(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-04
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】二重バッフルを有する受動型グリーストラップ
(51)【国際特許分類】
E03F 5/16 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
E03F5/16
(21)【出願番号】P 2021519596
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 US2019054390
(87)【国際公開番号】W WO2020076593
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507145606
【氏名又は名称】サーマコ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス, フランシスコ ハヴィエル
(72)【発明者】
【氏名】ルベオア, ザカリー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バッテン, ウィリアム チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】カイルス, ブルース ダブリュー.
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0016937(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0025811(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0203037(US,A1)
【文献】特開平08-001153(JP,A)
【文献】米国特許第07367459(US,B2)
【文献】国際公開第2005/016486(WO,A1)
【文献】米国特許第06203698(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00-11/00
B01D 24/02-35/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭雑排水及びFOG(脂肪、油、グリース)
及び重固形物を含む廃水から廃棄物を分離するためのグリーストラップであって、
底部及び内部容積を有するタンク;
タンク中に廃水を放出するための放出端を有する、タンク中の入口インバート;
タンクから家庭雑排水を除去するためのドレン端を有する、タンク中の出口インバート;
入口インバートの放出端より下でかつ出口インバートのドレン端より上
でタンクの内部容積を
横断して水平方向に延びる第一バッフ
ル、ただし、第一バッフルは穴を有し、この穴は、それを通って家庭雑排水及び重固形物が第一バッフルの下の経路に下り、出口インバートのドレン端まで行くことを可能にし、第一バッフルは、この穴を通した廃水の流れを除いて廃水の流れを阻止するように構成されている;及び
入口インバートの放出端より上
でタンクの内部容積を
横断して水平方向に延びる第二バッフル、ただし、第二バッフルは上部表面及び穴を有し、この穴
は、それを通ってFOG
が浮遊し、第二バッフルの上部表面より上の
タンクの内部容積中に集合すること
を可能にするように構成されている、
を含むグリーストラップ。
【請求項2】
タンクが、回転成形プラスチック製である、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項3】
タンクをカバーする蓋をさらに含む、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項4】
第一
バッフルと第二バッフル
の間のタンクに入る廃水
が容積
を拡大するように
第一バッフル及び第二バッフルが広がる、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項5】
第一バッフルが、下方に頂点を有する円錐であり、第二バッフルが、上方に頂点を有する円錐である、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項6】
第一バッフルが、円錐であり、第一バッフル中の穴が、下方の頂点にあり、第二バッフルが、円錐であり、第二バッフル中の穴が、上方の頂点にある、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項7】
第一及び第二バッフルが各々
、タンクの内部容積の幅にわたって
水平方向に延びる、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項8】
両バッフルが、タンク中に
入るようにサイズ及び形状を決定された接合周囲壁によって互いに接続される、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項9】
接合周囲壁が、入口インバート
を収容するくぼみ、及び出口インバート
を収容するくぼみを有する、請求項8に記載のグリーストラップ。
【請求項10】
第一バッフルが、下方に延びかつ出口インバートのドレン端を
保護するように配置された鉛直
方向に延びるバッフルを含む、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項11】
第二バッフルが、下方に延びかつ入口インバートの放出端を
保護するように配置された鉛直
方向に延びるバッフルを含む、請求項1に記載のグリーストラップ。
【請求項12】
家庭雑排水及びFOG(脂肪、油、グリース)及び重固形物を含む廃水から廃棄物を分離するためのグリーストラップであって、グリーストラップが、
底部及び内部容積を有するタンク;
タンク中に廃水を放出するための放出端を有する、タンク中の入口インバート;
タンクから家庭雑排水を除去するためのドレン端を有する、タンク中の出口インバート;
入口インバートの放出端より下でかつ出口インバートのドレン端より上
でタンクの内部容積を
横断して水平方向に延びる第一バッフ
ル、ただし、第一バッフルは穴を有し、この穴は、それを通って家庭雑排水及び重固形物が第一バッフルの下の経路に下り、出口インバートのドレン端まで行くことを可能にし、第一バッフルは、この穴を通した廃水の流れを除いて廃水の流れを阻止するように構成されている;及び
入口インバートの放出端より上
でかつ出口インバートのドレン端より上でタンクの内部容積を
横断して水平方向に延びる第二バッフル、ただし、第二バッフルは上部表面及び穴を有し、この穴
は、それを通ってFOG
が浮遊し、第二バッフルの上部表面より上の内部容積中に集合すること
を可能にするように構成されている、
を含み、
第一バッフルが、円錐であり、第一バッフル中の穴が、下方の頂点にあり、第二バッフルが、円錐であり、第二バッフル中の穴が、上方の頂点にあり、両バッフルが、タンク中に
入るようにサイズ及び形状を決定された接合周囲壁によって互いに接続され、
接合周囲壁が、入口インバート
を収容するくぼみ、及び出口インバート
を収容するくぼみを有し、第一
バッフルと第二バッフル
の間のタンクに入る廃水が
容積を拡大するように
第一バッフル及び第二バッフルが広がる、グリーストラップ。
【請求項13】
家庭雑排水及びFOG(脂肪、油、グリース)及び重固形物を含む廃水から廃棄物を分離するためのグリーストラップであって、グリーストラップが、
底部を有する外部タンク;
外部タンク中に廃水を
注入するための
、放出端を有する入口インバート;
外部タンクからの水を
排出するための出口インバート;
各々が外部タンクの内部容積を横断して水平方向に延びかつ各々が穴を有する水平バッフルの内部対であって、一方のバッフルが、放出端より上にあり、他方のバッフルが、放出端より下にあり
、かくして両バッフルが外部タンクを上方、中央及び下方の室に分割するもの、ただし、放出端より上のバッフルは
、上部表面を
有し、放出端より下にあるバッフルは、その穴を通した家庭雑排水及び重固形物の流れを除いて家庭雑排水及び重固形物の流れを阻止するように構成されている、
を含み、
それによってFOG(脂肪、油、グリース)及び固形物が、中央の室内で廃水から分離し、家庭雑排水及び重固形物が両バッフルのうちの下方のものの穴を通って下方の室に落ち、FOGが、両バッフルのうちの上方のものの穴を通って上方の室に入るように上昇し、上部表面より上で上部表面にわたって
外部タンクの内部容積中の上方の室中に集合し、出口インバートに流れる流れから両バッフルによって隔離され、それによってグリーストラップを出る家庭雑排水中への、隔離されたFOGの後での混合を阻止する、グリーストラップ。
【請求項14】
請求項1に記載のグリーストラップを使用して家庭雑排水からFOG(脂肪、油、グリース)を分離する方法であって、
FOG及び家庭雑排水
及び重固形物を有する廃水を
第一バッフルと
第二バッフルの間のタンク中に放出すること
、ただし第二バッフルは、タンクの内部容積を横断して水平方向に延び、第一バッフルは、穴を有する;
第一バッフルの穴を通した経路以外の経路で家庭雑排水
及び重固形物が
タンク内で第一バッフル
の下に下
ることを阻止し、
家庭雑排水及び重固形物が上方経路に沿ってタンクを出て
第二バッフルより上の出口に出ることを可能にすること;及び
FOGが
第二バッフル中の穴を通って浮遊し、
第二バッフルの上部表面より上の
タンクの内部容積中に集合することを可能にし、それによってタンクを出る家庭雑排水の流れにFOGが連行されることが防止されること
を含む方法。
【請求項15】
FOG及び家庭雑排水を有する廃水を
第一バッフルと
第二バッフルの間のタンク中に放出することが、廃水がタンクに入るとき
に廃水の経路をそらせ、
その後に廃水が第一バッフル及び第二バッフルに出会い、FOGが
第二バッフルの方に浮遊するための経路を残しながら、廃水が
第一バッフルの方に進む
ようにすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
家庭雑排水がタンクを出ることを可能にすることが
、家庭雑排水がタンクを出るために移動する経路を延ばすために、家庭雑排水の経路をそらし、
その後に家庭雑排水が第一バッフル中の穴を通って下るようにすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
FOG及び家庭雑排水
及び重固形物を有する廃水をタンク中に放出することが、家庭雑排水が下部バッフル中の穴を通ってタンク中を下るときに
重固形物が家庭雑排水と共に移動するように廃水中に
重固形物を放出することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
歴史的に、グリーストラップ(grease trap)は、廃水を介して下水システム中に運ばれるグリース(grease)及び固形廃棄物の量を制限するためにレストラン及び他の商業施設で使用されている。典型的なグリーストラップは、受動型グリーストラップ又は自動型グリーストラップのいずれかである。受動型グリーストラップは、通常、廃棄物を定期的になくすだけであり、それゆえ廃棄物は、タンクの内側に築き上げられる傾向を持つ。受動型グリーストラップは、典型的に、廃水を取り入れる入口、及びシステムからタンクの外に水を運ぶ出口を有するタンクを含む。軽いグリースは、タンクの上に上昇し、重い固形物は、タンクの底に沈降する。多くのグリーストラップの問題は、既に分離されたグリースを崩壊するような速度で水がシステム内を洗い流すことがあり、それにより、廃棄物が家庭雑排水(grey water)と共に追い出されることがあるということである。これは、タンクがグリースで満たされているときに特に当てはまり、従ってグリース/水の界面は、グリーストラップの底により近い。
【背景技術】
【0002】
ノースカロライナ州のAsheboroのThermaco,Inc.によって販売されるグリーストラップのTrapzillaシリーズによって例示されるように、最近の10年間で実質的な進歩がなされた。Trapzillaグリーストラップについての情報は、htfp://thermaco.com//trapzillaで入手可能であり、Trapzilla技術は、Battenらの米国特許第7367459号、Battenらの米国特許第7641805号、McBrideらの米国特許第9528258号、Battenらの米国特許第9932247号に開示されている。これらの文献の開示は、ここに参考として組み入れられる。
【0003】
実質的な商業的成功及び工業的認識を獲得したが、これらの装置は、まだ少量のFOGが家庭雑排水とともに下流に流れることを許容しており、従って改良の余地がある。一部の実施例では、ここに開示された改良は、上に開示された特許に開示された構造に加えられることができ、この開示は、一部の実施例では、ここに開示されたいずれかの構造とそれらの構造の組み合わせをカバーすると見なされるべきである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、家庭雑排水及びFOGを含む廃水から廃棄物を分離するためのグリーストラップであって、底部及び内部容積を有するタンクを有するものを提供することによって、一つ以上のこれらの要求を満たすものである。一つの実施形態によれば、タンク中の入口インバート(invert)は、タンク中に廃水を放出するための放出端を有し、タンク中の出口インバートは、タンクから家庭雑排水を除去するためのドレン端を有する。第一バッフルは、入口インバートの放出端より下でかつ出口インバートのドレン端より上の内部容積を横切る。第一バッフルは穴を有し、この穴を通って家庭雑排水は第一バッフルの下の経路に下り、出口インバートのドレン端まで行くことができる。第二バッフルは、入口インバートの放出端より上の内部容積を横切る。第二バッフルは穴を有し、この穴を通ってFOGは浮遊し、第二バッフルより上で集合することができる。タンクは、回転成形(roto-molded)プラスチック製であることができるか、又はタンクをカバーする蓋をさらに与えられることができる。
【0005】
第一及び第二バッフルは、両バッフル間のタンクに入る廃水が、拡大する容積に出会うように広がる(diverge)ことができる。第一バッフルは、下方に頂点を有する円錐であることができ、第二バッフルは、上方に頂点を有する円錐であることができる。第一バッフル中の穴は、下方の頂点にあることが好ましい。第二バッフル中の穴は、上方の頂点にあることが好ましい。第一及び第二バッフルは各々、実質的にタンクの内部容積の幅にわたって延びることができる。両バッフルは、タンク中に入れ子になる(nest)ようにサイズ及び形状を決定された接合周囲壁によって互いに接続されることができる。周囲壁は、入口インバートのためのくぼみ(indentation)、及び出口インバートのためのくぼみを有することが好ましい。
【0006】
第一バッフルは、下方に延びかつ出口インバートのドレン端を遮蔽するように配置された鉛直バッフルを含むことができる。同様に、第二バッフルは、下方に延びかつ入口インバートの放出端を遮蔽するように配置された鉛直バッフルを含むことができる。
【0007】
本発明はまた、廃水から廃棄物を分離するためのグリーストラップであって、グリーストラップが、底部を有する外部タンク;タンク中に廃水を向けるための放出端を有する入口インバート;タンクからの水を向けるための出口インバート;各々が穴を有する水平バッフルの内部対であって、一方のバッフルが、放出端より上にあり、他方のバッフルが、放出端より下にあり、かくして両バッフルが外部タンクを上方、中央及び下方の室に分割するものを含むグリーストラップとしても考えられることができる。FOG及び固形物は、中央の室内で廃水から分離し、家庭雑排水及び重固形物は両バッフルのうちの下方のものの穴を通って下方の室に落ち、FOGは、両バッフルのうちの上方のものの穴を通って上方の室に入るように上昇し、出口インバートに流れる流れから両バッフルによって隔離され、それによってグリーストラップを出る家庭雑排水中への、隔離されたFOGの後での混合を阻止する。
【0008】
本発明はまた、家庭雑排水からFOGを分離する方法であって、FOG及び家庭雑排水を有する廃水を上部バッフルと下部バッフルの間のタンク中に放出すること;家庭雑排水が下部バッフル中の穴を通ってタンク内で下り、上方経路に沿ってタンクを出て上部バッフルより上の出口に出ることを可能にすること;及びFOGが上部バッフル中の穴を通って浮遊することを可能にし、それによってタンクを出る家庭雑排水の流れにFOGが連行されることが防止されることを含む方法しても考えられることができる。FOG及び家庭雑排水を有する廃水を上部バッフルと下部バッフルの間のタンク中に放出することは、廃水がタンクに入るときに上部バッフル及び下部バッフルに出会う前に廃水の経路をそらせ、FOGが上部バッフルの方に浮遊するための経路を残しながら、廃水が下部バッフルの方に進むことを含むことができる。家庭雑排水がタンクを出ることを可能にすることは、家庭雑排水が下部バッフル中の穴を通って下った後に家庭雑排水の経路をそらし、家庭雑排水がタンクを出るために移動する(traverse to)経路を延ばすことを含むことができる。FOG及び家庭雑排水を有する廃水をタンク中に放出することは、家庭雑排水が下部バッフル中の穴を通ってタンク中を下るときに固形物が家庭雑排水と共に移動する(traverse with)ように廃水中に固形物を放出することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、図面を参照して本発明の実施形態の詳細な説明を読むことによってより良く理解されるだろう。
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一つの実施形態による改良されたグリーストラップの概略図である。
【0011】
【
図2】
図2は、グリーストラップの一例の分解図である。
【0012】
【
図3】
図3は、
図2のグリーストラップの内部タンクの一例の内部図である。
【0013】
【
図4】
図4は、
図2のグリーストラップの一例の断面図である。
【0014】
【
図5】
図5は、本開示の発明によるインサートの別の実施形態の側面図である。
【0015】
【0016】
【
図7】
図7は、
図5のインサートを使用して形成された入口インバート及び出口インバートの中央を含むグリーストラップの中央を通した断面部の一例である。
【0017】
【
図8】
図8は、本発明によるグリーストラップの一例の側面図である。
【0018】
【
図9】
図9は、
図8によるグリーストラップの一例の分解端部図である。
【0019】
【0020】
【
図11】
図11は、
図8によるグリーストラップの内部タンクを示すさらなる分解図である。
【0021】
【0022】
【0023】
【
図14】
図14は、
図8によるグリーストラップの内部タンクの一例の側面図である。
【0024】
【0025】
【
図16】
図16は、
図8によるグリーストラップの内部タンクの一例の上部透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で開示される改良されたグリーストラップは、米国特許第7367459号に開示のグリーストラップの改良とみなされることができる。このグリーストラップは、ノースカロライナ州のAsheboroのThermaco,Inc.によってグリーストラップのTrapzillaシリーズとして販売され、かなりの商業的成功を収めている。本発明の改良されたグリーストラップのいくつかの例(その一例は、
図1に示されている)を具体的に説明する前に、グリーストラップの一般的な構造及び作動の一部分の
図2~4のいくつかの態様に関する以下の議論が、本発明の改良の作動及び従来技術との相違を当業者が理解するのに役立つだろう。
【0027】
図2は、廃水から固形物とFOGを分離するためのFOGトラップ10を示す。FOGトラップ10は、
図2に示されるような下方に頂点を有する円錐形の底部13を有する外部タンク12を含む。底部は、倒立したピラミッド形、ボール形、傾斜した平面などの形状を有することができる。好ましくは、底部の最下部は、中央に位置しているが、これは必須ではない。
図2に示されるように、入口インバート20が、廃水源(例えば、台所の流しの排水管)への接続のために与えられており、廃水が外部タンク12に流入することを可能にする。FOGトラップ10はまた、タンクの蓋16を含む。タンクの蓋16は、出口孔18を含み、そこには除去可能なクロージャー19が与えられている。出口孔18は、パイプの接続を可能にし、このパイプを通して、固形物及びFOGがグリーストラップ10の外に吸い出されることができる。ガスを換気するために、又は重い固形物を底部13から選択的に除去するために、又は上方の室26中に捕捉されたFOGを選択的に除去するために、他の出口孔が
図4に示されるように与えられることもできる。
【0028】
図2は、分解図を示す。グリーストラップ10は、底部13を有する外部タンク12を含む。内部タンク14が、内部タンク14の壁14aと外部タンク12の壁12aの間に(もしあったとても)極めてわずかの空間しか存在しないように外部タンク12中に挿入される。他の形状(例えば五角形、台形、三角形又は自由な形状)のグリーストラップの周囲形状も、使用されることができる。
【0029】
内部タンク14は、底部15を有する。
図4に示されるように、この底部15が倒立したピラミッドの形状であると、内部タンク14の底部15と外部タンク12の底部13が広がる。底部15は、外部タンク12を、上方の室26(そこには、軽いFOGが集合することができる)と下方の室28(そこには、重い固形物が沈降することができる)とに分割する。
【0030】
水、固形物及びFOGからなる廃水が入口インバート20を通してタンクに流入するにつれて、廃水の速度は低下する。なぜなら、底部15と底部13の間の分離が増大し、廃水が出会うその断面積が増大するからである。より大きな断面積によって滞在時間を増大させてより大きな分離を可能にするというこの考え方は、Battenの米国特許第6238572号に開示されている。この特許の全体の開示は、参照によって本明細書に組み入れられる。廃水の速度が低いほど、軽いFOGが水から分離されることができる確率が増大する。分離されたFOGは、底部15の頂点に上昇し、底部15の中央孔24を通る。最大の広がり(divergence)の位置を通過した後、廃水(そのFOGはほぼ除去されている)は、中央から出口インバート22へと進むにつれてその速度を増大させることができる。
【0031】
好ましくは、いくつかの実施形態では、内部タンク14及び外部タンク12は、回転成形プラスチック製である。ある場合には、入口インバート、出口インバート、及び外部タンクは、一体として成形されることができる。しかし、グリーストラップ10は、金属からなることができ、部品は、一緒に溶接されるか又は他の締結具によって接合されることができる。
【0032】
図2に示されるように、円筒形の実施形態では、入口インバートは、ベント50を含むことができる。このベント50は、グリーストラップ10からのガスを換気するためのものであり、サイホン防止手段(anti-siphon)として作用する。ベント50は、もしグリーストラップが建物内に設置されるのならグリーストラップ10からの臭気が建物の内部領域に逃げるのを防止するために、外部換気システムに接続されることができる。
【0033】
図2に最も良く示されるように、内部タンク14は、回転成形されているので、内部タンク14は、外部タンク12中に通じる入口インバート20及び外部タンク12から外に通じる出口インバート22の上をスライドして定位置に入る。このようにして、内部タンク14は、グリーストラップ10中に通じるインバートパイプ及びグリーストラップ10から外に通じるインバートパイプを妨害することなしに除去されることができる。
【0034】
内部タンク14の壁は、
図3及び
図4に示されるように、底部15を支持することに役立つ。タンクについては、円筒形の方が矩形よりも強いが、グリーストラップは、正方形、矩形又は他の形状であることができる。
【0035】
好ましい実施形態では、入口インバート20の出口孔の端は、底部13中の貯蔵空間を最大とするために、可能な限り高くすることが必要である。もし入口インバート20が固形物の層の高さより上になければ、固形物の層は、廃水が入口インバート20を介して下方の室28に流入するときにかき乱されるおそれがある。
【0036】
図2及び
図4に示されるように、パイプ17が、蓋16中の出口18から内部タンク14の上方の室26を通して、内部タンク14の底部15中の孔24を通して延びるように挿入されることができる。好ましくは、パイプ17は、孔24よりも小さい直径を有する。これにより、軽いFOGが孔24とそこに挿入されたパイプ17の間の空間を通して内部タンク14に流入することができる。
【0037】
グリーストラップ10の作動において、廃水は、入口インバート20を介してグリーストラップ10に入る。廃水は、底部15と底部13の間の広がる空間に流入する。底部15と底部13はタンクの端からタンクの中央へと広がっているので、広がっている領域中に廃水が流入するにつれて、廃水の速度は低下し、これによりFOGが重力の影響下で上昇することを可能にする。なぜなら、FOGは廃水よりも密度が小さいからである。重い固形物は、底部13に沈降する。軽いFOGは、底部15に集合し、
図4に示されるように、中央の孔24を通して内部タンク14中へと浮上する。軽いFOGは、入口インバート20と出口インバート22の間の流出水のための流路の外側の位置に蓄積するので、流出水中に連行されるFOGは少なく、FOGが出口インバート22を介してグリーストラップ10の外側に通過して出ることはない。底部15は、内部タンク14中の底部より上に捕捉されたFOGを隔離するバリアを与え、家庭雑排水の流れからのFOGが入口インバート20から出口インバート22へと流れることを防止する。従って、家庭雑排水の流れは、隔離されたFOGを連行せず、それを出口インバート22を介してグリーストラップ10の外側に流し出さない。
【0038】
底部13に集合した重い固形物は、パイプ17を通して外へとポンピングされることができる。連続したポンピングは、タンク12から水を引き出し、FOGを下方の室28に、そしてパイプ17を通して外へと引き出す。パイプ17は、厳密に垂直である必要はなく、それが下方の室28から伸びており、固形物及びFOGのポンピングを可能にする限り、傾斜されていてもよいし、水平要素を有していてもよい。
【0039】
図1は、改良されたグリーストラップ110の一例を示す。それは、外部タンク112及び内部タンク119を含む。外部タンク112は、いくつかの実施形態では、それが入口インバート120を形成するそれ自身の外部配管を含むという点でタンク12とは異なるが、別個の入口インバート構造が使用されることができる。いずれの場合にも、入口インバートは、
図1の以前に示されたグリーストラップよりもいくらか短く、内部タンク114の
バッフル115と
バッフル117の間にグリーストラップ中へのその間口を有する。
バッフル115と
バッフル117は、実質的にタンク114の内部容積の幅にわたって延びている。内部タンクは、出口インバート122のまわりへの嵌合を可能にするくぼみを有する。出口インバートを内部タンクに一体として組み込む構造は、本発明の範囲内である。
【0040】
バッフル115とバッフル117は、廃水が入口インバート120から出口インバート122へと流れるにつれて、増大する断面積の容積が形成されるように広がる。バッフル115とバッフル117のそれぞれは、穴を好ましくはその頂点に与えられている。広がる容積は、流れがバッフルに衝突せずに移動することを可能にする。上方バッフルの傾斜は、FOGが上方の室中へ容易に上昇することを可能にし、下方バッフルの傾斜は、固形物がタンクの底部に容易に進むことを可能にする。バッフル115とバッフル117は、円錐形、ピラミッド形、ボール形、傾斜した平面、又は他の非平坦かつ非水平の形状であることができる。穴は、通常、バッフル115及びバッフル117のそれぞれの中央にあるが、必ずしもそうである必要はない。
【0041】
バッフル117は、外部タンクの底113より上に配置されており、両者の間に実質的な容積を残しており、この容積の中に固形物が集合することができる一方で、家庭雑排水がバッフル117中の穴から出口インバート122へと流れることを可能にする。バッフル115は、出口インバート122の水平部分123の底部よりも低い。出口インバート122の水平部分123は通常、下水ラインに接続されており、タンク112中の静止水レベルを規定する。タンク112中の家庭雑排水より上に集合したFOGは、静止水レベルよりも少し上に上昇する。なぜなら、FOGは水よりも比重が小さく、従って、FOGは、それが押しのける水の厚さよりも大きい厚さを有するからである。好ましくは、バッフル115は、実質的な量のFOGがバッフル115より上に蓄積することを可能にするのに十分な高さを有する。従って、グリーストラップのポンピングは、それほど頻繁に行なわれる必要はない。
【0042】
バッフル115の底部は、それに従属するバッフル140を有する。このバッフル140は、入口インバート120と整列する。バッフル140は、流入する廃水を周囲に、廃水の速度を低下させるためのバッフル115とバッフル117の間の空間にそらせる。これは、広がるバッフル115とバッフル117が廃水の速度を低下させるのと同様である。速度の低下した廃水中のFOGは、バッフル115に向かって、そしてその穴224を通して上昇する。バッフル115より上のFOGは、入口インバート120から出口インバート122へと移動する廃水から隔離され、廃水中へのFOGの再連行が防止される。固形物体及び家庭雑排水は、バッフル117中の穴124を通して下り、バッフル117より下の幅広の空間、及び出口インバート122への直接の流入を阻止するために配置されたバッフル142によって再び速度を低下させられ、それにより出口インバートのドレン端を保護する。廃水中に残留するFOGは、穴124及び穴224を通して移動するのにいくらか時間がかかる。他の残留FOGは、出口インバートの外側へ、穴323を通してバッフル115より上の空間への道を見つけることができ、そこでFOGは、速度の高い廃水の流れから保護される。
【0043】
バッフル115及び117は、入口インバート120、出口インバート114及びバッフル140,142のための追加の成形された構造と共に、タンク112の周囲側壁の内側に嵌合する周囲側壁によって接合されることができる。これは、組み合わせられた部品が一つの成形操作において形成されることができるという利点を与える。バッフル115及び117、周囲側壁、入口インバート120、出口インバート114及びバッフル140,142は全て、回転成形によってワンピースで形成されることができる。代替的に、これらの部品は、別個の片から組み立てられることができる。
【0044】
穴を有する蓋16が与えられることができる。この穴には、キャップが取り付けられることができる。この穴のキャップは、上述のように固形物及びFOGをポンピングするために取りはずされることができる。
【0045】
代替的な実施形態が
図5、
図6に示されている。これらの図は、
図7の組み立てられたグリーストラップのための挿入要素313を示す。
図5及び
図6において、二つの
バッフル315及び317は、
それらを一緒に接合する周囲壁319中のくぼみとして成形され、これらのくぼみは穴324及び424を規定する。
図6は、入口インバートを受けるための成形特徴420及び出口インバートを受けるための成形特徴422の位置を示す。
【0046】
図7に示されるグリーストラップは、外部タンク312、
外部タンク312中に入るような寸法及び形状を有する図5及び
図6に示される挿入要素313、及び入口インバート320を完成させるのに役立つ管要素421を有する。管要素421は、回転成形された挿入要素313中の穴を閉鎖する。管要素421中の成形されたアイテム340と挿入要素313とのインターロッキングは、管要素421を定位置に保持し、外部タンク312の外部壁に対してくさび止めする。
図7のグリーストラップは、サイホン防止手段として作用するベントパイプ350を含む。
【0047】
グリーストラップは、タンク中のFOG、水又は固形物のレベルを検出するためのセンサーなどの追加の要素を有することができる。これらのセンサーの例は、Battenらへの米国特許第8252188号及び第7828960号に示されている。別個の固形物収集器の例は、Battenらへの米国特許第7641805号に示されている。増大された容量形状の例は、Battenらへの米国特許第9932247号に示されている。グリーストラップの作動のモニタリングの例は、BattenらへのWO2017/035220に示されている。これらの文献の開示は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0048】
作動において、FOGは、廃水中の家庭雑排水から分離されることができる。FOG及び家庭雑排水を有する廃水は、入口120,320を通してタンク112,312中へ、上方バッフル115,315と下方バッフル117,317の間に放出され、家庭雑排水がタンク中を、下方バッフル117,317の穴124,324を通して下り、出口122,322を通して上向きの経路に沿って、上方バッフル115,315より上の出口123へとタンクから出ることを可能にする。FOGは、上方バッフル115,315の穴224,424を通して浮遊し、そこでFOGは、タンクを出る家庭雑排水の流れ中に連行されることを防止される。廃水中の固形物は、家庭雑排水がタンク中を、下方バッフル117,317の穴124,324を通して下るにつれて家庭雑排水と共に移動し、そこでそれは集合するか、又は出口122,322へと流し出される。
【0049】
図1の実施形態では、廃水がタンク112に入るときに(廃水が上方
バッフル115及び下方
バッフル117に出会う前に)廃水は、
入口インバートの放出端又はドレン端で保護として作用するバッフル140に出会うので、廃水は、下方
バッフル117に向かって進む一方で、FOGが上部バッフル115へと浮遊するための経路を残す。家庭雑排水がタンクから出るために移動するにつれ、それはバッフル142に出会い、タンクから出るために移動するための家庭雑排水の経路を延長させる。
【0050】
隔離されたFOGとタンクから出る家庭雑排水の間の第二バッフルは、作動をさらに向上させ、廃水からのFOGのほぼ完全な除去をもたらす。規格ASME A112.14.13(Grease Interceptor Rating Tests)は、従来のユニットよりも約9倍長いFOGの99%除去(99%の累積、そして97%の増分)を示す(そして、いくつかの例では、ドロップ数によって評価して9倍の改良を示す)。
【0051】
特定の修正及び改良は、上記の説明を読めば当業者に思い浮かぶだろう。全てのそのような修正及び改良は、簡潔さのため省略されたが、請求の範囲内で適切になされることができることが理解されるべきである。