(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】手術用器具の駆動要素及び関連する装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220207BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20220207BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20220207BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/29
A61B34/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020088721
(22)【出願日】2020-05-21
(62)【分割の表示】P 2018147890の分割
【原出願日】2014-03-13
【審査請求日】2020-06-19
(32)【優先日】2013-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ステガー,ジョン ライアン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/033860(WO,A1)
【文献】特開2012-045031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0196419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/29
A61B 34/30 - 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用器具であって、当該手術用器具は、
コネクタ組立体、第1の電気導管、導電性の第1の顎部、
駆動要素、クレビス、及びピンを含み、
前記コネクタ組立体は、本体
を含み、該本体は、第1の脚部、第2の脚部、該本体から延びる第1の隆起部、及び導電性の第1のコネクタを含み、
前記駆動要素は前記第1の脚部と前記第2の脚部との間に受容され、前記駆動要素は前記第1の顎部に動作可能に結合され、
該第1のコネクタは、第1の接触部及び第1のアタッチメントを含み、
前記第1の電気導管は、前記第1のコネクタの前記第1のアタッチメントに電気的に結合され、
前記第1の顎部は開口部を含み、前記コネクタ組立体の前記第1の隆起部は、前記第1の顎部の前記開口部を通って延び、
前記第1のコネクタの第1の接触部は、前記第1の隆起部を取り囲み、
前記第1の顎部は、前記コネクタ組立体の第1の隆起部及び前記第1のコネクタの前記第1の接触部の周りを旋回し、前記第1のコネクタの前記第1の接触部は、前記第1の顎部の前記開口部内で前記第1の顎部に電気的に接触し、
前記ピンは、前記コネクタ組立体の前記第1の隆起部を通って延び、前記第1の顎部を前記クレビスに固定する、
手術用器具。
【請求項2】
当該手術用器具は、第2の電気導管及び導電性の第2の顎部を含み、
前記コネクタ組立体は、前記本体から延びる第2の隆起部と、第2の接触部及び第2のアタッチメントを含む導電性の第2のコネクタとを含み、
前記第2の電気導管は、前記第2のコネクタの前記第2のアタッチメントに電気的に結合され、
前記導電性の第2の顎部は開口部を含み、前記コネクタ組立体の前記第2の隆起部は、前記第2の顎部の前記開口部を通って延び、
前記第2のコネクタの前記第2の接触部は、前記第2の隆起部を取り囲み、
前記第2の顎部は、前記第2の隆起部及び前記第2のコネクタの前記第2の接触部の周りを旋回し、前記第2のコネクタの前記第2の接触部は、前記第2の顎部の開口部内で前記第2の顎部に電気的に接触し、
前記ピンは、前記コネクタ組立体の前記第2の隆起部を通って延び、前記第2の顎部を前記クレビスに固定する、請求項1に記載の手術用器具。
【請求項3】
前記第2の顎部は、前記コネクタ組立体の前記本体によって前記第1の顎部から電気的に絶縁されている、請求項2に記載の手術用器具。
【請求項4】
第1の作動開口部が、前記第1の顎部に規定され
、
前記駆動要素は、前記第1の顎部の前記第1の作動開口部と摺動可能に係合する、請求項1又は2に記載の手術用器具。
【請求項5】
第2の作動開口部が、前記第2の顎部に規定され、
駆動要素は、前記第2の顎部の前記第2の作動開口部と摺動可能に係合する、請求項3に記載の手術用器具。
【請求項6】
手術用器具であって、当該手術用器具は、
導電性の第1の顎部及び導電性の第2の顎部であって、前記第1の顎部及び
前記第2の顎部は互いに電気的に絶縁されており、前記第1の顎部及び前記第2の顎部のそれぞれ
は開口部を含む、導電性の第1の顎部及び導電性の第2の顎部と、
導電性の第1のコネクタ及び導電性の第2のコネクタであって、前記第1のコネクタは、前記第1の顎部の前記開口部内で前記第1の顎部と電気的に接触しており、前記第2のコネクタは、前記第2の顎部の前記開口部内で前記第2の顎部と電気的に接触しており、前記第1の顎部は前記第1のコネクタの周りを旋回し、前記第2の顎部は前記第2のコネクタの周りを旋回する、導電性の第1のコネクタ及び導電性の第2のコネクタと、
第1の電気導管及び第2の電気導管であって、前記第1の電気導管
は前記第1のコネクタに電気的に結合されており、前記第2の電気導管
は前記第2のコネクタに電気的に結合されている、
第1の電気導管及び第2の電気導管と、
本体を含むコネクタ組立体と、を含み、
前記本体は、第1のキャビティを規定する第1の脚部及び第2のキャビティを規定する第2の脚部を含み、
前記第1の電気導管の少なくとも一部が前記第1のキャビティ内に受容され、前記第2の電気導管の少なくとも一部が前記第2のキャビティ内に受容される、
手術用器具。
【請求項7】
該コネクタ組立体は
、第1の隆起部、第2の隆起部、前記第1のコネクタ、及び前記第2のコネクタを
さらに含み、
前記本体は、第1の側と該第1の側の反対側の第2の側とを含み、
前記第1の隆起部は、前記本体の前記第1の側から前記第1の顎部の前記開口部を通って延びており、前記第2の隆起部は、前記本体の前記第2の側から前記第2の顎部の前記開口部を通って延びており、
前記第1のコネクタは前記第1の隆起部を取り囲み、前記第2のコネクタは前記第2の隆起部を取り囲む、請求項6に記載の手術用器具。
【請求項8】
前記第1の顎部及び前記第2の顎部は、前記コネクタ組立体の前記本体によって互いに電気的に絶縁されている、請求項7に記載の手術用器具。
【請求項9】
前記第1の顎部及び前記第2の顎部のそれぞれは、作動開口部を含み、
当該手術用器具は、前記第1の顎部の前記作動開口部及び前記第2の顎部の前記作動開口部と係合する駆動要素を含む、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の手術用器具。
【請求項10】
当該手術用器具は、シャフトと、該シャフトに結合されたクレビスとを含み、
前記第1の電気導管及び前記第2の電気導管は前記シャフトに沿って延びており、
前記第1の顎部及び前記第2の顎部は前記クレビス内で旋回する、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の手術用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2013年3月18日に出願された米国特許仮出願第61/803,046号についての利益を主張するものであり、この文献は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の態様は、遠隔操作(ロボット操作)手術システム用の手術用器具に関する。更なる態様は、手術用器具用の駆動要素及び手術用器具用の電気的接続に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの低侵襲性外科的技術は、遠隔操作(ロボット制御)手術用器具(ツールとも呼称される)を使用して遠隔で行われる。遠隔操作手術システムでは、外科医は、外科医コンソールで入力装置を操作し、それらの入力は、1つ又は複数の遠隔操作手術用器具とインターフェイス接続される患者側カートに渡される。外科医コンソールでの外科医の入力に基づいて、1つ又は複数の遠隔操作手術用器具を患者側カートで作動して、患者に手術を行い、それにより、外科医コンソールと患者側カートでの手術用器具(複数可)との間にマスタースレーブ制御の関係を形成する。
【0004】
遠隔操作手術システムは、手術用器具が結合される複数のアームを有してもよい。手術用器具は、外科的処置を行うために使用されるエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタを駆動要素によって作動してもよい。また、焼灼処置等のためにエンドエフェクタに通電する場合に、手術用器具は、電気エネルギーをエンドエフェクタに供給するような電気的接続部を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、手術用器具の小さな空間内でそれら駆動要素や電気的接続部のそれぞれの機能を実行しながら、耐久性が強化された駆動要素及び電気的接続部を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な実施形態は、上述した問題の1つ又は複数を解決することができ、及び/又は上述した望ましい特徴の1つ又は複数を実現することができる。他の特徴及び/又は利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0007】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、手術用器具は、シャフト、このシャフトに接続されたエンドエフェクタ、及び押込/引抜駆動要素を有する。押込/引抜駆動要素は、この押込/引抜駆動要素の押込/引抜方向に対して垂直に延びる頭部を有する。押込/引抜駆動要素の頭部は、端部を有することができ、各端部は、端部同士の間に頭部の主要部の断面とは異なる断面を有する。
【0008】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、手術用器具は、シャフト、このシャフトに接続されたエンドエフェクタ、及び押込/引抜駆動要素を有することができる。押込/引抜駆動要素は、係合部と、この係合部の端に接続された端部とを含むことができる。係合部は、エンドエフェクタと接触して、このエンドエフェクタを作動することができる。係合部は、第1の幅を有することができ、端部は、第2の幅を有することができ、第2の幅は、第1の幅よりも大きい。
【0009】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、手術用器具は、シャフト、このシャフトに接続されたエンドエフェクタ、このエンドエフェクタにエネルギーを供給するための少なくとも1つの導管、及びコネクタを有することができる。コネクタによって、少なくとも1つの導管をエンドエフェクタに電気的に接続することができる。エンドエフェクタは、コネクタの一部分と摺接してもよい。
【0010】
更なる目的、特徴及び/又は利点は、以下の詳細な説明において部分的に記載され、この詳細な説明から部分的に明らかになる、又は本開示及び/又は特許請求の範囲を実施することによって理解することができる。これらの目的及び利点の少なくともいくつかは、添付の特許請求の範囲で特に指摘される要素及び組合せによって実現及び達成することができる。
【0011】
前述した一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示及び説明のみであり、特許請求の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。むしろ、特許請求の範囲は、均等物を含む完全な広さの範囲に権利が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】力伝達機構を含む手術用器具の例示的な実施形態の上面図である。
【
図2】エンドエフェクタを有する手術用器具の例示的な実施形態の部分斜視図である。
【
図4】
図2の線4-4に沿った
図2のエンドエフェクタの側面図であり、エンドエフェクタは、閉じた位置にある。
【
図5】開いた位置にある
図4のエンドエフェクタの図である。
【
図6】本開示に係る手術用器具のクレビスの例示的な実施形態の破断図である。
【
図7】
図4の線7-7に沿った断面図であるが、クレビスの例示的な実施形態も示される。
【
図8】
図5の線8-8に沿った断面図であるが、クレビスの例示的な実施形態も示される。
【
図9】クレビスと、このクレビスの溝内に位置する駆動要素の突起端部との例示的な実施形態の破断図である。
【
図10】押込/引抜駆動要素の例示的な実施形態の部分斜視図である。
【
図13】押込/引抜駆動要素の別の例示的な実施形態の端面図である。
【
図14】手術用器具のクレビスと、押込/引抜駆動要素との例示的な実施形態の部分破断図である。
【
図15】クレビスと、押込/引抜駆動要素の突起端部との例示的な実施形態の部分破断図である。
【
図16】非通電状態の手術用器具の例示的な実施形態の部分破断図である。
【
図17】手術用器具のクレビスと、押込/引抜駆動要素との例示的な実施形態の破断図である。
【
図18】手術用器具の例示的な実施形態の部分側面破断図である。
【
図19】顎部を取り外した状態の
図18の手術用器具の部分側面破断図である。
【
図20】コネクタ組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図22】コネクタ組立体の接続部の例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、詳細な説明のみで又は添付の図面と一緒に、以下の詳細な説明から理解することができる。図面は、本開示についての理解を深めるために含められ、且つ本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本教示の1つ又は複数の例示的な実施形態を示しており、詳細な説明と共に特定の原理及び動作を説明するのに役立つ。
【0014】
本明細書で議論する例示的な実施形態は、遠隔操作手術システムに関する。この手術用器具は、比較的簡素であり且つ安価に製造できる一方、比較的耐久性のある器具をもたらす強固な構成を提供し、比較的コンパクトな設計内で複数の機能を実行することができる。
【0015】
本明細書及び例示的な実施形態を示す添付図面は、制限するものとして解釈すべきではない。様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び操作上の変更は、この詳細な説明及び均等物を含む特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。いくつかの例において、周知の構造及び技術は、本開示を不明瞭にしないように、詳細に図示又は説明していない。複数の図面における同様の番号は、同じ又は同様の要素を表す。更に、一実施形態を参照して詳細に説明される要素及びその関連する機能は、実用的な場合にはいつでも、具体的に図示又は説明されていない他の実施形態に含めることができる。要素が、第1の実施例を参照して詳細に説明されており、且つ第2の実施形態を参照して説明されていない場合に、この要素は、それにもかかわらず、第2の実施形態に含まれるように特許請求の範囲に含めることができる。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的について、特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、パーセンテージ、又は比率を表す全ての数、及び他の数値は、それら数値が未だ修飾されていない場合に、「約」という用語によって全ての場合に修飾されると理解すべきである。従って、その逆が示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、取得するように試みられる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しないようにするため、各数値パラメータは、計上された有効数字の数に照らして、そして通常の数値丸め手法を適用することによって少なくとも解釈すべきである。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合に、単数形「1つの(a, an)」及び「その(the)」、並びに任意の単語の単数形の使用は、1つの指示対象に明示的且つ明確に限定されない限り、複数の対象を含むことに留意されたい。本明細書で使用される場合に、用語「有する、含む(including)」及びその文法的活用形は、非限定的であることが意図され、それによって、リスト内の項目の列挙は、列挙された項目に交換又は追加することができる他の同様な項目を除外するものではない。
【0018】
本明細書の用語は、本開示又は特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。例えば、「~の下に(beneath)」、「~より下に(below)」、「~より下の(lower)」、「~より上に(above)」、「~の上に(upper)」、「~の基端に(proximal)」、「~の先端に(distal)」等の空間的に相対的な用語を使用して、図面に示されるように、1つの要素の又は機能の他の要素や機能との関係を表すことができる。これら空間的に相対的な用語は、図面に示される位置及び方向に加えて、使用中又は動作中の装置の異なる位置(すなわち、場所)と方向(すなわち、回転配置)とを包含することを意図する。図面中の装置がひっくり返された場合に、他の要素又は特徴「より下の」又は「の下の」として記載された要素は、その後、この他の要素又は特徴「より上の」又は「の上」になることがある。こうして、例示的な用語「~より下」は、「~より下」と「~より上」との両方の位置及び方向を包含することができる。装置は、他の向き(90度回転又は他の向きで)であってもよく、本明細書で使用される空間的な相対表現は、それに応じて解釈することができる。
【0019】
遠隔操作手術は、一般的に、複数のマニピュレータアームを有するマニピュレータの使用を含む。1つ又は複数のマニピュレータアームは、大抵の場合、手術用器具を支持する。1つ又は複数のマニピュレータアームを使用して、(腹腔鏡、関節鏡、子宮鏡等の様々な構造体のいずれかとすることができる)内視鏡等の手術用画像取込装置、又は必要に応じて、(超音波、X線透視、磁気共鳴画像等の)他の何らかの撮像モダリティをサポートすることができる。典型的には、マニピュレータアームは、外科医の2つの手に対応する少なくとも2つの手術用器具と、1つの画像取込装置とを支持する。このような遠隔操作手術システムは、2013年10月1日に付与された、”Curved Cannula Surgical System”という標題の米国特許第8,545,515号に記載されており、この文献は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0020】
図1を参照すると、遠隔操作手術システムの手術用器具100の例示的な実施形態の側面図が示されている。手術用器具100は、力伝達機構110、シャフト122の基端部123で力伝達機構110接続されたシャフト122、及びシャフト122の先端部124に接続されたエンドエフェクタ120を含むことができる。シャフト122は、可撓性を有してもよい。例示的な実施形態によれば、シャフト122は、約3ミリメートル(mm)~約15mmの範囲の直径を有してもよい。別の例示的な実施形態によれば、シャフト122の直径は、例えば約5mm~約8mmの範囲であってもよい。手術用器具100は、力伝達機構110とエンドエフェクタ120との間で力を伝達するための1つ又は複数の部材を含んでもよい。例えば、1つ又は複数の駆動要素(複数可)126によって、力伝達機構110をエンドエフェクタ120に接続して、シャフト122の内部を通って延ばすことによって、作動力をエンドエフェクタ120に供給することができる。駆動要素(複数可)126を利用することにより、力伝達機構110は、例えば、器具100の手関節機構(
図1に図示せず)を制御する及び/又はエンドエフェクタ120の顎部(又は他の可動部品)を制御するようにエンドエフェクタ120を作動することができる。また、エンドエフェクタ120をシャフト122に固定することができるので、力伝達機構110からエンドエフェクタ120に伝達される力は、次に、力伝達機構110によってエンドエフェクタ120をローリング運動で作動するときに、シャフト122に伝達することができる。駆動要素(複数可)126は、力伝達機構110が引張/引抜(pull-pull)機構であるときに、引張要素の形態であってもよく、又は米国特許第8,545,515号に記載されるように、力伝達機構110が押込/引抜(push-pull)機構であるときに、1つ又は複数の駆動要素ロッド又は押込みロッドの形態であってもよい。
【0021】
力伝達機構110は、遠隔操作手術システムの患者側カートと係合するような1つ又は複数の構成要素を含み、患者側カートによって提供される力を手術用器具100に伝達することができる。例示的な実施形態によれば、力伝達機構110は、米国特許第8,545,515号に記載されるように、患者側カートのマニピュレータと係合するような1つ又は複数のインターフェイスディスク112,114を含むことができる。こうして、インターフェイスディスク112,114は、マニピュレータからの作動力を利用して、器具100を作動させる。例えば、第1のディスク112は、ローリング運動をシャフト122に提供するとともに、エンドエフェクタ120にロールDOFを提供するように構成されるが、一方で第2のディスク114は、エンドエフェクタ120の顎部機構を操作して、これを開閉することができる。力伝達機構は、当業者が精通しているような、手術用器具の様々な他の機能を作動させる他のインターフェイスディスクを含んでもよい。
【0022】
図2を参照すると、遠隔操作手術システムの手術用器具200の例示的な実施形態が示されており、この手術用器具は、シャフト202、クレビス204、及びエンドエフェクタ206を含む。例示的な実施形態によれば、手術用器具200は、クレビス204をシャフト202に結合する手関節を含んでもよく、或いは手術用器具200は、非手関節器具であってもよい。手術用器具200が手関節を欠く場合に、エンドエフェクタ206をクレビス204に直接的に接続してもよく、クレビス204をシャフト202に直接的に接続してもよい。
図2の例示的な実施形態の分解図である
図3に示されるように、エンドエフェクタ206は、第1の顎部220及び第2の顎部230を含むことができる。第1の顎部220は、把持部222、接続開口部224、及び作動開口部226を含むことができる。同様に、第2の顎部230は、把持部232、接続開口部234、及び作動開口部236を含むことができる。
【0023】
例示的な実施形態によれば、接続開口部224,234を使用して、顎部220,230をクレビス204に接続し、次にシャフト202に接続することができる。例えば、
図2及び
図3の例示的な実施形態に示されるように、リベット又はピン208を、接続開口部224,234を通して且つクレビス204の開口部205を通して挿入して、顎部220,230をクレビス204に接続することができる。ピン208は、後述するように、エンドエフェクタ206を作動して顎部220,230を開閉するときに、顎部220,230が回転するような回転軸としても機能することができる。
【0024】
手術用器具200は、エンドエフェクタ206を作動させる、例えば顎部220,230を開閉するような機構を含んでもよい。
図3の例示的な実施形態に示されるように、手術用器具は、エンドエフェクタ206に接続された駆動要素210を含むことができる。駆動要素210の基端部(図示せず)は、駆動力を駆動要素210に提供するような遠隔操作手術システムのマニピュレータ(図示せず)に接続することができる。例えば、駆動要素210は、エンドエフェクタ206を作動するためにマニピュレータによって提供された駆動力によって、
図3の方向213に沿って押込み又は引抜きされる押込/引抜駆動要素ロッドであってもよい。
【0025】
駆動要素210の先端部215をエンドエフェクタ206に接続して、マニピュレータからの駆動力を顎部220,230に伝達することができる。例示的な実施形態によれば、駆動要素210の先端部215は、顎部220に接続された第1の突起部212と、顎部230に接続された第2の突起部214とを含むことができる。例えば、顎部220は、第1の突起部212が内部に挿入される作動開口部226を含んでもよく、顎部230は、第2の突起部214が内部に挿入される作動開口部236を含んでもよい。作動開口部226,236は、細長いスロット、例えば突起部212,214が内部に挿入される矩形又は楕円形のスロット等の形態であってもよい。こうして、駆動要素210が、
図3の方向213に沿って押込み又は引抜かれる際に、突起部212,214は、作動開口部226,236内で摺動し、顎部220,230をピン208の回りで旋回させることができる。
【0026】
図4を参照すると、
図2の線4-4に沿ったエンドエフェクタ206の側面図が、示されており、この図では、クレビス204及びピン208が無い状態である。
図4の例示的な実施形態において、エンドエフェクタ206の顎部220,230は、閉じた状態である。駆動要素210が、
図4に示されていないが、第2の突起部214は、顎部230の作動スロット236内に示されている。駆動要素210を
図4の方向217に押し込むと、第2の突起部214は、上方に力を加える。結果として、顎部220,230は、接続開口部234内に位置するピン(図示せず)の回りを
図5の方向219に回転及び旋回し、顎部220,230を離して開く。
【0027】
手術用器具200は、エンドエフェクタ206の作動中に、例えば
図4及び
図5の例示的な実施形態にそれぞれ示される閉じた状態と開いた状態との間で、駆動要素210の運動を支援するような1つ又は複数の特徴を含んでもよい。例示的な実施形態によれば、クレビス204は、駆動要素210の運動を支援するような1つ又は複数の特徴を含んでもよい。
図6を参照すると、クレビス204の例示的な実施形態の破断図が示されている。クレビス204は、このクレビスの外面246を形成する側壁246を含んでおり、
図6において、側壁246の一部は、クレビス204の内部の特徴を示すために取り除かれている。クレビス204は、
図3の例示的な実施形態に関して上述したように、駆動要素210がクレビス204を通過するための管腔244と、ピン208がエンドエフェクタ206の顎部220,230を接続するための開口部205とを含むことができる。例示的な実施形態によれば、クレビス204は、例えばエネルギーをエンドエフェクタ206に供給するための導管(例えば、電線)等の他の構成要素のための管腔、及び/又は追加の作動構成要素(例えば、ナイフ等の手術用器具用又は構成要素に追加の自由度を与える作動要素)を含んでもよい。
【0028】
駆動要素の運動を支援するために、クレビス204は、駆動要素210の突起部212,214と相互作用するような1つ又は複数の特徴を含んでもよい。例えば、クレビス204は、
図6の例示的な実施形態に示されるように、側壁246内の溝240を含むことができる。例示的な実施形態によれば、
図6に示されるように溝240は、有限の深さの底面245を有することができる。しかしながら、溝240の構成は、このような幾何学的形状に限定されるものではなく、溝240は、代わりに、クレビス204の側壁246を完全に貫通するスロット(図示せず)として提供してもよい。駆動要素210の1つ又は複数の突起部212,214は、駆動要素210を動かしてエンドエフェクタ206を作動させるときに、溝240が突起部212,214を支持するように、溝240内に延びるように構成してもよい。換言すれば、駆動要素210の1つ又は複数の突起部212,214は、顎部220,230を通って(例えば、作動開口部226,236を通って)側壁246の溝240内に延びるような十分な長さを有してもよい。
【0029】
図7を参照すると、
図4の線7-7に沿った断面図が示されており、この図では、クレビス204が設けられた状態で示されている。
図8は、
図5の線8-8に沿った断面図が示されており、この図では、クレビスが設けられた状態で示されている。
図7の例示的な実施形態に示されるように、クレビス204は、2つの溝240、つまり駆動要素210の各突起部212,214について1つを含むことができる。また、溝240は、
図7に示されるように、互いに対向させることができる。駆動要素210の突起部212,214が溝240内に配置されているので、駆動要素210を動かして(例えば、
図7のページの内外に駆動要素210を移動させることにより、)エンドエフェクタ206を作動させるときに、溝240は、突起部212,214の運動、従って駆動要素210を支持及び/又は案内する。例えば、溝240の少なくとも1つの側壁241,243は、駆動要素210が移動する際に、突起部212,214に接触することができ、且つ突起部212,214が溝240内で前後方向に摺動することができる。例示的な実施形態によれば、溝240の底面245は、突起部212,214に接触して、1つ又は複数の側壁241,243と代替的に又は追加的に接触し、突起部212,214を支持する。
図9を参照すると、クレビス204の例示的な実施形態の破断図が、示されており、この図は、突起部212の端が溝240内に示されていることを除いて、
図6の図面と同様である。
図9の例示的な実施形態に示されるように、突起部212は、例えば接触部248において、溝240の側壁241,243に接触することができ、それによって、突起部212は、溝240によって支持される。突起部212,214が実質的に円形断面を有しているので、溝240内に収まる突起部212,214の端部であっても、接触部248は、円形面と平面との間の接触部によって特徴付けすることができる。例えば、接触部248は、突起部212,214と溝240の側壁214,243との間の実質的に接線方向の接触部であってもよい。換言すれば、接触部248は、線又は点の形状であってもよい。こうして、突起部212,214と側壁241,243との間で伝達される全ての応力が、比較的小さな領域に集中する。
【0030】
駆動要素210を動かしてエンドエフェクタ206を作動させ、顎部220,230を開閉するときに、顎部220,230の一部は、互いに離れるように移動することができる。これは、
図7及び
図8にも示されている。
図7では、顎部220,230は、
図4の例示的な実施形態に示されるように、閉じた位置にある。
図8では、顎部220,230は、
図5の例示的な実施形態に示されるように、駆動要素210の運動により、開いた位置に移動している。特に、顎部220,230の基端部は、
図5の例示的な実施形態に示されるように、顎部220,230を開いた位置に移動するときに、異なる方向に移動することができる。これは、
図8にも示されており、この
図8は、顎部220の端部が、
図7に対して方向250に移動し、且つ顎部230の端部が、
図7に対して方向252に移動したことを示している。
【0031】
顎部220,230をそれぞれ方向250,252に動かすので、トルクは、
図8の例示的な実施形態で示される方向254に駆動要素210に働く。方向254のトルクによって駆動要素210をねじることにより、結果として、突起部212が1つの溝240の側壁243に対して力を及ぼし、突起部214が別の溝240の側壁241に対して力を及ぼす。さらに、突起部212,214と溝240の側壁241,243との間の接触部248の線や点接触等の幾何学的形状によって、突起部212,214と側壁241,243との間に働く力は、小さな領域に制限される。その結果、溝240は、突起部212,214が、溝240内で前後方向に摺動し且つ側壁241,243を押圧する際に、恒久的に変形及び/又は摩耗する。例示的な実施形態によれば、顎部220,230は、顎部220,230を閉じた位置に作動するときに、
図8の例示的な実施形態で示される方向250,252とは反対方向に移動することができ、
図8の方向254とは逆方向にトルク及びねじり運動をもたらす。
【0032】
例示的な実施形態によれば、クレビス204を非金属材料から作製してもよい。例えば、クレビス204は、例えばガラス充填PEEKを含むポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のプラスチックで作製してもよい。クレビス204を非金属材料、例えばプラスチック材料から作製するときに、恒久的な変形及び/又は摩耗が、例えば側壁241,243等の溝240の表面で生じる可能性がある。また、突起部212,214と側壁241,243との間の力は、駆動要素210を方向254にねじるときに、特に側壁241,243が摩耗するときに、突起部が溝240から飛び出すように十分な力にしてもよい。
【0033】
これらの考察を考慮すると、強化された耐久性を有する手術用器具を提供することが望ましい。特に、エンドエフェクタの駆動要素の運動を支持及び/又は案内するための、駆動要素と手術用器具の別の構成要素との間の力の配分を高めることによって強化された耐久性を有する1つ又は複数の特徴を手術用器具に設けることが望ましい。
【0034】
図10を参照すると、押込/引抜駆動要素300の例示的な実施形態の斜視図が示されている。押込/引抜駆動要素300は、押込/引抜駆動要素として使用するために当業者に公知の、例えば押込みロッド、ワイヤー、ケーブル、又は他の構造体であってもよい。例えば、押込/引抜駆動要素は、押込/引抜駆動要素に加えられた軸線方向の押込み力を伝達するような円柱状の十分な圧縮性を有する要素であってもよい。押込/引抜駆動要素300は、
図2~
図9の例示的な実施形態について上述した駆動要素210と同じ機能に従って使用することができる。
図10に示されるように、押込/引抜駆動要素300は、頭部304に接続されたシャフト302を含むことができる。頭部304は、
図11に示されるように、例えばクロスシャフト(横軸)309及び端部306を含むことができる。クロスシャフト309は、例えば、頭部304の主要部と呼称されることもある。頭部304は、
図10及び
図11の例示的な実施形態に示されるように、クロスシャフト309及び端部306等の別部品から形成してもよく、又は頭部304は、クロスシャフト309及び端部306を単一部品として設けることにより、単一の一体構造として設けてもよい。例示的な実施形態によれば、シャフト302、クロスシャフト309、及び端部306等の押込/引抜駆動要素300は、金属で作製してもよい。例えば、押込/引抜駆動要素300の一部は、Nitronic(登録商標)60等の耐摩耗性ステンレス鋼合金で作製してもよい。
【0035】
例示的な実施形態によれば、押込/引抜駆動要素300は、後述するように、押込/引抜駆動要素300が使用され、手術用器具に通電される場合等に、絶縁材料308を含むことができる。絶縁材料308は、例えばプラスチック材料等のアーク放電及び電気伝導度を最小限にするような材料とすることができる。
図10の例示的な実施形態に示されるように、絶縁材料308を、クロスシャフト309及びシャフト302の少なくとも一部の上に設けてもよい。例えば、絶縁材料308で外側被覆することによって、絶縁材料308を、クロスシャフト309及びシャフト302のうちの少なくとも一方に設けてもよい。
【0036】
例示的な実施形態によれば、クロスシャフト309は、押込/引抜駆動要素300を動かしてエンドエフェクタを作動させるときに、エンドエフェクタの一部と係合する係合部310を含む。例えば、係合部310は、
図2~
図5の例示的な実施形態で上述したように、エンドエフェクタ206の顎部220,230の作動開口部226,236に係合するように構成されており、押込/引抜駆動要素300を動かしたときに、エンドエフェクタ206を作動させることができる。例示的な実施形態によれば、係合部310は、
図2~
図8の例示的な実施形態の突起部212,214等の円形断面を有してもよい。さらに、クロスシャフト309の係合部310は、突起部212,214の直径247(
図9参照)と実質的に同じ直径311(
図11参照)を有してもよい。しかしながら、係合部310の直径311は、必ずしも突起部212,214の直径247と実質的に同じである必要はなく、その代わりに異なっていてもよい。例えば、係合部310の直径311は、例示的な実施形態によれば、突起部212,214の直径247よりも小さくてもよい。
【0037】
例示的な実施形態によれば、係合部310は、非円形断面を有してもよい。例えば、係合部310の断面形状は、1つ又は複数の平面部(図示せず)を含んでもよい。1つ又は複数の平面部は、係合部310と顎部220,230との間に働く力の配分を増大させるように、係合部310と顎部220,230の作動開口部226,236との間の接触面積を増大させるために設けてもよい。例示的な実施形態によれば、顎部220,230の作動開口部226,236は、
図2及び
図3の例示的な実施形態に示される形状とは異なる形状を有してもよい。例えば、作動開口部226,236は、
図2及び
図3に示される直線状の代わりに、湾曲してもよい。例えば、作動開口部226,236は、作動開口部226,236が、
図3の例示的な実施形態において、接続開口部224,234に対して凸状又は凹状のいずれかの形状となるように湾曲してもよい。
【0038】
押込/引抜駆動要素300の端部306は、端部306とクレビス等の手術用器具の他の構成要素との間の力の配分を高めるように構成することができる。
図10及び
図11の例示的な実施形態に示されるように、端部306は、クロスシャフト309の係合部310より大きくてもよい。例えば、係合部310は、直径又は幅311を有してもよく、一方で端部306は、係合部310の幅311より大きい幅313又は315を有してもよい。端部306の寸法313,315が等しい又は実質的に等しくない場合に、端部306の幅は、例示的な実施形態によれば、寸法313,315のより大きな方としてもよい。例えば、端部306の寸法315が、寸法313よりも大きい場合に、寸法315は、端部の幅であり、且つ係合部310の幅311よりも大きい。例示的な実施形態によれば、直径311に対する寸法315の比は、1より大きい。例えば、直径311に対する寸法315の比は、約1.1~約1.3の範囲である。例示的な実施形態によれば、寸法315は、例えば約1.905mm(0.075inches)の長さを有する一方、直径311は、例えば約1.5494mm(0.061inches)である。
【0039】
押込/引抜駆動要素300の端部306は、様々な形状の断面を有してもよい。
図10及び
図11の例示的な実施形態に示されるように、端部306は、矩形形状を有してもよい。
図12の例示的な実施形態に示されるように、端部306は、正方形の形状を有してもよい。別の例示的な実施形態によれば、端部320は、
図13に示されるように、楕円形状を有してもよい。この楕円形状は、
図13の例示的な実施形態に示されるように、平面322,324及び丸みを帯びた端部323を含んでもよい。しかしながら、押込/引抜駆動要素の端部の断面形状は、
図10~
図13の例示的な実施形態に限定されるものではなく、他の形状を利用することもできる。
【0040】
例示的な実施形態によれば、押込/引抜駆動要素の端部の断面形状は、1つ又は複数の平面部を含む。
図11及び
図12の例示的な実施形態に示されるように、端部306は、平面部317,319を含んでもよい。さらに、楕円形状又は他の非矩形状又は非正方形形状を有する端部320は、
図13の例示的な実施形態に示されるように、平面部322,324を有してもよい。例示的な実施形態によれば、平面部は、
図11~
図13の例示的な実施形態に示されるように、互いに対向しており、且つクレビスの溝240の細長い方向に対して平行な平面内に実質的に存在してもよい。
【0041】
クロスシャフト309の断面に対して拡大された断面を端部306に設けることにより、上述した形状を有する端部306を設けることにより、及び/又は少なくとも1つの平面部を有する端部306を、クレビスの溝240の細長い方向に対して平行な面に設けることにより、端部306と手術用器具のクレビスとの間の接触面積を増大させることができる。これにより、次に、端部306とクレビスとの間の力の分配を高めることができる。
【0042】
図14を参照すると、クレビス330の内部の特徴を示すために、クレビス330の破断図が提供されており、この内部特徴は、クレビス330の側壁336に形成された溝340を含む。クレビス330は、ピン(図示せず)をエンドエフェクタの顎部に接続するための開口部335をさらに含んでもよく、及び溝340は、側壁341,343を含んでもよい。
図14の例示的な実施形態に示されるように、押込/引抜駆動要素300の端部306は、押込/引抜駆動要素300を前後方向に動かしてエンドエフェクタを作動させる際に、溝340によって端部306が支持及び/又は案内されるように溝340内に配置することができる。特に、端部306の1つ又は複数の表面部分は、溝340の1つ又は複数の面と接触することができる。クレビス340及び押込/引抜駆動要素300の側面図であり、押込/引抜駆動要素300の端部306が溝340内に位置する状態の
図15を参照すると、端部306の表面部分317,319は、接触部350を介して溝340の側壁341,343の一方又は両方に係合することができる。例示的な実施形態によれば、表面部分317,319は、平坦であってもよい。端部306が1つ又は複数の表面部分317,319を有しているので、端部306と溝340の側壁341,343との間の接触部350は、
図9の例示的な実施形態に関して上述したように、点接触又は略接線方向の接触に限定されるものではなく、代わりに、端部306と溝340との間に働く力が分散されるような比較的大きな接触面積を提供する。その結果、力は、恒久的な変形及び/又は増大した摩耗速度につながるような小さい領域に集中されなくなる。さらに、押込/引抜駆動要素300の端部306は、
図7及び
図8の実施形態に関して上述したように、押込/引抜駆動要素300によってエンドエフェクタを作動し、ねじりを受けたときに及ぼされる力に対する耐性が向上する。
【0043】
図10~
図14の例示的な実施形態に関して上述したように、押込/引抜駆動要素300は、特に押込/引抜駆動要素300が通電状態の手術用器具に使用されるときに、絶縁材料308を含んでもよい。しかしながら、本明細書で説明する例示的な実施形態は、通電状態の手術用器具に限定されるものではなく、及び押込/引抜駆動要素を非通電状態の手術用器具で使用してもよい。
図16を参照すると、非通電状態の手術用器具400の破断図が、示されている。手術用器具400は、シャフト402、クレビス404、エンドエフェクタ406、及び押込/引抜駆動要素410を含むことができる。エンドエフェクタ406は、開口部405を通って挿入されるピン408によってクレビス404に接続される顎部420,430を含むことができる。押込/引抜駆動要素410は、手術用器具400が通電されないため、押込/引抜駆動要素410が絶縁材料308を含まないことを除けば、
図10~
図15の例示的な実施形態に従って構成することができる。クレビス404の破断図を示す
図17に示されるように、押込/引抜駆動要素410は、シャフト412、(例えば、
図11の例示的な実施形態に関して上述したように、クロスシャフトによって提供された係合部414等の)1つ又は複数の係合部414、及び1つ又は複数の端部416を含むことができる。端部416は、
図10~
図15の例示的な実施形態に関して上述したように、クレビス404の溝440内に挿入することができ、それによって、端部416は、押込/引抜駆動要素410を前後方向に動かしてエンドエフェクタ406を作動させるときに、案内及び/又は支持される。
【0044】
図10~
図17の例示的な実施形態で説明したように、押込/引抜駆動要素の端部の形状やサイズによって、端部とクレビス溝との間の接触面積の量が著しく増大する。こうして、端部は、この端部とクレビスの溝との間に働く力の配分を有利に高めることができる。結果として、押込/引抜駆動要素の端部は、エンドエフェクタの作動中に押込/引抜駆動要素に加えられるトルクやねじり運動を打ち消すことができ、そうしないとクレビス溝の変形や摩耗につながる、又は押込/引抜駆動要素がクレビス溝から飛び出す可能性がある。特に、この押込/引抜駆動要素の端部によって、プラスチック等の非金属材料で作製されたクレビスの溝の恒久的な変形や摩耗を最小化又は低減することができる。
【0045】
手術用器具に通電するときに、電気的接続部が、手術用器具のエンドエフェクタと電気エネルギーをエンドエフェクタに供給する1つ又は複数の導管との間に設けられる。しかしながら、エンドエフェクタの運動によって、1つ又は複数の導管とエンドエフェクタとの間に接続部を設け且つ維持することが困難な場合がある。また、手術用器具の小さなサイズ及び手術用器具内の限られたスペースによって、機能性及び耐久性を有する接続部を設ける困難性のレベルは、比較的高い。例えば、手術用器具の外径は、例えば約5mmとすることができる。
【0046】
図18を参照すると、ピン508、クレビス506、及び押込/引抜駆動要素510を介して接続された顎部502,504を含むような手術用器具500の例示的な実施形態が、示されている。押込/引抜駆動要素510は、
図10~
図17の例示的な実施形態に従って構成することができる。例示的な実施形態によれば、手術用器具500は、1つ又は複数の導管520,522を顎部502,504に接続するようなコネクタ組立体530をさらに含むことができる。導管520,522は、例えば電気エネルギー等のエネルギーを顎部502,504に供給して、顎部502,504を通電することができる。
図19は、コネクタ組立体530等の手術用器具500の構成要素をより容易に確認することができるように顎部504を取り外した状態の手術用器具500を示している。手術用器具500は、クレビス506に接続されており、且つ導管520,522を覆うようなシャフト(図示せず)をさらに含むことができる。
【0047】
顎部502,504を作動するときに、顎部502,504が、手術用器具500の他の構成要素に対して移動する。例えば、顎部502,504は、
図18及び
図19の例示的な実施形態に示されるように、ピン508に対して方向540に旋回することができる。顎部502,504の運動によって、導管520,522と顎部502,504との間に接続部を設けることは、努力を必要とする。例えば、導管520,522を顎部502,504に直接的に接続する場合に、導管520,522の少なくとも一部は、顎部502,504が移動するときに、移動し、顎部502,504と導管との間に耐久性のある接続部を設ける際に課題をもたらす可能性がある。
【0048】
図20を参照すると、本体531を含むようなコネクタ組立体530の例示的な実施形態が、示されている。コネクタ組立体530は、1つ又は複数の導管520,522と顎部502,504等のエンドエフェクタとの間に接続部を設けることができ、それによって、エネルギー(例えば、電気エネルギー)を1つ又は複数の導管520,522からエンドエフェクタに供給することができる。こうして、コネクタ組立体530は、例示的な実施形態に従って、1つ又は複数の導管520,522とエンドエフェクタとの間に電気的接続部を設けることができる。例示的な実施形態によれば、本体531を、電気絶縁材料等の絶縁材料から作製してもよい。本体531は、例えば、ポリフタルアミド(PPA)(例えば、Solvay Advanced Polymers, L.L.C.によって販売されているAmodel(登録商標))等のプラスチックから作製することができる。本体531は、例えば、1つ又は複数の導管520,522と顎部502,504との間に接続されたエネルギーから手術用器具500の構成要素を実質的に絶縁しながら、1つ又は複数の導管520,522と顎部502,504との間の接続部に構造的支持を提供するために使用することができる。
図20の例示的な実施形態に示されるように、本体531は、U字型であり且つ第1の脚部532及び第2の脚部534を含むことができる。また、脚部532,534は、
図20の例示的な実施形態に示されるように、ギャップ536によって分離される。ギャップ536は、例えば、押込/引抜駆動要素510を動かして顎部502,504を作動させるときに、
図19の例示的な実施形態に示されるように、本体531内で押込/引抜駆動要素510が移動するスペースを提供することができる。本体531は、
図18及び
図19の例示的な実施形態に示されるように、ピン508がその内部通って挿入される管腔538をさらに含むことができる。
【0049】
例示的な実施形態によれば、本体の脚部532,534は、導管520,522を受容するための構造体を含んでもよい。例えば、脚部534は、
図20の例示的な実施形態に示されるように、導管520を受容するためのキャビティ533を含むことができる。キャビティ533は、
図20の例示的な実施形態に示されるように、開いた状態であってもよく、又はキャビティは、少なくとも部分的に覆われていてもよい。導管520は、例えば、導管520を開口部535を通して脚部534に挿入することによって、キャビティ533内に受容することができる。脚部532は、脚部534について議論した上述した例示的な実施形態のいずれかに従って構成することができる。
【0050】
図20のコネクタ組立体530の例示的な実施形態の分解図である
図21に示されるように、コネクタ組立体530は、1つ又は複数のコネクタ部550をさらに含むことができる。例示的な実施形態によれば、コネクタ組立体530は、各導管についてコネクタ部550を含むことができる。例えば、コネクタ組立体530は、
図21に示されるように、各導管520,522についてコネクタ部550を含むことができる。コネクタ部550を、本体531に取り付けてもよい。
図21の例示的な実施形態に示されるように、コネクタ部550を、隆起部537上に嵌合することができる。コネクタ部550は、隆起部537の形状に対応する形状を有することができる。さらに、例示的な実施形態に従って、コネクタ部550を、隆起部537に圧入してもよい。例示的な実施形態によれば、隆起部537は、コネクタ組立体530及びクレビス506を取付けるために、クレビス506に接続することができる。
【0051】
コネクタ部550は、導管を取り付けるための1つ又は複数の構造体を含むことができる。コネクタ部550に取り付けられた導管520の例示的な実施形態を示す
図22を参照すると、コネクタ部550は、コネクタ部550を導管520に接続するための第1のアタッチメント552を含むことができる。コネクタ部550は、
図21及び
図22の例示的な実施形態に示されるように、第2のアタッチメント553をさらに含むことができる。例えば、導管520が、外側絶縁カバー523及び導体521等の複数の構成要素を含む場合に、
図22の例示的な実施形態に示されるように、第1のアタッチメント552は、絶縁カバー523に接続される一方、第2のアタッチメント553は、導体521の露出した部分に接続することができる。こうして、第1のアタッチメント552は、例えば、コネクタ部550に対して導体520の位置を維持するのを支援するために設けてもよく、一方で第2のアタッチメント553は、コネクタ部550と導管520、特に導体521との間に導電性接点を形成するために設けられる。アタッチメント552,553は、例えば、圧着アタッチメント552,553等の機械的接続を介して導管520に取り付ける、或いは半田(例えば、アタッチメント553を導体521にはんだ付けする)等の接合、又は当業者に公知の他の接合方法を介して導管520に取り付けることができる。導管522は、例示的な実施形態に従って、同じ方法でコネクタ部550に接続することができる。
【0052】
コネクタ部550は、エンドエフェクタの一部に接触するような1つ又は複数の構造体をさらに含んでもよい。例えば、コネクタ部550は、顎部502,504の少なくとも一方に接触するような接触部554を含むことができる。接触部554は、例示的な実施形態によれば、摺動接点を介して顎部502,504の少なくとも一方に接触することができる。例えば、
図18の例示的な実施形態に示されるように、顎部504は、この顎部504が接触部554の上に嵌合するような開口部505を含むことができる。さらに、開口部505は、開口部505を形成する顎部504の一部が接触部554に接触するように、この接触部554に対応する形状及びサイズを有するように構成してもよい。例えば、接触部554は、
図19、
図21、及び
図22の例示的な実施形態に示されるように、分割リング形状を有することができる。こうして、ピン508に対して方向540に旋回させるように顎部504を動かすときに、顎部504は、接触部554と接触したままである。顎部502は、コネクタ組立体530の接触部554と摺接(sliding contact)も形成するように顎部504の例示的な実施形態に従って構成することができる。摺接を介して顎部502,504を接触させるようにコネクタ530の接触部554を構成することにより、電気的接続等の接続部は、顎部502,504の運動を可能にするとともに、導管502,504から顎部502,504にエネルギーを供給しながら、有利に耐久性がある接続部を、導管520,522と顎部502,504との間に設けることができる。
【0053】
例示的な実施形態によれば、コネクタ530は、顎部502,504が接触部554とは独立して動くように構成してもよい。顎部502,504を動かすときに、例えば、
図18及び
図19の例示的な実施形態に示されるように、顎部502,504をピン508の回りに方向540に旋回するように作動するときに、接触部554は、顎部504が接触部554の上を摺動する際に、実質的に静止したままである。結果として、コネクタ530に接続された導管520,522も、顎部502,504に対して実質的に静止したままであり、導管520,522、及び導管520,522とコネクタ530との間の接続部の摩耗又は変形を有利に最小化又は低減することができる。さらに、導管520,522は、コネクタ530が導管520,522と顎部502,504との間に接続部を形成するので、顎部502,504に直接的に接続されない。
【0054】
例示的な実施形態によれば、接触部554は、
図22の例示的な実施形態に示されるように、ブリッジ556によって、コネクタ部550の1つ又は複数のアタッチメント(複数可)552,553に接続することができる。例示的な実施形態によれば、コネクタ部550は、単一の一体構造を有してもよい。例えば、1つ又は複数のアタッチメント(複数可)552,553、接触部554、及びブリッジ556は、単一部品から形成してもよいが、本明細書で説明するコネクタ部550の例示的な実施形態は、一体構造に限定されるものではない。
【0055】
例示的な実施形態によれば、コネクタ部550は、導電性材料等の導電材料から作製することができ、それによって、導管520,522によって供給されたエネルギーは、コネクタ部550を介して顎部502,504に供給することができる。例えば、コネクタ部550を、ステンレス鋼等の金属から作製してもよい。
【0056】
本明細書で説明した例示的な実施形態に従って、押込/引抜駆動要素を手術用器具に設けることにより、押込/引抜駆動要素によって手術用器具のエンドエフェクタの移動及び作動を可能にしながら、押込/引抜駆動要素と手術用器具の構成要素との間に耐久性を高めた接続部を有利に設けることができる。エンドエフェクタとコネクタとの間に摺接及び/又は独立した運動を可能にするような接続部を設けることにより、エンドエフェクタの移動を可能にするとともに、1つ又は複数の導管(複数可)からエンドエフェクタにエネルギーを供給しながら、1つ又は複数の導管とエンドエフェクタとの間に耐久性を有する接続部を有利に設けることができる。
【0057】
更なる修正及び代替実施形態は、本開示に鑑みて当業者には明らかになるであろう。例えば、システム及び方法は、操作を明確にするために図面及び詳細な説明から省略された追加の要素又はステップを含んでもよい。従って、この説明は、単なる例示として解釈すべきであり、本発明の教示を実施する一般的な方法を当業者に教示する目的のためにある。本明細書で示され且つ説明された様々な実施形態は、実施例として捉えるように理解すべきである。要素及び材料、並びにこれらの要素及び材料の構成(配置)は、本明細書で例示し且つ説明した要素及び材料等に交換することができ、部品及びプロセスは、逆にしてもよく、本教示の特定の機能は、独立して利用することができ、本明細書の詳細な説明の利益を理解した後に当業者には全て明らかになるであろう。変更は、本教示及び以下の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した要素に行うことができる。
【0058】
本明細書に記載された特定の実施例及び実施形態は、非限定的であり、構造、寸法、材料、及び方法に対する修正は、本開示及び均等物を含む特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく行うことができることを理解すべきである。
【0059】
本開示に係る他の実施形態は、本開示及び特許請求の範囲の明細及び実施を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。明細書及び実施例は、例示としてのみ考慮すべきであり、特許請求の範囲は、その完全な範囲及び等価物を含む幅に権利が与えられることを意図している。