(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】用紙反転装置、画像形成システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 29/58 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
B65H29/58 A
B65H29/58 B
(21)【出願番号】P 2017205764
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 正明
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-299365(JP,A)
【文献】特開昭60-052458(JP,A)
【文献】特開昭63-176261(JP,A)
【文献】特開平01-097978(JP,A)
【文献】特開2011-084382(JP,A)
【文献】特開昭62-183663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H 9/0-9/20
B65H 13/00-15/02
B65H 29/52-29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部と、
前記ガイド部の移動を制御する制御部と、
前記ガイド部に連結された回動軸と、
前記回動軸を回動させることにより前記ガイド部を回動させる回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、
駆動部で駆動される偏心カムと、
前記回動軸を支持し、前記偏心カムの回転に伴って動作しつつ前記偏心カムが所定角度回転した時点で当該偏心カムと当接する規制ガイドと、
を備え、
前記ガイド部は、
一体に形成された第1ガイド板と第2ガイド板を有し、
前記用紙進入時と前記用紙排出時において、前記偏心カムと前記規制ガイドとの当接面が切り換わり、
前記制御部は、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させることを特徴とする用紙反転装置。
【請求項2】
前記偏心カムと前記規制ガイドが当接した状態において、
前記偏心カムの回転中心から前記偏心カムと前記規制ガイドの当接点までを結んだ直線が、前記規制ガイドの前記偏心カムとの当接面に対して略垂直となることを特徴とする請求項
1に記載の用紙反転装置。
【請求項3】
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部と、
前記ガイド部の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記ガイド部は、第1ガイド板と第2ガイド板を有し、
前記制御部は、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ
、
用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、前記ガイド部の移動位置を調整することを特徴とする用紙反転装置。
【請求項4】
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部と、
前記ガイド部の移動を制御する制御部と、
前記主搬送経路とは異なる方向に延在する、前記反転経路に用紙を進入させる進入経路及び/又は反転経路から排出された用紙を受け取る排出経路と、
を備え、
前記ガイド部は、第1ガイド板と第2ガイド板を有し、
前記制御部は、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させることを特徴とする用紙反転装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記進入経路及び/又は前記排出経路により用紙を搬送する場合、これら各経路の前記
反転経路に対する設置角度に応じて、前記ガイド部の移動位置を調整することを特徴とする請求項
4に記載の用紙反転装置。
【請求項6】
前記第1ガイド板と前記第2ガイド板の間には、用紙進入方向に対して徐々に狭くなる間隙が形成されていることを特徴とする請求項1
から5のいずれか一項に記載の用紙反転装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により画像の形成された用紙を反転させる請求項1から
6のいずれか一項に記載の用紙反転装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドする、
一体に形成された第1ガイド板と第2ガイド板を有するガイド部と、
前記ガイド部に連結された回動軸と、
前記回動軸を回動させることにより前記ガイド部を回動させる回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、
駆動部で駆動される偏心カムと、
前記回動軸を支持し、前記偏心カムの回転に伴って動作しつつ前記偏心カムが所定角度回転した時点で当該偏心カムと当接する規制ガイドと、
を備え
、
前記用紙進入時と前記用紙排出時において、前記偏心カムと前記規制ガイドとの当接面が切り換わる用紙反転装置のコンピューターを、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させる制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドする、第1ガイド板と第2ガイド板を有するガイド部と、
を備えた用紙反転装置のコンピューターを、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ
、
用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、前記ガイド部の移動位置を調整する制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドする、第1ガイド板と第2ガイド板を有するガイド部と、
前記主搬送経路とは異なる方向に延在する、前記反転経路に用紙を進入させる進入経路及び/又は反転経路から排出された用紙を受け取る排出経路と、
を備えた用紙反転装置のコンピューターを、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させる制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙反転装置、画像形成システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を形成する画像形成装置に、画像形成後の用紙を反転させる反転機構を備えた用紙処理装置を接続させた画像形成システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
反転機構としては様々な構成のものがあるが、例えば、水平方向に延びる主搬送経路に対して所定角度を成す反転経路を設けた構成が知られている。かかる反転機構では、用紙は、主搬送経路から反転経路に進入し、反転経路の所定位置に到達した後、逆走されて反転経路から主搬送経路に戻され、これによって、表裏の反転が行われる。
【0003】
このような反転機構においては、主搬送経路から用紙を反転経路に進入させるため、また、反転経路から用紙を主搬送経路に戻すために、搬送方向に沿って用紙をガイドするガイド部が備えられているのが一般的である。
具体的には、例えば、
図8(a)(b)に示すように、主搬送経路R11から反転経路R12に進入する用紙の曲率に沿い易い角度及び位置に設定された固定ガイド板71と、固定ガイド板71に対して可動する可動ガイド板72とを有するガイド部70が知られている。
こうしたガイド部70は、用紙の進入時においては、例えば、
図8(a)に示すように、可動ガイド板72を固定ガイド板71から退避させ、用紙を固定ガイド板71に沿わせて反転経路R12に進行させる。また、用紙の排出時においては、例えば、
図8(b)に示すように、可動ガイド板72を移動させ、固定ガイド板71と可動ガイド板72とで略一定の幅の間隙を形成し、用紙を主搬送経路R11に案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のガイド部では、固定ガイド板が、進入する用紙を沿わせ易い角度及び位置となるよう設定されているため、用紙排出時において、固定ガイド板の角度や位置によっては通紙経路が狭くなり過ぎて、用紙排出時の搬送性に影響する場合がある。
一方で、用紙排出時の搬送性を良好にするため、固定ガイド板を、上記した進入する用紙を沿わせ易い角度よりも傾けたり、位置をずらしたりして設置すると、用紙進入時の搬送性が安定しない。これは特に、剛度が高い用紙の場合において、用紙が固定ガイド板に衝突することとなるため顕著である。
従って、用紙進入時及び用紙排出時の両者で安定した搬送性を実現したいという要望があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、用紙反転処理において安定した用紙搬送性を実現させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の用紙反転装置は、
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部と、
前記ガイド部の移動を制御する制御部と、
前記ガイド部に連結された回動軸と、
前記回動軸を回動させることにより前記ガイド部を回動させる回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、
駆動部で駆動される偏心カムと、
前記回動軸を支持し、前記偏心カムの回転に伴って動作しつつ前記偏心カムが所定角度回転した時点で当該偏心カムと当接する規制ガイドと、
を備え、
前記ガイド部は、一体に形成された第1ガイド板と第2ガイド板を有し、
前記用紙進入時と前記用紙排出時において、前記偏心カムと前記規制ガイドとの当接面が切り換わり、
前記制御部は、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させることを特徴とする。
また、本発明の用紙反転装置は、
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部と、
前記ガイド部の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記ガイド部は、第1ガイド板と第2ガイド板を有し、
前記制御部は、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、前記ガイド部の移動位置を調整することを特徴とする。
また、本発明の用紙反転装置は、
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部と、
前記ガイド部の移動を制御する制御部と、
前記主搬送経路とは異なる方向に延在する、前記反転経路に用紙を進入させる進入経路及び/又は反転経路から排出された用紙を受け取る排出経路と、
を備え、
前記ガイド部は、第1ガイド板と第2ガイド板を有し、
前記制御部は、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成システムは、
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により画像の形成された用紙を反転させる前記用紙反転装置と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドする、一体に形成された第1ガイド板と第2ガイド板を有するガイド部と、
前記ガイド部に連結された回動軸と、
前記回動軸を回動させることにより前記ガイド部を回動させる回動機構と、
を備え、
前記回動機構は、
駆動部で駆動される偏心カムと、
前記回動軸を支持し、前記偏心カムの回転に伴って動作しつつ前記偏心カムが所定角度回転した時点で当該偏心カムと当接する規制ガイドと、
を備え、
前記用紙進入時と前記用紙排出時において、前記偏心カムと前記規制ガイドとの当接面が切り換わる用紙反転装置のコンピューターを、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させる制御部として機能させるためのプログラムである。
また、本発明のプログラムは、
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドする、第1ガイド板と第2ガイド板を有するガイド部と、
を備えた用紙反転装置のコンピューターを、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、前記ガイド部の移動位置を調整する制御部として機能させるためのプログラムである。
また、本発明のプログラムは、
用紙を搬送する主搬送経路と、
前記主搬送経路に対して所定角度を成して設けられ、前記主搬送経路から用紙を進入させ、スイッチバックさせて前記主搬送経路に排出する反転経路と、
前記反転経路への用紙進入時及び前記反転経路からの用紙排出時に用紙をガイドする、第1ガイド板と第2ガイド板を有するガイド部と、
前記主搬送経路とは異なる方向に延在する、前記反転経路に用紙を進入させる進入経路及び/又は反転経路から排出された用紙を受け取る排出経路と、
を備えた用紙反転装置のコンピューターを、
前記用紙進入時には、前記第1ガイド板を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第2ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させ、
前記用紙排出時には、前記第2ガイド板を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に前記第1ガイド板を当該用紙から退避した位置に移動させる制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用紙反転処理において安定した用紙搬送性を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】画像形成システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】画像形成装置及び用紙反転装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0013】
[画像形成システムの構成]
先ず、本実施の形態における画像形成システムの構成について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態の画像形成システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置3と、用紙反転装置5と、用紙処理装置7とを備える。
なお、以下の説明において、鉛直方向をZ方向とし、
図1に示す画像形成装置3、用紙反転装置5及び用紙処理装置7が互いに接続される方向に沿う方向をX方向とし、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。
また、X方向について前側及び後側を付し、Y方向について右側及び左側を付し、Z方向について上側及び下側を付して説明する。ここで、前側は、画像形成システム1における搬送方向の上流側であり、後側は、その下流側である。
【0015】
画像形成装置3は、電子写真方式で用紙に画像を形成する装置である。画像形成装置3は、画像が形成された用紙を用紙反転装置5に搬送する。
用紙反転装置5は、画像形成装置3から搬送されてきた用紙を反転する装置である。用紙反転装置5は、反転した用紙を用紙処理装置7に搬送する。なお、用紙反転装置5は、用紙を反転することなく用紙処理装置7に搬送することも可能である。また、用紙反転装置5は、用紙を反転する以外の用紙処理機能を有することも好ましい。
用紙処理装置7は、用紙反転装置5から搬送されてきた用紙に所定の用紙処理を行って排紙する装置である。用紙処理としては、例えば、デカール処理、ステイプル処理、パンチ穴開け処理、折り処理、製本処理等が挙げられる。
上記した画像形成装置3、用紙反転装置5及び用紙処理装置7は、各々隣り合う装置に対して着脱可能な構成とされている。
【0016】
図2は、画像形成装置3及び用紙反転装置5の主要な機能構成を示すブロック図である。また、
図3は、用紙反転装置5の構成を示す模式図である。
以下、
図2、
図3を参照しつつ、画像形成装置3及び用紙反転装置5について説明する。
【0017】
<画像形成装置>
画像形成装置3は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、及びROM(Read Only Memory)303を有する制御部30と、記憶部31と、操作部32と、表示部33と、外部通信部34と、インターフェース35と、スキャナー36と、画像処理部37と、画像形成部38と、搬送部39と、を備える。
制御部30は、バス3bを介して記憶部31、操作部32、表示部33、外部通信部34、インターフェース35、スキャナー36、画像処理部37、画像形成部38及び搬送部39と接続されている。
【0018】
CPU301は、ROM303又は記憶部31に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0019】
RAM302は、CPU301に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0020】
ROM303は、CPU301により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM303に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0021】
これらのCPU301、RAM302及びROM303を備える制御部30は、上述の各種制御用プログラムに従って画像形成装置3の各部を統括制御する。例えば、制御部30は、画像処理部37に画像データに対する所定の画像処理を行わせて記憶部31に記憶させる。また、制御部30は、搬送部39に用紙を搬送させ、記憶部31に記憶された画像データに基づいて画像形成部38により用紙に画像を形成させる。
【0022】
記憶部31は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、スキャナー36により取得された画像データや、外部通信部34を介して外部から入力された画像データ等が記憶される。なお、これらの画像データ等はRAM302に記憶されてもよい。
【0023】
操作部32は、操作キーや表示部33の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対する入力操作を操作信号に変換して制御部30に出力する。
【0024】
表示部33は、LCD(Liquid crystal display)等の表示装置を備え、画像形成システム1の状態や、タッチパネルへの入力操作の内容を示す操作画面等を表示する。
【0025】
外部通信部34は、制御部30からの制御信号に従い、ネットワーク上のコンピューターや他の画像形成装置と通信を行って画像データなどを送受信する。
【0026】
インターフェース35は、用紙反転装置5との間でデータの送受信を行う手段であり、例えば各種シリアルインターフェースのいずれかにより構成される。
【0027】
スキャナー36は、用紙に形成された画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の色成分ごとの単色画像データを含む画像データを生成して記憶部31に記憶させる。
【0028】
画像処理部37は、ラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部を備えており、記憶部31に記憶された画像データに各種画像処理を施して記憶部31に記憶させる。
【0029】
ラスタライズ処理部は、ネットワーク上のコンピューター等から入力された所定のページ記述言語(PDL)で記述されたベクター形式の画像データをビットマップ等のラスター形式の画像データに変換する。ラスタライズ処理部で変換、生成された画像データは、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)、及びK(黒)の色成分ごとの単色画像データを含む。
色変換部は、スキャナー36から出力されたR、G、及びBの各色の画像データを所定のルックアップテーブルを参照して色変換処理し、C、M、Y、及びK各色の単色画像データを含む画像データを生成する。また、色変換部は、画像データに対して所定の色補正処理を行う。
階調補正部は、画像データに係る画像の階調特性が所定の特性となるように、各階調値に対応する補正値が定められたルックアップテーブルを参照して画像データの階調値を補正する。
ハーフトーン処理部は、画像データに対しディザマトリクスを用いたスクリーン処理や誤差拡散処理等のハーフトーン処理を行う。
なお、画像処理部37に含まれるラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部の一部又は全部を、制御部30により実現させる構成としてもよく、或いは画像形成装置3の外部に設けられた他の画像処理装置により実現させる構成としてもよい。
【0030】
画像形成部38は、記憶部31に記憶された画像データに基づき、用紙に画像を形成する。画像形成部38は、
図1に示すように、C、M、Y、及びKの色成分に各々対応する4組の露光部381、感光体382及び現像部383を備えている。また、画像形成部38は、転写体384、2次転写ローラー385及び定着部386を備えている。
【0031】
露光部381は、発光素子としてのLD(Laser Diode)を備えている。露光部381は、画像データに基づいてLDを駆動し、帯電する感光体382上にレーザー光を照射、露光して感光体382上に静電潜像を形成する。現像部383は、露光された感光体382上に帯電する現像ローラーにより所定の色(C、M、Y、及びKの何れか)のトナー(色材)を供給して、感光体382上に形成された静電潜像を現像する。
C、M、Y、及びKに対応する4つの感光体382上に各々C、M、Y、及びKのトナーで形成された画像(単色画像)は、各感光体382から転写体384上に順次重ねられて転写される。これにより、転写体384上にC、M、Y、及びKを色成分とするカラー画像が形成される。
【0032】
転写体384は、複数の転写体搬送ローラーに巻き回された無端ベルトであり、各転写体搬送ローラーの回転に従って回転する。
【0033】
2次転写ローラー385は、転写体384上のカラー画像を、給紙トレイ3aから給紙された用紙上に転写する。詳しくは、用紙及び転写体384を挟持する2次転写ローラー385に所定の転写電圧が印加されることにより、転写体384上においてカラー画像を形成しているトナーが用紙側に引き寄せられて用紙に転写される。
【0034】
定着部386は、トナーが転写された用紙を加熱及び加圧してトナーを用紙に定着させる定着処理を行う。定着部386は、用紙を挟持する加熱ローラー及び加圧ローラーからなる一対のローラーを備えている。加熱ローラーは、加熱源としてのヒーターによって所定の目標温度(例えば180℃以上200℃以下の範囲内の温度)に加熱される。加圧ローラーは、図示しない弾性部材によって加熱ローラーへ向かって付勢されている。2次転写ローラー385においてトナーで形成された画像が転写された用紙が、加熱ローラーと加圧ローラーとのニップ部を通ることにより、トナーで形成された画像が当該用紙に定着される。
【0035】
搬送部39は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、所定の搬送経路に沿って用紙を搬送する。搬送部39は、2次転写ローラー385の搬送方向上流側に配置されたレジストローラー391を備えている。レジストローラー391は、給紙された用紙の搬送を一旦停止させて、2次転写ローラー385へ用紙を送り出すタイミングを調整する。また、搬送部39は、定着部386により定着処理が行われた用紙の表裏を反転させて2次転写ローラー385へ搬送する反転部392を備えている。画像形成装置3では、用紙の両面に画像を形成する場合に反転部392による用紙の表裏の反転が行われ、用紙の片面にのみ画像を形成する場合には、反転部392による用紙の表裏の反転が行われることなく用紙が用紙反転装置5に搬送される。
【0036】
<用紙反転装置>
用紙反転装置5は、CPU501、RAM502、及びROM503を有する制御部50と、インターフェース51と、搬送部52と、加湿部53と、デカーラ部54と、パージ部55と、用紙反転部20と、を備える。
制御部50は、バス5bを介してインターフェース51、搬送部52、加湿部53、デカーラ部54、パージ部55及び用紙反転部20と接続されている。
【0037】
CPU501は、ROM503に記憶されている制御用プログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行う。
【0038】
RAM502は、CPU501に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。この一時データには、用紙反転装置5の各部の処理(例えば、用紙反転処理など)に係る各種の設定情報が含まれる。
【0039】
ROM503は、CPU501により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM503に代えてEEPROMやフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0040】
これらのCPU501、RAM502、及びROM503を備える制御部50は、上述の各種制御用プログラムに従って用紙反転装置5の各部を統括制御する。例えば、制御部50は、RAM502に記憶された設定情報に基づいて、用紙反転部20により用紙の表裏を反転する用紙反転処理を行わせる。
【0041】
インターフェース51は、画像形成装置3との間でデータの送受信を行う手段であり、例えば各種シリアルインターフェースのいずれかにより構成される。
【0042】
搬送部52は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する複数の搬送ローラー対を備え、主搬送経路R1に沿って用紙を搬送する。
各搬送ローラー対は、圧接された一対のローラーであって、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより、用紙を挟持した状態で回転することで、用紙を搬送する。
なお、以下の説明において、主搬送経路R1から用紙反転部20の反転経路R2(後述)に用紙を受け渡す位置に配された搬送ローラー対を、上流側ローラー対21とする。
また、用紙反転部20の反転経路R2から主搬送経路R1に送り出された用紙を受け取る位置に配された搬送ローラー対を、下流側ローラー対22とする。
【0043】
加湿部53は、用紙に水を付与して加湿する加湿処理を行う機構である。
加湿部53は、鉛直方向に並ぶように配置された加湿ローラー対53a,53bを備え、主搬送経路R1に沿って水平方向に搬送される用紙を挟持搬送する際に用紙に水を付与する。
例えば、転写電圧の印加や搬送時に生じる静電気等により電荷を帯びた用紙に対して、加湿部53により加湿処理を行うことで、用紙の浮き上がりや張り付きなどの現象の発生を防止することができる。
なお、加湿部53による加湿処理を行うことなく、用紙を搬送することも可能であるのは勿論である。
【0044】
デカーラ部54は、加湿部53の搬送方向下流側において主搬送経路R1から下方に分岐し、用紙反転部20の搬送方向下流側において主搬送経路R1に合流する湾曲経路54aを有する。デカーラ部54は、かかる湾曲経路54aに沿って用紙を搬送することにより、搬送や定着加熱などによってカールしてしまった用紙の姿勢を補正する。
【0045】
パージ部55は、反転経路R2に連結されるサブ排紙経路55aと、サブ排紙経路55aにより搬送されてきた用紙を積載可能な、用紙反転装置5の外側に突出するサブ排紙トレイ55bと、を備える。
パージ部55は、例えばジャムなどの誤作動が起こった場合に用いられ、反転経路R2を介してサブ排紙経路55aに用紙を搬送し、サブ排紙トレイ55b上にこれを貯えることを可能とする。
【0046】
用紙反転部20は、主搬送経路R1に沿って水平方向に搬送される用紙の表裏を反転させる機構である。本実施の形態では、用紙反転部20は、主搬送経路R1において加湿部53より搬送方向下流側に設けられている。
【0047】
用紙反転部20は、例えば、主搬送経路R1から分岐して、鉛直方向の上方に延在する反転経路R2を備えている。
用紙反転部20により用紙を反転させる場合には、切替ゲート20aにより、主搬送経路R1を搬送される用紙の搬送先が反転経路R2に切り替えられ、用紙が反転経路R2に導入されることとなる。
【0048】
反転経路R2には、所定間隔ごとに正逆回転可能な複数の反転ローラー対23が配されている。各反転ローラー対23は、圧接された一対のローラーであり、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する。
かかる反転ローラー対23は、制御部50により制御され、正回転(
図3の矢印A方向の回転)して主搬送経路R1から導入された用紙を反転経路R2の所定位置まで搬送した後、逆回転(
図3の矢印Aと逆方向の回転)に切り替えられて用紙の搬送方向を逆転させ、当該用紙を反転経路R2から主搬送経路R1に送り出す。これにより、用紙がスイッチバックされて用紙の表裏が反転される。
【0049】
また、本実施の形態の反転経路R2には、主搬送経路R1から用紙が導入される際、及び主搬送経路R1に用紙を送り出す際に、用紙を案内するためのガイド部10が備えられている。
ガイド部10は、回動機構100(
図4参照)により回動され、用紙進入時と用紙排出時とで、主搬送経路R1に対して異なるポジションとなることで、用紙進入時と用紙排出時の両者において、用紙を円滑に搬送することを可能とするものである。
【0050】
図4は、ガイド部10と、当該ガイド部10を回動させるための回動機構100と、を示す斜視図である。
【0051】
図4に示すように、ガイド部10は、その上端部が回動軸Gに回動可能に支持される第1ガイド板11と、第1ガイド板11に固定された第2ガイド板12と、を備えている。
第1ガイド板11と第2ガイド板12は、用紙の幅方向(Y方向)に長尺な板体である。
第1ガイド板11と第2ガイド板12は、互いの上端側が下端側よりも近づくように設置されおり、第1ガイド板11と第2ガイド板12の間には、用紙進入方向に対して徐々に狭くなる間隙が形成されている。これにより、用紙を反転経路R2に進入させる際の用紙の受入口となる端部を、他端部より広くできることとなり、反転経路R2への用紙の進入性を安定させることができる。
【0052】
回動機構100は、例えば、駆動部101と、駆動部101により正逆回転する偏心カム102と、回動軸Gを支持し、偏心カム102の回転に伴って揺動しつつ偏心カム102の回転を規制する規制ガイド103と、を備えて構成されている。
【0053】
駆動部101は、例えば、ステッピングモーター等のモーター101a(
図2参照)と、モーター101aの出力軸と偏心カム102の回転軸102aに架け渡された駆動ベルト101bと、を備える。
駆動部101は、制御部50の指示により、モーター101aを駆動させることで駆動ベルト101bを回転させる。
【0054】
偏心カム102は、駆動ベルト101bの回転に伴って、中心からずれた位置に設けられた回転軸102aを中心に正方向又は逆方向に回転し、規制ガイド103の第1当接面103a又は第2当接面103bのいずれかと接触した位置で回転が停止される。
なお、偏心カム102を、正方向又は逆方向のいずれか一方にのみ回転させる制御を行っても良い。
【0055】
規制ガイド103は、例えば、その中央部に矩形状の開口Kが形成された、矩形状の枠体である。規制ガイド103の開口Kの内部には偏心カム102が配置され、開口Kの下辺には、用紙進入時において偏心カム102が当接する第1当接面103aが備えられ、開口Kの上辺には、用紙排出時において偏心カム102が当接する第2当接面103bが備えられている。
【0056】
また、規制ガイド103には、上述したようにガイド部10の回動軸Gが連結されており、規制ガイド103の回転に応じて回動軸Gが回動する。これにより、ガイド部10は、用紙進入時と用紙排出時とで主搬送経路R1に対して異なるポジションとなる。
【0057】
図5(a)(b)は、上記した回動機構100の動作を説明するための図である。
【0058】
用紙進入時においては、
図5(a)に示すように、偏心カム102は、規制ガイド103の第1当接面103aに当接した状態にて回転が停止されている。なお、この偏心カム102の位置を、初期位置とする。
そして、このとき、
図5(a)に示すように、ガイド部10の第1ガイド板11が、主搬送経路R1に対して、主搬送経路R1から進入する用紙の曲率に沿わせ易い角度を成すこととなる。なお、このガイド部10の位置を、第1ポジションとする。
【0059】
一方、用紙排出時においては、偏心カム102は初期位置から回転を開始し、
図5(b)に示すように、偏心カム102が規制ガイド104の第2当接面103bに当接した状態にて、回転が停止される。
そして、このとき、
図5(b)に示すように、ガイド部10の第2ガイド板12が、主搬送経路R1に対して、用紙を送り出し易い角度を成すこととなる。なお、このガイド部10の位置を、第2ポジションとする。
【0060】
また、
図5(a)(b)のいずれに状態においても、偏心カム102の回転中心から、偏心カム102と規制ガイド103の当接点までを結んだ直線(
図5(a)(b)の矢印で示す直線)が、規制ガイド103の偏心カム102との当接面(第1当接面103a又は第2当接面103b)に対して略垂直となることが好ましい。
これにより、用紙進入時又は用紙排出時において、用紙によりガイド部10に加えられる力(用紙がガイド部10に衝突する力)に対して、偏心カム102が回動し難くなり、衝撃に強い構成とすることができ、モーターの保持励磁なしでも、ガイド部10を固定することが可能である。
【0061】
なお、用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、ガイド部10の角度(第1ポジション及び第2ポジション)が調整されることも好ましい。
例えば、厚紙や、坪量が所定値より大きい用紙の場合は、制御部50の制御により、用紙進入時に、第1ガイド板11に対する用紙の進入角度が小さくなるようにガイド部10の位置が調整される。
【0062】
[用紙反転装置の動作]
次に、上記構成を有する画像形成システム1の用紙反転装置5において行われる用紙反転処理について説明する。
図6(a)(b)は、用紙反転処理におけるガイド部10の動作を示す図である。
【0063】
制御部50は、事前に取得したジョブ情報に基づき、用紙反転処理を行う場合、切替ゲート20aを駆動させ、上流側ローラー対21により、用紙を主搬送経路R1から反転経路R2に導入する。
このとき、制御部50の制御により、
図6(a)に示すように、ガイド部10は第1ポジションとなっている。
第1ポジションにおいては、第1ガイド板11は、進入する用紙が沿う位置にあって、また、第2ガイド板12は、当該用紙から退避した位置になっている。
主搬送経路R1から導入された用紙は、第1ガイド板11の斜め下方から進行し、第1ガイド板11に接触した後、第1ガイド板11に沿って上方に進む。
【0064】
反転経路R2において、ガイド部10の上方には反転ローラー対23が正回転しており、用紙は反転ローラー対23に挟持され、さらに上方に搬送される。
用紙の搬送方向後端が、反転経路R2の所定位置に到達すると、制御部50は、反転ローラー対23を逆回転させ、用紙を逆走させて反転経路R2から主搬送経路R1に送り出す。
このとき、制御部50の制御により、回動機構100が動作し、
図6(b)に示すように、ガイド部10は第2のポジションに移動する。
第2のポジションにおいては、第2ガイド板12が、排出する用紙が沿う位置にあって、また、第1ガイド板11は、当該用紙から退避した位置になっている。
反転経路R2から排出される用紙は、第2ガイド板12に沿って進行し、主搬送経路R1に到達する。
【0065】
主搬送経路R1においては、下流側ローラー対22が回転しているため、用紙は下流側ローラー対22に挟持され、主搬送経路R1の下流側に搬送されていく。
この後、用紙の後端がガイド部10の間隙を抜けきった後、制御部50は、回動機構100を動作させ、ガイド部10を第1ポジションに戻し、後続の用紙の受け入れが開始される。
【0066】
[本実施の形態の技術的効果]
以上のように、本実施の形態によれば、用紙を搬送する主搬送経路R1と、主搬送経路R1に対して所定角度を成して設けられ、主搬送経路R1から用紙を進入させ、スイッチバックさせて主搬送経路R1に排出する反転経路R2と、反転経路R2への用紙進入時及び反転経路R2からの用紙排出時に用紙をガイドするガイド部10と、ガイド部10の移動を制御する制御部50と、を備え、ガイド部10は、第1ガイド板11と第2ガイド板12を有し、制御部50は、用紙進入時には、第1ガイド板11を進入する用紙が沿う位置に移動させると共に第2ガイド板12を当該用紙から退避した位置に移動させ、用紙排出時には 、第2ガイド板12を排出する用紙が沿う位置に移動させると共に第1ガイド板11を当該用紙から退避した位置に移動させる。
このため、反転経路R2に用紙を進入させる際、及び当該反転経路R2から用紙を排出させる際のいずれにおいても、安定した用紙搬送性を実現させることができる。
よって、用紙反転時に安定した用紙搬送性を実現させることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、第1ガイド板11と第2ガイド板12の間には、用紙進入方向に対して徐々に狭くなる間隙が形成されている。
このため、反転経路R2への用紙の進入性を安定させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、第1ガイド板11と第2ガイド板12は一体に形成されている。
このため、一つの駆動機構で、第1ガイド板11と第2ガイド板12を同時に移動させることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、ガイド部10に連結された回動軸Gと、回動軸Gを回動させることによりガイド部10を回動させる回動機構100と、を備える。
このため、ガイド部10を回動軸G回りに回動させることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、回動機構100は、駆動部101で駆動される偏心カム102と、回動軸Gを支持し、偏心カム102の回転に伴って動作しつつ偏心カム102が所定角度回転した時点で当該偏心カム102と当接する規制ガイド103と、を備え、用紙進入時と用紙排出時において、偏心カム102と規制ガイド103との当接面が切り換わる。
このため、用紙進入時と用紙排出時のそれぞれにおいて、用紙によりガイド部10に加えられる力に対して強固な構成とすることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、偏心カム102と規制ガイド103が当接した状態において、偏心カム102の回転軸102aから、偏心カム102と規制ガイド103の当接点までを結んだ直線が、規制ガイド103の第1当接面103a又は第2当接面103bに対して略垂直となる。
このため、用紙進入時と用紙排出時のそれぞれにおいて、用紙によりガイド部10に加えられる力に対してより強固な構成とすることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、制御部50は、用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、ガイド部10の移動位置を調整する。
このため、用紙条件に応じて、より適切な搬送経路を形成することができるため、用紙反転処理時の用紙搬送性をより良好にすることができる。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、ガイド部10の第1ガイド板11と第2ガイド板12は、用紙進入方向に対して徐々に狭くなる間隙を形成する位置に設置される構成を例示して説明したが、用紙を搬送可能な間隙を形成できるものであれば、用紙進入方向に対して徐々に狭くなる構成でなくとも良い。
【0074】
また、上記実施の形態においては、ガイド部10の第1ガイド板11と第2ガイド板12は一体に構成されていることとしたが、別体とし、それぞれを駆動する駆動部を備えた構成としても良い。
【0075】
また、上記実施の形態において記載した回動機構100の構成はあくまで一例であって、ガイド部10を所定位置に回動して固定できるものであれば、その構成は限定されない。
【0076】
また、上記実施の形態において例示した主搬送経路R1以外にも、反転経路R2に用紙を進入させる進入経路や、反転経路R2から排出された用紙を受け取る排出経路を備える構成としても良い。
例えば、
図7に示すように、上下方向(主搬送経路R1とは異なる方向)に延在する経路R3を備え、この経路R3を、反転経路R2に用紙を進入させる進入経路、及び/又は反転経路R2から排出された用紙を受け取る排出経路として用いても良い。
また、図示は省略するが、上下方向に延在する経路R3以外にも、上下方向に対して傾斜した方向に沿って延在する経路であっても良い。
制御部50は、こうした経路R3等により用紙を搬送する場合、これらの経路の反転経路R2に対する設置角度に応じて、ガイド部10の回転角度(移動位置)を調整する。
これにより、反転経路R2に対して設置角度の異なる複数の進入経路及び/又は排出経路を備えた場合にも、良好な用紙搬送性を実現することができる。
さらに、制御部50は、経路R3等の反転経路R2に対する設置角度に加えて、用紙の種類及び坪量を含む用紙条件に応じて、ガイド部10の回転角度(移動位置)を調整することも好ましい。
これにより、反転経路R2に対して設置角度の異なる複数の進入経路及び/又は排出経路を備えた場合、設置角度に加えて用紙条件に応じてガイド部10の回転角度を調整することで、より適切な搬送経路を形成することができ、より良好な用紙搬送性を実現することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成システム
3 画像形成装置
30 制御部
38 画像形成部
5 用紙反転装置
50 制御部
10 ガイド部
11 第1ガイド板
12 第2ガイド板
20 用紙反転部
20a 切替ゲート
21 上流側ローラー対
22 下流側ローラー対
23 反転ローラー対
100 回動機構
101 駆動部
101 駆動部
101a モーター
101b 駆動ベルト
102 偏心カム
102a 回転軸
103 規制ガイド
103a 第1当接面
103b 第2当接面
104 規制ガイド
G 回動軸
K 開口
R1 主搬送経路
R2 反転経路
R3 経路