(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】車両用操作検出装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20220207BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220207BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20220207BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
E05F15/73
B60J5/04 C
E05F15/655
H01H36/00 V
(21)【出願番号】P 2019140752
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】清水 彩佳
(72)【発明者】
【氏名】西 佑司
(72)【発明者】
【氏名】錦邉 健
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 志穂
(72)【発明者】
【氏名】賀川 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】金田 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】新宮 啓司
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071246(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064859(WO,A1)
【文献】特開2015-130122(JP,A)
【文献】特開2017-172140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0070920(US,A1)
【文献】特開2019-148157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/04
H01H 36/00-36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、
アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、
前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、
前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、
前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する
車両用操作検出装置であって、
前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、
前記追加判定は、前記静的認証センサ値と前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的他センサ値との比率と、予め設定された比率判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記比率が前記比率判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の車両用操作検出装置において、
前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値と予め設定された第2接近判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ値が前記第2接近判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の車両用操作検出装置において、
前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値と予め設定された第1離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ離別値が前記第1離別判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両用操作検出装置において、
前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項5】
列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、
アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、
前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、
前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、
前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、
前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、
前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値と予め設定された第2接近判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ値が前記第2接近判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用操作検出装置において、
前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値と予め設定された第1離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ離別値が前記第1離別判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の車両用操作検出装置において、
前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項8】
列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、
アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、
前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、
前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、
前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、
前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、
前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値と予め設定された第1離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ離別値が前記第1離別判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用操作検出装置において、
前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【請求項10】
列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、
アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、
前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、
前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、
前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、
前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、
前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、
前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、
前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する車両用操作検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の操作を検出して車両ドアなどの開閉体を開閉作動させる車両用操作検出装置として、例えば特許文献1に記載のものがある。同文献の車両用操作検出装置は、検出対象との間隔に応じて静電容量が変化する複数のセンサ電極と、静電容量に基づいてアクチュエータを駆動して車両ドアを開閉作動させる制御回路とを備えている。複数のセンサ電極は、車両ドアの開閉方向に間隔を空けて配置されている。そして、制御回路は、複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が車両ドアの開方向に順に変化する場合に、該車両ドアを開作動させる。一方、制御回路は、複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が車両ドアの閉方向に順に変化する場合に、該車両ドアを閉作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような車両用操作検出装置において、静電容量は、利用者が車両ドアにもたれ掛かる場合や、降雨により車両ドアの外表面に雨水などが付着した場合などにも変化し得る。そのため、上記のような車両用操作検出装置は、車両ドアを開閉作動させるべき状況でないときに車両ドアを開閉作動させるおそれがあり、この点においてなお改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、利用者の操作の誤検出により開閉体を開閉作動させることを抑制できる車両用操作検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用操作検出装置は、列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、前記追加判定は、前記静的認証センサ値と前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的他センサ値との比率と、予め設定された比率判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記比率が前記比率判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する。
【0007】
上記構成によれば、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作とともに認証操作が行われたと判定した場合に開閉体を開閉作動させる。換言すると、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作が行われたと判定しても、認証操作が行われたと判定できない場合には開閉体を開閉作動させない。したがって、車両用操作検出装置は、利用者の操作の誤検出により開閉体を開閉作動させることを抑制できる。さらに、上記構成では、認証センサ電極の静電容量と第1接近判定値との大小比較を行う主判定に加え、認証センサ電極の静電容量及び他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定を行って、認証操作が行われたか否かを判定するため、認証操作の誤検出を抑制できる。
【0009】
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、認証センサ電極の静電容量だけでなく、他センサ電極の静電容量も大きくなり易いため、比率が小さくなり易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が大きくなり難いため、比率が大きくなり易い。したがって上記構成のように、追加判定として比率と比率判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがある。そのため、上記構成のように静的認証センサ値及び静的他センサ値を主判定及び追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0010】
上記車両用操作検出装置において、前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値と予め設定された第2接近判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ値が前記第2接近判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定することが好ましい。
【0011】
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量が変化し易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が変化し難い。したがって上記構成のように、追加判定として動的他センサ値と第2接近判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがある。そのため、上記構成のように静的認証センサ値を主判定で用いることにより、認証操作の誤検出を抑制できる。一方、開閉体に雨水などが付着する場合には、センサ電極の静電容量が急峻に変化することがあるため、ローパスフィルタ処理を施すと、その静電容量変化が除去されるおそれがある。したがって、上記構成のように動的他センサ値を追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0012】
上記車両用操作検出装置において、前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値と予め設定された第1離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ離別値が前記第1離別判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定することが好ましい。
【0013】
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量が変化し易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が変化し難い。したがって上記構成のように、追加判定として動的他センサ離別値と第1離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがある。そのため、上記構成のように静的認証センサ値を主判定で用いることにより、認証操作の誤検出を抑制できる。一方、開閉体に雨水などが付着する場合には、センサ電極の静電容量が急峻に変化することがあるため、ローパスフィルタ処理を施すと、その静電容量変化が除去されるおそれがある。したがって、上記構成のように動的他センサ離別値を追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0014】
上記車両用操作検出装置において、前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定することが好ましい。
【0015】
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合において、認証センサ電極の静電容量が雨水の移動に伴って増減するため、検出対象が認証センサ電極に接近してから離れたと判定するおそれがある。ここで、雨水などの移動に伴う認証センサ電極の静電容量変化は、急峻な変化を示し易いため、ローパスフィルタ処理を施すことにより、検出され難くなる。一方、利用者の操作では、認証センサ電極の静電容量変化が緩やかであるため、ローパスフィルタ処理を施しても、検出可能である。したがって、上記構成のように、追加判定として静的認証センサ離別値と第2離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
上記課題を解決する車両用操作検出装置は、列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値と予め設定された第2接近判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ値が前記第2接近判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する。
上記構成によれば、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作とともに認証操作が行われたと判定した場合に開閉体を開閉作動させる。換言すると、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作が行われたと判定しても、認証操作が行われたと判定できない場合には開閉体を開閉作動させない。したがって、車両用操作検出装置は、利用者の操作の誤検出により開閉体を開閉作動させることを抑制できる。さらに、上記構成では、認証センサ電極の静電容量と第1接近判定値との大小比較を行う主判定に加え、認証センサ電極の静電容量及び他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定を行って、認証操作が行われたか否かを判定するため、認証操作の誤検出を抑制できる。
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量が変化し易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が変化し難い。したがって上記構成のように、追加判定として動的他センサ値と第2接近判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがある。そのため、上記構成のように静的認証センサ値を主判定で用いることにより、認証操作の誤検出を抑制できる。一方、開閉体に雨水などが付着する場合には、センサ電極の静電容量が急峻に変化することがあるため、ローパスフィルタ処理を施すと、その静電容量変化が除去されるおそれがある。したがって、上記構成のように動的他センサ値を追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
上記車両用操作検出装置において、前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値と予め設定された第1離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ離別値が前記第1離別判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定することが好ましい。
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量が変化し易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が変化し難い。したがって上記構成のように、追加判定として動的他センサ離別値と第1離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがある。そのため、上記構成のように静的認証センサ値を主判定で用いることにより、認証操作の誤検出を抑制できる。一方、開閉体に雨水などが付着する場合には、センサ電極の静電容量が急峻に変化することがあるため、ローパスフィルタ処理を施すと、その静電容量変化が除去されるおそれがある。したがって、上記構成のように動的他センサ離別値を追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
上記車両用操作検出装置において、前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定することが好ましい。
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合において、認証センサ電極の静電容量が雨水の移動に伴って増減するため、検出対象が認証センサ電極に接近してから離れたと判定するおそれがある。ここで、雨水などの移動に伴う認証センサ電極の静電容量変化は、急峻な変化を示し易いため、ローパスフィルタ処理を施すことにより、検出され難くなる。一方、利用者の操作では、認証センサ電極の静電容量変化が緩やかであるため、ローパスフィルタ処理を施しても、検出可能である。したがって、上記構成のように、追加判定として静的認証センサ離別値と第2離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
上記課題を解決する車両用操作検出装置は、列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、前記追加判定は、前記他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値と予め設定された第1離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となり、前記動的他センサ離別値が前記第1離別判定値以上となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する。
上記構成によれば、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作とともに認証操作が行われたと判定した場合に開閉体を開閉作動させる。換言すると、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作が行われたと判定しても、認証操作が行われたと判定できない場合には開閉体を開閉作動させない。したがって、車両用操作検出装置は、利用者の操作の誤検出により開閉体を開閉作動させることを抑制できる。さらに、上記構成では、認証センサ電極の静電容量と第1接近判定値との大小比較を行う主判定に加え、認証センサ電極の静電容量及び他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定を行って、認証操作が行われたか否かを判定するため、認証操作の誤検出を抑制できる。
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量が変化し易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が変化し難い。したがって上記構成のように、追加判定として動的他センサ離別値と第1離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがある。そのため、上記構成のように静的認証センサ値を主判定で用いることにより、認証操作の誤検出を抑制できる。一方、開閉体に雨水などが付着する場合には、センサ電極の静電容量が急峻に変化することがあるため、ローパスフィルタ処理を施すと、その静電容量変化が除去されるおそれがある。したがって、上記構成のように動的他センサ離別値を追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
上記車両用操作検出装置において、前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定することが好ましい。
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合において、認証センサ電極の静電容量が雨水の移動に伴って増減するため、検出対象が認証センサ電極に接近してから離れたと判定するおそれがある。ここで、雨水などの移動に伴う認証センサ電極の静電容量変化は、急峻な変化を示し易いため、ローパスフィルタ処理を施すことにより、検出され難くなる。一方、利用者の操作では、認証センサ電極の静電容量変化が緩やかであるため、ローパスフィルタ処理を施しても、検出可能である。したがって、上記構成のように、追加判定として静的認証センサ離別値と第2離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
上記課題を解決する車両用操作検出装置は、列をなすように設けられ、検出対象の接近に伴って静電容量が大きくなる複数のセンサ電極と、アクチュエータを制御して車両の開閉体を開閉作動させる制御部と、前記複数のセンサ電極のうち1以上のセンサ電極を認証センサ電極とし、前記複数のセンサ電極の並び方向において、前記開閉体の開方向に対応する方向を第1方向とするとともに前記開閉体の閉方向に対応する方向を第2方向とし、前記複数のセンサ電極のうち、静電容量変化を示すセンサ電極が前記第1方向に順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定し、前記第2方向に順に切り替わる場合に第2操作が行われたと判定し、前記認証センサ電極の静電容量が予め定められた態様で変化する場合に認証操作が行われたと判定する判定部とを備え、前記制御部は、前記第1操作及び前記第2操作の一方の操作と前記認証操作との両操作が行われたと判定される場合に、該一方の操作に対応する方向に前記開閉体を作動させ、前記判定部は、前記認証センサ電極の静電容量と予め設定された第1接近判定値との大小比較を行う主判定の結果と、前記認証センサ電極の静電容量及び前記認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、前記認証操作が行われたか否かを判定する車両用操作検出装置であって、前記主判定は、前記認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値と前記第1接近判定値との大小比較を行うものであり、前記追加判定は、前記静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値と予め設定された第2離別判定値との大小比較を行うものであり、前記判定部は、前記静的認証センサ値が前記第1接近判定値以上となった後に、前記静的認証センサ離別値が前記第2離別判定値未満となる場合に、前記認証操作が行われたと判定する。
上記構成によれば、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作とともに認証操作が行われたと判定した場合に開閉体を開閉作動させる。換言すると、車両用操作検出装置は、第1操作又は第2操作が行われたと判定しても、認証操作が行われたと判定できない場合には開閉体を開閉作動させない。したがって、車両用操作検出装置は、利用者の操作の誤検出により開閉体を開閉作動させることを抑制できる。さらに、上記構成では、認証センサ電極の静電容量と第1接近判定値との大小比較を行う主判定に加え、認証センサ電極の静電容量及び他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定を行って、認証操作が行われたか否かを判定するため、認証操作の誤検出を抑制できる。
例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合において、認証センサ電極の静電容量が雨水の移動に伴って増減するため、検出対象が認証センサ電極に接近してから離れたと判定するおそれがある。ここで、雨水などの移動に伴う認証センサ電極の静電容量変化は、急峻な変化を示し易いため、ローパスフィルタ処理を施すことにより、検出され難くなる。一方、利用者の操作では、認証センサ電極の静電容量変化が緩やかであるため、ローパスフィルタ処理を施しても、検出可能である。したがって、上記構成のように、追加判定として静的認証センサ離別値と第2離別判定値との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利用者の操作の誤検出により開閉体を開閉作動させることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る車両用操作検出装置を備える車両の模式図。
【
図3】車両用操作検出装置の概略構成を示す模式図。
【
図4】(a)動的他センサ値の変化の一例を示すグラフ、(b)動的他センサ値が(a)のように変化した場合の動的他センサ離別値の変化を示すグラフ。
【
図5】車両ドアを開作動させるために制御回路が実行する処理の流れを説明するフローチャート。
【
図6】第1センサ電極に対する認証操作が行われたか否かを判定するために制御回路が実行する処理の流れを説明するフローチャート。
【
図7】第3センサ電極に対する認証操作が行われたか否かを判定するために制御回路が実行する処理の流れを説明するフローチャート。
【
図8】車両用操作検出装置に対して利用者が操作を行う場合におけるセンサ電極の静電容量変化の一例を示すグラフ。
【
図9】窓ガラスに水が掛かる場合におけるセンサ電極の静電容量変化の一例を示すグラフ。
【
図10】窓ガラスに水が掛かる場合におけるセンサ電極の静電容量変化の一例を示すグラフ。
【
図11】窓ガラスに水が掛かる場合におけるセンサ電極の静電容量変化の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用操作検出装置(以下、「検出装置」とも言う。)の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、自動車などの車両1のボデー2の側部には開口2aが形成されている。また、ボデー2の側部には、開閉体の一例として、車両前後方向への移動に伴って開口2aを開閉するスライド式の車両ドア3が搭載されている。車両ドア3は、その下部を構成する略袋状のドア本体4と、該ドア本体4から上下方向に進退する窓ガラス5とを備えている。ドア本体4には、閉状態にある車両ドア3を施解錠するドアロック6が設置されている。
【0019】
車両ドア3には、ドア駆動ユニット11が設置されている。ドア駆動ユニット11は、例えば電動モータなどの駆動源を主体に構成されており、図示しないドア駆動機構を介して車両ドア3を開閉作動させる。本実施形態では、ドア駆動ユニット11が車両ドア3を開閉作動させるアクチュエータの一例に相当する。
【0020】
また、車両ドア3には、例えばドアロック6に隣接して、ドアロック駆動ユニット12が設置されている。このドアロック駆動ユニット12は、例えば電動モータなどの駆動源を主体に構成されており、適宜のロック駆動機構を介してドアロック6を施解錠する。
【0021】
ドア駆動ユニット11及びドアロック駆動ユニット12は、それぞれマイコンなどからなるドアECU10に電気的に接続されており、該ドアECU10によって個別にその作動が制御される。ドアECU10は、利用者により携帯される携帯機である電子キー及び後述する検出装置30から開作動指令信号が入力された場合に、ドア駆動ユニット11を駆動し、車両ドア3を開作動させる。一方、ドアECU10は、電子キー及び検出装置30から閉作動指令信号が入力された場合に、ドア駆動ユニット11を駆動し、車両ドア3を閉作動させる。
【0022】
図2に示すように、ドア本体4は、例えば金属板からなる略皿状のドアアウタパネル21及びドアインナパネル22の開口端同士が嵌め合わされることで略袋状に形成されている。ドアインナパネル22には、車両1の室内の意匠を形成するドアトリム23が取り付けられている。ドアトリム23の上部には、利用者の車両外側からの操作を検出する検出装置30が配置されている。
【0023】
次に、検出装置30について説明する。
図1及び
図3に示すように、検出装置30は、車両ドア3の開閉方向に間隔をあけて配置される第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33を備えている。検出装置30は、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33に接続される検出回路35と、ドアECU10に制御信号を出力する制御回路36とを備えている。さらに、検出装置30は、第1センサ電極31、第2センサ電極32、第3センサ電極33、検出回路35及び制御回路36が実装される基板37と、検出装置30の構成部材を収容する筐体38とを備えている。
【0024】
筐体38は、長尺状に形成されている。筐体38の長手方向における長さは、車両ドア3の窓ガラス5の前後方向における長さよりも短くなっている。
第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33は、四角形板状に形成されており、これらの板厚方向と直交する面積は互いに略等しくなっている。第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33は、列をなすように、車両前後方向に沿って直線状に配置されている。詳しくは、第1センサ電極31は最も車両前方に位置し、第3センサ電極33は最も車両後方に位置し、第2センサ電極32は第1センサ電極31と第3センサ電極33との間に位置している。なお、各々のセンサ電極31,32,33は、車両前後方向における長さが利用者の手に応じた長さ(例えば、10cm~20cm)を有することが好ましい。
【0025】
以降の説明では、第1センサ電極31から第3センサ電極33に向かう方向を第1方向D1とし、第3センサ電極33から第1センサ電極31に向かう方向を第2方向D2とする。複数のセンサ電極の並び方向のうち、第1方向D1は、車両ドア3の開方向に対応する方向であり、第2方向D2は、車両ドア3の閉方向に対応する方向である。複数のセンサ電極において、第1センサ電極31は第2方向D2における端部に位置し、第3センサ電極33は第1方向D1における端部に位置している。
【0026】
第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33は、各々のセンサ電極31,32,33に接近した検出対象とともに擬似的なコンデンサを形成する。そのため、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33は、各々のセンサ電極31,32,33に検出対象が接近するほど、検出対象との位置関係で定まる静電容量が大きくなる。各々のセンサ電極31,32,33は、車両外側から検出対象が接近する際に静電容量が大きくなるように、検出対象の検出範囲が車両外側に広がっている。
【0027】
なお、説明の便宜上、本明細書では、センサ電極と検出対象との位置関係で定まる静電容量を単に「センサ電極における静電容量」とも言う。また、第1センサ電極31の静電容量を「第1静電容量C1」とも言い、第2センサ電極32の静電容量を「第2静電容量C2」とも言い、第3センサ電極33の静電容量を「第3静電容量C3」とも言う。さらに、各々のセンサ電極31,32,33のうちの任意のセンサ電極を説明する場合には符号を省略する。
【0028】
検出装置30には、センサ電極に検出対象が接近したことを判定するための第1接近判定値Cth1が予め設定されている。そのため、制御回路36は、センサ電極の静電容量が第1接近判定値Cth1以上となる場合をセンサ電極に検出対象が接近している場合と判定し、静電容量が第1接近判定値Cth1未満となる場合をセンサ電極に検出対象が接近していない場合と判定する。なお、第1接近判定値Cth1は、正の値であり、検出装置30における検出感度に応じて適宜に設定すればよい。
【0029】
検出回路35は、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33に発振信号を出力することで、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33の静電容量を示す信号を出力させる。そして、検出回路35は、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33から出力される信号をそれぞれA/D(アナログ/デジタル)変換した信号を制御回路36に出力する。
【0030】
制御回路36は、検出回路35から出力される信号に基づいて各種の演算処理を実行し、その結果に応じた制御信号をドアECU10に出力する。詳しくは、制御回路36は、利用者の操作により、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33の静電容量が特定の条件を満たすように変化する場合に、車両ドア3を開作動させるための開作動指令信号又は車両ドア3を閉作動させるための閉作動指令信号をドアECU10に出力する。
【0031】
以下、制御回路36がドアECU10に開作動指令信号、及び閉作動指令信号を出力する条件について説明する。
本実施形態の検出装置30は、利用者の操作として、車両ドア3が全閉状態である場合には、検出対象となる手を第1センサ電極31にかざした後、第1方向D1に沿って移動(以下、「スワイプ」とも言う。)することを想定している。また、検出装置30は、車両ドア3が全開状態である場合には、検出対象となる手を第3センサ電極33にかざした後、第2方向D2にスワイプすることを想定している。つまり、検出装置30では、車両ドア3を開作動させる場合には、第1センサ電極31が認証センサ電極に相当し、第2センサ電極32及び第3センサ電極33が認証センサ電極以外のセンサ電極である他センサ電極に相当する。また、車両ドア3を閉作動させる場合には、第3センサ電極33が認証センサ電極に相当し、第1センサ電極31及び第2センサ電極32が他センサ電極に相当する。
【0032】
以降の説明では、車両ドア3を開作動させるための操作であって、複数のセンサ電極のうち、利用者が手などを接近させるセンサ電極を第1方向D1に切り替える操作を第1操作とする。一方、車両ドア3を閉作動させるための操作であって、複数のセンサ電極のうち、利用者が手などを接近させるセンサ電極を第2方向D2に切り替える操作を第2操作とする。また、利用者が手などを認証センサ電極に接近させた状態を暫くの間に亘って維持する操作、すなわち利用者が検出対象となる手を認証センサ電極にかざす操作を認証操作とする。なお、利用者は、車両ドア3を開閉作動させるために、手を除く身体の一部をセンサ電極に接近させたり、持ち物をセンサ電極に接近させたりしてもよい。
【0033】
そして、制御回路36は、認証操作に加え、第1操作又は第2操作を検出した場合に、ドアECU10に開作動指令信号又は閉作動指令信号を出力する。詳しくは、制御回路36は、認証操作を検出した後に第1操作を検出した場合に開作動指令信号を出力し、認証操作を検出した後に第2操作を検出した場合に閉作動指令信号を出力する。
【0034】
次に、制御回路36による利用者の操作の検出について説明する。
制御回路36は、複数のセンサ電極のうち、静電容量が変化するセンサ電極が第1方向D1に切り替わる場合に、第1操作が行われたと判定する。詳しくは、制御回路36は、静電容量が第1接近判定値Cth1以上となるセンサ電極が第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33の順に切り替わる場合に第1操作が行われたと判定する。
【0035】
一方、制御回路36は、複数のセンサ電極のうち、静電容量が変化するセンサ電極が第2方向D2に切り替わる場合に、第2操作が行われたと判定する。詳しくは、制御回路36は、静電容量が第1接近判定値Cth1以上となるセンサ電極が第3センサ電極33、第2センサ電極32及び第1センサ電極31の順に切り替わる場合に、第1操作が行われたと判定する。
【0036】
また、制御回路36は、認証センサ電極の静電容量が判定時間Tthに亘って第1接近判定値Cth1以上となることを条件の1つに、認証操作が行われたと判定する。判定時間Tthは、認証操作を行う利用者の利便性に考慮して設定すればよく、一例として0.5秒程度の時間とすればよい。
【0037】
ところで、認証センサ電極の静電容量が判定時間Tthに亘って第1接近判定値Cth1以上となることのみを条件に認証操作が行われたと判定するように構成した比較例の検出装置では、例えば降雨により窓ガラス5の外表面に雨水などが付着する場合に、認証操作が行われたと判定するおそれがある。そして、この状態で車両ドア3の側方を利用者などが通過する場合に、第1操作又は第2操作が行われたと判定して、ユーザの操作を誤検出するおそれがある。
【0038】
ここで、例えば降雨により車両ドア3に雨水などが付着する場合には、認証センサ電極の静電容量だけでなく、他センサ電極の静電容量が変化し易く、大きくなり易い。一方、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が変化し難く、大きくなり難い。詳しくは、例えば第1センサ電極31が認証センサ電極である場合には、降雨により、第1センサ電極31の静電容量だけでなく、他センサ電極である第2センサ電極32及び第3センサ電極33の静電容量が変化し易く、大きくなり易い。また、例えば第3センサ電極33が認証センサ電極である場合には、降雨により、第3センサ電極33の静電容量だけでなく、他センサ電極である第1センサ電極31及び第2センサ電極32の静電容量が変化し易く、大きくなり易い。
【0039】
そこで、制御回路36は、認証センサ電極の静電容量と第1接近判定値Cth1との大小比較である主判定に加え、追加判定を行って認証操作が行われたか否かを判定する。そして、制御回路36は、主判定及び追加判定が成立した場合に、認証操作が行われたと判定する。
【0040】
また、本実施形態の制御回路36は、これらの判定に用いるセンサ電極の静電容量として、検出回路35から出力される静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した値、及び同信号にローパスフィルタ処理を施していない値を用いる。具体的には、認証センサ電極の静電容量として、当該静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値及びローパスフィルタ処理を施していない動的認証センサ値を用いる。また、他センサ電極の静電容量として、当該静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的他センサ値及びローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値を用いる。
【0041】
より具体的には、第1センサ電極31が認証センサ電極となる場合には、第1静電容量C1を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的第1センサ値C1sが静的認証センサ値となり、同信号にローパスフィルタ処理を施していない動的第1センサ値C1dが動的認証センサ値となる。また、この場合、第2静電容量C2及び第3静電容量C3を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的第2センサ値C2s及び静的第3センサ値C3sがそれぞれ静的他センサ値となり、同各信号にローパスフィルタ処理を施していない動的第2センサ値C2d及び動的第3センサ値C3dがそれぞれ動的他センサ値となる。
【0042】
一方、第3センサ電極33が認証センサ電極となる場合には、第3静電容量C3を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的第3センサ値C3sが静的認証センサ値となり、同信号にローパスフィルタ処理を施していない動的第3センサ値C3dが動的認証センサ値となる。また、この場合、第1静電容量C1及び第2静電容量C2を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的第1センサ値C1s及び静的第2センサ値C2sがそれぞれ静的他センサ値となり、同各信号にローパスフィルタ処理を施していない動的第1センサ値C1d及び動的第2センサ値C2dがそれぞれ動的他センサ値となる。
【0043】
制御回路36は、主判定として、静的認証センサ値と第1接近判定値Cth1との大小比較を行う。そして、静的認証センサ値が判定時間Tthに亘って第1接近判定値Cth1以上となる場合に、主判定が成立したと判定する。より具体的には、第1センサ電極31が認証センサ電極となる場合、すなわち車両ドア3を開作動する場合には、静的第1センサ値C1sが判定時間Tthに亘って第1接近判定値Cth1以上の場合に、主判定が成立したと判定する。一方、第3センサ電極33が認証センサ電極となる場合、すなわち車両ドア3を閉作動する場合には、静的第3センサ値C3sが判定時間Tthに亘って第1接近判定値Cth1以上の場合に、主判定が成立したと判定する。
【0044】
制御回路36は、追加判定として次の3つの判定を行う。第1の追加判定では、静的認証センサ値と静的他センサ値との比率を用いる。第1センサ電極31が認証センサ電極となる場合には、静的第1センサ値C1sと静的第2センサ値C2sとの比率R12(R12=C1s/C2s)、及び静的第1センサ値C1sと静的第3センサ値C3sとの比率R13(R13=C1s/C3s)を用いる。一方、第3センサ電極33が認証センサ電極となる場合には、静的第3センサ値C3sと静的第1センサ値C1sとの比率R31(R31=C3s/C1s)、及び静的第3センサ値C3sと静的第2センサ値C2sとの比率R32(R32=C3s/C2s)を用いる。検出装置30には、認証センサ電極に検出対象が接近するとともに、他センサ電極には検出対象が接近していないことを判定するための比率判定値Rthが予め設定されている。
【0045】
制御回路36は、第1の追加判定として、第1センサ電極31が認証センサ電極となる場合には、比率R12,R13と比率判定値Rthとの大小比較をそれぞれ行い、第3センサ電極33が認証センサ電極となる場合には、比率R31,R32と比率判定値Rthとの大小比較をそれぞれ行う。そして、制御回路36は、比率R12,R13又は比率R31,R32が判定時間Tthに亘ってそれぞれ比率判定値Rth以上の場合に、第1の追加判定が成立したと判定する。
【0046】
第2の追加判定では、動的他センサ値、及び動的他センサ値の変化量である動的他センサ離別値を用いる。検出装置30には、センサ電極に検出対象が接近したことを判定するための第2接近判定値Cth2が予め設定されている。なお、第2接近判定値Cth2は、正の値であり、第1接近判定値Cth1と同様に、例えば検出装置30における検出感度に応じて適宜に設定すればよい。
【0047】
ここで、動的他センサ離別値は、予め設定された所定時間Δt前の動的他センサ値から現在の動的他センサ値を減算した値である。例えば
図4(a)に示すように、センサ電極に検出対象が接近してから離別した場合を想定すると、
図4(b)に示すように、動的他センサ離別値は、動的他センサ値よりも所定時間だけ遅れて大きくなった後、負の値となる。こうした特性を踏まえ、検出装置30には、センサ電極に検出対象が離別したことを判定するための第1離別判定値Δth1が予め設定されている。そのため、制御回路36は、動的他センサ離別値が第1離別判定値Δth1未満の場合をセンサ電極から検出対象が離別している場合と判定し、動的他センサ離別値が第1離別判定値Δth1以上の場合をセンサ電極から検出対象が離別していない場合と判定する。なお、第1離別判定値Δth1は、負の値であり、検出装置30における検出感度に応じて適宜に設定すればよい。
【0048】
制御回路36は、第2の追加判定として、第1センサ電極31が認証センサ電極となる場合には、動的第2センサ値C2d及び動的第3センサ値C3dと第2接近判定値Cth2との大小比較をそれぞれ行うとともに、動的第2センサ離別値ΔC2d及び動的第3センサ離別値ΔC3dと第1離別判定値Δth1との大小比較をそれぞれ行う。そして、制御回路36は、動的第2センサ値C2d及び動的第3センサ値C3dが判定時間Tthに亘ってそれぞれ第2接近判定値Cth2未満であり、動的第2センサ離別値ΔC2d及び動的第3センサ離別値ΔC3dが判定時間Tthに亘ってそれぞれ第1離別判定値Δth1以上の場合に、第2の追加判定が成立したと判定する。
【0049】
一方、制御回路36は、第2の追加判定として、第3センサ電極33が認証センサ電極となる場合には、動的第1センサ値C1d及び動的第2センサ値C2dと第2接近判定値Cth2との大小比較をそれぞれ行うとともに、動的第1センサ離別値ΔC1d及び動的第2センサ離別値ΔC2dと第1離別判定値Δth1との大小比較をそれぞれ行う。そして、制御回路36は、動的第1センサ値C1d及び動的第2センサ値C2dが判定時間Tthに亘ってそれぞれ第2接近判定値Cth2未満であり、動的第1センサ離別値ΔC1d及び動的第2センサ離別値ΔC2dが判定時間Tthに亘ってそれぞれ第1離別判定値Δth1以上の場合に、第2の追加判定が成立したと判定する。
【0050】
第3の追加判定では、静的認証センサ値の変化量である静的認証センサ離別値を用いる。なお、静的認証センサ離別値は、予め設定された所定時間前の静的認証センサ値から現在の静的認証センサ値を減算した値である。検出装置30には、センサ電極に検出対象が離別したことを判定するための第2離別判定値Δth2が予め設定されている。なお、第2離別判定値Δth2は、負の値であり、第1離別判定値Δth1と同様に、例えば検出装置30における検出感度に応じて適宜に設定すればよい。
【0051】
制御回路36は、第3の追加判定として、第1センサ電極31が認証センサ電極となる場合には、主判定において静的第1センサ値C1sが判定時間Tthに亘って第1接近判定値Cth1以上となった後に、静的第1センサ離別値ΔC1sと第2離別判定値Δth2との大小比較を行う。一方、制御回路36は、第3の追加判定として、第3センサ電極33が認証センサ電極となる場合には、主判定において静的第3センサ値C3sが判定時間Tthに亘って第2接近判定値Cth2以上となった後に、静的第3センサ離別値ΔC3sと第2離別判定値Δth2との大小比較を行う。そして、制御回路36は、静的第1センサ離別値ΔC1sが第2離別判定値Δth2未満となった場合、又は静的第3センサ離別値ΔC3sが第2離別判定値Δth2未満となった場合に、第3の追加判定が成立したと判定する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、検出装置30が複数のセンサ電極31,32,33における静電容量の変化態様に基づいて認証操作、第1操作及び第2操作が行われているかを判定する点で、検出装置30が判定部41を有していると言える。また、検出装置30が判定部41の検出結果に基づいて、車両ドア3を作動させるための信号を出力する点で、検出装置が制御部42を有していると言える。
【0053】
次に、
図5に示すフローチャートを参照して、車両ドア3を開作動させるために制御回路36が実行する処理の流れについて説明する。
図5に示すように、制御回路36は、車両ドア3が全閉位置にあるか否かを判定する(ステップ101)。車両ドア3が全閉位置にある場合には(ステップ101:YES)、制御回路36は、後述するように第1センサ電極31に対する認証操作が行われたか否かを判定する(ステップ102)。続いて、ステップ102の判定結果に基づいて、第1センサ電極31に対する認証操作が行われていない場合には(ステップ103:NO)、本処理を終了する。
【0054】
一方、制御回路36は、第1センサ電極31に対する認証操作が行われた場合には(ステップ103:YES)、第1操作が行われたか否かの判定を行う(ステップ104)。具体的には、静的第2センサ値C2sが第1接近判定値Cth1以上となった後に、静的第3センサ値C3sが第1接近判定値Cth1以上となった場合に、第1操作が行われたと判定する。続いて、ステップ104の判定結果に基づいて、第1操作が行われたと判定された場合には(ステップ105:YES)、制御回路36は、ドアECU10に向けて開作動指令信号を出力する(ステップ106)。なお、ステップ104の判定結果に基づいて、第1操作が行われたと判定されない場合には(ステップ105:NO)、本処理を終了する。
【0055】
また、制御回路36は、車両ドア3が全閉位置にない場合には(ステップ101:NO)、車両ドア3が全開位置にあるか否かを判定する(ステップ107)。車両ドア3が全開位置にある場合には(ステップ107:YES)、制御回路36は、後述するように第3センサ電極33に対する認証操作が行われたか否かを判定する(ステップ108)。続いて、ステップ108の判定結果に基づいて、第1センサ電極31に対する認証操作が行われていない場合には(ステップ109:NO)、本処理を終了する。なお、車両ドア3が全開位置にない場合にも(ステップ107:NO)、本処理を終了する。
【0056】
一方、制御回路36は、第3センサ電極33に対する認証操作が行われた場合には(ステップ109:YES)、第2操作が行われたか否かの判定を行う(ステップ110)。具体的には、静的第2センサ値C2sが第1接近判定値Cth1以上となった後に、静的第1センサ値C1sが第1接近判定値Cth1以上となった場合に、第2操作が行われたと判定する。続いて、ステップ110の判定結果に基づいて、第1操作が行われたと判定された場合には(ステップ111:YES)、制御回路36は、ドアECU10に向けて開作動指令信号を出力する(ステップ112)。なお、ステップ110の判定結果に基づいて、第1操作が行われたと判定されない場合には(ステップ112:NO)、本処理を終了する。
【0057】
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、第1センサ電極31に対する認証操作が行われたか否かを判定するために制御回路36が実行する処理の流れについて説明する。
図6に示すように、制御回路36は、静的第1センサ値C1s、動的第1センサ値C1d、静的第1センサ離別値ΔC1s、静的第2センサ値C2s、動的第2センサ値C2d、動的第2センサ離別値ΔC2d、静的第3センサ値C3s、動的第3センサ値C3d及び動的第3センサ離別値ΔC3dを含む各種状態量を取得する(ステップ201)。続いて、制御回路36は、静的第1センサ値C1sが第1接近判定値Cth1以上か否かを判定する(ステップ202)。静的第1センサ値C1sが第1接近判定値Cth1未満の場合(ステップ202:NO)、すなわち、利用者の手が第1センサ電極31に接近していない場合、制御回路36は、本処理を終了する。
【0058】
一方、静的第1センサ値C1sが第1接近判定値Cth1以上の場合(ステップ202:YES)、すなわち、利用者の手が第1センサ電極31に接近している場合、制御回路36は、比率R12,R13を演算する(ステップ203)。続いて、制御回路36は、比率R12が比率判定値Rth以上、かつ比率R13が比率判定値Rth以上か否かを判定し(ステップ204)、比率R12,R13の少なくとも一方が比率判定値Rth未満の場合(ステップ204:NO)、すなわち、例えば降雨により雨水などが窓ガラス5に掛かっているような場合、本処理を終了する。一方、比率R12が比率判定値Rth以上、かつ比率R13が比率判定値Rth以上の場合(ステップ204:YES)、すなわち、利用者が手を第2センサ電極32にかざしている場合、ステップ205に移行する。
【0059】
ステップ205において、制御回路36は、動的第2センサ値C2dが第2接近判定値Cth2未満、かつ動的第3センサ値C3dが第2接近判定値Cth2未満か否かを判定する。そして、制御回路36は、動的第2センサ値C2d及び動的第3センサ値C3dの少なくとも一方が第2接近判定値Cth2以上の場合(ステップ205:NO)、すなわち、例えば降雨により雨水などが窓ガラス5に掛かっているような場合、本処理を終了する。一方、動的第2センサ値C2dが第2接近判定値Cth2未満、かつ動的第3センサ値C3dが第2接近判定値Cth2未満の場合(ステップ205:YES)、すなわち、利用者が手を第2センサ電極32にかざしている場合、ステップ206に移行する。
【0060】
ステップ206において、制御回路36は、動的第2センサ離別値ΔC2dが第1離別判定値Δth1以上、かつ動的第3センサ離別値ΔC3dが第1離別判定値Δth1以上か否かを判定する。そして、制御回路36は、動的第2センサ離別値ΔC2d及び動的第3センサ離別値ΔC3dの少なくとも一方が第1離別判定値Δth1未満の場合(ステップ206:NO)、すなわち、例えば降雨により雨水などが窓ガラス5に掛かっているような場合、本処理を終了する。一方、動的第2センサ離別値ΔC2dが第1離別判定値Δth1以上、かつ動的第3センサ離別値ΔC3dが第1離別判定値Δth1以上の場合(ステップ206:YES)、すなわち、利用者が手を第2センサ電極32にかざしている場合、制御回路36は、第1経過時間Te1を取得する(ステップ207)。第1経過時間Te1は、ステップ206が最初に肯定判定されてからの経過時間である。そのため、第1経過時間Te1は、
図6に示す一連の処理が終了するまでの間、ステップ207が実行される度に更新される。
【0061】
そして、制御回路36は、第1経過時間Te1が判定時間Tth以上か否かを判定する(ステップ208)。第1経過時間Te1が判定時間Tth未満の場合(ステップ208:NO)、制御回路36は、ステップ201に移行する。一方、第1経過時間Te1が判定時間Tth以上の場合(ステップ208:YES)、制御回路36は、静的第1センサ離別値ΔC1sが第2離別判定値Δth2未満か否かを判定する(ステップ209)。静的第1センサ離別値ΔC1sが第2離別判定値Δth2以上の場合(ステップ209:NO)、すなわち、利用者の手が第2センサ電極32に向けて第1センサ電極31から離別しない場合、制御回路36は、再度ステップ209を実行する。なお、ステップ209において、所定時間に亘って否定判定が継続される場合、制御回路36は、検出装置30に対する操作が中断されたとして、本処理を終了することが好ましい。
【0062】
これに対し、制御回路36は、静的第1センサ離別値ΔC1sが第2離別判定値Δth2未満の場合(ステップ209:YES)、第1センサ電極31に対する認証操作が行われたと判定し(ステップ210)、本処理を終了する。
【0063】
次に、
図7に示すフローチャートを参照して、第3センサ電極33に対する認証操作が行われたか否かを判定するために制御回路36が実行する処理の流れについて説明する。
図7に示すように、制御回路36は、静的第1センサ値C1s、動的第1センサ値C1d、動的第1センサ離別値ΔC1d、静的第2センサ値C2s、動的第2センサ値C2d、動的第2センサ離別値ΔC2d、静的第3センサ値C3s、動的第3センサ値C3d及び静的第3センサ離別値ΔC3sを含む各種状態量を取得する(ステップ301)。続いて、制御回路36は、静的第3センサ値C3sが第1接近判定値Cth1以上か否かを判定する(ステップ302)。静的第3センサ値C3sが第1接近判定値Cth1未満の場合(ステップ302:NO)、制御回路36は、本処理を終了する。
【0064】
一方、静的第3センサ値C3sが第1接近判定値Cth1以上の場合(ステップ302:YES)、制御回路36は、比率R31,R32を演算する(ステップ303)。続いて、制御回路36は、比率R31が比率判定値Rth以上、かつ比率R32が比率判定値Rth以上か否かを判定し(ステップ304)、比率R31,R32の少なくとも一方が比率判定値Rth未満の場合(ステップ304:NO)、本処理を終了する。一方、比率R31が比率判定値Rth以上、かつ比率R32が比率判定値Rth以上の場合(ステップ304:YES)、ステップ305に移行する。
【0065】
ステップ305において、制御回路36は、動的第1センサ値C1dが第2接近判定値Cth2未満、かつ動的第2センサ値C2dが第2接近判定値Cth2未満か否かを判定する。そして、制御回路36は、動的第1センサ値C1d及び動的第2センサ値C2dの少なくとも一方が第2接近判定値Cth2以上の場合(ステップ305:NO)、本処理を終了する。一方、動的第1センサ値C1dが第2接近判定値Cth2未満、かつ動的第2センサ値C2dが第2接近判定値Cth2未満の場合(ステップ305:YES)、ステップ306に移行する。
【0066】
ステップ306において、制御回路36は、動的第1センサ離別値ΔC1dが第1離別判定値Δth1以上、かつ動的第2センサ離別値ΔC2dが第1離別判定値Δth1以上か否かを判定する。そして、制御回路36は、動的第1センサ離別値ΔC1d及び動的第2センサ離別値ΔC2dの少なくとも一方が第1離別判定値Δth1未満の場合(ステップ306:NO)、本処理を終了する。一方、動的第1センサ離別値ΔC1dが第1離別判定値Δth1以上、かつ動的第2センサ離別値ΔC2dが第1離別判定値Δth1以上の場合(ステップ306:YES)、制御回路36は、第2経過時間Te2を取得する(ステップ307)。第2経過時間Te2は、ステップ306が最初に肯定判定されてからの経過時間である。
【0067】
そして、制御回路36は、第2経過時間Te2が判定時間Tth以上か否かを判定する(ステップ308)。第2経過時間Te2が判定時間Tth未満の場合(ステップ308:NO)、制御回路36は、ステップ301に移行する。一方、第2経過時間Te2が判定時間Tth以上の場合(ステップ308:YES)、制御回路36は、静的第3センサ離別値ΔC3sが第2離別判定値Δth2未満か否かを判定する(ステップ309)。静的第3センサ離別値ΔC3sが第2離別判定値Δth2以上の場合(ステップ309:NO)、制御回路36は、再度ステップ309を実行する。なお、ステップ309において、所定時間に亘って否定判定が継続される場合、制御回路36は、検出装置30に対する操作が中断されたとして、本処理を終了することが好ましい。
【0068】
これに対し、制御回路36は、静的第3センサ離別値ΔC3sが第2離別判定値Δth2未満の場合(ステップ309:YES)、第3センサ電極33に対する認証操作が行われたと判定し(ステップ310)、本処理を終了する。
【0069】
次に、
図8~
図11を参照して、全閉位置に位置する車両ドア3を開作動させる場合の本実施形態の作用について説明する。なお、全開位置に位置する車両ドア3を閉作動させる場合についても、同様の作用を奏するため、その説明を省略する。
【0070】
まず、
図8を参照して、全閉位置に位置する車両ドア3を開作動させる際に、利用者が検出装置30に対して操作を行う場合について説明する。例えば同図に示すように、利用者が操作を行うと、第1静電容量C1が大きくなるため、タイミングt1で静的第1センサ値C1sが第1接近判定値Cth1以上になる。
【0071】
これに対し、第2静電容量C2及び第3静電容量C3は小さな値のままほとんど変化しない。そのため、静的第2センサ値C2s及び静的第3センサ値C3sはそれぞれ小さくなり、比率R12,R13がそれぞれ比率判定値Rth以上となる。また、動的第2センサ値C2d及び動的第3センサ値C3dもそれぞれ小さくなり、動的第2センサ値C2d及び動的第3センサ値C3dがそれぞれ第2接近判定値Cth2未満になる。第2静電容量C2及び第3静電容量C3がほとんど変化しないことから、動的第2センサ離別値ΔC2d及び動的第3センサ離別値ΔC3dはゼロ付近の値となり、動的第2センサ離別値ΔC2d及び動的第3センサ離別値ΔC3dが第1離別判定値Δth1以上となる。さらに、タイミングt1から判定時間Tth以上経過したタイミングt2以降、第1静電容量C1が緩やかに小さくなっていくことから、静的第1センサ離別値ΔC1sが絶対値の大きな負の値となり、静的第1センサ離別値ΔC1sが第2離別判定値Δth2未満となる。
【0072】
これにより、主判定及び全ての追加判定が成立し、認証操作が行われていると判定される。その後、静的第2センサ値C2s及び静的第3センサ値C3sがこの順で大きくなるため、第1操作が行われたと判定され、車両ドア3が開作動する。
【0073】
一方、例えば降雨により窓ガラス5に雨水などが掛かることにより、
図9に示すように、第1静電容量C1、第2静電容量C2及び第3静電容量C3がそれぞれ変化する場合を想定する。この場合、静的第2センサ値C2sが大きくなることで比率R12が小さくなり、比率判定値Rth未満となる。そのため、第1の追加判定が成立せず、認証操作でないと判定されることで、車両ドア3は開作動しない。
【0074】
また、例えば降雨により窓ガラス5に雨水などが掛かることにより、
図10に示すように、第1静電容量C1、第2静電容量C2及び第3静電容量C3がそれぞれ変化する場合を想定する。この場合、例えばタイミングt3で動的第2センサ値C2dが第2接近判定値Cth2以上となり、例えばタイミングt4で動的第3センサ離別値ΔC3dが第1離別判定値Δth1未満となる。そのため、第2の追加判定が成立せず、認証操作でないと判定されることで、車両ドア3は開作動しない。
【0075】
また、例えば降雨により窓ガラス5に雨水などが掛かることにより、
図11に示すように、第1静電容量C1、第2静電容量C2及び第3静電容量C3が変化する場合を想定する。この場合、第1静電容量C1が大きくなったり小さくなったりの変化を急峻に繰り返すことから、静的第1センサ離別値ΔC1sが絶対値の大きな負の値とはならず、静的第1センサ離別値ΔC1sが第2離別判定値Δth2未満とならない。そのため、第3の追加判定が成立せず、認証操作でないと判定されることで、車両ドア3は開作動しない。
【0076】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)検出装置30は、第1操作又は第2操作とともに認証操作が行われたと判定した場合に車両ドア3を開閉作動させる。換言すると、検出装置30は、第1操作又は第2操作が行われたと判定しても、認証操作が行われたと判定できない場合には開閉体を開閉作動させない。したがって、検出装置30は、利用者の操作の誤検出により車両ドア3を開閉作動させることを抑制できる。さらに、制御回路36は、認証センサ電極の静電容量と第1接近判定値Cth1との大小比較を行う主判定の結果と、認証センサ電極の静電容量及び他センサ電極の静電容量の少なくとも一方に基づく追加判定の結果とに基づいて、認証操作が行われたか否かを判定するため、認証操作の誤検出を抑制できる。
【0077】
(2)主判定を、静的認証センサ値と第1接近判定値Cth1との大小比較とし、制御回路36は、静的認証センサ値が第1接近判定値Cth1以上の場合に、認証操作が行われたと判定する。ここで、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがあるため、認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ値を主判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0078】
(3)第1の追加判定を、静的認証センサ値と静的他センサ値との比率と、比率判定値Rthとの大小比較とし、制御回路36は、比率が比率判定値Rth以上となる場合に、認証操作が行われたと判定する。
【0079】
上記のように、例えば降雨により車両ドア3に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量も大きくなり易いため、比率が小さくなり易い。一方、利用者の認証操作として、認証センサ電極に手などの検出対象が接近した状態では、他センサ電極の静電容量が大きくなり難いため、比率が大きくなり易い。したがって、第1の追加判定として比率と比率判定値Rthとの大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。なお、例えば利用者が車両ドア3にもたれ掛かる場合にも、認証センサ電極の静電容量が大きくなるだけでなく、他センサ電極の静電容量も大きくなり易いため、同様に、誤検出を抑制できる。また、センサ電極の静電容量は、ノイズなどの影響により急峻な変化をすることがあるため、他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的他センサ値を第1の追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0080】
(4)第2の追加判定を、動的他センサ値と第2接近判定値Cth2との大小比較及び動的他センサ離別値と第1離別判定値Δth1との大小比較とし、制御回路36は、動的他センサ値が第2接近判定値Cth2未満となり、かつ動的他センサ離別値が第1離別判定値Δth1以上の場合に、認証操作が行われたと判定する。上記のように、例えば降雨により開閉体に雨水などが付着する場合には、他センサ電極の静電容量が変化し易いため、第2の追加判定として動的他センサ値と第2接近判定値Cth2との大小比較及び動的他センサ離別値と第1離別判定値Δth1との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0081】
また、車両ドア3に雨水などが付着する場合には、センサ電極の静電容量が急峻に変化することがあるため、ローパスフィルタ処理を施すと、その静電容量変化が除去されるおそれがある。したがって、他センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施していない動的他センサ値及びその変化量である動的他センサ離別値を第2の追加判定で用いることにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0082】
(5)第3の追加判定を、静的認証センサ離別値と第2離別判定値Δth2との大小比較とし、制御回路36は、静的認証センサ値が第1接近判定値Cth1以上となった後に、静的認証センサ離別値が第2離別判定値Δth2未満となる場合に、認証操作が行われたと判定する。
【0083】
例えば降雨により車両ドア3に雨水などが付着する場合において、認証センサ電極の静電容量が雨水の移動に伴って増減するため、検出対象が認証センサ電極に接近してから離れたと判定するおそれがある。ここで、雨水などの移動に伴う認証センサ電極の静電容量変化は、急峻な変化を示し易いため、ローパスフィルタ処理を施すことにより、検出され難くなる。一方、利用者の操作では、認証センサ電極の静電容量変化が緩やかであるため、ローパスフィルタ処理を施しても、検出可能である。したがって、第3の追加判定として認証センサ電極の静電容量を示す信号にローパスフィルタ処理を施した静的認証センサ離別値と第2離別判定値Δth2との大小比較を行うことにより、認証操作の誤検出を好適に抑制できる。
【0084】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、第3の追加判定が成立し、認証操作が行われたと判定されてから第1操作又は第2操作が行われたか否かを判定したが、これに限らず、例えば第3の追加判定を第1操作又は第2操作が行われたか否かを判定する途中で判定してもよい。
【0085】
・上記実施形態において、判定時間Tthは、利用者の好みに応じて適宜に設定すればよく、また主判定及び第1及び第2の追加判定の間で異なる判定時間を設定してもよい。また、主判定及び第1及び第2の追加判定の少なくとも1つについて、判定時間Tthをゼロ、すなわち判定時間に亘って判定が成立するか否かを判定しなくてもよい。
【0086】
・上記実施形態において、第1の追加判定で用いる比率判定値Rthを、比率R12,R13,R31,R32間で異なる値としてもよい。
・上記実施形態の第2の追加判定において、第2接近判定値Cth2の値を比較対象となるセンサ電極毎に異ならせてもよい。同様に、第1離別判定値Δth1の値を比較対象となるセンサ電極毎に異ならせてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、検出装置30が第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33を備えたが、これに限らず、列をなすように設けられる少なくとも2つのセンサ電極を備えれば、センサ電極の数及び配置は適宜変更可能である。具体的には、例えば検出装置30が第1センサ電極31及び第2センサ電極32のみを有する構成としてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、主判定に加え、第1~第3の追加判定の結果に基づいて認証判定が行われたか否かを判定したが、これに限らず、主判定に加え、第1~第3の追加判定の少なくとも1つの結果に基づいて認証判定が行われたか否かを判定してもよい。換言すれば、制御回路36が第1~第3の追加判定のいずれかを行わずに認証判定が行われたと判定してもよい。
【0089】
・上記実施形態において、利用者の操作として、車両ドア3が全閉状態である場合に、例えば第1センサ電極31及び第2センサ電極32の両方に手をかざした後、第1方向D1に沿ってスワイプするようにしてもよい。なお、この場合には、第1センサ電極31及び第2センサ電極32が認証センサ電極に相当する。
【0090】
・上記実施形態において、検出装置30の設置箇所は適宜変更可能であり、例えばボデー2に設けてもよい。
・上記実施形態では、車両ドア3を開閉体の一例としたが、これに限らず、スイングドアやバックドア、あるいはアクチュエータの駆動により開閉作動する窓ガラス5を開閉としてもよい。なお、この場合、第1センサ電極31、第2センサ電極32及び第3センサ電極33は、開閉体の開閉方向に並ぶように配置することが好ましい。
【0091】
・上記実施形態において、制御回路36は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)などの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【符号の説明】
【0092】
C1…第1静電容量、C1d…動的第1センサ値、C1s…静的第1センサ値、C2…第2静電容量、C2d…動的第2センサ値、C2s…静的第2センサ値、C3…第3静電容量、C3d…動的第3センサ値、C3s…静的第3センサ値、ΔC1d…動的第1センサ離別値、ΔC1s…静的第1センサ離別値、ΔC2d…動的第2センサ離別値、ΔC3d…動的第3センサ離別値、ΔC3s…静的第3センサ離別値、Δth1…第1離別判定値、Δth2…第2離別判定値、Cth1…第1接近判定値、Cth2…第2接近判定値、R12,R13,R31,R32…比率、Rth…比率判定値、1…車両、3…車両ドア、10…ドアECU、11…ドア駆動ユニット、30…検出装置、31…第1センサ電極、32…第2センサ電極、33…第3センサ電極、35…検出回路、36…制御回路、41…判定部、42…制御部。