(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】温度センサを含む誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20220207BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20220207BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20220207BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/51
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2021504828
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2020067932
(87)【国際公開番号】W WO2021001266
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【審査官】山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/122428(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/105896(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/195335(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0325179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を加熱するように構成された誘導加熱装置のサセプタの温度を測定するための方法であって、前記誘導加熱装置が、
-前記誘導加熱装置によって加熱可能な前記エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティと、
-変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成された前記少なくとも1つのインダクタコイルと、
-少なくとも1つのサセプタが前記変動する磁場の貫通によって加熱可能であり、前記少なくとも1つのサセプタが前記エアロゾル形成基体を加熱するように構成されるように、前記少なくとも1つのインダクタコイルに対して配設された前記少なくとも1つのサセプタと、
-少なくとも1つの温度センサと、を含み、
前記方法が、
-前記少なくとも1つのサセプタと熱接触する前記少なくとも1つの温度センサを提供することと、
-前記変動する電流が前記少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れないときに、前記少なくとも1つのサセプタの前記温度を測定することと、を含む、方法。
【請求項2】
-前記変動する電流が前記少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、前記少なくとも1つのサセプタの前記温度を測定することを回避することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの温度センサが、熱電対である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの温度センサが、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤを含む、熱電対であり、前記第1の熱電対ワイヤが、第1の近位端から第1の遠位端まで延在しており、前記第2の熱電対ワイヤが、第2の近位端から第2の遠位端まで延在しており、前記第1の近位端が、前記第2の近位端に接合されており、それによって接合部が形成され、前記接合部が、前記少なくとも1つのサセプタと熱接触している、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接合部が、溶接点によって前記少なくとも1つのサセプタと熱接触している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の熱電対ワイヤおよび前記第2の熱電対ワイヤが、約5マイクロメートル~約100マイクロメート
ルの直径を有する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の熱電対ワイヤが、第1の電気絶縁層によって取り囲まれており、前記第2の熱電対ワイヤが、第2の電気絶縁層によって取り囲まれており、前記第1および第2の電気絶縁層が、約2マイクロメートル~約10マイクロメートルの厚さを有する、請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の電気絶縁層および前記第2の電気絶縁層が、パリレンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのサセプタが、前記少なくとも1つのサセプタを前記第1の熱電対ワイヤおよび前記第2の熱電対ワイヤから断熱するように配設された熱絶縁体を含む、請求項4~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の熱電対ワイヤが、クロメルを含み、前記第2の熱電対ワイヤが、アルメルを含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの温度センサが、抵抗性温度装置であり、前記抵抗性温度装置は、抵抗素子の抵抗が、前記抵抗素子の温度が増加するときに増加するような、前記抵抗素子を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記抵抗性温度装置の前記抵抗素子が、白金を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
-前記少なくとも1つのインダクタコイルが、第1のインダクタコイルおよび第2のインダクタコイルを含み、前記第1のインダクタコイルが、第1の変動する電流が前記第1のインダクタコイルを通って流れるときに第1の変動する磁場を生成するように構成されており、前記第2のインダクタコイルが、第2の変動する電流が前記第2のインダクタコイルを通って流れるときに第2の変動する磁場を生成するように構成されており、
-前記少なくとも1つのサセプタが、第1のサセプタおよび第2のサセプタを含み、前記第1のサセプタが、前記第1のサセプタが前記第1の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、前記第1のインダクタコイルに対して配設されており、前記第2のサセプタが、前記第2のサセプタが前記第2の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、前記第2のインダクタコイルに対して配設されており、前記第1のサセプタおよび前記第2のサセプタが、前記エアロゾル形成基体を加熱するように構成されており、
前記方法が、
-前記第1のサセプタと熱接触する前記少なくとも1つの温度センサを提供することと、
-前記第1の変動する電流が前記第1のインダクタコイルを通って流れないときに、前記第1のサセプタの前記温度を測定することと、をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
-前記第1の変動する電流が前記第1のインダクタコイルを通って流れるときに、前記第1のサセプタの前記温度を測定することを回避することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの温度センサが、第1の温度センサおよび第2の温度センサを含み、前記方法が、
-前記第1のサセプタと熱接触する前記第1の温度センサを提供することと、
-前記第1の変動する電流が前記第1のインダクタコイルを通って流れないときに、前記第1のサセプタの前記温度を測定することと、
-前記第2のサセプタと熱接触する前記第2の温度センサを提供することと、
-前記第2の変動する電流が前記第2のインダクタコイルを通って流れないときに、前記第2のサセプタの前記温度を測定することと、を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
-前記第1の変動する電流が前記第1のインダクタコイルを通って流れるときに、前記第1のサセプタの前記温度を測定することを回避することと、
-前記第2の変動する電流が前記第2のインダクタコイルを通って流れるときに、前記第2のサセプタの前記温度を測定することを回避することと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
誘導加熱装置であって、
-前記誘導加熱装置によって加熱可能なエアロゾル形成基体を受容するためのキャビティと、
-変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成された前記少なくとも1つのインダクタコイルと、
-少なくとも1つのサセプタが前記変動する磁場の貫通によって加熱可能であり、前記少なくとも1つのサセプタが前記エアロゾル形成基体を加熱するように構成されるように、前記少なくとも1つのインダクタコイルに対して配設された前記少なくとも1つのサセプタと、
-第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤを含む、熱電対であって、前記第1の熱電対ワイヤが、第1の近位端から第1の遠位端まで延在しており、前記第2の熱電対ワイヤが、第2の近位端から第2の遠位端まで延在しており、前記第1の近位端が、前記第2の近位端に接合されており、それによって接合部が形成され、前記接合部が、前記少なくとも1つのサセプタと熱接触している、熱電対と、を含み、
前記第1の熱電対ワイヤおよび前記第2の熱電対ワイヤが、約5マイクロメートル~約100マイクロメート
ルの直径を有する、誘導加熱装置。
【請求項18】
前記サセプタが、管状サセプタである、請求項17に記載の誘導加熱装置。
【請求項19】
前記管状サセプタが、前記エアロゾル形成基体を受容するための前記キャビティを少なくとも部分的に画定する、請求項18に記載の誘導加熱装置。
【請求項20】
前記管状サセプタが、管状支持体と、前記管状支持体の内部表面上に設けられたサセプタ層と、を含む、請求項18または19に記載の誘導加熱装置。
【請求項21】
前記第1の熱電対ワイヤが、第1の電気絶縁層によって取り囲まれており、前記第2の熱電対ワイヤが、第2の電気絶縁層によって取り囲まれており、前記第1および第2の電気絶縁層が、約2マイクロメートル~約10マイクロメートルの厚さを有する、請求項
17~20のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項22】
前記第1の電気絶縁層および前記第2の電気絶縁層が、パリレンを含む、請求項21に記載の誘導加熱装置。
【請求項23】
前記第1の熱電対ワイヤが、クロメルを含み、前記第2の熱電対ワイヤが、アルメルを含む、請求項17~22のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項24】
エアロゾル生成装置であって、
-請求項17~23のいずれか一項に記載の誘導加熱装置と、
-装置ハウジングと、
-前記誘導加熱装置に電気的に接続されており、かつ前記少なくとも1つのインダクタコイルに、変動する電流を提供するように構成されている、電源と、を含む、エアロゾル生成装置。
【請求項25】
エアロゾル生成システムであって、
エアロゾル形成基体を含む、エアロゾル生成物品と、
請求項24に記載のエアロゾル生成装置と、を含む、エアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱装置、および誘導加熱装置のサセプタの温度を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル生成物品は、当業界で既知である。このような加熱式エアロゾル生成物品の目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成される有害または潜在的に有害な副産物を低減させることである。
【0003】
エアロゾル生成物品では、吸入可能なエアロゾルは、典型的に、発熱体からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成される。加熱中、揮発性化合物は、エアロゾル形成基体から放出され、空気中に混入される。例えば、揮発性化合物は、エアロゾル生成物品の近傍を通り抜け、通り、その周りに、または別の方法で引き寄せられる空気中に混入する場合がある。放出された揮発性化合物は冷却されるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、ユーザによって吸入され得る。エアロゾルには、香り、風味、ニコチン、および他の望ましい要素が含有され得る。
【0004】
発熱体は、エアロゾル生成装置に含まれ得る。エアロゾル生成物品とエアロゾル生成装置の組み合わせによりエアロゾル生成システムが形成され得る。
【0005】
発熱体は、物品がエアロゾル生成装置内に受容されるときに、エアロゾル形成基体の中に挿入されるか、またはその周りに配置され得る抵抗発熱体であってもよい。他のエアロゾル生成システムでは、抵抗発熱体ではなく誘導加熱装置が使用されている。誘導加熱装置は典型的に、インダクタコイルと、エアロゾル形成基体と熱的に近接するように配設されたサセプタと、を含む。インダクタコイルは変動する磁場を生成して、サセプタ内に渦電流およびヒステリシス損失を生成し、サセプタ素子の加熱を生じさせ、これによってエアロゾル形成基体を加熱する。誘導加熱は、加熱装置をエアロゾル生成物品に露出することなく、エアロゾルを生成することを可能にする。これは、加熱装置が洗浄され得る容易さを改善することができる。しかしながら、このような誘導加熱装置のサセプタの温度、および結果として、エアロゾルが形成されるときにエアロゾル形成基体に印加される熱の量を正確に測定することは困難であり得る。
【発明の概要】
【0006】
サセプタの温度の正確な測定を可能にする誘導加熱装置を提供することが望ましい。また、そのようなサセプタの温度の正確な測定のための方法を提供することが望ましい。
【0007】
エアロゾル形成基体を加熱するように構成された誘導加熱装置のサセプタの温度を測定するための方法が提供される。誘導加熱装置は、誘導加熱装置によって加熱可能なエアロゾル形成基体を受容するためのキャビティを含んでいてもよい。誘導加熱装置は、変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成された少なくとも1つのインダクタコイルを含んでいてもよい。誘導加熱装置は、少なくとも1つのサセプタが変動する磁場の貫通によって加熱可能であり、少なくとも1つのサセプタがエアロゾル形成基体を加熱するように構成されるように、少なくとも1つのインダクタコイルに対して配設された少なくとも1つのサセプタを含んでいてもよい。誘導加熱装置は、少なくとも1つの温度センサを含んでいてもよい。本方法は、少なくとも1つのサセプタと熱接触する少なくとも1つの温度センサを提供することを含んでいてもよい。本方法は、変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れないときに、少なくとも1つのサセプタの温度を測定することを含んでいてもよい。
【0008】
一開示では、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された誘導加熱装置のサセプタの温度を測定するための方法が提供されており、誘導加熱装置は、
-誘導加熱装置によって加熱可能なエアロゾル形成基体を受容するためのキャビティと、
-変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成された少なくとも1つのインダクタコイルと、
-少なくとも1つのサセプタが変動する磁場の貫通によって加熱可能であり、少なくとも1つのサセプタがエアロゾル形成基体を加熱するように構成されるように、少なくとも1つのインダクタコイルに対して配設された少なくとも1つのサセプタと、
-少なくとも1つの温度センサと、を含み、
方法は、
-少なくとも1つのサセプタと熱接触する少なくとも1つの温度センサを提供することと、
-変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れないときに、少なくとも1つのサセプタの温度を測定することと、を含む。
【0009】
誘導加熱装置は、少なくとも1つのインダクタコイルを含んでいてもよい。少なくとも1つのインダクタコイルは、電源から変動する電流を受信すると変動する磁場を生成するように配設される。こうした変動する電流は、約5キロヘルツ~約500キロヘルツであってもよい。いくつかの実施形態では、変動する電流は、高周波で変動する電流である。本明細書で使用される「高周波で変動する電流」という用語は、約500キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する、変動する電流を意味する。高周波で変動する電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツ、例えば、約1メガヘルツ~約10メガヘルツ、または例えば、約5メガヘルツ~約8メガヘルツの周波数を有し得る。変動する電流は、交流磁場を生成する交流電流としてもよい。
【0010】
インダクタコイルは、任意の好適な形態を有し得る。例えば、インダクタコイルは、平坦なインダクタコイルであってもよい。平坦なインダクタコイルは、実質的に平面において、らせん状に巻かれ得る。インダクタコイルは、管状インダクタコイルであることが好ましい。典型的には、管状インダクタコイルは、長手方向軸の周りにらせん状に巻かれる。インダクタコイルは、細長いものとすることができる。特に好ましくは、インダクタコイルは、細長い管状インダクタコイルであってもよい。インダクタコイルは、任意の好適な横断面を有し得る。例えば、インダクタコイルは、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または他の多角形横断面を有し得る。
【0011】
インダクタコイルは、任意の好適な材料から形成され得る。インダクタコイルは、導電性材料から形成される。インダクタコイルは、金属または合金から形成されることが好ましい。
【0012】
本明細書で使用される場合、「導電性」は、摂氏20度で1x10-4オームメートル(Ω.m)以下の電気抵抗率を有する材料を指す。
【0013】
誘導加熱装置は、少なくとも1つのサセプタを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「サセプタ」という用語は、磁気エネルギーを熱に変換することが可能な材料を含む要素を指す。サセプタが、インダクタコイルによって生成される変動する磁場などの変動する磁場に位置しているときに、サセプタは加熱される。サセプタの加熱は、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および渦電流のうちの少なくとも1つの結果であり得る。
【0014】
サセプタは、任意の好適な材料を含んでいてもよい。サセプタは、エアロゾル形成基体から揮発性化合物を放出するのに十分な温度に誘導加熱され得る任意の材料から形成されてもよい。好ましいサセプタは、約摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。好ましいサセプタは、導電性材料で形成されてもよい。細長いサセプタに好適な材料には、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合体が挙げられる。好ましいサセプタは金属または炭素を含む。いくつかの好ましいサセプタは、例えば、フェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含んでいてもよい。いくつかの好ましいサセプタは、強磁性材料からなる。好適なサセプタはアルミニウムを含んでよい。好適なサセプタはアルミニウムからなり得る。サセプタは、強磁性または常磁性材料の少なくとも約5パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約50パーセント、または少なくとも約90パーセントを含んでいてもよい。
【0015】
好ましくは、サセプタは、ガスに対して実質的に不透過性である材料から形成される。言い換えれば、サセプタは、ガス透過性ではない材料から形成されることが好ましい。
【0016】
誘導加熱装置の少なくとも1つのサセプタは、任意の好適な形態を有してもよい。例えば、サセプタは、細長い場合がある。サセプタは、任意の好適な横断面を有してもよい。例えば、サセプタは、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または他の多角形横断面を有してもよい。サセプタは、管状であってもよい。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、サセプタは、支持体上に提供されるサセプタ層を含んでいてもよい。サセプタを変動する磁場に配設すると、サセプタ表面に近接した渦電流が誘導され、皮膚効果と呼ばれる効果がもたらされる。したがって、サセプタが変動する磁場の存在下で効果的に加熱されることを確実にしながら、サセプタ材料の比較的薄い層からサセプタを形成することができる。サセプタを支持体および比較的薄いサセプタ層から作製することは、シンプルで安価かつ頑強であるエアロゾル生成物品の製造を容易にし得る。
【0018】
支持体は、誘導加熱の影響を受けやすくない材料から形成されてもよい。有利なことに、これは、エアロゾル形成基体と接触していないサセプタの表面の加熱を低減することができ、ここで支持体の表面は、エアロゾル形成基体と接触していないサセプタの表面を形成する。
【0019】
支持体は、電気絶縁材料を含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「電気絶縁」は、摂氏20度で少なくとも1x104オームメートル(Ωm)の電気抵抗率を有する材料を指す。
【0020】
断熱性材料から支持体を形成することは、サセプタ層と、誘導発熱体を囲むインダクタコイルなどの誘導加熱装置の他の構成要素との間に、断熱性バリアを提供し得る。有利なことに、これにより、サセプタと誘導加熱システムの他の構成要素との間の熱伝達を低減することができる。
【0021】
断熱性材料はまた、レーザーフラッシュ法を使用して測定して約0.01平方センチメートル/秒(cm2/秒)以下のバルク熱拡散率を有してもよい。このような熱拡散性を有する支持体を提供することにより、高い熱慣性を有する支持体をもたらし得、これは、サセプタ層と支持体との間の熱伝達を低減し、支持体の温度の変動を低減し得る。
【0022】
サセプタは、保護外部層、例えば保護セラミック層または保護ガラス層を備え得る。保護外部層は、サセプタの耐久性を改善し、サセプタの洗浄を容易にし得る。保護外部層は、サセプタを実質的に取り囲んでもよい。サセプタは、ガラス、セラミック、または不活性金属から形成される保護被覆を含み得る。
【0023】
サセプタは、任意の好適な寸法を有し得る。サセプタは、約5ミリメートル~約15ミリメートル、例えば、約6ミリメートル~約12ミリメートル、または約8ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有し得る。サセプタは、約1ミリメートル~約8ミリメートル、例えば、約3ミリメートル~約5ミリメートルの幅を有し得る。サセプタは、約0.01ミリメートル~約2ミリメートルの厚さを有し得る。サセプタが一定の断面、例えば円形断面を有する場合、サセプタは、約1ミリメートル~約5ミリメートルの好ましい幅または直径を有し得る。
【0024】
誘導加熱装置は、少なくとも1つの外部発熱体を含んでいてもよい。少なくとも1つの外部発熱体は、少なくとも1つのサセプタを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「外部発熱体」という用語は、エアロゾル形成基体の外部表面を加熱するように構成された発熱体を指す。少なくとも1つの外部発熱体は、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティを少なくとも部分的に包囲し得る。
【0025】
誘導加熱装置は、少なくとも1つの内部発熱体を含んでいてもよい。内部発熱体は、少なくとも1つのサセプタを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「内部発熱体」という用語は、エアロゾル形成基体内に挿入されるように構成された発熱体を指す。内部発熱体は、ブレード、ピン、およびコーンの形態であってもよい。少なくとも1つの内部発熱体は、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ内に延在し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、誘導加熱装置は、少なくとも1つの内部発熱体と、少なくとも1つの外部発熱体と、を含む。
【0027】
誘導加熱装置は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができる有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、典型的に、エアロゾル生成物品の一部である。
【0029】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでいてもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体は、ニコチン塩マトリクスであってもよい。
【0030】
エアロゾル形成基体は液体であってもよい。エアロゾル形成基体は、固体成分および液体成分を含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、固体であることが好ましい。
【0031】
エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでいてもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0032】
エアロゾル形成基体は、少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでいてもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度において熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の好適な既知の化合物または化合物の混合物である。好適なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)を含むことができる。エアロゾル形成体は、グリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5重量パーセント以上(例えば、乾燥質量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセント)のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでいてもよい。
【0033】
誘導加熱装置は、少なくとも1つの温度センサを含んでいてもよい。
【0034】
本方法は、少なくとも1つのサセプタと熱接触する少なくとも1つの温度センサを提供するステップを含んでいてもよい。結果として、少なくとも1つの温度センサは、少なくとも1つのサセプタの温度を測定し得る。
【0035】
本方法は、変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れないときに、少なくとも1つのサセプタの温度を測定するステップを含んでいてもよい。変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに少なくとも1つのインダクタコイルによって生成され得る磁場が、少なくとも1つの温度センサで電流を誘導し得ることが見出された。このような誘導電流は、少なくとも1つのサセプタの温度の誤った測定につながり得る。したがって、変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れないときの少なくとも1つのサセプタの温度を測定することは、少なくとも1つのサセプタの温度の測定の精度を改善し得る。方法は、変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、少なくとも1つのサセプタの温度を測定することを回避するステップをさらに含み得る。このさらなるステップは、少なくとも1つのサセプタの温度の測定の精度が増強されることを確実にすることに寄与し得る。
【0036】
少なくとも1つの温度センサは、熱電対であってもよい。熱電対は、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤを含んでいてもよい。第1の熱電対ワイヤは、第1の近位端から第1の遠位端まで延在する。第2の熱電対ワイヤは、第2の近位端から第2の遠位端まで延在する。第1の近位端は、第2の近位端に結合され、それによって接合部を形成する。接合部は、少なくとも1つのサセプタと熱接触している。本明細書で使用される場合、「熱電対ワイヤの近位端」は、少なくとも1つのサセプタに最も近い熱電対ワイヤの端として定義される。
【0037】
熱電対センサは、サセプタの温度を測定するための安価な配設を提供し得る。サセプタの幅広い動作温度を測定するには、熱電対センサが有益であり得る。熱電対センサは、外部電源を動作させる必要がないという点で有利であり得る。本開示の方法における熱電対の使用は、サセプタの温度の測定における精度を改善し得る。
【0038】
一実施形態では、接合部は、溶接点によって少なくとも1つのサセプタと熱接触する。
【0039】
第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、約5マイクロメートル~約100マイクロメートルの直径を有してもよい。これらの直径の結果として、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、低い熱質量を有し得る。これは、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤの迅速な温度安定化を可能にするために有利であり得る。このような迅速な温度安定化は、所与の時間におけるサセプタの温度の測定の精度を改善するのに有用であり得る。
【0040】
第1の熱電対ワイヤは、第1の電気絶縁層によって取り囲まれてもよい。第2の熱電対ワイヤは、第2の電気絶縁層によって取り囲まれてもよい。第1および第2の電気絶縁層は、電気絶縁材料で作製される。第1および第2の電気絶縁層は、約2マイクロメートル~約10マイクロメートルの厚さを有し得る。第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層を提供することは、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤにおける誘導電流の生成を低減することを助け得る。約2マイクロメートル~約10マイクロメートルの厚さを有する第1および第2の電気絶縁層を提供することによって、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、低い熱質量を有し得る。これは、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤの適切な温度安定化につながる可能性がある。
【0041】
第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層は、パリレンを含んでいてもよい。また、この材料は、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤの熱安定化の改善に寄与し得る。
【0042】
少なくとも1つのサセプタは、少なくとも1つのサセプタを第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤから断熱するように配設された熱絶縁体を含んでいてもよい。熱絶縁体は、断熱材から作製される。この配設は、熱電対センサが、接合部を通してのみ少なくとも1つのサセプタと熱接触することを確実にするのに有用であり得る。また、サセプタの温度の測定の精度を高めることもできる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「断熱性材料」という用語は、摂氏23度で約100ミリワット/メートル・ケルビン(mW/(mK))以下のバルク熱伝導率、および改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した相対湿度50パーセントを有する材料を記述するために使用される。
【0044】
第1の熱電対ワイヤは、クロメルを含んでいてもよい。第2の熱電対ワイヤは、アルメルを含んでいてもよい。
【0045】
少なくとも1つの温度センサは、抵抗性温度装置としてもよい。抵抗性温度装置は、抵抗素子を含む。抵抗素子の抵抗は、抵抗素子の温度が増加すると増加する。したがって、抵抗素子の抵抗と抵抗素子の温度との間に相関が確立され得る。このように、抵抗素子の温度は、抵抗素子の抵抗を測定することによって得られ得る。抵抗素子は、少なくとも1つのサセプタと熱接触するため、抵抗素子の温度を使用して、少なくとも1つのサセプタの温度を得ることができる。抵抗素子は、金属から形成されることが好ましい。
【0046】
一実施形態では、相関は、100オームの抵抗素子の抵抗が、摂氏0度の抵抗素子の温度を示すような方法で確立される。
【0047】
抵抗性温度装置の抵抗素子は、白金を含んでいてもよい。白金は、抵抗素子が化学的に不活性であり得るため、抵抗素子に好適な材料であり得る。白金は、抵抗素子の抵抗と抵抗素子の温度との間の実質的に直線的な関係を提供し得、したがって、較正を容易にする。白金は、高い温度抵抗係数を有している。これは、温度によって容易に測定可能な抵抗変化を可能にするのに有用であり得る。また、温度は時間の経過とともに大きく変化しないため、測定に安定性を提供することができる。抵抗素子は、ニッケルを含んでいてもよい。
【0048】
一実施形態では、サセプタの温度を測定するための方法で使用される誘導加熱装置は、以下のようなものである。
-少なくとも1つのインダクタコイルが、第1のインダクタコイルおよび第2のインダクタコイルを含み、第1のインダクタコイルが、第1の変動する電流が第1のインダクタコイルを通って流れるときに第1の変動する磁場を生成するように構成されており、第2のインダクタコイルが、第2の変動する電流が第2のインダクタコイルを通って流れるときに第2の変動する磁場を生成するように構成されている、
-少なくとも1つのサセプタが、第1のサセプタおよび第2のサセプタを含み、第1のサセプタが、第1のサセプタが第1の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、第1のインダクタコイルに対して配設されており、第2のサセプタが、第2のサセプタが第2の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、第2のインダクタコイルに対して配設されており、第1のサセプタおよび第2のサセプタが、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されている、
誘導加熱装置の温度を測定するための方法が、
-第1のサセプタと熱接触する少なくとも1つの温度センサを提供することと、
-第1の変動する電流が第1のインダクタコイルを通って流れないときに、第1のサセプタの温度を測定することと、をさらに含む。
【0049】
第1のサセプタを加熱するように配設された第1のインダクタコイルと、第2のサセプタを加熱するように配設された第2のインダクタコイルと、を有する誘導加熱装置を提供することにより、第1のサセプタおよび第2のサセプタを選択的に加熱することが可能になる。こうした選択的加熱により、誘導加熱装置は、エアロゾル形成基体の異なる部分を異なる時間に加熱することができ、サセプタのうちの1つを他のサセプタとは異なる温度に加熱することが可能になり得る。
【0050】
第1のサセプタと熱接触する少なくとも1つの温度センサでの提供は、第1のサセプタの温度の測定を可能にする。第1の変動する電流が第1のインダクタコイルを通って流れないときに、第1のサセプタの温度を測定することによって、少なくとも1つの温度センサに電流が誘導されることを回避することができる。そのような誘導電流は、温度の誤った測定につながり得るため、誘導電流が減少または抑制されると、第1のサセプタの温度の測定の精度が改善され得る。
【0051】
この実施形態の方法は、第1の変動する電流が第1のインダクタコイルを通って流れるときに、第1のサセプタの温度を測定することを回避することをさらに含み得る。これは、第1のインダクタコイルによって生成される磁場が少なくとも1つの温度センサに電流を誘導し得るときに、その時点で測定が実行されないため、誤った測定が最小化または回避されることをさらに確実にし得る。
【0052】
この実施形態の少なくとも1つの温度センサは、第1の温度センサおよび第2の温度センサを含んでいてもよく、方法は、
-第1のサセプタと熱接触する第1の温度センサを提供することと、
-第1の変動する電流が第1のインダクタコイルを通って流れないときに、第1のサセプタの温度を測定することと、
-第2のサセプタと熱接触する第2の温度センサを提供することと、
-第2の変動する電流が第2のインダクタコイルを通って流れないときに、第2のサセプタの温度を測定することと、を含む。
【0053】
第1のサセプタおよび第2のサセプタの両方と熱接触する温度センサを配設することによって、両方のサセプタの温度を有利に、改善された精度で測定することができる。これは、サセプタのうちの1つが、他のサセプタとは異なる温度で加熱されるように構成されている場合に特に有利であり得る。
【0054】
この方法は、
-第1の変動する電流が第1のインダクタコイルを通って流れるときに、第1のサセプタの温度を測定することを回避することと、
-第2の変動する電流が第2のインダクタコイルを通って流れるときに、第2のサセプタの温度を測定することを回避することと、をさらに含み得る。
【0055】
これは、第1のサセプタおよび第2のサセプタの温度の測定の精度をさらに改善し得る。
【0056】
誘導加熱装置が提供される。誘導加熱装置は、誘導加熱装置によって加熱可能なエアロゾル形成基体を受容するためのキャビティを含んでいてもよい。誘導加熱装置は、変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成された少なくとも1つのインダクタコイルを含んでいてもよい。誘導加熱装置は、少なくとも1つのサセプタが変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、少なくとも1つのインダクタコイルに対して配設された少なくとも1つのサセプタを含んでいてもよい。少なくとも1つのサセプタは、エアロゾル形成基体を加熱するように構成され得る。少なくとも1つのサセプタは、熱電対を含み得る。熱電対は、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤを含んでいてもよい。第1の熱電対ワイヤは、第1の近位端から第1の遠位端まで延在していてもよく、第2の熱電対ワイヤは、第2の近位端から第2の遠位端まで延在していてもよく、第1の近位端は、第2の近位端に接合され、それによって接合部が形成される。接合部は、少なくとも1つのサセプタと熱接触していてもよい。第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、約5マイクロメートル~約100マイクロメートルの直径を有してもよい。第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、約45マイクロメートル~約55マイクロメートルの直径を有してもよい。
【0057】
一開示では、誘導加熱装置は、
-誘導加熱装置によって加熱可能なエアロゾル形成基体を受容するためのキャビティと、
-変動する電流が少なくとも1つのインダクタコイルを通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成された少なくとも1つのインダクタコイルと、
-少なくとも1つのサセプタが変動する磁場の貫通によって加熱可能であり、少なくとも1つのサセプタがエアロゾル形成基体を加熱するように構成されるように、少なくとも1つのインダクタコイルに対して配設された少なくとも1つのサセプタと、
-第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤを含む熱電対であって、第1の熱電対ワイヤが、第1の近位端から第1の遠位端まで延在しており、第2の熱電対ワイヤが、第2の近位端から第2の遠位端まで延在しており、第1の近位端が、第2の近位端に接合されており、それによって接合部が形成され、接合部が、少なくとも1つのサセプタと熱接触している、熱電対と、を含み、
第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、約5マイクロメートル~約100マイクロメートル、好ましくは、約45マイクロメートル~約55マイクロメートルの直径を有する。
【0058】
約5マイクロメートル~約100マイクロメートルのこのような直径を有する第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、低い熱質量を有し得る。これは、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤの迅速な温度安定化を可能にするために有利であり得る。このような迅速な温度安定化は、所定の時間における少なくとも1つのサセプタの温度の測定が、かかる所与の時間前の誘導加熱装置の動作の温度またはモードによって影響されることがより少ないことを確実にするのに有用であり得る。このことから、かかる第1および第2の熱電対ワイヤを含む誘導加熱装置は、少なくとも1つのサセプタの温度の改善された測定を提供するのに有利である可能性があるということになる。この利点は、少なくとも1つのサセプタの温度を上記に開示された方法のうちの1つで測定する場合、より一層関連性があり得る。
【0059】
好ましい実施形態では、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、約45マイクロメートル~約55マイクロメートルの直径を有する。これは、少なくとも1つのサセプタの温度の測定のさらに高い精度を可能にし得る。
【0060】
第1の熱電対ワイヤは、第1の電気絶縁層によって取り囲まれてもよく、第2の熱電対ワイヤは、第2の電気絶縁層によって取り囲まれてもよく、第1および第2の電気絶縁層は、約2マイクロメートル~約10マイクロメートルの厚さを有する。そのような厚さを有する第1および第2の電気絶縁層を提供することによって、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤは、低い熱質量を有し得る。これは、第1の熱電対ワイヤおよび第2の熱電対ワイヤの適切な温度安定化につながる可能性がある。結果として、誘導加熱装置は、誘導加熱装置の温度または動作モードの変更の直後であっても、少なくとも1つのサセプタの温度のより正確な測定を提供し得る。
【0061】
上記で開示された誘導加熱装置のうちのいずれかを含むエアロゾル生成装置が提供される。エアロゾル生成装置は、装置ハウジングを含み得る。装置ハウジングは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティを少なくとも部分的に画定し得る。エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティは、装置の近位端にあることが好ましい。
【0062】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル生成装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを生成する装置を指す。
【0063】
サセプタが管状サセプタである場合、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティを少なくとも部分的に画定し得る。サセプタが支持体を含む場合、支持体は、管状支持体であってもよく、サセプタ層は、管状支持体の内部表面上に提供されてもよい。サセプタ層を支持体の内部表面上に設けることによって、サセプタ層を、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ内でエアロゾル形成基体に隣接させて位置決めすることができ、それにより、サセプタ層とエアロゾル形成基体との間の熱伝達が改善される。
【0064】
装置ハウジングは細長くてもよい。装置ハウジングは、円筒状であることが好ましい。装置ハウジングは、任意の好適な材料または材料の組み合わせを含んでいてもよい。好適な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの1つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に好適な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0065】
エアロゾル生成装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル生成装置は、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル生成装置は、約30ミリメートル~約150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル生成装置は、約5ミリメートル~約30ミリメートルの外径を有してもよい。エアロゾル生成装置は、携帯型装置であってもよい。言い換えれば、エアロゾル生成装置は、ユーザの手に保持されるようにサイズ決め、および成形され得る。
【0066】
エアロゾル生成装置は、インダクタコイルに変動する電流を提供するように構成された電源を含んでいてもよい。
【0067】
電源はDC電源であってもよい。好ましい実施形態において、電源は電池である。電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池(例えばリチウムコバルト、リン酸鉄リチウム、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、かつ1回以上のユーザ操作のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は、従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾル形成基体の連続的な加熱を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源が所定の吸煙回数、またはエアロゾル生成器の不連続的な起動を可能にするための十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の装置の使用回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。一実施形態において、電源は、約2.5ボルト~約4.5ボルトの範囲のDC供給電圧、および約1アンペア~約10アンペアの範囲のDC供給電流(約2.5ワット~約45ワットの範囲のDC電源に対応)を有するDC電源である。
【0068】
エアロゾル生成装置は、少なくとも1つのインダクタコイルに接続されたコントローラと、電源と、を含み得る。コントローラは、電源から少なくとも1つのインダクタコイルへの電力の供給を制御するように構成され得る。コントローラはマイクロプロセッサを含んでいてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供することができる他の電子回路であってもよい。コントローラは、さらなる電子構成要素を含んでいてもよい。コントローラは、少なくとも1つのインダクタコイルへの電流の供給を調節するように構成されてもよい。電流はエアロゾル生成装置の起動後、少なくとも1つのインダクタコイルに連続的に供給されてもよいか、または断続的(例えば、毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。
【0069】
コントローラは有利なことにDC/ACインバータを含んでいてもよく、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を含んでいてもよい。
【0070】
コントローラは、少なくとも1つのインダクタコイルに変動する電流を供給するように構成されてもよい。変動する電流は、約5キロヘルツ~約500キロヘルツであってもよい。いくつかの実施形態では、変動する電流は、高周波で変動する電流、すなわち、約500キロヘルツ~約30メガヘルツの電流である。高周波で変動する電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツ、例えば、約1メガヘルツ~約10メガヘルツ、または例えば、約5メガヘルツ~約8メガヘルツの周波数を有し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、装置ハウジングは、マウスピースを含む。マウスピースは、少なくとも1つの空気吸込み口と、少なくとも1つの空気出口と、を含んでいてもよい。マウスピースは、2つ以上の空気吸込み口を含んでいてもよい。空気吸込み口のうちの1つ以上は、エアロゾルがユーザに送達される前にエアロゾルの温度を低減してもよく、およびエアロゾルがユーザに送達される前にエアロゾルの濃度を低下させてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、マウスピースは、エアロゾル生成物品の一部として提供される。本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、エアロゾル生成装置によって受容されたエアロゾル生成物品から、エアロゾル生成システムによって生成されたエアロゾルを直接吸い込むためにユーザの口に入れられるエアロゾル生成システムの一部分を指す。
【0073】
エアロゾル生成装置は、装置を起動するためのユーザインターフェース、例えば、エアロゾル生成物品の加熱を開始するボタンを含み得る。
【0074】
エアロゾル生成装置は、装置またはエアロゾル形成基体の状態を示すディスプレイを含み得る。
【0075】
上記のエアロゾル生成装置のうちのいずれかを含むエアロゾル生成システムが提供される。エアロゾル生成システムは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル生成物品をさらに含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル生成物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することが可能なエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル生成物品は、システムの近位端またはユーザ側の端でマウスピースを吸うまたは吸煙するユーザによって直接吸入可能なエアロゾルを生成する物品であってもよい。エアロゾル生成物品は、使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を含む物品は、たばこスティックとして本明細書で言及され得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル生成システム」という用語は、エアロゾル生成物品とエアロゾル生成装置の組み合わせを指す。エアロゾル生成システムでは、エアロゾル生成物品とエアロゾル生成装置は協働して、呼吸に適したエアロゾルを生成する。
【0078】
エアロゾル生成物品は、任意の好適な形態を有し得る。エアロゾル生成物品は、実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル生成物品は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル生成物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周と、を有してもよい。
【0079】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル生成セグメントとして提供されてもよい。エアロゾル生成セグメントは、複数のエアロゾル形成基体を含み得る。エアロゾル生成セグメントは、第1のエアロゾル形成基体および第2のエアロゾル形成基体を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のエアロゾル形成基体は、第1のエアロゾル形成基体と実質的に同一である。いくつかの実施形態では、第2のエアロゾル形成基体は、第1のエアロゾル形成基体とは異なる。
【0080】
エアロゾル生成セグメントが複数のエアロゾル形成基体を含む場合、エアロゾル形成基体の数は、誘導発熱体内のサセプタの数と同じであってもよい。同様に、エアロゾル形成基体の数は、誘導加熱装置におけるインダクタコイルの数と同じであってもよい。
【0081】
エアロゾル生成セグメントは、実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル生成セグメントは、実質的に細長くてもよい。エアロゾル生成セグメントはまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周と、を有してもよい。
【0082】
エアロゾル生成セグメントが複数のエアロゾル形成基体を含む場合、エアロゾル形成基体は、エアロゾル生成セグメントの軸に沿って端と端をつないで配設されてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成セグメントは、隣接するエアロゾル形成基体間の分離部を含んでいてもよい。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態において、エアロゾル生成物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有し得る。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成物品は、約45ミリメートルの全長を有する。エアロゾル生成物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成物品は、約7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0084】
エアロゾル生成セグメントは、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成セグメントは、約10ミリメートル、または12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0085】
エアロゾル生成セグメントは、エアロゾル生成物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。エアロゾル生成セグメントの外径は、約5ミリメートル~約12ミリメートルであり得る。一実施形態において、エアロゾル生成セグメントは、約7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0086】
エアロゾル生成物品は、フィルタープラグを含んでいてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル生成物品の近位端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタープラグは、約5ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、フィルタープラグは、約7ミリメートルの長さを有してもよい。
【0087】
エアロゾル生成物品は、外側ラッパーを含んでいてもよい。外側ラッパーは、紙から形成され得る。外側ラッパーは、エアロゾル生成セグメントで気体透過性であってもよい。特に、複数のエアロゾル形成基体を含む実施形態では、外側ラッパーは、隣接するエアロゾル形成基体間の境界面に穿孔または他の空気吸込み口を含んでいてもよい。隣接するエアロゾル形成基体間に分離部が提供される場合、外側ラッパーは、分離部に穿孔または他の空気吸込み口を含み得る。これにより、エアロゾル形成基体に、別のエアロゾル形成基体を通して引き出されていない空気が直接的に提供されることを可能にし得る。これは、各エアロゾル形成基体によって受容される空気の量を増加し得る。これは、エアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルの特性を改善し得る。
【0088】
エアロゾル生成物品はまた、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を含んでいてもよい。分離部は、約18ミリメートルであってもよいが、約5ミリメートル~約25メートルの範囲であってもよい。
【0089】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の図を参照して、例証的および非限定的な例のみによって与えられる、以下の好ましい実施形態の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】誘導加熱装置のサセプタの温度を測定するための方法の概略フロー図を示す。
【
図2】インダクタコイル、サセプタ、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ、および温度センサを含む、誘導加熱装置を示す。
【
図3】第1および第2のインダクタコイルと、第1および第2のサセプタと、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティの第1および第2の部分と、第1および第2の温度センサと、を含む、誘導加熱装置を示す。
【
図4】第1および第2のインダクタコイルと、サセプタと、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティと、第1および第2の温度センサと、を含む、誘導加熱装置を示す。
【
図6】サセプタと熱接触する抵抗性温度装置を示す。
【
図7】エアロゾル生成物品と、エアロゾル生成装置と、を含む、エアロゾル生成システムの表現であり、エアロゾル生成装置は、誘導加熱装置を含んでいる。
【
図8】エアロゾル生成物品のエアロゾル形成基体が誘導加熱装置のキャビティ内に受容されているときの、
図7のエアロゾル生成システムを示す。
【
図9】冷却セグメント、フィルターセグメント、および口側端セグメントを含む、フィルターアセンブリを含むエアロゾル生成物品を示す。
【0091】
図1は、誘導加熱装置10におけるサセプタの温度を測定するための方法を概略的に表す。このような誘導加熱装置10の詳細な実施形態は、
図2~
図8に関して説明される。
図1の方法は、誘導加熱装置10の温度センサ13が誘導加熱装置10のサセプタ11と熱接触して提供される、ステップAを含む。
図1の方法は、誘導加熱装置10のインダクタコイル12を通って変動する電流が流れていないときに、サセプタ11の温度を測定する、ステップBをさらに含む。インダクタコイル12は、そのような変動する電流がインダクタコイル12を通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成されている。サセプタ11は、サセプタ11が変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、インダクタコイル12コイルに対して配設される。サセプタ11は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されている。
図1の実施形態の一実施例では、方法は、破線で表されたステップCをさらに含む。ステップCは、変動する電流がインダクタコイル12を通って流れるときに、サセプタ11の温度を測定することを回避することからなる。
【0092】
図2は、サセプタ11およびインダクタコイル12を含む、誘導加熱装置10を示している。
図1で説明したように、インダクタコイル12は、変動する電流がインダクタコイル12を通って流れるときに、変動する磁場を生成するように構成されている。サセプタ11は、サセプタ11がインダクタコイル12によって生成され得る変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、インダクタコイル12に対して配設される。サセプタ11は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成されている。換言すれば、サセプタ11が変動する磁場の貫通によって加熱されたときに、エアロゾル形成基体は、サセプタによって加熱され得る。サセプタによって加熱可能なエアロゾル形成基体は、誘導加熱装置10のキャビティ14内に受容され得る。
図2の実施形態では、サセプタ11は管状サセプタ11であり、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ14を画定する。
【0093】
サセプタ11と熱接触する温度センサ13が、提供されている。結果として、温度センサ13を使用して、サセプタ11の温度を測定することができる。サセプタ11の温度の測定は、変動する電流がインダクタコイル12を通って流れない場合に実行され得る。特に、変動する電流がインダクタコイル12を通って流れるときに、サセプタ11の温度を測定することを回避することができる。この方法は、インダクタコイル12によって生成される磁場によって温度センサ13に誘導され得る電流が最小化されるため、サセプタ11の温度の測定の精度を改善する。このような誘導電流は、サセプタ11の温度の誤った測定につながり得る。
【0094】
図3は、第1のサセプタ11および第2のサセプタ15を含む、誘導加熱装置10を示す。誘導加熱装置10はまた、第1のインダクタコイル12および第2のインダクタコイル16を含む。第1のインダクタコイル12は、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れるときに、第1の変動する磁場を生成するように構成されている。第2のインダクタコイル16は、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れるときに、第2の変動する磁場を生成するように構成されている。第1のサセプタ11は、第1のサセプタ11が第1の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、第1のインダクタコイル12に対して配設される。第2のサセプタ15は、第2のサセプタ15が第2の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、第2のインダクタコイル16に対して配設される。したがって、第1のサセプタ11が第1の変動する磁場の貫通によって加熱されたときに、エアロゾル形成基体は、第1のサセプタ11によって加熱され得る。同様に、第2のサセプタ15が第2の変動する磁場の貫通によって加熱されたときに、エアロゾル形成基体は、第2のサセプタ15によって加熱され得る。
【0095】
図3の実施形態の温度センサは、第1の温度センサ13および第2の温度センサ17を含む。第1の温度センサ13は、第1のサセプタ11と熱接触して提供される。結果として、第1の温度センサ13を使用して、第1のサセプタ11の温度を測定することができる。第1のサセプタ11の温度の測定は、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れない場合に実行され得る。特に、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れるときに、第1のサセプタ11の温度を測定することを回避することができる。
【0096】
第2の温度センサ17は、第2のサセプタ15と熱接触して提供される。結果として、第2の温度センサ17は、第2のサセプタ15の温度を測定するために使用され得る。第2のサセプタ15の温度の測定は、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れない場合に実行され得る。特に、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れるときに、第2のサセプタ15の温度を測定することを回避することができる。
【0097】
この方法は、第1のインダクタコイル12および第2のインダクタコイル16によってそれぞれ生成される第1および第2の磁場によって第1の温度センサ13および第2の温度センサ17に誘導され得る電流が最小化されるため、第1のサセプタ11および第2のサセプタ15の温度の測定の精度を改善する。このような誘導電流は、第1のサセプタ11および第2のサセプタ15の温度の誤った測定につながり得る。
【0098】
図3の実施形態では、第1のサセプタ11は管状サセプタであり、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティの第1の部分14を画定する。同様に、第2のサセプタ15は管状サセプタであり、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティの第2の部分18を画定する。
【0099】
図3の実施形態は、第1のサセプタ11および第2のサセプタ15の選択的な加熱を可能にする。こうした選択的加熱により、誘導加熱装置10は、エアロゾル形成基体の異なる部分を異なる時間に加熱することができ、エアロゾル形成基体がキャビティの第1の部分14および第2の部分18に受容されたときに、サセプタ11、15のうちの1つを他のサセプタ15、11とは異なる温度に加熱することが可能になり得る。このような温度は、
図1の方法を使用して有利に測定され得る。
【0100】
図4は、第1の領域111および第2の領域112を有する単一のサセプタ11を含む、誘導加熱装置10を示す。誘導加熱装置10はまた、第1のインダクタコイル12および第2のインダクタコイル16を含む。第1のインダクタコイル12は、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れるときに、第1の変動する磁場を生成するように構成されている。第2のインダクタコイル16は、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れるときに、第2の変動する磁場を生成するように構成されている。第1の領域111は、第1の領域111が第1の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、第1のインダクタコイル12に対して配設される。第2の領域112は、第2の領域112が第2の変動する磁場の貫通によって加熱可能であるように、第2のインダクタコイル16に対して配設される。したがって、第1の領域111が第1の変動する磁場の貫通によって加熱されたときに、エアロゾル形成基体は、第1の領域111によって加熱され得る。同様に、第2の領域112が第2の変動する磁場の貫通によって加熱されたときに、エアロゾル形成基体は、第2の領域112によって加熱され得る。
【0101】
図4の実施形態の温度センサは、第1の温度センサ13および第2の温度センサ17を含む。第1の温度センサ13は、第1の領域111と熱接触して提供される。結果として、第1の温度センサ13を使用して、第1の領域111の温度を測定することができる。第1の領域111の温度の測定は、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れない場合に実行され得る。特に、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れるときに、第1の領域111の温度を測定することを回避することができる。
【0102】
第2の温度センサ17は、第2の領域112と熱接触して提供される。結果として、第2の温度センサ17は、第2の領域112の温度を測定するために使用され得る。第2の領域112の温度の測定は、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れない場合に実行され得る。特に、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れるときに、第2の領域112の温度を測定することを回避することができる。
【0103】
この方法は、第1のインダクタコイル12および第2のインダクタコイル16によってそれぞれ生成される第1および第2の磁場によって第1の温度センサ13および第2の温度センサ17に誘導され得る電流が最小化されるため、サセプタ11の第1の領域111および第2の領域112の温度の測定の精度を改善する。こうした誘導電流は、第1の領域111および第2の領域112の温度の誤った測定につながり得る。
【0104】
図4の実施形態では、サセプタ11は管状サセプタであり、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ14を画定する。
【0105】
図4の実施形態は、第1の領域111および第2の領域112の選択的な加熱を可能にする。こうした選択的加熱により、誘導加熱装置10は、エアロゾル形成基体の異なる部分を異なる時間に加熱することができ、エアロゾル形成基体がキャビティ14に受容されたときに、領域111、112のうちの1つを他の領域112、111とは異なる温度に加熱することが可能になり得る。このような温度は、
図1の方法を使用して有利に測定され得る。
【0106】
図5は、温度センサ13とサセプタ11との間の熱接触をより詳細に表す。特に、
図5の実施形態の温度センサ13は、熱電対131である。熱電対131は、第1の熱電対ワイヤ132および第2の熱電対ワイヤ133を含む。第1の熱電対ワイヤ132は、第1の近位端136から第1の遠位端(図示せず)まで延在する。第2の熱電対ワイヤ133は、第2の近位端137から第2の遠位端(図示せず)まで延在する。第1の近位端136は、サセプタ11と熱接触する接合部138を形成する第2の近位端137に接合される。
図5の実施形態では、接合部138は、溶接点139を通してサセプタ11と熱接触している。
【0107】
図5の実施形態では、第1の熱電対ワイヤ132は、第1の直径D1を有し、第2の熱電対ワイヤ133は、第2の直径D2を有する。第1の直径D1および第2の直径D2は、約5マイクロメートル~約100マイクロメートル、好ましくは、約45マイクロメートル~約55マイクロメートルである。このような直径D1、D2は、第1の熱電対ワイヤ132および第2の熱電対ワイヤ133の迅速な温度安定化に寄与し得る。
【0108】
図5では、第1の熱電対ワイヤ132は、第1の電気絶縁層134によって囲まれており、第2の熱電対ワイヤ133は、第2の電気絶縁層135によって囲まれている。第1の電気絶縁層134は、第1の厚さt1を有し、第2の電気絶縁層135は、第2の厚さt2を有する。このような厚さt1、t2は、約2マイクロメートル~約10マイクロメートルであり、これは、第1の熱電対ワイヤ132および第2の熱電対ワイヤ133において迅速な温度安定化を達成するのに役立ち得る。
【0109】
図5の実施形態の第1の電気絶縁層134および第2の電気絶縁層135は、パリレンを含む。同様に、第1の熱電対ワイヤ132は、クロメルを含み、第2の熱電対ワイヤ133は、アルメルを含む。
【0110】
図5では、サセプタ11は、サセプタ11を第1の熱電対ワイヤ132および第2の熱電対ワイヤ133から断熱するように配設された熱絶縁体19を含む。この配設は、熱電対131が、接合部138および溶接点139を通してのみサセプタ11と熱接触することを確実にするのに役立ち得る。これはまた、サセプタ11の温度の測定の精度を高めることができる。
【0111】
図6では、温度センサ13は、抵抗性温度装置139である。抵抗性温度装置139は、抵抗素子140を含み、その抵抗素子140の抵抗は、その温度が上昇すると増加する。配線141は、抵抗素子139を、抵抗素子140および配線141から形成される回路の抵抗を測定するように構成された測定装置に接続するために提供されている。
【0112】
抵抗素子140の抵抗と抵抗素子140の温度との間に相関が確立され得る。このように、抵抗素子140と熱接触するサセプタ11の温度に対応する抵抗素子140の温度は、抵抗素子140の抵抗を測定することによって得られ得る。抵抗素子140は、金属から形成されることが好ましい。より好ましくは、抵抗素子140は、白金およびニッケルのうちの少なくとも1つを含む。
【0113】
配線141は、抵抗素子140および配線141から形成される回路の抵抗が、抵抗素子141の抵抗と実質的に同じであるように設計され得る。換言すれば、配線141の構成は、抵抗素子140の抵抗の測定における誤差を低減し得る。
【0114】
一実施例では、配線141は、抵抗素子141の両端を測定装置に接続する2本のワイヤを含む。この実施例では、抵抗素子140および配線141から形成される回路の抵抗は、抵抗素子141の抵抗に2本のワイヤのうちの各1本の抵抗を足したものに等しい。これにより、抵抗性温度装置139によって測定される温度が、サセプタ11の温度に対応する抵抗素子140の温度よりも大きくなる可能性がある。
【0115】
別の実施例では、配線141は、3本のワイヤを含む。2本のワイヤは、抵抗素子141の一方の端を測定装置に接続する。残りのワイヤは、抵抗素子141の反対側の端部を測定装置に接続する。配線141の3本のワイヤは、材料および長さが同一であってもよい。このような3本のワイヤは、類似の抵抗を有し得る。抵抗素子140および配線141から形成される回路の抵抗は、抵抗素子140の同じ端部上の2本のワイヤを通してのみ測定され得る。このような第1の測定値は、これらの2本のワイヤの合計抵抗値を示すことになる。同様に、抵抗素子140および配線141から形成される回路の抵抗は、抵抗素子140の反対側の端部上のワイヤおよび他の2本のワイヤのうちの一方を通して測定され得る。こうした第2の測定値は、抵抗素子140の抵抗に、測定に使用された2本のワイヤの総抵抗を足したものを示すことになる。3本のワイヤの抵抗が同じである場合、抵抗素子140の抵抗のより正確な測定は、第1の測定値の値を第2の測定値から差し引くことによって得られ得る。
【0116】
4本のワイヤを含む配線141など、当技術分野で既知の配線141の他の構成がまた、本発明で使用され得る。
【0117】
図7および
図8は、エアロゾル生成装置200およびエアロゾル生成物品300の概略断面図を示す。
【0118】
エアロゾル生成装置200は、従来の葉巻たばこに類似した形状およびサイズを有する、実質的に円筒形の装置ハウジング202を含む。
【0119】
エアロゾル生成装置200は、充電式ニッケルカドミウム電池の形態の電源206と、マイクロプロセッサを含むプリント回路基板の形態のコントローラ208と、電気コネクタ209と、誘導加熱装置10と、をさらに含む。
図7および
図8の実施形態では、誘導加熱装置10は、
図3のものと類似している。しかしながら、他の誘導加熱装置が使用されてもよい。特に、1つのインダクタコイルおよび1つのサセプタを含む誘導加熱装置が使用されてもよい。代替的に、3つ以上のインダクタコイルと、3つ以上のサセプタと、を含む誘導加熱装置が使用されてもよい。好ましい代替例では、1つのサセプタ、2つのインダクタコイル、および2つの温度センサを含む誘導加熱装置が使用されてもよく、特に、
図4の誘導加熱装置が使用されてもよい。
【0120】
電源206、コントローラ208、および誘導加熱装置10はすべて、装置ハウジング202内に収容される。エアロゾル生成装置200の誘導加熱装置10は、装置200の近位端に配設される。電気コネクタ209は、装置ハウジング202の遠位端に配設される。
【0121】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、エアロゾル生成装置またはエアロゾル生成物品のユーザ端部または口側端を指す。エアロゾル生成装置またはエアロゾル生成物品の構成要素の近位端は、ユーザ端部に最も近い構成要素の端部、またはエアロゾル生成装置またはエアロゾル生成物品の口側端である。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、近位端の反対側の端部を指す。
【0122】
コントローラ208は、電源206から誘導加熱装置10への電力の供給を制御するように構成されている。コントローラ208は、クラスD電力増幅器を含むDC/ACインバータをさらに含む。コントローラ208はまた、電気コネクタ209からの電源206の再充電を制御するように構成されている。コントローラ208は、ユーザがキャビティ14、18内に受容されたエアロゾル生成物品を引き出したときを検知するように構成された吸煙センサ(図示せず)をさらに含む。
【0123】
誘導加熱装置10は、第1のインダクタコイル12および第2のインダクタコイル16を含む。誘導加熱装置10はまた、第1のサセプタ11および第2のサセプタ15を含む。
図3に記述されるように、第1のサセプタ11は管状サセプタであり、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティの第1の部分14を画定する。同様に、第2のサセプタ15は管状サセプタであり、管状サセプタは、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティの第2の部分18を画定する。第1のインダクタコイル12および第2のインダクタコイル16はまた、
図7および
図8の実施形態においても管状であり、それらは、それぞれ第1のサセプタ11および第2のサセプタ15の周りに同心円状に配置される。
【0124】
第1のインダクタコイル12は、コントローラ208および電源206に接続されており、コントローラ208は、第1の変動する電流を第1のインダクタコイル12に供給するように構成されている。第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12に供給されるとき、第1のインダクタコイル12は、第1の変動する磁場を生成し、それは、誘導によって第1のサセプタ11を加熱する。
【0125】
第2のインダクタコイル16は、コントローラ208および電源208に接続されており、コントローラ208は、第2の変動する電流を第2のインダクタコイル16に供給するように構成されている。第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16に供給されるとき、第2のインダクタコイル16は、第2の変動する磁場を生成し、それは、誘導によって第2のサセプタ15を加熱する。
【0126】
誘導加熱装置10は、第1のサセプタ11と熱接触する第1の温度センサ13を含む。誘導加熱装置10は、第2のサセプタ15と熱接触する第2の温度センサ17を含む。第1の温度センサ13および第2の温度センサ17は、
図3に記述されるように、それぞれ第1のサセプタ11および第2のサセプタ15の温度を測定するために使用され得る。
【0127】
装置ハウジング202はまた、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ14、18の遠位端に近接した空気吸込み口280を画定する。空気吸込み口280は、周囲空気が装置ハウジング202内に引き込まれることが可能なように構成されている。気流経路は、装置を通して画定され、空気が空気吸込み口280からキャビティ14、18内に引き込まれることを可能にする。
【0128】
エアロゾル生成物品300は一般に、エアロゾル形成基体を受容するためのキャビティ14、18の内径と同様の直径を有する円筒形ロッドの形態である。エアロゾル生成物品300は、紙巻たばこ紙の外側ラッパー320で一緒に包装される、円筒形の酢酸セルロースフィルタープラグ304および円筒形のエアロゾル生成セグメント310を含む。
【0129】
フィルタープラグ304は、エアロゾル生成物品300の近位端に配設され、エアロゾル生成システムのマウスピースを形成し、その上を、システムによって生成されたエアロゾルを受容するために、ユーザが引き出す。
【0130】
エアロゾル生成セグメント310は、エアロゾル生成物品300の遠位端に配設され、キャビティ14、18の長さと実質的に等しい長さを有する。エアロゾル生成セグメント310は、エアロゾル生成物品300の遠位端での第1のエアロゾル形成基体312と、第1のエアロゾル生成基材312に隣接する、エアロゾル生成セグメント210の近位端での第2のエアロゾル形成基体314と、を含む、複数のエアロゾル形成基体を含む。当然のことながら、いくつかの実施形態では、エアロゾル形成基体のうちの2つ以上は、同じ材料から形成され得る。しかしながら、この実施形態では、エアロゾル形成基体312、314の各々は異なっている。第1のエアロゾル形成基体312は、追加の風味剤を含まない、均質化したたばこ材料の、集積され、かつ捲縮したシートを含む。第2のエアロゾル形成基体314は、メントールの形態の風味剤を含む、均質化されたタバコ材料の、集積され、かつ捲縮したシートを含む。他の実施例では、エアロゾル形成基体は、メントールの形態の風味剤を含んでもよく、タバコ材料またはニコチンの任意の他の供給源を含んでいない。エアロゾル形成基体312、314の各々はまた、エアロゾル形成基体を加熱することが望ましい有機刺激性を有するエアロゾルを生成するように、1つ以上のエアロゾル形成体および水などのさらなる構成要素を含み得る。
【0131】
第1のエアロゾル形成基体312の近位端は、外側ラッパー320によって覆われていないため、露出されている。外側ラッパー320は、第1のエアロゾル形成基体312と第2のエアロゾル形成基体314との間の境界面においてエアロゾル生成物品300を囲む穿孔322の線を含む。穿孔322は、空気がエアロゾル生成セグメント310内に引き込まれることを可能にする。
【0132】
この実施形態では、第1のエアロゾル形成基体312および第2のエアロゾル形成基体314は、端と端をつないで配設されている。しかしながら、他の実施形態では、第1のエアロゾル形成基体312と第2のエアロゾル形成基体314との間に分離部が提供されてもよいことが想定される。
【0133】
図9は、
図7および
図8のものと同様のエアロゾル生成物品を示す。しかしながら、フィルタープラグ304は、ロッドの形態のフィルターアセンブリ304である。フィルターアセンブリ304は、冷却セグメント307、フィルターセグメント309、および口側端セグメント311からなる、3つのセグメントを含む。
図9の実施形態では、冷却セグメント307は、第2のエアロゾル形成基体314とフィルターセグメント309との間に、第2のエアロゾル形成基体314に隣接して位置されており、その結果、冷却セグメント307は、第2のエアロゾル形成基体314とフィルターセグメント309と隣接する関係にある。他の実施例では、第2のエアロゾル形成基体314と冷却セグメント307との間に、および冷却セグメント307とフィルターセグメント309との間に、分離部が存在し得る。フィルターセグメント309は、冷却セグメント307と口側端セグメント311との間に位置される。口側端セグメント311は、フィルターセグメント309に隣接して、物品300の近位端に向かって位置される。
図9の実施形態では、フィルターセグメント309は、口側端部セグメント311と隣接する関係にある。一実施例では、フィルターアセンブリ304の全長は、37ミリメートル~45ミリメートルであり、より好ましくは、フィルターアセンブリ304の全長は、41ミリメートルである。
【0134】
図9の実施形態の一実施例では、エアロゾル生成セグメント310の長さは、34ミリメートル~50ミリメートルであり、より好ましくは、エアロゾル生成セグメント310の長さは、38ミリメートル~46ミリメートルであり、さらにより好ましくは、エアロゾル生成セグメント310の長さは、42ミリメートルである。
【0135】
図9の実施形態の一実施例では、物品300の全長は、71ミリメートル~95ミリメートルであり、より好ましくは、物品300の全長は、79ミリメートル~87ミリメートルであり、さらにより好ましくは、物品300の全長は、83ミリメートルである。
【0136】
一実施例では、冷却セグメント307は、環状管であり、冷却セグメント307内の空隙を画定する。空隙は、エアロゾル生成セグメント310から生成される加熱された揮発成分が流れるためのチャンバを提供する。冷却セグメント307は中空であり、それにより、エアロゾル蓄積のためのチャンバを提供する一方で、製造中および物品300がエアロゾル生成装置200への挿入時に使用される間に生じ得る軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性をさらに提供する。一実施例では、冷却セグメント307の壁の厚さは、約0.29ミリメートルである。
【0137】
冷却セグメント307は、エアロゾル生成セグメント310とフィルターセグメント309との間の物理的変位を提供する。冷却セグメント307によって提供される物理的変位は、冷却セグメント307の長さにわたって熱勾配を提供することになる。一実施例では、冷却セグメント307は、冷却セグメント307の遠位端に入る加熱揮発成分と冷却セグメント307の近位端から出る加熱揮発成分との間の少なくとも摂氏40度の温度差を提供するように構成されている。一実施例では、冷却セグメント307は、冷却セグメント307の遠位端に入る加熱揮発成分と冷却セグメント307の近位端から出る加熱揮発成分との間の少なくとも摂氏60度の温度差を提供するように構成されている。冷却要素307の長さにわたるこの温度差は、温度感受性フィルターセグメント309を、エアロゾル生成セグメント310から形成されるエアロゾルの高温から保護する。
【0138】
図9の物品300の一実施例では、冷却セグメント307の長さは、少なくとも15ミリメートルである。一実施例では、冷却セグメント307の長さは、20ミリメートル~30ミリメートル、より具体的には、23ミリメートル~27ミリメートル、より具体的には、25ミリメートル~27ミリメートル、およびより具体的には25ミリメートルである。
【0139】
冷却セグメント307は、紙から作製され、これは、懸念される化合物を生成しない材料からなることを意味する。
図9の物品300の一実施例では、冷却セグメント307は、中空の内部チャンバを提供する一方で機械的剛性を維持する、らせん状に巻かれた紙管から製造される。らせん状に巻かれた紙管は、管の長さ、外径、真円度、および真直度に関する高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。別の実施例では、冷却セグメント307は、硬いプラグラップまたはティッピング紙から作られる凹部である。剛性のプラグラップまたはティッピング紙は、製造中および物品300がエアロゾル生成装置200への挿入中に使用される間に生じ得る軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えるのに十分である、剛性を有するように製造される。
【0140】
冷却セグメント307の例の各々について、冷却セグメントの寸法精度は、高速製造プロセスの寸法精度要件を満たすのに十分なものである。
【0141】
フィルターセグメント309は、エアロゾル生成セグメント310から加熱された揮発成分から1つ以上の揮発成分を除去するために十分な任意のフィルタ材料で形成されてもよい。
図9の物品300の一実施例では、フィルターセグメント309は、酢酸セルロースなどのモノ酢酸材料で作製される。フィルターセグメント309は、加熱された揮発成分の量をユーザにとって不満足なレベルまで枯渇させることなく、加熱された揮発成分からの冷却および刺激低減を提供する。
【0142】
フィルターセグメント309の酢酸セルローストウ材料の密度は、フィルターセグメント309にわたる圧力降下を制御し、次に物品300の引き出し抵抗を制御する。したがって、フィルターセグメント309の材料の選択は、物品300の引き出しに対する抵抗を制御する上で重要である。さらに、フィルターセグメントは、物品300の濾過機能を実施する。
【0143】
フィルターセグメント309の存在は、冷却セグメント307から出る加熱された揮発成分にさらなる冷却を提供することによって、断熱効果を提供する。このさらなる冷却効果は、フィルターセグメント309の表面上のユーザのリップの接触温度を減少させる。
【0144】
1つ以上の風味剤は、風味付き液体のフィルターセグメント309への直接注入、または1つ以上の風味付きの壊れやすいカプセルもしくはフィルターセグメント309の酢酸セルローストウ内に他の風味付きの担体を埋め込むこと、もしくはそれを配設することによることのいずれかの形態で、フィルターセグメント309に追加され得る。
図9の物品300の一実施例では、フィルターセグメント309の長さは、6ミリメートル~10ミリメートル、より好ましくは、8ミリメートルである。
【0145】
口側端セグメント311は、環状チューブであり、口側端セグメント311内の空隙を画定する。空隙は、フィルターセグメント309から流れる加熱揮発成分のためのチャンバを提供する。口側端セグメント311は中空であり、それにより、エアロゾル蓄積のためのチャンバを提供する一方で、製造中および物品がエアロゾル生成装置200への挿入時に使用される間に生じ得る軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を提供する。一実施例では、口側端セグメント311の壁の厚さは、約0.29ミリメートルである。
【0146】
一実施例では、口側端セグメント311の長さは、6ミリメートル~10ミリメートル、およびより好ましくは、8ミリメートルである。
【0147】
口側端セグメント311は、中空の内部チャンバを提供する一方で、重要な機械的剛性を維持する、らせん状に巻かれた紙管から製造され得る。らせん状に巻かれた紙管は、管の長さ、外径、真円度、および真直度に関する高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0148】
口側端セグメント311は、フィルターセグメント309の出口で蓄積する任意の液体凝縮物がユーザと直接的に接触することを防止する機能を提供する。
【0149】
当然のことながら、一実施例では、口側端セグメント311および冷却セグメント307は、単一の管で形成されてもよく、フィルターセグメント309は、口側端セグメント311と冷却セグメント307とを分離するその管内に位置される。
【0150】
図9の物品300において、通気孔317は、物品300の冷却を促進するために、冷却セグメント307内に位置される。一実施例では、通気孔317は、1つ以上の孔の列を含み、好ましくは、孔の各列は、物品300の長手方向軸に実質的に垂直な断面において、物品300の周りに円周方向に配設される。
【0151】
図9の物品300の一実施例では、物品300に通気を提供するために、1~4列の通気孔317が存在している。通気孔317の各列は、12~36個の通気孔317を有し得る。通気孔317の直径は、例えば、100~500マイクロメートルであってもよい。一実施例では、通気孔317の列間の軸方向分離部は、0.25ミリメートル~0.75ミリメートルであり、より好ましくは、通気孔317の列間の軸方向分離部は、0.5ミリメートルである。
【0152】
図9の物品300の一実施例では、通気孔317は、均一なサイズのものである。別の実施例では、通気孔317は、サイズが異なる。通気孔は、例えば、レーザー技術、冷却セグメント307の機械的穿孔、または物品300内に形成される前の冷却セグメント307の事前穿孔のうちの1つ以上の技術である、任意の好適な技術を使用して作製され得る。通気孔317は、物品300に効果的な冷却を提供するように位置決めされる。
【0153】
図9の物品300の一実施例では、通気孔317の列は、物品300の近位端から少なくとも11ミリメートルに位置し、より好ましくは、通気孔317は、物品300の近位端から17ミリメートル~20ミリメートルに位置する。通気孔317の位置は、物品300が使用中であるときに、ユーザが通気孔317を塞がないように位置決めされる。
【0154】
有利なことに、物品300の近位端から17ミリメートル~20mmの通気孔の列を提供することにより、物品300がエアロゾル生成装置200内に完全に挿入されたときに、通気孔317がエアロゾル生成装置200の外部に位置されることが可能になる。通気孔317を装置200の外側に位置させることによって、非加熱空気は、装置200の外側からの通気孔を通して物品300に入り、物品300の冷却を促進することができる。
【0155】
冷却セグメント307の長さは、物品300が装置200内に完全に挿入されたときに、冷却セグメント307が部分的に装置200内に挿入されるような長さである。
【0156】
図8に示すように、第1のエアロゾル形成基体312の長さは、第1のエアロゾル形成基体312が、キャビティの第1の部分14に沿ってエアロゾル形成基体を受容するためにキャビティ14、18の遠位端から延在するような長さである。第2のエアロゾル形成基体314の長さは、第2のエアロゾル形成基体314が、キャビティ14、18の近位端までキャビティの第2の部分18に沿って延在するような長さである。
【0157】
使用時に、エアロゾル生成物品300がキャビティ14、18内に受容されると、ユーザは、エアロゾル生成システムによって生成されるエアロゾルを吸入するために、エアロゾル生成物品300の近位端で引き出すことができる。ユーザがエアロゾル生成物品300の近位端で引き出したときに、空気は、空気吸込み口280で装置ハウジング202内に引き込まれ、エアロゾル生成物品300のエアロゾル生成セグメント310内に引き込まれる。空気は、第1のエアロゾル形成基体312の近位端内に引き込まれ、かつ第2のエアロゾル形成基体314の近位端内に引き込まれる。
【0158】
この実施形態では、エアロゾル生成装置200のコントローラ208は、誘導加熱装置10のインダクタコイル12、16に所定の順序で電力を供給するように構成されている。所定の順序は、ユーザからの第1の引き出し中に第1の変動する電流を第1のインダクタコイル12に供給することと、その後、第1の引き出しが終わった後に、ユーザからの第2の引き出し中に第2の変動する電流を第2のインダクタコイル16に供給することと、を含む。第3の引き出しでは、順序は、第1のインダクタコイル12で再び始まる。この順序は、第1の吸煙に基づく第1のエアロゾル形成基体312の加熱、および第2の吸煙に基づく第2のエアロゾル形成基体314の加熱をもたらす。物品300のエアロゾル形成基体312、314はすべて異なっているため、この順序は、エアロゾル生成システム上での各吸煙に基づくユーザの異なる体験をもたらす。
【0159】
第1サセプタ11の温度の測定は、ユーザからの第2の引き出しの間に、すなわち、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れないときに実行され得る。同様に、ユーザからの第1の引き出しの間に、すなわち、第1の変動する電流が第1のインダクタコイル12を通って流れるときに、第1のサセプタ11の温度を測定することが回避され得る。
【0160】
第2のサセプタ15の温度の測定は、ユーザからの第1の引き出しの間に、すなわち、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れないときに実行され得る。同様に、ユーザからの第2の引き出しの間に、すなわち、第2の変動する電流が第2のインダクタコイル16を通って流れるときに、第2のサセプタ15の温度を測定することが回避され得る。
【0161】
この方法は、第1のサセプタ11および第2のサセプタ15の温度の測定の精度を改善する。
この実施形態の一実施例では、第1の温度センサ13は、
図5に示すような熱電対131である。別の実施例では、第1の温度センサ13は、
図6に示されるような、抵抗性温度装置139である。別の実施例では、第2の温度装置17は、熱電対131である。別の実施例では、第2の温度センサ17は、抵抗性温度装置139である。