling station)の様々な構成要素(典型的なCNCフライス加工ステーションは、フライス盤、回転テーブル、工具交換装置、等の構成要素を組み込んでいる)のいくつかの特性、例えばフライス盤の平均的な1週間の機械加工時間、は、かなり端的で、測定又は取得し易いが、回転テーブルの特定の特性に関するデータを測定し、集めることはより困難である。
【0007】
[0007]従って、スマートファクトリの一部としてであってもそうでなくてもCNCフライス加工ステーションの働きを改善するために使用されることができる回転テーブルの特性を監視するためのシステム及び方法が必要である。
【0008】
[0008]回転テーブルを使用して実行されるタスクの一定の品質及び/又は基準(standard)を維持するためにバックラッシュが容易に監視及び測定されることができる回転テーブルも必要である。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明の第1の態様によれば、フライス盤のための回転テーブルが提供されており、上記回転テーブルは、上記回転テーブルの2つの相手部品間のクリアランスを測定及び/又は算出するように構成された検知手段と、上記測定/算出されたクリアランスを中央処理装置に送信するように構成された送信手段とを備え、ここにおいて、上記回転テーブルの上記相手部品は、ウォームねじ及びウォームホイールである。
【0010】
[0010]検知手段及び送信手段は、回転テーブルの状態監視を可能にする。
【0011】
[0011]例示的な実施形態では、上記検知手段は、回転テーブルの上記ウォームねじに結合された第1のエンコーダと、回転テーブルの上記ウォームホイールに結合された第2のエンコーダとを備える。
【0012】
[0012]これらのエンコーダは、ウォームねじ及びウォームホイールの位置が容易に決定されることを可能にし、これにより、これら2つの部品間の相対位置が測定又は算出され、回転テーブルのバックラッシュを決定することができる。
【0013】
[0013]他の例示的な実施形態では、上記検知手段は、電力線を通って回転テーブルのサーボモータに至る電流フローを測定するように構成された電流センサを備える。上記検知手段は、回転テーブルのフェースプレートに取り付けられたスイッチを更に備え得る。
【0014】
[0014]更に他の例示的な実施形態では、上記検知手段は、回転テーブルのサーボモータの位置を測定するように構成されたエンコーダと、回転テーブルのフェースプレートに取り付けられたスイッチとを備える。
【0015】
[0015]第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係る回転テーブル及びフライス盤を備えるフライス加工ステーションが提供されている。
【0016】
[0016]第3の態様によれば、本発明の第2の態様に係るフライス加工ステーションを2つ以上備える工業作業現場構成が提供されている。
【0017】
[0017]第4の態様によれば、第1の態様に係る少なくとも1つの回転テーブルと、上記少なくとも1つの回転テーブルから送信されたデータを受信及び処理するための中央プロセッサとを備える、回転テーブルの特性を監視するシステムが提供されている。
【0018】
[0018]第4の態様に係るシステムは、サイバーフィジカルシステム、ビッグデータアナリティクス及びクラウドコンピューティングのような現代の情報及び通信技術から利益を享受する。第4の態様に係るシステムは、欠陥及び生産不良の早期発見を助け、よって、それらの防止を可能にし、重要な競合価値を有する生産性、品質、及び俊敏性の利益を増大させる。
【0019】
[0019]加えて、第4の態様に係るシステムは、現場での(in situ)回転テーブルの仕組み及び機械加工プロセスのいくつかの異なる態様に関する情報を集めることを可能にする。
【0020】
[0020]好ましくは、システムは、第1の態様に係る複数の回転テーブルを備え、中央プロセッサは、上記複数の回転テーブルの各々から送信されたデータを受信及び処理するように構成される。
【0021】
[0021]好ましくは、システムは、上記少なくとも1つの回転テーブル又は複数の回転テーブルのバックラッシュを監視するように構成される。
【0022】
[0022]好ましくは、上記中央プロセッサは、コンピュータである。
【0023】
[0023]好ましくは、システムは、上記少なくとも1つの回転テーブルのうちの1つと同じ敷地にローカルサーバを更に備え、上記ローカルサーバは、上記中央プロセッサに接続されている。
【0024】
[0024]好ましくは、上記ローカルサーバは、オフサイトロケーションからデータ及び情報を送信及び受信するように構成された送信手段及び受信手段を備える。
【0025】
[0025]好都合に、上記ローカルサーバは、ユーザインターフェース手段を備える。
【0026】
[0026]ローカルサーバを備える例示的な実施形態では、好ましくは、ローカルサーバと同じ敷地に位置している上記少なくとも1つの回転テーブルのうちの1つ又は複数がワイヤード又はワイヤレスの送信手段を介してローカルサーバに接続されている。好ましくは、ローカルサーバと同じ敷地に位置している各回転テーブルは、ワイヤード又はワイヤレスの送信手段を介してローカルサーバに接続されている。
【0027】
[0027]システムは、ローカルサーバに加えてマスタサーバを更に備え得る。好ましくは、マスタサーバは、上記ローカルサーバのうちの少なくとも1つとは異なる敷地に位置している。
【0028】
[0028]好ましくは、マスタサーバは、ユーザインターフェース手段を備える。
【0029】
[0029]他の態様は、ここにおける特許請求の範囲に示されている通りである。
【0030】
[0030]本発明のより良い理解のために及び同じものがどのようにして実行され得るかを示すために、添付の図面を参照して、本発明に係る特定の実施形態、方法、及びプロセスが、例としてのみ説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明で使用するための回転テーブルの略図である。
図2図2は、本発明で使用するための回転テーブルの分解図である。
図3図3は、本発明のバックラッシュ監視システムの第1の実施形態を組み込んでいる、本発明に係る回転テーブルの実施形態である。
図4図4は、本発明のバックラッシュ監視システムの第2の実施形態の一部を形成する検知手段の略図である。
図5図5は、本発明のバックラッシュ監視システムの第2の実施形態を組み込んでいる回転テーブルのサーボモータ位相の電流分布を示すグラフである。
図6図6は、本発明のバックラッシュ監視システムの第2の実施形態を使用した、フェースプレートの反転にかかる平均時間とバックラッシュ値との相関を示すグラフである。
図7図7は、本発明の第3の実施形態に係るバックラッシュ監視システムを組み込んでいる回転テーブル上のスイッチ及びフェースプレートの配置の略図である。
図8図8は、本発明の第3の実施形態に係るバックラッシュ監視システムを組み込んでいる回転テーブルの回転テーブル駆動列及びエンコーダの配置の略図である。
図9図9は、本発明の第3の実施形態に係るバックラッシュ監視システムの一部を形成するエンコーダのための例示的な回路配置である。
図10図10は、本発明に係る回転テーブル及びフライス盤を組み込んでいるフライス加工ステーションの部分図である。
図11図11は、図10に係るフライス加工ステーションを2つ以上の組み込んでいるスマートファクトリの略図である。
図12図12は、本発明に係る監視システムを使用した複数のファクトリからのデータの照合の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0031]例として、本願の発明者が予期する特定のモードが説明されるであろう。以下の説明では、数多くの特定の詳細が、完全な理解を与えるために示される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細に限定されることなく実施され得ることは、当業者には明らかになるであろう。他の事例では、本説明を不必要にあいまいにしないために、周知の方法及び構造は、詳細には説明されていない。
【0033】
[0032]図1及び2を参照すると、本発明のバックラッシュ監視システムで使用するための回転テーブル10,10aの実施形態が示されている。図2の回転テーブルは、分解図で示されている。本発明のバックラッシュ監視システムの適用が図1及び2に描写されている回転テーブル構成に限定されないことは、当業者によって理解されるであろう。
【0034】
[0033]回転テーブルは、各々、本体12と、フェースプレート14と、このフェースプレート14が取り付けられているウォームホイール16と、このウォームホイール16と機械係合しているウォームねじ18とを備える。上述した構成要素の配置及びそれら間の関係性は、当技術分野において既知であり、そのため、より詳細には説明されないであろう。
【0035】
[0034]示される実施形態では、フェースプレート14は、モノブロックフェースプレートである。
【0036】
[0035]ウォームホイール16、ウォームねじ18、及び本体12は、任意の適切な材料から作られ得る。例えば、ウォームホイール16は特殊硬化イオン窒化鋼から、ウォームねじ18は炭化物材料から、そして本体は高密度ねずみ鋳鉄から構成され得る。
【0037】
[0036]回転テーブル10,10aは、当技術分野で知られているように軸方向荷重及び半径方向荷重を支持するように構成された本体12に組み込まれているフェイス&ラジアルローラーベアリングシステム20を含み、これは、Teflon(登録商標)シーリングを組み込み得る。
【0038】
[0037]フェースプレート14は、中央孔22と複数のTスロット24とを含む。他の構成では、Tスロットがフェースプレート14から省かされ得ることは理解されるであろう。
【0039】
[0038]回転テーブルのバックラッシュを監視するための本発明に係るシステムは、上記回転テーブルの2つの相手部品間のクリアランスを測定する及び/又はそれの算出を容易にするように構成された検知手段を組み込んでいる。システムはまた、上記測定されたクリアランス又はクリアランスの算出を容易にするために取得されたデータを、中央処理装置に送信するように構成された送信手段を含む。
【0040】
[0039]図3を参照すると、図2の回転テーブルに結合されている、本発明に係るシステムの一部を形成する検知手段の第1の実施形態が示されている。
【0041】
[0040]示される実施形態では、検知手段は、ロータリエンコーダのような、一対のエンコーダ30,32の形である。上記一対のエンコーダのうちの一方30は、回転テーブル10aのウォームホイール16に取り付けられおり、上記一対のエンコーダのうちの他方32は、回転テーブル10aのウォームねじ18に取り付けられている。
【0042】
[0041]エンコーダ30,32は、それらが取り付けられているそれぞれの構成要素に関するデータ、特にそれら2つのそれぞれの位置、を集めるように構成される。
【0043】
[0042]ウォームねじ18及びウォームホイール16の位置間の差分は、回転テーブル10aのバックラッシュを決定するために使用される。これは、ウォームねじ18とウォームホイール16との間のクリアランスを算出することで達成される。
【0044】
[0043]図4を参照して、ここから、本発明に係るシステムの一部を形成する検知手段の第2の実施形態が説明されるであろう。
【0045】
[0044]検知手段は、電力線を通って回転テーブルのサーボモータに至る電流フローを測定するように構成された低コスト電流フローセンサ(図示せず)を組み込んでいる。低コスト電流フロー線は、サーボモータの位置が決定されることを可能にする。
【0046】
[0045]検知手段はまた、フェースプレート14上に配置されたスイッチ34を組み込んでいる。スイッチ34は、フェースプレート14の位置を決定するために使用される。
【0047】
[0046]フェースプレート14及びサーボモータの位置間の比較は、この駆動列に沿った全バックラッシュを算出するために使用される。
【0048】
[0047]本発明に係る検知システムの第2の実施形態を使用して回転テーブルのバックラッシュを決定するための方法の例が説明されるであろう。
【0049】
[0048]第1に、3相サーボモータの位置を測定するために、このサーボモータの単相を通る電流フローが電流フローセンサを使用して高い周波数(例えば4000Hz)で最初に測定される。
【0050】
[0049]スイッチ34は、例えば電気機械スイッチであり得、フェースプレート14の特定の回転でアクティブ化されるように構成される。スイッチ34は、フェースプレート14の位置を記録する(note)ために使用される。
【0051】
[0050]次いで、フェースプレート14の完全な又は部分的な回転サイクルが実行される。
【0052】
[0051]これは、最初に回転テーブルのフェースプレート14を、反時計回り(ccw)の方向に所定の度数、例えば20度、回転させることでなされる。所定の度数は、スイッチ34がこの経路に沿ったあるポイント35で開かれるように、回転テーブルのフェースプレート14が進む距離がスイッチ34のアクティブ化/非アクティブ化ポイント付近であるようなものである。
【0053】
[0052]スイッチの開放35から回転テーブルの回転の停止36までの距離には第1の値xが与えられる。
【0054】
[0053]次いで、回転テーブルのフェースプレート14が、同じRPMでかつ同じ回転角度、このケースでは時計周りに20度、反対方向に動かされる。スイッチ34は、この逆回転に沿ったあるポイントで閉じるであろう。
【0055】
[0054]回転テーブルの逆回転の開始37とスイッチの閉塞38との間のポイントには第2の値yが与えられる。
【0056】
[0055]yは、x+バックラッシュ値に等しく、そのため、バックラッシュは、yからxを差し引くことで算出することができる。
【0057】
[0056]ccw及びcw回転中の回転テーブルのサーボモータ位相の電流分布を示すグラフが図5に示されている。
【0058】
[0057]出願人は、本発明に係る検知システムの第2の実施形態によって取得された測定値と、テストに使用された回転テーブルの実際のバックラッシュとの間に明確な線形相関があることを見いだした。
【0059】
[0058]バックラッシュ値と、例示的な回転テーブルのための反転にかかる平均時間との相関が図6に示されている。
【0060】
[0059]上で説明した方法の利点は、第2の実施形態に係る、回転テーブルのバックラッシュを監視するためのシステムが、完全に後付け可能(retro-fittable)であり、回転テーブルの電気接続への最小限の干渉を必要とすることである。
【0061】
[0060]図7及び8を参照して、本発明に係るシステムの一部を形成する検知手段の第3の実施形態が説明されるであろう。
【0062】
[0061]第3の実施形態では、検知手段は、フェースプレート14に配置されているスイッチ44を組み込んでいる。スイッチ44は、第2の実施形態のスイッチ34と類似した方法で、フェースプレート14の位置の決定を可能にするように構成される。
【0063】
[0062]システムは、サーボモータ40の位置を測定するために回転テーブルに不可欠なサーボエンコーダ42を更に利用する。
【0064】
[0063]スイッチ及びフェースプレートの配置は、図7に描写されており、回転テーブル駆動列及びエンコーダの配置は、図8に示されている。
【0065】
[0064]スイッチ44を介して取得されるフェースプレートの位置を、サーボエンコーダ42を介して取得されるサーボモータ40の位置と比較することでバックラッシュが算出される。前述したように、これら2つの位置間の差異が回転テーブルのバックラッシュである。
【0066】
[0065]図8は、ウォームねじ18に直接接続されたサーボモータ40を概略的に示しているが、いくつかの回転テーブル構成では、追加のギアがサーボモータ40とウォームねじ18との間に存在し得ることは理解されるであろう。このような構成では、これらのギアにおけるバックラッシュもまた、第3の実施形態に係る検知システムを使用して測定されるであろう。
【0067】
[0066]当業者によって理解されることとなるように、システムをインプリメントする際に使用されるエンコーダのタイプは、回転テーブルが適合する機械のタイプと互換性があるように選ばれるであろう。
【0068】
[0067]本発明の第3の実施形態に係るバックラッシュ監視システムの一部を形成する例示的なエンコーダ及び回路の配置が図9に示されている。
【0069】
[0068]テストケースでは、エンコーダは、1回転あたり8192パルスという分解能で構成され、これは、200mmの直径のフェースプレートの回転テーブルでのバックラッシュをミクロン以下の精度で測定することを可能にする。これは、2ミクロンまで正確であり、かつ、現場でエンジニアを必要とする、バックラッシュを測定するために当技術分野において使用される現在の方法より正確である。
【0070】
[0069]サーボエンコーダ通信プロトコルは、エンコーダごとに異なるであろう。テストケースのエンコーダについて、差動シリアルプロトコルが使用される。
【0071】
[0070]エンコーダデータは、図9に示されるようにサーボパック(登録商標)46上のデータバス47又はエンコーダ42上のデータバス48のうちの1つから読み取られる。エンコーダデータは、マイクロコントローラ(図示せず)によって読み取られる前に、何らかの信号処理回路を通過させられ得る。電気機械スイッチ信号も、マイクロコントローラによって読み取られる。読み取られた信号は、ソフトウェアプログラム、例えばファームウェア、によって復号されることとなり、ここで、上記復号された信号は、バックラッシュを算出するために使用される。
【0072】
[0071]データは、追加で、処理のためにサーバに送信され得る。
【0073】
[0072]図10を参照すると、本発明に係る、フライス盤52及び回転テーブル10,10aを組み込んでいるフライス加工ステーション50の部分図が示される。
【0074】
[0073]送信手段がバックラッシュを算出するための上記測定されたクリアランス又は測定されたデータを送信するように構成される中央処理装置は、フライス加工ステーション50の一部を形成するユーザインターフェースユニットの一部であり得る。代替的に、それは、フライス加工ステーション50に遠隔接続されているコンピュータ又はワークステーションの一部であり得る。
【0075】
[0074]分析及び照会されることに加えて受信されたデータは、回転テーブルの性能の長期傾向分析を実行するために使用され得る。
【0076】
[0075]図11は、本発明に係る回転テーブル及びバックラッシュ監視システムを組み込んでいるフライス加工ステーションA,B,C,Dを2つ以上組み込んでいるスマートファクトリ60の略図を示す。
【0077】
[0076]スマートファクトリ60は、フライス加工ステーションA,B,C,Dの各々の回転テーブルのバックラッシュに関して集められた全てのデータが送られる中央コンピュータ62を含む。
【0078】
[0077]示される実施形態では、中央コンピュータ62は、作業現場とは異なるロケーションに位置しているが、中央コンピュータ62が作業現場に位置している可能性があることは理解されるであろう。
【0079】
[0078]中央コンピュータ62は、好ましくは、それぞれのフライス加工ステーションからのデータがファクトリの労働者によって容易に閲覧及び分析されることができるように、モニタ又は同様のユーザインターフェースに接続されている。
【0080】
[0079]これは、ファクトリの労働者が、所与のフライス盤についてのバックラッシュ値の変化に気づくことを可能にし、回転テーブルのバックラッシュが臨界値に近づいた場合には、労働者が積極的な行動を起こすことを可能にする。臨界値は一般に、完成した被加工物が、その設計されたエンジニアリング許容差を満たさないという結果をもたらすものであろう。
【0081】
[0080]回転テーブル上でのバックラッシュの変化による結果として得られる効果が、初期に設計されたプロジェクトに対してはもはや好適ではないが、異なるプロジェクトについての被加工物の品質/基準に影響を及ぼすこととならない場合、それぞれの機械についてのバックラッシュの監視は、異なるプロジェクトにフライス加工ステーションを労働者が再び割り当てることを可能にする。
【0082】
[0081]図12は、傾向分析を容易にし、フライス加工ステーションのダウンタイム及び/又は必須製造基準を満たさない部品の生産を最小化するための、データの照合及びその使用の略図を示す。
【0083】
[0082]各スマートファクトリの中央コンピュータからのデータは、分析のためにデータベース70に送られる。データベースは、クラウドサーバ上に又は物理ロケーションにあり得る。図12では、クラウドサーバに位置しているデータベースが示されており、4つのスマートファクトリ(i),(ii),(iii),(iv)だけが示されている。
【0084】
[0083]回転テーブルの傾向分析を改善するために、それぞれのファクトリからの照会データが使用される。
【0085】
[0084]相手先商標製品の製造会社OEMも、このデータベースへのアクセスを有する。
【0086】
[0085]回転テーブルのバックラッシュの変化の結果としてこのテーブルによる性能の低下により、フライス加工ステーションによって生成されている製品の品質の劣化が近い将来に発生するであろうことを傾向分析が示す場合、この劣化が発生すると推定されるまでに残されている稼働時間数を示す上記情報が、関連するファクトリに伝えられる。
【0087】
[0086]交換部品の配送の手配をする手配をするために、メッセージも同時に予備パーツ販売業者又は回転テーブル製造業者に送られることができる。
【0088】
[0087]これは、フライス加工ステーションのダウンタイムを最小化し、回転テーブルのバックラッシュの変化により基準以下の被加工物が生成される可能性を低減するであろう。
【0089】
[0088]本発明に係る回転テーブルのバックラッシュを監視するためのシステムは、単一スピンドル回転テーブルを参照して説明されているが、マルチスピンドル回転テーブル構成での使用に容易に適応することができることは理解されるであろう。

ここに、出願当初の特許請求の範囲の記載事項を付記する。
[1] フライス盤のための回転テーブルであって、前記回転テーブルの2つの相手部品間のクリアランスを測定及び/又は算出するように構成された検知手段と、前記測定/算出されたクリアランスを中央処理装置に送信するように構成された送信手段とを備え、ここにおいて、前記回転テーブルの前記相手部品は、ウォームねじ及びウォームホイールである、回転テーブル。
[2] 前記検知手段は、前記回転テーブルの前記ウォームねじに結合された第1のエンコーダと、前記回転テーブルの前記ウォームホイールに結合された第2のエンコーダとを備える、[1]に記載の回転テーブル。
[3] 前記検知手段は、電力線を通って前記回転テーブルのサーボモータに至る電流フローを測定するように構成された電流センサを備える、[1]に記載の回転テーブル。
[4] 前記検知手段は、前記回転テーブルのフェースプレートに取り付けられたスイッチを更に備える、[3]に記載の回転テーブル。
[5] 前記検知手段は、前記回転テーブルのサーボモータの位置を測定するように構成されたエンコーダと、前記回転テーブルのフェースプレートに取り付けられたスイッチとを備える、[1]に記載の回転テーブル。
[6] [1]乃至[5]のうちのいずれか一項に記載の回転テーブル及びフライス盤を備えるフライス加工ステーション。
[7] [6]に記載のフライス加工ステーションを2つ以上備える工業作業現場構成。
[8] [1]乃至[5]のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの回転テーブルと、前記少なくとも1つの回転テーブルから送信されたデータを受信及び処理するための中央プロセッサとを備える、回転テーブルの特性を監視するシステム。
[9] 前記回転テーブルの前記監視された特性はバックラッシュである、[8]に記載のシステム。
[10] 前記中央プロセッサはコンピュータである、[8]又は[9]に記載のシステム。
[11] 前記少なくとも1つの回転テーブルのうちの1つと同じ敷地にローカルサーバを更に備え、前記ローカルサーバは、前記中央プロセッサに接続されている、[8]乃至[10]のうちのいずれか一項に記載のシステム。
[12] 前記ローカルサーバは、オフサイトロケーションからデータ及び情報を送信及び受信するように構成された送信手段及び受信手段を備える、[11]に記載のシステム。
[13] 前記ローカルサーバは、ユーザインターフェース手段を備える、[11]又は[12]に記載のシステム。
[14] 前記ローカルサーバと同じ敷地に位置している前記少なくとも1つの回転テーブルのうちの1つ又は複数がワイヤード又はワイヤレスの送信手段を介して前記ローカルサーバに接続されている、[11]若しくは[11]に直接的又は間接的に従属するいずれかの請求項に記載のシステム。
[15] 前記ローカルサーバと同じ敷地に位置している各回転テーブルは、ワイヤード又はワイヤレスの送信手段を介して前記ローカルサーバに接続されている、[14]に記載のシステム。
[16] 前記ローカルサーバとは異なる敷地に位置しているマスタサーバを更に備える、[11]若しくは[11]に直接的又は間接的に従属するいずれかの請求項に記載のシステム。
[17] 前記マスタサーバは、ユーザインターフェース手段を備える、[16]に記載のシステム。
図1
図2
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図10
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図12