(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】画像形成装置、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220208BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20220208BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20220208BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J2/47 101M
G02B26/12
G02B26/10 B
(21)【出願番号】P 2017222045
(22)【出願日】2017-11-17
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜利
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-202691(JP,A)
【文献】特開2016-099599(JP,A)
【文献】特開2005-024634(JP,A)
【文献】特開2003-011424(JP,A)
【文献】特開2006-195346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
B41J 2/47
G02B 26/12
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
レーザー光を照射するための光源と、
前記レーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーによって反射された前記レーザー光で露光されるように構成されている感光体と、
前記ポリゴンミラーを回転させるためのモーターと、
前記画像形成装置内を搬送される用紙の種類を検知することが可能な制御装置とを備え、
前記画像形成装置の動作モードは、
前記制御装置が前記用紙の種類を検知しない第1のモードと、
前記制御装置が前記用紙の種類を検知する第2のモードとを含み、
前記制御装置は、
前記第2のモードでは、
前記用紙の種類を検知するまでに第1の回転数で前記モーターを回転させ、
前記用紙の種類を検知した後に、検知された前記用紙の種類に基づいて決定される第2の回転数で前記モーターを回転させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のモードでは、前記制御装置は、前記感光体への露光の開始前の予め定めされたタイミングにおいて、前記モーターの回転を開始する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記モーターの回転数の設定を受け付けるように構成されており、
前記第1のモードでは、前記制御装置は、前記感光体への露光の開始後に、前記モーターを、前記設定に従った回転数で回転させる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2のモードでは、複数の用紙への印刷を実行する場合において、前記制御装置は、1枚目の用紙への印刷を行うときには、
前記用紙の種類を検知する
までに前記第1の回転数で前記モーターを回転
させ、
前記用紙の種類を検知した後に、
検知された
前記用紙の種類に基づいて決定される
前記第2の回転数で
前記モーターを回転させる、請求項
1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2のモードでは、複数の用紙への印刷を実行する場合において、前記制御装置は、2枚目以降の用紙への印刷
を行うときには、前記感光体への露光の開始前に、
1枚目の用紙で検知された
前記用紙の種類に基づいて決定される
前記第2の回転数で
前記モーターを回転させる、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、前記第1のモードと前記第2のモードとのいずれかを選択可能に構成されている、請求項1~
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御装置によって決定された前記第2の回転数の履歴を履歴情報として格納するための記憶装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記履歴情報に基づいて、前記第1の回転数を決定する、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、
レーザー光を照射するための光源と、
前記レーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーによって反射された前記レーザー光で露光されるように構成されている感光体と、
前記ポリゴンミラーを回転させるためのモーターと、
前記画像形成装置内を搬送される用紙の種類を検知することが可能な制御装置とを備え、
前記画像形成装置の動作モードは、
前記制御装置が前記用紙の種類を検知しない第1のモードと、
前記制御装置が前記用紙の種類を検知する第2のモードとを含み、
前記制御プログラムは、前記制御装置に、
前記第2のモードでは、
前記用紙の種類を検知するまでに第1の回転数で前記モーターを回転させるステップと、
前記用紙の種類を検知した後に、検知された前記用紙の種類に基づいて決定される第2の回転数で前記モーターを回転させるステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、より特定的には画像形成装置のポリゴンモーターの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Functional Peripheral)などの画像形成装置が普及している。電子写真方式の画像形成装置は、印刷工程として、感光体を帯電する工程と、入力された画像パターンに従って感光体を露光する工程と、当該露光により形成された静電潜像にトナーを付着する工程とを実行する。
【0003】
感光体を露光するために、画像形成装置内には、光源から照射されたレーザー光を反射するポリゴンミラーが高速で回転される。ここで、ポリゴンミラーの回転数は、画像形成の対象となる用紙の種類に応じて決定される。
【0004】
ポリゴンモーターの回転制御に関する技術としては、たとえば、特開2002-202691号公報(特許文献1)は、「紙厚検知部によって検知された転写紙の厚さに応じてポリゴンモ-タの回転数が決定される」画像形成装置を開示している(段落[0019])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の技術では、用紙の種類を検知した後にポリゴンモーターの回転数を決定し、それに応じてポリゴンモーターの回転を制御していたため、用紙の検知を必要としない場合において、不要な待機時間が発生するという不具合が生じていた。よって、用紙検知処理の有無に合わせたより適切なポリゴンモーターの制御が求められている。
【0007】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ある局面における目的は、用紙検知処理の有無に合わせてより適切なポリゴンモーター制御を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある局面に従うと、画像形成装置は、レーザー光を照射するための光源と、レーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザー光で露光されるように構成されている感光体と、ポリゴンミラーを回転させるためのモーターと、画像形成装置内を搬送される用紙の種類を検知することが可能な制御装置とを備える。画像形成装置の動作モードは、制御装置が用紙の種類を検知しない第1のモードと、制御装置が用紙の種類を検知する第2のモードとを含む。制御装置は、第1のモードと第2のモードとで、モーターの回転に関して異なる制御処理を行う。
【0009】
好ましくは、第1のモードでは、制御装置は、感光体への露光の開始前の予め定めされたタイミングにおいて、モーターの回転を開始する。
【0010】
好ましくは、画像形成装置は、モーターの回転数の設定を受け付けるように構成されており、第1のモードでは、制御装置は、感光体への露光の開始後に、モーターを、設定に従った回転数で回転させる。
【0011】
好ましくは、第2のモードでは、制御装置は、用紙の種類を検知する前に、モーターを回転させない。
【0012】
好ましくは、第2のモードでは、制御装置は、用紙の種類を検知した後に、モーターを、検知された用紙の種類に基づいて決定される回転数で回転させる。
【0013】
好ましくは、第2のモードでは、複数の用紙への印刷を実行する場合において、制御装置は、1枚目の用紙への印刷を行うときには、用紙の種類を検知する前に、モーターを回転せず、用紙の種類を検知した後に、モーターを、検知された用紙の種類に基づいて決定される速度で回転させる。
【0014】
好ましくは、第2のモードでは、複数の用紙への印刷を実行する場合において、制御装置は、2枚目以降の用紙への印刷行うときには、感光体への露光の開始前に、モーターを、1枚目の用紙で検知された用紙の種類に基づいて決定される回転数で回転させる。
【0015】
好ましくは、画像形成装置は、第1のモードと第2のモードとのいずれかを選択可能に構成されている。
【0016】
他の局面において、画像形成装置の制御プログラムが提供される。画像形成装置は、レーザー光を照射するための光源と、レーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザー光で露光されるように構成されている感光体と、ポリゴンミラーを回転させるためのモーターと、画像形成装置内を搬送される用紙の種類を検知することが可能な制御装置とを備える。画像形成装置の動作モードは、制御装置が用紙の種類を検知しない第1のモードと、制御装置が用紙の種類を検知する第2のモードとを含む。制御プログラムは、制御装置に、第1のモードと第2のモードとで、モーターの回転に関して異なる制御処理を実行させる。
【0017】
上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】画像形成装置の装置構成の一例を示す図である。
【
図2】プリントヘッドの内部構造を表わす平面図である。
【
図3】プリントヘッドと感光体との関係を示す模式図である。
【
図4】画像形成装置の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】ポリゴンモーターの回転制御の概要を示すタイミングチャートである。
【
図6】ポリゴンモーターの回転制御の態様を示す図である。
【
図9】回転数履歴テーブルの内容をヒストグラムで示す図である。
【
図10】ポリゴンモーターの回転制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】事前回転数決定制御の手順を示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施の形態に係る画像形成装置の備える操作パネルの表示の一例である。
【
図13】第2の実施形態に係るポリゴンモーターの回転制御の概要を示すタイミングチャートである。
【
図14】第1モードにおけるポリゴンモーターの回転制御の態様を示す図である。
【
図15】第2モードにおけるポリゴンモーターの回転制御の態様を示す図である。
【
図16】第2の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】第3の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】第3の実施の形態に係る第1の回転数決定制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0020】
<第1の実施の形態>
[1.画像形成装置100]
図1を参照して、第1の実施の形態に従う画像形成装置100について説明する。
図1は、画像形成装置100の装置構成の一例を示す図である。
【0021】
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンタであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびFAXの複合機(所謂MFP)であってもよい。
【0022】
画像形成装置100は、スキャナー20と、プリンター50とで構成されている。スキャナー20は、カバー21と、用紙台22と、トレー23と、ADF(Auto Document Feeder)24とで構成されている。カバー21の一端は用紙台22に固定されており、カバー21は、当該一端を支点として開閉可能に構成されている。画像形成装置100のユーザーは、カバー21を開くことで、用紙を用紙台22にセットすることができる。画像形成装置100は、用紙が用紙台22にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙台22にセットされた用紙のスキャンを開始する。また、画像形成装置100は、用紙がトレー23にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙は、ADF24によって1枚ずつ自動的に読み取られる。
【0023】
プリンター50は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37A~37Cと、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、レジストローラー40と、定着装置47と、制御装置101とを備える。
【0024】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
【0025】
画像形成ユニット1Yは、感光体10Yと、帯電装置11Yと、光源322Yと、現像装置13Yと、クリーニング装置17Yとを含む。画像形成ユニット1Mは、感光体10Mと、帯電装置11Mと、光源322Mと、現像装置13Mと、クリーニング装置17Mとを含む。画像形成ユニット1Cは、感光体10Cと、帯電装置11Cと、光源322Cと、現像装置13Cと、クリーニング装置17Cとを含む。画像形成ユニット1Kは、感光体10Kと、帯電装置11Kと、光源322Kと、現像装置13Kと、クリーニング装置17Kとを含む。
【0026】
以下では、感光体10Y,10M,10C,10Kを総称して感光体10ともいう。帯電装置11Y,11M,11C,11Kを総称して帯電装置11ともいう。光源322Y,322M,322C,322Kを総称して光源322ともいう。現像装置13Y,13M,13C,13Kを総称して現像装置13ともいう。クリーニング装置17Y,17M,17C,17Kを総称してクリーニング装置17ともいう。
【0027】
帯電装置11は、感光体10の表面を一様に帯電する。光源322は、制御装置101からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像パターンに従って感光体10の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10上に形成される。光源322は、プリントヘッド350に設けられている。プリントヘッド350の詳細については後述する。
【0028】
現像装置13は、現像ローラー14を回転させながら、現像ローラー14に現像バイアスを印加し、現像ローラー14の表面にトナーを付着させる。これにより、トナーが現像ローラー14から感光体10に転写され、感光体10上に形成された静電潜像に応じたトナー像が、感光体10の表面に現像される。
【0029】
感光体10と中間転写ベルト30とは、一次転写ローラー31を設けている部分で互いに接触している。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されることによって、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30に転写される。イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30上に形成される。
【0030】
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39に張架されている。駆動ローラー39は、モーター(図示しない)によって回転駆動される。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33における転写領域まで搬送される。
【0031】
クリーニング装置17は、感光体10に圧接されている。クリーニング装置17は、トナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。
【0032】
カセット37A~37Cには、それぞれ、異なるサイズまたは種類の用紙がセットされる。以下では、カセット37A~37Cを総称してカセット37ともいう。カセット37から搬送経路41内に搬送された用紙は、レジストローラー40によって二次転写ローラー33に送られる。
【0033】
レジストローラー40の手前には、用紙センサー45が配置されている。用紙センサー45は、反射型のフォトセンサーと透過型のフォトセンサーとから構成され、搬送経路41内を搬送される用紙の坪量を検知する。
【0034】
用紙センサー45は、カセット37とレジストローラー40との間を搬送される用紙の坪量を検知するように配置されている。このようにすることにより、各カセット37内に用紙センサー45を複数設けた場合と比べて、用紙センサー45の数を減らすことによるコストダウンを実現できるだけでなく、用紙種類の検知後における後続処理を待たせる時間が短くなる。
【0035】
二次転写ローラー33は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送中の用紙に印加する。これにより、トナー像は、中間転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、中間転写ベルト30上のトナー像が転写される。二次転写ローラー33への用紙の搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてレジストローラー40によって調整される。レジストローラー40により、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙の適切な位置に転写される。
【0036】
定着装置47は、自身を通過する用紙を加圧および加熱する。これにより、トナー像は用紙に定着する。その後、用紙は、トレー48に排紙される。
【0037】
[2.プリントヘッド350]
図2および
図3を参照して、プリントヘッド350の内部構造について説明する。
図2は、プリントヘッド350の内部構造を表わす平面図である。
図3は、プリントヘッド350と感光体10との関係を示す模式図である。
【0038】
図2に示されるように、プリントヘッド350は、光源322Y,322M,322C,322Kと、コリメータレンズ310Y,310M,310C,310Kと、ミラー311Y,311M,311C,311Kと、ミラー312と、ポリゴンミラー313と、ポリゴンモーター314と、fθレンズ316と、ミラー318Y,318M,318C,318Kと、ミラー319Y,319M,319Cと、ミラー315と、光センサ321とを含む。
【0039】
以下では、光源322Kから照射されるレーザー光に注目して、レーザー光の経路について説明する。光源322Kから照射されたレーザー光は、コリメータレンズ310Kによって集光され、ミラー311Kに照射される。ミラー311Kは、コリメータレンズ310Kを通過したレーザー光をミラー312に反射する。ミラー312は、当該レーザー光をポリゴンミラー313に反射する。
【0040】
回転多面鏡としてのポリゴンミラー313は、角柱形状(たとえば、六角柱)を有する。ポリゴンミラー313の側面は、ミラーで構成されている。ポリゴンミラー313は、ポリゴンモーター314によって回転駆動される。ポリゴンミラー313は、回転しながらレーザー光を反射することで、レーザー光の反射方向を規則的に変える。ポリゴンミラー313は、回転しながら、レーザー光をfθレンズ316に反射する。fθレンズ316を通過したレーザー光は、ミラー318によって感光体10K(
図1参照)に反射される。
【0041】
図3に示すように、画像形成装置100は、ポリゴンミラー313を回転しつつ、感光体10Kを回転させることで、ポリゴンミラー313によって反射されたレーザー光を感光体10K上で走査させる。このとき、ポリゴンミラー313の1面分のミラーで感光体10Kの主走査方向の1ラインが走査される。主走査方向とは、感光体10の回転軸の方向を示す。ポリゴンミラー313が6面のミラーで構成される場合には、ポリゴンミラー313が1回転することで、感光体10Kの主走査方向の6ラインが走査される。画像形成装置100は、入力された画像パターンに従って、光源322Kのオン/オフを切り替えることで、感光体10K上の任意の位置を露光する。これにより、入力画像を表わす静電潜像が感光体10K上に形成される。
【0042】
同様に、光源322Yから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10Y上に反射される。光源322Mから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10M上に反射される。光源322Cから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10C上に反射される。ミラー311Y,311M,311C,311Kが段差を設けて設置されることにより、光源322Y,322M,322C,322Kから照射されるレーザー光は、それぞれ、感光体10Y,10M,10C,10Kに反射される。
【0043】
感光体10Y,10M,10C,10Kは、円柱形状をしており、円周方向に回転可能に構成されている。ここで、
図3に示すように、円柱形状の長さ方向を主走査方向、円周方向を副走査方向とする。副走査方向は、用紙の搬送方向に対応する。画像形成装置100は、用紙に形成する画像の倍率を拡大または縮小する場合に、副走査方向の倍率を設定する。
【0044】
[3.ハードウェア構成]
図4を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0045】
図4に示すように、画像形成装置100は、制御装置101と、操作パネル105と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶装置120と、スキャナー20と、ネットワークインターフェイス104と、画像形成ユニット1とを備える。
【0046】
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0047】
制御装置101は、画像形成装置100の制御パラメータを調整するための制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置100の動作を制御する。制御装置101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0048】
ネットワークインターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、制御プログラム122をアンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
【0049】
操作パネル105は、ディスプレイとタッチパネルとで構成されている。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、画像形成装置100に対する操作をタッチ操作で受け付ける。一例として、操作パネル105は、制御パラメータの調整処理を実行するための操作などを受け付ける。操作パネル105は、ユーザーのパネル操作を検知するパネル操作センサを備える。パネル操作センサは、ポリゴンモーターを事前回転数で回転させる事前回転の開始タイミングを検知する。
【0050】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)その他の記憶装置である。記憶装置120は、内蔵式、外付け式のいずれであってもよい。記憶装置120は、本実施の形態に従う制御プログラム122などを格納する。ただし、制御プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0051】
制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
【0052】
[4.ポリゴンモーター314の回転制御]
図5を参照して、本実施形態に係るポリゴンモーター314の回転制御の概要を説明する。
図5は、ポリゴンモーター314の回転制御の概要を示すタイミングチャートである。
【0053】
図5に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100では、ユーザーが任意のタイミング(t=T1)に操作パネル105で何らかの操作を行うと、ポリゴンモーター314が事前回転数(第1の回転数に相当)で回転される。ここでいう「事前回転数」とは、感光体10への露光が開始される前における、ポリゴンモーター314の回転数を意味する。そして、ユーザーが印刷開始を指示するためのスタートキーを押下したタイミング(t=T2)から、カセット37内の用紙の給紙が開始される。
【0054】
その後、搬送経路内を搬送される用紙について、用紙センサー45によって用紙の種類が検知される(t=T3)。用紙センサー45によって用紙の種類が検知されると、検知された用紙の種類に基づいて、露光回転数(第2の回転数に相当)が決定され、ポリゴンモーター314の回転数が事前回転数から露光回転数に切り替えられる。ここでいう「露光回転数」とは、感光体10への露光開始後における、ポリゴンモーター314の回転数を意味する。搬送経路41内の用紙は、二次転写ローラー33への送り出しのタイミング調整のために、レジストローラー40において待機される。
【0055】
ポリゴンモーター314の露光回転数への切替が完了すると(t=T4)、プリントヘッド350における感光体10への露光が開始される。そして、用紙の二次転写ローラー33への搬送タイミング(t=T5)が到来すると、レジストローラー40によって、用紙の搬送が再開され、用紙上にトナー像が形成される。
【0056】
図6を参照して、ポリゴンモーター314の回転制御を説明する。
図6は、ポリゴンモーター314の回転制御の態様を示す図である。
図6(A)は感光体への露光開始前における制御態様を、
図6(B)は感光体10への露光開始後における制御態様をそれぞれ示す。
【0057】
図6(A)に示すように、画像形成装置100の制御装置101は、搬送経路41内の用紙センサー45が用紙の種類を検知するまで、ポリゴンモーター314を事前回転数で回転させる。制御装置101は、記憶装置120に格納されている回転数履歴テーブルD1に基づいて、ポリゴンモーター314の事前回転数を決定する。回転数履歴テーブルD1に基づく事前回転数の決定方法は、後述する。
【0058】
図6(B)に示すように、制御装置101は、用紙センサー45が用紙の種類を検知すると、当該検知された用紙の種類と、記憶装置120に格納されている用紙種別テーブルD2とに基づいて、露光回転数を決定する。制御装置101は、当該決定された露光回転数でポリゴンモーター314を回転させる。
【0059】
図7は、用紙種別テーブルD2の一例を示す図である。
図7に示すように、用紙種別テーブルD2には、たとえば、用紙の種類(普通紙、厚紙など)に応じた坪量、システム速度、解像度、ミラー面数、ビーム数、露光回転数が規定されている。用紙センサー45が用紙の坪量を検知すると、制御装置101は、当該検知結果に基づいて用紙の種類を特定。制御装置101は、特定された用紙の種類に対応する露光回転数で、ポリゴンモーター314を回転させる。
【0060】
[5.事前回転数の決定方法]
図8および
図9を参照して、事前回転数の決定方法を説明する。
図8は、回転数履歴テーブルD1の例を示す図である。
図8(A)~(C)は、それぞれ異なる回転数履歴テーブルの例を示している。
図9は、回転数履歴テーブルの内容をヒストグラムで示す図である。
図9(A)~(C)は、それぞれ
図8(A)~(C)に対応している。
【0061】
図8に示すように、回転数履歴テーブルD1には、一例として、用紙種類と、露光回転数と、当該露光回転数がこれまでに実行された頻度とが、履歴情報として記録されている。たとえば、
図8(A)に示す例では、露光回転数として、33000rpmが300回、16000rpmが50回、11000rpmが100回、これまでに実行されたことを示している。
【0062】
図8(B)に示す例では、露光回転数として、33000rpmが600回、16000rpmが200回、11000rpmが250回、これまでに決定されたことを示している。
図8(C)に示す例では、露光回転数として、33000rpmが700回、16000rpmが600回、11000rpmが200回、これまでに実行されたことを示している。
【0063】
制御装置101は、事前回転数から露光回転数への遷移時間が短くなるように、事前回転数を決定する。具体的には、回転数履歴テーブルD1に規定されている複数の候補となる回転数の内、最小値となる回転数(
図8に示す例では、11000rpm)と最大値となる回転数(
図8に示す例では、33000rpm)との間の値となるように事前回転数を決定する。このようにすることにより、事前回転数を、露光回転数として決定され得る回転数の近傍に決定することが可能となり、露光回転数への遷移時間を抑制することが可能となる。
【0064】
好ましくは、制御装置101は、事前回転数を、露光回転数以下となるように決定する。具体的には、回転数履歴テーブルD1に規定されている複数の回転数の内、最小値となる回転数(
図8に示す例では、11000rpm)を事前回転数として設定する。ポリゴンモーター314の回転制御においては、回転数を上げることは、回転数を下げることよりも時間がかかる。そのため、事前回転数を露光回転数以下にすることで、事前回転数から露光回転数への遷移時間をさらに抑制しやすくなる。
【0065】
事前回転数の具体的な決定方法として、制御装置101は、回転数履歴テーブルD1に規定されている露光回転数の実行頻度の総数(履歴数)が所定の第1閾値以上か否かを判定する。制御装置101は、露光回転数の実行頻度の総数が第1閾値よりも少ない場合(以下、パターン1の場合、ともいう)、露光回転数の実行履歴としての信頼性が乏しいため、各露光回転数の実行頻度を考慮せずに事前回転数を決定する。
【0066】
たとえば、制御装置101は、パターン1の場合、回転数履歴テーブルD1に規定されている露光回転数の中から最も低い回転数を事前回転数として決定する。
【0067】
一方、制御装置101は、回転数履歴テーブルD1に含まれている露光回転数の履歴数が所定の第1閾値以上の場合(以下、パターン2の場合、ともいう)、露光回転数の実行履歴としての信頼性が確保されているとして、各露光回転数の実行頻度を考慮して、事前回転数を決定する。好ましくは、制御装置101は、履歴情報に含まれる露光回転数の最小値以上となり、かつ、履歴情報に含まれる露光回転数の最大値以下となるように、事前回転数を決定する。
【0068】
一例として、制御装置101は、パターン2の場合、各露光回転数の実行頻度それぞれについて、第2閾値以上か否かを判定する。制御装置101は、第2閾値以上の実行頻度である露光回転数が1つのとき(以下、パターン2-1のとき、ともいう)は、当該露光回転数を事前回転として決定する。
【0069】
または、制御装置101は、パターン2の場合であって、第2閾値以上の実行頻度である露光回転数が複数のとき(以下、パターン2-2のとき、ともいう)は、第2閾値以上の実行頻度の露光回転数の平均値を事前回転数として決定する。
【0070】
図9を参照して、以上に述べた事前回転数の決定方法を、具体例に沿って説明する。なお、本実施形態では、第1閾値を1000回、第2閾値を500回として設定している。
【0071】
図9(A)に示す例では、露光回転数の履歴が普通紙、厚紙1、厚紙2を合わせて450回となっている。そのため、回転数履歴テーブルD1に含まれている露光回転数の履歴数(450回)は、第1閾値(1000回)よりも少ない。この場合、制御装置101は、パターン1であるとして、最も低い回転数である11000rpmを、事前回転数として決定する。なお、第1閾値の値は、適宜設定することが可能である。
【0072】
図9(B)に示す例では、露光回転数の履歴数が普通紙、厚紙1、厚紙2を合わせて1050回であるため、第1の閾値(1000回)を超えている。そして、普通紙(33000rpm)の実行頻度である600回は、第2閾値(500回)を超えている。この場合、制御装置101は、パターン2-1であるとして、33000rpmを事前回転数として決定する。なお、第2閾値の値は、適宜設定することが可能である。
【0073】
図9(C)に示す例では、露光回転数の履歴数が普通紙、厚紙1、厚紙2を合わせて1500回であるため、第1の閾値(1000回)を超えている。そして、厚紙1(16000rpm)の実行頻度である600回と普通紙(33000rpm)の実行頻度である700回が、第2閾値(500回)を超えている。この場合、制御装置101は、パターン2-2であるとして、33000rpmと16000rpmとの平均値である24500rpmを事前回転数として決定することとなる。
【0074】
なお、事前回転数の決定方法としては、上記内容に限定されない。たとえば、パターン2-2のときに、複数の単純平均値としてもよく、実行頻度を考慮した上での重み付け平均値として事前回転数を決定してもよい。
【0075】
また、回転数履歴テーブルD1に含まれている露光回転数の履歴数が所定の第1閾値以上の場合(パターン2の場合)であって、いずれの露光回転数も第2閾値未満であるときには、すべての露光回転数の平均値を事前回転数として決定してもよい。このようにすることで、特定の露光回転数の実行頻度に左右されることなく、事前回転数を決定することができる。
【0076】
[6.処理手順]
図10および
図11を参照して、ポリゴンモーター314の回転制御処理の手順を説明する。
図10は、ポリゴンモーター314の回転制御処理の手順を示すフローチャートである。
図11は、事前回転数決定制御の手順を示すフローチャートである。当該処理は、たとえば制御装置101として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0077】
ステップS1001において、制御装置101は、ユーザーの操作の有無を判定する。ユーザーの操作が有った場合(ステップS1001においてYES)、制御装置101は、ステップS1002に処理を進める。そうでない場合(ステップS1001においてNO)、制御装置101は処理を終了する。
【0078】
ステップS1002において、制御装置101は、印刷開始を指示するスタートキーが押下されたか否かを判定する。スタートキーが押下された場合(ステップS1002においてYES)、制御装置101は、ステップS1003に処理を進める。そうでない場合(ステップS1002においてNO)、制御装置101は、ステップS1004に処理を進める。
【0079】
ステップS1003において、制御装置101は、カセット37内の用紙の搬送経路41内への搬送を開始する。制御装置101は、ステップS1004に処理を進める。
【0080】
ステップS1004において、制御装置101は、印刷ジョブの実行状況データに基づいて、画像形成対象の用紙が印刷ジョブにおける1枚目であるか否かを判定する。1枚目の用紙である場合(ステップS1004においてYES)、制御装置101はステップS1005に処理を進める。そうでない場合(ステップS1004においてNO)、制御装置101はステップS1010に処理を進める。
【0081】
なお、以下に示すように、本実施の形態では、複数の用紙への印刷を実行する場合、制御装置101は、1枚目の用紙への印刷を行うときには、1枚目の用紙についてのみ当該用紙の種類を検知する。
【0082】
ステップS1005において、制御装置101は、用紙センサー45による用紙種類の検知が完了したか否かを判定する。用紙種類の検知が完了した場合(ステップS1005においてYES)、制御装置101はステップS1006に処理を進める。そうでない場合(ステップS1005においてNO)、制御装置101はステップS1009に処理を進める。
【0083】
ステップS1006において、制御装置101は、用紙センサー45により検知された用紙種類を記憶する。制御装置101は、ステップS1007に処理を進める。
【0084】
ステップS1007において、制御装置101は、検知された用紙種類に基づいて、露光回転数を決定する。制御装置101は、ステップS1008に処理を進める。
【0085】
一方、S1009において、制御装置101は事前回転数決定制御処理を実施する。事前回転数決定制御処理の詳細は後述する。制御装置101は、ステップS1008に処理を進める。
【0086】
ステップS1008において、制御装置101は、ポリゴンモーター314を回転させる。制御装置101は、ステップS1012に処理を進める。
【0087】
一方、ステップS1010において、制御装置101は、記憶されている用紙種類に基づいて、露光回転数を決定する。制御装置101は、ステップS1011に処理を進める。
【0088】
ステップS1011において、制御装置101は、ポリゴンモーター314を回転させる。制御装置101は、ステップS1012に処理を進める。
【0089】
ステップS1012において、制御装置101は、後続の用紙があるか否かを判定する。後続の用紙がある場合(ステップS1012においてYES)、制御装置101は、ステップS1004に処理を戻す。そうでない場合(ステップS1012においてNO)、制御装置101は、処理を終了する。
【0090】
図11を参照し、事前回転数決定制御(ステップS1009)の処理手順を説明する。
ステップS1110において、制御装置101は、回転数履歴テーブルD1を参照し、露光回転数の履歴数が第1閾値以上であるか否かを判定する。露光回転数の履歴数が第1閾値以上である場合(ステップS1110においてYES)、制御装置101は、ステップS1120に処理を進める。そうでない場合(ステップS1110においてNO)、制御装置101は、ステップS1150に処理を進める。
【0091】
ステップS1120において、制御装置101は、露光回転数の実行頻度が第2閾値以上の露光回転数が1つであるか否かを判定する。露光回転数の実行頻度が第2閾値以上の候補回転数が1つである場合(ステップS1120においてYES)、制御装置101は、ステップS1130に処理を進める。そうでない場合(ステップS1120においてNO)、制御装置101は、ステップS1140に処理を進める。
【0092】
ステップS1130において、制御装置101は、回転数履歴テーブルD1において最も実行頻度の多い露光回転数を事前回転数として決定する。制御装置101は、処理を終了する。
【0093】
一方、ステップS1140において、制御装置101は、回転数履歴テーブルD1に含まれる露光回転数の最小値以上であり、かつ、最大値以下となるように、事前回転数を決定する。制御装置101は、処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS1150において、制御装置101は、露光回転数の候補となる回転数の中から最も低い回転数を事前回転数として決定する。制御装置101は、処理を終了する。
【0095】
[7.小括]
以上のようにして、本実施形態では、制御装置101は、搬送経路41内の用紙センサー45が用紙の種類を検知するまで、事前回転数でポリゴンモーター314を回転させ、用紙センサー45が用紙の種類を検知すると、当該検知された用紙の種類に基づいて、露光回転数を決定し、当該決定された露光回転数でポリゴンモーター314を回転させる。
【0096】
上記構成とすることにより、用紙種類の検知して露光回転数を決定する前に、ポリゴンモーター314を事前回転数で回転させているため、ポリゴンモーター314の立ち上がりを迅速に行うことが可能となる。
【0097】
<第2の実施の形態>
[1.概要]
以下、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、用紙の種類を検知することを前提としてポリゴンモーター314を制御したのに対して、第2の実施の形態では、動作モードとして、用紙の種類を検知しない第1モードと用紙の種類を検知する第2モードとを含み、第1のモードと第2のモードとでポリゴンモーター314の回転に関して異なる制御処理を行う点で、第1の実施の形態と異なる。
【0098】
ここで、回転に関する制御処理とは、ポリゴンモーター314の回転を制御するための各種パラメータ値の制御を意味しており、例えば、ポリゴンモーター314へ印加する電流値の制御や、ポリゴンモーター314へ印加する電圧値の制御などを含み得る。なお、本実施形態においては、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成には、画像形成装置100の符号と同一の符号を付してある。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0099】
[2.詳細]
図12は、第2の実施の形態に係る画像形成装置200の備える操作パネル205の表示の一例である。
図12に示すように、操作パネル205には、用紙種類を自動検知するか、ユーザーが設定するかを選択可能な画面が表示される。
【0100】
ここで、ユーザーが自動検知ボタン210を選択し、OKボタン213を押下すると、用紙センサー45によって用紙の種類が検知される第2モードに設定される。一方、ユーザーが用紙種類設定ボタン211を押下した上で、用紙種類ボタン212のいずれか1つを選択し、OKボタン213を押下すると、用紙センサー45によって用紙の種類が検知されない第1モードに設定される。このように、画像形成装置200は、第1のモードと第2のモードとのいずれかを、ユーザーが選択可能に構成されている。
【0101】
図13を参照して、第2の実施形態に係るポリゴンモーター314の回転制御を説明する。
図13は、第2の実施形態に係るポリゴンモーター314の回転制御の概要を示すタイミングチャートである。
【0102】
図13(A)には、第1モードにおけるタイミングチャートが示されている。第1モードにおける画像形成装置200では、ユーザーが任意のタイミング(t=T6)に操作パネル205上で何らかの操作を行うと、ポリゴンモーター314が所定の回転数で回転される。
【0103】
その後、ユーザーが印刷開始を指示するためのスタートキーを押下すると(t=T7)、カセット37内の用紙の給紙が開始されるとともに、画像形成ユニット1が起動される。さらに、ユーザーが印刷指示時に設定した用紙種類に応じた露光回転数となるように、ポリゴンモーター314の回転数が切り替えられ、所定時間経過後(t=T8)に、ポリゴンモーター314の回転数の切替が完了する。
【0104】
その後、搬送経路41内の用紙の給紙が完了し、用紙がレジストローラー40において待機されると(t=T9)、プリントヘッド350における感光体10への露光が開始される(t=T10)。そして、用紙の二次転写ローラー33への搬送タイミング(t=T11)が到来すると、レジストローラー40によって、用紙の搬送が再開され、用紙上にトナー像が形成される。
【0105】
図13(B)には、第2モードにおけるタイミングチャートが示されている。第2モードにおける画像形成装置200では、ユーザーが印刷開始を指示するためのスタートキーを押下したタイミング(t=T7′)から、カセット37内の用紙の給紙が開始される。
【0106】
その後、搬送経路内を搬送される用紙について、用紙センサー45によって用紙の種類が検知される(t=T9′)。用紙センサー45によって用紙の種類が検知されると、検知された用紙の種類に基づいて、露光回転数が決定され、ポリゴンモーター314が起動される。搬送経路41内の用紙は、二次転写ローラー33への送り出しのタイミング調整のために、レジストローラー40において待機される。
【0107】
その後、ポリゴンモーター314の露光回転数への起動が完了すると(t=T10′)、プリントヘッド350における感光体10への露光が開始される。そして、用紙の二次転写ローラー33への搬送タイミング(t=T11′)が到来すると、レジストローラー40によって、用紙の搬送が再開され、用紙上にトナー像が形成される。
【0108】
図14および
図15を参照して、第2の実施形態に係るポリゴンモーター314の回転制御のための機能構成を説明する。
図14は、第1モードにおけるポリゴンモーター314の回転制御における機能ブロック図である。
図15は、第2モードにおけるポリゴンモーター314の回転制御における機能ブロック図である。
【0109】
図14を参照し、第1モードにおける、上記回転制御を実施するための機能構成を説明する。
図14(A)に示すように、画像形成装置200の制御装置201は、感光体10の露光を開始するまで、所定の回転数でポリゴンモーター314を回転させる。ここで、所定の回転数としては、たとえば、用紙種別テーブルD2に規定されている用紙種類が普通紙の場合における露光回転数とすることができる。
【0110】
図14(B)に示すように、制御装置201は、感光体10の露光が開始されると、操作パネル105において設定された用紙種別と、用紙種別テーブルD2とに基づいて、当該設定された用紙種別に対応する露光回転数を決定する。制御装置201は、当該決定された露光回転数でポリゴンモーター314を回転させる。
【0111】
図15を参照し、第2モードにおける、上記回転制御を実施するための機能構成を説明する。
図15(A)に示すように、画像形成装置200の制御装置201は、搬送経路41内の用紙センサー45が用紙の種類を検知するまで、ポリゴンモーター314を回転させない。
【0112】
図15(B)に示すように、制御装置201は、用紙センサー45が用紙の種類を検知すると、当該検知された用紙の種類と、記憶装置120に格納されている用紙種別テーブルD2とに基づいて、当該設定された用紙種別に対応する露光回転数を決定する。制御装置201は、当該決定された露光回転数でポリゴンモーター314を回転させる。
【0113】
[3.処理手順]
図16を参照して、第2の実施の形態に係るポリゴンモーター314の回転制御処理の手順を説明する。
図16は、第2の実施の形態に係るポリゴンモーター314の回転制御処理の手順を示すフローチャートである。当該処理は、たとえば制御装置201として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0114】
ステップS1605において、制御装置201は、動作モードが第2モードであるか否かを判定する。動作モードが第2モードである場合(ステップS1605においてYES)、制御装置201は、ステップS1610に処理を進める。そうでない場合(ステップS1605においてNO)、制御装置201は、ステップS1645に処理を進める。
【0115】
ステップS1610において、制御装置201は、画像形成対象の用紙が、印刷ジョブにおいて一枚目の用紙であるか否かを判定する。一枚目の用紙である場合(ステップS1610においてYES)、制御装置201は、ステップS1615に処理を進める。そうでない場合(ステップS1610においてNO)、制御装置201は、ステップS1640に処理を進める。
【0116】
なお、以下に示すように、本実施の形態における第2のモードでは、複数の用紙への印刷を実行する場合、制御装置201は、1枚目の用紙への印刷を行うときには、感光体10への露光の開始前にポリゴンモーター314を回転せず、用紙センサー45が用紙の種類を検知した後に、ポリゴンモーター314を、用紙センサにより検知された用紙の種類に基づいて決定される速度で回転させる。
【0117】
そして、制御装置201は、2枚目以降の用紙への印刷行うときには、感光体への露光の開始前に、モーターを、1枚目の用紙で検知された用紙の種類に基づいて決定される露光回転数で回転させる。
【0118】
ステップS1615において、制御装置201は、用紙種類の検知が完了したか否かを判定する。用紙種類の検知が完了した場合(ステップS1615においてYES)、制御装置201は、ステップS1620に処理を進める。そうでない場合(ステップS1615においてNO)、制御装置201は、ステップS1615を繰り返す。
【0119】
ステップS1620において、制御装置201は、検知された用紙種類を記憶装置120に記憶する。制御装置201は、ステップS1625に処理を進める。
【0120】
ステップS1625において、制御装置201は、検知された用紙種類に対応する回転数を、ポリゴンモーター314の回転数として決定する。制御装置201は、ステップS1630に処理を進める。
【0121】
ステップS1630において、制御装置201は、ポリゴンモーター314を回転させる。制御装置201は、ステップS1635に処理を進める。
【0122】
ステップS1635において、制御装置201は、後続の用紙への画像形成があるか否かを判定する。後続の用紙への画像形成がある場合(ステップS1635においてYES)、制御装置201は、処理をステップS1610へ戻す。そうでない場合(ステップS1635においてNO)、制御装置201は、処理を終了する。
【0123】
一方、ステップS1640において、制御装置201は、記憶装置120に記憶されている用紙種類に対応する回転数を、ポリゴンモーター314の露光回転数として決定する。制御装置201は、ステップS1650に処理を進める。
【0124】
一方、ステップS1645において、制御装置201は、所定の速度をポリゴンモーター314の回転数として設定する。制御装置201は、ステップS1650に処理を進める。
【0125】
ステップS1650において制御装置201は、ユーザーによる操作パネル105の操作の有無を判定する。ユーザーによる操作が有った場合(ステップS1650においてYES)、制御装置201は、ステップS1655に処理を進める。そうでない場合((ステップS1650においてNO)、ステップS1655に処理を進める。
【0126】
ステップS1655において、制御装置201は、ポリゴンモーター314が停止しているか否かを判定する。ポリゴンモーター314が停止している場合(ステップS1655においてYES)、制御装置201は、ステップS1660に処理を進める。そうでない場合(ステップS1655に置いてNO)、制御装置201は、ステップS1665に処理を進める。
【0127】
ステップS1660において、制御装置201は、ポリゴンモーター314を回転させる。制御装置201は、ステップS1665に処理を進める。
【0128】
ステップS1665において、制御装置201は、スタートキーが押下されたか否かを判定する。スタートキーが押下された場合(ステップS1665においてYES)、制御装置201は、ステップS1670に処理を進める。そうでない場合(ステップS1665においてNO)、制御装置201は、ステップS1680に処理を進める。
【0129】
ステップS1670において、制御装置201は、ポリゴンモーター314が停止しているか否かを判定する。ポリゴンモーター314が停止している場合(ステップS1670においてYES)、制御装置201は、ステップS1675に処理を進める。そうでない場合(ステップS1670に置いてNO)、制御装置201は、ステップS1680に処理を進める。
【0130】
ステップS1675において、制御装置201は、ポリゴンモーター314を回転させる。制御装置201は、ステップS1680に処理を進める。
【0131】
ステップS1680において、制御装置201は、後続の用紙への画像形成があるか否かを判定する。後続の用紙への画像形成がある場合(ステップS1680においてYES)、制御装置201は、処理をステップS1650へ戻す。そうでない場合(ステップS1680においてNO)、制御装置201は、処理を終了する。
【0132】
[4.小括]
以上のようにして、画像形成装置200は、動作モードとして、用紙の種類を検知しない第1モードと、用紙の種類を検知する第2モードとを含む。制御装置201は、第1のモードと第2のモードとで、ポリゴンモーターの回転に関して異なる制御処理を行う。
【0133】
上記構成とすることにより、用紙検知処理の有無に合わせてより適切なポリゴンモーター制御を実現することが可能となる。これにより、ユーザーの利便性が向上するとともに、不要なポリゴンモーターの回転制御をしなくなるため、消耗品の寿命延長を実現できる。
【0134】
<第3の実施の形態>
[1.概要]
以下、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係る画像形成装置300は、動作モードとして、用紙の種類を検知しない第1モードと、用紙の種類を検知する第2モードとを含む。制御装置301は、第2モードにおいて、用紙センサー45が用紙の種類を検知するまで、事前回転数でポリゴンモーター314を回転させ、用紙センサー45が用紙の種類を検知すると、当該検知された用紙の種類に基づいて、露光回転数を決定し、当該決定された露光回転数でポリゴンモーター314を回転させる。なお、本実施形態に係る画像形成装置300は、前述の実施の形態に係る画像形成装置100が備える構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0135】
[2.詳細]
図17および
図18を参照して、ポリゴンモーター314の回転制御処理の手順を説明する。
図17は、第3の実施の形態に係るポリゴンモーター314の回転制御処理の手順を示すフローチャートである。
図18は、第3の実施の形態に係る事前回転数決定制御の手順を示すフローチャートである。当該処理は、たとえば制御装置301として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0136】
図17において、第2の実施の形態と同じ処理については、説明を繰り返さない。ステップS1615において、制御装置301は、用紙種類の検知が完了していないと判定すると(ステップS1615においてNO)、ステップS2009に処理を進める。ステップS2009では、事前回転数決定制御処理が行われる。
【0137】
図18を参照して、本実施の形態における事前回転数決定制御処理(ステップS2009)について説明する。
図18において、第1の実施の形態と同じ処理については、説明を繰り返さない。ステップS1105において、制御装置301は、動作モードが第2モードであるか否かを判定する。動作モードが第2モードである場合(ステップS1105においてYES)、制御装置301は、ステップS1110に処理を進める。そうでない場合(ステップS1105においてNO)、制御装置301は、ステップS1160に処理を進める。
【0138】
ステップS1160において、制御装置301は、所定の回転数(たとえば、普通紙の露光回転数)を事前回転数として決定する。制御装置301は、処理を終了する。
【0139】
[3.小括]
以上のようにして、第3の実施の形態では、制御装置301は、用紙の種類を検知する第2モードにおいて、露光開始前に回転数履歴テーブルD1に基づいて決定される事前回転数で、ポリゴンモーター314を回転させる。
【0140】
上記構成とすることにより、用紙検知処理の有無に合わせてより適切なポリゴンモーター制御を実現しつつ、ポリゴンモーターの立ち上がりを迅速に行うことが可能となる。
【0141】
<その他の実施の形態>
上記実施の形態では、複数の用紙への印刷ジョブを実行する場合に、印刷ジョブの1枚目の用紙についてのみ当該用紙の種類を検知する構成としているが、カセット37にセットされた用紙の1枚目についてのみ、当該用紙の種類を検知する構成としてもよい。このようにすることで、印刷ジョブの1枚目について用紙の種類を検知する場合に比べて、用紙検知処理の頻度を抑えることができる。この場合、たとえば、カセット37に用紙をセットした後の用紙トレイのリフトアップの有無に基づいて判定することができる。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0142】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0143】
1 画像形成ユニット、10 感光体、11 帯電装置、13 現像装置、14 現像ローラー、15 トナーボトル、17 クリーニング装置、20 スキャナー、21 カバー、22 用紙台、23,48 トレー、30 中間転写ベルト、31 一次転写ローラー、33 二次転写ローラー、37 カセット、38 従動ローラー、39 駆動ローラー、40 レジストローラー、41 搬送経路、45 用紙センサー、47 定着装置、50 プリンター、90 画像形成部、100,200,300 画像形成装置、101,201,301 制御装置、102 ROM、103 RAM、104 ネットワークインターフェイス、105,205 操作パネル、120 記憶装置、122 制御プログラム、210 自動検知、211 用紙種類設定、212 用紙種類、310 コリメータレンズ、311,312,315,318,319 ミラー、313 ポリゴンミラー、314 ポリゴンモーター、316 レンズ、321 光センサ、322 光源、350 プリントヘッド。