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特許7019666自立的拡張状態および収縮状態を有する編成テキスタイルスリーブならびにその構築方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】自立的拡張状態および収縮状態を有する編成テキスタイルスリーブならびにその構築方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 21/20 20060101AFI20220207BHJP
   D04B 21/12 20060101ALI20220207BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
D04B21/20 Z
D04B21/12
H02G3/04 081
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019501562
(86)(22)【出願日】2017-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017041855
(87)【国際公開番号】W WO2018013765
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】62/361,826
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/648,336
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クヌードソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ティアンキ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チョン・ホワイ
(72)【発明者】
【氏名】クラウザー,リー
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-514068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0124249(US,A1)
【文献】特表2014-528032(JP,A)
【文献】登録実用新案第3094470(JP,U)
【文献】実開平01-030388(JP,U)
【文献】中国実用新案第202252623(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0328810(US,A1)
【文献】特表2017-533353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 21/20
D04B 21/12
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護テキスタイルスリーブであって、
両端部間において中心長手方向軸に沿って長さ方向に延びる編成された管状壁を備え、
前記壁は、前記中心長手方向軸をほぼ横断する断面で見て、減少した長さで増加した断面積の第1の状態と、前記中心長手方向軸をほぼ横断する断面で見て、増加した長さで減少した断面積の第2の状態とを有し、前記壁は、さらに、前記壁に付勢を付与する編成されたヒートセットヤーンを含み、前記付勢は、何らかの外部からかけられる力がない場合に、前記壁を実質的に前記第1の状態および前記第2の状態のうちの選択された1つにとどめさせる、保護テキスタイルスリーブ。
【請求項2】
前記壁はヒートセットヤーンおよび非ヒートセットヤーンの両方を含む、請求項1に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項3】
前記壁は縦編の編み目を含む、請求項2に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項4】
前記壁は全体的にヒートセットヤーンで製造される、請求項1に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項5】
前記壁は縦編の編み目を含む、請求項1に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項6】
前記壁は単一横列の重ね編み目(single course lapped stitches)を有する、請求項1に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項7】
前記壁は菱形の開口部を有する、請求項6に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項8】
前記壁は複数横列の重ね編み目(multiple course lapped stitches)を有する、請求項1に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項9】
前記壁は六角形の開口部を有する、請求項8に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項10】
前記壁はハニカム形状の開口部を有する、請求項8に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項11】
前記壁はピラー編み目(pillar knit stitches)を有する、請求項1に記載の保護テキスタイルスリーブ。
【請求項12】
テキスタイルスリーブを構築する方法であって、
複数のヤーンを互いに編成して、中心長手方向軸に沿って長さ方向に延びる継ぎ目のない管状壁を形成することを備え、前記ヤーンの少なくともいくつかは、ヒートセット可能なヤーンとして提供され、前記管状壁は、減少した長さで増加した断面積の第1の状態と、増加した長さで減少した断面積の第2の状態との間で移動可能であり、前記方法はさらに、
前記壁が前記第1の状態および前記第2の状態のうちの一方にある間に前記ヒートセット可能なヤーンをヒートセットして、前記ヒートセットヤーンを介して前記壁に付勢を与えることを備え、前記付勢は、前記壁を、前記第1の状態および前記第2の状態のうちの選択された一方に、前記第1の状態または前記第2の状態の他方に前記壁を移動させる外部からかけられる軸方向の力がない場合において、とどめさせる、テキスタイルスリーブを構築する方法。
【請求項13】
前記壁を複数のヒートセット可能なヤーンおよび複数の非ヒートセット可能なヤーンで編成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記壁の全体をヒートセット可能なヤーンで編成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
縦編みプロセスで前記壁を編成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
菱形の開口部を有する前記壁を編成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
六角形の開口部を有する前記壁を編成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ハニカム形状の開口部を有する前記壁を編成することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年7月13日に出願された米国仮特許出願連続番号第62/361,826号、および2017年7月12日に出願された米国特許出願連続番号第15/648,336号の利益を主張する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、一般的にテキスタイルスリーブに関し、より詳細には、編成テキスタイルスリーブに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
編成、織製もしくは編組スリーブでのように、細長い部材をさまざまな環境条件および影響に対してテキスタイルスリーブで保護するか、または結束および引き回し目的で細長い部材を単にテキスタイルスリーブに入れることが知られている。さらに、スリーブを、「閉鎖」壁と呼ばれることがある周方向に連続した継ぎ目のない壁を有して構築することが、一般的である。典型的には、保護されるべき細長い部材の周りにスリーブを配置すると、スリーブの壁は、結束バンド、接着剤、テープなどのような別途の固定物を介して細長い部材に固定される。これらのタイプの固定物は、有用であると証明できるが、欠点がある。欠点のいくつかには、保護されている細長い部材上に接着剤の残留物を残すこと、テープの自由端が細長い部材から外れるなど、使用中に少なくとも部分的にほぐれること、見苦しく見えること、適用中に労力が集中すること、および細長い部材の周りにスリーブを取り付ける間、特定の種類の固定物を手に持つことを必要とすることが含まれる。これらおよび他の不利な点は、細長い部材の周りにスリーブをしっかりと固定するために固定物を使用することを、望ましくなくかつ費用のかかるものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に従って構築されたスリーブは少なくとも上記のこれらの欠点を克服し、他のものについては以下の説明を見れば当業者には明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の1つの態様によれば、保護テキスタイルスリーブは、両端部間において中心長手方向軸に沿って長さ方向に延びる編成された管状壁を有する保護テキスタイルスリーブが提供される。編成壁は、中心長手方向軸をほぼ横断する断面で見て、減少した長さで増加した断面積の第1の状態と、中心長手方向軸をほぼ横断する断面で見て、増加した長さで減少した断面積の第2の状態とを有する。壁は、壁に付勢を付与する編成されたヒートセットヤーンを含み、付勢は、壁を、外部からかけられる何らかの力がない場合に実質的に第1の状態および第2の状態にとどめさせる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、前記壁はヒートセットヤーンおよび非ヒートセットヤーンの両方を含む。
【0007】
本発明の別の態様によれば、壁は縦編の編み目を含む。
本発明の別の態様によれば、壁は全体的にヒートセットヤーンで製造されることができる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、壁は単一横列の重ね編み目(single course lapped stitches)を有することができる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、壁は、編成されたヤーンによって境界付けられる菱形の開口部を形成する単一横列の重ね編み目を有することができる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、壁は、編み目によって境界付けられる六角形またはハニカム形状の開口部を形成する複数横列の重ね編み目(multiple course lapped stitches)を含むことができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、壁はピラー編み目(pillar knit stitches)を含むことができる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、テキスタイルスリーブを構築する方法が提供される。本方法は、複数のヤーンを互いに編成して、中心長手方向軸に沿って長さ方向に延びる継ぎ目のない管状壁を形成することを備え、ヤーンの少なくともいくつかは、ヒートセット可能なヤーンとして提供される。この方法はさらに、壁が、減少した長さで増加した断面積の第1の状態および増加した長さで減少した断面積の第2の状態のうちの一方にある間にヒートセット可能なヤーンをヒートセットして、ヒートセットヤーンを介して壁に付勢を与えることを備え、付勢は、壁を、第1の状態および第2の状態の各々に、壁を第1の状態または第2の状態の他方に移動させる外部からかけられる軸方向の力がない場合に、とどめさせる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、本方法は、壁を複数のヒートセット可能なヤーンおよび複数の非ヒートセット可能なヤーンで編成することを備えることができる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、本方法は、壁全体をヒートセット可能なヤーンで編成することを備えることができる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、本方法は、縦編みプロセスで壁を編成することを備えることができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、本方法は、菱形の開口部を形成する単一重ね編み目(single lapped stitches)を有する壁を編成することを備えることができる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、本方法は、六角形の開口部を形成する複数重ね編み目(multiple lapped stitches)を有する壁を編成することを備えることができる。
【0018】
本発明の別の態様によれば、本方法は、ハニカム形状の開口部を形成する複数重ね編み目を有する壁を編成することを備えることができる。
【0019】
図面の簡単な説明
これらおよび他の態様、この発明の特徴および利点は、現在好ましい実施の形態および最良のモードの以下の詳細な記載、特許請求の範囲および添付の図面と関連して考慮されたときにより容易に十分に理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】軸方向に圧縮された、低減された長さの第1の状態にある間に、保護されるべき細長い部材の周りに配置されて示される、本発明の一実施形態に従って構成された管状編成スリーブの概略側面図である。
図1B】管状編成スリーブが、細長い部材の周りにおいて、軸方向に伸張された、増加した長さの第2の状態で示される、図1Aと同様の図である。
図2A】本発明の一態様に従って構成された図1A図1Bのスリーブの壁の拡大断片図である。
図2B】本発明の別の態様に従って構成された図1A図1Bのスリーブの壁の拡大断片図である。
図2C図2Bの編み目を示す編み目パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照すると、図1A図1Bは、本発明の1つの態様に従って構成された、編成された保護テキスタイルスリーブ(以下、スリーブ10と呼ぶ)を示す。スリーブ10は、開放両端部16,18間において中心長手方向軸14の周りを長さ方向に延びる、編成された、周方向に連続する、継ぎ目のない管状壁12を有する。編成された壁12は、中心軸14を概ね横断する横断面で見たときに、減少した長さL1ならびに増加した直径D1および/または増加した断面積を有する、組付け前の第1の状態を達成するよう、軸方向に圧縮可能であり(図1A)、増加した長さL2ならびに減少した直径D2および/または減少した断面積を有する、組付けられた第2の状態を達成するよう、軸方向に伸長可能である(図1B)。壁12は、少なくとも何らかのヒートセット可能な編成ヤーン20を含み、それは、ヒートセットされると、ヒートセットヤーン20が編成される壁12の少なくとも一部を、外部から加えられる何らかの力がない場合に、第1の状態および第2の状態のうちの選択された1つにとどまらせるかまたは実質的にとどまらせ、外部から加えられる力は、付勢を克服するよう選択的に加えられ得、それにより、壁12を所望に応じて第1の状態と第2の状態との間で軸方向に伸縮させる。ヒートセットヤーン20は、壁12に付勢を付与し、外部から加えられた力を介して付勢を克服すると、壁12は、適切な外力によってさらなる作用を受けて異なる安定したまたは実質的に安定した構成に再び移動するまで、第1の状態または第2の状態のいずれにせよ、その新たに選択された状態にとどまり、壁12は、適切な外力が作用するまで、その新たな安定した構成にとどまる。したがって、壁12は、双安定の、自立的に軸方向に圧縮された第1の状態および軸方向に伸長した第2状態を有するが、壁12は、両端16,18間において第1の状態と第2の状態との間で壁12の長さに沿って所望の数の複数の異なる領域を操作することができる結果として、複数の安定した第1の状態および第2の状態の構成を呈するよう、容易に操作できることが認識されるべきである。
【0022】
壁12は、縦編機で縦編みされることが好ましいが、本明細書では他の編機も考えられる。本発明の一態様によれば、壁12は全体的にヒートセット可能なヤーン20で編成することができ、本発明の別の態様によれば、壁12はヒートセット可能なヤーンおよび非ヒートセット可能なヤーン21の両方で編成できる。どの構成が採用されるかにかかわらず、ヤーン20、21は、個別にヒートセット可能なヤーン20として、またはヒートセット可能なヤーン20および非ヒートセット不可能なヤーン21として互いに組み合わせて、相互連結するループ化された位置22で、編み目を介して互いと相互連結される。ループ22の相互連結は、第1および第2の双安定状態の間における壁12の付勢された移動を引起こし、壁12または壁12の一部を選択された状態に維持する、ヒートセットヤーン20において与えられる付勢の効果を非常に大きくする。相互連結されたループ22は、ラッピング(lapping)とも呼ばれる、単一横列の相互連結されたループ22(図2A)を介するか、またはシーケンシャルな複数横列の相互連結されたループ22(図2Bおよび図2C)を介するなど、さまざまな異なる編み目パターンを介して編成することができ、複数のシーケンシャルな隣接する横列が次々にスリーブ10の長手方向に沿って相互連結される。したがって、ヤーン20、21によって境界付けられる開口部24は、概ね、単一重ね編みの結果として菱形(図2A)、複数重ね編みの結果として六角形(図2Bおよび2C)、または他の態様では、複数重ね編みの結果としてハニカム形状となり得る。
【0023】
壁12を編成すると、たとえば、限定ではなく、約0.1~0.40mmの直径を有し、もしくは、たとえば、限定ではなく、概ね平坦で、約0.15~0.25mmの厚みおよび約1.0~3.5mmの幅を有するナイロン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリプロピレン(PP)などからのヒートセット可能なモノフィラメント、ヒートセット可能なマルチフィラメント、ヒートセット可能な紡糸フィラメント、および/またはヒートセット可能なフラットテープヤーンとして提供されることができるヒートセット可能なヤーン20は、次いで、壁12が、たとえば、完全にまたは少なくとも部分的に軸方向に圧縮され、長さが低減された状態などの、選択された構成にある間に、ヒートセットされる。最大付勢のために、壁12全体は、ヒートセット可能なヤーン20から形成され得るが、たとえば、強化されたカバレージ、熱的、音響的または電磁的干渉(EMI)のような、磨耗以外の追加の種類の保護を提供することが所望される場合には、ヤーンの少なくともいくつかは、非ヒートセット可能なヤーン21として、たとえば、鉱物繊維、たとえばバサルト、シリカ、もしくはセラミックもしくはガラス繊維、もしくはワイヤ、金属被覆ポリマーヤーンフィラメントのような可撓性導電性フィラメントなど、またはヒートセット可能もしくは非ヒートセット可能なモノフィラメントおよび/もしくはマルチフィラメントなど別のヤーンフィラメントとともに供されるかもしくはそれと撚られる導電性フィラメントもしくは非導電性フィラメントを含むハイブリッドヤーンとして提供することができる。
【0024】
ヒートセット可能なヤーン20をヒートセットする前に、壁12の両端16,18は、壁12が、径方向に拡張された、増加した直径D1および/または増加した断面積(すなわち、中心軸14を概ね横断する横断面で見て、壁12によって境界付けられた領域)で、低減された長さL1の、第1の状態にされるまで、互いに向かって軸方向に圧縮され、次いで、適切な程度の熱が、ヒートセット可能なヤーン20に与えられ、それによってヒートセット可能なヤーン20をヒートセットさせる。ヒートセットされると、壁12は、軸方向に伸張された長さL2、減少した直径D2および/もしくは減少した断面積を有する、選択された使用中の第2の状態構成において(図1B)、または軸方向に低減された長さL1、径方向に拡張された直径D1および/もしくは増加した断面積を有する、組付け前の第1の状態構成において(図1A)、壁12を維持しようとする、ヒートセットヤーン20によって付与される付勢を達成する。スリーブ10がどの状態にあるかに関係なく、スリーブ10は、ヒートセットされたヤーン20によって加えられる付勢を克服するのに十分な外部から加えられる軸方向の力が加えられるまで、その状態のままである。スリーブ10の概ね中心軸14の方向に沿って適切な力が壁12に加えられると、軸方向の力の作用を受ける壁12の部分またはセクションは、壁12を弾き、撥ね、一方の状態から他方の状態に移動させ、壁12は、第1の状態から第2の状態に向かうのであれ、またはその逆であれ、適切な外部の軸方向に加えられる力が再び作用するまで、その変更された状態のままである。このように、壁12の全長は、減少した長さの第1の状態もしくは増加した長さの第2の状態の一方に形成され得、または壁12の任意の数の個別の長さ方向に延びる部分もしくはセグメントを操作して前述の第1の状態と第2の状態との間において所望のように変化できることが認識されるべきである。したがって、壁12の、軸方向に延びる、互いに隣接するセグメントは、所望の場合には、互いに異なる第1の状態および第2の状態のうちの異なる状態にとどまるよう付勢され得、それによって、壁はその長さに沿って変動する外形を呈することができる。
【0025】
ヒートセットすることに先立って、スリーブの壁12は、軸方向に、低減された長さL1の、第1の状態に圧縮される間に、壁12の外周部を円形以外の形状にすることができる。したがって、外周部は、中心長手方向軸14に対してほぼ横断した横断面で見て非円形形状に形成することができる。非円形形状は、正方形、長方形、三角形、または任意の多角形、非円形形状など、特定の最終使用用途に有益であり得るような任意の所望の形状とすることができる。次いで、壁12を低減した長さL1の第1の状態に形成し、壁12の外周部を所望の断面形状に構成すると、壁12に熱を加えてヒートセットをヒートセット可能なヤーン20に付与することができ、それによって、壁12に双安定機能を提供すると共に、外周部を、横断面で見て、円形であれ、または非円形であれ、選択された形状に形成することができる。完全な圧縮であれ、部分的な圧縮であれ、壁12は所望の短縮された長さに軸方向に圧縮することができ、さらに、壁12をセクションで圧縮し、ヒートセットしてから、スリーブをその仕上げ長さに切断することができ、または壁12を長さに切断し、次いで所望の長さに圧縮し、次いでヒートセットすることができる。壁12を圧縮する間に、壁12を中心マンドレルの周りに配置して、座屈なしで壁12の均一な圧縮を容易にすることができることが考えられる。さらに、マンドレルは、壁12を、その完全にまたは部分的に圧縮された状態にある間に、ヒートセットすることを容易にするよう、加熱され得る。
【0026】
ワイヤハーネス、導管その他などのような、束ねられ保護されるべき細長い部材26の周りにおけるスリーブ10の組付け中において、壁12は、その中心軸14に沿って軸方向に圧縮されて完全にまたは部分的に圧縮された第1状態にされることができ(図1A)、壁12を異なる構成に移動させるのに何らかの十分な外部からの力がない場合、壁12は第1の状態にとどまるか、または実質的に第1の状態にとどまる。壁12が約2フィート以上といったように比較的長い場合、壁12の全体が少なくとも部分的に軸方向に圧縮されるまで、長さ方向に延びる別個の領域を軸方向に圧縮することができ、それによって、壁12の全長を、第1の、軸方向に圧縮された状態に変換することを容易にする。このように、スリーブ10は、増加した直径D1および/または増加した断面積を呈し、それにより、壁12を、より容易に、保護すべき細長い部材26上、ならびにその細長い部材26の長さに沿って存在してもよい任意の拡大されたコネクタまたは取付具(図示せず)の上および周りに配置することができる。次いで、細長い部材26を、径方向に拡張した壁12を通して配置すると、両端部16,18の少なくとも一方を他方から離れるように軸方向に引っ張るなどして、軸方向に加えられる引っ張り力を壁12に加えることができ、それによって、壁12を、図1Bに概略的に示されるように、例示として、限定を伴わずに、軸方向に延在させて、径方向に拡張された、長さの低減された第1の状態から、径方向に収縮された、長さの増加した第2の状態に、弾かせるかまたは変換させる。壁12のどの部分も、望むならば、他の部分を、第1の、軸方向に圧縮され、径方向に拡張された状態に残しながら、所望に応じて、低減された長さ状態L1から長くされ得ることが認識されるべきである。このように、任意の所望の軸方向長さにわたって延びるように編成することができる壁12は、保護すべき細長い部材26の所望の長さにわたって軸方向に延ばすことができる。壁12またはその少なくとも一部が、増加した長さL2、減少した直径D2、および/または減少した断面積の、第2の状態に移動される状態では、壁12は、たとえばワイヤハーネスなどの細長い部材26を所望の外皮に収容することができ、細長い部材26を所望に応じてきちんと結束および引き回すことができる。上で言及されたように、編成壁12が細長い部材26を束ねるように作用することに加えて、特に複数の個々の露出したワイヤを有するワイヤハーネスの場合、編成壁12は、細長い部材26を磨耗から、汚濁物の進入から保護し、さらに、音響的/減衰および/または熱的保護を与えるよう作用することができる。
【0027】
上記の教示に照らして、本発明の多くの修正物および変形物が可能である。さらに、本発明のさまざまな態様に従って構成された編成管状壁は、保護部材および/または結束部材のそれを含む多数の用途を呈することができることが、例示として、限定を伴わずに認識されるべきである。したがって、本発明は、具体的に記載されたものとは異なる態様で実施することができ、本発明の範囲は、任意の最終的に許可される特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。すべての請求項およびすべての実施形態のすべての特徴を互いに組み合わせることは、そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、予想される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C