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特許7019729紫外取出しの変化を監視することによる紫外線印加の安全性向上
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】紫外取出しの変化を監視することによる紫外線印加の安全性向上
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220207BHJP
   B63B 59/04 20060101ALI20220207BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A61L2/10
B63B59/04 C
C02F1/32
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019564515
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2018062829
(87)【国際公開番号】W WO2018215272
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】17172508.8
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バート アンドレ
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/001227(WO,A1)
【文献】特開2014-039876(JP,A)
【文献】特開昭64-015691(JP,A)
【文献】特開平08-164384(JP,A)
【文献】特開平11-278374(JP,A)
【文献】国際公開第2017/167629(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0170151(US,A1)
【文献】特表2003-518571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/28
B63B 59/04
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線出口窓を備えた導波路要素であって、前記導波路要素は、(a)紫外線を少なくとも含む放射線を受け取り、(b)前記放射線の少なくとも一部を、前記放射線出口窓を介して前記導波路要素の外部へ放射し、(c)前記放射線の一部を前記放射線出口窓で内面反射する、導波路要素と、
内部反射した前記放射線の内面反射強度(I)を検出する光学センサと、
前記光学センサに機能的に結合され、経時的な前記内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて前記放射線の強度を減少させる制御系と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記制御系は、所定の制御期間内に、経時的な前記内面反射強度(I)の増加が所定の第2の閾値に到達しないときにのみ前記放射線の強度を減少させ、経時的な前記内面反射強度の減少の前記所定の第1の閾値は、前記内面反射強度(I)の最大1秒内で前記光学センサによって検出される少なくとも1%の減少である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所定の第1の閾値は0.1%/s≦|ΔI/Δt|≦400%/sの範囲から選択され、ΔIは百分率における内面反射強度(I)の前記減少であり、ΔI<0%であり、Δtはそのような減少ΔIが生じる時間期間であり、Δtは最大1秒である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御系は、経時的な前記内面反射強度(I)の増加が所定の第2の閾値に到達するのに応じて前記放射線の強度を増加させる、請求項1又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の第2の閾値は0.1%/s≦|ΔI/Δt|≦100%/sの範囲から選択され、ΔIは百分率における内面反射強度(I)の増加であり、ΔI>0%であり、Δtはそのような増加ΔIが生じる時間期間であり、Δtは最大1秒である、請求項2、請求項2に従属する請求項3、又は請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御系は、経時的な前記内面反射強度(I)の減少が前記所定の第1の閾値に到達するのに応じて、前記放射線を0Wよりも大きい前記放射線の第1の強度レベルまで減少させるとともに、前記内面反射強度(I)の経時的な増加が前記所定の第2の閾値に到達するのに応じて前記放射線を前記放射線の所定の第2の強度レベルまで増加させ、前記放射線の前記所定の第2の強度レベルは、前記放射線の前記第1の強度レベルへの前記減少の前の前記放射線の強度レベルの+/-10%の範囲内である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記光学センサによって検出された前記内面反射強度(I)と前記放射線の強度との間の所定の関係に従って前記放射線の少なくとも一部を前記導波路要素の前記外部へ放射し、前記放射線の前記所定の第2の強度レベルは、前記光学センサによって検出される前記内面反射強度(I)に関係した前記放射線の強度レベルである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムはユーザインタフェースを備え、前記制御系は、前記内面反射強度(I)の前記所定の第1の閾値への到達による前記放射線の前記内面反射強度の減少後に、前記放射線の強度が、前記ユーザインタフェースを介して命令があったときにのみ増加できるように、安全ルーチンをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記放射線を供給する光源をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
1つ又は複数の光源及び1つ又は複数の光学センサからなる複数のサブセット内に構成された複数の光源及び複数の光学センサを備え、各サブセットの前記1つ又は複数の光源は、前記放射線出口窓のそれぞれの部分を介して放射線を放射し、前記制御系は、1つ又は複数の他のサブセットから独立して1つ又は複数のサブセットを制御する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記システムを備える物体であって、前記物体は外面を備え、前記放射線出口窓は前記外面の少なくとも一部として構成され、前記物体は、ドアノブ、タップノブ、トイレノブ、便座、手すり、台所のまな板、及び医療機器を含む群から選択される、物体。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記システムを含む物体であって、前記物体は外面を備え、前記放射線出口窓は前記外面の少なくとも一部として構成され、前記物体は、テーブル、手術台、クリーンルームの壁、手術室の壁、及び台所の壁からなる群から選択される、物体。
【請求項13】
使用中に少なくとも一部が水中に沈められる物体であって、前記物体は、請求項1から10のいずれか一項に記載の前記システムを備え、前記導波路要素は、照射段階中に(i)前記物体の外面の一部、及び(ii)前記外面の前記一部に隣接した水、のうちの1つ又は複数を放射線で照射するものであり、前記物体は、船舶及び下部構造物体からなる群から選択される、物体。
【請求項14】
導波路要素から前記導波路要素の外部への放射線の漏れを制御する方法であって、前記放射線は、紫外線を少なくとも含み、前記方法は、前記導波路要素内で内部反射した放射線の内面反射強度(I)を検出するステップと、経時的な前記内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて前記放射線の強度を減少させるステップとを有する、方法。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に定められたシステムを物体に設ける方法であって、前記方法は、前記導波路要素を備える前記システムを前記物体に設けるステップを有し、前記物体は、水関連応用を有する船舶及び下部構造物体からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(生物付着防止)システムに関する。本発明は、そのような(生物付着防止)システムを備える物体にも関する。本発明は、(そのような(生物付着防止)システムの)導波路からの紫外線の漏れを制御する方法も提供する。さらに、本発明は、そのような導波路又は(生物付着防止)システムを物体に設ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物付着防止方法は、当業界で知られている。例えば、WO2016192942A1(Koninklijke Philips N.V.)は、使用中に少なくとも一部が水中に沈められる物体を記載し、この物体は、紫外線の印加のための紫外線発光素子を備えた生物付着防止システムをさらに備えており、特に、紫外線発光素子は、1つ又は複数の光源、またさらに特に1つ又は複数の固体光源を備え、(i)外面の一部、及び(ii)外面の一部に隣接した水、のうちの1つ又は複数を(照射段階中に)紫外線で照射するように構成されており、物体は特に、船舶、及び下部構造物体からなる群から選択される。
【0003】
特に、物体又は生物付着防止システムは、制御系を備える。したがって、物体は、生物付着防止システム又は物体のどこかに適宜統合されるそのような制御系を備える。
【0004】
特定の実施形態では、制御系は、(i)物体の位置、(ii)物体の移動、(iii)物体(の一部)から第2の物体の距離(d)、及び(iv)水に対しての外面の一部の位置のうちの1つ又は複数の情報を含む入力情報の関数として紫外線を制御するように特に構成されている。したがって、特に、生物付着防止システムは、人間の紫外線曝露リスクの情報を含む入力情報の関数として紫外線を制御するように構成されている。
【0005】
生物付着又は生物汚損(本明細書中では、「汚損」又は「生物付着」とも示される)は、表面上の微生物、植物、藻類、及び/又は動物の蓄積である。生物付着生物の中の多様性は、非常に多様であり、フジツボ及び海藻の付着をはるかに超えて広がる。いくつかの評価によれば、4000種を超える生物を含む1700を超える種が、生物付着の原因である。生物付着は、バイオフィルム形成及び細菌付着を含むミクロ汚損とより大きい生物の付着であるマクロ汚損とに分けられる。生物の定着を防ぐものを決定する化学及び生物学が異なることにより、これらの生物は、硬い汚損タイプ又は柔らかい汚損タイプとしても分類される、石灰質の(硬い)汚損生物には、フジツボ、堅い外殻のコケムシ、軟体動物、多毛類及び他のチューブワーム、並びにゼブラ貝が挙げられる。非石灰質の(柔らかい)汚損生物の例は、海藻、ヒドロ虫、藻類、及びバイオフィルム「スライム」である。合わせて、これらの生物は、汚損集団を形成する。本明細書中で、各実施形態において、「生物付着」は、細菌にも関連している。
【0006】
いくつかの状況では、生物付着は、大きな問題をもたらす。機械類は稼働を停止し、吸水口が閉塞することになり、船の船殻は、抵抗の増加に苦しむ。したがって、汚損防止のトピック、すなわち、汚損の形成の除去又は形成防止のプロセスは、よく知られている。工業プロセスでは、バイオ分散剤を使用して生物付着を制御することができる。あまり制御されていない環境では、生物は、殺生物剤、熱処理、又はエネルギーパルスを用いたコーティングを用いて殺される又は撃退される。生物が付着するのを防ぐ非毒性機械的ストラテジーは、滑りやすい表面を有する材料又はコーティングの選択、或いはサメ及びイルカの皮膚に類似するナノスケール表面トポロジーの生成を含み、これらは、乏しいアンカーポイントをもたらすにすぎない。船の船殻上の生物付着は、抵抗を大きく増加させ、したがって燃料消費量の増加を引き起こす。燃料消費の最大40%の増加は、生物付着に起因すると推定される。大型のオイルタンカー又はコンテナ輸送船は、一日に最大200.000ユーロを消費し得るので、生物付着防止の有効な方法を用いて大幅な節約が可能である。
【0007】
驚くべきことに、海水、又は湖、川、運河などの水と接触している表面上の生物付着を大幅に防ぐために紫外線を有効に使用できるように思われる。これに関して、光学的方法に基づく、詳細には紫外光又は紫外線(UV)を用いる手法が示されている。十分な紫外光を用いると、大部分のマクロ生物が殺され、不活性にされ、又は再生できなくなるように思われる。この効果は、紫外光の総線量によって主に支配される。ある種のマクロ生物の90%を殺す典型的な線量は、10mW/h/mである。
【0008】
紫外線LED又は紫外線源は、限られたウォールプラグ効率及び限られた寿命で動作する。これは、そのような光源の使用を制限する。
【0009】
しかしながら、紫外線は、水に関連する物体(船舶など)の汚損防止以外の応用にも使用され得る。紫外線は、物体を洗浄する又は物体を細菌などで汚れないように保つために使用することもできる。
【0010】
用語「水に関連する」及び同様の用語は、淡水応用と塩水応用の両方(及びもちろん汽水応用も)を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
全てのそのような例において、人間を含む高等生物がそのような紫外線を受けるときに、特に放射線発光面に物理的に接触する可能性があるときに、特定の措置をとる必要がある。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、好ましくは上記の欠点のうちの1つ又は複数をさらに少なくとも一部未然に防ぐ生物付着の防止又は生物付着の減少のための代替システム又は方法を提供することである。本発明は、先行技術の不都合の少なくとも1つを克服する又は改良する、或いは役立つ代替を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
細菌及び/又は他の微生物を抹殺するために、或いは細菌及び/又は微生物の付着を防ぐために本システムが使用されるとき、生物付着防止システムは、概して「システム」とも示され、及び特定の各実施形態では、「ミクロ生物汚損防止システム」又は「衛生システム」などとも示される。本明細書中において、本システムは、「生物付着防止システム」又は「システム」としてさらに示される。
【0014】
本明細書中において、光学的手段に基づく新しい手法が提案される。とりわけ、この新しい手法は、以下の態様に基づいている。
「何か」が表面に触れる場合、光が表面から離れて導出される。この導出は、光が光ガイド内部にほとんど留まらないことを意味する。これは、監視され得る。
汚損は、高等生物及び物体、例えば、表面を触る人間の手と同様に、光を導出させる。
汚損は、徐々に表面を覆い、そこで手が表面に触れると、非常に急な即時の導出の変化を引き起こす。
【0015】
したがって、特に、本明細書中には、統合された紫外線センサによって光ガイド内に留まる光の総量を経時的に監視することが提案されている。取り出された光の量の変化が遅い(信号の一次微分係数が小さい)場合、これは、徐々のペースで表面全体にわたって汚損が生じていることを示唆する。しかしながら、この信号内に大きい段差が観察される場合(大きい一次微分係数)、大型物体が表面に触れている。これは、汚損ではあり得ず、したがって、(人間のような)何か他のものが表面に触れたと仮定されなければならない。これは、余分の光が取り出されることを示唆するとともに、同時に、人間が近くにいることを示唆するので、少なくとも一時的に光を遮断する決断がなされなければならない。
【0016】
一態様では、本発明は、(i)放射線出口窓を備える導波路要素(又は「導波路」若しくは「光ガイド」)と、(ii)内部反射した放射線の内面反射強度(I)を検出するように構成された光学センサ(「センサ」)と、(iii)光学センサに機能的に結合された制御系とを備える生物付着防止システム(「システム」、「汚損防止システム」、又は「照明システム」)を提供する。特に、導波路要素は、紫外線を少なくとも含む放射線を(光源から)受け取るように構成されており、放射線の少なくとも一部を、放射線出口窓を介して導波路要素の外部へ放射するように構成され、放射線の一部を放射線出口窓で内面反射するように構成されている。さらに、制御系は、特に、経時的な内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて放射線の強度を減少させるように構成されている。したがって、本発明は、特に、(i)放射線出口窓を備えた導波路要素であって、導波路要素は、(a)紫外線を少なくとも含む放射線を(光源から)受け取るように構成され、(b)放射線の少なくとも一部を、放射線出口窓を介して導波路要素の外部へ放射するように構成され、(c)放射線の一部を放射線出口窓で内面反射するように構成されている、導波路要素と、(ii)内部反射した放射線の内面反射強度(I)を検出するように構成されている光学センサ(「センサ」)と、(iii)光学センサに機能的に結合され、経時的な内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて放射線の強度を減少させるように構成されている制御系とを備える生物付着防止システムを提供する。特に、そのようなシステムは、紫外線を少なくとも含む放射線を供給するように構成されている光源をさらに備える。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、(i)紫外線を少なくとも含む放射線を供給するように構成されている光源と、(ii)放射線出口窓を備えた導波路要素であって、導波路要素は、放射線の少なくとも一部を受け取り、放射線の少なくとも一部を、放射線出口窓を介して導波路要素の外部へ放射するように構成され、放射線の一部を放射線出口窓で内面反射するように構成されている、導波路要素と、(iii)内部反射した放射線の内面反射強度(I)を検出するように構成されている光学センサと、(iv)光学センサに機能的に結合された制御系とを備える生物付着防止システムを提供する。制御系は、センサによって検出される内面反射の強度が(突然の段差分)減少するときに、放射線(特に紫外線)の強度を減少させるように構成されている。したがって、特定の実施形態では、制御系は、経時的に内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて放射線の強度を減少させるように構成されている。
【0018】
さらに他の態様では、本発明は、各実施形態では、使用中に少なくとも一部が水中に沈められる物体であって、この物体は、本明細書中定められた生物付着防止システムを備えており、導波路要素は、照射段階中に、(i)物体の外面の一部、及び(ii)外面の一部に隣接した水、のうちの1つ又は複数を放射線で照射するように構成される、物体も提供する。各実施形態では、物体は、船舶及び下部構造物体からなる群から選択される。さらに他の態様では、本発明は、本明細書中に定められた生物付着防止システムを含む物体であって、この物体は外面を備え、放射線出口窓は外面の少なくとも一部として構成され、物体は、ドアノブ、タップノブ、トイレノブ、手すり、台所のまな板、及び医療機器、又は(特に家で又はオフィスにおいてなどで使用できる)(他の)一般的な家庭用の物体など(例えば、いくつかの他の例は、本明細書中のどこかに記載されている)を含む群から選択されるようになっている、物体を提供する。本発明は、物体と組み合わされる生物付着防止システムを参照してさらに特に説明される。
【0019】
本生物付着防止システムに関しては、汚損防止を安全なやり方で実行することが可能である。手が導波路の表面に触れたとき、又は例えばイルカが船の船殻における導波路の表面に触れたとき、システムは、紫外線を減少させる又はオフに切り換える。特に、システムは、高等生物が導波路に触れる場所で紫外線をオフに切り換える又は減少させる。もちろん、紫外線は、高等生物が導波路から離れたときに、再び増加させられ又はオンに切り換えられることができる。導波路との接触により、より多くの放射線が導出され、これにより内面反射の減少をもたらし、この影響は、無効にされる(全)内面反射の観点で説明される。したがって、センサは、(間接的なやり方で)窓上の要素の存在を検出する。もちろん、汚損の積み重ねは、(生物付着が汚損防止放射線によって除去されていないと仮定すると)内面反射の徐々の減少をもたらす。しかしながら、これは、徐々の積み重ねとなり、これに対して、高等生物との接触は、概して突然である。突然の放射線の漏洩によりそのような接触が検知されると、紫外線強度が、安全上の理由のために減少させられる。強度を減少させることは、オフに切り換えること、局所的にオフに切り換えること、強度を減少させることと(しかしゼロへ減少はしない)、又は強度を局所的に減少させること(しかし、ゼロへ局所的に減少はしない)を含む。
【0020】
用語「導波路要素」の代わりに、紫外線発光素子という用語も使用される。特に、導波路要素は、システムの使用中、紫外線を供給するように構成されている。
【0021】
特に、各実施形態では、制御系は、接触がごく一時的であるとき内面反射の量は以前のレベルに迅速に戻るので、紫外線強度を変化させる前に、短い遅延を考慮に入れてもよい。そのような例では、紫外線強度を減少させる必要がない。したがって、各実施形態において、制御系は、所定の制御期間内に(経時的な)内面反射強度(I)の増加が所定の第2の閾値に到達しないときにだけ放射線の強度を減少させるように構成される。特に、制御系は、減少した内面反射強度が、少なくとも0.1秒、少なくとも0.5秒など、少なくとも1秒などの間続くときだけ放射線の強度を変化させるだろう。すると、それは偶然の接触ではないことがより明らかである。しかしながら、内面反射が突然減少するが、(短い)所定の時間内に再び(実質的に元のレベルまで)増加するとき、これは偶然の接触であり、紫外線強度Iは、必ずしも減少させる必要はない。それにもかかわらず、安全上の理由のために、実施形態において、内面反射の何らかの(迅速な)減少が(直ちに)あれば、紫外線強度の減少が続いてもよい。
【0022】
例えば、放射線透過材料を備えたドアノブを仮定し、紫外線でノブがきれいに保たれているとすると、手でドアノブ(の透過材料)に触れると、紫外線は、オフに切り換えられる。握っていたのを放した後、強度は再び増加することができる。
【0023】
制御系は、実質的に黒色の要素が導波路と接触させられたときに、制御系が紫外線強度を減少させるように構成されている。この要素は、例えば、導波路の10cmに、導波路のわずか4cmに、また、導波路のわずか1cmに物理的に接触する。この種の参照は、どのように制御系がシステムを安全に動作させるように構成されているかを示す。したがって、特定の各実施形態では、物体が放射線出口窓との接触を生じ、且つ放射線出口窓の1cmを覆うときに、少なくとも当該閾値が到達されるように所定の第1の閾値が定められ、放射線出口窓に接触する物体の一部は、放射線出口窓から離れて導出する放射線の少なくとも90%を吸収する。
【0024】
例えば、特定の各実施形態では、経時的な内面反射強度(I)の減少の所定の第1の閾値は、最大0.05秒(の時間期間)内、最大0.1秒内など、特に最大0.5秒内、最大1秒内、最大2秒内、最大5秒内、最大10秒内などで少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%のような光学センサによって検出される内面反射強度(I)の減少である。少なくともn%、例えば10%だけの内面反射強度の減少は、開始レベルに対して、内面反射がn%、例えば10%低下することを示唆する。
【0025】
本明細書中において、特に用語「閾値」は、影響がもたらされるように到達(又はこれを通過)しなければならないレベルを指す。したがって、一例として0.1秒内で1%(正確な第1の閾値の値)、又は((強度がより大きく且つ時間がより短いときに)第1の閾値の値よりも大きい)0.05秒内で5%のように、例えば、最大0.1秒内で少なくとも1%の減少の第1の閾値に到達(又はこれを通過)するとき、紫外線は、(制御系によって)減少させられる。一例は、100mWから90mWの減少(以下の例も参照)、又は50mWから45mWの減少であり、これらは共に、10%の減少である。
【0026】
閾値に到達又は通過するとき、閾値は通過されて、(第1の閾値に到達するとき)紫外線を減少させることができ、又は(第2の閾値に到達するときに)増加させることができる。
【0027】
したがって、特定の各実施形態では、光学センサによって検出される内面反射強度(I)の減少ΔI、及びそのような減少が生じるはずである時間期間Δtは、0.1%/s≦|ΔI/Δt|≦100%/s(ただし、ΔI<0%)の範囲から選択される第1の閾値をもたらす。本明細書中において、ΔIは、最終的な強度から時間期間の開始時の強度を引いたものとして定められ、両者は割合で示されており、時間期間の開始時の強度は、定義により100%である。ほんの一例として、t=0で100mWの信号、及び時間期間の終わり(例えば0.5秒後)で90mWの信号を仮定する。このとき、ΔI=-10%である。したがって、定義によってセンサ信号の減少(すなわち、内面反射の減少)は、マイナスΔIをもたらす。0秒において100mWで開始し、0.5秒内で10mW減少の例示の減少は、|ΔI/Δt|=|-10%/0.5s|=20%/sを与え、これは、第1の閾値の選択のための範囲内である。したがって、これは、第1の閾値についての適切な選択であり得る。
【0028】
閾値が示された範囲よりも大きく定められる場合、感度は十分に高くならない。
【0029】
そのような所定の第1の閾値以上の任意の減少は、紫外線の強度の減少をもたらす。特にΔtが最大2秒、例えば最大1秒であることに留意されたい。したがって、第1の閾値に例えば10秒を超えた範囲で到達した場合、これは、汚損の徐々の積み重なり、又は少なくとも人間などの高等生物と放射線出口窓との物理的接触ではないとみなす。したがって、反射のそのような減少は、突然の段差とみなされない。したがって、例えば、|ΔI/Δt|=50%/sで決定される第1の閾値レベルを仮定すると、一例として1秒内で50%(正確な第1の閾値の値)、又は(第1の閾値の値よりも大きい)0.5秒内で80%のように、この第1の閾値に到達(又はこれを通過)するとき、紫外線は減少する。
【0030】
したがって、各実施形態では、所定の第1の閾値は、0.1%/s≦|ΔI/Δt|≦100%/sの範囲から選択され、ここで、ΔIは(光学センサによって検出される)百分率における内面反射強度(I)の減少であり、ΔI<0%であり、Δtはそのような減少ΔIが生じる時間期間であり、Δtは最大1秒などの上述した時間期間のうちの最大のものである。t=0での内面反射強度は、100%として定められる。
【0031】
そのようなデータを用いて、微分係数が推定される。これは、この場合も、それが徐々の汚損であるのか又は高等生物などの別の要素との接触であるのかを推定するために使用することができる。
【0032】
上に示したように、ドアノブを握っていたのを放した後のように高等生物が導波路の表面から再び離れると、強度は、再び増加することができる。したがって、特定の各実施形態では、制御系は、経時的な内面反射強度(I)の増加が所定の第2の閾値に到達したのに応じて放射線の強度を増大させるように構成されている。
【0033】
代替として又は加えて、内面反射強度Iの最小減少として、所定の最小センサ信号(低下)も定められる(一例として-1mV)。
【0034】
第2の閾値について、上述したのと実質的に同じ数字が使用され得、表面に触れたことにより検出された内面反射の減少がもたらされ、表面の物体の除去により検出された内面反射の増加が(再び)もたらされることを考慮に入れる。
【0035】
同様に、したがって、特定の各実施形態では、特定の実施形態において、光学センサによって検出される内面反射強度(I)の増加ΔI、及びそのような増加が生じるはずである時間期間Δtは、0.1%/s≦|ΔI/Δt|≦400%/s(ただし、ΔI>0%)の範囲から選択される第1の閾値をもたらす。上に示したように、本明細書中において、ΔIは、最終的な強度から時間期間の開始時の強度を引いたものとして定められ、両者は割合で示されており、時間期間の開始時の強度は、定義100%によるものである。ほんの一例として、t=0で100mWの信号、及び時間期間の終わり(例えば0.5秒後)で110mWの信号を仮定する。そして、定義によってセンサ信号の増加(すなわち、内面反射の増加)は、プラスΔIをもたらす。
【0036】
そのような所定の第1の閾値以上の任意の増加は、紫外線の強度の増大をもたらす。特にΔtが最大2秒、例えば最大1秒であることに留意されたい。したがって、第2の閾値に例えば10秒を超えた範囲で到達した場合、これは、汚損の徐々の除去とみなし、又は少なくとも放射線出口窓からの人間などの高等生物の退避とみなされない。したがって、反射のそのような増加は、突然の段差とみなされない。したがって、例えば、|ΔI/Δt|=50%/sで決定される第2の閾値レベルを仮定すると、一例として1秒内で50%(正確な第2の閾値の値)、又は(第2の閾値の値よりも大きい)0.5秒内で80%のように、この第1の閾値に到達(又はこれを通過)するとき、紫外線は(例えば、低下する前の以前の紫外線強度へ)(再び)増加する。t=0での内面反射強度は、(強度が0でない限り)100%として定められる。
【0037】
したがって、内面反射強度Iの最小増加として、所定の最小センサ信号(増加)も定められる(一例として1mV)。
【0038】
したがって、各実施形態では、所定の第2の閾値は、0.1%/s≦|ΔI/Δt|≦400%/sの範囲から選択され、ただし、ΔIは(光学センサによって検出される)百分率における内面反射強度(I)の増加であり、ΔI>0%であり、Δtはそのような減少ΔIが生じる時間期間であり、Δtは最大1秒などの上述した時間期間のうちの最大のものである。低下は100%よりも大きくなり得ないが、その一方で、増加は100%より大きくなり得ることに留意されたい。
【0039】
したがって、特に制御系は、経時的な内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて放射線をオフに切り換え、経時的な内面反射強度(I)の増加が所定の第2の閾値に到達するのに応じて放射線をオンに切り換えるように構成されている。
【0040】
したがって、そのような実施形態では、(単一)光源の紫外線は、全体的にオフ(及びオン)に切り換えられる。しかしながら、50%以下のレベルなどへ強度を減少させることも可能である。したがって、各実施形態では、制御系は、経時的な内面反射強度(I)の減少が所定の第1の閾値に到達するのに応じて放射線を0Wよりも大きい放射線の第1の強度レベルまで減少させ、経時的な内面反射強度(I)の増加が所定の第2の閾値に到達するのに応じて放射線を放射線の所定の第2の強度レベルまで増加させるように構成されている。
【0041】
システムが「単純な」オン/オフシステムであるとき、システムは、光源をその所定の一定レベルへ切り換える。しかしながら、光源の強度が制御可能であることも可能である。以下にさらに明らかにされるように、強度は、例えば、汚損の広がりの関数であり、したがってこれは、光学センサで測定される。これは、強度の減少後、光源が強度の減少前のその以前のレベルへ再び切り換えられることが望ましい場合も当てはまる。したがって、特定の各実施形態では、放射線の所定の第2の強度レベルは、+/-20%、例えば+/-10%の放射線の第1の強度レベルへの(直近の)減少(又は「低下」)前の放射線の強度レベルである。したがって、各実施形態では、放射線の所定の第2の強度レベルは、放射線の第1の強度レベルまでの減少前の放射線の強度レベルの+/-10%の範囲内である。
【0042】
もちろん、その間に、導波路の表面がさらに生物付着される、又は自発的な除去などにより汚損が除去される可能性もある。したがって、元の値への復帰は、そのような場合にはそこではあまり望ましくない。したがって、実施形態では、生物付着防止システムは、放射線の強度と光学センサによって検出される内面反射強度(I)との間の所定の関係に従って、放射線の少なくとも一部を導波路要素の外部へ放射するように構成される。これは、(間接的に)検出された生物付着の関数として紫外線の制御を可能にする。生物付着は、(間接的に)光学センサによって検出される。したがって、そのような実施形態では、放射線の所定の第2の強度レベルは、(放射線の強度と光学センサによって検出される内面反射強度(I)との間の所定の関係に従って)光学センサによって検出される内面反射強度(I)と(単純に)関係した放射線の強度レベルである。このため、制御系は、放射線の強度と光学センサによって検出される内面反射強度(I)との間の所定の関係を記憶するメモリを備えてもよい。
【0043】
安全性が非常に重要である特定の応用については、人間の命令があったときのみ紫外線の増加が実行されることも可能である。したがって、特定の実施形態では、生物付着防止システムは、ユーザインタフェースを備えてもよく、制御系は、内面反射強度(I)の所定の第1の閾値への到達による放射線の強度の減少後に、放射線の強度が、ユーザインタフェースを介して命令があったときにのみ増加できるように、安全ルーチンをさらに備える。ここでも、第1の閾値は、強度閾値を指す。
【0044】
さらに他の実施形態では、既定の第1の閾値よりも上の任意の減少は、生物付着防止放射線の減少をもたらすことに留意されたい。例えば、そのような実施形態は、安全上の理由のために選ばれる。
【0045】
上に示したように、生物付着防止システムは、紫外線発光素子を備える。用語「紫外線発光素子」は、複数の紫外線発光素子も指し得る。したがって、システムは、複数のそのような素子を含む。システムは、電気エネルギー源を備え、このシステムは、(使用中に)電気エネルギー源とも機能的に結合される。各実施形態では、各紫外線発光素子が、エネルギー源と機能的に結合される。これは、紫外線発光素子の分散電力供給を可能にする。このエネルギー源は、光源に電力を供給するために特に使用される。
【0046】
本明細書中で、紫外線発光素子は、「照明モジュール」とも示される。紫外線発光素子は、(本明細書中で「光学媒体」としても示される)プレート状モジュールであり、1つ又は複数の関連素子が少なくとも部分的又はさらには全体的にその中に埋め込まれている。したがって、各実施形態では、紫外線発光素子は、シリコーンなどの光透過(固体)材料で構成される。しかしながら、紫外線素子は、少なくとも部分的又はさらには全体的に1つ又は複数の関連素子を取り囲むハウジングも含む。1つ又は複数の関連素子は、光源光、特に紫外線を供給するように構成されている光源を少なくとも備える。紫外線発光素子は、平坦又は湾曲した放射線出口窓を有する。用語「紫外線発光素子」は、特に、素子が、素子の使用中に紫外線を供給するように構成されていることを意味する。
【0047】
導波路要素は、プレートとして成形され、適宜、湾曲した形状として成形される。しかしながら、導波路要素は、他の形状を有してもよい。これは、例えば、用途に依存する。例えば、物体がドアノブ、タップノブ、トイレノブ、手すり、台所のまな板、又は医療機器であるとき、導波路要素の形状は、プレートと異なっていてもよく、又は異なっている必要があり、1つ又は複数の湾曲した面を有する。
【0048】
紫外線発光素子は、紫外線出口窓を備える。紫外線出口窓は、光源の紫外線の少なくとも一部を透過するように構成されている。紫外線の少なくとも一部は、放射線出口窓を介して紫外線発光素子の外部へ漏れる。したがって、この出口窓は、紫外線に対して透過性である。概して、窓は、可視光に対しても透過性である。上に示したように、及び以下にさらに説明されるように、各実施形態では、要素は、放射線透過性プレートである。そのような例では、窓は、要素の面(又はプレート)である。
【0049】
用語「放射線透過」は、放射線に対して透過、特に紫外線に対して透過、及び適宜、可視光線に対しても透過であることを意味する。
【0050】
紫外線出口窓は、上流窓側及び下流窓側を備える。用語「上流」及び「下流」は、光発生手段(ここでは、特に光源)からの光の伝搬に対しての特徴又は特色の配置を指し、光発生手段からの光のビームにおける第1の位置に対して、光発生手段のより近くの光のビームにおける第2の位置は、「上流」であり、光発生手段からさらに遠くに離れた光のビーム内の第3の位置は、「下流」である。したがって、上流窓側(「上流側」)は、特に素子の内部に向けられており、直接又は内面反射後、光源光を受け取る。下流窓側(「下流側」)は、特に素子の外部に向けられている。この窓側は、例えば(一時的に)システムの使用中に水と接触する。この素子のプレート状の実施形態において、上流窓側及び下流窓側は、(同じ)縁(又はプレート)の両側にあることに留意されたい。
【0051】
この素子は、特に、光学センサも備える。このセンサは、素子によって少なくとも一部取り囲まれるが、各実施形態では全体として内部に埋め込まれもする。したがって、光学センサは、素子の上流窓側で光源のように構成される。各実施形態では、光学センサ(「センサ」)は、下流窓側から(素子の中に)発する放射線を検出するように構成されている。さらに、用語「センサ」は、適宜2つ以上が異なる特性を検出するように構成される複数のセンサも指す。
【0052】
センサは、光源から生じる放射線を素子内で検出するように構成される。
【0053】
各実施形態では、システムは、反射、特にTIR(全反射)の原理に基づいている。光源は、内面反射の原理に基づいて紫外線(及び/又は他のタイプの放射線(以下参照))を放射線出口窓へ供給するように構成されている。したがって、各実施形態では、光学センサは、紫外線出口窓によって反射された紫外線(及び/又は他のタイプの放射線(以下参照))を検出するように構成されている。生物付着が、放射線出口窓で、特に下流窓側で利用できるとき、より多くの紫外線(及び/又は他のタイプの放射線(以下参照))は、素子から漏れる。したがって、より少ない紫外線(及び/又は他のタイプの放射線(以下参照))が、光学センサに到達する。より少ない紫外線(及び/又は他のタイプの放射線(以下参照))が、センサによって受け取られるときに、システムは、可能であれば、紫外線で生物付着防止の強度を増大させる。したがって、さらに多くの特に生物付着防止システムは、光学センサが紫外線(及び/又は他のタイプの放射線(以下参照))の減少を検出するときに紫外線の強度を増大させるように構成されている。(紫外)放射線は、(放射線出口窓の下流側における)生物付着により「無効にされたTIR」の結果として減少させられる。生物付着は、光出口窓から光を抽出する。したがって、各実施形態では、(検出された)放射線は、光源から生じる。
【0054】
各実施形態では、素子は、紫外線用の光源を少なくとも備える。この紫外線は、生物付着防止に使用される。したがって、紫外線は、生物付着防止放射線として使用される。センサが反射紫外線、散乱紫外線、及び(放射線出口窓に隣接した又は放射線出口窓に付着された種からの)ルミネッセンスのうちの1つ又は複数を検出するように構成されるときに、この放射線は、センサの基礎ともなり得る。
【0055】
したがって、各実施形態では、LEDを使用するとき、監視及び汚損防止のために同じLEDの波長が使用される。したがって、センサシステムの供給源は、各実施形態では、生物付着防止にも使用される紫外線LEDである。
【0056】
しかしながら、代替として又は加えて、本明細書中で第2の光源としても示され、第2の光源放射線(「第2の放射線」)を発生させるように構成される別個の光源を、センサの基本とすることができる。そのような実施形態では、センサは、第2の反射放射線、第2の散乱放射線、及び第2の放射線を用いた励起による(放射線出口窓に隣接した又は放射線出口窓に付着された種からの)ルミネッセンスのうちの1つ又は複数を検出するように構成されている。
【0057】
したがって、センサシステムの供給源は、生物付着防止に実質的に使用されない紫外線LED(又はレーザ)である。センサシステムの供給源は、可視LED(又はレーザ)でもある。代替として又は加えて、センサシステムの供給源は、赤外LED(又はレーザ)である。したがって、上述の本実施形態では、紫外線及び/又は他のタイプの放射線の参照がなされる。
【0058】
特に、センサは、光源の放射線の反射、特に光出口窓における反射を検出するように構成されている。
【0059】
したがって、本明細書中で、光源の「光」という用語及び同様の用語は、紫外線及び/又は赤外線(及びもちろん可視光)も指す。これは、内容から明らかである。したがって、各実施形態では、紫外光源が使用される。他の実施形態では、1つ又は複数の紫外光源と可視及び赤外のうちの1つ又は複数のため1つ又は複数の光源とが適用される。
【0060】
上に示したように、センサは、対応する光学センサ信号を供給するように構成されている。したがって、センサ信号は、特にセンサによって検出される放射線に関連しており、そのためにセンサが構成される。例えば、反射(紫外)放射線の増加は、例えばより大きいセンサ信号に関する。
【0061】
特に、生物付着防止システムは、光学センサ信号に応じて(生物付着防止のための)紫外線を供給するようにさらに構成されている。したがって、センサ信号に基づくとき、システムは、生物付着がある、又は生物付着(の量)が増加しているかを決定し、生物付着防止光は、(このシステムによって)供給及び/又は増加させられる。代替として又は加えて、生物付着防止光のスペクトル分布も、センサ信号に応じて変更される(以下も参照)。
【0062】
本明細書中に記載された制御ループは、制御系を備えるか又は含み、この制御系は、素子内に組み込まれるか、又は素子の外に構成される。後者の実施形態では、これは、素子と制御系との間の有線及び無線通信を含む。したがって、特に、物体又は生物付着防止システムは、制御系をさらに備える。したがって、物体は、そのような制御系を備える。各実施形態では、生物付着防止システムは、制御系を備えるが、物体の外ではない。したがって、各実施形態では、生物付着防止システムは、紫外線発光素子によって適宜取り囲まれた制御系をさらに備える。制御系が2つ以上の素子を備えるとき、1つ又は複数の素子は、物体によって備えられ、及び/或いは1つ又は複数の素子は、物体の外で構成される。
【0063】
一実施形態では、制御系は、複数の制御系を備える。例えば、船舶は、マスター制御系として制御系を備えるとともに、各生物付着防止システムは、スレーブ制御系を備える。適宜、制御系は、物体の外に、すなわち物体から遠隔に構成される。特定の実施形態では、物体から遠隔のマスター制御系は、(生物付着防止システムなどの)物体によって備えられたスレーブ制御系を制御する。したがって、例えば、(マスター)制御系は、遠く離れていてもよく、又は船舶上ではなく、船会社の制御室内のように陸上にあってもよい。そのようなマスター制御系は、複数の物体の生物付着防止システムを制御するように構成されている。
【0064】
光学センサは、紫外線、可視光線、及び赤外線のうちの1つ又は複数に敏感である。そのような敏感さは、これらのうちの1つ(又は複数)の範囲内の波長の部分範囲を指し、例えば、光学センサは、200~300nmの波長範囲内で実質的に唯一敏感である。光学センサは、使用される放射線を検出するように構成されている。
【0065】
ここで以下に、いくつかのさらなる実施形態をより詳細に説明する。
【0066】
上に示したように、汚損防止に使用される紫外線は、放射線出口窓上の生物汚損の広がりを検出するのにも使用される。したがって、各実施形態では、生物付着防止システムは、光学センサ信号に応じて紫外線の強度を制御するようにさらに構成されている。
【0067】
上に示したように、紫外線だけが、センサの基本に使用されるのではなく、代替として又は加えて、他のタイプの放射線が適用される。この放射線は、紫外線を供給する同じ光源によって又は別個の光源(第2の光源)によって与えられる。したがって、各実施形態では、(i)光源は、紫外線、並びに可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を供給するように構成されており、及び/又は(ii)紫外線発光素子は、可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を発生させるように構成された第2の光源を備えており、光学センサは、可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を検出し、対応するセンサ信号を供給するように構成されている。特に、各実施形態では、生物付着防止システムは、受信した放射線のスペクトル分布に応じて、紫外線(及び/或いは可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数)のスペクトル分布及び強度のうちの1つ又は複数を制御するようにさらに構成されている。このセンサは、散乱及び/又は反射された可視光線及び/又は赤外線を測定する。本明細書中に示されるように、センサがこの光源からの直接の光源光を受信するのを防ぐために、センサと光源との間に(物理的)障害物が存在する。
【0068】
したがって、各実施形態では、光学センサは、紫外線を検出するように構成されている。代替として又は加えて、各実施形態では、光学センサは、可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を検出するように構成されている。
【0069】
特に、システムは、複数の紫外光源を備える。さらに特には、これらは、規則的なパターンで実質的に配置される。同様に、システムは、(規則的なパターンで実質的に配置される)複数のセンサを備える。適宜、素子は、複数のセンサも備えるが、概して、素子は、複数の光源を備えるが、センサは単一であるなど、センサよりも多くの光源を備える。光源間の距離は、センサ間の距離よりも小さい。
【0070】
特に、システムは、複数のサブセットを備え、各サブセットは、複数の光源及び1つ又は複数のセンサである。したがって、各実施形態では、生物付着防止システムは、複数の光源を備え、隣り合う光源は、2~100mmのように0.5~200mmの範囲から選択される相互の光源の距離(d1)を有し、生物付着防止システムは、複数の光学センサをさらに備え、隣り合う光学センサは、0.5~200mmの範囲内のように、少なくとも0.5mm、少なくとも2mm、少なくとも1cm、少なくとも4cmのような範囲から選択される相互の光学センサの距離(d2)を有する。特定の各実施形態では、生物付着防止システムは、光源及び光学センサからなる複数のサブセットを備え、各サブセットは、1つ又は複数の光源と1つ又は複数の光学センサとを備え、各サブセットは、サブセット内の1つ又は複数の光学センサの光学センサ信号に応じて、サブセット内の1つ又は複数の光源の紫外線を供給するように構成されている。さらに他の実施形態では、生物付着システムは、複数のLEDを備え、LEDは、紫外線を発生させるように構成されており、LEDは、LEDダイを備え、隣り合うLEDのLEDダイは、0.5~200mmの範囲から選択される相互の光源の距離(d1)を有し、生物付着防止システムは、複数の光学センサをさらに備え、隣り合う光学センサは、0.5~200mmの範囲内のような少なくとも0.5mm、少なくとも2mm、少なくとも1cm、少なくとも4cmのような範囲から選択される相互の光学センサの距離(d2)を有し、生物付着防止システムは、光源及び光学センサからなる複数のサブセットを備え、各サブセットは、1つ又は複数の光源と1つ又は複数の光学センサとを備え、各サブセットは、サブセット内の1つ又は複数の光学センサの光学センサ信号に応じて、サブセット内の1つ又は複数の光源の紫外線を供給するように構成されている。特にd2>d1であり、例えば、d2/d1>2である。
【0071】
したがって、特定の各実施形態では、システムは、複数の紫外線発光光源を備える。しかしながら、他の各実施形態では、システムは、1つ又は複数の紫外線発光光源と、可視又は赤外で発光する1つ又は複数の光源とを備える。特定の各実施形態では、後者は、内面反射の検出及び/又は他の目的のために使用される。しかしながら、さらに他の特定の実施形態では、システムは、複数の光源を備え、1つ又は複数の光源は、光の少なくとも一部が内面反射されるとともに光学センサによって検出できるように構成されている。
【0072】
したがって、特定の各実施形態では、システムは、複数の光源を備え、1つ又は複数の光源は、可視光線を供給するように構成されており、1つ又は複数の他の光源は、紫外線を供給するように構成されている。
【0073】
すでに上で示されたように、システムは、複数の光源を備え、各光源は、主に放射線出口窓の一部へ向けられている。このようにして、大きい導波路が適用される。そのような例では、複数の光学センサも適用され、これらの複数の光学センサは、導波路の放射線出口窓の専用照射を可能にするとともに、高等生物が出口窓に触れたか否かについて出口窓の一部の専用制御を可能にする。したがって、またさらなる特定の実施形態では、生物付着防止システムは、1つ又は複数の光源及び1つ又は複数の光学センサからなる複数のサブセット内に構成された複数の光源及び複数の光学センサを備えており、各サブセットの1つ又は複数の光源は、放射線出口窓のそれぞれの部分を介して放射線を放射するように構成されており、制御系は、1つ又は複数の他のサブセットから独立して1つ又は複数のサブセットを制御するように構成されている。
【0074】
上に示したように、さらなる態様では、本発明は、使用中に少なくとも一部が水中に沈められる物体を提供し、この物体は、本明細書中に定められた生物付着防止システムを備えており、紫外線発光素子は、照射段階中に、(i)物体の外面の一部、及び(ii)外面の一部に隣接した水、のうちの1つ又は複数を紫外線で照射するように構成されている。上に示したように、物体は、特に、船舶及び下部構造物体からなる群から選択される。
【0075】
本明細書において、「使用中に少なくとも一部が水中に沈められる物体」という言い回しは、特に、水関連応用を有する船舶及び下部構造物体などの物体を指す。したがって、使用中、そのような物体は、海、湖、運河、川、又は別の水路などにおける船舶のように、概して水と接触している。例えば、用語「船舶」は、ヨット、タンカー、クルーズ船、クルーザー、フェリー、潜水艦等などのような、例えば、ボート又は船等を指す。用語「下部構造物体」は、特に、ダム、堰、ポンツーン、石油掘削装置等などのような、概して、実質的に固定して配置される水関連応用を指す。用語「下部構造物体」は、(例えば、海洋水を例えばパワープラントに汲み上げるための)管、及び冷却システム、タービンなどの(水力発電)パワープラントの他の一部も指す。用語「下部構造物体」は、石油掘削装置も指す。用語「下部構造物体」は、潮汐エネルギー、波エネルギー、及び/又は海流から得られるエネルギーなど収穫する構造も指す。
【0076】
用語「外面」は、特に、水と物理的に接触している表面を指す。管の場合には、これは、内側の管表面及び外側の管表面のうちの1つ又は複数に当てはまる。したがって、用語「外面」の代わりに、用語「汚損面」も適用される。さらに、そのような実施形態では、用語「喫水線」は、例えば、充填レベルも指す。特に、物体は、水関連(海洋など)の応用、すなわち、海又は大洋の中又は近くの応用のために構成された物体である。そのような物体は、それらの使用中、少なくとも一時的に又は実質的に常に、少なくとも一部が水と接触する。物体は、使用中、水(線)よりも下に少なくとも一部があり、又は潜水艦応用のように、その間中ずっと実質的に水(線)よりも下にある。本発明は、沖合の応用、海(中)の応用、掘削プラットホームなどのために、例えば、水関連(海洋など)の汚損防止のために適用され、濡れた面をきれいに保つ。
【0077】
この水との接触により、生物付着が生じ、上述の不都合を伴う。生物付着は、そのような物体の外面の表面(「表面」)で生じる。保護される物体(の要素)の表面は、鋼鉄で構成されてもよいが、適宜、例えば、木材、ポリエステル、複合材、アルミニウム、ゴム、ハイパロン、PVC、ガラスファイバなどからなる群から選択されるような別の材料で構成されてもよい。したがって、鋼鉄の船殻の代わりに、船殻は、PVC船殻、又はポリエステル船殻などであってもよい。鋼鉄の代わりに、(他の)鉄合金などの別の鉄材料が使用されてもよい。
【0078】
本明細書において、用語「汚損」、「生物付着」、又は「生物汚損」は、交換可能に使用される。上には、汚損の一例が与えられている。生物付着は、水中の任意の表面、又は水の近くの任意の表面、及び水(又は別の導電性水性液体)に一時的に曝される任意の表面で生じる。そのような表面上で、生物付着は、喫水線の(すぐ)上など(例えば水しぶきによるように、例えば船首波によるように)、要素が水中又は水の近くにあるときに生じる。回帰線の間では、生物付着は、数時間以内に生じる。程よい温度でも、第1の汚損(の段階)は、糖及び細菌の第1の(分子)レベルとして、数時間以内に生じる。
【0079】
生物付着防止システムは、少なくとも紫外線発光素子を備える。さらに、生物付着防止システムは、制御系(以下も参照)、電気エネルギー供給部などを備える。
【0080】
用語「生物付着防止システム」は、例えば、単一制御系を介して制御されるような適宜互いに機能的に結合された複数のそのようなシステムも指す。さらに、生物付着防止システムは、複数のそのような紫外線発光素子を備える。本明細書において、(したがって)用語「紫外線発光素子」は、複数の紫外線発光素子を指す。例えば、一実施形態では、複数の紫外線発光素子は、船殻などの物体の外面へ関係付けられ、又はそのような表面によって備えられ(以下も参照)、これに対して、例えば、制御系は、船舶の制御室又は操舵室など物体内のどこかに構成される。
【0081】
汚損が発生する表面又は領域は、本明細書中では、汚損表面としても示される。それは、例えば、船の船殻、及び/又は光学媒体の発光面である(以下も参照)。このため、紫外線発光素子は、生物付着の形成を防ぐ及び/又は生物付着を除去するために適用される紫外線(汚損防止光)を与える。この紫外線(汚損防止光)は、特に、(「UV光」としても示される)紫外線で少なくとも構成される。したがって、紫外線発光素子は、特に紫外線を供給するように構成されている。そこに、紫外線発光素子は、光源を備える。用語「光源」は、2~200個の(固体)LED光源などの複数の光源にも関するが、ずっと多くの光源が適用されてもよい。したがって、用語LEDは、複数のLEDも指す。特に、紫外線発光素子は、複数の光源を備える。したがって、上に示したように、紫外線発光素子は、1つ又は複数の(固体)状態の光源を備える。LEDは、(OLED又は)固体LED(或いはこれらLEDの組み合わせ)である。特に、光源は、固体LEDを備える。したがって、特に、光源は、UV-A及びUVC光のうちの1つ又は複数を供給するように構成されている紫外線LEDを備える(以下も参照)。UV-Aは、細胞壁を損なうために使用されるのに対して、UVCは、DNAを損なうのに使用される。したがって、光源は、特に紫外線を供給するように構成されている。本明細書において、用語「光源」は、特に固体光源を指す。光源は、(a)固体レーザも含む。
【0082】
特に、センサは、光源(又は複数の光源)と放射結合される。用語「放射結合される」は、特に、光源によって発せられる放射線の少なくとも一部が、(放射線出口窓における)内面反射を介してセンサによって受信されるように光源及びセンサが互いに関連していることを意味する。
【0083】
特に、1つ又は複数の光源は、LEDである。したがって、各実施形態では、生物付着防止システムは、複数の光源を備え、光源はLEDを備える。代替として又は加えて、光源は、固体レーザを備える。
【0084】
紫外(UV)は、可視スペクトルの下側波長極限とX線放射線帯域によって境界が付けられる電磁光の一部である。紫外光のスペクトル範囲は、約100と400nmとの間の定義によって(1nm=10-9m)であり、人間の目に見えない。CIE分類を用いて、紫外スペクトルは、3つの帯域に分割され、すなわち、315から400nmまでのUVA(長波)、280から315nmまでのUVB(中波)、及び100から280nmまでのUVC(短波)である。実際には、多くの光生物学者は、紫外露光により生じる皮膚の影響について、320nmの上下の波長の重み付きの影響としてしばしば話し、したがって代替の定義を申し出る。
【0085】
強力な殺菌効果は、短波UVC帯域内の光によって与えられる。さらに、紅斑(皮膚の赤み)と結膜炎(目の粘膜の炎症)もこの光の形態によって引き起こされ得る。このため、殺菌紫外光ランプが使用されるとき、UVCの漏れを除外し、そしてこれらの影響を避けるようにシステムを設計することが重要である。光源が沈められる場合、水による紫外光の吸収は、液体表面よりも上でUVCの漏れが人間にとって問題にならないくらい十分に強い。したがって、一実施形態では、紫外線(汚損防止光)は、UVC光を含む。さらに別の実施形態では、紫外線は、100~300nm、特に200~300nm、例えば230~300nmの範囲の波長から選択される放射線を含む。したがって、紫外線は、特に、波長約300nmまでのUVC及び他の紫外線から選択される。良好な結果は、100~300nm、例えば200~300nmの範囲内の波長で得られる。
【0086】
上に示したように、各実施形態では、紫外線発光素子は、(照射段階中に)(i)外面の一部、及び(ii)外面の一部に隣接した水、のうちの1つ又は複数を紫外線で照射するように構成されている。用語「一部」は、例えば、船殻又は堰(ドア)などの物体の外面の一部を指す。しかしながら、用語「一部」は、船殻又は堰の外面などのほぼ外面全体も指す。特に、外面は、1つ又は複数の光源の紫外光で照射される又は1つ又は複数の紫外線発光素子の紫外線で照射される複数の部分を備える。各紫外線発光素子は、1つ又は複数の部分を照射する。さらに、適宜、2つ以上の紫外線発光素子の紫外線を受け取る部分がある。
【0087】
概して、特に、水関連(海洋など)の応用を指すとき、2つの主要な実施形態の間で区別される。各実施形態の1つは、少なくとも照射段階中に、光源と紫外線発光素子との間で、海水などの水(又は喫水線の上にあるときの空気)とともに紫外線で照射される外面の一部を含む。そのような実施形態では、部分は、物体の「元の」外面によって特に構成されている。しかしながら、さらに別の実施形態では、「元の」外面は、(船舶の船殻などの)物体の「元の」外面に取り付けられるモジュール、特に比較的平坦なモジュールが広がっており、それによって、実際には、モジュール自体が外面を形成する。例えば、そのようなモジュールは、船舶の船殻に関連しており、それによってモジュールは、外面(の少なくとも一部)を形成する。両実施形態では、紫外線発光素子は、特に、放射出口面を備える(以下もさらに参照)。しかしながら、特に、紫外線発光素子が外面の一部を与える後者の実施形態では、そのような放射線出口窓は、(第1の一部及び放射線出口窓が実質的に一致する、特に、同じ表面にあるときに)上記一部を与える。
【0088】
したがって、一実施形態では、紫外線発光素子は、外面に取り付けられる。さらに他の特定の実施形態では、生物付着防止システムの放射線出口窓は、外面の一部として構成されている。したがって、実施形態の一部では、物体は、船殻を備えた船舶を含み、紫外線発光素子は、船殻に取り付けられる。用語「放射線出口窓」は、複数の放射線出口窓も指す(以下も参照)。
【0089】
両方の一般的な実施形態では、紫外線発光素子は、(照射段階中に)紫外線で外面の一部に隣接した水を照射するように構成されている。モジュール自体が実際に外面を形成する各実施形態では、紫外線発光素子は、それが実際には外面の一部である、及び適宜、外面の一部に隣接した水でもあるときに、(照射段階中に)紫外線で外面の一部を照射するように少なくとも構成されている。これによって、生物付着は、防がれる及び/又は減少させられる。
【0090】
一実施形態では、汚損からきれいに保たれている大幅な量の保護表面、好ましくは保護表面全体、例えば、船の船殻は、殺菌光(「汚損防止光」)、詳細には紫外光を発する層で覆われている。
【0091】
さらに別の実施形態では、紫外線(汚損防止光)は、ファイバなどの導波路を介して保護される表面へ与えられる。
【0092】
したがって、一実施形態では、汚損防止光システムは、光学媒体を備え、この光学媒体は、光ファイバなどの導波路で構成され、紫外線(汚損防止光)を汚損表面へ供給するように構成されている。例えば、紫外線(汚損防止光)が漏れる導波路の表面は、明細書において発光面としても示されている。概して、この導波路の一部は、少なくとも一時的に沈められる。紫外線(汚損防止光)が発光面から漏れることにより、使用中に(海水などの)液体に少なくとも一時的に曝される物体の要素は照射され、それによって汚損保護される。しかしながら、発光面それ自体も、汚損保護される、この効果は、以下に説明される光学媒体を備える紫外線発光素子の実施形態の一部において使用される。
【0093】
光媒体を備える実施形態は、WO2014188347にも記載されている。WO2014188347の実施形態は、それらが制御ユニット及び/又は水スイッチ並びに本明細書中に記載される他の実施形態と組み合わされるときに、参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
上に示したように、本発明は、(ドア)ノブ等のためのような水関連(海洋など)の応用とは異なる応用にも適用される。
【0095】
上に示したように、紫外線発光素子は、特に紫外線出口窓を備える。したがって、特定の実施形態では、紫外線発光素子は、紫外線出口窓を備え、紫外線発光素子が、特に紫外線発光素子の紫外線出口窓より下流に紫外線を供給するように構成されている。そのような紫外線出口窓は、放射線が紫外線発光素子から漏れる光学的窓である。代替として又は加えて、紫外線出口窓は、導波路の表面である。したがって、紫外線は、導波路の中に紫外線発光素子の中で結合され、導波路の面(の一部)を介して素子から漏れる。上にやはり示されたように、各実施形態では、放射線出口窓は、適宜、物体の外面の一部として構成されている。「漏れ」について別の用語は、「取出し」であり得る。
【0096】
特に、(固体)光源は、第1の紫外線レベルと第2の紫外線レベルとの間で少なくとも制御可能であり、第1の紫外線レベルは、第2の紫外線レベルよりも大きく(そして、第2の紫外線レベルは、第1の放射線レベルよりも小さく、又はゼロでさえある)。したがって、一実施形態では、光源は、オフに切り換えられ、(放射線段階中に)オンに切り換えられる。さらに、適宜、紫外線の強度はやはり、段階的又は連続的な紫外線強度制御のようにこれらの2つの段階の間で制御される。したがって、光源(したがってその紫外線強度I)は、特に制御可能である。
【0097】
(水関連(海洋など))実施形態では、生物付着防止システムは、特に、物体の一部又はこの物体の一部に隣接した水へ紫外線を供給するように構成されている。これは、特に、照射段階中に紫外線が適用されることを示唆する。したがって、適宜、紫外線が全く適用されていない時間があってもよい。これは、(したがって)例えば、紫外線発光素子のうちの1つ又は複数の制御系切り換えによるものだけでなく、例えば、昼と夜、又は水温等など既定の設定によってもよい。例えば、一実施形態では、紫外線は、パルス状に加えられる。
【0098】
したがって、特定の実施形態又は態様では、生物付着防止システムは、汚損防止光(すなわち、紫外線)を汚損表面又はそこに隣接した水へ供給することによって使用中に少なくとも一時的に水に曝される物体の汚損表面上の生物付着を防ぐ又は減少させるように構成されている。特に、生物付着防止システムは、汚損防止光を光学媒体を介して汚損表面へ供給するように構成されており、紫外線発光素子は、(ii)紫外線(汚損防止光)の少なくとも一部を受け取るように構成されている光学媒体をさらに備え、この光学媒体は、紫外線(汚損防止光)の少なくとも一部を供給するように構成されている発光面を備える。さらに、特に、光学媒体は、導波路及び光ファイバのうちの1つ又は複数を備え、紫外線(汚損防止光)は、特に、UVB光及びUVC光のうちの1つ又は複数を含む。これらの導波路及び光媒体は、本明細書中においてさらに詳細に説明される。
【0099】
光学媒体は、保護された表面に適用されるための(シリコーン)フォイルとして設けられてもよく、このフォイルは、汚損防止光を発生させる少なくとも1つの光源と、フォイルにわたって紫外線を分布させるシート状光学媒体とを備える。各実施形態では、フォイルは、数ミリメートルから数センチメートル、例えば、0.1~5cm、0.2~2cmの大きさの程度の厚さを有する。各実施形態では、フォイルは、数十又は数百平方メートルの大きさの程度のサイズを有する大幅に大きいフォイルを与えるように厚さ方向に直交する任意の方向に実質的に制限される。フォイルは、汚損防止タイルを与えるようにフォイルの厚さ方向に直交する2次元方向に実質的にサイズが限られており、別の実施形態では、フォイルは、汚損防止フォイルの細長いストリップを与えるようにフォイルの厚さ方向に直交する1つの方向だけに実質的にサイズが限られている。したがって、光学媒体及びさらに紫外線発光素子もが、タイル又はストリップとして与えられる。タイル又はストリップは、(シリコーン)フォイルで構成される。
【0100】
したがって、特定の各実施形態では、導波路要素は、ガラス、シリコーン、及び光透過ポリマーのうちの1つ又は複数で構成される。
【0101】
一実施形態では、紫外線発光素子は、紫外線を発生させる光源の2次元グリッドを備え、光学媒体は、光源の2次元グリッドからの紫外線の少なくとも一部を光学媒体にわたって分布させるように配置され、光モジュールの光発光面から出る紫外線の2次元分布を与えるようになっている。光源の2次元グリッドは、金網構造、最密構造、行列構造、又は任意の他の適切な規則的又は不規則的構造で配置される。グリッド内の隣り合う光源間の物理的距離は、グリッドにわたって一定であり、又は例えば、汚損防止効果を与えるのに必要とされる光の出力パワーの関数として又は保護された表面/きれいに保たれる表面上の紫外線発光素子の位置(例えば、船の船殻の位置)の関数として変化する。光源の2次元グリッドを設ける利点は、紫外線が紫外線照明で保護される領域の近くに発生することと、それが光学媒体又は光ガイド内の損失を減少させることと、それが光分布の均一性を高めることとを含む。好ましくは、紫外線は、発光面にわたって概して均一に分布しており、これは、さもなければ汚損が生じる照明不足の領域を減少させ又はさらに防ぎ、一方、同時に、汚損防止に必要なものよりも大きい光による他の領域の過照明によるエネルギーの浪費を減少させる又はさらに防ぐ。一実施形態では、グリッドは、光学媒体で構成されている。さらに別の実施形態では、グリッドは、(シリコーン)フォイルによって構成されている。
【0102】
さらに、一実施形態では、光学媒体は、保護された表面の近位に配設され(適宜そこに取り付けられることを含む)、紫外光を受け取るように結合されている。光学媒体は、保護された表面に直交する厚さ方向を有し、厚さ方向に直交する光学媒体の2つの直交方向が、保護された表面に対して平行である。光学媒体は、厚さ方向に直交する2つの直交方向のうちの少なくとも1つの方向に紫外光が光学媒体内を進むように、及び光学媒体の表面に沿った点で、紫外光の各部分が光学媒体に漏れるように、紫外光の伝搬経路を与えるように構成されている。
【0103】
さらなる態様では、本発明は、物体の外面(の一部)を(生物)汚損防止する方法も提供する。そのような物体は、導波路要素を備え、この導波路要素は、出術台又は台所用のまな板のようにプレートの形態であるが、ドアのノブ、トイレを操作する(トイレを流す)ためのトイレノブ、又はタップのノブ等などの別の形状も有する。また、便座は、導波路要素などを備える。本発明は、手術室の壁(の一部)の生物付着を減少させるためにも使用される。したがって、さらなる態様又は実施形態では、本発明は、本明細書中に定められたシステムを備える物体も提供し、この物体は外面を備え、放射線出口窓が外面の少なくとも一部として構成され、物体は、テーブル、手術台、クリーンルームの壁、手術室の壁、及び台所の壁を含む群から選択される。
【0104】
したがって、各実施形態では、テーブル、手術台、クリーンルームの壁、手術室の壁、又は台所の壁は、本明細書に記載された導波路要素を備える。
【0105】
光源は、そのような物体の外に構成されてもよく、放射線は、例えば光ファイバを介して導波路要素に分割されてもよい。さらに他の各実施形態では、光源は、導波路要素内に埋め込まれる。
【0106】
本明細書において、用語「物体」は、特定の各実施形態では、特に機能的に接続されている(異なる)物体の配置も指す。
【0107】
さらに他の態様では、本発明は、導波路要素から導波路要素の外部への放射線の漏れを制御する方法も提供する。上記放射線は、紫外線を少なくとも含み、この方法は、導波路要素内で内部反射した放射線の内面反射強度(I)を検出するステップと、経時的な内面反射強度(I)の減少の所定の第1の閾値に到達するのに応じて(紫外線を少なくとも含む放射線を与える光源の)放射線の強度を減少させるステップとを有する。
【0108】
特定の実施形態では、物体は、使用中に水に少なくとも一時的に曝される物体であり、この方法は、本明細書中に定められた生物付着防止システムを物体に設けるステップと、適宜、(i)フィードバック信号、及び(ii)紫外線の強度(汚損防止光)を(周期的に)変化させるタイマのうちの1つ又は複数の関数として、(物体の使用中に)紫外線を発生させるステップと、(照射段階中に)紫外線を外面(の一部)へ供給するステップとを有する。そのようなフィードバック信号は、センサによって与えられる。したがって、この方法は、経時的な内面反射強度(I)の減少の所定の第1の閾値に到達するのに応じて放射線の強度を減少させるステップをさらに有するとともに、システムに関連して定められたさらなる活動を有する。
【0109】
さらに他の態様では、本発明は、生物付着防止システムを物体に設ける方法も提供する。この方法は、生物付着防止システムに物体への導波路要素を備えるステップを有する。特に、物体は、物体の使用中に、細菌などの有害なミクロ生物に少なくとも一時的に曝されるように構成されている。したがって、各実施形態では、導波路要素は、物体に取り付けられ、導波路要素を備えた物体を与えるようになっている。
【0110】
各実施形態では、本発明は、使用中に少なくとも一時的に水に曝される物体に生物付着防止システムを設ける方法も提供する。この方法は、添付の特許請求の範囲にさらに定められるように、物体の外面の一部及び(使用中に)一部に隣接した水のうちの1つ又は複数に紫外線を供給するように構成されている導波路要素を有する生物付着防止システムを船舶などの物体に設けるステップ、例えば、物体に組み込むステップ及び/又は外面に取り付けるステップを有する。特に、導波路要素は、外面に取り付けられる、又は外面の(第1の)部分として構成もされる。
【0111】
用語「可視」、「可視光」、又は「可視発光」は、約380~780nmの範囲内の波長を有する光を指す。
【0112】
さらなる実施形態では、汚損防止表面の様々な領域上の汚損レベルは、別々に検出及び制御することができる。
【0113】
さらに他の実施形態では、監視はリアルタイムで行われ、センサからの汚損信号は、汚損防止システムの紫外線を制御するために使用される。
【0114】
したがって、生物付着防止放射線は、特に紫外線を含む。センサ(反射、散乱、ルミネッセンス)を用いた検出に使用される放射線は、紫外線、可視光線、及び赤外線のうちの1つ又は複数であり、すなわち、特に約200から1500nmの間の実質的に任意の放射線である。
【0115】
特に、本明細書中に記載された任意の行為は、人工の装置で実行される。例えば、用語「検出」は、センサを用いた検出を指し、又は「決定」のような用語は、プロセッサを用いた決定を指す。
【0116】
次に、添付の概略図を参照して本発明の各実施形態を例のみによって説明する。対応する参照符号は、対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1a-1h】いくつかの一般的な態様を概略的に示す図である。
図2a-2c】いくつかの実施形態及び変形例を概略的に示す図である。
図3a-3b】いくつかのさらなる実施形態及び変形例を概略的に示す図である。
図4a-4b】いくつかのさらなる実施形態及び変形例を概略的に示す図である。
図5a-5b】いくつかの可能なスキームを概略的に示す図である。
図6a-6b】いくつかのさらなる態様を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
図面は、必ずしも原寸に比例していない。
【0119】
図1aは、紫外線発光素子210を備える生物付着防止システム200の一実施形態を概略的に示す。紫外線発光素子210は、紫外線出口窓230を備える。紫外線発光素子210は、紫外線221を供給するように構成された光源220を少なくとも一部取り囲む。本明細書では、一例として、3つの光源220が示されている。ここでは、紫外線発光素子210は、導波路として構成され、その中に素子が埋め込まれている。したがって、光源220は、導波路内に埋め込まれている。紫外線出口窓230は、光源220の紫外線221の少なくとも一部を透過するように構成されている。紫外線出口窓230は、上流窓側231(ここで光源へ向けられる)と、下流窓側232とを備える。紫外線発光素子210は、下流窓側232から発する放射線421を検出するように構成されている光学センサ310も少なくとも一部取り囲む。ここで、センサ310も、導波路内に埋め込まれている。センサ310は、下流側から発する放射線421に応じて、対応する光学センサ信号を供給するように構成されている。さらに、生物付着防止システム200は、光学センサ信号に応じて紫外線221を供給するようにさらに構成されている。放射線421は、参照符号5で示される(下流窓側232における生物付着による)光源放射線221の散乱、(上流窓側231における)光源放射線221の反射、及び(下流窓側232における)生物付着のルミネッセンスのうちの1つ又は複数を含む。
【0120】
特に、放射線421は、(全ての放射線が取り出されるのでない限り)光源放射線221の反射を含む。
【0121】
ここで、この概略的に示された実施形態では、同じタイプの光源が、生物付着防止放射線221に使用されるとともに、センサ310を備えた制御ループに使用される。しかしながら、これは、必ずしもそうとは限らない。参照符号305は、光源220の放射線221を光学センサ310の関数として制御する電子機器又は制御要素を指す(以下も参照)。ここで、制御は、強度の制御、及びスペクトル分布の制御のうちの1つ又は複数を指す。センサ310と、反射、散乱、ルミネッセンスなどによって直接又は間接的に使用される放射線を発生させる光源との組み合わせは、本明細書中で、センサシステムとしても示されている。本明細書中において、光源は、センサシステムの供給源としても示されている。
【0122】
用語「制御」は、特に光源の挙動を決定し又は稼働を監督する、したがって、特に強度とスペクトル分布とのうちの1つ又は複数、特に少なくとも強度の挙動を決定し又は稼働を監督することを指す。
【0123】
図1bに概略的に示された実施形態では、本明細書中に説明及び/又は本明細書中に図示された他の実施形態も、放射線発光素子、したがって特にここでは紫外線発光素子220を備え、この紫外線発光素子220は、光源及びセンサを少なくとも一部、又はさらにはほぼ全体的に取り囲むことに留意されたい。
【0124】
図1b~図1dは、使用中に水2の中に少なくとも一部が沈められる物体10の各実施形態を概略的に示す(喫水線13参照)。船舶又は堰などの物体10(以下も参照)は、特に船殻又は船殻の一部などの物体10の外面11の部分111への紫外線221の応用向けに、紫外線発光素子210を備えた生物付着防止システム200をさらに備える。ここで、生物付着防止システム200、又はさらに特には紫外線発光素子210が外表面の一部であり、それによって実際に外表面の一部を形成する(図1a)、或いは紫外線発光素子210が外表面を照射するように構成され、必ずしも船の船殻などの外表面の一部を形成するとは限らない(図1c)2つの実施形態が示されている。例えば、物体10は、船舶1及び下部構造物体15からなる群から選択される(以下も参照)。
【0125】
紫外線発光素子210は、1つ又は複数の光源220を備え、特に、照射段階中に紫外線221で(i)外面11の部分111、及び(ii)外面11の部分111に隣接した水、のうちの1つ又は複数を照射するように構成されている。前者の変形例は、特に図1cの実施形態に当てはまり、後者の実施形態は、特に、図1b~図1cの両実施形態に当てはまる。しかしながら、紫外線発光素子210の外面が物体10の外面として構成されるとき、もちろん、部分111は、紫外線21でそれ自体照射されることに留意されたい。
【0126】
したがって、紫外線発光素子210は、紫外線出口窓230を備え、紫外線発光素子210は、紫外線発光素子210の紫外線出口窓230から下流に紫外線221を供給するように構成されている。
【0127】
特に、光源220は、第1の紫外線レベルと第2の紫外線レベルとの間で少なくとも制御可能であり、第1の紫外線レベルは、第2の紫外線レベルよりも大きい(且つ第2の紫外線レベルは、第1の放射線レベルよりも小さい(例えばゼロを含む)。
【0128】
上に示したように、参照符号1で示される用語「船舶」は、図1dに概略的に示されるような、例えば、ヨット、タンカー、クルーズ船、クルーザー、フェリー、潜水艦(図1dの10d参照)等などのような、例えば、ボート又は船(図1dの10a参照)などを指す。用語「下部構造物体」は、参照符号15で示され、特に、ダム/堰(図1dの参照符号10e/10f)、ポンツーン(図1dの参照符号10c)、石油掘削装置(図1dの参照符号10b)等などの概して実質的に固定して配置される水に関連する応用例を指す。
【0129】
図1eは、ここでは一例として統合された制御系300と統合されたセンサ310とを備える生物付着防止システム200の実施形態をより詳細に概略的に示す。
【0130】
図1fは、(ここでは船舶1の船殻21に関連した)一例として複数の紫外線発光素子210を備える船舶の壁又は下部構造物体の壁などの物体10の外面11を概略的に示す。代替として又は加えて、複数の機能的に結合された又は独立して機能する生物付着防止システム200が適用される。
【0131】
図1fは、生物付着防止システム200が(複数の光源を備えた)複数の紫外線発光素子210と、複数の放射線出口窓230と、複数の上記部分111とを備える実施形態も概略的に示している。複数の光源220は、紫外線221を複数の放射線出口窓23を介して複数の上記部分111へ供給するように構成されており、複数の上記部分111は、物体10の様々な高さに構成され、制御系300は、入力情報の関数として光源220を個々に制御するように構成されている。例えば、一実施形態では、制御系300は、水に対しての外面11の部分111の位置の関数として光源220を個々に制御するように構成されている。
【0132】
図1gは、船舶1は、物体10の実施形態として、複数の生物付着防止システム200を備え、及び/又はそのような生物付着防止システム200のうちの1つ又は複数は、複数の紫外線発光素子210を備える一実施形態を概略的に示す。水(喫水線)などに対しての特定のそのような生物付着防止システム200の高さ及び/又は紫外線発光素子210の高さに応じて、それぞれの紫外線発光素子210は、オンに切り換えられる。
【0133】
図1hは、紫外線LEDなどの光源210がグリッド状に配列され、並列接続の直列で接続されている金網の実施形態を示す。LEDは、LEDを金網に接続するためのはんだ付け、接着、又は任意の他の知られている電気的な接続技法のいずれかによってノードで取り付けられている。1つ又は複数のLEDは、各ノードに配置されている。直流又は交流駆動が実施される。交流が使用される場合、逆平行構成のLEDの結合が使用される。当業者は、各ノードにおいて、逆平行構成のLEDの2つ以上の結合が使用されることを知っている。金網グリッドの実際のサイズ及びこのグリッド内の紫外線LED間の距離は、ハーモニカ構造を伸ばすことによって調整することができる。金網グリッドは、光学媒体内に埋め込まれる。上で、水、センサの信号等などと接触することに応じて、生物付着防止システム200がオフに切り換わる又は特定の紫外線発光素子210若しくは特定の光源220をオフに切り換える特に能動的な防止応用を説明した。しかしながら、代替として又は加えて、警告信号又はメッセージを使用して、危険な人に警告してもよい。
【0134】
図2aは、内面反射(又は全反射TIR)がセンサ310のための入力としてそれぞれ使用される変形例を概略的に示す。内面反射は、生物付着5が増加するにつれて減少する。ここで、一例として、生物付着防止光としての紫外線の発生のためにも使用される光源220が、(センサシステム内で)適用される。しかしながら、代替光源が適用されてもよい(図2cも参照)。図2aは、一例として、参照符号217で示されるブロッキング要素又は物理的障害物も備え、これらは、参照符号221で示される光源放射線が、センサ310に直接到達するのを防ぐように構成されている。
【0135】
図2aに概略的に示されるように、導波路要素1210は、放射線221の少なくとも一部を受け入れ、放射線221の少なくとも一部を放射線出口窓230を介して導波路要素1210の外部へ放射するように構成されている。さらに、導波路要素は、放射線出口窓230で放射線221の一部を内面反射するように構成されている。この反射された放射線は、センサ310によって測定することができる。
【0136】
図2bは、生物付着5のルミネッセンスが使用される一実施形態を概略的に示す。このルミネッセンスは、可視及び/又は赤外における。励起は、光源220又は代替光源に関連している(図2cも参照)。
【0137】
ここで、一例として、別個の放射線出口窓230を備えたハウジングが、他の概略図の多くに使用されるような導波路プレートの代わりに概略的に示されている。したがって、紫外線発光素子は、1つ又は複数の関連素子を少なくとも一部備えた又は全体として内部に埋め込んだプレート状モジュールである。しかしながら、紫外線素子は、少なくとも部分的又はさらには全体的に1つ又は複数の関連素子を取り囲むハウジングも備える。1つ又は複数の関連素子は、光源放射線、特に紫外線を供給するように構成されている光源を少なくとも備える。
【0138】
図2cは、システム200が、本明細書中で第2の光源光281として示される可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を発生させるように構成された第2の光源280を備え、光学センサ310が、可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を検出し、対応するセンサ信号を供給するように構成されている一実施形態を概略的に示す。ここで、一例として、2つの第2の光源280が、例えば、青色及び緑色、又は可視及び赤外線などのような異なるタイプの光を供給するように適用される。光学センサ310は、可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を検出し、対応するセンサ信号を供給するように構成されている。
【0139】
さらに、可視光線又は赤外線がセンサシステムのための入力として所望されるとき、紫外線221、並びに可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数を供給するように構成されている光源220を使用することもできることに留意されたい。
【0140】
生物付着防止システム200は、光源220の紫外線強度の依存のためにセンサ信号を補正するように構成された制御要素320をさらに備える。図3aに概略的に示されるように、制御要素320は、光源220の紫外線強度の変動を最小にするようにも構成される。各実施形態では、制御要素320は、制御系300によって備えられる(この概略的な図面には図示せず)。
【0141】
図2a~図2c及び図3a~図3b、並びに本明細書中に記載されているが図示されていない他の各実施形態を参照すると、光源及びセンサは、放射線出口窓230の同じ側に特に構成される。図2a~図2c及び図3a~図3b、並びに本明細書中に記載されているが図示されていない他の各実施形態を参照すると、光源及びセンサは、上流窓側231の同じ側に特に構成される。
【0142】
(したがって)光源及び光学センサは、光発光素子内に、さらにより特にはシリコーン導波路などの導波路内に、共に埋め込むことができることにさらに留意されたい。
【0143】
導波路は、ガラス、石英、(溶融)シリカ、シリコーン、フッ素重合体等などの放射線透過材料で特に構成される。
【0144】
図4aは、複数の光源220を備えた生物付着防止システム200の一実施形態を概略的に示す。ここで、光源220は、LED225を備える。LEDは、LEDダイ226を備える。隣り合うLED225のLEDダイ226は、特に0.5~200mmの範囲から選択される相互の光源の距離d1を有する。図示されるように、生物付着防止システム200は、複数の光学センサ310をさらに備える。隣り合う光学センサは、10~100cmの範囲内などの特に少なくとも4cmの範囲から選択される相互の光学センサの距離d2を有する。ここで、生物付着防止システム200は、光源220及び光学センサ310からなる複数のサブセット330を備え、各サブセット330は、1つ又は複数の光源220と、1つ又は複数の光学センサ310とを備える。特に、各サブセット330は、サブセット330内の1つ又は複数の光学センサ310の光学センサ信号に応じて、サブセット330内の1つ又は複数の光源220の紫外線221を供給するように構成されている。制御系は、1つ又は複数の素子210に備えられ、又は例えば、破線の正方形で概略的に示される中央制御系300がある。制御系300は、素子210から遠隔であってもよいことに留意されたい。
【0145】
図4bは、光源220、すなわちここでは固体光源がセンサとして構成される一実施形態を概略的に示す。このために、電子機器又は制御要素305は、センサ310としての固体光源の機能を有するように備えられる。適宜、この光源は、検出段階と放射段階との間で切り換える電子機器又は制御要素305により制御される。
【0146】
電子機器又は制御要素305は、制御系300(ここで図示せず)によって備えられる。
【0147】
図5aは、スキームを概略的に示しており、x軸上には時間、左y軸上にはFで示される連続線を伴う汚損防止光の強度、右y軸上には参照符号Iで示される破線の曲線により示された反射光を検出するセンサ信号がある。人間などの物体がある時間にわたって放射線出口窓(導波路の表面)に触れると、t1などにおける内面反射光の突然の低下がある。その後すぐに、紫外線の強度が、制御系によって低下させられる。ここで、強度Iは、t2においてゼロに低下する。物体が導波路から離れるとき、ここではt3において、内面反射光は、実質的に元のレベルIへの増加として見られるように増加する。その後すぐにt4において、紫外線の強度は、実質的に元のレベルF1に増加する。経時的な差(t1とt2との間、又はt3とt4との間それぞれ)は、制御系が基本的にすぐに反応するため(例えば、制御時間が最小に維持されるとき)、非常に短い。
【0148】
図5bは、同様の例を概略的に示すが、いくつかの変形例を有する。ここでは、内面反射Iが減少するにつれて、生物付着が明らかに増加する。これの増加は、紫外線の強度F1を増大させることでも停止するように試みられる(示された時間スケール上で、これは、所望の効果をまだ明らかには有していない)。人間又は他の物体との接触は、上と同じ結果を有する。しかしながら、この概略的な例では、一例として、紫外線強度F1は、ゼロに低下しない。物体が離れると、紫外線強度は、紫外線強度と内面反射強度との間の既定の関係に従って測定された内面反射強度I1と関係しているレベルへ増加する。
【0149】
紫外線F1が変化するとき、図5a及び図5bの各例において第1及び第2の閾値に到達したことが明らかである。
【0150】
各実施形態では、第1の閾値に到達するとき、システムは、音響信号、光信号、及び振動信号のうちの1つ又は複数も与える。これは、放射線出口窓に触れるより高い生物を警告する。光信号は、特に、本質的に、可視光線及び赤外線のうちの1つ又は複数、特に少なくとも可視光線に関する。
【0151】
図6aは、ユーザインタフェース340も備えるシステムを概略的に示す。各実施形態では、ユーザインタフェースは、グラフィカルユーザインタフェースである。このユーザインタフェースは、必ずしもそうとは限らないが、特に、導波路要素1210の外にある。
【0152】
図6bは、便座、タップノブ付きのタップを備えたシンク、及び内部ノブ及び外部ノブを備えたドアを備えるトイレを伴う浴室を大変概略的に示す。ここで、一例として、内部ノブ、外部ノブ、及びタップノブ、並びに便座は、全て、本明細書中に定められるような物体である。
【0153】
各実施形態では、光は、所定の時間の後に、又はさらに好適には、同様であるが負のステップが取出しに観察された後に再びオンに切り換えられてもよい。これは、表面に触れていた物体が離れたことを示唆する。
【0154】
各実施形態では、紫外線保護された表面のサイズに応じて、紫外線発光の部分的な駆動に加えて、複数のセンサが組み込まれてもよい。したがって、局所的な『外乱』に応じて、紫外線源をオフに切り換えることができる。
【0155】
生物学的な「安全上の理由」のために紫外線発光を用いる任意の「能動的表面」は、このアイデアから利益を得ることができる。公衆トイレのドアノブ、台所のまな板、病院設備、又は手術室に用いられるテーブルなどが考えられる。
【0156】
本明細書において、「実質的に全ての光」又は「実質的に~からなる」などにおける「実質的に」という用語は、当業者に理解されるであろう。「実質的に」という用語は、「全体的に」、「完全に」、「全ての」等の実施形態も含み得る。したがって、実施形態では、実質的にという形容詞を削除することもできる。適用可能であれば、「実質的に」という用語は、90%以上、例えば95%以上、特に99%以上、さらに特に99.5%以上に関連し、また、100%を含む。用語「含む」は、用語「含む」が「からなる」を意味する実施形態も含む。「及び/又は」という用語は、特に、「及び/又は」の前後に記載されたアイテムの1つ以上に関連する。例えば、「アイテム1及び/又はアイテム2」というフレーズ、及び同様なフレーズは、アイテム1及びアイテム2の1つ以上に関連し得る。ある実施形態において、「含む」という用語は「からなる」を指し得るが、別の実施形態では、「少なくとも規定された種類、さらに場合により1つ以上の他の種類を含む」を指し得る。
【0157】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも逐次的又は時間的な順序を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示されているもの以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0158】
本明細書の装置は、とりわけ、動作中の状態で説明されている。当業者には明らかなように、本発明は、動作方法又は動作中の装置に限定されない。
【0159】
上記実施形態は本発明を限定するものではなく、当業者は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの代替的実施形態を設計することができることに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧間に置かれた参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む」という動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素に先行する冠詞「a」又は「an」は、複数のかかる要素の存在を排除するものではない。本発明は、複数の別々の要素を含むハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実施され得る。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のうちのいくつかは、同一のハードウェアアイテムによって具現化されてもよい。複数の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせが好適に使用することができないとは限らない。
【0160】
本発明はさらに、明細書に記載された及び/又は添付図面に示された特徴の1つ以上を備えた装置を含む。本発明はさらに、明細書に記載された及び/又は添付図面に示された特徴の1つ以上を含む方法又はプロセスに関する。
【0161】
本特許で議論される様々な態様は、さらなる利点を提供するために組み合わせることができる。さらに、一部の特徴が、1つ以上の分割出願の基礎を形成し得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B