(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】インペラ、羽根車、送風装置、及び、送風装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20220208BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20220208BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/62 F
F04D29/66 M
(21)【出願番号】P 2017188350
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2020-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 茂之
(72)【発明者】
【氏名】日高 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】河原 敏宏
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-054988(JP,A)
【文献】米国特許第03746467(US,A)
【文献】特開2017-203427(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0006283(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/62
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心として回転するインペラであって、
前記中心軸に直交する方向に広がるベース部と、
前記ベース部の上面に、周方向に間隔をあけて配置される複数の羽根と、
を有し、
前記ベース部は、径方向外方に、凹凸が周方向に繰り返される凹凸部を有し、
前記凹凸部は、
同一形状の複数の第1凹部と、同一形状の複数の第1凸部とを含み、前記第1凹部と前記第1凸部とが1つずつ交互に配列される少なくとも1つの第1凹凸領域と、
前記第1凹凸領域の間に位置
し、前記第1凸部と異なる形状の第2凸部を含む第2凹凸領域と、を有し、
前記凹凸部は、前記ベース部の径方向外端に設けられ、
前記第1凹部は、径方向内方に凹み、
前記第1凸部及び前記第2凸部は、径方向外方に突出し、
前記第2凸部は、前記第1凸部よりも径方向の長さが短い、
インペラ。
【請求項2】
上下に延びる中心軸を中心として回転するインペラであって、
前記中心軸に直交する方向に広がるベース部と、
前記ベース部の上面に、周方向に間隔をあけて配置される複数の羽根と、
を有し、
前記ベース部は、径方向外方に、凹凸が周方向に繰り返される凹凸部を有し、
前記凹凸部は、
同一形状の複数の第1凹部と、同一形状の複数の第1凸部とを含み、前記第1凹部と前記第1凸部とが1つずつ交互に配列される少なくとも1つの第1凹凸領域と、
前記第1凹凸領域の間に位置
し、前記第1凸部と異なる形状の第2凸部を含む第2凹凸領域と、を有し、
前記凹凸部は、前記ベース部の下面に設けられ、
前記第1凹部は、軸方向上方に凹み、
前記第1凸部及び前記第2凸部は、軸方向下方に突出し、
前記第2凸部は、前記第1凸部よりも軸方向の長さが短い、
インペラ。
【請求項3】
前記第2凹凸領域は、
第2凹部を含み、
前記第2凹部は、前記第1凹部よりも周方向の幅が広い、
請求項1または2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記第2凹部は、少なくとも1つの前記第1凸部を削り落として構成された形状である、請求項
3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記第1凸部及び前記第2凸部は、周方向に対向する一対の側面を有し、
前記一対の側面のうち、当該インペラの回転方向前方側となる前側面は、周方向に対して傾斜し、
前記第1凸部及び前記第2凸部の周方向の幅は、前記ベース部側の一端部に比べて前記ベース部から外方に離れた他端部が狭い、請求項1から
4のいずれか1項に記載のインペラ。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載のインペラと、
前記インペラに接続されるシャフトと、
を有する、羽根車。
【請求項7】
請求項
6に記載の羽根車と、
前記シャフトの径方向外方に配置されるマグネットと、
前記マグネットと径方向に対向するステータと、
を有する、送風装置。
【請求項8】
インペラを有する送風装置の製造方法であって、
a)金型に規則的に配列される凹凸のうちの凸側を削って重量を増やす部位を設け、バランス調整されたインペラを成形する工程と、
b)前記インペラを含む回転部分の組み立て時において、前記凹凸によって形成された前記インペラの凸部を削って一部の重量を減らし、前記インペラのバランス調整を行う工程と、
を有する、送風装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インペラ、羽根車、送風装置、及び、送風装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000-54988号公報には、中央吸込口より吸い込んだ空気を外周方向に吐出する送風機の複数の羽根を有する遠心ファンが開示される。当該遠心ファンは、複数の羽根を一体に支持する円板状の端板に、回転軸を中心にした円環状の削り代が一体に形成されている。遠心ファンの端板に削り代が円環状に一体に形成されているので、削り代の所要箇所を削り取れば簡単にバランス取りができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2000-54988号公報に開示されるインペラのバランス調整方法は、インペラの一部の重さを軽くしてバランス調整を行うマイナスバランス調整である。マイナスバランス調整では、アンバランスの量が大きくなった場合に、インペラの削り量が多くなり、加工工数が増大する可能性がある。
【0005】
インペラのバランス調整の手法として、インペラの一部の箇所にウエイトを追加してインペラ全体のバランス調整を行うプラスバランス調整も知られる。しかし、プラスバランス調整では、例えばインペラの薄型化が要求される場合に、ウエイトを取り付ける部位の確保が難しくなる場合がある。
【0006】
本発明は、インペラのバランス調整を適切に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なインペラは、上下に延びる中心軸を中心として回転するインペラであって、前記中心軸に直交する方向に広がるベース部と、前記ベース部の上面に、周方向に間隔をあけて配置される複数の羽根と、を有する。前記ベース部は、径方向外方に、凹凸が周方向に繰り返される凹凸部を有する。前記凹凸部は、同一形状の複数の第1凹部と、同一形状の複数の第1凸部とを含み、前記第1凹部と前記第1凸部とが1つずつ交互に配列される少なくとも1つの第1凹凸領域と、前記第1凹凸領域の間に位置し、第1凸部と異なる形状の第2凸部を含む第2凹凸領域と、を有する。凹凸部は、ベース部の径方向外端に設けられる。第1凹部は、径方向内方に凹み、第1凸部及び第2凸部は、径方向外方に突出する。第2凸部は、第1凸部よりも径方向の長さが短い。
【0008】
本発明の他の例示的なインペラは、上下に延びる中心軸を中心として回転するインペラであって、前記中心軸に直交する方向に広がるベース部と、前記ベース部の上面に、周方向に間隔をあけて配置される複数の羽根と、を有する。前記ベース部は、径方向外方に、凹凸が周方向に繰り返される凹凸部を有する。前記凹凸部は、同一形状の複数の第1凹部と、同一形状の複数の第1凸部とを含み、前記第1凹部と前記第1凸部とが1つずつ交互に配列される少なくとも1つの第1凹凸領域と、前記第1凹凸領域の間に位置し、第1凸部と異なる形状の第2凸部を含む第2凹凸領域と、を有する。凹凸部は、ベース部の下面に設けられる。第1凹部は、軸方向上方に凹み、第1凸部及び第2凸部は、軸方向下方に突出する。第2凸部は、第1凸部よりも軸方向の長さが短い。
【0009】
本発明の例示的な羽根車は、上記のインペラと、前記インペラに接続されるシャフトと、を有する。
【0010】
本発明の例示的な送風装置は、上記の羽根車と、前記シャフトの径方向外方に配置されるマグネットと、前記マグネットと径方向に対向するステータと、を有する。
【0011】
本発明の例示的な送風装置の製造方法は、インペラを有する送風装置の製造方法であって、a)金型に規則的に配列される凹凸のうちの凸側を削って重量を増やす部位を設け、バランス調整されたインペラを成形する工程と、b)前記インペラを含む回転部分の組み立て時において、前記凹凸によって形成された前記インペラの凸部を削って一部の重量を減らし、前記インペラのバランス調整を行う工程と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
例示的な本発明は、インペラのバランス調整を適切に行うことができる技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る送風装置の縦断面図である。
【
図2】
図2は、ステータハウジングの縦断面図である。
【
図3】
図3は、ステータハウジングの下面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係るインペラの平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のインペラが有する凹凸部について説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1凸部及び第2凸部の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、プラスバランス領域について説明するための図である。
【
図8】
図8は、プラスバランス領域が有する第2凸部の変形例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、マイナスバランス領域について説明するための図である。
【
図10】
図10は、マイナスバランス領域の変形例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1実施形態に係る送風装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、試成形によって得られるインペラを示す平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態に係るインペラの平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2実施形態に係るインペラの一部を拡大した平面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2実施形態に係るインペラの他の一部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書では、
図1に示す中心軸9に沿う方向を軸方向、中心軸9に直交する方向を径方向、中心軸9を中心とする円弧に沿う方向を周方向と称する。また、本明細書では、軸方向を上下方向とし、モータ10に対してインペラ20側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義により、本発明のインペラ、羽根車、及び、送風装置の使用時の向きを限定する意図はない。
【0015】
<1.第1実施形態>
<1-1.送風装置の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る送風装置1の縦断面図である。この送風装置1は、モータ10の動力でインペラ20を回転させることにより、軸方向に吸引した気体を接線方向へ送り出す、いわゆる遠心式の送風装置である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の送風装置1は、モータ10、インペラ20、及びケーシング30を有する。
【0017】
モータ10は、インペラ20を回転させるための駆動源である。モータ10は、シャフト11、ロータ12、ステータ13、及びステータハウジング14を有する。シャフト11は、中心軸9に沿って配置された柱状の部材である。シャフト11の上端部には、インペラ20が固定される。一方、シャフト11の下端部には、ロータ12が固定される。すなわち、本実施形態では、ロータ12とインペラ20とが、シャフト11を介して互いに固定されている。
【0018】
ロータ12は、円筒状のロータコア121と、マグネット122とを有する。ロータコア121には、例えば、磁性体である積層鋼板が用いられる。マグネット122は、ロータコア121の外周面に固定される。マグネット122の径方向外側の面には、N極とS極とが、周方向に交互に着磁されている。なお、マグネット122は、複数のマグネットから構成されてもよく、環状の1つのマグネットから構成されてもよい。また、ロータコア121が省略され、ロータ10が円筒状のマグネット122から構成されてもよい。
【0019】
ステータ13は、ロータ12の径方向外側に配置される。ステータ13は、ステータコア131及び複数のコイル132を有する。ステータコア131には、例えば、磁性体である積層鋼板が用いられる。ステータコア131は、環状のコアバック41と、コアバック41から径方向内側へ突出する複数のティース42とを有する。複数のティース42は、周方向に等間隔に配列される。複数のコイル132は、各ティース42に巻かれた導線により構成される。ティース42とコイル132との間には、樹脂製のインシュレータ133が介在する。これにより、ティース42とコイル132とが互いに電気的に絶縁される。
【0020】
コイル132に駆動電流を供給すると、複数のティース42に磁束が生じる。そして、ティース42とマグネット122との間の磁束の作用により、周方向のトルクが生じる。その結果、ロータ12およびシャフト11が、中心軸9を中心として回転する。シャフト11が回転すると、シャフト11に固定されたインペラ20も、中心軸9を中心として回転する。
【0021】
ステータハウジング14は、ケーシング30に固定されるとともに、ステータ13を保持する部材である。
図2は、ステータハウジング14の縦断面図である。
図3は、ステータハウジング14の下面図である。
図1~
図3に示すように、ステータハウジング14は、筒状部141、円板部142、軸受保持部143、複数のリブ144、及び複数の突起部145を有する。
【0022】
筒状部141は、ステータ13の径方向外側において、軸方向に略円筒状に延びる。ステータコア131は、筒状部141の内周面に固定される。筒状部141の上端部は、ステータ13よりも上側まで延びる。円板部142は、筒状部141の上端部から、径方向内側へ向けて広がる。軸受保持部143は、円板部142の径方向内側の端部から、上側及び下側へ向けて略円筒状に延びる。複数のリブ144は、それぞれ、円板部142の下面側において、軸受保持部143の外周面と筒状部141の内周面とを径方向に繋ぐ。複数のリブ144により、ステータハウジング14の剛性が高められている。複数の突起部145は、ステータハウジング14の外周面に歯車状に設けられる。
【0023】
本実施形態のステータハウジング14は、ステータ13に生じた熱の放出経路となる。このため、ステータハウジング14の材料には、アルミニウム、アルミニウム合金などの放熱性の高い金属を用いることが好ましい。例えば、医療機器に送風装置1が搭載される場合、信頼性とともに機器の軽量化が重要な設計課題となる。アルミニウム又はアルミニウム合金を用いれば、ステータハウジング14の強度を高めながら、送風装置1の重量を低減させることができる。
【0024】
軸受保持部143とシャフト11との間には、一対のベアリング51、52が介在する。各ベアリング51、52には、例えばボールベアリングが用いられる。各ベアリング51、52の外輪は、軸受保持部143の内周面に固定される。各ベアリング51、52の内輪は、シャフト11の外周面に固定される。これにより、シャフト11、ロータ12、及びインペラ20が、ステータハウジング14に対して、回転可能に支持される。なお、各ベアリング51、52の内輪は、シャフト11の外周面と隙間を介して対向してもよい。
【0025】
本実施形態では、一対のベアリング51、52が、いずれも、ロータ12よりもインペラ20側である軸方向上側に配置される。そして、一対のベアリング51、52が、いずれも、ステータハウジング14に保持される。このように、2つのベアリング51、52をロータ12に対して軸方向の同じ側に配置すれば、2つのベアリング51、52を1部品で保持することが容易となる。そして、複数のベアリング51、52を1部品で保持すれば、中心軸9に対してシャフト11を同軸に配置しやすい。
【0026】
また、本実施形態では、いずれのベアリング51、52も、ステータハウジング14の円板部142から上側へ完全には突出していない。上側のベアリング51は、ステータハウジング14の円板部142の一部分と、径方向に重なる位置に配置されている。下側のベアリング52は、ステータハウジング14の筒状部141と、径方向に重なる位置に配置されている。このようにすれば、下側のベアリング52が、ステータハウジング14の筒状部141よりも上側に配置される場合と比較し、ベアリング51、52から筒状部141までの距離が短くなる。したがって、シャフト11に対するステータハウジング14の傾きを、より抑制できる。
【0027】
インペラ20は、ステータハウジング14よりも上側において、シャフト11に固定されている。インペラ20は、上下方向に延びる中心軸9を中心として回転する。インペラ20は、ベース部21と、複数の羽根22とを有する。ベース部21は、中心軸9に直交する方向に広がる。ベース部21は円板状である。複数の羽根22は、ベース部21の上面に、周方向に間隔をあけて配置される。インペラ20の材料には、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタラート)やPC(ポリカーボネート)等の樹脂が使用される。ただし、インペラ20の材料に、金属等の樹脂以外の材料が用いられてもよい。
【0028】
モータ10及びインペラ20は、ケーシング30の内部に配置されている。
図1に示すように、本実施形態のケーシング30は、第1ケーシング部材31と、第1ケーシング部材31の上側に配置される第2ケーシング部材32とで構成される。第1ケーシング部材31は、ステータ13及びステータハウジング14の周囲を取り囲む。第2ケーシング部材32は、インペラ20の周囲を取り囲む。ステータハウジング14の複数の突起部145は、第1ケーシング部材31が有するホルダ部311の貫通孔312に嵌る。ホルダ部311は、ステータハウジング14の周囲に形成される。貫通孔312は、ホルダ部311を径方向に貫通する。
【0029】
第1ケーシング部材31と第2ケーシング部材32とは、ねじ止め又は係合によって、互いに固定される。また、第1ケーシング部材31と第2ケーシング部材32との間には、図示を省略したエラストマー製のシール材が、挟まれている。当該シール材により、両部材31、32の隙間からの気体の漏れが、防止される。
【0030】
第1ケーシング部材31及び第2ケーシング部材32の材料には、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタラート)やPC(ポリカーボネート)等の樹脂が使用される。第1ケーシング部材31は、金型の内部にステータハウジング14を配置した状態で、金型の内部に樹脂を流し込んで固化させる、いわゆるインサート成型により得られる。すなわち、本実施形態の第1ケーシング部材31は、ステータハウジング14をインサート部品とする樹脂成型品である。インサート成型を利用すれば、ステータハウジング14と第1ケーシング部材31とを、密着させることができる。
【0031】
ただし、第1ケーシング部材31をステータハウジング14とは別に成型し、成型後の第1ケーシング部材31に、ステータハウジング14を接着剤等で固定してもよい。
【0032】
ケーシング30は、吸気口33と排気口34とを有する。吸気口33は、インペラ20の上側において、第2ケーシング部材32を軸方向に貫通する。すなわち、吸気口33は、第2ケーシング部材32の上方の空間から、インペラ20の中央に向けて開口する。排気口34は、モータ10およびインペラ20の径方向外側において、中心軸9を中心とする仮想円の接線方向に開口する。また、ケーシング30は、気体の流路となる風洞35を内部に有する。風洞35は、モータ10およびインペラ20の周囲において、環状に広がる。また、吸気口33と排気口34とは、風洞35を介して連通する。
【0033】
モータ10の駆動時には、シャフト11とともにインペラ20が回転する。そうすると、ケーシング30の上部空間から吸気口33を通ってケーシング30の内部へ、気体が吸引される。吸引された気体は、インペラ20により加速されて、風洞35内を旋回する。そして、風洞35内を旋回した気体が、排気口34を通って、ケーシング30の外部へ排出される。
【0034】
<1-2.インペラの詳細構成>
図4は、本発明の第1実施形態に係るインペラ20の平面図である。
図4は、インペラ20を上から見た図である。インペラ20は、上述のベース部21及び複数の羽根22に加えて、中央部に筒状のボス部23を有する。シャフト11がボス部23に固定されることにより、インペラ20とシャフト11とが結合する。
【0035】
複数の羽根22は、軸方向からの平面視において、インペラ20の回転方向Rと同じ方向に傾斜して、ボス部23から径方向外側に向けて放射状に延びる。詳細には、複数の羽根22は、主翼22aと補助翼22bとから構成されている。主翼22aは、ボス部23から径方向外側に向けて延びる。補助翼22bは、ボス部23から径方向外側に離れた位置から径方向外側に向けて延びる。本実施形態では、周方向において、主翼22aと補助翼22bとは交互に配置される。ただし、周方向において、2つの主翼22aの間に補助翼22bが複数設けられてもよい。本実施形態では、ベース部21の外周縁は、複数の羽根23の径方向外側の端部よりも径方向外側に突出している。
【0036】
ベース部21は、径方向外方に、凹凸が周方向に繰り返される凹凸部24を有する。本実施形態では、凹凸部24は、ベース部21の径方向外端に設けられる。
図5は、第1実施形態のインペラ20が有する凹凸部24について説明するための図である。
図5に示すように、凹凸部24は、少なくとも1つの第1凹凸領域24aと、第2凹凸領域24bとを有する。本実施形態においては、第1凹凸領域24aの数は2つであるが、1つ又は3つ以上であってもよい。また、本実施形態では、第2凹凸領域24bの数は2つであるが、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0037】
第1凹凸領域24aは、同一形状の複数の第1凹部241と、同一形状の複数の第1凸部242とを含む。本実施形態では、第1凹部241は径方向内方に凹み、第1凸部242は径方向外方に突出する。第1凹凸領域24aにおいては、第1凹部241と第1凸部242とが1つずつ交互に配列される。第1凹凸領域24aは、凹凸が周方向に規則的に繰り返される波型状である。なお、第1凹凸領域24aに含まれる第1凹部241及び第1凸部242の数は、2つ以上であればよく、その数は特に限定されない。本実施形態では、ベース部21の径方向外端の大部分は、第1凹凸領域24aによって占められている。
【0038】
第2凹凸領域24bは、第1凹凸領域24aの間に位置する。本実施形態では、第1凹凸領域24aの数は複数であり、第2凹凸領域24bは2つの第1凹凸領域24aの間に位置する。第1凹凸領域24aの数が1つである場合には、第2凹凸領域24aは、1つの第1凹凸領域24aの周方向の両端部の間に位置する。第2凹凸領域24bは、第1凹部241と異なる形状の第2凹部243と、第1凸部242と異なる形状の第2凸部244とのうち少なくとも一方を含む。本実施形態では、第2凹部243は径方向内方に凹み、第2凸部244は径方向外方に突出する。第2凹凸領域24bは、第1凹凸領域24aの規則的配列が崩された形状を有する。本実施形態では、ベース部21の径方向外端の周方向の狭い領域に、第2凹凸領域24bが形成されている。第2凹凸領域24bは2つ存在する。
【0039】
詳細には、第2凹凸領域24bは、第2凹部243及び第2凸部244を有する第1パターンであってよい。第2凹凸領域24bは、第2凹部243及び第2凸部244のうち、第2凹部243のみを有する第2パターンであってよい。第2凹凸領域24bは、第2凹部243及び第2凸部244のうち、第2凸部244のみを有する第3パターンであってよい。本実施形態では、インペラ20は、第1パターンの第2凹凸領域24bと、第3パターンの第2凹凸領域24bとを有する。ただし、これは例示であり、インペラ20は、第1~第3パターンの少なくともいずれか1つのパターンの第2凹凸領域24bを含めばよい。
【0040】
第2凹凸領域24bは、第1凹凸領域24aの一部の凹凸形状を変更することによって形成することができる。詳細は後述するが、本実施形態では、インペラ20は、第1凹凸領域24aの凹凸形状を利用して形成される、プラスバランス領域24bPとマイナスバランス領域24bMとの2種類の第2凹凸領域24bを有する。
【0041】
プラスバランス領域24bPは、インペラ20の一部を重くするバランス調整を行った領域である。マイナスバランス領域24bMは、インペラ20の一部を軽くするバランス調整を行った領域である。すなわち、本実施形態の構成によれば、凹凸部24を利用して、インペラ20のバランス調整をプラスバランス調整とマイナスバランス調整とを使って適切に行うことができる。また、本実施形態では、インペラ20のバランス調整を行うために利用される凹凸部24がベース部21の径方向外端に設けられる構成になっているために、インペラ20の軸方向の厚みを薄くすることができる。すなわち、本実施形態の構成は、薄型のインペラ20のバランス調整に適している。
【0042】
なお、インペラ20は、第2凹凸領域24bとして、プラスバランス領域24bPとマイナスバランス領域24bMとのうち、いずれか一方のみを有する構成としてもよい。また、インペラ20は、第2凹凸領域24bとして、プラスバランスとマイナスバランスとの両方が行われた領域を有してもよい。
【0043】
本実施形態では、第1凸部242及び第2凸部244は、周方向に対向する一対の側面25、26を有する。一対の側面25、26のうち、一方はインペラ20の回転方向前方側となる前側面25であり、他方はインペラ20の回転方向後方側となる後側面26である。前側面25は周方向に対して傾斜している。後側面26は、周方向に対して直交しており、傾斜していない。このために、第1凸部242及び第2凸部244の周方向の幅は、ベース部21側の一端部に比べてベース部21から外方に離れた他端部の方が狭い。このように構成すると、インペラ20の回転時における凹凸領域の乱流の発生を抑制することができる。この結果、インペラ20の回転時に発生する音を低減することができる。
【0044】
なお、周方向に対して傾斜する前側面25は、平面であっても、湾曲面であってもよい。
図5に示すように、本実施形態では、前側面25は湾曲面である。前側面25が湾曲面である場合、当該湾曲面はインペラ20から外方に向かう凸面であることが好ましい。
【0045】
図6は、第1凸部242及び第2凸部244の変形例を示す図である。なお、
図6においては、本来は周方向に並ぶ凹凸を、便宜的に直線方向に並ぶ凹凸として示している。この点は、以下で説明する
図7、
図8、
図9、及び
図10においても同様である。
図6に示すように、第1凸部242A及び第2凸部244Aの、前側面25A及び後側面26Aをいずれも周方向に対して直交する構成とし、周方向に対して傾斜していない構成としてもよい。
図6に示す構成では、凸部242A、244A及び凹部241Aは、径方向からの平面視において矩形状である。
【0046】
第2凹凸領域24bについて、更に詳細に説明する。
【0047】
図7は、プラスバランス領域24bPについて説明するための図である。プラスバランス領域24bPを構成する第2凹凸領域24bは、第1凸部242と異なる形状の第2凸部244aを含む。
図7に示す例では、プラスバランス領域24bPは、1つの第1凹部241と1つの第2凸部244aとを有する。プラスバランス領域24bPは、第2凹部243と第2凸部244とのうち、第2凸部244のみを有する。
【0048】
第2凸部244aは、第1凸部242よりも周方向の幅が広い。
図7に示す例では、第2凸部244aの周方向の幅W2は、第1凸部242の周方向の幅W1より広い。つまり、幅W2で示される凸部の面積は、幅W1で示される凸部の面積よりも大きくなる。このような構成は、例えば、第1凹凸領域24aを構成する第1凹部241を埋めて隣り合う第1凸部242同士を連結することによって形成することができる。なお、
図7に示す例では、第2凸部244aの径方向の長さは、第1凸部242の径方向の長さと同一である。
【0049】
第2凸部244aは、少なくとも1つの第1凹部241の少なくとも一部を、ベース部21と同じ材料で満たして構成された形状である。詳細には、第2凸部244aは、第1凹部241がベース部21と同じ材料で満たされることによって、隣り合う第1凸部242が繋がった形状になっている。このような構成は、例えば、インペラ20を成形する際に、金型の、第1凹凸領域24aを形成するための凹凸部のうち凸部を削ることによって形成することができる。
図7に示す例では、1つの第1凹部241をベース部21と同じ材料で満たすことによって、第2凸部244aが形成されている。つまり、第1凹部241に満たされた材料の分だけ、当該部位の重量が増えたことになる。
【0050】
また、
図7に示す例では、第2凸部244aは、少なくとも2つの隣り合う第1凸部242の頂部2421同士を接続した形状である。より詳細には、第2凸部244aは、2つの隣り合う第1凸部242の頂部2421同士を接続した形状である。すなわち、
図7に示す例では、第2凸部244aは、1つの第1凹部241の全部を、ベース部21と同じ材料で満たすことによって形成されている。本実施形態によれば、第2凸部244aに径方向に凹む溝が形成されることを防止できる。このために、インペラ20の回転時に乱流が発生することを抑制できる。
【0051】
図8は、プラスバランス領域24bPが有する第2凸部244aの変形例を説明するための図である。
図8に示す変形例のプラスバランス領域24bPAにおいては、第2凸部244aAは、第1凹部241の一部のみを、ベース部21と同じ材料で満たして構成された形状である。
図8に示す変形例においても、第2凸部244aAの周方向の幅W2は、第1凸部242の周方向の幅W1より広い。このような構成は、インペラ20を成形する際に、金型の、第1凹凸領域24aを形成するための凹凸部のうち凸部の一部を削ることによって形成することができる。つまり、インペラ20のプラスバランスの調整量に応じて、金型の第1凹凸領域24aを形成するための凹凸部のうち凸部の削り量を調整することができる。
【0052】
その他、プラスバランス領域24bPが有する第2凸部244aは、複数の第1凹部241をベース部材21と同じ材料で満たして形成されてもよい。この場合、当該第2凸部は、
図7及び
図8に示す第2凸部244a、244aAよりも周方向の幅が広くなる。
【0053】
図9は、マイナスバランス領域24bMについて説明するための図である。マイナスバランス領域24bMを構成する第2凹凸領域24bは、第1凸部242と異なる形状の第2凸部244bを含む。
図9に示す例では、マイナスバランス領域24bMは、第1凹部241と異なる形状の3つの第2凹部243と、1つの第1凸部242と、2つの第2凸部244bとを有する。マイナスバランス領域24bMは、第2凹部243と第2凸部244との両方を有する。なお、
図9に示す例では、3つの第2凹部243の形状は互いに異なる。
【0054】
第2凸部244bは、第1凸部242よりも径方向の長さが短い。
図9に示す例では、第2凸部244bの径方向の長さL2は、第1凸部242の径方向の長さL1より短い。このような構成は、例えば、第1凹凸領域24aを構成する第1凸部242の頂部を削り落とすことによって形成することができる。
【0055】
なお、
図9に示す例では、2つの第2凸部244bが存在するが、いずれの第2凸部244bも第1凸部242よりも径方向の長さが短い。ただし、2つの第2凸部244bの径方向の長さL2は互いに異なってもよい。また、マイナスバランス領域24bMは、1つ又は3つ以上の第2凸部244bを有する構成であってもよい。
【0056】
図10は、マイナスバランス領域24bMの変形例を説明するための図である。
図10に示す変形例では、マイナスバランス領域24bMAを構成する第2凹凸領域24bは、第1凹部241と異なる形状の第2凹部243Aを含む。マイナスバランス領域24bMAは、1つの第2凹部243Aと1つの第1凸部242とを有する。マイナスバランス領域24bMAは、第2凹部243と第2凸部244とのうち、第2凹部243のみを有する。
【0057】
第2凹部243Aは、第1凹部241よりも周方向の幅が広い。
図10に示す変形例では、第2凹部243Aの周方向の幅W2は、第1凹部241の周方向の幅W1より広い。このような構成は、例えば、第1凹凸領域24aを構成する第1凸部242を全て削り落とすことによって形成することができる。
【0058】
第2凹部
243Aは、少なくとも1つの第1凸部242を削り落として構成された形状である。これにより、インペラ20を成形した後に、インペラ20の一部を軽くするバランス調整を行うことができる。つまり、インペラ20のマイナスバランスの調整量に応じて、第1凸部242の削り量を調整することができる。
図10に示す変形例では、1つの第1凸部242のみが削り落とされているが、複数の第1凸部242が削り落とされて第2凹部が形成されてもよい。
【0059】
図1に示すように、羽根車60は、インペラ20と、シャフト11とを有する。シャフト11は、インペラ20に接続される。以上に説明したように、インペラ20は、プラスバランス調整とマイナスバランス調整を行うことができる構成になっている。このために、羽根車60は、バランス良く回転することができる。
【0060】
また、
図1に示すように、送風装置1は、羽根車60と、マグネット122と、ステータ13とを有する。マグネット122は、シャフト11の径方向外方に配置される。ステータ13は、マグネット122と径方向に対向する。本実施形態では、ステータ13はマグネット122の径方向外方に配置される。以上に説明したように、インペラ20を有する羽根車60がバランス良く回転するために、送風装置1は、回転時に発生する音を低減することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、モータ10はいわゆるインナーロータ型のモータである。ただし、モータ10は、マグネット122がステータ13に対して径方向外方に配置される構成として、いわゆるアウターロータ型のモータとしてもよい。
【0062】
<1-3.送風装置の製造方法>
図11は、本発明の第1実施形態に係る送風装置1の製造方法の一例を示すフローチャートである。インペラ20を有する送風装置1の製造方法は、インペラ20の試成形を行う工程(ステップS1)を有する。本実施形態では、インペラ20は樹脂成形によって形成される。
図12は、試成形によって得られるインペラ20Rを示す平面図である。試成形によって得られるインペラ20Rは、第1凹部241と第1凸部242とが周方向に1つずつ交互に配列される凹凸部24Rを有する。すなわち、凹凸部24Rは第1凹凸領域24aのみを有する。
【0063】
樹脂成形に使用される金型は、金型自体を製造する際に生じる製造誤差を含んでいる。このために、金型毎に、試成形によって得られるインペラ20Rは異なるバランス状態を有する。試成形によって、金型が有する製造誤差を把握することができる。なお、試成形で使用される金型には、凹凸部24Rを形成するための凹凸が規則的に配列されている。
【0064】
送風装置1の製造方法は、金型に規則的に配列される凹凸のうちの凸部を削って重量を増やす部位を設け、バランス調整されたインペラ20を成形する工程(ステップS2)を有する。上述のように、試成形により、試成形に使用した金型のどの部分を削ればインペラ20のバランス調整を行うことができるかを把握することができる。ステップS2では、試成形の結果に基づいて、金型の一部の凸部を削ることによってインペラ20の重量を一部の箇所について増やすプラスバランス調整を行って、バランス調整されたインペラ20を得る。これにより、金型の製造誤差に由来するインペラ20のアンバランスを抑制することができる。
【0065】
なお、試形成によって得られたインペラ20Rのバランスが良好である場合には、プラスバランス調整を行う必要はない。すなわち、この場合には、凸部を削る金型の改良は行う必要がない。
【0066】
送風装置1の製造方法は、インペラ20を含む回転部分の組み立て時において、金型の凹凸によって形成されたインペラ20の凸部を削って一部の重量を減らし、インペラ20のバランス調整を行う工程(ステップS3)を有する。本実施形態では、第1凸部242を削ってインペラ20の一部の重量を減らす。回転部分は、インペラ20の他に、例えばシャフト11、ベアリング51、52、及びロータ12等を含む。回転部分の組み立て時に、組み付け位置のずれ等によって組み立て誤差が生じる。そして、この組み立て誤差に由来して、インペラ20の回転時のバランスが悪くなることがある。ステップS3では、この組み立て誤差に由来するアンバランスを解消するために行われる。ステップS3においては、インペラ20の少なくとも1つの第1凸部242の少なくとも一部を削って、インペラ20の回転バランスの調整が行われる。
【0067】
なお、回転部分を組み立てた際にインペラ20の回転バランスが良好である場合には、マイナスバランス調整を行う必要はない。すなわち、この場合には、インペラ20の第1凸部242を削る必要はない。
【0068】
本実施形態の送風装置1の製造方法によれば、インペラ20の一部の重さを重くしてバランス調整を行うプラスバランス調整と、インペラ20の一部の重さを軽くしてバランス調整を行うマイナスバランス調整とを行って、インペラ20のバランスが調整されるために、インペラ20のバランス調整を適切に行うことができる。また、本実施形態の送風装置1の製造方法によれば、試成形に基づくプラスバランス調整によって、アンバランスが低減されたインペラ20を用いて回転部分の組み立てが行われるために、回転部分の組み立て後に生じるアンバランスを小さくすることができる。このために、マイナスバランス調整の際に第1凸部242を削る量を少なくして、作業負担を低減することができる。
【0069】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態のインペラについて説明する。第2実施形態のインペラを有する羽根車及び送風装置の構成は、第1実施形態と同様である。このために、インペラに絞って説明を行う。
【0070】
図13は、本発明の第2実施形態に係るインペラ70の平面図である。
図13は、インペラ70を下側から見た図である。
図14は、本発明の第2実施形態に係るインペラ70の一部を拡大した平面図である。
図14は、インペラ70を側面から見た図である。
図15は、本発明の第2実施形態に係るインペラ70の他の一部を拡大した平面図である。
図15は、
図14と同様に、インペラ70を側面から見た図であるが、
図14とは異なる角度から見た図である。
【0071】
インペラ70は、第1実施形態と同様に、ベース部71と、複数の羽根72とを有する。ベース部71は、中心軸9に直交する方向に広がる。複数の羽根72は、ベース部71の上面に、周方向に間隔をあけて配置される。
【0072】
ベース部71は、径方向外方に、かつベース部71において羽根72の配置される面と反対側の面に、凹凸が周方向に繰り返される凹凸部73を有する。凹凸部73は、複数の第1凹凸領域73と、第2凹凸領域73bとを有する。第1凹凸領域73aは、同一形状の複数の第1凹部731と、同一形状の複数の第1凸部732とを含む。第1凹凸領域73aにおいては、第1凹部731と第1凸部732とが1つずつ交互に周方向に配列される。第2凹凸領域73bは、2つの第1凹凸領域73aの間に位置する。第2凹凸領域73bは、第1凹部731と異なる形状の第2凹部733と、第1凸部732と異なる形状の第2凸部734とのうちの少なくとも一方を含む。
【0073】
本実施形態では、凹凸部73は、ベース部71の下面に設けられる。第1凹部731及び第2凹部は、軸方向上方に凹む。第1凸部732及び第2凸部734は、軸方向下方に突出する。このように構成すると、バランス調整するための凹凸部73が設けられるインペラ70の径方向のサイズを小さくすることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、第1凹部731及び第1凸部732はいずれも、径方向からの平面視において矩形状である。ただし、これは例示であり、第1実施形態と同様の形状であってよい。すなわち、第1凸部732及び第2凸部734は、周方向に対向する一対の側面のうち、インペラ70の回転方向前方側となる側面が周方向に傾斜する形状としてよい。
【0075】
図14及び
図15に示すように、本実施形態においても、第2凹凸領域73bは、プラスバランス領域73bPとマイナスバランス領域73bMとを有する。プラスバランス領域73bPは、第1凸部732より周方向の幅が広い第2凸部734aを有する。第2凸部734aは、第1凹部731をベース部71と同じ材料で満たすことによって形成できる。なお、第1凹部731をベース部71と同じ材料で満たす範囲は、全範囲でもよいが、一部の範囲でもよい。
【0076】
また、マイナスバランス領域73bMを構成する第2凹凸領域73bは、第1凸部732と異なる形状の第2凸部734bを含む。第2凸部734bは、第1凸部732よりも軸方向の長さが短い。このような構成の第2凸部734bは、第1凸部732の頂部を削り落とすことによって形成することができる。なお、マイナスバランス領域73bMは、第1凸部732を全て削り落とすことによって形成された第2凹部733を有してもよい。
【0077】
本実施形態においても、凹凸部73を利用して、インペラ70のバランス調整をプラスバランス調整とマイナスバランス調整とを使って適切に行うことができる。このために、羽根車をバランス良く回転させて、送風装置の騒音を抑制することができる。
【0078】
<3.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば医療機器、家電、OA機器、車載機器等に用いられる送風装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1・・・送風装置
9・・・中心軸
11・・・シャフト
13・・・ステータ
20、70・・・インペラ
21、71・・・ベース部
22、72・・・羽根
24、73・・・凹凸部
24a、73a・・・第1凹凸領域
24b、73b・・・第2凹凸領域
25・・・前側面(一対の側面の一方)
26・・・後側面(一対の側面の他方)
60・・・羽根車
122・・・マグネット
241、731・・・第1凹部
242、732・・・第1凸部
243・・・第2凹部
244、734・・・第2凸部
2421・・・頂部