(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】スクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 15/00 20060101AFI20220207BHJP
F04C 14/24 20060101ALI20220207BHJP
F04C 2/16 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
F04C15/00 G
F04C14/24 C
F04C15/00 K
F04C15/00 D
F04C2/16 A
(21)【出願番号】P 2020196611
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】10 2019 132 653.2
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515051102
【氏名又は名称】ライストリッツ プムペン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・メッツ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ポップ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・リッセク
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114045(JP,A)
【文献】特開2011-026981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
F04C 14/24
F04C 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動アセンブリと結合される、または結合された作動スピンドル(5)と、前記作動スピンドルと噛み合う少なくとも1つの従動スピンドル(6)とが収容されているハウジング(2)と、ハウジング側に固定され、かつ前記作動スピンドルおよび前記従動スピンドル(5、6)が軸方向に支持されているフェザーキーのような支持要素(16)とを備え、前記ハウジング(2)には前記支持要素(16)を挿入可能な少なくとも1つの開口(15)が設けられており、前記支持要素は、組立位置において、一端が前記開口(15)に収容され、他端が前記開口(15)の直径方向で向かい側に位置する収容部(17)に収容されており、前記支持要素(16)は、前記開口(15)を外側で閉じる少なくとも1つの確実固定要素を介して確実固定されている、自動車のバッテリおよび/もしくは電力用電子機器、または駆動アセンブリを冷却するための冷却液、あるいは自動車の洗浄液または供給液を送るように形成されたスクリュースピンドルポンプ。
【請求項2】
直径方向に互いに向き合う2つの開口(15)が設けられており、前記支持要素(16)は、その両端が前記開口(15)に収容されており、かつ前記2つの開口を外側で閉じる前記確実固定要素を介して確実固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項3】
前記ハウジング(2)は、外側が円筒形の区分(14)を有し、前記円筒形の区分に前記1つまたは2つの開口(15)が設けられており、前記円筒形の区分(14)に前記確実固定要素が配置されている、または配置可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項4】
前記ハウジング(2)が2部分型であり、前記作動スピンドルおよび前記少なくとも1つの従動スピンドル(5、6)が収容されている第1ハウジング部分(3)と、前記第1ハウジング部分(3)に着脱可能に配置されているか、または配置可能であり、かつ冷却媒体供給配管のための連結区分(22)を有する第2ハウジング部分(4)とを有することを特徴とする
、請求項
1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項5】
前記第2ハウジング部材(4)が同時に前記確実固定要素であることを特徴とする、請求項4に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項6】
前記確実固定要素がカラーリング(25)であることと、前記ハウジング(2)に着脱可能に配置されているか、または配置可能である別個の接続片部品(26)が設けられていることと、を特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項7】
2つのハウジング部材(3、4)または前記ハウジング(2)と前記カラーリング(25)とは、少なくとも1つの固定要素(11)またはねじ結合を介して互いに着脱可能に接続されていることを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項8】
前記固定要素(11)は、2つのハウジング部材(3、4)または前記ハウジング(2)および前記カラーリング(25)における切欠き(20)および/または溝(17)に係合するクランプまたはクリップであることを特徴とする、請求項7に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項9】
前記第2ハウジング部材(4)または前記カラーリング(25)に1つまたは複数のスロットのような第1切欠き(20)が設けられ、前記第1ハウジング部材(3)または前記ハウジング(2)における前記1つまたは複数のスロットのような第1切欠きに1つまたは複数の溝のような第2切欠き(17)が割り当てられており、前記第2ハウジング部材(4)または前記カラーリング(25)に固定されるべきクランプまたはクリップが、組立位置において、前記1つまたは複数の第1のスロットのような切欠き(20)に食い込み、かつ前記1つまたは複数の溝のような第2切欠き(17)に係合することを特徴とする、請求項8に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項10】
直径方向に互いに向き合う2つの第1切欠きおよび/または第2切欠き(17、20)が設けられていることを特徴とする、請求項9に記載のねじスピンドル。
【請求項11】
支持リング(9)が設けられており、前記支持リングに前記第2ハウジング部材(4)または前記カラーリング(25)が当接し、かつ前記第2ハウジング部材または前記カラーリングが前記第1ハウジング部材(3)または前記ハウジング(2)に径方向に支持されていることを特徴とする、請求項4~10のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項12】
前記支持リング(9)は円錐形当接面(19)を有し、前記支持リングは前記円錐形当接面により、前記第1ハウジング部材(3)または前記ハウジング(2)における円錐形支持面(18)に支持されることを特徴とする、請求項11に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項13】
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材(3、4)との間、または前記カラーリング(25)と前記ハウジング(2)との間を密封する少なくとも1つのシール要素(10)を特徴とする、請求項4~12のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項14】
前記第2ハウジング部材(4)もしくは前記カラーリング(25)の内周に、および/または前記第1ハウジング部材(3)もしくは前記ハウジング(2)の外周に、シールリングの形態の前記シール要素(10)が収容される、取り囲む溝またはつば(21)が設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項15】
前記作動スピンドル(5)と前記少なくとも1つの従動スピンドル(6)との互いに噛み合う区分が、最大で4cm、特に最大で3cm、かつ最小で1cm、特に最小で2cmの長さを有することを特徴とする
、請求項
1~14のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項16】
前記作動スピンドル(5)と前記少なくとも1つの従動スピンドル(6)との前記互いに噛み合う区分は、最大で1cmかつ最小で0.5cmの外径を有することを特徴とする
、請求項
1~15のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項17】
前記駆動スピンドル(5)の前記駆動側の端に接続ジオメトリが設けられており、前記接続ジオメトリにおいて、前記駆動アセンブリと結合されたか、または結合可能なカップリング要素(7)が相対回動不能に結合されていることを特徴とする
、請求項
1~16のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項18】
前記ハウジング(2)、場合によっては前記第1ハウジング部材および第2ハウジング部材(3、4)、または前記カラーリング(25)がプラスチックからなることを特徴とする
、請求項
1~17のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項19】
自動車における、冷却液または洗浄液または供給液を送るため
の請求項
1~18のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ(1)の使用。
【請求項20】
前記スクリュースピンドルポンプ(1)は、バッテリもしくは電力用電子機器、または駆動アセンブリ、特に内燃機関もしくは電気機械を冷却するための冷却液を送るために使用されることを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の少なくとも1つのスクリュースピンドルポンプ(1)を備える、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリュースピンドルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
一部電気式または全電気式駆動装置を有する最新の自動車では、相応に大きく寸法設定されたバッテリのみならず、割り当てられている電力用電子機器も使用されるが、これらのコンポーネントは作動中に高温を発生することから十分な冷却を必要とする。このためバッテリまたは電力用電子機器を冷却する冷却液を送るために渦巻きポンプが使用される。この種の渦巻きポンプの全効率は約40%と比較的低いが、渦巻きポンプは出力が小さいわりに多くの電力を消費するので、長期的には、一部電気式または全電気式で走行する自動車に使用するにはこの全効率では低すぎる。さらに、このような渦巻きポンプは平均70mmの直径を有しており、すなわち比較的大きく寸法設定されている(dimensioniert)とともに複雑な構造である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、この点について改善した、とりわけ最新の自動車における使用に適したポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題を解決するために、本発明によれば、駆動アセンブリ(Antriebsaggregat)と結合される、または結合された作動スピンドル(Arbeitsspindel)と、作動スピンドルと噛み合う少なくとも1つの従動スピンドル(Laufspindel)とが収容されているハウジングと、ハウジング側に固定され、かつ作動スピンドルおよび従動スピンドルが軸方向に支持されているフェザーキーのような支持要素とを備え、ハウジングには支持要素を挿入可能な少なくとも1つの開口(Durchbrechung)が設けられており、支持要素は、組立位置において、一端が開口に収容され、他端が開口の直径方向で向かい側に位置する収容部に収容されており、支持要素は、開口を外側で閉じる少なくとも1つの確実固定要素(Sicherungselement)を介して確実固定されている、自動車のバッテリおよび/もしくは電力用電子機器、または駆動アセンブリ、特に内燃機関もしくは電気機械の冷却液、あるいは自動車の洗浄液または供給液を送るように形成されているスクリュースピンドルポンプが提供される。
【0005】
本発明は、特に自動車のバッテリもしくは電力用電子機器を冷却するための冷却液、またはその他の洗浄液もしくは供給液を送るように形成および寸法設定されており、すなわち、例えば特に、冷却液として水・グリコール混合物を送るために設計されているスクリュースピンドルポンプを提案する。この種のスクリュースピンドルポンプは、簡単な構造であるとともに、非常に小サイズに(kleinformatig)形成することができる可能性と並んで、特に約70%という高い全効率を特徴とし、すなわち公知の渦巻きポンプよりはるかに効率的に動作し、このことは渦巻きポンプをバッテリで駆動する自動車のエネルギー収支全体にとってより有利である。スクリュースピンドルポンプを非常に小サイズに寸法設定することができ、それと同時に高効率であるとともに、渦巻きポンプより格段に高スループットであり、かつスクリュースピンドルポンプが数千rpmという非常に高い回転数で運転され得るという事情が、最新の自動車において使用するのにスクリュースピンドルポンプを特にふさわしくするが、渦巻きポンプは、とりわけその構造サイズまたは構造長さゆえに適さないことが明らかになった。
【0006】
これに対して本発明によるスクリュースピンドルポンプは、非常に小サイズに設計されうることを特徴とする一方で簡単な構造である。スクリュースピンドルポンプは、少なくとも2つのスピンドルが収容されているハウジングを有し、スピンドルは、簡単なフェザーキーのような支持要素を介して軸方向に固定または支持されており、すなわちスピンドル側には、スピンドルの軸方向支持または軸方向支承のための特別な措置を講じる必要がない。このフェザーキーのような支持要素は、これがハウジング側に設けられている開口を通して外側からハウジングに挿入されることによりハウジング側に非常に簡単に組み付けられる(montiert)。組立位置において、支持要素は、前端が、開口の直径方向で向かい側に位置する対応する収容部に収容され、他方の後端は開口に収容されており、それにより支持要素が軸方向に支持され、それによって支持要素がスピンドルのための支持機能を果たすことができる。組立位置における支持要素の簡単な確実固定は、ハウジング側に設けられ、かつ開口を閉じる確実固定要素によって行われる。
【0007】
開口または支持要素は、円筒形のハウジング区分に設けられていることが目的に合っており、このことは対応する、かつ円筒形のかぶさり区分(Ubergriffabschnitt)を有する確実固定要素を装着することも特に簡単にする。
【0008】
したがって、本発明は、全体として非常に良好な回転円滑度(Laufruhe)を示し、それゆえ非常に静音で動作するとともに、数千rpmという極めて高い回転数で運転され得る非常に小さく寸法設定可能な、かつ簡単な構造のスクリュースピンドルポンプを提案する。このスクリュースピンドルポンプでは、約70%までの高い全効率が高回転数領域で略一定であり、かつ回転数に対してフラットな効率曲線を特徴とする。それゆえこの種のスクリュースピンドルポンプは、一部電気式または全電気式駆動装置を有する自動車であれ、従来の内燃機関を有する自動車であれ、代替的駆動コンセプトを有する自動車であれ、特に最新の自動車において有利に使用することができる。なぜならこのスクリュースピンドルポンプは、極めて小サイズに形成され得ると同時に全効率が非常に高く、その結果として、電力消費が少なく、またわずかな取付け空間を有する複雑なシステムにも組み込むことができるからである。
【0009】
上記のように、最初に開口に挿通されたフェザーキーのような支持要素の前端が、向かい側に位置する対応する収容部において固定される。この収容部は、フェザーキーの端が係合する簡単な凹部であってもよい。しかし、直径方向に互いに向き合う2つの開口を設けることも考えられ、支持要素は、その両端が開口に収容され、2つの開口を外側で閉じる確実固定要素を介して確実固定されている。すなわち、ここでは直径方向に互いに向き合う2つの開口が形成されることにより対称の形態が設けられ、このことは製造技術的な観点から特に簡単である。フェザーキーのような支持要素は、組立ての範囲内で両側から非常に簡単に挿入することができ、その後に、2つの開口に対して支持要素を確実固定する確実固定要素を設置しさえすればよい。
【0010】
可能な限り簡単な一実施形態では、ハウジングは、外側が円筒形の区分を有し、円筒形の区分に1つまたは2つの開口が設けられており、この円筒形の区分に確実固定要素が配置されている、または配置可能である。円筒形状は、ハウジングに関しても確実固定要素に関しても製造の範囲内で簡単に形成可能であるのみならず、確実固定要素を被せ嵌めしさえすればよく、その際、続いて、対応する開口に自動的にかぶさるので、円筒形区分に確実固定要素を装着することも非常に簡単である。
【0011】
本発明の特に有利な一展開形態では、ハウジングが2部分型(zweiteilig)であり、作動スピンドルおよび少なくとも1つの従動スピンドルが収容されている第1ハウジング部分と、第1ハウジング部分に着脱可能に配置されているか、または配置可能であり、かつ冷却媒体供給配管のための連結区分を有する第2ハウジング部分とを有する。その結果として、本発明によるスクリュースピンドルポンプのハウジングは、第1ハウジング部分と第2ハウジング部分とを有する2部分型であり、第1ハウジング部分は本来の主要なハウジング部分であり、このハウジング部分内にスピンドルのみならず支持要素が設けられている。これに対して、第1ハウジング部材に着脱可能に配置されているか、または配置され得る第2ハウジング部材は、冷却媒体導入配管(Kuehlmittelzuleitung)のための連結区分を有する。この実施形態は、一方で、主要な第1ハウジング部分を、いわば標準化してすべてのポンプについて同じに形成することを可能にする。これに対して、第2ハウジング部分を場合によっては利用者個別に、特に冷却媒体供給配管(Kuhlmittelzulaufleitung)のための連結区分の寸法設定、または種類、形状、大きさ、および向きに関して設計することが可能である。たとえこの第2ハウジング部分も複数のタイプにわたって(typenubergreifend)標準化されて同じに形成されていても、この2分割すること(Zweiteilung)は、特に製造技術的観点で目的に合っている。なぜなら2つのハウジング部分を相応に簡単に形成することができ、かつ互いに接続しさえすればよく、それによりすべての関連するコンポーネントを含む、または有するハウジング全体が得られるからである。
【0012】
その際、この本発明の変形形態の特に有利な一展開形態では、第2ハウジング部材が同時に確実固定要素である。すなわち、第2ハウジング部材は二重機能を具備し、すなわち冷却媒体導入配管のための連結区分、したがって、すなわち吸込側の連結部をなすが、その一方で、同時にフェザーキーのような支持要素のための確実固定機能も提供する。このために、第2ハウジング部材は相応の確実固定区分を有し、第2ハウジング部材は、この確実固定区分で第1ハウジング部材に被せ嵌められ、その際、フェザーキーの端が収容される1つまたは2つの開口があるこの区分にかぶさる。フェザーキーを設置した後に第2ハウジング区分を被せ嵌めさえすればよく、したがって固定しさえすればよく、その後、組立てが最終的に完成するので組立ては極めて簡単である。
【0013】
第2ハウジング部材が同時に確実固定要素でもある実施形態に代えて、確実固定要素として、ハウジングに取り付けられるカラーリング(Uberwurfring)と、ハウジングに着脱可能に配置されるか、または配置可能である別個の接続片部品とを設けることが考えられる。カラーリング、例えばねじ付きリングは、ハウジングの対応する保持区分に設置されてもよく、そこに固定、例えばねじ嵌めされてもよく、それによりさらに対応するフェザーキー固定が提供されている。これに加えて、この実施形態では、次いでハウジングに接続片部品が固定されてもよく、このことは、例えばねじ結合によって行われてもよい。ここでスクリュースピンドルが3つのコンポーネント、すなわちハウジングと別個の確実固定要素と別個の接続片部品とを有するのに対して、第2ハウジング部材がいわば多機能であり、接続片を提供する一方で確実固定要素として用いられるという上述した第1の本発明の代替案は、特に少ない部品点数であるという点で特徴的である。
【0014】
しかし2つの変形形態では、2つのハウジング部材、またはハウジングとカラーリングとを互いに着脱可能に固定する必要がある。このために少なくとも1つの固定要素が用いられることが目的に合っており、この固定要素は、それが対応する要素同士を十分に堅固に接続する、すなわちこれらの要素を特に軸方向に相対して確実固定または固定する限り、異なる性質をもっていてもよい。これに代えて、2つのハウジング部材、またはカラーリングの形態の2つもしくはすべてのコンポーネントのねじ結合が行われてもよく、そのためにこれらの部品に相応のねじ山区分が設けられている。
【0015】
本発明の一展開形態では、この種の固定要素は、2つのハウジング部材またはハウジングおよびカラーリングにおける切欠きおよび/または溝に係合するクランプ(Klammer)またはクリップ(Spange)であってもよい。すなわちクランプまたはクリップが対応する切欠き/溝にはめ込まれさえすればよく、それによりこれらの部材が自動的に互いに固定されるので、クランプまたはクリップを使用することで非常に簡単な機械的固定が行われる。
【0016】
クランプまたはクリップの簡単な固定または配置のために、第2ハウジング部材またはカラーリングに1つまたは複数のスロットのような第1切欠きを設けることが考えられ、1つまたは複数のスロットのような第1切欠きに、第1ハウジング部材またはハウジングにおいて1つまたは複数の溝のような第2切欠きが割り当てられ、第2ハウジング部材またはカラーリングに固定されるべきクランプまたはクリップは、組立位置において、1つまたは複数の第1のスロットのような第1切欠きに食い込み(durchgreifen)、1つまたは複数の溝のような第2切欠きに係合する。その際、直径方向に互いに向き合う2つの第1切欠きおよび第2切欠きが設けられていることが好ましく、それにより2つの互いに向かい合う箇所で確実かつ対称に固定することが可能である。
【0017】
組立ての範囲内で、U字形の部品であるクランプまたはクリップをいわば側方から第2ハウジング部材またはカラーリング上に嵌めること、そしてそれにより細長いスロットのような切欠きに挿入することのみが必要であり、最終位置に達すると、クランプもしくはクリップ、またはクランプもしくはクリップのアームがスロットのような切欠きに自動的に食い込み、その下に位置する第2の溝のような切欠きに係合またはスナップインする。すなわちクランプまたはクリップは、第1ハウジング部材および第2ハウジング部材に、またはカラーリングおよびハウジングに固定され、それにより確実な軸方向の固定が提供される。第1ハウジング部材またはハウジングにおける溝のような切欠きとは、両側が対応する溝リム(Nutschenkel)により画定されている切欠き、のみならず継ぎ目のような(falzartig)切欠きとも解されるべきである。
【0018】
本発明の一展開形態では、支持リングを設けることが考えられ、この支持リングに第2ハウジング部材またはカラーリングが当接し、かつ支持リングを介して第2ハウジング部材またはカラーリングが第1ハウジング部材またはハウジングに径方向に支持されている。支持リングは、例えば円錐形当接面を有し、この当接面により支持リングが第1ハウジング部材またはハウジングにおける円錐形支持面に支持されている。
【0019】
さらに、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との間、またはカラーリングとハウジングとの間を密封する少なくとも1つのシール要素、例えばゴムもしくはそれ以外のエラストマ、またはそれに類するものからなる簡単なシールリングが設けられることが目的に合っている。このシール要素を介して、2部分型のハウジング、またはハウジングに対するカラーリングの流体密の密封が行われ、それによりこの領域におけるあらゆる流体漏れが不可能にされている。
【0020】
この場合、第2ハウジング部材もしくはカラーリングの内周に、および/または第1ハウジング部材もしくはハウジングの外周に、シールリングの形態のシール要素が収容される、取り囲む溝またはつばが設けられることが目的に合っている。当然のことながら、溝またはつばのみならずシールリングも、確実な流体密の当接または密封が保証されるように寸法設定されている。
【0021】
すでに説明したように、本発明によるスクリュースピンドルポンプは、基本的に、非常に小サイズに設計すること、したがって、すなわち軸方向視で非常に短いのみならず、径方向に非常にスリムに(schlank)も構成することもできる。より具体的には、これに加えて、駆動スピンドルと少なくとも1つの従動スピンドルとの互いに噛み合う区分が最大で4cm、特に最大で3cm、かつ最小で1cm、特に最小で2cmの長さを有してもよい。すなわち、スピンドル長は、わずか数センチメートルの範囲で動き、それによりハウジング全長も、2部分型ハウジングであれ、1部分型ハウジングであれ、最終的に接続片構成(Anschlussstutzenkonfiguration)を含めて、これがどのように具体的に形成されているのかに関係なく、同様にわずか数センチメートルの範囲で上下する。接続片区分(Anschlussstutzenabschnitt)自体は、本来のスピンドルハウジング領域からわずか数センチメートル突出し、それにより接続片区分の長さはスピンドル長の範囲で上下する。すなわちこの種のスクリュースピンドルポンプは、例えば最大で8cmの全長を有し、スピンドルが4cmより短い場合にはそれより格段に短い全長を有する。
【0022】
スピンドルを径方向にも可能な限り小型にするために、作動スピンドルと少なくとも1つの従動スピンドルとが互いに噛み合う区分が最大で1cm、最小で0.5cmの外径を有するならば目的に合っている。すなわち本発明によれば、極めてスリムなスピンドルも使用され、このことは当然のことながらハウジングの外径に有利に作用する。
【0023】
上記のように、ハウジングは、それがどのように具体的に形成されているかにかかわらず、駆動アセンブリ、通常、同様に非常に小型の電気モータと結合されることになる。このために駆動スピンドルの駆動側の端に接続ジオメトリが設けられており、この接続ジオメトリにおいて、駆動アセンブリと結合されたか、または結合可能な結合要素が相対回動不能に結合されていることが目的に合っている。この種の機械的カップリングは、例えば独国特許出願明細書101015101443A1から公知であり、本発明によるスクリュースピンドルポンプに設けられてもよい。カップリング要素は標準化されたインターフェイスを提供し、ポンプのハウジングが駆動アセンブリのハウジングと接続される、通常、ねじ結合される場合に、このインターフェイスに駆動スピンドルと、駆動アセンブリの駆動軸とが連結されてもよい。
【0024】
本発明の有利な一展開形態では、ハウジング、すなわち2分割する場合に第1ハウジング部材および第2ハウジング部材、またはハウジングおよびカラーリングなどを、同様に接続片が別個に設けられる限りで接続片も、プラスチックから製作される。すなわち、本発明によるスクリュースピンドルポンプのハウジング全体がプラスチックからなり、したがって、すなわち非常に軽量であり、適当なプラスチック射出成形法で製造することができる。スピンドルのみが金属からなり、設けられる限りでクランプまたはクリップにも同じことが当てはまる。カップリング要素も金属からなってよいが、プラスチックからなってもよい。
【0025】
スクリュースピンドルポンプ自体と並んで、本発明は、さらに、自動車における、冷却液または洗浄液または供給液を送るためのスクリュースピンドルポンプ、特に上記の種類のスクリュースピンドルポンプの使用に関する。
【0026】
特に、スクリュースピンドルポンプは、自動車のバッテリもしくは電力用電子機器、または内燃機関もしくは電気機械などの駆動アセンブリを冷却するための冷却液を送るために使用され、冷却液として水・グリコール混合物が使用されることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明は、上記の種類の少なくとも1つのスクリュースピンドルポンプを備える自動車に関する。当然のことながら、自動車において、異なったアセンブリに割り当てられ、かつ冷却液、洗浄液または供給液を送るために役立つ複数の上述のような本発明によるスクリュースピンドルポンプが設けられていてもよい。
【0028】
例えば第1スクリュースピンドルポンプは、車両の1つもしくは複数のバッテリに、または1つもしくは複数の電力用電子機器に冷却液を送るのに役立つのに対して、第2スクリュースピンドルポンプは、例えば、車両の、特に一部自律的または全自律的に走行する車両のカメラまたはセンサを高圧洗浄するために噴射される洗浄液を送るのに役立つなど、である。
【0029】
本発明のさらなる利点および詳細は、以下に説明する実施例から、および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態の本発明によるスクリュースピンドルポンプの分解図である。
【
図2】組み立てられた状態の
図1によるスクリュースピンドルポンプの90°の断面図である。
【
図3】第2実施形態の本発明によるスクリュースピンドルポンプの切断された原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、自動車のバッテリおよび/もしくは電力用電子機器を冷却するための冷却液、または洗浄液もしくは供給液を送るように形成されている本発明によるスクリュースピンドルポンプ1を原理図の形で示す。スクリュースピンドルポンプは、着脱可能に互いに取り付けることができる第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4とを有するハウジング2からなる。
【0032】
さらに、
図2を参照して、組立位置において互いに係合し噛み合う作動スピンドル5と従動スピンドル6とが設けられている。作動スピンドル5には、対応する接続ジオメトリにカップリング要素7を装着可能であり、このカップリング要素を介して詳しく図示されない電気モータの形態の駆動アセンブリとの接続を実現することができる。さらに、第2ハウジング部材4を径方向に支持するために役立つ支持リング9と、2つのハウジング部材3、4を流体密に互いに密封するために役立つシールリングの形態のシール要素10と、2つのハウジング部材3、4を相互に固定するためのクランプまたはクリップの形態の固定要素11も設けられている。
【0033】
図2による図は組立位置を示す。まず、末端にある取付けフランジ12を有する第1ハウジング部材3が示され、第1ハウジング部材は、取付けフランジを介して、対応する接続ねじがねじ込まれるブッシュ13を含む適当なねじ結合を介して駆動アセンブリのハウジングと接続される。
図2が示すように、第1ハウジング部材は、取付けフランジ12の領域が、軸方向視で開いており、それにより2つのスピンドル5、6の端が露出しており、カップリング要素7を介した駆動アセンブリとの連結が問題なく可能であり、矢印Sで示された吸込側から吸い込まれた流体を矢印Dで示されたこの吐出側を通して送り出すこともできる。
【0034】
さらに、第1ハウジング部材3は、細長い、かつ円筒形の区分14を有しており、図示された例では、この円筒形の区分に、フェザーキーのような支持要素16を収容するために役立つ、図には1つしか示されていない2つの開口15が形成されている。
図2を参照して、これは(Diese)、いわば外側から一方の側から第1開口15に導入され、先に進む端が、向かい側に位置する第2開口にはめ込まれるのに対して、他端は第1開口に収容されている。このフェザーキーのような支持要素は、2つのスピンドル5、6を軸方向に支持するために用いられる。
【0035】
さらに、第1ハウジング部材の外面には溝のような収容部17が設けられており、以下にさらに言及されるこの溝のような収容部は、第2ハウジング部材4を第1ハウジング部材3に固定するための固定要素11を収容するために役立つ。さらに、第1ハウジング部材3の外面には円錐形の支持区分18が設けられており、
図2に示すように、支持リング9が円錐形当接面19でこの円錐形の支持区分に当接する。
【0036】
さらに、
図1および
図2は第2ハウジング部材4の対応する細部を示す。第2ハウジング部材は、直径方向に互いに向き合うスロットのような2つの切欠き20を有し、2つの切欠きは、第2ハウジング部材4の長手軸に対していわば横向きに延在する。組立位置において、切欠きは、ここで取り囲む溝のような切欠き17のすぐ隣に位置し、それによりスロットのような切欠きは、固定要素11のそれぞれ1つの脚(Schenkel)を収容することができ、脚は一方でスロットのような切欠き20に係合し、他方で溝のような切欠き17にも係合し、それにより軸方向の確実固定(Axialsicherung)が提供される。
【0037】
さらに、シールリングの形態のシール要素10が収容されている第2ハウジング部材4の内周には取り囲む溝またはつば21が設けられている。
【0038】
さらには、第2ハウジング部材4の自由端に、吸い込まれた流体を供給する流体供給配管を取り付けるための対応する連結区分22が設けられている。
【0039】
組立ての範囲内で、まず、後になって初めて可能になるのでない限りで2つのスピンドル5、6がカップリング要素7と一緒にはめ込まれる。いずれの場合も、フェザーキーのような支持要素16が2つの開口15に挿入され、その後に支持リング9が第1ハウジング部材3上に嵌められ、シールリング10がそれに続き、その後、第2ハウジング部材4が第1ハウジング部材3に被せ嵌められる。第2ハウジング部材は、スロットのような切欠き20が1つの、または2つの溝のような切欠き17と径方向に重なり合うまで押し動かされ、その後、クランプのような、またはクリップのような固定要素11が側方から被せ嵌められ、それによりそれぞれ1つのアーム23がそれぞれのスロットのような切欠き20に、および溝のような切欠き17に係合し、それにより2つのハウジング部材が軸方向に互いに固定される。組立位置において、固定要素はハウジング2に固着(fest verankert)される。固定要素(Es)は、たとえ外せるにしても相応の力をかけることでしかクランプフィット(Klemmsitz)またはスナップフィット(Schnappsitz)から外すことはできない。第2ハウジング部材4は、支持リング9で径方向に支持されている。それと同時に、第2ハウジング部材4は、つば21の隣に延びるつば24で2つの開口15にも径方向にかぶさり、それによりフェザーキーのような支持要素16がこのようにして確実固定されている。
【0040】
すなわち、ここでは第2ハウジング部材4に二重機能が与えられる。一方で、第2ハウジング部材はフェザーキーのような支持要素16を特定位置で固定するための確実固定要素として用いられるが、他方で、相応の連結区分22をも提供する。
【0041】
支持リングと同様に2つのハウジング部材3、4もプラスチックから製作されており、シール要素10はプラスチックリングまたはエラストマリングである。2つのスピンドル5、6、ならびにカップリング要素7、フェザーキーのような支持要素16、および固定要素11のみが金属からなる。
【0042】
構造は非常に簡単であり、このことは製造コストに有利に作用する。さらにスクリュースピンドルポンプ1は非常に小型に寸法設定されており、スピンドル5、6またはスピンドルの互いに係合する区分の長さがわずか数センチメートルの範囲であり、スピンドルは、約0.5~1cmの直径で、好ましくは最大4cm長、殊にそれよりいくらか短くてもよく、それにより軸方向にも径方向にも非常にコンパクトな小型の構造物となる。第2ハウジング部材4がその長さの約半分にわたって第1ハウジング部材3にかぶさり、連結区分22のみがさらに先へ突出するので、その結果として、すべての構成要素を含むスクリュースピンドルポンプの構造長さも軸方向視で非常に短くなる。
【0043】
図3は、本発明によるスクリュースピンドルポンプ1の原理図を示し、同じ部品には同じ参照符号が使用される。ここでもハウジング2が設けられているが、このハウジングは1部分型に形成されている。このハウジング内にもまた、ここでは略図的に示されるにすぎない作動スピンドル5および従動スピンドル6が収容されており、フェザーキーのような支持要素16により軸方向に支持されている。この支持要素もまたその両端が上記と同じ仕方で2つの開口15においてハウジング2に固定されている。
【0044】
支持要素16を固定するために、ここではカラーリング25が用いられ、このカラーリングは、
図1および
図2による第2ハウジング部材4と同じ仕方でクランプのような固定要素11により固定されている。このために、カラーリング25は同様に2つのスロットのような切欠き20を有し、ハウジング2も1つまたは2つの溝のような切欠き17を有し、2つの切欠きにクランプのような固定要素11の対応するアーム23が係合する。すなわち軸方向の固定は、
図1による第2ハウジング部材の軸方向の固定と同じ仕方で行われる。これに代えて、カラーリング25がねじ嵌めされて(aufgeschraubt)いてもよい。
【0045】
この場合もまた相応の支持リング9と、支持および密封のために役立つシール要素10とが設けられている。
【0046】
さらに、ハウジング2の雄ねじ区分28にねじ嵌めされる雌ねじ区分27を有する別個の接続片部品26が設けられている。例えば、接続片部品26がカラーリング25に対してねじ締めされ、それによりカラーリングが追加的に軸方向に固定されるが、ここに当然のことながら相応の距離が設けられていてもよく、場合によってはカラーリング25と接続片部品26との間に追加的なシール要素またはそれに類するものが設けられていてもよい。