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特許7019792溶接補助ジョイント部品及び要素複合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】溶接補助ジョイント部品及び要素複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/11 20060101AFI20220207BHJP
   B23K 11/20 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B23K11/11 540
B23K11/20
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020500162
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018068697
(87)【国際公開番号】W WO2019011931
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】102017115529.5
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505156341
【氏名又は名称】ボルホフ・フェルビンダンクシュテヒニーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテン・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ドラート
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ハルトヴィッヒ-ビフラウ
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014201871(DE,A1)
【文献】国際公開第2018/202999(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第19740022(DE,A1)
【文献】特開2015-42417(JP,A)
【文献】特開2016-161078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/00 - 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接不適材料の第1の要素(A)と、溶接可能材料の第2の要素との間に、溶接結合、特に抵抗溶接結合を確立可能で、
a.溶接補助ジョイント部品(1)の縦軸線(L)に沿って延び、第1軸端部にエレメントヘッド(30)を、第2軸端部に前記エレメントヘッド(30)から軸方向に突出する溶接コンタクトゾーン(60)を有する、第1の要素(A)内にほぼ回転自由でパンチ圧入可能なパンチシャフト(10)を含み、
b.前記エレメントヘッドは、前記パンチシャフト(10)を越えて径方向に延び、前記パンチシャフトから見て外向きのヘッド上面(32)と、前記パンチシャフト向きのヘッド下面(34)とを備え、前記エレメントヘッド(30)を径方向に区切る円周面(36)によって、相互に連結され、
c.前記ヘッド下面(34)は、前記パンチシャフト(10)の周りに閉じた状態で延び、前記パンチシャフト(10)の方向に軸方向に突出する少なくとも1つの第1のクランピングリング(40)を備え、前記少なくとも1つの第1のクランピングリング(40)の軸方向断面形状は、径方向内側リング面(42)および径方向外側リング面(44)によって形成され、前記第1のクランピングリングは、
c1.前記内側リング面(42)が前記パンチシャフト(10)から第1の径方向距離で配置され
c2.前記外側リング面(44)が前記エレメントヘッド(30)の円周面(36)から径方向に離間して配置され、
c3.前記内側リング面(42)は、前記パンチシャフト(10)の縦軸線を、10°≦α≦70°の範囲内の傾斜角αで包囲し、
c4.前記少なくとも1つの第1のクランピングリング(40)は、軸方向に先細りになる三角形状の断面形状を有しており、それにより、前記少なくとも1つの第1のクランピングリング(40)によって、押圧された前記第1の要素(A)の材料の流れを引き起こし、この流れた材料によって、前記パンチシャフト(10)が前記第1の要素(A)によってクランプされ、他方では、前記第1の要素(A)によってクランプされる際に、当該溶接補助ジョイント部品(1)が前記第1の要素(A)内へ貫通することを妨げないものである、溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項2】
前記クランピングリング(40)は、前記パンチシャフトから見て外向き側に、前記ヘッド下面(34)で径方向に延びる外リング面(38)によって、及び/又は前記ヘッド下面(34)で少なくとも1つの外リングによって取り囲まれ、前記外リングは、前記パンチシャフト(10)の周りに閉じた又は中断された態様で延び、及び前記パンチシャフト(10)の方向に軸方向に突出する、請求項1に記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項3】
前記外リングは、クランピングリング(40)又はスタンピングリング(70)の形状を有する、請求項2に記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項4】
前記クランピングリング(40)は、前記ヘッド下面(34)で径方向に延びる内リング面、及び/又はヘッド下面(34)で、前記パンチシャフト(10)の周囲に、閉じた又は中断された状態で延び、前記パンチシャフト(10)の方向に軸方向に突出する少なくとも1つの内リングに隣接する前記パンチシャフトに面する側に配置される、請求項1~3のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記内リングは、クランピングリング(40)又はスタンピングリング(70)の形状を有する、請求項4に記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項6】
前記内リング面(42)は、パンチシャフトの縦軸線をα=50°の傾斜角αで包囲する、請求項1~5のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項7】
前記外リング面(44)は、ヘッド下面(34)で、70°≦β≦110°の範囲内の角度βで包囲する、請求項6に記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項8】
少なくとも1つのクランピングリング(40)の断面形状は、直角三角形に近似し、その斜辺は前記パンチシャフト(10)に面する、請求項1~7のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項9】
前記スタンピングリング(70)は、球形の断面形状を含む、請求項3~8のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項10】
前記パンチシャフト(10)の周囲に閉じた状態で延び、前記パンチシャフト(10)から第1の径方向距離に配置され、前記パンチシャフト(10)の軸方向に先細になる三角形の断面形状を有し、前記パンチシャフトから見て外向き側で、前記エレメントヘッド(30)の円周面(36)に移行するヘッド下面(34)に、径方向に延びる外リング面(38)を有する、請求項1に記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項11】
前記パンチシャフト(10)と、隣接するクランピングリング(40)又は隣接するスタンピングリング(70)との間のヘッド下面に溝部(50)を備え、前記溝部は、前記エレメントヘッド(30)の方向に凹まされている、請求項1~10のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項12】
前記エレメントヘッド(30)は、前記溝部、及びクランピングリング及び/又はスタンピングリング(70)の外側よりも、前記溝部の部分の前記パンチシャフト(10)の縦方向における厚みが大きい、請求項11に記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項13】
円筒状パンチシャフト(10)の軸径(D10)に対する前記エレメントヘッド(30)のヘッド径(D30)の比率は、2以上である、請求項1~12のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項14】
前記パンチシャフト(10)の軸径D10と、前記クランピングリング(40)の外径D40との比較は、約0.5D40≦D10≦0.8D40である、請求項1~13のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項15】
前記パンチシャフト(10)は、3mm≦D10≦8mmの範囲内、好ましくはD10=4mm、又はD10=5mmの軸径D10を有し、前記エレメントヘッド(30)は、7mm≦D30≦12mmの範囲内、好ましくは10mmのヘッド径D30を有し、前記クランピングリング(40)は、4mm≦D40≦10mmの範囲内、好ましくは8mmのリング径D40を有する、請求項1~14のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項16】
前記エレメントヘッド(30)は、溝部又はリング外側のヘッド上面(32)とヘッド下面(34)との間の軸方向の厚さH30が、0.8mm≦H30≦1.8mmの範囲内、好ましくは1.2mmのH30を有し、前記パンチシャフト(10)は、1.6mm≦h10≦4mmの範囲内、好ましくは2.9mm又は2mm又は1.7mmの長さh10を有する、請求項1~15のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項17】
前記クランピングリング(40)は、ヘッド下面(34)に対して、0.2mm≦H40≦0.6mmの範囲内、好ましくは0.4mmの高さH40を有する、請求項1~16のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項18】
前記クランピングリング(40)は、前記ヘッド下面(34)に対して、0.15mm≦H40≦1mmの範囲内、好ましくは0.5mmの高さH40を有する、請求項1~16のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項19】
前記エレメントヘッド(30)は、前記クランピングリングから少なくとも径方向外側にある皿頭ヘッドとして形成され、溝部又はリングの外側のヘッド上面(32)とヘッド下面(34)との間の径方向外側に減少する軸方向厚さH30’を、0.3mm≦H30’≦0.8mmの範囲内、好ましくは0.4mm≦H30’≦0.5mmで有し、自由軸と径方向最外側のヘッド下面との間で測定される前記パンチシャフト(10)は、1.4mm≦h10’≦3mmの範囲内、好ましくは1.4mm≦h10’≦2.2mm、さらに好ましくは1.4mm≦h10’≦1.6の長さh10’を有する、請求項1~15のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項20】
前記クランピングリング(40)は、前記クランピングリングに近接する前記ヘッド下面(34)に対して、0.2mm≦H40≦1mmの範囲内、好ましくは0.6mm、より好ましくは0.4mmの高さH40を有する、請求項1~15及び19のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項21】
前記溝部(50)は、すぐ隣接するクランピングリング(40)又はスタンピングリング(70)の高さと比較して、0.2mm≦t50≦0.6mmの範囲内、好ましくは0.3mmの深さt50を有する、請求項11~20のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項22】
前記溶接コンタクトゾーン(60)は、前記パンチシャフト(10)よりも径方向に小さい広がりを有する溶接スタッドによって、又は前記パンチシャフト(10)と同じ径方向の広がりを有する凸状の溶接突起部によって形成される、請求項1~21のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)。
【請求項23】
少なくとも第1の要素(A)と、請求項1~22のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品(1)とを含み、前記第1の要素(A)に損失に耐え得る態様で固定され、前記第1の要素は好ましくは、溶接不適材料からなる、要素複合体。
【請求項24】
前記第1の要素(A)は、0.8mm≦D≦3mmの範囲内、好ましくは1.5mmの厚さDを有する、請求項23に記載の要素複合体。
【請求項25】
前記エレメントヘッド(30)は、0.5D≦H30≦2Dの範囲内の厚さH30を有し、前記クランピングリング(40)は、0.2D≦H40≦0.5D及び3D≦D40≦10Dの範囲内の高さH40及び直径D40を有し、前記パンチシャフト(10)は、1.1D≦h10≦2Dの範囲内の長さh10を有する、請求項23又は24に記載の要素複合体。
【請求項26】
前記第1の要素(A)は、前記溶接補助ジョイント部品(1)によって前記第2の要素に溶接される、請求項23~25のいずれかに記載の要素複合体。
【請求項27】
少なくとも前記第1の要素と、請求項1~22のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品との要素複合体の製造方法、特に車体の製造方法であって、
a.溶接不適材料の前記第1の要素(A)を提供するステップと、
b.前記溶接補助ジョイント部品(1)を、前記第1の要素(A)にほぼ回転自由不要に圧入し、
前記パンチシャフトが完全に要素を貫通し、
前記溶接コンタクトゾーンが、前記エレメントヘッドから見て外向きの要素側を越えて突出し、
前記エレメントヘッドが、前記エレメントヘッドに面する要素側に当接し、それによって前記クランピングリングが前記エレメントヘッドに面する要素側に押圧されるステップとを備える製造方法。
【請求項28】
c.前記溶接補助ジョイント部品を有する前記第1の要素を、前記第2の要素の上方に配置し、前記パンチシャフトの溶接コンタクトゾーンと前記第2の要素との間に電気接触が確立されるようにするステップと、
d.前記溶接補助ジョイント部品と前記第2の要素との抵抗溶接を行うステップとをさらに備える、請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
前記溶接補助ジョイント部品は、圧入後に前記第1の要素内で、損失に耐え得る態様で固定され、前記第1の要素は半完成品として存在し、半完成品と前記第2の要素との半完成品の抵抗溶接を、前記圧入の場所又は圧入の場所から抵抗溶接のための加工場所に移送した後に行う、請求項27に記載の製造方法。
【請求項30】
前記クランピングリングを前記第1の要素内に圧入することによって、前記第1の要素の材料部分は径方向内側に変位され、前記パンチシャフトは変位した材料によってクランプされる、請求項27~29のいずれかに記載の製造方法。
【請求項31】
冷間成形又は冷間圧延によって、棒の外形は溶接補助ジョイント部品の形状に形成され、その後、前記溶接補助ジョイント部品は、棒の外形から所定の長さに切断される、請求項1~22のいずれかに記載の溶接補助ジョイント部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接結合、より詳細には抵抗溶接結合が、溶接不適材料で作られた第1の要素と、溶接可能材料で作られた第2の要素との間に確立され得る溶接補助ジョイント部品に関する。さらに、本発明は、このような溶接補助ジョイント部品の製造方法、及び溶接補助ジョイント部品による第1及び第2の要素間の対応する結合部の製造方法に関する。最後に、本発明はまた、少なくとも1つの第1の要素と上述の溶接補助ジョイント部品とを含む要素複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車産業は、例えば、少なくとも一方が溶接不能又は溶接不適材料で作られた2つの要素間の溶接結合の製造に対し、大きな需要を有している。これらの材料には、とりわけ、アルミニウム又はプラスチックが含まれる。このような材料は、その性質上、溶接結合の製造に適していないが、それにもかかわらず、例えば、効果的な抵抗溶接のため、利用可能にされるべきである。このため、このような溶接不能又は溶接不適材料からなる要素には、溶接可能材料からなる溶接補助ジョイント部品が提供される。上述した要素の構成、並びに溶接補助ジョイント部品の使用を記載する方法が、とりわけ、DE 10 2004 025 492 A1及びWO 2014/048885 A2に開示されている。
【0003】
公知の溶接補助ジョイント部品は、特にその形状において抵抗溶接に調整される。抵抗溶接では、溶接補助ジョイント部品に大電流が発生し、その結果、溶接補助ジョイント部品と少なくとも1つの第2の要素との間のコンタクトゾーンにおいて、材料の溶融が生成され、従って、溶接補助ジョイント部品と第2の要素との間の溶接結合が生成される。このような溶接補助ジョイント部品は、例えば、DE 42 37 361 A1に記載されている。この溶接補助ジョイント部品は、一端に配置されたエレメントヘッドと、他端に配置された溶接スタッドとを有する円筒形のシャフトを備える。エレメントヘッドは、シャフトに面するヘッド下面のそのリングビーズ(ring bead)により特徴付けられる。このリングビーズは、ヘッド下面の半径方向外側リムに配置され、ヘッド下面の径方向外側リム、従ってエレメントヘッドの径方向外側リムを形成する。ここで述べる溶接補助ジョイント部品は、主にアルミニウム部品、特にアルミニウム板にプレス加工される。この圧入の間、溶接補助ジョイント部品のシャフトは、貫通開口部を形成し、リングビーズは、穴の中心に向かってパンチされた貫通開口部の露出を圧縮する。このようにして、シャフトと要素の開口部との間の隙間が取り除かれる。同時に、リングビーズも材料を径方向外側に移動させ、妨げられずに流れ出ることができる。リングビーズの径方向外側配置とそのくさび状の断面形状により、エレメントヘッドのこの形状は、アルミニウム部品への溶接補助ジョイント部品の深い溶込みを支持する。従って、溶接スタッドだけでなく、エレメントシャフトの一部も、第1の要素の自由表面を越えて不利に突出し、従って、将来の溶接工程を妨げる。
【0004】
抵抗溶接のためのさらなる溶接補助ジョイント部品が、DE 10 2014 201 871 A1に記載されている。上述の抵抗溶接要素とは対照的に、エレメントヘッドの下面は、エレメントヘッドの下面から軸方向に突出し、径方向に互いに離間している少なくとも2つの剛性の連続した円周方向のスタンピングリングを含む。上述の溶接補助ジョイント部品とは対照的に、エレメントヘッドの下面のスタンピングリングは、結合点の選択的な印のために使用される。この目的のために、スタンピングリングは、ヘッドの下面に面する第1の要素の表面に圧入又は打抜かれる。これにより、湿気及び/又は汚れなどの腐食性媒体が、エレメントヘッドと隣接する要素との間の隙間内に侵入するのを防止する。これは、特に外側に径方向に配置された第1のスタンピングリングによって実現される。径方向内側のスタンピングリングは、例えば、抵抗溶接工程の間、又は任意に使用される接着剤の間に、外部へのガスの漏出を防止する内側の密封を提供する。従って、変位された材料の材料の流れの方向は重要ではない。むしろ、少なくとも2つのスタンピングリングが、隣接する要素の材料によって囲まれていることのみが保証されるべきである。これは、特に、所望の密封を確実にする要素材料へのスタンピングリングの埋込みである。しかしながら、部品表面に圧縮応力を発生させる材料の過密をもたらす、互いに隣接するスタンピングリングの対向する材料の変位が、まさに存在することがわかっている。これらの圧縮応力は、溶接補助ジョイント部品の溶込みを妨げ、従って、溶接補助ジョイント部品の結合工程に悪影響を及ぼす。
【0005】
上述した従来技術に基づいて、本発明の目的は、要素内に容易かつ確実に圧入可能な溶接補助ジョイント部品を提供することである。加えて、本発明の目的は、溶接補助ジョイント部品による2つの要素間の対応する結合、溶接補助ジョイント部品によるこれら2つの要素の結合方法、及びそのような溶接補助ジョイント部品の製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
上記目的は、独立請求項1に記載の溶接補助ジョイント部品と、独立請求項20に記載の少なくとも1つの要素と溶接補助ジョイント部品との間の結合により、独立請求項24に記載の少なくとも1つの第1の要素と溶接補助ジョイント部品との要素複合体の製造方法と、独立請求項28に記載の溶接補助ジョイント部品の製造方法とにより解決される。本発明の有利な設計及びさらなる発展が、以下の説明、添付の図面、及び添付の請求の範囲から生じる。
【0007】
本発明の溶接補助ジョイント部品では、溶接結合部、特に抵抗溶接結合部は、溶接不適材料で作られた第1の要素と、溶接可能材料で作られた第2の要素との間で確立可能である。この目的のために、本発明の溶接補助ジョイント部品は、次の特徴を有する。ほぼ回転自由な第1の要素内に圧入可能なパンチシャフトは、溶接補助ジョイント部品の縦軸線に沿って延び、第1軸端部にエレメントヘッドを有し、第2軸端部にパンチシャフトから軸方向に突出する溶接コンタクトゾーンを有する。溶接補助ジョイント部品のエレメントヘッドは、パンチシャフトを越えて径方向に延び、シャフトから見て外向きのヘッド上面と、シャフトに面したヘッド下面とを備え、これらは、エレメントヘッドを径方向に画定する円周面又は円筒状側面によって互いに結合される。さらに、エレメントヘッドは、ヘッド下面が、パンチシャフトの周りに連続的に円周方向に延び、パンチシャフトの方向に軸方向に突出し、パンチシャフトから第1の径方向距離を置いて配置される少なくとも1つのクランピングリングを備え、パンチシャフトの軸方向に先細になり、エレメントヘッドの円周面から径方向に離間してパンチシャフトから見て外向き側に配置される三角形の断面形状を有することを特徴とする。
【0008】
溶接補助ジョイント部品は、エレメントヘッドの特定の設計、すなわちエレメントヘッドの下面によって特徴付けられる。エレメントヘッドのこの下面は、連続した円周方向クランピングリングを有し、円筒状のパンチシャフト及びエレメントヘッドの径方向外側から選択的に離間して配置される。好ましいクランピングリングは、対応する材料の流れによって、パンチシャフトをクランプするように設計され、同時に、第1の要素内への溶接補助ジョイント部品の浸透を妨げない。従って、第1の要素内に固定されるパンチシャフトに対するクランピングリングの径方向の位置は、クランピングリングの断面形状又は変位容積に適合されることが好ましい。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、クランピングリングは、エレメントヘッドの径方向外側に対して、十分な距離を有するヘッド下面においてのみ、個別に選択的に使用される。このようにして、クランピングリングによって生成された材料の流れは、パンチシャフトを固定するため、径方向内側に、かつ別のスタンピングリング(従来技術の上記を参照)による材料の変位を妨げることなく、溶接補助ジョイント部品の周囲の材料に対して、さらに締めるために径方向外側に利用可能である。さらに、エレメントヘッドの下面にクランピングリングを配置することにより、径方向外側に向けられた材料の流れが、特に自由な要素表面の方向に影響を及ぼすことなく、流れ出ることができないことが保証される。しかしながら、これらの効果は、パンチシャフトに対して同心に配置され、径方向外側に配置された同様の幾何学形状の別のクランピングリングとの組合わせによって、又はスタンピングリングを使用することによっても、達成可能である。クランピングリングはまた、好ましくは、三角形のような断面を有する。スタンピングリングは、方向付けられた材料の流れを実現することなく、厚くなるように、又は球形になるように形成されることが好ましい。
【0010】
上述した溶接補助ジョイント部品の好ましい実施形態によれば、クランピングリングは、パンチシャフトから見て外向き側に、ヘッド下面において径方向に延びる外リング面によって、及び/又はパンチシャフトの周りに連続的に又は開放的に延びてパンチシャフトの方向に軸方向に突出するヘッド下面において、少なくとも1つの外リングによって包囲されている。この文脈において、外リングは、好ましくは、クランピングリング又はスタンピングリングの形状を有する。
【0011】
要素における溶接補助ジョイント部品の固定を支持するために、クランピングリングに加えて、エレメントヘッドのヘッド下面に、少なくとも1つの追加のリングを設けることが有利であることが証明されている。このリングは、好ましくは、上述のクランピングリングを取囲むように配置される。その設計に応じて、この外リングは、上述のクランピングリングと同じ形状を有するか、又はスタンピングリングとして実施される。外リングとして追加のクランピングリングが、要素の溶接補助ジョイント部品のクランプを支持する。加えて、この追加のクランピングリングは、有利には、パンチシャフトの方向への材料の流れを増加させ、従って、パンチシャフト、及び要素内の溶接補助ジョイント部品全体のクランプを増加させる。
【0012】
しかし、同様に、好ましくは球形又は均一な断面形状を有するスタンピングリングの形態で、外リングを設計することも好ましい。このスタンピングリングは、溶接補助ジョイント部品の結合中に、クランピングリングを要素材料にクランプするのと同じ方法で要素に圧入されるので、特に、スタンピングリングの形状及びその要素との結合が、結合点の外部への密封に寄与する。さらに、スタンピングリングは、好ましくは、材料がクランピングリングから径方向外側に流れるのを防止する。その結果、クランピングリングによって生じる材料の変位のクランプ効果が支持される。さらに、その好ましい均一な断面形状にもかかわらず、スタンピングリングは、パンチシャフトの方向における構成材料の材料の変位に寄与する。従って、この材料の変位は、要素材料におけるパンチシャフトのクランプを支持する。
【0013】
また、外リングの代わりに、エレメントヘッドのヘッド下面に、外側でクランピングリングの周りに円周方向に延びるリング面を設けることも好ましい。これは、このリング面におけるエレメントヘッドが、エレメントヘッドの上面に平行に延びることが好ましいことを意味する。さらに、このリング面は、エレメントヘッドを径方向に画定する円周面に移行することが発明的に好ましい。
【0014】
本発明の溶接補助ジョイント部品のさらなる好ましい実施形態によれば、パンチシャフトに面する側のクランピングリングは、ヘッド下面の径方向に延びる内リング面に隣接して、及び/又はパンチシャフトの周りに連続的に又は開放的に延び、エレメントヘッドのヘッド下面でパンチシャフトの方向に軸方向に突出する少なくとも1つの内リングに隣接して配置される。この文脈において、少なくとも1つの内リングは、クランピングリング又はスタンピングリングの形状を有することがさらに好ましい。
【0015】
上述したように、クランピングリングに対して径方向外側に配置されたエレメントヘッドの下面に関しても同様に、クランピングリングに対する径方向内面は、リング面又は内リングも含む。好ましくは、径方向内側に配置されたリング面は、パンチシャフトとクランピングリングの径方向内側との間の結合面である。また、この内リング面は、以下の説明に示されるように、異なる設計の可能性に応じて異なる形状とされている。一実施形態によれば、この内リング面は、パンチシャフトの縦軸方向に垂直に、好ましくはエレメントヘッドの上面に平行に延びる。また、この内リング面を、パンチシャフトを囲む溝部として形成することも好ましい。従って、内リング面は、エレメントヘッドの上面方向に、パンチシャフトの周りに円周方向に延びる凹部を備える。この凹部又は溝部は、好ましくは、溶接補助ジョイント部品の結合中に、クランピングリングによって変位された材料を、パンチシャフトの方向に受入れる役割を果たす。この変位された材料は、この凹部内に蓄積し、この凹部又は溝部の受入れ容積の大きさに応じて、径方向内向き、すなわちパンチシャフトに向かう機械的な径方向応力に至る。これらの径方向応力は、溶接補助ジョイント部品を要素内でクランプし、又は保持する。
【0016】
また、上述した外リングに匹敵する形状の内リングをクランピングリング内に配置することも好ましい。この内リングは、別のクランピングリングの形状、又はスタンピングリングの形状を有することが好ましい。従って、内リングとしてのさらなるクランピングリングも、溶接補助ジョイント部品の固定に寄与する。また、内リングとして圧入されたスタンピングリングが、結合点の密封に寄与することも好ましい。内側スタンピングリングの別の好ましい機能は、このスタンピングリングが好ましくは、クランピングリングによって変位される材料のために、材料の流れの遮断を表すことである。従って、クランピングリングはまた、スタンピングリングにおける径方向内側に向けられた径方向応力によって、要素内の溶接補助ジョイント部品の固定に寄与する。
【0017】
本発明の溶接補助ジョイント部品の好ましい実施形態によれば、クランピングリングの軸方向断面形状は、径方向内リング面及び径方向外リング面とで形成され、その内リング面はパンチシャフトで包囲され、好ましくはパンチシャフトの縦軸に対して、10°≦α≦70の°範囲内、好ましくは50°の傾斜角αを有する。
【0018】
クランピングリングの内リング面は、好ましくは円筒状のパンチシャフトに面する。従って、径方向内リング面の傾斜により、パンチシャフトの方向への変位材料の流れの強度と整列とが確実になる。従って、変位された第1の要素の材料に応じて、例えば、材料変位によってパンチシャフトの最適なクランプが達成されるように、径方向内リング面の角度を調整することが好ましい。パンチシャフトの縦軸に対する径方向内リング面の傾斜をこのように選択的に調整することによって、好ましくは、パンチシャフトの径方向外面と径方向内リング面との間に作用する圧縮応力にも影響を及ぼすことが可能になる。これは有利には、第1の要素内への溶接補助ジョイント部品の確実な圧入を支持する。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、クランピングリングの外リング面は、エレメントヘッドのヘッド下面の周囲の外リング面を、70°≦β≦110°の範囲内の角度βで取囲む。好ましくは、角度βは、約90°、又は80°~85°の範囲内である。
【0020】
上述したように、クランピングリングは、エレメントヘッドの径方向円周面から一定の距離を置いて配置される。これにより、クランピングリングは、パンチシャフトに対して径方向外側に材料変位を生じさせるかもしれないが、この変位した材料は、エレメントヘッドの下方、すなわち圧入方向に、溶接補助ジョイント部品の固定に依然として寄与することが保証される。
【0021】
従って、要素材料への材料の流れを調整し、及び/又は第1の要素における溶接補助ジョイント部品の固定のためのさらなる支持効果を達成するために、外リング面の傾斜も変化させることが好ましい。この文脈において、角度βは直角を形成することがさらに好ましい。この直角又は直交配置は、実際に、径方向外側に向かう材料の流れを最小限に減少させる。しかし、同時に、この直角の位置合せはまた、第1の要素の構成材料内での溶接補助ジョイント部品の水平方向又は径方向の安定化を保証する。
【0022】
また、クランピングリングの断面形状は、パンチシャフトに面する斜辺の直角三角形に近似されることが好ましい。
【0023】
上述したクランピングリングの好ましい断面形状によれば、この断面形状の斜辺は、パンチシャフトに向けられる。さらに好ましくは、三角形の断面形状の1つのカテーテルは、エレメントヘッドの下面に垂直に配置され、従って好ましくは、径方向外側に平行に配置される。クランピングリングのこの設計によって、クランピングリングによって生成される材料の流れは、ほぼ完全にパンチシャフトの方に向けられる。従って、この好ましい形状はまた、要素における溶接補助ジョイント部品のより強い固定を達成する。
【0024】
別の好ましい実施形態によれば、上述した内リング及び/又は外リングは、球形の断面形状を含むスタンピングリングとして形成される。この球状の断面形状は、断面形状の中心線に対して対称であることが好ましい。このようにして、溶接補助ジョイント部品が要素内に圧入されると、材料変位が発生し、これは、径方向外側及び径方向内側に一様に向けられる。
【0025】
本発明の補助溶接結合部のさらなる好ましい実施形態によれば、ヘッド下面において、1つのクランピングリングのみが、パンチシャフトの周りに連続的に円周に配置され、パンチシャフトから第1の径方向距離に配置され、パンチシャフトの軸方向に先細になる三角形の断面形状を有し、パンチシャフトから見て外向き側において、エレメントヘッドの円周面に移行するヘッド下面で、径方向に延びる外リング面を有する。
【0026】
本発明の溶接補助ジョイント部品のさらなる好ましい実施形態によれば、エレメントヘッドの方向に凹んだ溝部が、パンチシャフトと、隣接するクランピングリング又は隣接するスタンピングリングとの間のヘッド下面に設けられる。
【0027】
上述したように、この溝部又は凹部は、クランピングリング又はスタンピングリングによって、パンチシャフトの方向に変位された変位材料を受入れる役割を果たす。この溝部は、エレメントヘッド内のその深さに形成される。この溝部の設計は、要素の材料、要素の幾何学的形状、及び溶接補助ジョイント部品の幾何学的形状次第で変化するので、この溝部は、溶接補助ジョイント部品と要素との間の各々の結合状況に適合させることも可能である。これにより、クランピングリングによって変位された材料の量に応じて、変位された材料の溝部の受入れ容積を調整する可能性が広がる。溝部の受入れ容積が好ましくは、要素の変位材料の容積に関してより小さく設計される場合、より強い径方向応力が、パンチシャフトの方向に変位材料から生じる。同様に、溝部の深さを増加させることによって、パンチシャフトの近傍及びエレメントヘッドの下に、より大きな容積の変位された要素材料の蓄積を実現することが好ましい。このより多量の材料は好ましくは、溝部の受入れ容積内に圧縮された状態で存在し、溶接補助ジョイント部品と要素との間の結合のさらなる安定化を提供する。
【0028】
溝部の受入れ容積の上述した選択的な調整は、本発明の好ましい設計において、エレメントヘッドが、溝部及びクランピングリング及び/又はスタンピングリングの外側よりも、溝部の部分又は領域において、パンチシャフトの縦方向においてより大きな厚さを有することが反映される。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、円筒状のパンチシャフトの軸径に対するエレメントヘッドのヘッド直径の比は、2以上である。また、クランピングリングの外径D40に対するパンチシャフトの軸径D10は、約0.5D40≦D10≦0.8D40であることが好ましい。別の好ましい実施形態によれば、パンチシャフトは、3mm≦D10≦5mmの範囲、好ましくは4mmの軸径D10を有する。エレメントヘッドは、7mm≦D30≦12mmの範囲、好ましくは10mmのヘッド直径D30を有する。クランピングリングは、4mm≦D40≦10mmの範囲、好ましくは8mmのリング直径D40を有する。さらに、エレメントヘッドは好ましくは、0.8mm≦H30≦1.8mmの範囲、好ましくは1.2mmで、溝部又はリングのヘッド上面とヘッド下面との間に軸方向の厚さH30を有する。パンチシャフトは、1.6mm≦h10≦4mmの範囲、好ましくは2.9mm又は2mm又は1.7mmで、長さh10を有することが好ましい。また、本発明の別の好ましい実施形態によれば、クランピングリングは、ヘッド下面に対して、0.2mm≦H40≦0.6mmの範囲、好ましくは0.4mmの高さH40を有する。また、溝部は、0.2mm≦t50≦0.6mmの範囲、好ましくは0.3mmで、直近のクランピングリング又はスタンピングリングの高さと比較して、深さt50を有することが好ましい。本発明の別の好ましい実施形態によれば、クランピングリングは、0.15mm≦H40≦1mmの範囲、好ましくは0.5mmで、ヘッド下面に対して高さH40を有する。
【0030】
また本発明は、溶接補助ジョイント部品の別の好ましい実施形態を含む。この実施形態では、エレメントヘッドは、クランピングリングから少なくとも径方向外側の皿頭ヘッドとして形成される。皿頭ヘッドは、溝部又はリング外側のヘッド上面とヘッド下面との間に、0.3mm≦H30’≦0.8mmの範囲、好ましくは0.4mm≦H30’≦0.5mmで、径方向外側に向かって減少する軸方向厚さH30’を含む。さらに、自由軸端と径方向最外側のヘッド下面との間で測定されるパンチシャフトは、1.4mm≦h10’≦3mm、好ましくは1.4mm≦h10’≦2.2mm、さらに好ましくは1.4mm≦h10’≦1.6mmの範囲の長さh10’を有する。
【0031】
上述した溶接補助ジョイント部品に比べて、本実施形態は、皿頭ヘッドとの組合せによる構造高さが低い。これにより、設定工程後に要素表面から突出するエレメントヘッドの干渉輪郭を低減することが可能となる。皿頭ヘッドは、径方向外側に向かって、好ましくは連続的に減少するエレメントヘッドの厚さによって特徴付けられる。さらに、皿頭ヘッドと軸方向要素長さの補完性効果を達成するために、エレメントヘッドの高さは低くなるように選択される。また、薄い要素、又は要素内に深く打込まれる溶接補助ジョイント部品の要素設計に関しても、シャフトは上述の実施形態よりも短く形成される。このようにして、特に薄い要素では、エレメントヘッド及びエレメントシャフトの端部が、各々の要素表面からわずかに突出するだけであることが保証される。
【0032】
さらに、皿頭ヘッドを有する溶接補助ジョイント部品のクランピングリングは、0.2mm≦H40≦1mmの範囲内、好ましくは0.6mm、さらに好ましくは0.4mmのクランピングリングに近接するヘッド下面に対する高さH40を有する。従って、上述のように、皿頭ヘッドを有する要素のためのクランピングリングの幾何学的特性は、皿頭ヘッドを有さない要素の幾何学的特性に対応する。
【0033】
溶接補助ジョイント部品の別の好ましい実施形態によれば、溶接コンタクトゾーンは、溶接スタッドによって形成される。溶接スタッドは、パンチシャフトを越えて軸方向に突出し、パンチシャフトよりも小さい径方向範囲を有する。別の好ましい実施形態によれば、溶接コンタクトゾーンは、パンチシャフトを越えて軸方向に突出し、パンチシャフトと同じ径方向の広がりを有する凸状の溶接突起によって形成される。
【0034】
溶接補助ジョイント部品と第2の要素との間の溶接結合を確立するために、溶接コンタクトゾーンが第1の要素を超えて突出することが不可欠である。この幾何学的構成のために、溶接補助ジョイント部品と第2の要素との間に電気接触を確立することが可能である。そしてこの電気接触を用いて、抵抗溶接が行われる。パンチシャフト全体の径方向の広がりにおける溶接コンタクトゾーンが、結合生成溶接ナゲットの形成に不利であることが分かった。従って、溶接コンタクトゾーンは、パンチシャフトの外径よりも小さい径方向の範囲に設けられる。好ましい実施例によれば、溶接コンタクトゾーンは、溶接スタッド、すなわち、エレメントヘッドと反対向きに突出するこぶ又は突起部によって形成される。この突起部は、パンチシャフトよりも径方向の広がりが小さい。突起部は好ましくは、パンチシャフトの自由端の中央に配置される。抵抗溶接を支持する形状は、例えば、尖った、半球形、円錐形、又は円錐台形、ならびにピラミッド形又は角錐台形である。溶接スタッドは、並んで配置される複数の尖った突起部によって形成されることも可能である。
【0035】
上述の第2の代替案によれば、パンチシャフトの自由端は、丸みを帯び、エレメントヘッドから離れてアーチ状の形状を有する。このアーチは好ましくは、ボールセグメントの形状を有し、これに基づいて抵抗溶接を行うために、第2の要素との点状接触を確立する。溶接コンタクトゾーンの議論から分かるように、パンチシャフトの長さは、溶接コンタクトゾーンの開始まで測定される。この端部は好ましくは、パンチシャフトの円筒状側面の端部と等しいと考えられる。従って、溶接接触ゾーン又は溶接接触エリアは、パンチシャフトの長さを超えて突出する。溶接コンタクトゾーンを含むパンチシャフトの全長を考慮することも好ましい。
【0036】
別の好ましい実施形態によれば、エレメントヘッドは好ましくは、溝部の部分又は領域において、クランピングリングとパンチシャフトとの間の径方向部分又は領域におけるよりも、リング面の部分又は領域における方が、より小さい軸方向厚さを有する。この好ましい設計によって、クランピングリングによって変位される材料に起因して、パンチシャフトにおけるクランプ力を増加させることも可能である。これは、クランピングリングとパンチシャフトとの間の径方向部分又は領域における、より小さい軸方向厚さが、変位された材料が受入れられる容積を減少させるためである。従って、変位した材料はより強く圧縮され、パンチシャフトでのクランプ力は増加する。
【0037】
さらに、パンチシャフトに隣接し、クランピングリングに隣接して径方向外側にあるエレメントヘッドの選択的な厚さ設計により、せん断荷重に対するより高い安定性が保証される。せん断荷重はパンチ軸に垂直に作用する。これは、例えば、溶接補助ジョイント部品がセットされた要素が、溶接補助ジョイント部品が溶接された、互いに隣接する要素の隣接面に沿って、第2の要素に対して移動されるときに発生する。このせん断荷重の間、クランピングリングの径方向内側に配置されたエレメントヘッドの厚い部分は、クランピングリングの径方向外側に配置されたエレメントヘッドの厚い部分で、追加の安定化の支持を提供する。エレメントヘッドのこれらの階段状の厚みによって、好ましくは、溶接補助ジョイント部品と、隣接する要素との間の結合は強化され、それは好ましくは、アルミニウム、合金、プラスチック、積層体、又は複合材料などの溶接不適材料から成る要素である。
【0038】
本発明は、その好ましい実施形態の1つにおいて、第1の要素と上述の溶接補助ジョイント部品との要素複合体、又は要素アセンブリをさらに含む。好ましくは、要素は、アルミニウム又はプラスチックのような溶接不適材料で作られる。溶接補助ジョイント部品は、損失に耐え得る態様(loss-proof manner)でそれに固定されるように、要素内に圧入される。これは、別の処理位置への輸送の直後又は後に、要素複合体をさらに処理する可能性を開く。別の好ましい実施形態によれば、本発明は、溶接結合によって第2の要素に結合された溶接補助ジョイント部品への第1の要素の結合を含む。
【0039】
さらに、本発明は、上述した好ましい実施形態の一つに従った、少なくとも第1の要素と溶接補助ジョイント部品との要素複合体の製造方法を開示する。製造方法は好ましくは、上述の溶接補助ジョイント部品を用いて、車体を製造するのに役立つ。上述の製造方法は、好ましくは溶接不適材料からなる第1の要素を提供するステップと、溶接補助ジョイント部品を第1の要素内にほぼ回転自由に圧入し、パンチシャフトが要素を完全に貫通するようにするステップとを含む。溶接コンタクトゾーンは、エレメントヘッドから見て外向きに要素側を越えて突出し、エレメントヘッドは、エレメントヘッドに面する要素側に当接し、それによってクランピングリングは、対向する要素側に圧入される。
【0040】
第1の要素と第2の要素との間に溶接結合を確立可能にするために、第1の要素には、上述の溶接補助ジョイント部品が設けられる。この目的のために、第1の要素は、上述の溶接補助ジョイント部品を、この要素内に圧入可能に設けられる。好ましくは、第1の要素は、溶接不能、又は溶接不適材料で作られる。この場合、導電性溶接補助ジョイント部品は、次いで、溶接不能又は溶接不適材料で作られた第1の要素であっても、抵抗溶接方法を生成可能な基礎を形成する。実際に、第1の要素を第2の要素に永久的に溶接可能にするために、溶接補助ジョイント部品は、第1の要素に永久的に固定される。この目的のために、機械的な圧力が溶接補助ジョイント部品のエレメントヘッドに加えられ、パンチシャフトが第1の要素内に圧入される。その結果、パンチシャフトは、第1の要素を完全に貫通する。従って、エレメントヘッドから見て外向きの第1の要素の要素側の溶接コンタクトゾーンは、この要素側を越えて突出する。圧入の間、クランピングリングが第1の要素内に圧入されるように、エレメントヘッドのヘッド下面は、エレメントヘッドに面する要素側にも押圧される。このようにして開始されたパンチシャフトの方向に径方向内側に向かう材料の流れは、第1の要素の変位された材料によって、パンチシャフトのクランプを確実にする。
【0041】
本発明によれば、製造方法は、溶接補助ジョイント部品を有する第1の要素を、第2の要素の上方に配置し、パンチシャフトの溶接コンタクトゾーンと第2の要素との間に電気接触を確立可能にするステップと、溶接補助ジョイント部品と第2の要素との抵抗溶接をするステップとをさらに含むことが好ましい。
【0042】
さらに、本発明の製造方法は、溶接補助ジョイント部品が、圧入後に第1の要素内に損失に耐え得る態様で固定されることが好ましい。これに基づき、溶接補助部品を有する第1の要素は、半完成品として存在し、現場で、中間貯蔵後、又はその間に行われた輸送後の別の場所で、さらに処理可能である。従って、製造方法は好ましくは、圧入の製造位置において、及び/又は圧入後又は圧入の製造位置から抵抗溶接のための加工位置までの輸送後の半完成品の中間貯蔵後に、半完成品を第2の要素に抵抗溶接することも含む。
【0043】
上記の好ましい方法のステップから分かるように、要素複合体の製造方法は、第2の要素との実際の結合の準備において高い柔軟性を提供し、第2の要素との結合の構成においてさらなる柔軟性を提供する。これは、第1の要素と溶接補助ジョイント部品からなる半完成品が、要素複合体の本質的な基礎を形成する一方で、この要素複合体が、抵抗溶接方法によって、どこでも実現可能だからである。これは、溶接補助ジョイント部品を有する第1の要素が、現場で、又は好ましくは溶接可能材料からなる第2の要素、又は溶接補助ジョイント部品を備えた公知の抵抗溶接方法を使用して、必要な輸送後に、任意の他の場所で容易に製造可能だからである。
【0044】
本発明の要素複合体の製造方法のさらに好ましい実施形態によれば、クランピングリングを第1の要素に圧入することによって、第1の要素の材料部分が径方向内側に変位し、その結果、パンチシャフトは変位した材料によってクランプされる。
【0045】
また、本発明は、溶接補助ジョイント部品の製造方法を含む。この製造方法において、棒の外形は、好ましくは冷間成形又は冷間圧延によって、溶接補助ジョイント部品の幾何学的形状に形成され、続いて、溶接補助ジョイント部品は、棒の外形から所定の長さに切断される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0047】
図1】本発明の溶接補助ジョイント部品の好ましい実施形態の部分断面図である。
図2図1の丸で囲まれた部分の断面拡大図である。
図3】皿頭ヘッドを有する溶接補助ジョイント部品の別の好ましい実施形態の部分断面図である。
図4図3の丸で囲まれた部分の断面拡大図である。
図5】第1及び第2のクランピングリングを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい実施形態の断面拡大図である。
図6】第1及び第2のクランピングリングを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図7】その径方向外側に配置されたクランピングリング、及びスタンピングリングを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図8】クランピングリングと、それに対して径方向外側に配置されたスタンピングリングとを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図9】その半径方向外側に配置されたスタンピングリング及びクランピングリングを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図10】スタンピングリングと、それに対して径方向外側に配置されたクランピングリングとを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図11】第1及び第2のクランピングリングと、それに対して径方向外側に配置されたスタンピングリングとを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図12】第1及び第2のクランピングリングと、それに対して径方向外側に配置されたスタンピングリングとを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図13】径方向内側に配置されたクランピングリングと、それに対して径方向外側に配置されたスタンピングリングと、スタンピングリングに対して径方向外側に配置されたさらなるクランピングリングとを有する、エレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図14】径方向内側に配置されたクランピングリングと、それに対して径方向外側に配置されたスタンピングリングと、径方向外側に配置されたさらなるクランピングリングとを有するエレメントヘッドの下面の設計の別の好ましい実施形態である。
図15】径方向内側に配置されたスタンピングリングを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図で、径方向外側に配置された2つのクランピングリングによって取囲まれている。
図16】径方向内側に配置されたスタンピングリングと、それを取囲む2つのクランピングリングとを有するエレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
図17】径方向内側に配置されたスタンピングリングと、径方向外側に配置されたさらなるスタンピングリングと、2つのスタンピングリングの間に配置されたクランピングリングとを有する、エレメントヘッドの下面の設計の別の好ましい実施形態の断面拡大図である。
図18】径方向内側に配置された第1のスタンピングリングと、径方向外側に配置された第2のスタンピングリングと、スタンピングリング間に配置されたクランピングリングとを有する、エレメントヘッドの下面の別の好ましい設計の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明に従った溶接補助ジョイント部品1の好ましい実施形態を示す部分断面図である。溶接補助ジョイント部品1は、使用される溶接方法に応じて選択される公知の溶接可能材料で作られる。好ましく使用される抵抗点及び突起溶接に関しては、合金鋼が好適である。しかし、他の材料もここで使用してもよい。
【0049】
溶接補助ジョイント部品1は、溶接補助ジョイント部品1の縦軸線Lに平行に延びるパンチシャフト10を備える。パンチシャフト10は、第1の要素A内にほぼ回転自由で、圧入又はパンチされるように設計されている。溶接補助ジョイント部品1は、セルフパンチであるため、溶接補助ジョイント部品1は、予めパンチされていない要素にも、予めパンチされた要素と同様に、圧入又はパンチ可能である。従って、溶接補助ジョイント部品1は、要素Aへの時間節約と信頼性の高い結合を確実にするために、固いパンチリベットとして構成されることが好ましい。従来技術で固いパンチリベットが公知であるように、固いパンチリベットのために使用される設定工具を、溶接補助ジョイント部品1の設定に使用してもよい。
【0050】
図1の模式図から分かるように、溶接補助ジョイント部品1は、その縦軸線Lを中心に回転対称に形成されることが好ましい。ここで、パンチシャフト10は円筒形状を有し、好ましくは、直径D10は3mm≦D10≦8mm、好ましくは4mm≦D10≦5mmの範囲内、さらに好ましくはD10=4mm又はD10=5mmである。円筒形状は、滑らかな側面12によって特徴付けられる。本発明によれば、側面12は、縦軸線Lに対して横方向に延びる保持リブ又は保持リング(図示せず)を有することが好ましい。この保持リブ又は保持リングは、要素開口部内のパンチシャフト10の固定を支持する。パンチシャフト10の円筒形状の代替として、後者は、結合方向に拡張する円錐台の形状を有する。また、パンチシャフト10は、断面が回転対称に成形されていないことが好ましい。これにより、要素Aと溶接補助ジョイント部品1との相対的回転に対する形状嵌合が実現される。
【0051】
パンチシャフト10は、その自由軸端部に溶接コンタクトゾーン60を備える。溶接コンタクトゾーン60は、好ましい抵抗溶接中に溶接されるべき第2の要素との電気接触を確立するために、パンチシャフト10の長さl10を越えて延びる。溶接コンタクトゾーン60の設計を、以下により詳細に説明する。
【0052】
エレメントヘッド30は、パンチシャフト10の第2軸端部に設けられ、パンチシャフト10と一体に形成される。エレメントヘッド30は、好ましくは平坦な方法で形成されるヘッド上面32を備える。また、それは、溶接補助ジョイント部品1を要素A内に圧入するパンチ(図示せず)の接触面としても機能する。
【0053】
パンチシャフト10に隣接して、エレメントヘッド30はヘッド下面34を備える。ヘッド下面34は、円周面36を介してヘッド上面32に結合される。円周面36は好ましくは、エレメントヘッド30の円筒状側面を形成する。従って、それは、エレメントヘッド30の直径を規定し、エレメントヘッド30の輪郭に沿って延びる。エレメントヘッド30の直径D30は、7mm≦D30≦12mmの範囲内、好ましくはD30=10mmであることが好ましい。さらにその好ましい高さH30は、0.8mm≦H30≦1.8mmの範囲内であり、好ましくはH30=1.2mmである。パンチシャフト10に対して、エレメントヘッド30は、D30≧1.4・D10の直径を有する。
【0054】
有利であれば、円周面36の形状も異なっていてもよい。例えば、エレメントヘッド30が皿頭ヘッドとして形成される場合、それは円錐台の側面の形状を有してもよい。ヘッドの上面32が、下面34に直接移行する丸いヘッドを形成する場合、それを完全に省略することも可能である。
【0055】
また、エレメントヘッド30は、図1に示す円筒形状に代えて、円錐台形状、角錐台形状、多面体形状であることが好ましい。しかし、結合装置の好ましい結合手段では、円周面36が支持案内面となるため、結合装置を用いた設定工程には、円筒形状が有利である。
【0056】
クランピングリング40は、エレメントヘッド30のヘッド下面34で、縦軸線L及びパンチシャフト10に対して同心に配置される。クランピングリング40は好ましくは、ヘッド下面34から軸方向に突出する。好ましい実施形態によれば、1つのクランピングリング40のみが、そうでなければ平坦なヘッド下面34に設けられる。これにより、径方向内側及び径方向外側の妨げられない径方向の材料の流れが確保され、それは、さらなるクランピングリング又はスタンピングリングによって、方向転換又は遮断されない(以下を参照)。
【0057】
好ましくは、クランピングリング40は、図2の破線から分かるように、三角形の断面形状を有する。図2は、図1の丸で囲まれた部分の断面拡大図を示す。
【0058】
クランピングリング40の断面形状は、径方向内リング面42と径方向外リング面44とによって規定される。リング面42,44は、ヘッド下面34と組合わせて、クランピングリング40の好ましい三角形の断面形状を規定する。クランピングリング40は、パンチシャフト10の円周面12から、第1の径方向距離で配置されており、これについては、以下でより詳細に説明する。クランピングリング40は、ヘッド下面34の一部を形成するリング面38によって径方向外側に囲まれている。リング面38は、縦軸線Lに対して平坦かつ垂直に形成されることが好ましい。さらに、リング面38は円周面36に移行し、これによって、ヘッド下面34とヘッド上面32とが互いに結合される。
【0059】
プラスチック又はアルミのような溶接不適材料からなる第1の要素Aを、溶接可能な材料からなる第2の要素に溶接可能にするために、溶接補助ジョイント部品1は、第1の要素Aにプレス又はパンチされる。要素Aの好ましい厚さDは、0.8mm≦D≦3mmの範囲内、好ましくはD=1.5mmである。このために、第1の要素Aは、好ましくは中央開口部(図示せず)を有するダイス型上でそれ自体を支持する。可能な限り設定工程を簡素化するために、溶接補助ジョイント部品1は、回転することなく、第1の要素A内に圧入される。このため、パンチの設定はヘッド上面32に結合力を与え、まずパンチシャフト10で、溶接補助ジョイント部品1を要素A内に圧入する。従って、開口部が要素A内に作られ、ヘッドから見て外向きの要素A側の溶接コンタクトゾーン60が、この要素側を越えて突出する(図1参照)。従って、パンチシャフト10の長さh10は、要素Aの厚さDに適合される。従って、パンチシャフト10の長さh10は、1.1D≦h10≦2D、好ましくは1.4D≦h10≦1.8Dであることが好ましい。パンチシャフト10の長さh10は、1.6mm≦h10≦4mmの範囲内、特にh10=2mmであることが好ましい。さらに、エレメントヘッド30は、0.5D≦H30≦2Dの要素厚さDに対して、好ましい高さH30を有し、好ましくはH30=Dが適用される。
【0060】
設定工程の間、溶接補助ジョイント部品1は、少なくともリング面38を有するヘッド下面34が、ヘッドに面する要素側に当接するまで、要素A内に圧入される。また、エレメントヘッド30の一部が要素A内に受入れられるように、エレメントヘッド30を要素A内により深く圧入することが好ましい。この設定工程の間、クランピングリング40も要素A内に圧入される。
【0061】
好ましくは、径方向内リング面42は、側面12又は縦軸線Lに対して傾斜した角度αで配置される。リング面42は、円周面12に対して角度α<90°で配置されるので、リング面42は、要素A内に圧入されるとき、要素Aの材料を、パンチシャフト10の方向に変位させる。特に、変位された要素材料の径方向部分は、機械的な径方向応力によって、パンチシャフト10を押圧し、付加的なクランプ効果、及び要素Aにおけるパンチシャフト10の保持力を提供する。好ましくは、クランプ効果は、径方向内側に向けられた材料の変位が増加するにつれて増加する。従って、リング側面42は、10°≦α≦70°の角度範囲内で配置されることが好ましく、さらに好ましくは40°≦α≦60°、特にα=45°、又はα=50°である。
【0062】
好ましいクランプ効果は、パンチシャフト10の方向に変位された材料容積と共に増加する。材料容積の量は、ヘッド下面34を越えて突出するクランピングリング40の容積によって決定される。従って、変位された材料容積を形成する目的のために、クランピングリング40の高さH40を変化させることが好ましい。クランピングリング40の高さH40は、クランピングリング40がヘッド下面34を越えて最大限に突出する間隔を示す(図1参照)。クランピングリング40は、0.2mm≦H40≦0.6mmの範囲内の高さH40を有するのが好ましく、好ましくはH40=0.4mmである。
【0063】
さらに好ましい実施形態によれば、クランピングリング40は、0.15mm≦H40≦1mmの範囲内、好ましくはH40=0.5mmの高さH40を有する。この高さの変化により、クランピングリングは、前述の実施形態と比較して、より大きなシート厚及びより小さなシート厚の両方に柔軟に適応可能である。
【0064】
さらに、パンチシャフト10の周囲に同心円状に延びるクランピングリング40は、4mm≦D40≦10mmの範囲内の好ましい外径D40を有し、好ましくはD40=8mmである。好ましくはその寸法に適合させた要素Aに関して、クランピングリング40について、0.2・D≦H40≦0.5D、及び3・D≦D40≦10・Dが適用される。パンチシャフト10に関しては、好ましくは0.5・D40≦D10≦0.8・D40が適用される。
【0065】
好ましいクランプ効果は、パンチシャフト10に対して径方向内側に押圧される要素Aの変位材料によって決定される。このために、変位された材料は好ましくは、側面12と内リング側面42との間の中間空間50内に押込まれなければならない。この中間空間50は好ましくは、エレメントヘッド30の方向にアーチ状に形成された溝部とも呼ばれる。
【0066】
この中間空間50を減少させ、従って変位された材料によるクランプ効果を増加させるために、中間空間50はベース52を有する。ベース52は、側面12とリング側面42とを相互に結合させる面セグメントである。好ましくは、ベース52は、溶接コンタクトゾーン60の方向に軸方向にオフセットに配置される。これにより、ベース52は、リング面38及びヘッド下面36に対して、設定方向に突出する。このようにして、径方向内側に変位した材料を受入れるための空間が選択的に減少され、パンチシャフト10におけるクランプ効果が改善されることが好ましい。好ましくは、隣合うクランピングリング40の最高点に対する溝部50の深さt50図1参照)は、0.2mm≦t50≦0.4mmの範囲内であり、好ましくはt50=0.3mmである。また、ヘッド下面34に対するクランピングリング40の高さH40に対する溝部50の深さt50を規定することが好ましい。従って、0.6・H40≦t50≦1・H40が適用される。
【0067】
溶接補助ジョイント部品1を要素A内で安定させるために、径方向外リング面44は、リング面38に対して70°≦β≦110°の範囲内の角度βで配置される。角度βの大きさにより、リング側面44は、ほぼ設定方向に延びる。このようにして、リング面44は、要素Aにおける溶接補助ジョイント部品1のために径方向の安定性を作り出す。
【0068】
クランピングリング40の断面形状、及び角度α及びβの大きさを参照すると、断面形状はほぼ直角三角形を含むことが特に好ましい。従って、角度βは90°に等しいことが好ましい。この三角形の形状の斜辺は、有利な材料の流れを径方向内側に生じさせるために、パンチシャフト10に面している。
【0069】
さらに、要素A内での溶接補助ジョイント部品1の固定は、溝部50の形状の影響を受けることが好ましい。溝部50の外側の境界壁面が、一方ではクランピングリング40の斜めに傾斜した側面42によって形成され、他方ではパンチシャフト10の垂直断面部v50によって形成されることが好都合であり、従って好ましいことが証明されている。垂直断面部v50は、エレメントヘッド30に垂直に、又は溶接補助ジョイント部品1の縦軸線Lに平行に延びるパンチシャフト10の側面の断面である。連結する曲線状の連結部分又は領域、好ましくは円弧が、クランピングリング40の垂直断面部v50と斜辺42との間で始まるまで、この断面部は、クランピングリング40の高さで始まり、エレメントヘッド30の方向に延びる(図2参照)。好ましくは、要素Aにおける溶接補助ジョイント部品1の支持体は、垂直断面部v50の大型化に伴って支持される。従って、垂直断面部v50は、0≦v50≦0.3t50の大きさを有し、好ましくはv50=0.1t50又はv50≧0.2t50である。
【0070】
溶接補助ジョイント部品1を保持できればよい場合、リベットベース52での曲線状延出部のみによって、溝部52が形成される。この場合、曲線部は、クランピングリング40の位置又は高さで終わるので、本発明の本実施形態では垂直断面部v50は使用されない。
【0071】
さらに、上述の垂直断面部v50は、40°≦γ≦60°の範囲、好ましくはγ=50°の角γで、曲線のリベットベース52に移行することが好ましい。
【0072】
エレメントヘッド30の反対側で、溶接コンタクトゾーン60が、パンチシャフト10に配置される。本発明の好ましい実施形態によれば、溶接コンタクトゾーン60は、パンチシャフト10から軸方向に突出する溶接スタッドの形状、又は溶接突起部の形状を有する。これらは、パンチシャフト10よりも小さい直径を有する。さらに、それらは、第2の要素との点接触を確立するために、アーチ状の、ほとんど丸みを帯びた形状を有する。
【0073】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、溶接コンタクトゾーン60は、パンチシャフト10の凸状の軸方向端部として形成される。この凸状の端部は、パンチシャフト10の結合方向の端部において円弧状にアーチ状になっている。また、この成形は、好ましい抵抗溶接のために、十分な、好ましくは点状の接触面に、第2の要素を提供する。もちろん、この位置で形成された先端を使用することも可能である。
【0074】
溶接補助ジョイント部品1’の別の好ましい実施形態を、図3及び図4に示す。この実施形態では、上述した要素幾何形状についての同じ参照符号は、同じ特徴も示す。従って、上述のこれらの幾何学的特徴は、本明細書に記載される要素幾何学に移し変えられてもよい。
【0075】
溶接補助ジョイント部品1’は、エレメントヘッド30’として皿頭ヘッドを含む。エレメントヘッド30’のヘッド下面34’は、好ましくはクランピングリング40から始まるその過程で、径方向外側に傾斜して配置される。傾斜は、シャフトから離れる方向に存在する。従って、エレメントヘッド30’の高さH30’は、円周面36まで径方向外側に縮小される。
【0076】
皿頭ヘッドの幾何学的形状は、設定工程中に、エレメントヘッド30’を要素内に下降させることを可能にする。このようにして、エレメントヘッド30’の干渉輪郭は、結合工程後に減少する。好ましくは、エレメントヘッド30’は、要素内に設定した後、要素表面から0.4mm未満突出する。さらに、要素とエレメントヘッド30’の下面34’との間の接触面の大きさは、好ましくは増加される。これにより、後の溶接工程中に、要素と要素との間のより大きな接触面を介して、熱を伝達する可能性が可能になる。これは、選択的な要素の加熱を支持するか、又は熱による要素と要素との間のより小さな接触部分又は領域の、要素の損傷を低減することが可能となる。
【0077】
好ましい皿頭ヘッドの形状のために、エレメントヘッド30’は、ヘッド上面32とヘッド下面34’との間に、径方向外側に向かって減少する軸方向厚さH30’を有する。溝部50又はクランピングリング40の外側で、エレメントヘッド30’の軸方向厚さH30’は、0.3mm≦H30’≦0.8mmの範囲内であるのが好ましく、0.4mm≦H30’≦0.5mmであるのが好ましい。
【0078】
さらに、自由軸端と径方向最外側のヘッド下面34’との間で測定されるパンチシャフト10は好ましくは、1.4mm≦h10’≦3mmの範囲内、好ましくは1.4mm≦h10’≦2.2mm、さらに好ましくは1.4mm≦h10’≦1.6mmの長さh10’を有する。皿頭ヘッド30’と組合わせたこの幾何学的設計は、設定溶接補助ジョイント部品1’の低減された干渉輪郭、及び/又は薄い要素における可変の利用可能性を支持する。
【0079】
好ましくは、クランピングリング40は、0.2mm≦H40≦1mmの範囲内、好ましくは0.6mm、特に0.4mmで、径方向外側にクランピングリング40に直接隣接するヘッド下面34’に対して、高さH40を有する。
【0080】
図5及び図6に、エレメントヘッド30の下面34のさらに好ましい設計を示す。特に、図5及び図6は、エレメントヘッド30の一部の断面拡大図を示す。上述した溶接補助ジョイント部品1の好ましい実施形態によれば、1つのクランピングリング40のみを使用することが有利である。径方向内側に向けられた材料応力のクランプ効果を増大させるために、内側クランピングリング40を取囲む外リングが、ヘッド下面34に配置されることが好ましい。図5及び図6の好ましい実施形態では、この外リングもまた、クランピングリング40’の構成を有する。また、図7及び図8の実施形態において一例として示されるように、この外リングをスタンピングリング70として設計することも好ましい。
【0081】
外リングがクランピングリング40’の構造を有する場合、クランピングリング40について上述したのと同じ幾何学的特徴、機能的特性、及び設計原理が適用される。クランピングリング40’は、クランピングリング40の周囲に同心円状に配置されることが好ましい。さらに、クランピングリング40’は、パンチシャフト10の周囲に連続的に延びるか、又は一定の間隔で中断される。図5の好ましい実施形態によれば、外側に径方向に配置されたクランピングリング40’は、円周面36から径方向内側に離間している。その結果、クランピングリング40’によって変位された材料は、結合方向に対して妨げられずに流れ出ることができない。代わりに、それはエレメントヘッド30の下面34によって遮断され、さらなるクランプ効果を引き起こし、従って、要素Aの材料における溶接補助ジョイント部品の固定を引起こす。
【0082】
また、エレメントヘッド30の径方向外側に、最終点としてさらなるクランピングリング40’を配置することが好ましい。従って、径方向外リング面44は、次いで、円周面36内に移行する。この構成により、溶接補助ジョイント部品1を取囲む要素Aの材料内に、径方向外側に向かって妨げられない材料変位が可能となる。
【0083】
図7及び図8の好ましい実施形態から分かるように、クランピングリング40に加えて設けられた外リングは、代替的に、スタンピングリング70の構成を有する。スタンピングリング70は好ましくは、その断面に対して一様に又は軸対称に成形される。このことから、材料変位は好ましくは、径方向外側と同じ程度に、径方向内側に発生することになる。結合工程の間、スタンピングリング70は要素A内に圧入される。圧入されたスタンピングリングは、外部から侵入する材料又は汚れに対して、また、例えば内部から外部への結合時に発生するガスに対しても、結合位置の密封として作用する。さらに、スタンピングリング70とクランピングリング40との隣接配置は、材料が径方向外リング面44とスタンピングリング70との間で圧縮されるという利点を有する。これにより、要素Aにおける溶接補助ジョイント部品の保持と、スタンピングリング70による密封とが支持される。
【0084】
スタンピングリング70の効果を高めるために、それは、エレメントヘッド30の下面34での円周面36に対して、径方向内側に配置されることが好ましい。妨げられない材料の変位が、径方向外側及び結合方向に対して許容され得る場合、スタンピングリング70を円周面36に直接隣接して配置することも好ましい(図6参照)。
【0085】
例えば、ガスの漏れに対して、又は汚染物の侵入に対して、結合位置又は場所を特に保護する必要がある場合、スタンピングリング70が、パンチシャフト10に直接近接して配置されることが好ましい。この点に関し、図9及び図10に、溶接補助ジョイント部品1の好ましい設計を示す。スタンピングリング70は、周囲のクランピングリング40内に各々配置される。クランピングリング40の効果をさらに有利かつ好適に使用するために、クランピングリング40は、材料の変位が、スタンピングリング70に対して径方向内側に生じるように構成される。次いで、スタンピングリング70の側面、特にスタンピングリング70の径方向外側側面は、好ましくは、スタンピングシャフト10の側面の機能を引継ぐ。従って、溶接補助ジョイント部品1は次に、径方向内側に作用する機械的応力又は張力によって、スタンピングリング70に対して保持される。
【0086】
図11及び12は、エレメントヘッド30の下面34の設計のさらなる好ましい実施形態を示す。特に、ここでは、図5の好ましい実施形態を、追加の径方向外側に配置されたスタンピングリング70を有する2つのクランピングリング40、40’と組合わせた。この径方向外側に配置されたスタンピングリング70は、図7及び図8の好ましい実施形態と同様に、径方向内側に円周面36から離れて、又は円周面36に直接隣接して配置される。スタンピングリング70は、連続的に形成されるか、又は規則的に中断されて形成され、好ましくは、外部への結合位置の密封を確実にする。
【0087】
図13及び図14の実施形態は、図7の好ましい実施形態に基づいている。ここで、スタンピングリング70における追加のクランプ効果を達成するために、追加の外リングが、既存のクランピングリング40及びスタンピングリング70に対して配置された。この外リングは、追加のクランピングリング40’の形状及び構成を有する。これに対応して、このクランピングリング40’は、径方向内側に向けられた追加の材料の流れを発生する。これは、スタンピングリング70の径方向外側に対して作用する追加の径方向応力を生じさせる。図5及び図6の好ましい設計のように、径方向外側クランピングリング40’は、円周面36から距離を置いて径方向内側に配置される(図13参照)。また、図12に見られるように、外側に径方向に配置されたクランピングリング40’は、円周面36内に直接移行することが好ましい。
【0088】
図16及び図17に示されるエレメントヘッド30の下面32の好ましい実施形態は、図9の好ましい実施形態と、径方向外側に配置された別のクランピングリング40’との組合わせを示す。径方向外側に配置されたこのクランピングリング40’は、クランピングリング40による材料変位によってすでに達成されているクランプ効果を増大させる。これにより、追加のクランピングリング40’は、材料を、クランピングリング40の径方向外リング面44に対して、径方向内側に変位させる。径方向外側クランピングリング40’は、図16に示されるように、円周面36から距離を置いて径方向内側に配置されることが好ましい。また、図17に示されるように、径方向外側に配置されるクランピングリング40’は、円周面36に直接隣接して配置されることが好ましい。
【0089】
上述の実施形態に関して強調したのと同様に、径方向外側に配置された追加のクランピングリング40’は、連続した円周形状を有しているか、又は一定の間隔で中断されるように設けられる。
【0090】
図17及び18は、図9の好ましい実施形態と、径方向外側に配置された別のスタンピングリング70’との組合わせを示す。外側に径方向に配置されたこの追加のスタンピングリング70’は、径方向内側に配置されたスタンピングリング70’に、追加で相補的な密封効果を提供する。また、径方向外側に配置されたスタンピングリング70’は、連続的に設けられるか、規則的に中断されて設けられることが好ましい。さらに、図18に示されるように、スタンピングリング70’を、円周面36から距離を置いて径方向内側に配置することが好ましい。図18に示されるさらなる好ましい実施形態によれば、径方向外側に配置されたスタンピングリング70’は、円周面36に直接隣接して配置される。
【符号の説明】
【0091】
1 溶接補助ジョイント部品、10 パンチシャフト、12 側面、30,30' エレメントヘッド、32 ヘッド上面、34,34' ヘッド下面、36 円周面、38 外リング面、39 内リング面、40 クランピングリング、42 内リング面、44 外リング面、50 中間空間,溝部、52 ベース、60 溶接コンタクトゾーン、L 縦軸線、A 第1の要素、70,70' スタンピングリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18