(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】蒸気圧縮冷凍システムにおける逆サイクル除霜のための相変化物質に基づく強化
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20220208BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20220208BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
F25B47/02 550F
F25B13/00 351
F28D20/02
(21)【出願番号】P 2019520506
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 GB2017051845
(87)【国際公開番号】W WO2017221025
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-17
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518455088
【氏名又は名称】サンアンプ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ビッセル、アンドリュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ザグリオ、マウリツィオ
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-287903(JP,A)
【文献】実開昭58-087070(JP,U)
【文献】特開平03-084370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0338389(US,A1)
【文献】特開平02-298771(JP,A)
【文献】特開昭62-294856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F28D 20/02
F25B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合された熱伝導システムに使用される熱エネルギー貯蔵システムであって、
少なくとも1つのコイルを有する熱交換器を含む少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを有する熱貯蔵部と、
1または複数の蒸発器と、
前記熱貯蔵部と前記1または複数の蒸発器との間に位置する減圧装置と、
凝縮器と、
迂回手段と
を備え、
前記少なくとも1つのコイルは相変化物質で囲まれており、
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いに、および、熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含み、
前記熱貯蔵部は、前記凝縮器と前記減圧装置との間に位置し、
前記迂回手段は、
前記減圧装置を迂回せずに前記凝縮器を迂回することが可能であり、除霜段階のエネルギーを、前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットからのみ奪うことを可能にする、
熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、前記少なくとも1つのコイルと同一場所に配置された内部金属フィンを追加的に含む、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は、1または複数のろう、パラフィン、1または複数の脂肪酸またはその塩水和物、1または複数の有機‐有機共晶化合物、1または複数の有機‐無機共晶化合物、1または複数の無機‐無機共晶化合物、または1または複数の吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む組成から独立的に選択される相変化物質を含む、請求項1または2に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
各熱エネルギー貯蔵ユニットのための前記迂回手段は、1または複数の方向転換弁、または、1または複数のソレノイド弁から独立的に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は同一のまたは異なる相変化物質を有し、前記相変化物質は、1または複数のろう、パラフィン、1または複数の脂肪酸またはその塩水和物、1または複数の有機‐有機共晶化合物、1または複数の有機‐無機共晶化合物、1または複数の無機‐無機共晶化合物、または1または複数の吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む組成から独立的に選択される、請求項1または2に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記少なくとも2つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニット内の1つのコイル、すなわち一次コイルは冷媒流体との使用に専用であり、前記凝縮器および前記減圧装置の両方に相互接続されている、請求項1から5の何れか1つに記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記少なくとも2つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニット内の1または複数のコイル、すなわち二次コイルは、熱伝導流体との使用に専用であり、前記二次コイルは各熱貯蔵ユニット内の前記相変化物質と熱を交換するよう適合されている、請求項6に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
1または複数の前記二次コイルは、熱伝導システム内での除霜または熱貯蔵のさらなるサービスに接続される、請求項7に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記熱伝導流体は水、水‐グリコール混合物、または冷媒である、請求項7または8に記載の熱エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱エネルギー貯蔵システムを備えた熱伝導システムであって、
前記熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備え、これらのコンポーネントは互いに、および、前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されている、熱伝導システム。
【請求項11】
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、前記熱伝導システムの中に配置されている、請求項10に記載の熱伝導システム。
【請求項12】
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、前記熱伝導システムの外に配置され、接続手段により前記熱伝導システムに結合されている、請求項10に記載の熱伝導システム。
【請求項13】
前記接続手段は、冷媒接続である、請求項12に記載の熱伝導システム。
【請求項14】
前記減圧装置は膨脹弁である、請求項10から13のいずれか一項に記載の熱伝導システム。
【請求項15】
着霜条件の検出および管理のための手段をさらに備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の熱伝導システム。
【請求項16】
前記検出のための手段は、前記熱伝導システム内の複数の箇所における温度、圧力および電力の測定のための複数のセンサを含む、請求項15に記載の熱伝導システム。
【請求項17】
少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合された熱伝導システムに使用される熱エネルギー貯蔵システムであって、
少なくとも1つのコイルを有する熱交換器を含む少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを有する熱貯蔵部と、
1または複数の蒸発器と、
前記熱貯蔵部と前記1または複数の蒸発器との間に位置する減圧装置と、
凝縮器と、
迂回手段と
を備え、
前記少なくとも1つのコイルは相変化物質で囲まれており、
前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いに、および、熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含み、
前記熱貯蔵部は、前記凝縮器と前記減圧装置との間に位置し、
前記迂回手段は、前記凝縮器を迂回することが可能であり、除霜段階のエネルギーを、前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットからのみ奪うことを可能にする、
熱エネルギー貯蔵システムを備えた熱伝導システムであって、
前記熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備え、これらのコンポーネントは互いに、および、前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、
前記熱伝導システムは、着霜条件の検出および管理のための手段をさらに備え、
着霜条件の前記管理のための前記手段は、前記1または複数の圧縮器と前記凝縮器との間に配置された4方向逆転弁および凝縮器の方向転換手段の組み合わせであり、前記4方向逆転弁は、前記1または複数の圧縮器から前記1または複数の凝縮器への流体/蒸気の流れを停止するよう適合されており、前記方向転換手段は前記熱伝導システム内の前記流体/蒸気の前記流れに前記1または複数の凝縮器を迂回させ、サイクルは逆転され、前記1または複数の圧縮器から蒸気を前記1または複数の蒸発器に供給した後、前記1または複数の減圧装置へ、次に1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットへと供給し、この逆サイクルが必要に応じて繰り返される
、熱伝導システム。
【請求項18】
請求項10から17のいずれか一項に記載の熱伝導システムでの冷凍プロセスにおける少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットの使用方法であって、前記熱伝導システムは1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を含み、前記1または複数の圧縮器、前記1または複数の蒸発器、前記1または複数の減圧装置および前記1または複数の凝縮器は、互いに、および、前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、前記冷凍プロセスは、
(i)冷媒流体または作動流体を熱伝導システムへ供給すること、
(ii)1または複数の圧縮器内で、予め定められた圧力および温度の条件下で前記冷媒流体または作動流体を加圧および加熱し、前記冷媒流体または作動流体を蒸発させること、
(iii)このようにして形成された昇温の加圧された蒸気を、1または複数の凝縮器へ供給すること、
(iv)前記蒸気を冷却し、降温の加圧された凝縮した液体または加圧された液体/蒸気の混在物をもたらすこと、
(v)前記液体または液体/蒸気の混在物を前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットに供給すること、
(vi)前記少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニット内の熱エネルギー交換手段により温度を下げ、前記液体または液体/蒸気の混在物を1または複数の減圧装置に供給すること、
(vii)降温および減圧された前記液体または液体/蒸気の混在物を1または複数の蒸発器に供給すること、
(viii)前記液体または液体/蒸気の混在物を再加熱し蒸気をもたらし、得られた再蒸発物を前記1または複数の圧縮器に供給すること、を含む、使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプおよび任意の蒸気圧縮冷凍システムにおける蒸発器の除霜を目的とする除霜方法およびそのアーキテクチャに関する。また、本発明は少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合されたシステム(熱伝導システム)との使用に好適な、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備える熱エネルギー貯蔵システムにも関する。より具体的には、本発明は、除霜サイクルの前に凝縮器に供給されたエネルギーに影響を及ぼすことなく、蒸発器を除霜するためのヒートポンプおよび任意の蒸気圧縮冷凍システムと共に使用するための熱貯蔵システムに関する。本発明は、ヒートポンプまたは蒸気圧縮冷凍システムと共に使用するための熱エネルギー貯蔵システム、除霜サイクルの前に凝縮器に供給されたエネルギーに影響を及ぼすことなく蒸発器を除霜する方法、およびヒートポンプまたは蒸気圧縮冷凍システムにおいて蒸発器を除霜するためのシステムアーキテクチャにも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプおよび蒸気圧縮冷凍システムは、例えば電力のような外力を用いて、熱を熱流の自然な方向とは逆向きに移動させ、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクに熱を伝える。これは、熱源からの熱エネルギーを高めることによりヒートシンクの温度を上げること、または、熱源からの熱エネルギーを低めることによりヒートシンクの温度を下げることのいずれにも当てはまる。
【0003】
例えば、居住環境を加熱する、車のキャビンを涼しくする、および冷凍室内の空気を冷却するといったように、蒸気圧縮サイクルは、熱をより冷たい環境からより熱い環境へと移動させる様々な用途において周知であり、且つ一般に用いられている。
【0004】
図1に示すように、作動流体、典型的には冷媒が圧縮器(1)により加圧され、高温高圧の蒸気の状態になる。次に高温の加圧された蒸気が凝縮器(2)内で冷却され、凝縮器(2)において当該蒸気は熱を放出し、温和な温度で高圧の液体または液体と蒸気との混在物に凝縮する。次にこの液体または液体と蒸気との混在物は減圧装置(3)に入り、低温の液体または蒸気と液体との混在物になる。最終段階として、この液体または液体と蒸気との混在物は蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)内で、液体または液体と蒸気との混在物は加熱されて再度蒸発した後、圧縮器に戻る。
【0005】
この技術の周知の問題として、蒸発器の周りの周囲温度が着霜条件に到達すると、コイル上に氷が形成され、冷媒と周囲空気との間の熱伝導率を下げることである。これは、蒸発器の有効性の損失につながり、何らの措置も取らないと、ヒートポンプまたは蒸気圧縮冷凍システムの停止をもたらし得る。
【0006】
着霜条件に到達し、蒸発器内で氷が形成され始めると、先行技術において蒸発器を除霜するための各種方法が知られている。今日では、逆サイクル除霜が一般に用いられている。
図2に示すように、逆サイクル除霜は、4方向逆転弁(5)の位置を切り替えることで、冷媒の流れを一時的に逆転させ、その結果、圧縮器(1)が高温高圧の蒸気を蒸発器(4)へ向かわせ、蒸発器はこのとき凝縮器として作動し、そこで当該蒸気が冷却され、その間に氷が融解される。
【0007】
続けて、高圧で温和な温度の液体は減圧装置(3)を通って膨張した後、凝縮器(2)に入り、このとき凝縮器は蒸発器として作動し、当該液体は再び加熱される。次に、低圧で高温の蒸気は圧縮器に入り、蒸発器のすべての氷が融解されるまで、サイクルが再開される。通常運転において、ヒートポンプまたは任意の蒸気圧縮冷凍システムが、凝縮器(2)に接続された対象のヒートシンク、例えば温水を供給する水タンク、または家屋を加熱するためのラジエータシステムの回路を加熱するために用いられる場合、逆サイクル除霜は、このヒートシンクに既に供給済みのエネルギーの一部が蒸発器の氷を融解するために用いられ、最終的に温水タンクまたはラジエータの温度を冷却させ、内部環境の快適さを下げるという明確な欠点を有する。
【0008】
従って、改善された除霜システムを提供することが望ましい。
【0009】
故に、温水タンク、ラジエータ等の関連する付属的システムに対し影響を及ぼすことなく、着霜の問題に対処する改善された除霜システムを提供することが望ましい。
【0010】
本出願人は、改善された除霜システムを含み、先行技術のシステムのこのような問題を克服する、新規な熱エネルギー貯蔵システムを開発した。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様によると、本発明は、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝達するように適合されたシステム(熱伝導システム)との使用に好適な熱エネルギー貯蔵システムを提供する。当該熱エネルギー貯蔵システムは少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備え、上記少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、上記熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含む。
【0012】
また、本発明は第1の態様または任意の他の態様による熱エネルギー貯蔵システムを提供する。上記システムは少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備え、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、少なくとも1つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニットは2または2より多いコイルを備える熱交換器を有する熱貯蔵部し、上記熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は、随意に且つ独立的に熱エネルギー貯蔵部のための迂回手段を含んでよい。
【0013】
また、本発明は本明細書で詳述するような熱エネルギー貯蔵システムの第1の態様または任意の他の態様による、1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットを含む熱伝導システムを提供する。上記熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備え、上記コンポーネントは、互いにおよび/または1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されている。
【0014】
少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、1または複数のコイルと同一場所に配置された内部金属フィンを追加的に含んでよい。
【0015】
また、熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備えてもよい。
【0016】
熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は、次のうち任意のもの、または組み合わせを含む組成から独立的に選択されてよい相変化物質を含んでよい。すなわち、1または複数のろう、パラフィン、1または複数の脂肪酸またはその塩水和物、1または複数の有機‐有機共晶化合物、1または複数の有機‐無機共晶化合物、1または複数の無機‐無機共晶化合物、または、1または複数の吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0017】
また、熱エネルギー貯蔵システムは少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備えてもよく、各熱エネルギー貯蔵ユニットは、随意に且つ独立的に熱エネルギーユニットのための迂回手段を含んでよい。
【0018】
また、熱エネルギー貯蔵システムは、各熱エネルギー貯蔵ユニットのための迂回手段を含んでもよく、当該迂回手段は、1または複数の方向転換弁、1または複数のシステム弁、または1または複数のソレノイド弁から独立的に選択されてよい。
【0019】
また、熱エネルギー貯蔵システムは少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを含んでよく、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有してよく、上記1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、少なくとも1つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニットは、2または2より多いコイルを備える熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は随意に且つ独立的に熱エネルギー貯蔵部のための迂回手段を含んでよい。
【0020】
また、熱エネルギー貯蔵システムは、熱エネルギー貯蔵部のための迂回手段を含んでよい熱エネルギー貯蔵ユニットのうち少なくとも1つを備えてよく、上記迂回手段は、1または複数の方向転換弁、1または複数のシステム弁、または1または複数のソレノイド弁から独立的に選択される。
【0021】
また、熱エネルギー貯蔵システムは、好適な相変化物質で囲まれた1つのコイルを備えた熱交換器を有する少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備えてよく、上記2または2より多いユニットの各々は同一または異なる相変化物質を有してよく、上記相変化物質は、1または複数のろう、パラフィン、1または複数の脂肪酸またはその塩水和物、1または複数の有機‐有機共晶化合物、1または複数の有機‐無機共晶化合物、1または複数の無機‐無機共晶化合物、または1または複数の吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む組成から独立的に選択されてよい。
【0022】
また、熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニットの内部に1つのコイルを備えてよく、この一次コイルは、冷媒流体との使用に専用であってよく、熱伝導システムで使用するための凝縮器および減圧装置の両方への相互接続のために好適に適合されている。
【0023】
また、熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニットの内部に1または複数のコイルを備えてよく、これら二次コイルは、熱伝導流体との使用に専用であってよく、上記二次コイルは、各熱貯蔵ユニット内の相変化物質と熱交換するように適合されている。
【0024】
二次コイルまたは複数の二次コイルは、熱伝導システム内の除霜または熱貯蔵のさらなるサービスに接続するために好適であってよい。
【0025】
熱伝導流体は、水、水‐グリコール混合物および/または冷媒であってよい。
【0026】
相変化物質の熱貯蔵部のアーキテクチャ、熱エネルギー貯蔵ユニットの構造は、
図6に図示するもの、および
図6に関し説明するものと実質的に同様である。
【0027】
相変化物質の熱貯蔵部のアーキテクチャ、熱エネルギー貯蔵ユニットの構造は、
図7に図示するもの、および
図7に関し説明するものと実質的に同様であってよい。
【0028】
熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備えてよく、上記コンポーネントは、互いに、および/または、1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されている。
【0029】
1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱伝導システムの内部に配置されてよい。
【0030】
1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱伝導システムの外に配置されてよく、好適な接続手段によりシステムに結合される。
【0031】
上記接続手段は、例えば1または複数のパイプ等の好適な冷媒接続であってよい。
【0032】
減圧手段は膨脹弁であってよい。
【0033】
1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱伝導システム内の少なくとも1つの凝縮器と少なくとも1つの減圧手段との間の箇所において複数のコンポーネントに接続されてよく、上記凝縮器からの/へのおよび上記減圧手段からの/への好適な接続手段が1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットへ設けられる。
【0034】
システムは、蒸気圧縮システム、逆サイクル除霜蒸気圧縮システム、蒸気圧縮冷凍システム、逆サイクル除霜蒸気圧縮冷凍システム、またはヒートポンプシステムから独立的に選択されてよい。
【0035】
システムは逆サイクル蒸気圧縮冷凍システムであってよく、1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットは1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を含む内部ユニットの外に、且つ、好適な冷媒接続により接続されて配置されてよく、当該熱伝導システムは、1または複数の圧縮器のための迂回手段を追加的に備える。
【0036】
システムは、逆サイクル蒸気圧縮冷凍システムであってよく、1または複数の熱貯蔵ユニットおよび1または複数の圧縮器が、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を含む内部ユニットの外に、且つ、好適な冷媒接続を用いて接続されて配置されてよく、当該熱伝導システムは、1または複数の圧縮器のための迂回手段を追加的に備える。
【0037】
上記迂回手段は、方向転換弁、ソレノイド弁のシステムまたはこれらの組み合わせを含んでよい。
【0038】
熱エネルギー貯蔵システムは、着霜条件の検出および管理のための手段を提供してよい。
【0039】
上記検出手段は、上記システム内の様々な箇所における温度、圧力、および電力の測定のための複数のセンサによって提供されてよい。
【0040】
上記着霜条件の管理のための手段は、圧縮器と凝縮器との間に配置された4方向逆転弁(5)、および凝縮器の方向転換手段(7)との組み合わせであってよく、4方向逆転弁は、1または複数の圧縮器(1)から1または複数の凝縮器(2)への流体/蒸気の流れを停止するよう適合されており、当該方向転換手段は、システム内の流体/蒸気の流れに1または複数の凝縮器(2)を迂回させ、サイクルは逆転され、蒸気を1または複数の圧縮器(1)から1または複数の蒸発器(4)へ、その後1または複数の減圧装置(3)へ、次に1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニット(6)へ提供し、この逆サイクルを必要に応じて繰り返す。
【0041】
さらなる態様によると、本明細書で詳述するような熱エネルギー貯蔵システムの第1の態様または任意の他の態様による熱エネルギー貯蔵システムを含む熱伝導システムが追加的に提供されてよく、上記熱伝導システムのアーキテクチャは、
図3~8のいずれかに図示するもの、およびそれらに関し説明するものと独立的であり、実質的に同様である。
【0042】
またさらなる態様によると、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を備える熱伝導システムにおける冷凍プロセスに、熱エネルギー貯蔵ユニットが提供されてよく、上記圧縮器、蒸発器、減圧装置および凝縮器は、互いにおよび/または1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、上記冷凍プロセスは、
(i)好適な冷媒流体または作動流体を熱伝導システムへ供給すること、
(ii)1または複数の圧縮器内で、好適な圧力および温度の条件下で当該流体を加圧および加熱し、当該流体を蒸発させること、
(iii)このようにして形成された昇温の加圧された蒸気を、好適な手段を介して1または複数の凝縮器へ供給すること、
(iv)当該蒸気を冷却し、降温の加圧された液体または加圧された液体/蒸気の混在物をもたらすこと、
(v)当該液体または液体/蒸気の混在物を1または複数の熱貯蔵ユニットに供給すること、
(vi)熱貯蔵ユニット内の熱エネルギー交換手段により温度を下げ、液体または液体/蒸気の混在物を1または複数の減圧装置に供給すること、
(vii)降温および減圧された液体または液体/蒸気の混在物を1または複数の蒸発器に供給すること、
(viii)当該液体または液体/蒸気の混在物を再加熱し蒸気をもたらし、得られた再蒸発物を1または複数の圧縮器に供給すること、を含む。 以下、本発明に係るこれらの態様およびさらなる態様について詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
ここから、本発明の実施形態について、専ら例示としての以下の図面を参照しつつ説明する。
【
図1】先行技術において見られる蒸気圧縮冷凍サイクルである。
【
図2】先行技術の逆サイクル除霜サイクルの典型的なシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
【
図3】本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む、本発明の熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍システムにおける逆サイクル除霜サイクルの「通常運転条件」での上記システムの使用を示す。
【
図4】本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む、本発明の熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍システムにおける逆サイクル除霜サイクルの「着霜条件」での上記システムの使用を示す。
【
図5】本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む、本発明の熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍サイクルでの熱貯蔵部を迂回するための手段を有する逆サイクル除霜を有効化させた上記システムの使用を示す。
【
図6】迂回手段を有する熱貯蔵部を含む、および、本発明の熱伝導システムでの使用に好適な相変化物質のシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
【
図7】
図6に示すものに対する、熱貯蔵部を含む代替的な相変化物質のシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
図7中の熱貯蔵部は迂回手段を含み、本発明の熱伝導システムでの使用に好適である。
【
図8】本発明の代替的な実施形態による、本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、非逆サイクル蒸気圧縮冷凍システムにおける除霜サイクルの「通常運転条件」での上記システムの使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備える、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合されたシステム(熱伝導システム)との使用に好適な熱エネルギー貯蔵システムに関する。
【0045】
本明細書で詳述するような熱エネルギー貯蔵システムを使用してよい熱伝導システムとしては、蒸気圧縮システム、逆サイクル除霜蒸気圧縮システム、蒸気圧縮冷凍システム、逆サイクル除霜蒸気圧縮冷凍システムおよび/またはヒートポンプシステムである。
【0046】
本発明は、これらのシステムに常に存在する1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器といった一般的なコンポーネントに加え、除霜サイクル専用の1または複数の熱貯蔵ユニットを含む、ヒートポンプまたは任意の蒸気圧縮冷凍システムについて説明する。
【0047】
また、本発明は、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を含むヒートポンプまたは任意の蒸気圧縮冷凍システムのコンポーネントに加え、除霜サイクルに専用の1または複数の熱貯蔵ユニットを含む、ヒートポンプまたは任意の蒸気圧縮冷凍システムとの使用に好適な熱エネルギー貯蔵システムに関する。
【0048】
疑義をなくすため、本明細書の熱エネルギー貯蔵システムで識別される当該複数のコンポーネント部分としては、熱貯蔵ユニット、圧縮器、蒸発器、減圧装置および凝縮器が含まれ、これらは、熱エネルギー貯蔵システムに通常存在する、冷媒の流れを可能にする好適な追加のコンポーネントを介して互いに接続されている。当該複数のコンポーネント部分には、熱エネルギー貯蔵システムに通常存在し、および、システム内の様々な箇所において必要とされてよい値(温度/圧力等)の測定を可能にするさらなる追加のコンポーネントが含まれる。明確にすると、かかる他のコンポーネント部分としては限定ではないが、弁、センサ、パイプ、液体アキュムレータおよび/またはフィルタが含まれる。以降、これらの本質については明示的に詳しく説明しないが、かかる追加のコンポーネント部分(必要な場合)の必要性および場所は、当業者たるシステムエンジニアの通常有する知識の範囲内であると考えられる。理解される通り、システムアーキテクチャについて示す場合、およびシステムについて説明する場合、かかる追加のコンポーネント部分は列挙されていないものの、当該コンポーネント部分が1または複数の中核的コンポーネントを共に接合するため、または必要な機能を有効化するために必要な場合は、これらの存在は本来的にそこにあるものとする。かかる追加のコンポーネント部分の選定および選択は、当業者たるシステムエンジニアの通常有する知識の範囲内であると考えらえる。
【0049】
明確にすると、例えば、弁、センサ、パイプ、液体アキュムレータ、フィルタ等のシステムを機能させるために実際のシステムに通常存在するすべての他のコンポーネントについては明示的に言及しないが、常に存在するものとみなす。逆サイクル除霜の適用をサポートするため、本発明は、熱貯蔵部の示される最たる位置は、凝縮器と膨脹弁との間であると定義する。これについては、
図3のコンポーネント6を参照されたい。本発明において、熱貯蔵部は、蒸気圧縮冷凍システムの典型的アーキテクチャにおける凝縮器を含む内部ユニットの一部ではなく、熱貯蔵部は、例えばパイプ等の冷媒接続を通して凝縮器に接続される。蒸気圧縮冷凍システムの内部ユニットから切断されることで、凝縮器(2)は、ソレノイド弁のシステム、または方向転換弁、またはこのような迂回を達成しやすい任意の他の種類のシステムを通して完全に迂回されてよい。これにより、最終的なシンク内に既に蓄積されたエネルギーに凝縮器から内部ユニットを通して影響を及ぼすことなく、熱貯蔵部(6)のみからエネルギーを奪うように除霜を実行させることが可能となる。
【0050】
上記の通り、本出願人は、逆サイクル除霜の適用をサポートする使用のために特に好適である新規な熱エネルギー貯蔵システムを開発した。疑義をなくすため、本熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合されている任意のシステム(熱伝導システム)との使用に好適である。
【0051】
本明細書において、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合されたシステム(熱伝導システム)との使用に好適な新規な熱エネルギー貯蔵システムが提供される。上記熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備え、当該少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、上記熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含む。
【0052】
疑義をなくすため、本明細書で熱エネルギー貯蔵部または熱貯蔵部とも呼ばれる熱エネルギー貯蔵ユニットは、少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を備える貯蔵ユニットを意味し、上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、上記熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含む。
【0053】
本出願人は、本システムは、蒸気圧縮サイクルおよび先行技術の逆サイクル除霜システムにおける着霜条件に関する問題を克服することを見出した。
【0054】
具体的には
図3に示すように、本出願人は、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)を含む新規な熱伝導システムを開発した。当該少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)は、凝縮器(2)と膨脹弁との間に配置されている。
【0055】
重要な点として、例えば、蒸気圧縮冷凍システムにおける着霜条件を対象とした用途での使用のため、本熱貯蔵システムは、システムアーキテクチャにおいて、圧縮器、凝縮器、減圧手段および蒸発器を含む内部ユニットの部分を構成していないことである。先行技術のシステムに対し、本システムにおいては、1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットは、好適な冷媒接続手段、例えば
図3に示すような後述のパイプまたは任意の他の好適なコネクタ等を介して冷凍システムに接続される。
【0056】
故に本明細書において、上で定義したような少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)を含む新規な熱伝導システムがまた提供される。熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備え、上記コンポーネントは互いにおよび/または1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)は熱伝導システムの凝縮器(2)と膨脹弁との間に配置されており、熱貯蔵システムは、システムアーキテクチャにおける内部ユニットの部分を構成していない。有利なことには、上で定義したような本熱伝導システムにおいては、凝縮器(2)は蒸気圧縮冷凍システムの内部の部分から切り離されており、凝縮器(2)はソレノイド弁のシステム、または方向転換弁を通して完全に迂回されてよく、あるいは、このような迂回を達成しやすい任意の他の種類のシステムを通して迂回されてもよい。本出願人は、この凝縮器の迂回設定が有効な熱伝導を提供し、具体的には、除霜プロセスが(蒸気圧縮冷凍システムの)凝縮器から内部ユニットを通して、最終的なヒートシンクに伝導済みの蓄熱(エネルギー)に影響を及ぼすことなく、熱貯蔵部(6)からのみ熱(エネルギー)を奪いつつ実行されることを可能にすることを見出した。
【0057】
故に、本発明は、上で定義したような少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)を含む新規な熱伝導システムを追加的に提供し、熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備え、上記コンポーネントは互いにおよび/または1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)は、熱伝導システムの凝縮器(2)と膨脹弁との間に配置され、熱貯蔵システムおよび1または複数の凝縮器は、システムアーキテクチャにおいて、凝縮器を含む内部ユニットの部分を構成していない。
【0058】
本発明による熱伝導システムにおいては、本明細書で定義するように、および、システム内で凝縮器が迂回されるか否かに関わらず、通常運転中に、凝縮器(2)を出た液体または液体と蒸気との混在物は、顕熱および/または潜熱レベルの熱を保持する。通常、この保持された熱エネルギーは現在利用可能な熱伝導システムにおいては、失われるか、または使用されていない。
【0059】
用語「潜熱」および「顕熱」について本明細書で定義する。基本的に顕熱は、温度を測定することで検知できる。固体の物質を融解させるとき、顕熱とは温度変化を伴い放出される熱エネルギーであり、潜熱とは無視できるほどわずかな温度変化を伴い放出される熱エネルギーである。例えば、-5℃から20℃の間で氷の塊を融解させる場合、-5℃から0℃の間で当該固体の塊から放出されるエネルギーおよび0℃から20℃の間に液体状態で放出されるエネルギーが顕熱である。融解相の間に0℃で放出される残りのエネルギーが潜熱エネルギーである。
【0060】
有利なことには、本熱伝導システムは、好ましい除霜を供給するためのより効率的な手段の提供に加え、かかる保持された熱エネルギーを回収するための手段も備える。すなわち、凝縮器(2)を出た当該熱エネルギーを減圧装置(3)内で膨張させ、さらに冷却する前に、少なくとも1つの専用の熱エネルギー熱貯蔵ユニット(6)内の物質に回収する。
【0061】
本熱伝導システムが、
図3で示すような蒸気圧縮冷凍サイクルにおける逆サイクル除霜の提供のために用いられる場合、システムの通常運転中に、作動流体、典型的には冷媒が圧縮器(1)により、その蒸気状態にまで加圧される。次に、この高温高圧の蒸気は凝縮器(2)で冷却され、凝縮器(2)において当該蒸気は熱を放出し、温和な温度で高圧の液体または液体と蒸気との混在物に凝縮する。この液体または液体と蒸気との混在物は、熱貯蔵部(6)に入り、熱貯蔵部(6)において当該液体または液体と蒸気との混在物は、熱貯蔵部(6)と熱エネルギーを交換し、これによりその温度をさらに下げる。次に、この液体または液体と蒸気との混在物は、減圧装置(3)に入り、低温の液体または低温/低圧の蒸気と液体との混在物になる。最終段階として、当該液体または液体と蒸気との混在物は、蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)において、当該液体または液体と蒸気との混在物は加熱され、蒸発した後、圧縮器に戻る。
【0062】
本発明により提供される新規な熱伝導システムに関し、本明細書で用いられる用語「通常運転」および「着霜条件中の運転」は、通常の加熱条件および異常な条件を意味し、異常な条件においては、着霜に関するトリガに応答し、切り替え手段および迂回手段が有効化され、好ましいシステム内部の蓄熱/熱関連出力(温水/ラジエータの熱レベル)を保持しながら、除霜を供給する。
【0063】
本明細書で定義するような着霜に関するトリガには、蒸発器コイル上での氷の形成、任意の好適な検知手段により、着霜が生じる可能性のある温度より低い温度の検出が含まれる。
【0064】
疑義をなくすため、着霜条件の検出は、ヒートポンプによって、または熱貯蔵システム内においてなされてよい。このため、本発明は、着霜条件の検出のための手段を追加的に含む熱エネルギー貯蔵システムを提供する。
【0065】
かかる検出のために、任意の好適な手段が用いられてよい。着霜条件の検出のために好適な手段としては、蒸発器の温度を測定するための手段、典型的には蒸発器の外面の温度を測定するための手段が含まれる。例えば、蒸発器の外面の温度を測定するための手段が含まれる本発明による熱エネルギー貯蔵システムにおいては、当該手段により、測定された温度が0℃に到達すると、これにより、除霜サイクルが開始する。温度が約10℃~15℃に戻ると、除霜サイクルは停止し、通常運転が再開する。
【0066】
本熱エネルギーシステムでの使用に好適な代替的な方法においては、蒸発器の温度を測定するための手段は屋外コイル上に蓄積した霜を検出すべく、気流の測定、冷媒圧力の測定、空気またはコイルの温度の測定、並びに、屋外コイルにわたる圧力差の測定がなされることを可能にする。この代替的な方法においては、測定された温度が0℃に到達すると、除霜サイクルが開始する。その温度が約10~15℃に戻ると、除霜サイクルは停止し、通常運転が再開する。
【0067】
疑義をなくすため、本明細書における熱エネルギーシステムにおいて、蒸発器の外面の温度の測定のための任意の好適な手段が用いられてよく、および/または、気流、冷媒圧力、空気またはコイルの温度、および屋外コイルにわたる圧力差を測定するための任意の好適な手段が用いられてよい。
【0068】
通常運転時、凝縮器(2)を出た液体または液体と蒸気との混在物は、通常は使用されることのない残った顕熱および/または潜熱をまだ有している。本発明では、これが専用の貯蔵部(6)に回収された後、減圧装置(3)にて膨張され、さらに冷却される。従って、本発明は、システムの通常運転中に以下の冷却サイクルを含む。作動流体、典型的には冷媒が圧縮器(1)によりその蒸気状態にまで加圧される。次に高温高圧の蒸気が凝縮器(2)で冷却され、凝縮器(2)において、当該蒸気は熱を放出し、温和な温度および高圧の液体または液体と蒸気との混在物に凝縮する。この液体または液体と蒸気との混在物が熱貯蔵部(6)に入り、熱貯蔵部(6)において、当該液体または液体と蒸気との混在物は熱貯蔵部(6)と熱エネルギーを交換し、さらにその温度を下げる。次にこの液体または液体と蒸気との混在物は減圧装置(3)に入り、低温低圧の液体または蒸気と液体との混在物になる。最終段階として、当該液体または蒸気と液体との混在物は蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)において、当該液体または蒸気と液体との混在物は加熱され再度蒸発した後、圧縮器に戻る。
【0069】
蒸気圧縮冷凍システムにより着霜条件が検出されると、圧縮器は停止され、4方向逆転弁(5)の位置を切り替えることでサイクルが逆転される。
図4を参照されたい。凝縮器はソレノイド弁のシステムまたは方向転換弁(7)を通して迂回される。圧縮器(1)が開始する。高温高圧の気体が蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)において、高温の気体が凝縮中に熱を放出し、コイル上の氷を融解する。温和な温度および高圧の気体または気体と液体との混在物が減圧装置(3)を通って膨張する。次に低温の液体は熱貯蔵部(6)の中で温められ、その温度が上がる。冷媒は熱貯蔵部を通ると部分的または完全に蒸発する。この温和な温度および低温の気体または気体と液体との混在物はさらに圧縮器内で加熱され、高温高圧の気体になる。この気体が蒸発器に入り氷を融解して、安全で効率的な通常運転が保証されるまで当該サイクルが継続される。
【0070】
具体的には、本発明は、本明細書で詳述するような熱伝導システムに関し、熱貯蔵部(6)は相変化物質を含む。
【0071】
故に、本明細書において、上で定義するような少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)を含む新規な熱伝導システムが提供される。熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を追加的に備え、上記コンポーネントは、互いにおよび/または1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)は、熱伝導システムの凝縮器(2)と膨脹弁(3)との間に配置され、熱貯蔵システムは、システムアーキテクチャにおいて、凝縮器を含む内部ユニットの部分を構成しておらず、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニット(6)は相変化物質を含む。
【0072】
これらの熱伝導システムにおいては、熱貯蔵部は、少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有し、液体状態または気体状態の冷媒がコイルを流れ、コイルは相変化物質で囲まれており、これにより、相変化物質と冷媒との間の熱伝導を高める。本出願人は、本熱伝導システムにおいて、熱貯蔵部の熱交換器コンポーネント内に好適な熱交換促進手段を含めることにより、この高められた熱伝導がさらに促進され得ることを見出した。用いられてよい任意の好適な熱交換促進手段としては、金属フィン、相変化物質(PCM)にグラファイトが分散されたもの、フィン付きパイプ、パイプをマイクロチャネルに細分化させたものが含まれる。
【0073】
本出願人は、熱交換器コンポーネント内に金属フィンを多数含めると、熱交換の促進にとりわけ有効であることを見出した。従って、本発明においては、フィン付きパイプを含む金属フィンを含む熱交換器が用いられてよい。金属フィンの絶対数、またはフィン付きパイプ上のフィンの絶対数は、特定の熱貯蔵部のサイズに依存することは、容易に理解される通りである。
【0074】
本出願人は、PCMにグラファイトが分散されたものは、熱貯蔵部内の熱伝導性を高めるために有益であることも見出した。
【0075】
故に、本明細書において、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合されたシステム(熱伝導システム)との使用に好適な熱エネルギー貯蔵システムが追加的に提供される。上記熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備え、上記少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、上記熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含み、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱交換器の1または複数のコイルと同一場所に配置された多数の内部金属フィンを追加的に含む。
【0076】
本明細書の熱エネルギー貯蔵システムでの使用に好適な相変化物質は、ろう、またはパラフィン、または脂肪酸、または塩水和物、または有機‐有機共晶化合物、有機‐無機共晶化合物、無機‐無機共晶化合物、または吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む任意の組成である。
【0077】
故に、本明細書において、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つのヒートシンクへ熱を伝導するように適合されたシステム(熱伝導システム)との使用に好適な熱エネルギー貯蔵システムが追加的に提供される。上記熱エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備え、上記少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、上記熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含み、少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱交換器の1または複数のコイルと同一場所に配置された多数の内部金属フィン、および/または、相変化物質を含む。当該相変化物質は、1または複数のろう、パラフィン、1または複数の脂肪酸またはその塩水和物、1または複数の有機‐有機共晶化合物、1または複数の有機‐無機共晶化合物、1または複数の無機‐無機共晶化合物または1または複数の吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む組成から独立的に選択される。
【0078】
本出願人は、相変化物質を用いると、例えば水または石等の代替的な熱貯蔵物質を用いるのに対し、有利な点をもたらすことを見出した。具体的には、相変化物質を用いると、より長時間の間且つ事前定義された温度範囲内で、熱の吸収および放出が可能となる。この特徴により、特定の相変化物質を用いて、特定の用途のための所望の性能および設置要件に合わせ調整された熱エネルギー貯蔵システムの提供が可能になる。
【0079】
さらに、熱貯蔵部が凝縮器(2)を含む内部ユニットに統合されない本システム設計に関する特定の利点としては、熱貯蔵部は予期する性能および設置要件により容易に変更でき、蒸気圧縮冷凍サイクルの通常運転を中断させることなく、容易に修理、交換またはアップグレードできることである。
【0080】
本明細書で定義するような非統合型の熱貯蔵部を用いる別の有利な点としては、熱貯蔵部が、凝縮器(2)を含む内部ユニットと、減圧装置(3)との間の任意の好適な位置において熱伝導システムに設置できることである。
【0081】
具体的には、本発明は、熱貯蔵部(6)内に相変化物質を用いることに関し、熱貯蔵部は少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器で構成され、液体状態または気体状態の冷媒がコイルを流れ、コイルは相変化物質で囲まれており、コイルは、例えば金属フィンを通して、相変化物質と冷媒との間の熱伝導を高める。相変化物質は、ろう、パラフィン、脂肪酸、または塩水和物、有機‐有機共晶化合物、有機‐無機共晶化合物、無機‐無機共晶化合物、または吸湿性材料またはこれらの任意の組み合わせを含む任意の組成であってよい。例えば、水または石等の他の熱貯蔵物質に対するこれらの相変化物質の利点としては、当該相変化物質が長時間にわたり、定義された温度範囲内において、熱を吸収および放出できることである。従って、相変化物質は期待する性能および設置要件に従ったシステムに合わせて調整されてよい。
【0082】
例えば、温水の提供のために熱ポンピングが用いられる場合、34℃および/または28℃の相変化温度を持つ相変化物質が用いられてよいが、これらに限定されるわけではない。床下空間の加熱に熱ポンピングが用いられる場合、28℃および/または12℃の相変化温度を持つ相変化物質が用いられてよいが、これらに限定されるわけではない。さらに、凝縮器(2)を含む内部ユニットに統合されない熱貯蔵部の利点としては、熱貯蔵部は期待する性能および設置要件に応じて容易に変更でき、熱貯蔵部は蒸気圧縮冷凍サイクルの通常運転を中断させることなく、容易に修理または交換またはアップグレードができることである。別の有利な点としては、熱貯蔵部は、凝縮器(2)を含む内部ユニットと、減圧装置(3)との間のどこにでも設置できることである。本発明は、蒸発器(4)に氷または霜ができる可能性のある任意のシステムに関し、例えば、この蒸発器(4)が外部の周囲条件にさらされる場合に、またはこの蒸発器(4)が例えば冷蔵庫、冷凍庫、冷蔵自動車、気候室等の閉じた環境に存在する場合が挙げられる。本発明はまた、氷または霜ができる可能性のある蒸発器とは別の、熱ポンピングシステムにおける任意の他のコンポーネントに関し、このようなものとして、例えばパイプ、追加の熱交換器が挙げられ、当該交換機では、他の流体が相変化してよく、または他の流体は着霜若しくは氷結条件未満の温度で循環しており、よって除霜を必要とする。これは、例えば、異なる複数の熱交換器で構成された据置式または可動式の冷凍庫/冷蔵庫に用いられるシステムであってよく、1または複数の液体窒素がタンクから流れ、蒸発し、および、複数のパイプを備えた1または複数の別の熱交換器においては、それらの一部の中でヒートポンプシステムからの冷媒が蒸発し、および、それらの他の一部の中で第1の熱交換器に流入したのとは別の熱伝導流体が流れ、蒸発を高める。両方の場合において、霜または氷が形成される可能性があり、従って、提案する本発明をそこに適用してよい。
【0083】
本発明の異なる実施形態について、
図5および6を参照されたい。内部ユニットと熱貯蔵部との間の接続は、システム全体の動作条件に応じて、熱貯蔵部を迂回するための1または複数のソレノイド弁または方向転換弁(8)、または任意の他のシステムを有してよい。これは、着霜条件の可能性がない場合の時間または動作条件時に貯蔵部を迂回でき、熱を貯蔵部に蓄積するのに要するエネルギーと、使用されない熱貯蔵部によって無駄となるエネルギーとを節約できる点において、前のアーキテクチャに対し有利な点を有する。
【0084】
図5に示すような、および以下に説明するような本発明のさらなる実施形態において、内部ユニットと熱貯蔵部との間の接続は、システム全体の動作条件に応じ、熱貯蔵部を迂回するための1または複数の熱貯蔵部固有のソレノイド弁または方向転換弁(8)、または任意の他のシステムを追加的に有してよい。この熱貯蔵部の迂回により、本熱伝導システムに対し、ビルトインのエネルギー節約/プロセス効率性の機能をもたらし、またさらなるシステム設計の柔軟性ももたらす。具体的には、例えば、蒸発器の周りの周囲温度および相対湿度が冷凍条件を上回っている場合、または、蒸発器の温度が周囲空気の凍結に要する温度より高い場合等、着霜条件の可能性がない時間または動作条件の間は、熱貯蔵部は迂回されてよい。この迂回により、熱貯蔵システムに熱を蓄積するのに必要となるエネルギー、および使用されない間の熱貯蔵部により無駄となるエネルギーを節約する。
【0085】
故に、本明細書において、少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部が提供される。上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、上記熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含み、当該少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱交換器の1または複数のコイルと同一場所に配置された多数の内部金属フィン、および/または、1または複数のろう、パラフィン、1または複数の脂肪酸またはその塩水和物、1または複数の有機‐有機共晶化合物、1または複数の有機‐無機共晶化合物、1または複数の無機‐無機共晶化合物、1または複数の吸湿性材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む組成から独立的に選択される相変化物質を含む。
【0086】
本発明の異なる実施形態について、
図7を参照されたい。そこでは、熱貯蔵部(6)は2または2より多い貯蔵モジュールs
1,s
2,...,s
nで構成され、それぞれが同一または異なる相変化物質を含み、冷媒の流れを貯蔵モジュールに向けて方向転換させるための、または貯蔵モジュールを迂回させるための1または複数の方向転換弁d
1,d
2,...d
nまたはシステムまたはソレノイド弁または任意の手段を含み、あるいは一切含まない。この構成の有利な点としては、熱貯蔵容量を蒸発器(4)の着霜に影響を及ぼす様々な周囲条件に合うように適合できることであり、当該周囲条件としては、例えば、蒸発器が年間を通して高い熱サイクルを持つ場所における外的条件にさらされるような居住環境が挙げられる。
【0087】
図6に示すような性質の迂回システムを含む本明細書で定義するような熱貯蔵部では、各貯蔵ユニットは、気体または液体が流れてよいコイルを含む。各コイルは、一端(入力)が対応する方向転換弁d
1,d
2......d
nに、他端は熱貯蔵部スループットチャネルに独立的に接続されている。方向転換弁d
1,d
2......d
nは直列に接続されており、使用中にユーザの要件に応じて、気体または液体は貯蔵部の各々を流れてよく、貯蔵部のいずれも流れなくてよく、あるいは貯蔵部の任意の組み合わせに流れてよい。理解されるように、本明細書で説明したように、貯蔵ユニットの数および使用される熱貯蔵部固有の弁システムのタイプは、システム要件に応じて異なってよい。
【0088】
このマルチ貯蔵ユニットおよび可変の貯蔵ユニットの迂回構成の有利な点としては、システムの熱貯蔵容量を蒸発器(4)の着霜に影響を及ぼす様々な周囲条件に合わせて適合できることであり、当該周囲条件としては、例えば、蒸発器が年間を通して高い熱サイクルを持つ場所における外的条件にさらされるような居住環境が挙げられる。
【0089】
故に本発明は、本明細書で定義するような熱伝導システムでの使用に好適な熱エネルギー貯蔵システムを追加的に提供する。上記熱エネルギー貯蔵システムは、多数の熱エネルギー貯蔵ユニットを有し、当該熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は少なくとも1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有し、上記少なくとも1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、当該熱エネルギー貯蔵ユニットは、互いにおよび/または熱伝導システムの1または複数のコンポーネントに接続するための手段を含み、熱エネルギー貯蔵ユニットは、熱交換器の1または複数のコイルと同一場所に配置された多数の内部金属フィンを含み、貯蔵システムは少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを含み、各貯蔵ユニット内の相変化物質は同一または異なっていてよい。本明細書において、多数の熱エネルギー貯蔵ユニットを含む熱エネルギー貯蔵システム(熱貯蔵部)が追加的に提供され、熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は、上で詳述したような熱交換器、相変化物質、接続手段および金属フィンを有し、熱貯蔵部は少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニット(貯蔵ユニット)を有し、各貯蔵ユニット内の相変化物質は同一または異なってよく、熱貯蔵部は熱貯蔵部の内部の各々の貯蔵ユニットのための迂回手段を含み、および随意で上記迂回手段は熱貯蔵ユニット固有の弁システムを有する。
【0090】
具体的には、熱貯蔵ユニット固有の弁システムは、冷媒の流れを熱貯蔵部内の任意の特定の貯蔵ユニットに方向転換するための、またはそれを迂回させるための複数の方向転換弁、または複数のシステム若しくはソレノイド弁、または任意の他の好適な手段を有する。
【0091】
本明細書で定義するような任意の態様または実施形態による熱エネルギー貯蔵システムが特に提供され、上記熱エネルギー貯蔵システムは少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備える。
【0092】
本発明の別の実施形態については、
図8を参照されたい。そこでは、熱貯蔵部(6)は、1または複数の熱貯蔵ユニットs
1,s
2,...,s
nで構成されてよく、それぞれが同一または異なる相変化物質を含み、冷媒の流れを貯蔵モジュールに方向転換するための、または貯蔵モジュールを迂回させるための1または複数の方向転換弁d
1,d
2,...d
nまたはシステム若しくはソレノイド弁または任意の手段を含み、あるいは一切含まない。熱貯蔵ユニットs
1,s
2,...,s
nのうちの1または複数は、2または2より多いコイルを含んでよい。一次コイルは冷媒に専用のものであり、内部ユニットの凝縮器(2)および減圧装置(3)に接続される。二次コイルまたは複数の二次コイルは熱伝導流体、例えば、水または水‐グリコール混合物または冷媒を含んでよい。さらに、冷媒の流れを貯蔵モジュールに向けて方向転換するための、または貯蔵モジュールを迂回させるための1または複数の方向転換弁c
1,c
2,...c
nまたはシステム若しくはソレノイド弁または任意の手段が、二次コイルまたは複数の二次コイルに接続され、あるいは一切接続されない。二次コイルは、各熱貯蔵ユニットs
1,s
2...s
n内の相変化物質と熱を交換するために用いられてよい。従って、二次コイルは、除霜をサポートするための、または、ユニットs
1,s
2...s
nに貯蔵された熱を異なるサービスに利用するための様々なサービスに接続されてよい。
【0093】
このさらなる実施形態においては、熱貯蔵ユニットs1,s2,...snのうち1または複数は、2または2より多いコイルを含んでよい。2または2より多いコイルを含む貯蔵ユニットにおいては、1つのコイル、いわゆる一次コイルが冷媒専用のものである。一端において、一次コイル、またはシステムまたは一連の熱貯蔵ユニットの複数の一次コイルは、上で定義したようなオプションの熱貯蔵部固有の方向転換弁システムを介して、本明細書で定義するような本発明による熱伝導システムの内部ユニットの凝縮器(2)に流体接続されている。他端において、一次コイル、またはシステムまたは一連の熱貯蔵ユニットの複数の一次コイルは、上で定義したようなオプションの熱貯蔵部固有の方向転換弁システムを介して、本発明による熱伝導システムの内部ユニットの減圧装置(3)に流体接続されている。理解されるように、1または複数の貯蔵ユニットが使用される熱伝導システムが通常条件下で動作中であるか、または逆サイクル条件で動作中であるかによって、貯蔵ユニットの各端部は入力または出力として機能してよい。
【0094】
2または2より多いコイルを含むシステムにおいては、第2のいわゆる二次コイルまたは複数の二次コイルはそれぞれ熱伝導流体を含む。例えば、
図7に示す構成のように、2または2より多い二次コイルが存在し、2または2より多い二次コイルが共に直列接続されている場合、それらは同一の熱伝導流体を含む必要がある。本明細書における二次コイルシステムでの使用に好適な熱伝導流体としては、水、水‐グリコール混合物、または冷媒が含まれるが、これらに限定はされない。
【0095】
疑義をなくすため、二次コイルのいずれも冷媒とは流体接続されておらず、冷媒は一次コイルシステムを通る。
図7の方向転換弁c
1,c
2,...c
nで示すように、多数の二次コイルを使用するシステムにおいては、二次コイルの各々は、専用の二次コイル固有の弁システムを介してオンオフを切り替えられてよい。二次コイル固有の弁システムは、熱伝導流体の流れを貯蔵ユニットの二次コイルを通るように方向転換するための1または複数の方向転換弁、またはシステム若しくはソレノイド弁または任意の他の好適な手段を有してよい。
【0096】
本明細書に定義するような流体接続とは、液体、蒸気または液体と蒸気との混在物がシステム内の1つのコンポーネントから隣接するコンポーネントへ流れるような接続を意味する。
【0097】
有利なことには、この二次コイルシステムは、熱貯蔵部内の各熱貯蔵ユニットs1,s2,...sn内の相変化物質と熱を交換するために用いられてよい。二次コイルシステムは、除霜をサポートするための、または、ユニットs1,s2...snに貯蔵された熱を異なるサービスに利用するための様々なサービスに接続されてよい。
【0098】
故に、少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニットを備える熱エネルギー貯蔵システムが追加的に提供される。少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵ユニットは、1つのコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有する。上記1つのコイルは好適な相変化物質で囲まれており、少なくとも1つのさらなる熱エネルギー貯蔵ユニットは、2または2より多いコイルを備えた熱交換器を有する熱貯蔵部を有する。上記熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は随意に且つ独立的に熱エネルギー貯蔵部のための迂回手段を含んでよい。
【0099】
本明細書において特に、多数の熱エネルギー貯蔵ユニットを含む熱エネルギー貯蔵システム(熱貯蔵部)が提供され、熱エネルギー貯蔵ユニットの各々は、上で詳述したような熱交換器、相変化物質、接続手段および金属フィンを有し、熱貯蔵部は少なくとも2つの熱エネルギー貯蔵ユニット(貯蔵ユニット)を有し、各貯蔵ユニット内の相変化物質は同一または異なってよく、熱貯蔵部は熱貯蔵部内の各々の貯蔵ユニットのための迂回手段を含み、熱エネルギー貯蔵ユニットのうち少なくとも1つは2つのコイルを含み、一次コイルは冷媒のシステムに接続され、二次コイルは熱伝導物質を含み、および二次コイルは随意に且つ独立的に一次コイルシステムおよび/または二次コイルシステムのための迂回手段を含む。
【0100】
別の実施形態において、本明細書において熱伝導システムが提供され、本発明による上記のような新規な相変化物質に基づく熱貯蔵システムは、サイクルを逆転させずに、および、凝縮器への熱の供給を停止することなく、熱伝導システム内の蒸発器の除霜に用いられる。
図8にこの実施形態を示す。
【0101】
図8においては、サイクルが逆転されないので、4方向弁は存在していない。同様に、除霜サイクル中に凝縮器(2)への熱の供給は中断されないので、
図3および4に示すような凝縮器(2)の迂回構成もこの実施形態においては必要ではない。蒸気圧縮サイクルの通常運転中に、このシステムは上で説明した内容と同様に作動流体、典型的には冷媒と共に動作し、冷媒は圧縮器(1)により加圧され、高温高圧の蒸気状態になる。次に高温高圧の蒸気は凝縮器(2)で冷却され、凝縮器(2)において当該蒸気は熱を放出し、温和な温度および高圧の液体または液体と蒸気との混在物に凝縮する。この液体または液体と蒸気との混在物は熱貯蔵部(6)に入り、熱貯蔵部(6)において、当該液体または液体と蒸気との混在物は、熱貯蔵部(6)と熱エネルギーを交換し、さらに当該液体または混在物の温度を下げる。次にこの液体または液体と蒸気との混在物は減圧装置(3)に入り、低温低圧の液体または蒸気と液体との混在物になる。最終段階として、当該液体または蒸気と液体との混在物は蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)において、当該液体または蒸気と液体との混在物は加熱され、蒸発した後、圧縮器(1)に戻る。
【0102】
疑義をなくすため、上で詳述したような新規な熱エネルギー貯蔵システムは、サイクルが逆転されず、凝縮器への熱の供給も停止されない、熱伝導システムの上記実施形態における使用に好適である。故に本明細書において、サイクルを逆転することなく、および、凝縮器への熱の供給を停止することなく、熱伝導システムの蒸発器を除霜するための使用に好適な、上で詳述したような1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットを含む新規な熱伝導システムがまた提供される。熱伝導システムは、1または複数の圧縮器、1または複数の蒸発器、1または複数の減圧装置および1または複数の凝縮器を備え、上記コンポーネントは互いに、および/または1または複数の熱エネルギー貯蔵ユニットに相互接続されており、複数弁システムがシステム内の2つの異なる箇所において使用され、冷媒の流れを2つの異なるコンポーネントに方向転換する。
【0103】
着霜条件が蒸気圧縮冷凍システムにより検出されると、複数弁システムがシステム内の2つの異なる箇所において使用され、冷媒の流れを2つの異なるコンポーネントに方向転換する。複数弁システム(9)、(10)を用いる例示的システムを
図9に示す。弁システム(9)および(10)は、所望の通り冷媒の流れを変更するための一連の方向転換弁、またはソレノイド弁のシステムまたは任意の他の好適な手段であってよい。使用中、圧縮器(1)は、高温高圧の気体を凝縮器(2)に供給し、凝縮器(2)において高温の気体が凝縮する間に熱が放出される。得られた温和な温度および高圧の気体が弁システム(9)によって蒸発器(4)に向かって方向転換され、蒸発器(4)上に形成された氷を融解または部分的に融解する。蒸発器から出ると、この低温高圧の液体、または液体と蒸気との混在物は次に減圧装置(3)を通って膨張し、低温低圧の液体、または液体と蒸気との混在物を形成する。この混在物は次に熱貯蔵(6)に伝達され、熱貯蔵部を通って伝達される間に熱貯蔵(6)において当該混在物は温められ、その温度を上げ、この段階の間に、冷媒は部分的にまたは完全に蒸発する。熱貯蔵部(6)から出ると、温和な温度および低温の気体、または気体と液体との混在物が弁システム(10)により圧縮器(1)へと方向転換され、安全で効率的な通常運転の条件が保証されるまで、サイクルが再開される。
[図の説明]
【0104】
図1:先行技術の蒸気圧縮冷凍サイクルの典型的なシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
図1中、圧縮器(1)、凝縮器(2)、減圧装置(3)および蒸発器(4)が示されている。使用中、作動流体、典型的には冷媒が圧縮器(1)により高温高圧に加圧され、蒸気の状態になる。矢印の向きで示すように、次に高温の加圧された蒸気が凝縮器(2)で冷却され、凝縮器(2)において当該蒸気は熱を放出し、温和な温度および高圧の液体、または液体と蒸気との混在物に凝縮する。矢印の向きで示すように、次にこの液体または液体と蒸気との混在物は減圧装置(3)に入り、減圧装置(3)において、当該液体または液体と蒸気との混在物は低温の液体(または蒸気と液体との混在物)になる。最終段階として、ここでも矢印の向きで示すように、次にこの低温の液体(または蒸気/液体混在物)は蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)において当該低温の液体(または蒸気/液体混在物)が加熱され、再度蒸発し、その後、圧縮器(1)に戻り、必要に応じて再度使用される。
【0105】
図2:先行技術の逆サイクル除霜サイクルの典型的なシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
図2中、圧縮器(1)、凝縮器(2)、減圧装置(3)、蒸発器(4)および4方向逆転弁(5)が示される。使用中、冷媒は圧縮器(1)で加圧される。矢印の向きで示すように、次にこの高温の加圧された蒸気は蒸発器(4)で冷却され、同時に当該蒸気は形成された氷を融解する。矢印の向きで示すように、この加圧され降温された液体は減圧装置(3)に入り、続けて減圧装置(3)において当該液体は膨張してから凝縮器(2)に入る。凝縮器(2)において当該液体は加熱されて高温の蒸気になり、矢印の向きで示すように、再度使用されるために圧縮器(1)に伝達される。
【0106】
疑義をなくすため、
図2中、逆サイクル除霜の使用中に、蒸発器(4)は凝縮器として作動し、凝縮器(2)は蒸発器として作動する。
【0107】
図3:本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む、本発明の熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍システムにおける逆サイクル除霜サイクルの「通常運転条件」での上記システムの使用を示す。
図3中、圧縮器(1)、凝縮器(2)、減圧装置(3)、蒸発器(4)、4方向逆転弁(5)、減圧装置(3)と弁システム(7)との間に介在する熱貯蔵ユニット(6)が示される。通常使用の間、作動流体、典型的には好適な冷媒が圧縮器(1)において加圧され蒸気になる。矢印の向きで示すように、次にこの高温の加圧された蒸気は凝縮器(2)で冷却され、凝縮器(2)において当該蒸気は熱を放出し、温和な温度および高圧の液体または液体と蒸気との混在物に凝縮する。矢印の向きで示すように、次にこの液体または液体と蒸気との混在物は熱貯蔵システム(6)に入り、熱貯蔵システム(6)において、当該液体または液体/蒸気の混在物は熱貯蔵部と熱エネルギーを交換する。矢印の向きで示すように、次に、得られたより低温だがまだより温和な温度の液体または液体/蒸気の混在物が減圧装置(3)に入り、低温低圧の液体または蒸気と液体との混在物になる処理を受ける。最終段階として、再度矢印の向きで示すように、次にこの低温低圧の液体(または蒸気/液体の混在物)は蒸発器(4)に入り、蒸発器(4)において当該液体(または蒸気/液体の混在物)は加熱され、再度蒸発した後、必要に応じて再使用されるために圧縮器(1)に戻る。
【0108】
図4:本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む、本発明の熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍システムにおける逆サイクル除霜サイクルの「着霜条件」での上記システムの使用を示す。
図4中のコンポーネント(1)、(2)、(3)、(4)(5)、(6)および(7)は
図3で定義した通りである。
【0109】
着霜条件下において、または着霜条件が検出された場合、2段階から成るプロセスが用いられる。最初に、圧縮器(1)が停止され、4方向逆転弁(5)の位置を切り替えてサイクルが逆転され、凝縮器(2)が弁システム(7)により迂回される。迂回設定が有効化されたら、圧縮器(1)が再開され、高温高圧の気体が圧縮器から蒸発器(4)に導かれ、蒸発器(4)において、高温の気体がコイル上で凝縮し、コイル上の氷を融解すると同時に、より低温の気体または気体と液体との混在物になる。蒸発器を出た後、当該より低温で高圧の気体または気体と液体との混在物は減圧装置(3)を通って膨張する。次に、この低温/降圧の液体または気体と液体との混在物は熱貯蔵ユニット(6)に伝達され、熱貯蔵ユニット(6)においてその温度が昇温される。熱貯蔵部を通って、冷媒は部分的にまたは完全に蒸発する。次にこの温和な温度および低温の気体または気体と液体との混在物はさらに圧縮器(2)で加熱され、高温高圧の気体となる。次に、この気体は4方向逆転弁を介して蒸発器に導かれ、蒸発器に入り、氷の融解を継続する。この逆サイクルは、安全で効率的な通常運転の条件が保証されるまで繰り返される。
【0110】
図5:本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む、本発明の熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍サイクルにおいて熱貯蔵部を迂回するための手段を有する逆サイクル除霜を有効化させた上記システムの使用を示す。
図5中のコンポーネント、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7)は
図3で定義される通りである。
図5中、既存の凝縮器固有の弁システム(7)と熱貯蔵部(6)との間に配置されたさらなる熱貯蔵部固有の弁システム(8)が追加で示されている。通常運転条件中、または熱伝導システムが用いられるべき特定の適用による予め判断された時間中に、熱貯蔵部固有の弁システム(8)は、熱伝導中の熱貯蔵部(6)の迂回に関与してよい。
【0111】
図6:迂回手段を有する熱貯蔵部を含む、および、本発明の熱伝導システムでの使用に好適な相変化物質のシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
図6中、s
1,s
2.......s
nのラベルで示す複数の貯蔵ユニットが存在する熱貯蔵部(6)を示す。各貯蔵ユニットは、相変化物質(不図示)を含み、当該相変化物質は同一または異なってよい。各貯蔵ユニットは、気体または液体が流れてよいコイルを含み、各コイルは一端(入力)が対応する方向転換弁d
1,d
2......d
nに、他端は熱貯蔵部スループットチャネルに独立的に接続されている。方向転換弁d
1,d
2......d
nは直列に接続されており、使用中、ユーザの要件に従い、気体または液体は各貯蔵部を流れてよく、いずれの貯蔵部も流れなくてもよく、または複数の貯蔵部の任意の組み合わせを流れてもよい。疑義をなくすため、貯蔵部の入力および出力は、例えば、
図3、4または5に図示するように、本明細書で詳述するような熱伝導システムに接続されている。
【0112】
図7:
図6に示すものに対する、熱貯蔵部を含む代替的な相変化物質のシステムアーキテクチャ/フロー図を示す。
図7中の熱貯蔵部は、迂回手段を含み、本発明の熱伝導システムでの使用に好適である。
図7中、s
1,s
2.......s
nのラベルで示す複数の貯蔵ユニットが存在する熱貯蔵部(6)を示す。
【0113】
各貯蔵ユニットは、相変化物質(不図示)、および気体または液体が流れてよい一次コイルを含み、各一次コイルは一端(入力)が対応する方向転換弁d
1,d
2......d
nに、他端は熱貯蔵部スループットチャネルに独立的に接続されている。方向転換弁d
1,d
2......d
nは直列に接続されており、使用中、ユーザの要件に従い、気体または液体は各貯蔵部を流れてよく、いずれの貯蔵部も流れなくてもよく、または複数の貯蔵部の任意の組み合わせを流れてもよい。疑義をなくすため、貯蔵部の一次コイルシステムのためのシステム入力およびシステム出力は、例えば、
図3、4または5に図示するように、本明細書で詳述するような熱伝導システムに接続されている。 各貯蔵ユニットは、熱伝導流体が流れてよい二次コイルも含み、各二次コイルは一端(入力)が対応する二次コイル固有の方向転換弁c
1,c
2......c
nに、他端は二次コイルスループットチャネルに独立的に接続されている。二次コイル固有の方向転換弁c
1,c
2......c
nは直列に接続されており、使用中に、ユーザの要件に従い、共通の熱伝導流体が各二次コイルを流れてよく、いずれの二次コイルも流れなくてよく、または複数の二次コイルの任意の組み合わせを流れてよい。疑義をなくすため、貯蔵部の二次コイルシステムのためのシステム入力およびシステム出力は、任意の特定の熱伝導システムにおいて貯蔵システムが使用される特定の適用のために要求されるようなサービスに接続される。
【0114】
図8:本発明の代替的な実施形態による、本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、非逆サイクル蒸気圧縮冷凍システムにおける除霜サイクルの「通常運転条件」での上記システムの使用を示す。
図8中の以下のコンポーネント(1)、(2)、(3)、(4)および(6)は
図3で定義する通りである。通常運転の間、冷媒は
図3を参照して説明したのと同様にシステム中を通って処理される。すなわち、圧縮器から凝縮器へ、次に熱貯蔵部へ、その後減圧装置へ、その後蒸発器へ流れた後に圧縮器に戻る。
【0115】
図8中、着霜条件が検出されたとき用いられる弁システム(9)および(10)が示されており、これらは
図9を参照して説明する。疑義をなくすため、
図8中の破線は、通常運転中に、冷媒が弁システム(9)および(10)から開始する破線の経路を流れないことを明示的に示す。
【0116】
図9:
図8中で詳しく示した本発明の代替的な実施形態による、本明細書で定義するような熱エネルギー貯蔵ユニットを含む熱伝導システムのシステムアーキテクチャ/フロー図、および、蒸気圧縮冷凍システムにおける非逆サイクル除霜サイクルの「着霜動作条件」での上記システムの使用を示す。
図9中の以下のコンポーネント(1)、(2)、(3)、(4)および(6)は
図3で定義した通りである。
【0117】
着霜条件が検出されると、矢印の向きで示すように、圧縮器(1)は高温/高圧の気体を凝縮器(2)へと供給し、矢印の向きで示すように、次に温和な温度/降圧の気体が弁システム(9)によって方向転換され蒸発器(4)と送られ、蒸発器上に形成された氷を融解し、矢印の向きで示すように、次に低温/低圧の液体(液体と蒸気との混在物)は減圧装置(3)を介して膨張され、矢印の向きで示すように、次に低温/低圧の液体(液体と蒸気との混在物)が熱貯蔵部(6)で温められ、矢印の向きで示すように、次に得られた温和な温度/低温の気体(または気体と液体の混在物)は弁システム(10)によって方向転換され圧縮器(1)へと送られ、安全で効率的な通常運転の条件が保証可能になるまで、サイクルが再開される。
【0118】
図10:本熱伝導システム内の熱伝導を高めるための2つの代替的な手段を示す。
図10(a)中、熱交換器のコイルと同一場所に配置された多数の内部金属フィンを含む含熱エネルギー貯蔵ユニットが示されている。熱エネルギー貯蔵ユニットは、グラファイトを含んでよい相変化物質(不図示)を追加的に含んでよい。
図10(b)中、熱交換器のコイル上に配置された多数の金属フィンを有する熱エネルギー貯蔵ユニットが示されている。熱エネルギー貯蔵ユニットは、グラファイトを含んでよい相変化物質(不図示)を追加的に含んでよい。