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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】電子式吸入装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20220207BHJP
【FI】
A24F40/40
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019112583
(22)【出願日】2019-06-18
(62)【分割の表示】P 2017153826の分割
【原出願日】2013-10-09
(65)【公開番号】P2019187428
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】1218817.3
(32)【優先日】2012-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ロード、クリストファー
【審査官】山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-022752(JP,A)
【文献】特開2006-338178(JP,A)
【文献】特開2006-018057(JP,A)
【文献】特表2006-507499(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0048266(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0284192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池およびコンピュータを備える電子式吸入装置であって、前記コンピュータはコンピュータ演算装置、記憶装置、および入出力手段を備え、前記コンピュータは、使用時に利用者がメニューモードを起動すると、前記メニューモードに入るように構成されており、前記コンピュータは、利用者の前記電子式吸入装置の使用に関連する使用データを前記コンピュータ記憶装置に保存するように構成されており、前記電子式吸入装置は電子式喫煙装置であり、前記メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって、前記使用データが前記コンピュータ記憶装置から消去される、及び/または、選択されたメニュー選択肢によって、前記使用データの伝達が起動される電子式吸入装置。
【請求項2】
前記電子式吸入装置は利用者の前記電子式吸入装置の使用に関連する使用データをさらに備え、前記使用データは前記コンピュータ記憶装置に保存されていることを特徴とする請求項1に記載の電子式吸入装置。
【請求項3】
前記電子式吸入装置は電子タバコであることを特徴とする請求項1に記載の電子式吸入装置。
【請求項4】
前記コンピュータはマイクロプロセッサであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項5】
前記メニューモードによって、利用者は2つ以上のメニュー選択肢からメニュー選択肢を選択することが可能になることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項6】
前記メニューモードによって、利用者は前記電子式吸入装置の動作パラメータを変更することが可能になることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項7】
前記コンピュータは通常モードを備え、前記通常モードによって利用者は前記電子式吸入装置をその基本機能で使用することができるようになり、前記電子式吸入装置を用いて吸入することができるようになることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項8】
前記メニューモードは、前記電子式吸入装置と相互にやり取りしている利用者によって起動されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項9】
前記メニュー選択肢は、前記電子式吸入装置と相互にやり取りしている利用者によって選択されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項10】
前記メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって前記電子式吸入装置をリセットすることができるようになることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項11】
前記電子式吸入装置は音声信号発生手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項12】
前記メニューモードでは、利用者の前記電子式吸入装置の使用に関連する前記データは前記音声信号発生手段を用いて伝達されることを特徴とする請求項11に記載の電子式吸入装置。
【請求項13】
前記音声信号発生手段は、利用者の前記電子式吸入装置の使用に関連する前記データを変調音声を用いて伝達するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の電子式吸入装置。
【請求項14】
前記電子式吸入装置は、前記メニューモードに入ると、利用者に音声信号で通知するように構成されていることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項15】
前記電子式吸入装置は、前記メニューモードを出ると、利用者に音声信号で通知するように構成されていることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項16】
前記電子式吸入装置は、利用者が複数のメニュー選択肢間を移動すると、前記利用者に音声信号で通知するように構成されていることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項17】
前記電子式吸入装置は、メニュー選択肢が選択されると、利用者に音声信号で通知するように構成されていることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項18】
前記電子式吸入装置は、装置の所定の停止時間を過ぎると前記メニューモードを出るように構成されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【請求項19】
前記メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって前記電子式吸入装置が前記メニューモードを出ることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の電子式吸入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電子タバコを含む電子式喫煙装置などの電子式吸入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコを含む電子式喫煙装置などの電子式吸入装置は紙巻きタバコの大きさでもよく、利用者が吸い口に吸引力を加えて液体貯蔵部からニコチン蒸気を吸入することができるようにすることによって機能してもよい。一部の電子式吸入装置は圧力センサを有しており、利用者が吸引力を加えたときにこの圧力センサが加熱器コイルを起動し、液体を気化させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
電子式吸入装置は電池およびコンピュータを備え、このコンピュータは、コンピュータ演算装置、記憶装置、および入出力手段を備える。コンピュータは、使用時に利用者がメニューモードを起動すると、メニューモードに入るように構成されている。
【0004】
メニューモードを起動することによって、利用者は電子式吸入装置と相互にやり取りすることができ、電子式吸入装置を適切に設定することができる。これは利用者にとって利点であり、利用者は自身の嗜好に合わせた特定の設定をすることができる。
【0005】
好ましくは、電子式吸入装置は電子タバコである。
【0006】
好ましくは、コンピュータはマイクロプロセッサである。
【0007】
好ましくは、メニューモードによって、利用者は2つ以上のメニュー選択肢からメニュー選択肢を選択することができる。
【0008】
好ましくは、メニューモードによって、利用者は本装置の動作パラメータを変更することができる。
【0009】
2つ以上の選択肢があると、動作パラメータの設定および変更に対する利用者の自由度が高くなる。
【0010】
好ましくは、コンピュータは通常モードを備える。この通常モードによって、利用者は本装置をその基本機能で使用し、本吸入装置を用いて吸引することができるようになる。好ましくは、コンピュータは、使用時に利用者がメニューモードを起動すると、通常モードからメニューモードに変わるように構成されている。好ましくは、メニューモードでは、吸入の通常モード機能は一時停止される。
【0011】
通常モードでは、利用者は本電子式吸入装置をその基本的目的に使用することができる。基本的目的とはニコチン置換療法で使用される物質を吸入することである。利用者がメニューモードに入るときにこの通常モードを一時停止することによって、利用者の安全性が向上し、かつ本装置を物質の吸入以外の機能に使用する能力、すなわち、メニューを操作して動作パラメータを変更する能力が高まる。
【0012】
好ましくは、メニューモードは本装置と相互にやり取りする利用者によって起動される。好ましくは、メニュー選択肢は本装置と相互にやり取りする利用者によって選択される
【0013】
好ましくは、本装置はコンピュータに接続された入力装置を備え、メニューモードはこの入力装置を介して起動される。好ましくは、本装置はコンピュータに接続された入力装置を備え、メニュー選択肢はこの入力装置を介して選択される。
【0014】
好ましくは、入力装置はスイッチを備える。好ましくは、入力装置はボタンを備える。
【0015】
コンピュータに接続された入力装置を設けることによって、利用者はコンピュータメニューシステムに容易にアクセスすることができる。
【0016】
好ましくは、入力装置は圧力センサを備える。好ましくは、コンピュータは、使用時に圧力センサが装置の通常モード使用を外れた動作を検出するとメニューモードに入るように構成されている。
【0017】
好ましくは、コンピュータは、圧力センサが本装置への吹き込みを検出するとメニューモードに入るように構成されている。好ましくは、コンピュータは、本装置が吸引されたことを圧力センサが検出するとメニューモードに入るように構成されている。
【0018】
好ましくは、コンピュータは、圧力センサが本装置へ息が一気大量に吹き込まれたことを検出するとメニューモードに入るように構成されている。好ましくは、コンピュータは、本装置が一気大量に吸引されたことを圧力センサが検出するとメニューモードに入るように構成されている。
【0019】
好ましくは、コンピュータは、圧力センサが本装置へ息が2回以上一気大量に吹き込まれたことを検出するとメニューモードに入るように構成されている。好ましくは、コンピュータは、本装置が2回以上一気大量に吸引されたことを圧力センサが検出するとメニューモードに入るように構成されている。
【0020】
圧力センサは、通常モードでは、利用者が本装置を吸引したことを認識して気化器を起動し、吸入のために液体を気化してもよい。したがって、圧力センサを入力装置として用いると、装置に必要な構成要素の数が減るとともに、利用者には、メニューモードに入りメニュー選択肢の選択を制御する手段が提供される。
【0021】
好ましくは、本装置は加熱要素を有する気化器をさらに備える。好ましくは、この気化器は、装置がメニューモードのときは起動しないようになっている。
【0022】
メニューモードでは気化器を無効にするのが有利である。その理由は、そうすることよって利用者の安全性が向上するからである。また、圧力センサをメニューモードの入力装置として用いる場合、気化器を無効にすることによって気化器の予期せぬ起動が防止される。
【0023】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって加熱要素に供給される電流が変わる。好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって加熱要素に供給される電流波形が変わる。
【0024】
好ましくは、メニューモードでは、本装置が圧力センサを備える場合、選択されたメニュー選択肢によって加熱要素が起動される圧力閾値が変わる。
【0025】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって加熱要素に供給
される電力が変わる。
【0026】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって気化パラメータが変わる。
【0027】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって加熱要素起動時間が変わる。
【0028】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって蒸気の増量が可能になり、これによって吸入の開始時の加熱要素への供給電力が増える。
【0029】
好ましくは、加熱要素は加熱コイルである。
【0030】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって本装置の校正が可能になる。好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって、本装置を校正するパラメータの調整が可能になる。好ましくは、この校正は加熱要素に供給される電流を調整することを含む。好ましくは、校正はコイルの気化効果を調整することを含む。
【0031】
好ましくは、本装置は液体貯蔵部に液体をさらに備え、上記校正は加熱要素によって気化される液体の量を調整することを含む。
【0032】
有利なことに、メニューモードによって、本装置の技術的動作に影響するパラメータの制御および変更が可能になる。これによって気化に影響する変数を利用者が変更することが可能になり、そうすることによって利用者に合わせて改良および変更した製品が提供される。
【0033】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって装置のリセットが可能になる。
【0034】
利用者による設定の変更が可能であることから、本装置を出荷時の設定にリセットする手段が提供されるという利点がある。
【0035】
好ましくは、本装置は利用者の本装置の使用に関連する使用データをさらに備え、この使用データはコンピュータ記憶装置に保存される。好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によってコンピュータ記憶装置から使用データが消去される。好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって使用データの伝達が起動される。
【0036】
メニューモードの別の利点は、メニューモードによって本電子式吸入装置の通常使用を外れる機能を制御することができるようになることである。これによって本装置の技術的機能がさらに付加され、利用者にとってより便利な装置が提供される。より便利な装置を提供することは、使用法が良く守られることにつながる可能性がある。
【0037】
好ましくは、本装置は音声信号発生手段をさらに備える。好ましくは、メニューモードでは、利用者の本装置の使用に関連するデータは音声信号発生手段を用いて伝達される。
【0038】
好ましくは、本装置は、本装置がメニューモードに入ると、利用者に音声信号で通知するように構成されている。好ましくは、本装置は、本装置がメニューモードを出ると、利用者に音声信号で通知するように構成されている。好ましくは、本装置は、利用者が複数
のメニュー選択肢間を移動すると、利用者に音声信号で通知するように構成されている。好ましくは、本装置は、メニュー選択肢が選択されると、利用者に音声信号で通知するように構成されている。
【0039】
利用者にメニュー操作を通知するために音声を用いることには利点がある。それは、利用者が識別可能な複数の異なる音声信号を容易に用いることができるということである。すなわち、利用者は、メニューシステムのどこにいるかを本装置に目を向けることなく容易に認識することができる。本装置が圧力センサを用いて制御されている場合、これは特に有利である。その理由は、本装置は利用者の口中にあり、利用者は本装置を見ることが難しいからである。しかし本装置が口中にあるときには、本装置は利用者の耳の近くにあるため、音声を容易に聞き取ることができる。
【0040】
好ましくは、本装置は、装置が所定時間停止したらメニューモードを出るように構成されている。
【0041】
好ましくは、メニューモードでは、選択されたメニュー選択肢によって装置はメニューモードを出る。
【0042】
好ましくは、本装置は電池およびコンピュータを備える制御装置を備え、この制御装置は気化器に着脱自在に取り付けられている。本装置は、気化器が制御装置から外されると、メニューモードを出るように構成されている。
【0043】
本明細書に用いられているように、「電子式喫煙装置」には、電子タバコだけではなく電子タバコ以外の電子喫煙品、例えば加熱非燃焼(HNB)装置、または電動噴霧装置も含まれる。電動噴霧装置には、加圧された液体が小型容器に保存されており、利用者が本装置を吸引することによって生じる圧力降下に応じて電子弁の制御の下でこの液体が放出される。これらの装置を本明細書では集合的に「電子式喫煙装置」と呼ぶ。「電子式喫煙装置」は、従来のようにタバコを燃焼させない紙巻きタバコの代替品または禁煙装置として使用可能な任意の電子装置を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
添付図面を参照して複数の実施形態を単に例示的に述べる。
図1】電子式吸入装置の横から見た斜視図である。
図2図1の装置の横断面である。
図3】別個の吸い口および制御装置を有する電子式吸入装置を横から見た斜視図である。
図4】吸い口と制御装置が接続された図3の装置の横断面である。
図5】別個の吸い口、気化器、および制御装置を有する電子式吸入装置の横から見た分解斜視図である。
図6】吸い口、気化器、および制御装置が接続された図5の装置の横断面である。
図7図3および4、ならびに図5および6と類似の電子式吸入装置の別の実施形態の縦断面展開図であって、内部の構成要素をより詳細に示している図である。
図8図7の電子式吸入装置の組み立てられたときの断面図である。
図9図7および8の電子式吸入装置の概略の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1および図2を参照すると、紙巻きタバコの形状をした電子タバコの形態の電子式吸入装置が示されている。この電子タバコは吸い口2および紙巻きタバコ本体4を有する。吸い口2は空気出口6を第1の端部に有し、紙巻きタバコ本体4に第2の端部で連結されている。
【0046】
電子タバコの中には、液体貯蔵部8が吸い口端の方にあり、加熱コイル12を有する気化器10がある。気化器10は液体貯蔵部8の隣に配置されていて、液体を気化する目的で気化器10に搬送できるようになっている。回路基板14が圧力センサ16、ブザーまたはスピーカーなどの音声信号発生手段18、およびコンピュータ20を含んでいる。電池22が本装置に電力を供給する。
【0047】
電子タバコの一般的な動作は既知の装置の動作と類似している。利用者が電子タバコで一服する際に吸い口2および空気出口6に吸引力が加わる。電子タバコ内で圧力が低下すると、電池22から気化器10に電力が供給され、この気化器10によってニコチン液溶液が気化される。次いで、こうして得られた蒸気が利用者に吸入される。
【0048】
本実施例において、電子タバコの動作は一般的な装置の動作にとどまらない。標準の動作モードでは、利用者が電子タバコに吸引力を加えるとき、気流が生じることにより本装置内で大気圧から低い圧力へと圧力降下が生じる。圧力センサ16はコンピュータ20へ信号を伝達する。コンピュータ20は、圧力センサ16からの圧力信号を監視するソフトウェアを実行し、圧力が減少して圧力閾値を下回ったことを判定すると加熱コイル12に電流を流して加熱コイル12を加熱し、液体貯蔵部8からの液体を気化させる。
【0049】
コンピュータ20で実行されるソフトウェアは本装置の動作を制御する。コンピュータ20によって利用者はメニューモードに入ることができる。利用者が本装置の使用を終了し、メニューモードに入りたいとき、利用者はある動作を本装置に実行することによってメニューモードを起動することができる。この動作は、通常モードで本装置を使用する方法とは異なる。通常モードでは、利用者は本物の紙巻きタバコを喫煙する動作を真似、一般に本装置を2、3秒間吸入する。この状況でコンピュータ20は圧力センサ16から信号を受け取り、気化器10を起動し、加熱コイル12を加熱する。
【0050】
メニューモードに入るために、利用者は本装置に短い時間息を吹き込んでもよい。圧力センサ16はコンピュータ20に信号を送り、コンピュータは、この信号が通常動作ではなくメニューモードに入るための信号であることを認識する。あるいは利用者は、本装置に短い時間だけ息を吹き込む代わりに、本装置を急に一気大量に吸引しても、あるいは立て続けに2回以上息を吹き込むか吸引してもよい。各状況において、圧力センサ16はコンピュータ20に信号を伝達し、コンピュータ20は、その信号が通常動作ではなく本装置がメニューモードに入るための信号であると判断することになる。
【0051】
本装置がメニューモードに入ると、利用者に音声信号発生手段18で再生された音声による通知が行われる。また、気化の通常動作は停止される。このようにすると、利用者は、メニューモードにいる間も気化器10および加熱コイル12を起動させずに本装置に息を吹き込むあるいは吸引することができる。
【0052】
メニューモードに入ったら、利用者は、メニューを制御し複数のメニュー選択肢間を移動するために制御用の圧力センサを用いることができる。例えば、本装置に息をわずかに吹き込むことによって前方のメニュー選択肢へ移動してもよく、わずかに本装置を吸引することによって後方のメニュー選択肢へ移動してもよい。メニュー選択肢を細かく制御できるので、液体貯蔵部8から気化器10への液体の搬送過程が利用者に妨げられることがない。
【0053】
利用者がメニュー選択肢間を進むと、利用者に音声信号による通知が行われ、複数のメニュー選択肢を異なる音声信号によって区別することができる。例えば、第1のメニュー選択肢ではビープ音を1回鳴らし、第2のメニュー選択肢ではビープ音を2回鳴らしても
よい。
【0054】
利用者がメニュー選択肢を選択したい場合、本装置を再度吸引するか息を吹き込むことによって選択を行うことができる。例えば、上述のように圧力の僅かな変化を用いてメニュー内の移動を制御する場合は、さらに強く吸引するか息を吹き込むことによるさらに強力な圧力変化によって、メニュー選択肢の選択を行うことができる。
【0055】
この方法により利用者は、種々のメニュー選択肢間を移動することおよび所定のメニュー選択肢を選択することを含め、メニュー選択肢を完全に制御することができる。
【0056】
メニュー選択肢を選択して、電子式吸入装置の技術的設定を変更することができる。メニュー選択肢の1つを選択して気化特性を設定することができる。利用者はこの選択肢を選択し、気化を少なくあるいは多くすることができる。次いで、コンピュータ20が加熱コイル12に送られる電流を変更するように働いて通常の使用中の気化特性を変更することになる。
【0057】
別のメニュー選択肢は気化を促進することであり、通常の使用中の気化の開始時に、大きな電流を供給して温度が最高になるようにし、気化を加速する。
【0058】
別のメニュー選択肢は本装置を校正するように働く。単位時間当たり決まった量の液体を気化することが本装置に求められる場合、気化を制御してこれを実現することができる。
【0059】
別のメニュー選択肢は本装置の国別設定を変更するように働く。国が異なれば味が異なり、気化および蒸気供給に対する要求が異なる可能性があるため、利用者が国を選択できるようにすることによって、利用者に上記要求を実現する簡単な手段を提供することになる。このようにすることによって、単一製品を複数地域で販売することができる。
【0060】
別のメニュー選択肢は、通常動作中に本装置が起動される圧力閾値を変更するように働く。これにより圧力閾値を高くあるいは低くすることができる。圧力閾値は利用者による国選択の結果で変更されてもよい。その理由は、場所によって高度が変わるため、これが大気圧に影響し、圧力閾値に影響を及ぼす場合があるからである。
【0061】
別のメニュー選択肢は加熱要素起動時間を変更するように働く。通常モードでは、本装置を吸入する利用者が加熱コイルを起動して液体を気化させる。一使用例では、気化器は一旦起動されると所定時間だけ動作してもよく、この時間はメニューシステムを用いて変更されてもよい。
【0062】
別のメニュー選択肢は他の時間パラメータを変更するように働く。そのような時間パラメータには、例えばコイルが熱くなり過ぎた後に電子式吸入装置が停止されている時間、あるいは本装置の放置後に装置が停止されるまでの時間などがある。
【0063】
別のメニュー選択肢は本装置をリセットし、利用者によって変更された変数およびパラメータを工場出荷時の状態に戻すように働く。
【0064】
コンピュータ20は記憶装置手段を備え、利用者による本装置の使用に対応した使用データをこの記憶装置手段に保存することができる。別のメニュー選択肢はこのデータの伝達を開始するように働く。起動されると、このデータは変調音声を用いて伝達され、その変調音声信号を読み取るように構成された装置で受信してもよい。関連したメニュー選択肢がこのデータを記憶装置から消去するように働き、それによって記憶装置が空になる。
【0065】
別のメニュー選択肢はメニューモードから出るように働き、本装置を通常モードに戻す。メニューモードを出て通常モードに入ったことが、音声信号で利用者に通知される。
【0066】
またメニューモード中、本装置が所定時間休止しているとコンピュータ20が判断したら、本装置はメニューモードを出て、通常モードまたはスリープモードに入ってもよい。スリープモードは節電モードである。
【0067】
図3および図4には、図1および図2に関連して示した装置に類似した装置が示されている。違いは、吸い口2が紙巻きタバコ本体4に着脱自在であることである。この吸い口は雌ねじ接続手段を備え、紙巻きタバコ本体4は雄ねじ接続手段を有する制御装置24である。吸い口2および制御装置24は互いにねじで接続したり外したりすることができる。
【0068】
この実施例では、吸い口2は液体貯蔵部8および加熱コイル12を有する気化器10を備える。制御装置24は、電池22および回路基板14を備え、この回路基板14は圧力センサ16、音声信号発生手段18、およびコンピュータ20を備える。ねじ接続によって電気的に接続され、そのため吸い口2および制御装置24が互いにねじで接続されていると、気化器10の起動に応じて加熱コイル12に電流が供給されるようになっている。
【0069】
この実施例では、本装置は、これらの部品が組み立てられたときだけメニューモードに入ることができる。その理由は、本装置が組み立てられたときだけしか利用者は本装置を作動させることができないからである。メニューモード中、利用者が吸い口を外すと本装置はメニューモードを出、利用者には音声信号で通知される。
【0070】
図5および図6には、図3および図4に関連して示した装置に類似した装置が示されている。しかしこの実施例では、気化器10を吸い口2から取り外すことができる。吸い口2には円筒形の開口があり、この開口が気化器10との差し込み装着接合部を形成している。そのため吸い口2は気化器10から分離することができるようになっている。吸い口2は液体貯蔵部8を備える。気化器10は加熱コイル12および芯26を備える。芯26は気化器10の端部から突き出ていて、吸い口2と気化器10が接続されているとき、芯26が液体貯蔵部8に浸されるようになっている。
【0071】
使用時、利用者が本装置を吸入すると、液体は液体貯蔵部8から芯26に移動し、その後気化用の加熱コイル12へ移動する。
【0072】
図7および8には、電子タバコの形態の電子式吸入装置の別の実施形態が説明されている。この装置は図3および4に示した実施形態、ならびに図5および6に示した実施形態に類似している。ただし、図7および8の実施形態はその内部の構成要素をより詳細に示している。本装置は吸い口31、気化器装置32、および制御装置33を備え、図8に示すように組み立てられて全体に円筒状の装置になり、それを従来のタバコ燃焼式紙巻きタバコの代替品として使用することができる。制御装置33にはねじ切りされた延長部34が設けられており、この延長部34が蒸気装置32の内ねじ35に収容される。吸い口31は全体に円筒形のプラスチック製の鞘36を備え、この鞘36を蒸気装置32に被せて押し込んで装着することができる。
【0073】
吸い口31は、蒸気を利用者の口に供給する出口37、および使用時に蒸気装置32で作られる蒸気の出口通路38を有する。吸い口31は液体容器も含み、この液体容器は多孔質の貯蔵用複合体39を備える。この複合体39は例えば連通気泡発泡プラスチック材料であり、ニコチン含有液などの気化性液体で含浸されている。この液体が使用時に蒸気
装置32によって気化される。複合体39は液体容器として働き、吸い口31を取り外し交換することが容易にできることから、多孔質複合体39内の液体が無くなって再補充する必要があるときに、複合体39を詰め替えカプセルとして使用することができる。
【0074】
蒸気装置32は電子加熱コイル40を含み、このコイル40はセラミック基部42に支持されたセラミック芯41に巻かれている。全体にU字形の芯部材43は、容器39から液体を毛細管現象で加熱要素40の方へ吸い出すように構成されている。芯部材43は、例えばニッケル発泡体などの金属発泡体で作られていてもよい。
【0075】
加熱器コイル40は、制御装置33内に置かれた充電式電池44から電気接点48、49(図7および8には図示せず、図9参照)を経由して給電される。ねじ34、35の係合によって制御装置33が蒸気装置32に取り付けられると、電気接点48、49は加熱器コイルを電池44に電気的に接続する。制御回路45の制御の下で電池44の電力が加熱器コイル40に供給される。制御回路45は制御装置33内の回路基板46に搭載されている。
【0076】
図9に示すように、制御回路45は小型制御装置47を含む。小型制御装置47は電池44から給電されて加熱用電流を接点48、49経由でコイル40に流す。図7に示したねじ34、35で制御装置33が蒸気装置32と係合されると、接点48、49は電気的接続状態になる。
【0077】
圧力センサ50は、利用者が吸い口38を吸引したことを検出する。これについて以下に詳細に記述する。
【0078】
また、信号発生装置51も設けられていて、音声または視覚出力を利用者に提供して本装置の動作状態を示す。例えば、信号発生装置は発光ダイオードを備え、利用者が本装置を吸引すると、この発光ダイオードが赤く輝いてもよい。信号発生装置は所定の音声または視覚信号を出力して、例えば電池44の充電が必要になっていることを示してもよい。
【0079】
電池44から吸い口制御装置への電流の供給はスイッチングトランジスタ52で制御される。
【0080】
利用者が吸い口1を吸引して出口37から蒸気を吸引すると、圧力センサ50が、蒸気装置32内から制御装置33内部を経由して回路基板45まで通じている圧力の低下を検出する。小型制御装置47はセンサ50で検出された圧力降下に応じて加熱器コイル40に電流を流し、毛細管現象によりU字形の芯部材43を通って供給される液体を気化させる。蒸気装置32と制御装置33の間の継ぎ手に吸気路55が設けられているため、空気は制御装置33のねじ切りされた延長部34を通って蒸気装置32まで矢印Aの方向に吸引される。したがって結果的に蒸気は、矢印Bの方向に通路38を通って出口37まで吸引される。
【0081】
図7および8の装置の動作は、上記の図1~6の装置の動作と同じでもよく、したがって本明細書ではそのような動作を再度詳細に記述することはしない。しかし本明細書の意図は、図7および8の実施形態の制御回路46が図1~6の実施形態の回路基板14のように構成されてもよく、その逆でもよいということである。具体的には、回路基板46は分離された音声信号発生手段18を備えてもよい。あるいは、信号発生装置51は上記実施形態で記述された音声信号発生手段として働いてもよい。また、圧力センサ50は制御装置33内の回路基板46に配置され、蒸気装置32は制御装置33内の領域と例えば開放通路(図示せず)で液体連通状態にあって、蒸気装置32内の圧力降下が制御装置33内の回路基板46の圧力センサで検出されるようになっていてもよい。また、図7および
8の実施形態の小型制御装置47のプログラムを図1~6の実施形態のコンピュータ20のプログラムと同様にして、圧力センサ16からの測定圧力を監視して本装置を適切に制御してもよく、具体的には上記のようにソフトウェアを実行して種々のメニューモードを上記のように制御してもよい。
【0082】
複数の実施例を示し記述してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更形態および改変形態が可能であることが分かる。コンピュータ演算装置はマイクロプロセッサでもよく、あるいは小型制御装置でもよい。本装置は紙巻きタバコの形状に限定されない。コンピュータ演算装置、音声信号発生手段、および圧力センサは同じ回路基板に搭載されていることに限定されない。気化に使用される加熱コイルは別種の非コイル加熱要素で置き換えることができる。メニューの制御装置は圧力センサではなく、ボタンまたはスイッチまたは一部の他の手段でもよい。
【0083】
種々の問題に対処し本技術を促進するため、本開示の全体は、種々の実施形態を一例として示す。その実施形態の中で特許請求の範囲に記載の1つまたは複数の発明が実践され、優れた電子式吸引装置が提供される。本開示の利点及び特徴は、単に実施形態の代表的事例であって、これらに限定されるものではない。これらは単に特許請求された特徴の理解を助け、教示するために提示される。本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/または他の態様は、特許請求の範囲で規定される本開示またはその均等物を限定するものではなく、本開示の範囲及び/または概念から逸脱することなく他の実施形態を利用し改変することができることを理解すべきである。種々の実施形態は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段などの種々の組み合わせを好適に含んでも、それらで構成されても、または本質的にそれらで構成されてもよい。さらに本開示には、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明も含まれる。いずれの実施形態のいずれの特徴も、他のいずれかの特徴と別個に、あるいはこれと組み合わせて用いることができる。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9