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特許7019710無線機能を伴うデバイスの性能を測定するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】無線機能を伴うデバイスの性能を測定するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/10 20060101AFI20220207BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20220207BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20220207BHJP
   H01Q 17/00 20060101ALI20220207BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20220207BHJP
【FI】
G01R29/10 E
G01R29/08 A
G01R31/00
H01Q17/00
H05K9/00 N
H05K9/00 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019548332
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 SE2018050208
(87)【国際公開番号】W WO2018164627
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】1750243-6
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519315899
【氏名又は名称】ブルーテスト、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】BLUETEST AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ヨン、クバーンストランド
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021875(JP,A)
【文献】特開2012-127667(JP,A)
【文献】特開2015-094709(JP,A)
【文献】特開平10-093286(JP,A)
【文献】国際公開第2010/059103(WO,A1)
【文献】特開2004-119565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0131689(US,A1)
【文献】特開2009-063427(JP,A)
【文献】特表2014-522497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 29/00-29/26、
H04B 1/60、
3/46-3/493、
17/00-17/40、
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスの性能を測定するための測定装置であって、
前記被試験デバイスを取り囲むようになっている内部キャビティを内部に画定し、電磁反射材料の内側に面する表面を有する壁を含み、それにより、マルチパス環境をシミュレートする、室と、
前記内部キャビティに配置され、第1の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を送受信するように構成される少なくとも1つの第1の室アンテナと、
前記内部キャビティに配置され、第2の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を送受信するように構成される少なくとも1つの第2の室アンテナと、
前記被試験デバイスと前記第1の室アンテナ及び前記第2の室アンテナとの間の送信を測定するために、前記被試験デバイスと前記第1の室アンテナ及び前記第2の室アンテナとに接続される測定機器と、
を備え、
前記測定装置は、前記内部キャビティ内に配置される少なくとも1つの周波数選択性吸収体を更に備え、前記周波数選択性吸収体は、前記第1の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を吸収するとともに、前記第2の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を反射するようになっている、測定装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の室アンテナ及び前記少なくとも1つの第2の室アンテナが同時に動作されるようになっている請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第1の所定の周波数範囲が前記第2の所定の周波数範囲よりも高い周波数帯域にある請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の所定の周波数範囲は、異なっており、互いに対して重なり合わない請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1の所定の周波数範囲は、1GHzを上回る請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記第1の所定の周波数範囲は、5GHz~200GHzの範囲内である請求項1から5のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第2の所定の周波数範囲は、10GHz未満である請求項1から6のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第2の所定の周波数範囲は、100MHz~10GHzの範囲内である請求項1から7のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の室アンテナ及び前記少なくとも1つの第2の室アンテナが前記内部キャビティ内の空間的に離れた位置に配置される請求項1から8のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の室アンテナが、前記被試験デバイスに対して自由視線を伴って配置される請求項1から9のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項11】
前記被試験デバイスと前記少なくとも1つの第2の室アンテナとの間の視線が遮られるように前記被試験デバイスと前記少なくとも1つの第2の室アンテナとの間に配置されるシールド構造体を更に備える請求項1から10のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記周波数選択性吸収体は、メッシュの導電グリッドによってその表面が少なくとも部分的に覆われる吸収本体を備える請求項1から11のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項13】
前記導電グリッドが所定の寸法の穴を備え、前記所定の寸法が前記第1の室アンテナから送信される電磁波の波長に基づく、請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
前記周波数選択性吸収体は、前記室の壁に少なくとも部分的に設けられ、それにより、前記壁の内側に面する表面を少なくとも部分的に覆う、請求項1から13のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
被試験デバイスの性能を測定するための方法において、
室内に被試験デバイスを配置するステップであって、前記室は、内部キャビティを内部に画定するとともに、電磁反射材料の内側に面する表面を有する壁を含み、それにより、マルチパス環境をシミュレートする、ステップと、
前記内部キャビティ内に少なくとも1つの第1の室アンテナを配置するとともに、前記内部キャビティ内に少なくとも1つの第2の室アンテナを配置するステップであって、前記少なくとも1つの第1の室アンテナは、第1の所定の周波数範囲の電磁波を送信及び/又は受信するように構成され、前記少なくとも1つの第2の室アンテナは、第2の所定の周波数範囲の電磁波を送信及び/又は受信するように構成される、ステップと、
前記室内で送信される前記第1の所定の周波数範囲の電磁波を吸収するステップと、
前記室内で送信される前記第2の所定の周波数範囲の電磁波を反射するステップと、
前記被試験デバイスと前記少なくとも1つの第1の室アンテナ及び前記少なくとも1つの第2の室アンテナとの間の送信を測定するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機能を有する被試験デバイス(DUT)の性能を測定するための改良された装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は残響室に関する。
【背景技術】
【0002】
残響室又はモード撹拌室は、近年、例えば様々な無線通信デバイスの無線性能を試験する際に有効なツールになってきた。そのような室は、しばしばMIMO(Multiple Input Multiple Output)テクノロジーとして知られる通信、及び、幾つかの周波数帯域を使用して同時に動作するデバイスなどに、マルチパス信号の伝播に依存するデバイスの試験に対する簡単な解決策を与える。
【0003】
同一出願人による米国特許第7444264号明細書及び米国特許第7286961号明細書は、例えば、アンテナの放射効率と携帯電話などのモバイル端末及び無線端末の全放射電力(TRP)とを測定するために使用できるそのような残響室を開示する。米国特許第7444264号明細書及び米国特許第7286961号明細書に記載されるのと同じ測定セットアップも、アンテナダイバーシティの性能を決定するために使用された。そのような残響室は、端末がいずれのシステムのために設計されているかに応じて、フェージングマルチパス環境での送信性能を測定するために、及び/又は、ビットエラーレート(BER)又はフレームエラーレート(FER)による受信性能を測定するために使用され得る。
【0004】
残響室は、前述の先の発明を利用することにより、アンテナ、増幅器、信号処理アルゴリズム、及び、コーディングの送信性能及び受信性能を含む、モバイル端末及び無線端末の完全な性能を送信及び受信の両方で特性化するために使用され得る。これにより、3G及び4G(LTEとも呼ばれる第3及び第4世代の移動通信システム)と称されるより高度な移動通信システムのための端末に関連するRF試験の大きな可能性が開かれてきた。そのようなシステムは、送信と受信の両方に関して複数のアンテナを利用するとともに、これらを用いてフェージングマルチパス環境に適合して、バッテリ寿命及びデータレートを改善する。そのようなシステムは、ダイバーシティアンテナシステム及びMIMO(Multiple Input Multiple Output)アンテナシステムのような用語の下で知られている。最適なダイバーシティ及びMIMOシステムを開発するためには、マルチパス環境において端末及び基地局シミュレータの性能を定量化することがこれまで以上に重要となり得る。残響室はこの試験の機会を与えることができる。
【0005】
残響室の究極の試験の機会は、基地局でのデータ入力から端末でのデータ出力まで又はその逆で、ダイバーシティ及びMIMO機能を伴う通信システム全体のデータスループットを測定することである。これは、ユーザにとって最も重要であるスループットと称される1つの性能値において放射電力、無線チャネル、及び、受信機感度の影響を含む。このスループットは結果として得られるデータ転送速度であり、また、残響室内の測定セットアップは科学論文(J.Asberg、A.Skarbratt、及び、C.Orlenius、「Over-the-air performance testing of wire-less terminals by data throughput measurements in reverberation chamber」、アンテナ及び伝搬に関する欧州会議ICAP 2011、2011年4月11~15日、ローマ)に既に記載されている。
【0006】
残響室は、測定精度及び実際の環境との類似性の両方に関して常に改善され得る。現時点では、別の測定技術と比べて不確実性はかなりのものであるが、より正確な室が、より低い周波数で測定できるようにする、又は、より小さい室内においてより短い時間で測定できるようにし、これは魅力的である。残響室は、周囲空間全体にわたって入ってくる波の到達角度が均一に分布する等方性のマルチパス環境に相当する。これは、フェージングを伴うマルチパスではアンテナ及び無線端末にとって良好な基準環境である。
【0007】
しかしながら、我々は、毎年全ての技術分野で技術の進歩が成されている急速に変化する世界の一部である。特に無線技術及び遠隔通信の分野では、モバイル規格の新たな世代、すなわち、新たな問題や技術的課題が待ち受けている第5世代(5G)が近づいている。より詳細には、次世代のモバイル規格において、デバイスは、場合により、現在の周波数範囲450MHz~6GHz及び6~100GHzの範囲のより高い周波数の両方で通信できることが求められ、その結果、より高い周波数の試験に関して新たな課題を有する。これは、無線リンクの伝搬特性がより高い周波数では異なり、顕著なマルチパスが少ないからである。
【0008】
したがって、近年の残響室によって得られる測定精度の改善にもかかわらず、特定のデバイス、例えば予期される次世代のモバイル規格で動作するデバイスの試験をサポートするために改善の必要性が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第7444264号明細書
【文献】米国特許第7286961号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】科学論文(J.Asberg、A.Skarbratt、及び、C.Orlenius、「Over-the-air performance testing of wire-less terminals by data throughput measurements in reverberation chamber」、アンテナ及び伝搬に関する欧州会議ICAP 2011、2011年4月11~15日、ローマ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、現在知られているシステムの前述の欠点の全て又は少なくとも一部を軽減する方法及び装置を提供することである。
【0012】
この目的は、添付の特許請求の範囲に規定される装置及び方法によって達成される。
【0013】
この目的は、添付の特許請求の範囲に規定されるような被試験デバイスの性能を測定するための測定装置及び方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、被試験デバイスの性能を測定するための測定装置であって、
被試験デバイスを取り囲むようになっている内部キャビティを内部に画定し、電磁反射材料の内側に面する表面を有する壁を含み、それにより、マルチパス環境をシミュレートする、室と、
キャビティに配置され、第1の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を送受信するように構成される少なくとも1つの第1の室アンテナと、
キャビティに配置され、第2の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を送受信するように構成される少なくとも1つの第2の室アンテナと、
被試験デバイスと室アンテナとの間の送信を測定するために、被試験デバイスと第1の室アンテナ及び第2の室アンテナとに接続される測定機器と、
を備え、
測定装置が、キャビティ内に配置される少なくとも1つの周波数選択性吸収体を更に備え、周波数吸収体が、第1の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を吸収するとともに、第2の所定の周波数範囲内の周波数を有する電磁波を反射するようになっている、測定装置が提供される。
【0015】
これにより、例えば、アンテナ、増幅器、信号処理アルゴリズム、及び、コーディングの送信性能及び受信性能を含む、例えばモバイル無線端末の性能を送信及び受信の両方で特性化するために使用され得る測定装置が提供される。更に、システムは、5G(第5世代の移動通信システム)のための端末のRF(無線周波数)試験に適合する。そのようなシステムは、4Gなどの前身と同様に、送信及び受信の両方において複数のアンテナを利用するとともに、これらを用いてフェージングマルチパス環境に適合して、バッテリ寿命及びデータレートを改善する。そのようなシステムは、ダイバーシティアンテナシステム及びMIMO(Multiple Input Multiple Output)アンテナシステムのような用語の下で知られている。最適なダイバーシティ及びMIMOシステムを開発するためには、これらの端末及び基地局シミュレータの性能を定量化することがこれまで以上に重要である。
【0016】
しかしながら、来るべき第5世代のモバイル規格(5G)においては、背景の節で論じられたように、モバイル無線端末が2つの異なる周波数範囲で通信するように求められると想定される。より高い周波数において、データの送信は、より高い周波数での無線リンクの異なる伝搬特性(例えば、それほど顕著ではないマルチパス)に起因して、より直接的な特性になり得る。したがって、本発明の測定装置を用いて、室内の異なる周波数範囲で動作する2つのアンテナを利用することにより、及び、同じ室内に周波数選択性吸収体を配置することにより、伝搬チャネルの視線成分が導入されてもよい。
【0017】
したがって、本発明により、室は、特定の周波数のための残響室として機能できると同時に、他の周波数のための無響室又は部分無響室として機能できる。
【0018】
「被試験デバイス」という用語は、この出願との関連では、無線インタフェースを介して電磁信号を送信又は受信できる任意のタイプのデバイスを示すために使用される。特に、被試験デバイスは、アンテナ、携帯電話、及び、他の無線端末であってもよい。
【0019】
「壁」という用語は、本出願及び本明細書中に開示される室との関連では、任意の方向の壁、すなわち、側壁、天井、及び、床を含む壁を表すために使用される。
【0020】
従来から知られる残響室、すなわち、より低い周波数(この文脈では6GHz未満)で無線モバイル端末の性能を測定するために使用される内部に反射する壁から構成されるキャビティを有する室は、来るべき5G規格にはあまり適さない場合がある。これは、室アンテナと被試験デバイスとの間の直接的な視線セットアップでは送信/受信性能を測定する方法がないからである。したがって、本発明者らは、周波数選択性吸収体を残響室に付加することにより遅延拡散(信号が幾つかの異なる軌道を通過する間に被試験デバイスに到達する時間の分散)を変更できることに気付いた。これは、残響室が異なる周波数で異なる特性を有するように残響室のフェージング環境を調整するためである。その結果、今では、異なる周波数で同時に通信するデバイスを試験することができ、より具体的には、現実の状態にあるように、異なる周波数で異なるフェージング環境を伴うデバイスを試験することができる。
【0021】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つの第1の室アンテナと少なくとも1つの第2の室アンテナとが同時に動作するようになっている。
【0022】
第1及び第2の所定の周波数範囲は、好ましくは、異なっており、互いに対して重なり合わない。
【0023】
第1の所定の周波数範囲は、第2の所定の周波数範囲より低くてもよい。しかしながら、殆どの測定状況に関しては、第1の所定の周波数範囲が第2の所定の周波数範囲よりも高い周波数帯域にあることが好ましい。
【0024】
第1の所定の周波数範囲は、1GHzを上回り、好ましくは5GHzを上回り、最も好ましくは10GHzを上回ってもよい。
【0025】
更に、第1の所定の周波数範囲は、5GHz~200GHzの範囲内、好ましくは6GHz~150GHzの範囲内、最も好ましくは6GHz~100GHzの範囲内であってもよい。例えば、特定の試験条件に応じて、少なくとも1つの第1の室アンテナは、8.5~10.6GHz、13.4~15.2GHz、15.7~17.3GHz、19.7~21.2GHz、24.25~27.5GHz、27.5~29.5GHz、37~40.5GHz、45.5~47GHz、47.2~50.2GHz、50.4~52.6GHz、59.3~71GHz、66~76GHz、81~86GHz及び92~100GHzを含む群から選択される少なくとも1つの周波数帯域で動作するように構成されてもよい。
【0026】
第2の所定の周波数範囲は、10GHz未満、好ましくは5GHz未満、最も好ましくは1GHz未満であってもよい。
【0027】
更に、第2の所定の周波数範囲は、100MHz~10GHzの範囲内、好ましくは300MHz~8.5GHzの範囲内、最も好ましくは400MHz~6GHzの範囲内であってもよい。
【0028】
前述の実施形態では、2つの周波数範囲が与えられる。しかしながら、3つ以上の周波数範囲が使用されてもよく、また、測定装置は、前記周波数範囲の全てを同じ又は様々な程度まで吸収する又は反射するように設計されてもよい。異なる極性に対して異なる周波数範囲を与えることもできる。
【0029】
本発明の更に他の実施形態では、少なくとも1つの第1の室アンテナ及び少なくとも1つの第2の室アンテナがキャビティ内の空間的に離れた位置に配置される。更に、少なくとも1つの第1の室アンテナは、被試験デバイスに対して自由視線を伴って配置されてもよい。本出願との関連での自由視線とは、送信機と受信機との間での電磁波の伝搬がこれらの2つの間に障害物が何ら配置されることなくなされるセットアップとして理解されるべきである。被試験デバイスに対して自由視線を伴って室アンテナを配置することにより、実質的なKファクタを伴うライスフェージング環境をもたらすことができ、それにより、試験室内の現実のシミュレーションの精度が更に向上する。
【0030】
更に、本発明の更に他の実施形態において、測定装置は、被試験デバイスと少なくとも1つの第2の室との間の視線が遮られるように被試験デバイスと少なくとも1つの第2の室アンテナとの間に配置されるシールド構造体を更に備える。そのようなシールドにより、第2の室アンテナと被試験デバイスとの間の直接的な結合が大幅に減少され、同時に、シールドが室内のマルチモード分布を僅かにのみ減少させる。これにより、測定精度が向上される。シールドは、室の2つの対向する側壁間に、前記対向する側壁間の距離の40~80%、好ましくは50~75%の範囲内の幅延在部を有するとともに、室の屋根と床との間に、前記床と屋根との間の距離の20~80%、好ましくは50~70%の範囲内の高さ延在部を有してもよい。
【0031】
周波数選択性吸収体は、例えば円筒、シールド、立方体、円錐、ピラミッドなどの形態を成す室内に配置される独立型の物体として配置されてもよい。しかしながら、好ましくは、周波数選択性吸収体は、室の壁に少なくとも部分的に設けられ、それにより、前記壁の内側に面する表面を少なくとも部分的に覆う。好ましくは、周波数選択性吸収体は、内壁面積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、最も好ましくは少なくとも50%を覆うように設けられる。周波数選択性吸収体は、内壁面の100%を覆うように配置されてもよいが、好ましくは、内壁面の少なくとも一部は、少なくとも5%又は少なくとも10%又は少なくとも25%など、周波数選択性吸収体によって覆われない。
【0032】
更に、本発明の更に他の実施形態において、周波数選択性吸収体は、ワイヤメッシュなどの導電グリッドによって少なくとも部分的に覆われる吸収本体を備える。導電グリッド(又は有孔導電スクリーン)という用語は、この文脈では、電磁波がグリッドにより反射されることに関して反射性であると見なされる。更に、この用語は、広義に解釈されるべきであり、有孔シート(すなわち、複数の貫通穴又は開口を有する導電性材料(又は電磁反射材料)のシート)及びワイヤメッシュ又は金属グリッドを含むと考えられる。穴又は開口のサイズは、意図される用途にしたがって変えられてもよく、それにより、入射電磁波の周波数に基づいてどの電磁波が反射されてどの電磁波が吸収されるのかを制御することができる。例えば、穴又は開口のサイズが入射電磁信号の波長に比べて小さい場合、電磁波は、大部分が反射され、僅かな量だけが導電グリッドを透過する。その結果、穴/開口が入射電磁信号の波長に比べて大きい場合、その信号は、大部分が導電グリッドを透過し、僅かな量だけが反射される。
【0033】
したがって、本発明の更に他の実施形態では、導電グリッドが所定の寸法の穴を備え、所定の寸法は、第1の室アンテナから送信される電磁波の波長に基づく。これにより、第1の室アンテナによって送信される電磁信号を効果的に吸収することができる。更に、吸収体を導電グリッド内に収容してそれらを室内(例えば室の壁)に配置することにより、低周波数で完全な反響に近い高いQの高遅延拡散の環境を、また、高周波数で無響に近い環境をもたらすことができる。更に、壁のどれだけが周波数選択性吸収体により覆われるかの割合を変更することにより、任意の所望の中間性能を得ることができる。
【0034】
直接的な視線を有するアンテナと直接的な視線を有さないアンテナとを様々な方法で組み合わせることができる。本発明の室は、
-例えばシールドを設けることによってDUTに対する視線を伴わない0、1、2又はそれ以上のアンテナを有することができる。
【0035】
-DUTが室内に固定して配置される場合、室は、DUTに対する視線を伴う0、1、2又はそれ以上のアンテナを有することができる。これにより、DUTとアンテナとの間の所定の幾何学的関係が与えられる。
【0036】
-DUTが室内に移動可能に配置されて例えばターンテーブル上に取り付けられる場合、室は、DUTに対する視線を伴う0、1、2又はそれ以上のアンテナを有することができる。これにより、DUTとアンテナとの間の可変又は変化する幾何学的関係が与えられる。
【0037】
-DUTが室内に移動可能に配置されて例えばターンテーブル上に取り付けられるとともに、アンテナが同じ移動装置上に配置される場合、室は、DUTに対する視線を伴う0、1、2又はそれ以上のアンテナを有することができ、それにより、アンテナ及びDUTの両方が移動している場合であっても、DUTとアンテナとの間の所定の幾何学的関係が与えられる。
【0038】
更に、本発明の他の態様によれば、被試験デバイスの性能を測定するための方法が提供され、該方法は、
室内に被試験デバイスを配置するステップであって、室が、内部キャビティを内部に画定するとともに、電磁反射材料の内側に面する表面を有する壁を含み、それにより、マルチパス環境をシミュレートする、ステップと、
キャビティ内に少なくとも1つの第1の室アンテナを配置するとともに、キャビティ内に少なくとも1つの第2の室アンテナを配置するステップであって、前記少なくとも1つの第1の室アンテナが、第1の所定の周波数範囲の電磁波を送信及び/又は受信するように構成され、前記少なくとも1つの第2の室アンテナが、第2の所定の周波数範囲の電磁波を送信及び/又は受信するように構成される、ステップと、
前記室内で送信される前記第1の所定の周波数範囲の電磁波を吸収するステップと、
前記室内で送信される前記第2の所定の周波数範囲の電磁波を反射するステップと、
被試験デバイスと前記少なくとも1つの第1の室アンテナ及び前記少なくとも1つの第2の室アンテナとの間の送信を測定するステップと、
を含む。
【0039】
本発明のこの態様に関しては、本発明の前述の第1の態様と同様の利点及び好ましい特徴が存在する。
【0040】
本発明のこれら及び他の特徴並びに利点は、以下に記載される実施形態に関連して以下で更に明らかにされる。
【0041】
目的を実証するために、以下、添付図面に示される本発明の実施形態に関連して本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態に係る測定装置の概略図を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る概略図を示す斜視図である。
図3a】本発明の実施形態に係る周波数選択性吸収体の例図を示す斜視図である。
図3b】本発明の実施形態に係る周波数選択性吸収体の例図を示す斜視図である。
図3c】本発明の実施形態に係る周波数選択性吸収体の例図を示す斜視図である。
図3d】本発明の実施形態に係る周波数選択性吸収体の例図を示す斜視図である。
図3e】本発明の実施形態に係る周波数選択性吸収体の例図を示す斜視図である。
図3f】本発明の実施形態に係る周波数選択性吸収体の例図を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る被試験デバイスの性能を測定するための方法の概略フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の詳細な説明では、本発明の好ましい実施形態が記載される。しかしながら、他に特に何も示唆されなければ、異なる実施形態の特徴が実施形態間で交換可能であり、異なる実施形態の特徴が異なる方法で組み合わされてもよいことが理解されるべきである。以下の説明では、本発明のより完全な理解を与えるために多くの具体的な詳細が記載されるが、当業者に明らかなように、本発明はこれらの特定の詳細を伴わずに実施されてもよい。他の例では、本発明を分かりにくくしないように、良く知られた構成又は機能が詳細に記載されない。
【0044】
図1は、アンテナ、モバイル端末又は無線端末、特にマルチパス環境で使用されるようになっているアンテナ及び端末などの被試験デバイス3の性能を測定するための測定装置1の実施形態を示す。測定装置は、破線で示される室2を備える。室2は、内部キャビティ4を画定し/形成し、マルチパス環境をシミュレートするために、電磁反射材料の内側に面する表面を有する一組の壁内で被試験デバイス3を取り囲むように配置される。壁には、例えば、それらの内面に金属箔又は金属板を設けることができる。
【0045】
室2は、任意のサイズ及び形状を有することができる。しかしながら、好ましくは、室2は、長方形又は立方体の形状を成し、持ち運びできるように寸法付けられる。例えば、室2は、0.5m~20mの空間を伴う内部キャビティ4を画定する/形成するように配置され得る。実現が容易な他の形状は、平坦な床及び天井を伴うとともに円、楕円、又は、多角形を形成する水平断面を伴う垂直壁である。
【0046】
更に、キャビティ4内に配置される少なくとも1つの第1の室アンテナ5が設けられる。第1の室アンテナ5は、ホーンアンテナ、電気モノポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、マイクロストリップアンテナ、及び、電気モノポールアンテナなどを含むことができる。第1の室アンテナは測定機器10に接続される。第1の室アンテナ5は、第1の周波数範囲内、好ましくは6GHz~100GHzの周波数を有する電磁波を受信及び送信するように更に構成される。
【0047】
第1の室アンテナ5は、好ましくは、伝搬チャネルの視線成分を被試験デバイス3に導入するために、被試験デバイス3に対して自由な又は直接的な視線を伴って配置される。
【0048】
更に、測定装置1は、キャビティ4内に少なくとも1つの第2の室アンテナ6を備える。第2の室アンテナ6は、第2の所定の周波数範囲内、好ましくは450MHz~6GHzの周波数を有する電磁波を送信及び受信するように構成される。第1の室アンテナ5と同様に、第2の室アンテナ6は測定機器10に接続される。更に、第2の室アンテナ6は、好ましくは、キャビティの屋根までの距離がキャビティの床までの距離よりも長くなるような高さでキャビティ内に配置される。更に、第2の室アンテナは、ここでは、室2の側壁、床、及び、天井から距離を隔てて配置され、好ましくは、この距離は、室2の各壁、床、及び、天井から試験のために使用される1/2波長を超える。
【0049】
図2は、被試験デバイス3の性能を測定して最終的に特性化できるように室アンテナ5、6と被試験デバイス3との間の送信を測定するために被試験デバイス3に接続される測定機器10と室アンテナ5、6とを含む測定装置1の斜視図を示す。測定機器10は、ネットワークアナライザ又はスペクトルアナライザであってもよい。測定装置1は、測定機器10に接続されるコンピュータデバイス15(ここではラップトップ又はPCの形態を成す)によって図2に示されるように、解析手段を更に含んでもよい。
【0050】
更に、図1において、測定装置1は、この実施形態では側壁の内面に配置される少なくとも1つの周波数選択性吸収体7を備える。周波数選択性吸収体は、第1の所定の周波数範囲内、すなわち、第1の室アンテナ5が動作する範囲内の周波数を有する電磁波を吸収して、第2の所定の周波数範囲内、すなわち、第2の室アンテナ6が作動する範囲内の周波数を有する電磁波を反射するようになっている。したがって、室2内のフェージング環境は、それが異なる周波数に関して異なる特性を有するように調整される。これは、例えば、異なる周波数帯域で同時に動作するとともにフェージング環境が各周波数帯域に合わせて調整されるデバイスの試験を可能にする。
【0051】
測定装置1は、好ましくは、被試験デバイス3と第2の室アンテナ6との間に配置されるシールド構造体13を、被試験デバイス3と第2の室アンテナ6との間の視線がシールドによって遮られるように更に備える。これが図1に示される。シールドは、室の2つの対向する側壁間に、前記対向する側壁間の距離の30~70%、好ましくは40~60%の範囲内の幅延在部を有するとともに、室の天井と床との間に、床と天井との間の距離の30~70%、好ましくは40~60%の範囲内の高さ延在部を有してもよい。
【0052】
シールドは、好ましくは、幅方向に非直線延在部を有し、また、好ましくは、湾曲又は傾斜延在部を有し、それにより、シールド構造体は、第2の室アンテナ6を部分的に取り囲む。図1に示される実施形態では、シールド構造体が傾斜延在部を有する。
【0053】
シールド構造体は好ましくはキャビティ内で移動できる。
【0054】
これにより、シールド構造体は床の上に自由に立っていてもよい。しかしながら、代わりに、シールド構造体を所望の位置に固定するためにロック手段などが設けられてもよい。更に、シールド構造体には、それが第2の室アンテナ6から送信される入射電磁波の大部分を反射するように導電面が設けられる。或いは、シールド構造体は、例えば金属などの導電性材料から形成されてもよい。
【0055】
室2によって形成されるキャビティ4内に少なくとも1つの可動物体を設けることができる。室2内のモード分布を得るために使用されるそのような可動物体は、それ自体当技術分野において知られており、同一出願人による国際公開第2012/171562号パンフレットに記載され、その文献は参照により本願に組み入れられ、また、可動物体は様々な形態を成してよい。例えば、可動物体は、図1に示されるように、回転軸の周りで回転可能な物体8を備えてもよい。他の可能性は、プレートなどの長尺物体8を使用することであり、長尺物体は、例えば、サーボモータ又はステップモータなどの駆動手段によって回転されるネジと、長尺の細い物体8が締結されるこのネジ上のナット(図示せず)とによって移動できる。しかしながら、長尺物体を移動するために他の手段を使用することもできる。長くて細い物体は金属シートの形状を成すが、該物体は多くの他の形状を有することもでき、例えばこの物体に不規則な形状を与えることが有利である。長尺物体の移動は、測定間で又は測定中に断続的に行われ得る、或いは更には、測定中に連続的に実行され得る。可動物体は、これに加えて又は代えて、被試験デバイス3が配置されるターンテーブルなどの回転可能なプラットフォーム9を備えてもよい。少なくとも2つの移動オブジェクト8を使用する場合、それらは同時に又は連続して移動され得る。したがって、1つの実施形態では、被試験デバイスが例えばターンテーブル上に移動可能に配置され、一方、他の実施形態では、被試験デバイスが室内に固定されている。
【0056】
可動物体は、機能的にフィールド撹拌機又はモード撹拌機と称される場合があり、回転、並進、旋回などによって連続的に室の長さ及び/又は幅全体にわたって移動されるように動作可能であることが好ましい。このようにして、室の内部構造内の連続的な変動がもたらされる。変動は、フィールド撹拌機が走査するにつれて室内で電磁波の複数の変化する反射を引き起こす。これらの変化する反射波は、互いに異なって干渉し、様々な励起を伴うモードを形成する。これにより、独立したサンプルの数が増加し、これは、そのようなデバイスが使用されるようになっている実際の環境のマルチパスを模倣するため、試験の目的にとって望ましい。このようなフィールド撹拌は、多数の励起モードの効果を生み出すことができ、したがって、豊かなマルチパス環境をシミュレートできる。
【0057】
また、キャビティは、例えばテーブル表面をシミュレートする図1に示されるような、例えばヘッドファントム(図示せず)、誘電体シリンダ(図示せず)、木製の箱などの形態を成すニアイン構造を含んでもよい。
【0058】
更に、図1に示されるように、ビデオカメラ13がキャビティ内に配置されてもよい。ビデオカメラ13は、試験中に室の内部から室の外部へとビデオ情報を転送することができる。ビデオ情報が好ましくは測定機器10に転送され、また、ビデオ情報が測定データに関連付けられてもよい。
【0059】
ビデオ情報は好ましくはメモリに記録又は保存され、これにより、リアルタイムでだけでなく、測定データを解析するときにその後にも、ビデオ情報を監視することができる。
【0060】
更に、好ましくは、ビデオカメラから受信されるビデオ情報を再生することができるディスプレイがキャビティの外側に配置されて設けられる。例えば、ディスプレイは、室の外壁に及び/又はスタンドアロン測定機器10又はPCなどの解析機器15に取り付けられてもよい。
【0061】
測定室及びその動作方法に関するより一般的な詳細及び例は、米国特許第7444264号明細書及び米国特許第7286961号明細書から入手可能であり、これにより、前記特許のいずれも参照によりそれらの全体が本明細書中に組み入れられる。
【0062】
図3aには、本発明の一実施形態に係る周波数選択性吸収体7の概略図が示される。周波数選択性吸収体は、ここでは金属グリッド又はワイヤメッシュ(「チキンワイヤ」としても知られる)の形態を成す導電グリッド12によって少なくとも部分的に覆われる吸収本体11を備える。反射という用語は、導電グリッド12に向かって伝搬する電磁波を反射できると理解されるべきである。したがって、導電グリッド12は、導電性材料から形成され、好ましくは、例えば銅やアルミニウムなどの金属から形成される。吸収本体11は、意図される用途に応じて、導電グリッド12によって部分的に又は完全に取り囲まれてもよい。
【0063】
穴又は開口のサイズが電磁波の波長に比べて小さい場合、導電グリッド12に入射する電磁波(無線信号など)は、大部分が反射され、僅かな量がスクリーンを透過する。逆に、穴又は開口が電磁波の波長に比べて大きい場合、信号は、大部分が透過されて、僅かな量が反射される。吸収本体は、例えば、炭素が充填された発泡吸収体(例えば、導電性カーボンブラック粒子又は結晶性グラファイト粒子が充填されたウレタンフォーム)又は任意の他の適した放射線吸収材料(RAM)であってもよい。
【0064】
図3bは、本発明の他の実施形態に係る周波数選択性吸収体7の概略図である。ここで、吸収本体11は、正方形ワイヤメッシュの形態を成す導電グリッド12によって覆われる。
【0065】
図3cは、本発明の更に他の実施形態に係る周波数選択性吸収体7の概略図である。ここで、吸収本体11は、長方形ワイヤメッシュの形態を成す導電グリッドによって覆われる。非対称なワイヤメッシュ、すなわち、他の方向と比べて一方向で長い延在部を有する開口又は穴を有することにより、偏向及び周波数に基づいて入射電磁波の反射を制御することができる。言い換えると、導電グリッド12には長方形の穴が設けられ、これにより、周波数選択性吸収体は、入射電磁波の偏向に基づいて入射電磁波を減衰させる。
【0066】
更に、図3dは、本発明の更に他の実施形態に係る周波数選択性吸収体7の他の概略図である。吸収本体11は、ここでは円形ワイヤメッシュの形態を成す導電グリッド12で少なくとも部分的に覆われる。開口は、入射電磁波の偏向に依存しない同様の透過特性及び反射特性を与えるために対称な円であってもよい。しかしながら、本発明の幾つかの実施形態では、開口が楕円であり、それにより、異なる偏向の異なる特性を得ることができる。
【0067】
図3eは、円形穴のグリッドを有する有孔導電シートの形態を成す導電グリッド12によって少なくとも部分的に覆われる吸収本体11を有する周波数選択性吸収体7の本発明の他の実施形態を示す。前述の議論と同様に、入射電磁波の偏向に基づいて異なる透過-反射特性を得るために、穴又は開口が楕円形であってもよい。
【0068】
図3fは、周波数選択性吸収体7の本発明の更なる他の実施形態を示す。この実施形態において、グリッド12は、図2eに示される周波数選択性吸収体と比較して反転される。すなわち、図2eのグリッドの穴である領域は、図2fのここでは固体導電体(例えば金属「島」のグリッド)であり、「島」の間の領域が開放している。これにより、低周波の入射電磁波が高周波の電磁波よりも多くの損失/吸収を受けるように図2a~eに示される実施形態と比べて損失挙動を反転させることができる。
【0069】
図4には、本発明の一実施形態に係る被試験デバイスの性能を測定するための方法の概略フローチャート図が示される。この方法は、内部キャビティを内部に画定する室内に被試験デバイスを配置するステップ401を含む。室は、マルチパス環境をシミュレートするために電磁反射材料の内側に面する表面を有する壁を更に含む。例えば、そのような室は、しばしば残響室と称され、図1図2に示される。更に、方法は、室のキャビティ内に少なくとも1つの第1のアンテナ(i)を配置するとともに同じキャビティ内に少なくとも1つの第2のアンテナ(ii)を配置するステップ402を含む。第1のアンテナは、第1の所定の周波数範囲(周波数帯域)の電磁波を送信/受信するように構成される。第1の所定の周波数範囲/帯域は、450MHzから6000MHzまでの範囲内であることが好ましい。このとき、第2のアンテナは、第2の所定の周波数範囲(周波数帯域)の電磁波を送信/受信するように構成される。第2の所定の周波数帯域は、6GHzから200GHzまでの範囲内であることが好ましい。
【0070】
更に、方法は、室内で送信される、すなわち、キャビティ内で送信される第1の所定の周波数範囲の電磁波を吸収するステップ403を含む。
【0071】
言い換えると、第1の室アンテナによって送信される電磁波又は無線信号は、好ましくは前述のように室のキャビティ内に配置される周波数選択性吸収体によって少なくともある程度まで吸収される。更に、方法は、室内で送信される、すなわち、キャビティ内で送信される第2の所定の周波数範囲の電磁波を反射するステップ404を含む。第2の室アンテナによって送信される電磁波又は無線信号が好ましくはキャビティ内に配置される周波数選択性吸収体によって反射されることを意味する。次に、方法は、被試験デバイス(例えば、携帯電話)と第1の室アンテナ及び第2の室アンテナとの間の送信を測定するステップ405も含む。好ましくは、第1及び第2の室アンテナは、測定ステップ405が減衰及び非減衰周波数範囲/帯域の両方で実行されるように同時に動作される。
【0072】
以上、特定の実施形態に関連して本発明を説明してきた。しかしながら、測定装置の幾つかの変形が実行可能である。例えば、前述の様々な特徴が様々な態様で組み合わされてもよい。そのような及び他の明白な変更は、本発明が添付の特許請求の範囲により規定されるように本発明の範囲内にあると見なされなければならない。前述の実施形態が本発明の例示であって本発明を限定するものではなく、また、当業者は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの別の実施形態を設計できることに留意すべきである。特許請求の範囲において、括弧内にある任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「備える(comprising)」という語は、特許請求の範囲に挙げられる要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除しない。要素に先行する単語「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数のそのような要素の存在を排除しない。
【0073】
更に、単一のユニットが特許請求の範囲に挙げられた幾つかの手段の機能を果たしてもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4