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  • 特許-電気装置用ハウジング 図1
  • 特許-電気装置用ハウジング 図2
  • 特許-電気装置用ハウジング 図3
  • 特許-電気装置用ハウジング 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】電気装置用ハウジング
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220207BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
H05K5/02 E
H01H9/02 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019522670
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2017077650
(87)【国際公開番号】W WO2018078120
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】102016120734.9
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ザイト,ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ハンペ,トビアス
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第00570285(EP,B1)
【文献】特開2003-047124(JP,A)
【文献】特開2000-183549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置用ハウジング(1)であって、
ハウジング(1)を、機械、技術装置、または建築物壁に接続するための接続部分(4)を備えるハウジング底部(10)と、
接続部分(4)の外側に設けられた少なくとも1つの固定要素(2)とを有し、
固定要素(2)は、それが機械の、技術装置の、または建築物壁の対応する保持要素と、形状結合可能であり、および/または摩擦結合可能であって、ハウジング(1)をハウジングカバーによって閉鎖可能であるように構成される、電気装置用ハウジング(1)において、
接続部分(4)は、弾性変形可能であるように構成され、そして、内側に、使用者によって操作可能なロック解除要素(3)を備え、そのロック解除要素(3)は、固定要素(2)に作動可能に結合され、かつ、ハウジング(1)が開いているときにのみ内側から作動して、固定要素(2)と、機械の、技術装置の、または建築物壁の保持要素との形状結合、および/または摩擦結合を解除できるように構成されており、
接続部分(4)は、固定要素(2)および/またはロック解除要素(3)の周りに延びる同心の弾性変形可能な波形構造(40)を有することを特徴とするハウジング(1)。
【請求項2】
固定要素(2)とロック解除要素(3)とは接続部分(4)上で互いに対向して配設されることを特徴とする、請求項1に記載のハウジング(1)。
【請求項3】
固定要素(2)は接続部分(4)と一体的に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のハウジング(1)。
【請求項4】
ロック解除要素(3)は接続部分(4)と一体的に形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のハウジング(1)。
【請求項5】
ロック解除要素(3)は、それがグリッパツールによって把持され得るように構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のハウジング(1)。
【請求項6】
固定要素(2)は、機械の、技術装置の、または建築物壁の保持要素から引張力を加えることによって解放できるように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のハウジング(1)。
【請求項7】
固定要素(2)は、機械の、技術装置の、または建築物壁の保持要素から圧縮力を加えることによって解放できるように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のハウジング(1)。
【請求項8】
弾性変形可能な波形構造(40)は、少なくとも2つの環状凸部(400,401)とこれら凸部(400,401)間の少なくとも1つの環状凹部(402)とによって形成されることを特徴とする、請求項に記載のハウジング(1)。
【請求項9】
接続部分(4)は、ハウジング底部(10)と一体的に形成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のハウジング(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングを、機械、技術装置、または建築物壁に接続するための接続部分を備えるハウジング底部と、接続部分の外側に設けられた少なくとも1つの固定要素とを有する電気装置用ハウジングに関し、固定要素は、それが機械の、技術装置の、または建築物壁の対応する保持要素と、形状結合可能であり、および/または摩擦結合可能であって、ハウジングをハウジングカバーによって閉鎖可能であるように構成される。
【背景技術】
【0002】
たとえば、危険をもたらす機械または技術装置の非常停止装置であり得る電気装置のための、冒頭で述べたタイプのハウジングは、技術水準から、種々の実施形態において知られている。特に、非常停止装置用のハウジングでは、たとえば、これらのハウジングを、ハウジング底部に予め設けられた開口に従って、基台とまたはホルダとしっかりとねじ止めすることが知られている。組み立てを特に簡単にするために、製造者によって予め完全な配線が施されていてもよく、機械または技術装置に予め設けられたホルダに、工具を用いずに取り付けることが可能であり、特にホルダの保持要素上にスナップ留めすることができる電気装置が知られている。このようなハウジングは、ハウジングを保持要素に係止するための固定要素が外側からアクセス可能であるという欠点を有する。したがって、これらの電気装置は、設置後にほとんど労力をかけずに容易に取り外すことができ、その後、場合によっては、これを後で見分けがつかないように再設置することができる。電気装置の許可されていない取り外しおよび再取り付けは、特に、安全性が重要な機械または技術装置において問題となり得る。
【0003】
DE19504762C2から、電気装置のハウジングを取付レール輪郭上にロック解除する装置が知られる。ロック解除機構は、プルロッドからなり、横方向またはハウジング内に取り付けることができる。プルロッドを引っ張ることによって、スプレッダバーが、ハウジングの下側で、その動作位置に移動され、ハウジングを取付レールから取り外すことができる。
【0004】
DE102015201916A1には、トップハットレール上に係止することができる、電気装置のハウジングが開示されている。ハウジングのホルダへの固定は、ハウジングの裏側にある偏心要素によって行われる。この場合、偏心要素は、トーションバーおよび制御要素を介して、ハウジングの前面から回転可能に作動される。ハウジングはロック装置と一緒に取り外し可能である。
【0005】
上述したこれら2つの解決手段においては、ハウジングのホルダからの許可されていない分解を検出することはできない。さらに、これらのハウジングは、テンションロッドまたはトーションバーがそれぞれ通過する開口を有している。それによって、より高い保護等級、特に保護等級IP65を有するハウジングを提供することはできない、またはそうするためには非常に多大な努力を要する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ホルダの保持要素に簡単な方法で固定することができ、かつ許可されていない分解に対する改良された防止を提供する上述のタイプのハウジングを提供することである。
【0007】
この問題に対する解決手段は、請求項1の特徴部分の特徴を有する一般的なハウジングを提供する。従属請求項は、本発明の好ましいさらなる形態に関する。
【0008】
発明に従ったハウジングは、接続部分は、弾性変形可能であるように構成され、そして、内側に、使用者によって操作可能なロック解除要素を有し、そのロック解除要素は、固定要素に作動可能に結合され、かつ、ハウジングが開いているときにのみ内側から作動して、固定要素と、機械の、技術装置の、または建築物壁の保持要素との形状結合、および/または摩擦結合を解除できるように構成されている。本発明は、ハウジングカバーを取り外した後にのみ、ハウジングをホルダから再び取り外すことができるという考えに基づいており、それというのは、そうしたときだけ、ユーザは、固定要素に動作可能に接続されたロック解除要素に到達することができて、ロック解除要素を操作可能であるからである。固定要素との接続部分は、固定要素が、機械もしくは装置の側の、または建築物側のホルダに、ハウジングを取り付けた後に、ハウジングによって隠され、したがって外部からアクセスできないように構成され、その結果、ハウジングは、破壊せずに分解することはできない。好ましくは、ハウジングは、少なくとも1つの操作防止手段を有し、それは、ハウジングが開かれたときに損傷するように構成されている。操作防止手段は、たとえば、ステッカーであることが可能であり、それが、ハウジングとハウジングカバーとの間の分割線上に、またはハウジングカバーをハウジングに取り付けることができる固定手段のうちの少なくとも1つの上に貼り付けられる。ハウジングを開けるとステッカーが傷つく。これにより、不正開封によるハウジングの操作を確実に検出することができる。欠陥がある場合、ハウジングは、専門家以外の人でも短時間で交換することが可能である。この目的のために、必要なのは、ハウジングカバーを取り外して、ロック解除要素を操作するだけである。特に修理や交換のためにハウジングを分解することは、もちろん、操作防止手段を傷つけることなく可能である。ハウジングの組み立ても非常に簡単であり、なぜなら、組み立て目的のためにハウジングを開く必要がないからである。このハウジングのさらなる利点は、ハウジングが、ロック解除要素のための操作手段を外部から通さねばならない開口を有していない点である。これにより、特に保護等級IP65のような、高い保護等級のハウジングを簡単に作成可能である。
【0009】
ハウジングのロックをロック解除するときに、ロック解除要素から固定要素へ最適な力伝達を達成するために、好ましい実施形態では、固定要素とロック解除要素とが接続部分上で互いに対向して配設される構成とされている。
【0010】
ハウジングの製造を簡単にするために、特に有利な実施形態では、固定要素が接続部分と一体的に形成される構成とすることが可能である。ロック解除要素が接続部分と一体的に形成されることも同様に有利である。特に有利であるのは、この実施形態では、固定要素およびロック解除要素を製造して、それを接続部分に固定するために追加の製造および組立て工程が必要とされないので、固定要素およびロック解除要素の両方が接続部分と一体的に形成されるところである。しかし、原則として、固定要素および/またはロック解除要素を別々の構成要素として実施し、それらを適切な方法で接続部分に固定することも可能である。
【0011】
好ましい実施形態では、ロック解除要素は、それがグリッパツールによって、たとえば把持トングによって把持され得るように構成することが可能である。ロック解除のこの実施形態は、簡単で、ユーザにとって直感的な、保持要素からのハウジングのロック解除法を生み出す。
【0012】
好ましくは、固定要素は、機械の、技術装置の、または建築物壁の保持要素から引張力を加えることによって解放できるように構成することができる。あるいは、固定要素は、機械の、技術装置の、または建築物壁の保持要素から圧縮力を加えることによって解放できるように構成することも可能である。
【0013】
有利な実施形態では、接続部分は、固定要素および/またはロック解除要素の周りに延びる同心の弾性変形可能な波形構造を有する構成とすることが可能である。これにより、接続部分の弾性変形性を簡単な方法で達成することができる。好ましくは、弾性変形可能な波形構造は、少なくとも2つの環状凸部とこれら凸部間の少なくとも1つの環状凹部とによって形成することが可能である。この波形構造は、接続部分の剛性を減少させ、それによって簡単な方法でその弾性変形を可能にする。
【0014】
ハウジングの製造を特に簡単にするために、特に有利な実施形態では、接続部分をハウジング底部と一体的に形成する構成とされる。したがって、ハウジングは、たとえばプラスチック射出成形プロセスによって製造することができる一体型構成要素であることが好ましい。接続部分はハウジング底部と一体的に形成され、ハウジングの製造時に既に形成されているので、ハウジングのある程度の保護を達成する必要があるとしても、接続部分をハウジング底部に取り付けて適切にシールするための追加の取り付け工程が省かれる。これに関しては、固定要素およびロック解除要素が接続部分と一体的に形成されることが特に有利である。
【0015】
しかしながら、原則的に、接続部分が、ハウジング底部収容開口内に設けられた適切な形状に挿入されてこれに固定される別個の構成要素として形成されることも考えられる。しかしながら、この変形例は、接続部分とハウジングとの結合を非常に手間をかけてしか封止できないという欠点を有する。したがって、この実施形態は、保護等級が低いハウジングにより適している。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の好ましい実施形態に従って構成された電気装置用のハウジングの斜視図である。
図2】ハウジングの側面図である。
図3】ハウジングの縦断面図である。
図4】ハウジングの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図4を参照すると、たとえば、機械または技術装置の非常停止装置などの電気装置のためのハウジング1は、ハウジング底部10、周方向ハウジング内壁11、および周方向ハウジング外壁12を含む。プラスチック製であるハウジング1は、実質的に矩形、ここでは、実質的に正方形の輪郭を有する。周方向に延びる内壁11は、ハウジング1の内部収容空間を規定し、その収容空間内に電気装置の構成部品を収容することが可能である。ハウジング1は、やはりまたプラスチックから作られるハウジングカバーによって封止されて、高い保護等級、特に、保護等級IP65を達成可能であるように密閉される。電気接続は、たとえば、業界標準の、5ピンM12コネクタを差し込むことで実現することが可能である。
【0019】
図1および図4に見られるように、ハウジング内壁11は、ハウジング1の4つの角領域のすべてにおいて、外壁12から離間している。結果として、これら4つの角領域のそれぞれには、ギャップ13a,13b,13c,13dが形成され、そのギャップ内には、それぞれ、中空筒状受け部14a,14b,14c,14dが形成される。ハウジング1は、ここでは図示されていないハウジングカバーによって閉鎖されることが可能であり、そのハウジングカバーは、それら4つの角領域に、それぞれ、挿入開口を備える。これらの挿入開口は、ハウジングカバーがハウジング1上に配設された後、それぞれ、中空筒状受け部14a,14b,14c,14dのうちの1つと位置合わせされる。続いて、それぞれの挿入開口をそれぞれの固定ねじは通過案内され、それぞれの挿入開口と整列している受け部14a,14b,14c,14dにねじ込まれることが可能である。好ましくは、ハウジング1は、ハウジング1の開口が、ハウジングカバーを取り外すことによって確実に検出されることが可能に構成された、少なくとも1つの操作防止手段を有する。操作防止手段は、たとえば、ステッカーであってもよく、それを、ハウジング1とハウジングカバーとの間の分割線上に、または、固定ねじの少なくとも1つの上に貼り付けることが可能である。ハウジング1の開放は、ステッカーの不可逆的な損傷を導き、したがって確実に開放を検出することができる。
【0020】
ハウジング底部10は、弾性変形可能な、接続部分4を有し、該接続部分4は、外側に、少なくとも1つの固定要素2を含み、該固定要素は、それに対応する保持要素であって、機械もしくは技術装置に配設された、または建築物壁に配設された保持要素と、形状結合可能であるように構成される。固定要素2は、接続部分4と一体的に形成されている。ハウジング1が接続されている保持要素は、たとえば保持レール、特に、トップハットレール(DINレール)であってよく、好ましくはラッチ要素として構成することが可能である。このラッチ要素を用いて、組み立て中、そしてハウジング1を先に開けることを要せずに、固定要素2をロックすることが可能である。固定要素2は、接続部分4の外側の中央領域に配設され、したがって保持要素に固定した後に、ハウジング1によって覆われる。これは、固定要素2が、外側からアクセス可能ではなく、そしてハウジング1を、保持要素から、破壊することなしに容易に取り外すことができないという利点をもたらす。
【0021】
たとえば、欠陥がある場合に、ハウジング1を保持要素から容易に取り外すことができるようにするために、少なくとも、固定要素2が外側に形成されている領域に、接続部分4を設けることによって、ハウジング底部10を弾性変形可能に構成する。接続部分4は、剛性を低減させ、弾性変形可能とするために、同心の、固定要素2周りに延びる波型構造体40を有し、該波型構造体40は、ハウジング1の内方に向く2つの環状凸部400,401と、外方に向く、これら凸部400,401間の1つの環状凹部402とによって形成されている。図3に最もよく表された、同心波型構造は、2つの凸部400,401と、その間に設けられた凹部402を含み、接続部分4に、必要な弾性を付与し、よって、接続部4を、圧縮力または引っ張り力を加えることによって弾性変形させることが可能である。図3に見られるように、接続部分4は、ロック解除要素3を有し、該ロック解除要素3は、固定要素2に対向して配設され、ハウジング1の内部に延びている。このロック解除要素3は、その機能を以下により詳細に説明するが、これもまた、接続部分4と一体的に形成されている。図1による斜視図においても、凸部400,401と、それらの間に延在する凹部402とを備える、接続部分4の上述の同心円状波形構造40を分かりやすく示すために、ロック解除要素3の左右に、意図的に、現実にはないが、もっぱら目でみて分かるようにすることを目的とした、「波線」が描かれている。
【0022】
ハウジング外壁12は、その4つの側面のそれぞれの下部領域に、凹部120を有し、この凹部120は、ハウジング1が取り付けられるべき保持レールの輪郭に適合している。この場合、凹部120は、ハウジング1が蟻継ぎ形状の保持レール上に装着するのに適するように形成されている。ハウジング外壁12の両側の2つの凹部120は、互いに整列するように配設されているので、組み立てにおいて、ハウジング1を簡単な方法で保持レール上に押すことができる。外側ハウジング壁12の両側にそれぞれ凹部を備えることによって、ハウジング1は、支持レール上で互いに90°回転して整列した、2つの異なる状態で取り付けられることができる。保持レールに押し付けられると、固定要素2は保持レールとの接触によって内側に押圧され、それにより同心円状の波形構造40は内側に弾性変形する。保持レール上でのさらなる移動運動の間に、固定要素2が最終的に保持要素に達すると、固定要素2は形状嵌合によって保持要素に係合してそれを係止する。波形構造体40は弛緩し、よって、固定要素2と保持要素とを確実に形状結合させる。
【0023】
ハウジング1はハウジングカバーによって閉じられているので、ハウジング1は動作中に気密封止されている。たとえば、電気装置に不具合が生じた場合にハウジング1をホルダから取り外すことができるようにするために、第1のステップで固定ねじを緩めなければならないので、ハウジングカバーをハウジング1から取り外すことができる。この場合、ハウジング1の操作防止手段が損傷する。続いて、使用者は、掴み工具、特にグリッパを用いてロック解除要素3を掴み、ロック解除要素3に引っ張り力を加えることができる。固定要素2の周り、およびロック解除要素3の周りに延びる同心シャフト構造40は、引っ張り力の作用によって内側に引っ張られ、弾性的に変形して、固定要素2が保持要素から外れるため、形状結合が解除される。次いで、ハウジング1は、使用者によって支持レールに沿って押されて、最終的にそれから取り外すことができる。
【0024】
好ましくは、ハウジング1全体が一体的に形成されている。すなわち、固定要素2によって、およびロック解除要素3によって、ハウジング1のためのロックおよびロック解除機構を提供する接続部分4が、ハウジング底部10と一体的に構成され、したがって、分割された、追加の組み立て工程において組み立てられるべき構成要素は何もない。
【0025】
ここに開示されたハウジング1の1つの利点は、事前に開けることを要せずに、簡単な方法で、工具を使用せずに、保持要素、特に保持レールの保持要素に固定することができることである。固定要素2とロック解除要素3とによって形成されるロックおよびロック解除機構は、機械的に非常に頑丈に構成され、損傷を受けやすいのでハウジング1を使用不可にするおそれのあるような繊細な構成要素がない。ハウジング1の、許可されない開放、および(特に修理目的のために)許可されて行われる開放は、その後に操作防止手段によって認識可能である。したがって、ハウジング1は、安全性が重要な機械または技術装置で利用される電気装置にも適している。ハウジング1のさらなる利点は、それが容易に再利用可能であることである。たとえば、ハウジング1は、修理をして、操作防止手段を再び設けることが可能であり、それによって、シールされて、新たな設置のための準備ができている。
【0026】
接続部分4が一体に形成されたハウジング1は、プラスチック射出成形法により容易に製造することができる。ハウジング1はオフツールのものである。これは、射出成形プロセスの完了後に、ハウジング1を完成するために追加の組み立て工程が必要とされないことを意味する。ロックおよびロック解除機構と共にハウジング1を製造することは、簡単なオンオフツールによって可能である。
【0027】
基本的に、接続部分4は、適切に形成された、ハウジング底部10内に予め設けられた、開口内に挿入されて、この中で固定される別個の構成要素として形成されることも考えられる。しかしながら、この変形例は、接続部分4とハウジング1との接続を封止することが非常に困難であるという欠点を有する。したがって、この実施形態は、保護等級が低いハウジング1に対してより適している。
【0028】
原則的には、固定要素2および/またはロック解除要素3を接続部分4と一体に形成しないことも可能である。しかしながら、この変形例は、固定要素2および/またはロック解除要素3を製造し、それを接続部分4に固定するために追加の工程が必要であるという欠点を有する。固定要素2および/またはロック解除要素3と接続部分4との一体構成は、したがって、かなりより有利である。
図1
図2
図3
図4