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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】入力補助装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/428 20140101AFI20220207BHJP
   A63F 13/211 20140101ALI20220207BHJP
   A63F 13/245 20140101ALI20220207BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
A63F13/428
A63F13/211
A63F13/245
G06F3/01
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020039998
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021137476
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-05-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 誠
(72)【発明者】
【氏名】上島 拓
(72)【発明者】
【氏名】上野 和孝
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-290069(JP,A)
【文献】特開2017-113076(JP,A)
【文献】特開2014-025676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00-13/98
A63H 1/00-37/00
G06F 3/01
F41J 1/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度及び第1軸周りの角速度を検出可能なセンサを有し且つ前記センサによって検出された前記加速度及び前記角速度に基づいてゲームを進行するゲーム実行機器を備え、前記ゲーム実行機器は、少なくとも前記センサを収容する筐体が標的と一体的に前記第1軸を中心に回動可能となるように据え置かれた状態で、外部から発射した発射体が前記標的に当たったときに、前記発射体から受けた衝撃に基づく前記加速度と、前記第1軸を中心とする前記標的及び前記筐体の回動に伴って生じる前記第1軸周りの角速度とを前記センサで検出し、前記加速度及び前記角速度に基づいて前記発射体が当たった標的位置を判定し、この判定結果を用いてゲームを進行することを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
さらに入力補助装置を備え、前記入力補助装置は、接地される基台と、前記基台に鉛直な第2軸を中心に回動可能に支持され、前記第2軸の両側に延在し使用時に正面を向く前面に、前記標的が形成された標的ユニットと、前記標的ユニットに設けられ前記ゲーム実行機器のうちの少なくとも前記センサを収容する筐体が着脱可能で装着により前記第1軸と前記第2軸とを合致させる筐体搭載部と、を具備することを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記入力補助装置は、前記標的ユニットの前記第2軸を中心とする回動範囲を規制する回動範囲規制部を備えたことを特徴とする請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記回動範囲規制部は、前記基台及び前記標的ユニットの一方に前記第2軸と同心状に形成された弧状溝と、前記基台及び前記標的ユニットの他方に形成され前記弧状溝に係合する棒状突起と、から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記入力補助装置は、使用時に前記前面が前記正面を向く中立位置から偏倚したときに前記標的ユニットを前記中立位置に戻す中立位置戻し機構を備えたことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記中立位置戻し機構は、前記基台及び前記標的ユニットの一方に形成され前記第2軸と同心的に形成された弧状溝と、前記基台及び前記標的ユニットの他方に形成され前記弧状溝に係合する棒状突起と、から構成され、前記弧状溝の深さは、中立位置から離れるに従って浅くなっていることを特徴とする請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記前面は、平面視で外方に膨らむように湾曲していることを特徴とする請求項2~請求項6のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記前面は、上端が前記発射体よりも高い位置にあり且つ前傾していることを特徴とする請求項2~請求項7のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のゲームシステムに使用され、接地される基台と、前記基台に鉛直な第2軸を中心に回動可能に支持され、前記第2軸の両側に延在し使用時に正面を向く前面に、前記標的が形成された標的ユニットと、前記標的ユニットに設けられ前記ゲーム実行機器のうちの少なくとも前記センサを収容する筐体が着脱可能で装着により前記第1軸と前記第2軸とを合致させる筐体搭載部と、を具備する入力補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力補助装置及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部に加速度センサとジャイロセンサとを備えたゲーム装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-72399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1のゲーム装置では、操作部(入力部)が当該ゲーム装置専用の形をしており入力部としての汎用性に乏しく、また、操作部を利用者が発射した発射体の目標として使用し、これをゲーム機におけるゲームに利用することが難しかった。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、ゲーム機における入力部の汎用性を高めることができ、しかも、入力部を利用者が発射した発射体の目標として使用することができる入力補助装置及びゲームシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
加速度及び第1軸周りの角速度を検出可能なセンサを有し且つ前記センサによって検出された前記加速度及び前記角速度に基づいてゲームを進行するゲーム実行機器を備え、前記ゲーム実行機器は、少なくとも前記センサを収容する筐体が標的と一体的に前記第1軸を中心に回動可能となるように据え置かれた状態で、外部から発射した発射体が前記標的に当たったときに、前記発射体から受けた衝撃に基づく前記加速度と、前記第1軸を中心とする前記標的及び前記筐体の回動に伴って生じる前記第1軸周りの角速度とを前記センサで検出し、前記加速度及び前記角速度に基づいて前記発射体が当たった標的位置を判定し、この判定結果を用いてゲームを進行することを特徴とするゲームシステムである。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、さらに入力補助装置を備え、前記入力補助装置は、接地される基台と、前記基台に鉛直な第2軸を中心に回動可能に支持され、前記第2軸の両側に延在し使用時に正面を向く前面に、前記標的が形成された標的ユニットと、前記標的ユニットに設けられ前記ゲーム実行機器のうちの少なくとも前記センサを収容する筐体が着脱可能で装着により前記第1軸と前記第2軸とを合致させる筐体搭載部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1の手段であって、前記入力補助装置は、前記標的ユニットの前記第2軸を中心とする回動範囲を規制する回動範囲規制部を備えたことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、前記回動範囲規制部は、前記基台及び前記標的ユニットの一方に前記第2軸と同心状に形成された弧状溝と、前記基台及び前記標的ユニットの他方に形成され前記弧状溝に係合する棒状突起と、から構成されていることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第2の手段~第4の手段のいずれかであって、前記入力補助装置は、使用時に前記前面が前記正面を向く中立位置から偏倚したときに前記標的ユニットを前記中立位置に戻す中立位置戻し機構を備えたことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第5の手段であって、前記中立位置戻し機構は、前記基台及び前記標的ユニットの一方に形成され前記第2軸と同心的に形成された弧状溝と、前記基台及び前記標的ユニットの他方に形成され前記弧状溝に係合する棒状突起と、から構成され、前記弧状溝の深さは、中立位置から離れるに従って浅くなっていることを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第2の手段~第6の手段のいずれかであって、前記前面は、平面視で外方に膨らむように湾曲していることを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第2の手段~第7の手段のいずれかであって、前記前面は、上端が前記発射体よりも高い位置にあり且つ前傾していることを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第1の手段のゲームシステムに使用され、接地される基台と、前記基台に鉛直な第2軸を中心に回動可能に支持され、前記第2軸の両側に延在し使用時に正面を向く前面に、前記標的が形成された標的ユニットと、前記標的ユニットに設けられ前記ゲーム実行機器のうちの少なくとも前記センサを収容する筐体が着脱可能で装着により前記第1軸と前記第2軸とを合致させる筐体搭載部と、を具備する入力補助装置である。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段によれば、現実的な的当てとゲーム実行機器で実行されるゲームとを連係させることができるので、興趣性の高いゲームシステムが実現できる。
【0015】
第2の手段によれば、入力補助装置を用いているので、標的ユニットに少なくともセンサ筐体が装着できれば、簡単に既存のゲーム実行機器をも興趣性の高いゲームシステムとすることができる。
【0016】
第3の手段及び第4の手段によれば、回動範囲を規制でき、回動範囲を適切に設定することができる。
【0017】
第5の手段及び第6の手段によれば、環状溝と棒状突起との相互作用によって確実に標的ユニットを中立位置に戻すことができ、同一条件の下、繰り返してゲームを楽しむことができる。
【0018】
第7の手段によれば、前面は平面視で湾曲しているので、前面で跳ね返る発射体が前面に当たるまでの経路から外れることになり、後から発射される発射体の邪魔になることが少なくなる。
【0019】
第8の手段によれば、前面上端が前記発射体よりも高い位置にあり且つ前面が前傾しているので、前面で跳ね返る発射体が上方に飛ぶのを防止することができる。
【0020】
第9の手段によれば、標的ユニットに少なくともセンサ筐体が装着できれば、簡単に既存のゲーム実行機器をも興趣性の高いゲームシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のゲームシステムを示した正面側から見た斜視図である。
図2】入力補助装置の平面図である。
図3】入力補助装置を下方側から見た斜視図である。
図4】入力補助装置を前方側から見た分解斜視図である。
図5】入力補助装置を後方側から見た分解斜視図である。
図6】発射装置の動作を示した平面図である。
図7】ゲーム機の制御構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、実施形態のゲームシステム1の斜視図であり、図2は、入力補助装置5の平面図、図3は、入力補助装置5を下方側から見た斜視図である。
このゲームシステム1は、ゲーム機2、入力補助装置5及び発射装置8を備えている。
このゲームシステム1では、入力補助装置5にゲーム機2を装着し、ゲーム機2内でゲームを開始させる。その後、入力補助装置5の標的に向けて発射装置8からペットボトル用のキャップ9を発射することでゲームが進行される。この場合のゲームは、入力補助装置5の標的に当たった位置に応じて進行される。
【0024】
(入力補助装置5)
入力補助装置5は、基台50、標的ユニット51、回動範囲規制部52及び中立位置戻し機構53を備えている。なお、以下の説明において、使用時に正面となる側を前として説明する。
【0025】
図4は、入力補助装置5を前方側から見た分解斜視図、図5は、入力補助装置5を後方側から見た分解斜視図である。
基台50は、使用時に接地される部分であり、図4に示すように、平面視で円状に形成され、前縁が直線状に切りかかれている。この基台50の上面中央には、軸55が立設されている。また、基台50の上面には軸55の周りに4本の棒状突起56a,56b,56c,56dが立設されている。棒状突起56a,56b,56c,56dの上端は丸められている。
ここで、棒状突起56a,56bは、軸55から第1距離で且つ左右対称位置に形成されている。また、棒状突起56c,56dは、軸55から第1距離よりも長い第2距離で且つ左右対称位置に形成されている。
【0026】
標的ユニット51は、ユニット前半部51aとユニット後半部51bとから構成されている。ユニット前半部51aとユニット後半部51bとは、互いに組み付けられ、組付けによって標的ユニット51が形成されている。組付けは、ユニット前半部51aの後面とユニット後半部51bの前面とを左右方向に少しずらした状態で突き合せ、ユニット前半部51aの後面とユニット後半部51bの前面とを合致させる方向に相対移動させることによって、ユニット後半部51bの前面の係合片57a,57bと、ユニット前半部51aの前面の係合片57c,57dとが係合することによってなされる。なお、ユニット前半部51aとユニット後半部51bとは一体となっていてもよい。
標的ユニット51の下半部の上面は平面となっており、この標的ユニット51の上面には、左右方向に延在する筐体搭載枠58が形成されている。なお、標的ユニット51の下半部の上縁はキャップ9の高さよりも高くなっている。
【0027】
標的ユニット51の下半部は、平面視で、前面が前方に向けて弧状に膨らむように半円状に構成されている。これによって、キャップ9が当たった際に来た方向とは異なる方向に跳ね返すことができる。また、標的ユニット51の前面は、上端が下端よりも外方に突き出すように前傾している。これによって、キャップ9が当たった際に上方へ飛ぶのが防止される。このように形成された前面には、正面視で左側、中央及び右側にスリット59a,59bを介して標的60a,60b,60cが形成されている。
標的ユニット51の下半部の上面には、前縁の直後に、前縁に沿って延びる差込み溝61a,61b,61cが形成されている。この差込み溝61a,61b,61cには、長方形の透明板64の下端が差し込まれる。透明板64は、標的ユニット51に搭載されるゲーム機2の前側に置かれてゲーム機2を保護する。
一方、標的ユニット51の下半部の下面には、上記軸55に対応する位置に軸孔62が形成され、また、上記棒状突起56a,56b,56c,56dに対応する位置に弧状溝63a,63b,63c,63dが形成されている。弧状溝63a,63b,63c,63dは軸孔62を中心として同心状に延在している。そして、棒状突起56a,56b,56c,56dと弧状溝63a,63b,63c,63dは係合される。この弧状溝63a,63b,63c,63dは棒状突起56a,56b,56c,56dとともに回動範囲規制部52を構成している。また、弧状溝63a,63b,63c,63dは棒状突起56a,56b,56c,56dとともに中立位置戻し機構53を構成している。
すなわち、弧状溝63a,63b,63c,63dの深さは中央すなわち中立位置が一番深く、中立位置から外れるに従って浅くなっている。そのため、標的ユニット51が中立位置から偏倚した際には、標的ユニット51が自重によって中立位置に戻る。なお、弧状溝が基台50側に設けられ、棒状突起が標的ユニット51側に設けられていてもよい。
【0028】
標的ユニット51の上半部を構成する筐体搭載枠58は、上方からゲーム機2の筐体20を抜差しできるように構成されている。
【0029】
(発射装置8)
発射装置8は人型ロボットとなっており、背部が開口し、そこには装填部80が形成されている。図6(A)~(C)に示すように、装填部80の脇には、外側に膨らんだ弓形の一対の弾き片82c,82cが設けられている。一対の弾き片82c、82cの先端部は、常態では、装填部の前方に突出し、キャップ9の前方への移動を規制する(図6(A))。そして、一対の弾き片82c、82cは、キャップ9が押出し部材85によって前方に押されると、キャップ9の前半部の外周に当接した後摺接することにより、自身の弾性力に抗して開かれる(図6(B))。更にキャップ9が前方に移動すると、一対の弾き片82c、82cは、弾き片82cとキャップ9との当接部位がキャップ9の前半部の外周から後半部の外周に切り替わり、自身の弾性力によって初期位置に戻される(図6(C))。このときの戻り力によってキャップ9が弾かれ発射される。
このような発射装置8を用いることによって発射速度をほぼ一定にすることができる。
【0030】
(ゲーム機2)
ゲーム機2の筐体20は、平箱状に構成されている。このゲーム機2には、図7に示すように、処理制御部30、入力部31、記憶部32及び出力部33が設けられている。
【0031】
処理制御部30は、各部を統括制御するとともに、各種演算を行う。入力部31は、タッチパネル31a、加速度センサ31b及びジャイロセンサ31cを含み、入力に応じた電気信号を処理制御部30へ送る。記憶部32は、主記憶装置及び補助記憶装置を含み、そこにはゲーム進行プログラムや当該ゲーム進行プログラムのためのデータ等が記憶される。出力部33は、液晶パネル等の表示部33aや音出力部33bを含む。
【0032】
ここで、ゲーム中に行われる処理制御部30の動作の一例を説明する。
処理制御部30は、加速度センサ31bとジャイロセンサ31cとによりゲーム機2に生じる加速度と角速度を常にサンプリングする。そして、処理制御部30は標的60a~60cのいずれかにキャップ9が衝突した直後の加速度ピーク値(a)と、角速度ピーク値(ω)とを求める。
【0033】
次に、処理制御部30は、求めた加速度ピーク値(a)が定数(A)よりも大きいか否かの判定を行う。定数(A)は、キャップ9の衝突以外の要因による振動等のノイズを排除するためのものである。そして、処理制御部30は、加速度ピーク値(a)が定数(A)よりも小さいときはどこにも当たっていないとして無視し、反対に、加速度ピーク値(a)が定数(A)よりも大きいときには、下記の優先順位で標的に当たった位置を判定する。
【0034】
予め、定数(C)及び定数(-C)が左右の標的60a,60cに対応するように設定しておき、角速度ピーク値(ω)が定数(-C)より小さいときは、キャップが左の標的に当たったと判定し、角速度ピーク値(ω)が定数(+C)より大きいときは、キャップが右の標的に当たったと判定する。加速度ピーク値(a)が定数(A)よりも大きくて、角速度ピーク値(ω)が定数(-C)と定数(+C)との間のときには、キャップが中央の標的60bに当たったと判定してもよいが、さらに、下記のように細かく判定することができる。
【0035】
すなわち、加速度ピーク値(a)と、角速度ピーク値(ω)とから、比率(α)=加速度ピーク値(a)÷(角速度ピーク値(ω)×角速度ピーク値(ω))を算出する。ここで、ωの二乗としているのは、数値がマイナスとならないようにするため、及び、数値を大きくすることで判定しやすくするためである。
【0036】
そして、比率(α)が定数(B)より小さいときは中央の標的60bの中央ゾーンに当たったと判定する。また、比率(α)が定数(B)より大きく、且つ角速度ピーク値(ω)が正のときは中央の標的60bの右ゾーンに当たったと、比率(α)が定数(B)より大きく、且つ角速度ピーク値(ω)が負のときは中央の標的60bの左ゾーンに当たったと判定する。それ以外は中央の標的60bの中央ゾーンに当たったと判定する。
このような手法が可能なのは、中央部に当たったかどうかは、物理的なスイッチ等を用いることなく、センサの数値による計算によってのみ判定をするのが前提となっているからであり、中央の標的60bに当たった場合でも角速度は小さいながらも出るので、上記計算式により角速度二乗に対する加速度の比率が大きければ、「強く当たっているのにそれほど回転していない」ということで、中央部に当たったと判定することができるからである。
【0037】
このようにすれば、実施形態では3つの標的60a,60b,60cに対応させて3体の敵を設定するだけでなく、3つの標的60a,60b,60cを実質上5つの標的として使用することが可能となるので、例えば、ゲーム機2で5体の敵を並べて置くことが可能となる。また、中央の敵に対しては3つの標的を設定し、左右の手や足、中央の心臓に攻撃を加えたと扱うこともできる。
【0038】
続いて、このゲームシステム1で実行されるゲーム例を説明する。
例えば、ゲームは、図1に示すように、3つの標的60a,60b,60cに対応して表示部33aに3体の敵が表示され、3つの標的60a,60b,60cのいずれかにキャップ9を命中させると、命中させた標的に対応した敵が倒れるようになっている。そして、この3体の敵を全て倒すまでの時間を競うようになっている。また、表示部33a内で左右の一方側から他方側に向けて標的が動くもので、その動く標的を射撃して得点を競うゲームとすることができる。この場合には、標的が動くエリアを動くエリアを3つの標的60a,60b,60cに対応付けておけばよい。
【0039】
また、さらに、バスケット等のゲームとすることができる。この場合には、表示部33aのエリアを3つの標的60a,60b,60cに対応させて左、真ん中、右の3つに分け、左及び右のエリアにバスケット籠を置いて得点を競うようにすることができる。真ん中の標的60bにキャップ9が当たったときはシュートが失敗したと取り扱うことができる。また、真ん中の標的60bにキャップ9が当たったときに、左右のゾーンのいずれに当たったかで次の攻撃をするプレイヤーを決めたりすることもできる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、回動範囲規制部52を弧状溝63a,63b,63c,63dと棒状突起56a,56b,56c,56dとで構成したが、単に、標的ユニット51の一部を基台50に立設したストッパに当てるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、中立位置戻し機構53を同じく弧状溝63a,63b,63c,63dと棒状突起56a,56b,56c,56dとで構成したが、スプリングによって標的ユニット51を中立位置に戻すようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、ゲーム機2の筐体20を標的ユニット51に着脱可能に構成したが、少なくとも加速度センサ31b及びジャイロセンサ31cを収容する筐体部分が着脱可能となっていればよい。また、ゲーム機2の本体と接続乃至は通信可能となっていれば足りる。
【0043】
さらに、上記実施形態では、発射体としてキャップ9を挙げたが、ビー玉、ピンポン球、円板その他の発射体が利用可能である。発射は人手で行ってもよいが、発射体が発射装置から発射されるものであり、発射速度が一定であることがより好ましい。
【0044】
また、ゲーム内容も上記のものに限定されず、加速度及び角速度を利用して発射体が当たった位置を判定し、その判定結果を利用できるゲームであれば、あらゆるゲームにも適用できる。
【0045】
また、上記実施形態では、ゲーム実行機器としてゲーム機2を挙げたが、スマートフォンやタブレット等のゲームを実行できるゲーム実行機器一般に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ゲームシステム
2 ゲーム機
5 入力補助装置
8 発射装置
9 キャップ
20 筐体
31b 加速度センサ
31c ジャイロセンサ
50 基台
51 標的ユニット
52 回動範囲規制部
53 中立位置戻し機構
56a,56b,56c,56d 棒状突起
58 筐体搭載枠
60a,60b,60c 標的
61a,61b,61c 差込み溝
63a,63b,63c,63d 弧状溝
64 透明板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7