(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明制御システムのプログラム及び照明制御システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20220208BHJP
H05B 47/13 20200101ALI20220208BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20220208BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/13
H05B47/165
(21)【出願番号】P 2017235430
(22)【出願日】2017-12-07
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】豊福 悟
(72)【発明者】
【氏名】金丸 国夫
(72)【発明者】
【氏名】門馬 友香
(72)【発明者】
【氏名】東藤 毅
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-524425(JP,A)
【文献】特開2013-219430(JP,A)
【文献】特開2011-065826(JP,A)
【文献】特開2015-005459(JP,A)
【文献】特開2015-032445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機及び少なくとも1つの子機を有し、該子機の少なくとも1つに照明器具が接続される照明制御システムであって、
前記親機が、
前記子機と無線通信可能な親機無線通信部と、
前記親機の動作設定を規定する設定ファイル並びに前記親機が制御装置に接続されて使用される場合及び前記親機が前記制御装置から独立して動作する場合に対応する親機処理をそれぞれ規定した親機プログラムが記憶されたメモリと、
前記親機が前記制御装置から独立して動作するか否かを前記設定ファイルに基づいて判別し、判別結果に対応する前記親機プログラムを実行して前記親機を初期化する起動処理部と、
前記親機が前記制御装置から独立して動作する場合に、前記設定ファイル及び前記親機プログラムに基づいて前記照明器具を照明制御するための照明制御データを生成して該照明制御データを前記親機無線通信部から前記子機に送信させる照明制御部と、
前記親機無線通信部を介して受信された信号に基づく受信情報を前記制御装置に出力可能な情報出力部と、
前記親機が前記制御装置から独立して動作する場合に、前記受信情報の出力処理に応じてダミー通信フレームを生成するフレーム生成部と
を備え、
前記情報出力部が、前記受信情報に対する前記制御装置からの応答通信フレームの入力又は前記フレーム生成部による前記ダミー通信フレームの生成に応じて、前記受信情報の出力処理を終了するように構成され
た、照明制御システム。
【請求項2】
前記設定ファイルに、前記親機の起動時に実行すべき前記照明器具の状態を示す初期状態データが含まれ、
前記照明制御部が、前記親機の起動時に、前記初期状態データに基づく前記照明制御データを生成するように構成された、請求項
1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記子機の少なくとも1つにセンサが接続され、
前記子機が、前記親機と無線通信可能な子機無線通信部、及び前記センサから入力される検知信号を前記子機無線通信部から前記親機に転送する検知転送部を備え、
前記設定ファイルに、前記親機、前記子機、前記照明器具及び前記センサの紐付けを示す紐付けデータが含まれ、
前記照明制御部が、前記紐付けデータに基づいて、前記検知信号を転送した子機に紐付けされた照明器具を照明制御するための照明制御データを生成するように構成された、請求項
1又は2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記親機が、取外し可能な記憶媒体から前記設定ファイルを読み出すように構成された設定取得部をさらに備える、請求項1か
ら3のいずれか一項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記設定取得部が、前記取外し可能な記憶媒体が前記親機に接続されたことに応じて、前記取外し可能な記憶媒体から前記設定ファイルを読み出して前記メモリに記憶させるように構成された、請求
項4に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記親機が、一時的に接続される前記制御装置から前記設定ファイルを読み出して前記メモリに記憶させる設定入力部をさらに備える、請求項1か
ら5のいずれか一項に記載の
照明制御システム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1か
ら6のいずれか一項に記載の照明制御システムが備える各部として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
親機及び少なくとも1つの子機を有し、該子機の少なくとも1つに照明器具が接続される照明制御システムの制御方法であって、
前記親機のメモリに、前記親機の動作設定を規定する設定ファイル並びに前記親機が制御装置に接続されて使用される場合及び前記親機が前記制御装置から独立して動作する場合に対応する親機処理を規定した親機プログラムが記憶され、
前記親機が、
前記親機が前記制御装置から独立して動作するか否かを前記設定ファイルに基づいて判別し、判別結果に応じて前記親機プログラムを実行して前記親機を初期化する起動処理を実行するステップと、
前記親機が前記制御装置から独立して動作する場合に、前記初期化後に前記設定ファイル及び前記親機プログラムに基づいて前記照明器具を照明制御するための照明制御データを生成して該照明制御データを前記子機に無線送信する照明制御処理を実行するステップと、
前記子機から受信された信号に基づく受信情報を生成し、前記制御装置への前記受信情報の出力を試行する出力処理を実行するステップと、
前記親機が前記制御装置から独立して動作する場合に、前記出力処理に応じてダミー通信フレームを生成する生成処理を実行するステップと、
前記受信情報に対する前記制御装置からの応答通信フレームの入力又は前記生成処理による前記ダミー通信フレームの生成に応じて前記出力処理を終了するステップと
を備え
る制御方法。
【請求項9】
前記設定ファイルに、前記親機の起動時に実行すべき前記照明器具の状態を示す初期状態データが含まれ、
前記照明制御処理が、起動時に前記初期状態データに基づいて前記照明制御データを生成するステップを含む、請求
項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記子機の少なくとも1つにセンサが接続され、前記設定ファイルに、前記親機、前記子機、前記照明器具及び前記センサの紐付けを示す紐付けデータが含まれ、
前記照明制御処理が、前記紐付けデータに基づいて、前記センサから前記子機を介して転送される検知信号を受信するステップ、及び前記検知信号を転送した子機に紐付けされた照明器具を照明制御するための照明制御データを生成するステップを含む、請求
項8又は9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記親機が、取外し可能な記憶媒体から前記設定ファイルを読み出す設定取得処理を実行するステップをさらに備える、請求
項8から10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記設定取得処理が、前記取外し可能な記憶媒体が前記親機に接続されたことに応じて、前記取外し可能な記憶媒体から前記設定ファイルを読み出して前記メモリに記憶させるステップを含む、請求
項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記親機が、一時的に接続される前記制御装置から前記設定ファイルを読み出して前記メモリに記憶させる設定取得処理を実行するステップをさらに備える、請求
項8から10
のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システム、照明制御システムのプログラム及び照明制御システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、調光卓と、調光卓に有線接続された無線親機と、無線親機に無線接続される無線子機とを備える照明システムを開示する。各無線親機は、調光卓から制御信号のブロックを受信し、その制御信号のブロックに制御データを付加して、ブロック毎にパケット化した制御信号を生成してその制御信号を無線子機に無線伝送する。各無線子機は、内蔵された制御手段によって、ブロック毎の制御信号を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような照明制御システムにおいては、親機に接続される調光卓などが必要となり、特に、より高度な照明制御を行うために調光卓などよりも大型の制御装置が適用される場合には、照明制御システム全体が高コスト化してしまう。また、制御装置の機能をそのまま親機に含めようとすると、制御装置が外部接続されて使用される場合の親機と、制御装置の機能が内部に含まれる場合の親機とで、個別の親機の開発が必要となり、親機又は親機を含む照明制御システムの標準化の観点から好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、制御装置が接続可能な親機に制御装置が接続されない場合でも高度な照明制御を実現するための低コストかつ標準化された親機を含む照明制御システム、照明制御システムのプログラム及び照明制御システムの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明制御システムは、親機及び少なくとも1つの子機を有し、子機の少なくとも1つに照明器具が接続される。親機は、子機と無線通信可能な親機無線通信部と、親機の動作設定を規定する設定ファイル並びに親機が制御装置に接続されて使用される場合及び親機が制御装置から独立して動作する場合に対応する親機処理をそれぞれ規定した親機プログラムが記憶されたメモリと、親機が制御装置から独立して動作するか否かを設定ファイルに基づいて判別し、判別結果に対応する親機プログラムを実行して親機を初期化する起動処理部と、親機が制御装置から独立して動作する場合に、設定ファイル及び親機プログラムに基づいて照明器具を照明制御するための照明制御データを生成してその照明制御データを親機無線通信部から子機に送信させる照明制御部とを備える。
【0007】
上記照明制御システムによると、親機のメモリに、親機の動作設定を規定する設定ファイル並びに親機が制御装置に接続されて使用される場合及び親機が制御装置から独立して動作する場合に対応する親機処理を規定した親機プログラムが記憶される。そして、親機の独立動作時においては、起動処理部及び照明制御部が、設定ファイル及び対応の親機プログラムに基づいて制御装置から独立して親機の初期化を実行するとともに制御装置使用時と同等の照明制御を実行する。これにより、制御装置が接続可能な親機に制御装置が接続されない場合でも高度な照明制御を実現するための低コストかつ標準化された親機を含む照明制御システムが実現される。
【0008】
ここで、親機は、親機無線通信部を介して受信された信号に基づく受信情報を制御装置に出力可能な情報出力部と、親機が制御装置から独立して動作する場合に、受信情報の出力処理に応じてダミー通信フレームを生成するフレーム生成部とをさらに備え、情報出力部は、受信情報に対する制御装置からの応答通信フレームの入力又はフレーム生成部によるダミー通信フレームの生成に応じて、受信情報の出力処理を終了するように構成される。これにより、簡素な制御構成で制御装置の非接続時及び接続時の双方に共通する通信処理が可能となる。
【0009】
また、設定ファイルに、親機の起動時に実行すべき照明器具の状態を示す初期状態データが含まれ、照明制御部が、親機の起動時に、初期状態データに基づく照明制御データを生成するように構成される。これにより、親機停電中の子機の動作仕様にかかわらず、親機によって規定される照明制御が親機の復電時に実行されるので、親機の起動後において意図しない子機及び照明器具の動作が防止される。
【0010】
さらに、子機の少なくとも1つにセンサが接続され、子機が、親機と無線通信可能な子機無線通信部、及びセンサから入力される検知信号を子機無線通信部から親機に転送する検知転送部を備え、設定ファイルに、親機、子機、照明器具及びセンサの紐付けを示す紐付けデータが含まれ、照明制御部が、紐付けデータに基づいて、検知信号を転送した子機に紐付けされた照明器具を照明制御するための照明制御データを生成するように構成される。これにより、制御装置に接続されていない親機においても、センサを用いた一層高度な照明制御が可能となる。
【0011】
またさらに、親機は、取外し可能な記憶媒体から設定ファイルを読み出すように構成された設定取得部を備える。これにより、照明制御システムの使用状態に応じて異なり得る設定ファイルを取外し可能な記憶媒体から取得することができるので、親機を設置先に応じて個別に製造する必要がなく、その製造コストの低減が可能となる。また、照明制御システム内の構成変更、仕様変更などに対して柔軟な対応が可能となる。
【0012】
ここで、設定取得部が、取外し可能な記憶媒体が親機に接続されたことに応じて、取外し可能な記憶媒体から設定ファイルを読み出してメモリに記憶させるように構成されることが望ましい。これにより、取外し可能な記憶媒体を親機に常時装着する必要がなく、親機使用時における記憶媒体の抜取りなどの悪戯、記憶媒体の接続外れ又は接触不良による照明制御の中断などが防止される。
【0013】
また、親機が、一時的に接続される制御装置から設定ファイルを読み出してメモリに記憶させる設定入力部をさらに備えていてもよい。これにより、設定ファイルを出荷前に一時的に接続された制御装置から取得することができるので、制御装置を設置場所で使用せずに、制御装置を使用する場合と同等の設定を入力することができ、親機の設置容易性が高まる。
【0014】
また、本発明は、コンピュータを、上記いずれかの照明制御システムが備える各部として機能させるためのプログラムも含む。さらに、本発明は、上記いずれかの照明制御システムの各部の処理を実行するステップを備える、照明制御システムの制御方法も含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態による照明制御システムのブロック図である。
【
図2】実施形態による照明制御システムにおける親機の動作を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態による照明制御システムにおける親機の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図4】比較例による照明制御システムにおける親機停電前後の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】実施形態による照明制御システムにおける親機停電前後の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
図1に、本発明の実施形態による照明制御システム1のブロック図を示す。照明制御システム1は、親機2、子機3-1~3-m、照明器具4-1~4-n及びセンサ5-1~5-pを含む。以降の説明において、子機3-1~3-mを総称して又はいずれか1つを代表して子機3といい、各子機3は実質的に同じ構成を有するものとする。また、照明器具4-1~4-nを総称して又はいずれか1つを代表して照明器具4といい、センサ5-1~5-pを総称して又はいずれか1つを代表してセンサ5というものとする。
図1においては、子機3-1に照明器具4-1及び4-2並びにセンサ5-1が接続され、子機3-2に照明器具4-3が接続され、子機3-3にセンサ5-2が接続される構成を示すが、子機3には、少なくとも1つの照明器具4又は少なくとも1つのセンサ5又は少なくとも1つの入力機器が接続され得る。
【0017】
親機2、子機3、照明器具4及びセンサ5の各々は、商用電源などの適宜の電力系統から電源給電されるものとする。親機2と各子機3の間は無線接続され、子機3と照明器具4又はセンサ5とは有線接続又は無線接続される。親機2と子機3との無線接続は、例えば、特定小電力無線、Wi-SUN、ZigBee(登録商標)、BLEなどの通信規格に準拠していればよい。なお、子機3と照明器具4又はセンサ5とが有線接続又は無線接続される限り、子機3は照明器具4の内部に設置されてもよいし、照明器具4又はセンサ5に付設されてもよい。
【0018】
SDカード6は、取外し可能な記憶媒体の一例である。取外し可能な記憶媒体として、SDカードの代わりに、USBメモリなどが使用されてもよい。制御装置7は、例えば岩崎電気株式会社製のITACS制御機であり、(親機2に接続される場合には)親機2に所定の命令を出力することによって、照明器具4の照明制御を実行することができる。SDカード6又は制御装置7は、親機2の使用開始時よりも前の時点で一時的に親機2に接続される。また、親機2は、必要に応じて点滅器8を介して商用電源などの電源に接続され得る。
【0019】
親機2は、無線通信部20、メモリ21、CPU22、記憶媒体インターフェース(I/F)28及び制御装置I/F29を備える。これらの各部は、バスを介して相互に信号及びデータのやり取りが可能な態様で接続される。メモリ21及びCPU22は、1つのマイクロコンピュータに含まれ得る。記憶媒体I/F28は、本実施形態ではSDカード6が挿抜されるSDカードスロットであるが、他の取外し可能な記憶媒体(例えばUSBメモリ)が使用される場合には、それに対応した接続部(例えばUSBポート)であればよい。制御装置I/F29は、制御装置7と接続可能な有線通信ポート(LANポート)である。
【0020】
メモリ21は、プログラム、ファイル及びデータを記憶するRAM、ROMなどの記憶部である。メモリ21には、親機制御プログラム、設定ファイル、ダミー通信フレームなどが記憶されている。
【0021】
親機プログラムは、親機2が制御装置7に接続されて使用される場合及び親機2が制御装置7に接続されずに使用される場合のそれぞれに対応する親機2の処理を規定する。すなわち、親機プログラムは、親機2が制御装置7によって制御される場合及び親機2が制御装置7から独立して動作する場合の親機2の処理を規定する。
【0022】
設定ファイルは、親機2の動作の前提となる動作設定を規定するものであり、csvファイルなどで構成される。具体的には、制御装置7の非使用/使用の別を示すフラグ、制御対象となり得る子機3のアドレス、その子機3における照明器具4又はセンサ5に接続されるチャネル、親機2の起動時に実行すべき照明器具4の制御状態である初期状態などが、設定ファイルにおいて規定される。この設定ファイルは、照明器具4の種類毎(オン/オフ用、調光用など)、後述の入力チャネルの種類毎(グループ入力ターミナルユニット(TU)、強制パターン入力TUなど)に作成される。本開示において、制御装置7の非使用/使用の別を示すフラグを制御装置使用フラグ(0:制御装置非使用/1:制御装置使用)という。また、上記の子機3のアドレス及びチャネルの対応関係、すなわち、親機2に対する子機3及びチャネル(照明器具4及びセンサ5)の紐付けを示すデータを紐付けデータというものとする。また、親機2の起動時に実行すべき照明器具4の制御状態である初期状態のことを初期状態データというものとする。なお、親機2が制御装置7に接続されて使用される場合、設定ファイルと同等の内容の情報が制御装置7から親機2に供給され得る。
【0023】
ダミー通信フレームは、親機2に制御装置7が接続される場合に親機2から制御装置7への情報の出力に応じて制御装置7から親機2に出力される応答通信フレームを模擬した疑似フレームである。ダミー通信フレームの処理については後述する。
【0024】
CPU22は、設定取得部23a、設定入力部23b、起動処理部24、照明制御部25、情報出力部26及びフレーム生成部27を含む。CPU22は、そこに含まれる各部の機能とともに、無線通信部20の通信制御、設定取得部23a、設定入力部23b、起動処理部24、照明制御部25、情報出力部26及びフレーム生成部27の統括制御など、特に明記しない一般的なCPUとしての機能も実行可能であるものとする。
【0025】
設定取得部23aは、記憶媒体I/F28に接続されたSDカード6に記憶された設定ファイルを読み出すことができる。また、設定取得部23aは、SDカード6から読み出された設定ファイルをメモリ21に記憶することができる。設定入力部23bは、例えば、親機2の出荷前など、一時的に接続された制御装置7から設定ファイルを読み出し、読み出された設定ファイルをメモリ21に記憶させることができる。なお、メモリ21において、設定ファイルは上書き可能なものとする。
【0026】
ここで、設定取得部23aは、SDカード6が記憶媒体I/F28に接続されたことに応じて、SDカード6に記憶されている設定ファイルを読み出すとともにメモリ21に記憶させることが望ましい。このように、使用開始時又は設定変更時など、SDカード6の接続時に自動的にメモリ21に読み出される構成により、その後のSDカード6の接続が不要となる。すなわち、親機2の使用時には、SDカード6も制御装置7も接続されない。なお、SDカード6が装着された状態でも親機2の使用は可能であるが、SDカード6の管理上の観点から(同じSDカード6が他の親機2に対しても使用され得ること、親機2の設置後にSDカード6が窃盗され得ることなどを考慮して)、親機2の使用中には、SDカード6は取り外されて管理されることが望ましい。
【0027】
起動処理部24は、親機2の起動時に、親機プログラムに従って親機2を初期化する。例えば、起動処理部24は、メモリ21に設定ファイルが存在する場合でかつ設定ファイルにおける制御装置使用フラグが0であることに応じて、親機2が制御装置7に接続されずに使用されること、すなわち親機2が制御装置7から独立して動作することを判別する。また、起動処理部24は、メモリ21に設定ファイルが存在しない場合又はメモリ21に設定ファイルが存在してもその設定ファイルにおける制御装置使用フラグが1である場合、親機2が制御装置7に接続されて使用されることを判別する。この判別結果に応じて、起動処理部24は、制御装置7の非使用時のプログラム又は制御装置7の使用時のプログラムを実行する。
【0028】
照明制御部25は、初期化後に設定ファイル(紐付けデータ)及び親機制御プログラムに基づいて照明器具4を照明制御するための照明制御データを無線通信部20から子機3(無線通信部30)に送信させる。また、親機2の起動時には、照明制御部25は、上記初期状態データに基づいて照明器具4の各々の初期状態を実行するための照明制御データを生成及び送信する。
【0029】
情報出力部26は、子機3から無線通信部20を介して受信された子機信号に基づく受信情報を、制御装置I/F29を介して制御装置7に出力することができる。なお、情報出力部26は、制御装置7が非接続の場合でも、受信情報の出力を試行することができる。子機信号及びそれに基づく受信情報は、例えば、ターミナルユニットTUからの入力、センサ5からの入力に関する情報を含む。制御装置7が接続される場合、制御装置7は受信情報に基づいて子機3、照明器具4又はセンサ5に関する構成又は状態を管理することができる。制御装置7は、受信情報の入力を受けると、応答通信フレーム(ACKフレーム)を親機2に返す。
【0030】
フレーム生成部27は、起動処理部24と同様に、親機2が制御装置7から独立して動作するのか、又は親機が制御装置7に接続されて使用されるのかを判別する。親機2が制御装置7から独立して動作する場合に、情報出力部26による受信情報の出力処理に応じてダミー通信フレームを生成する。なお、ダミー通信フレームとして、受信情報の種類に応じて複数の種類のフレームが用いられてもよい。
【0031】
そして、情報出力部26は、受信情報の出力処理に対して、応答通信フレームの入力又はダミー通信フレームの生成に応じて受信情報の出力処理を終了する。すなわち、制御装置7が接続されて使用される場合には、制御装置7からの応答通信フレームの入力によって受信情報の出力処理が終了し、制御装置7が接続されずに使用される場合には、フレーム生成部27によるダミー通信フレームの生成によって受信情報の出力処理が終了する。
【0032】
子機3は、無線通信部30、メモリ31、CPU32、出力チャネル35及び入力チャネル36を備える。これらの各部は、バスを介して相互に信号及びデータのやり取りが可能な態様で接続される。無線通信部30は、親機2(無線通信部20)と無線通信を行う無線モジュールである。メモリ31は、プログラム及びデータを記憶するRAM、ROMなどの記憶部であり、本実施形態を実行するためのプログラムがすでに書き込まれているものとする。CPU32は、照明出力部33及び検知転送部34を含む。CPU32は、そこに含まれる各部の機能とともに、無線通信部30の通信制御、照明出力部33及び検知転送部34の統括制御など、特に明記しない一般的なCPUとしての機能も実行可能であるものとする。メモリ31及びCPU32は、1つのマイクロコンピュータに含まれ得る。出力チャネル35は照明器具4又はリレースイッチRswに接続され、入力チャネル36はセンサ5、壁スイッチWsw、入力T/U(ターミナルユニット)、調光器(不図示)などの外部構成要素に接続可能に構成される。
【0033】
照明出力部33は、照明制御データに応じた照明制御信号を対応の出力チャネル35を介して照明器具4に出力する。なお、1台の子機3に対する出力チャネル35の設定には種々の態様が存在し得る。例えば、
図1に示すように、出力チャネル35としてCH1~4を有する1台の子機3-1に対して照明器具4-1及び4-2が接続され、CH1及び3が照明器具4-1及び4-2のそれぞれのオン/オフ(点灯/消灯)のためのチャネルとして設定され、CH2及び4が照明器具4-1及び4-2のそれぞれの調光のためのチャネルとして設定され得る。
【0034】
あるいは、出力チャネル35としてCH1~4を有する1台の子機3に対して4台の照明器具4が接続され、CH1~4が4台の照明器具4のそれぞれのオン/オフのためのチャネルとして設定されてもよい。あるいは、出力チャネル35としてCH1~4を有する1台の子機3に対して4台の照明器具4が接続され、CH1~4が4台の照明器具4のそれぞれの調光(0~100%)のためのチャネルとして設定されてもよい。なお、1台の子機3に接続される出力チャネル数は4に限定されない。また、1台の子機3に接続される照明器具4の台数は2又は4に限定されず、台数が0、すなわち、照明器具4が接続されない子機3が存在してもよい。この場合、子機3は、入力チャネル36を介した入力用の子機となる。また、子機3は、親機2と他の子機3の間又は他の子機3と他の子機3の間の中継器としても使用され得る。
【0035】
照明出力部33は、照明器具4のオン/オフのための出力チャネル35を介して、交流電源から照明器具4への電力線をオン/オフするためのリレースイッチRswを制御するための照明制御信号を出力することができる。また、照明出力部33は、照明器具4の駆動の動作/停止を制御するための照明制御信号を照明器具4に直接出力するようにしてもよい。また、照明出力部33は、照明器具4の調光のための出力チャネル35を介して、PWM調光信号を照明制御信号として出力する。ただし、照明制御信号は、照明制御システム1の仕様に応じて、所定の照明制御用の通信規格に準拠した信号、例えばDALI信号、DMX512信号などであってもよい。
【0036】
検知転送部34は、センサ5が入力チャネル36に接続される場合、センサ5によって取得された検知信号を無線通信部30を介して親機2(無線通信部20)に転送する。この際、検知信号には、当該検知信号を転送する子機3の識別情報(アドレス)又はセンサ5の識別情報(チャネル)などが付加され得る。
【0037】
照明器具4は、点灯回路40及び光源41を備える。点灯回路40は、子機3の照明出力部33(対応する出力チャネル35)からの照明制御信号を受信し、その照明制御信号に応じた駆動動作を実行して光源41の点灯状態を制御する。光源41はLED、放電灯などの任意の光源装置であればよく、各光源41に対して適切な点灯回路40が採用されるものとする。
【0038】
センサ5は、本実施形態では人感センサであり、子機3の入力チャネル36に接続される。センサ5は、検知エリアに人体を検知するとハイレベルの検知信号を子機3(検知転送部34)に出力し、人体を検知しない状態ではローレベルの信号を出力し、又はいずれの信号も出力しない。なお、本開示においては、説明の便宜上、検知信号に関してハイレベル/ローレベルの表現を用いるが、このような論理が実現される限り信号形式は任意であり、例えば、接点信号によって実現可能である。すなわち、接点による信号の有無が、ハイレベル/ローレベル又はローレベル/ハイレベルに対応し得る。なお、本開示において、ハイレベルの検知信号を単に検知信号というものとする。なお、説明の便宜上、検知結果に対する検知信号の論理を上記の通りとするが、この論理は逆であってもよい。すなわち、センサ5は、人体を検知しない状態でハイレベルの検知信号を出力し、人体を検知した状態でローレベルの検知信号を出力してもよく、この場合は、論理を逆にして以降の説明を読み替えることができる。
【0039】
親機2の通常動作時において、いずれのセンサ5も人体を検知しない場合には子機3の検知転送部34は親機2に対して検知信号を出力せず、親機2の照明制御部25は照明制御信号を出力せず、照明器具4は待機状態(例えば、30%調光点灯)を維持する。一方、例えばセンサ5-1が人体と検知すると、センサ5-1が検知信号を子機3-1に出力し、子機3-1の検知転送部34は親機2に対して検知信号を転送する。親機2の照明制御部25は、紐付けデータに基づいて、例えば、センサ5-1に紐付けされた子機3-1(照明器具4-1及び4-2)及び子機3-2(照明器具4-3)を所定の点灯状態(例えば、80%調光点灯)に遷移させるための照明制御データを生成し、それを子機3-1及び3-2に送信する。その後、子機3-1及び3-2は、所定時間(例えば、10秒)経過後に照明器具4-1~4-3を元の待機状態(30%調光点灯)に戻すように照明制御信号を照明器具4-1~4-3にそれぞれ出力する(なお、所定時間経過の時点で人体が検知されていれば待機状態に戻ることなく再度所定時間が開始される)。あるいは、各子機3は、センサ5が人体を検知した後に人体を検知しなくなった時点で、又はその時点から所定時間経過後に、各照明器具4を元の待機状態に戻す照明制御信号を各照明器具4に出力するようにしてもよい。
【0040】
図2に、親機2の起動前後の動作のフローチャートを示す。親機2は、使用前の設定取得処理P100、起動時の起動処理P200、通常動作時の照明制御処理P300、及びその後の通常運用処理P350を実行する。
【0041】
設定取得処理P100では、親機2の使用前に、設定取得部23a又は設定入力部23bが必要な設定ファイルを取得してそれをメモリ21に記憶する。あるいは、照明制御システム1(親機2、子機3、照明器具4又はセンサ5)の紐付け関係などの構成の変更時又は制御内容などの仕様の変更時(以下、「設定変更時」という)に、設定取得部23aが新たな設定ファイルを取得してそれをメモリ21に上書き及び記憶する。設定取得処理P100は、ステップS105及びS110を含む。
【0042】
ステップS105において、SDカード6又は制御装置7が親機2に接続される。SDカード6が親機2に接続されるのは親機2の使用前(例えば、出荷前、設置時など)又は照明制御システム1の設定変更時であり、制御装置7が親機2に接続されるのは親機2の出荷前である。
【0043】
ステップS110において、設定取得部23aが、接続されたSDカード6から設定ファイルを読み出してそれをメモリ21に記憶する。あるいは、設定入力部23bが、接続された制御装置7から設定ファイルを読み出してそれをメモリ21に記憶する。
【0044】
起動処理P200では、親機2の起動時に、起動処理部24が、設定ファイルに基づいて親機2の無線通信の有効化及び親機2の初期化を実行する。起動処理P200は、ステップS205~S230を含む。
【0045】
ステップS205において、起動処理部24は、起動処理部24は、親機2が制御装置7に接続されずに使用される場合及び親機2が制御装置7に接続されて使用される場合の双方に共通するシステム用テーブルの初期化を実行する。
【0046】
ステップS210において、起動処理部24は、メモリ21に記憶された設定ファイル(例えばcsvファイル)の有無を識別する。設定ファイルが存在する場合(ステップS210、Yes)、処理は制御装置7の使用の有無(親機2が独立動作するか否か)をさらに判別するためのステップS215に進む。一方、設定ファイルが存在しない場合(ステップS210、No)、処理は、制御装置7が使用される場合の処理であるステップS230に進む。
【0047】
ステップS215において、起動処理部24は、設定ファイルにおける制御装置使用フラグを参照して、親機2が制御装置7から独立して動作するのか否かをさらに判別する。親機2が制御装置7から独立して動作すると判定された場合、すなわち、制御装置使用フラグが0である場合(ステップS215、Yes)、処理はステップS220に進む。一方、親機2が制御装置7に接続使用されるものと判定された場合、すなわち、制御装置使用フラグが1である場合(ステップS215、No)、処理はステップS230に進む。なお、制御装置7が接続されて使用される場合において設定ファイルがメモリ21に記憶されないこと(すなわち、設定ファイルに相当するファイル又はデータが制御装置7から直接読み出されること)を条件として、ステップS215を省略してもよい。この場合、ステップS210の設定ファイルの有無のみに基づいて制御装置7の使用の有無が判別される。
【0048】
ステップS220において、起動処理部24は、制御装置7の非使用時、すなわち、親機2の独立動作時のための親機2の初期化処理を行う。
ステップS230において、起動処理部24は、制御装置7の接続使用時のための親機2の初期化処理を行う。
【0049】
照明制御処理P300では、照明制御部25が、制御装置7の非使用時又は使用時に対応する親機制御プログラムを実行する。照明制御処理P300は、ステップS305及び通常運用処理P310を含む。
【0050】
ステップS305において、照明制御部25は、設定ファイルにおける紐付けデータ及び初期状態データを参照して、各照明器具4についての初期状態を実行するための照明制御データを生成し、これを無線通信部20から子機3に送信させる。
【0051】
通常運用処理P350では、例えば、照明制御部25が、親機制御プログラムを実行し、設定ファイルに規定される紐付けデータに基づいて照明器具4を照明制御するための照明制御データを子機3に無線送信する。また、検知転送部34によって、センサ5から入力される検知信号が親機2に転送されると、照明制御部25は、検知信号毎に紐付けされた照明器具4を照明制御するための照明制御データを、その照明器具4に紐付けされた子機3に無線送信する。
【0052】
また、
図3に示すように、通常運用処理P350において、情報出力部26及びフレーム生成部27は、応答通信フレーム又はダミー通信フレームに関してステップS355~S380を実行する。
【0053】
ステップS355において、情報出力部26は、子機3からの子機信号が受信されるか否かを判別する。子機信号が受信された場合(ステップS355、Yes)、処理はステップS360に進む。
ステップS360(出力処理)において、情報出力部26は、子機信号に基づく受信情報を生成し、制御装置7に対して受信情報の出力を試行する。
【0054】
ステップS365において、フレーム生成部27は、親機2が制御装置7から独立して動作するのか否かを判別する。この判別は、上記ステップS215と同様にして実行され得る。親機2が制御装置7から独立して動作すると判定された場合(ステップS365、Yes)、処理はステップS370に進む。一方、親機2が制御装置7に接続使用されるものと判定された場合(ステップS365、No)、処理はステップS375に進む。
【0055】
ステップS370(生成処理)において、フレーム生成部27は、情報処理部26による受信情報の出力処理に応じて、ダミー通信フレームを生成する。
【0056】
ステップS375において、情報出力部26が、制御装置7からの応答通信フレームの入力又は生成処理(ステップS370)によるダミー通信フレームの生成の有無を判別する。応答通信フレームの入力又はダミー通信フレームの生成があった場合(ステップS375、Yes)、ステップS380において、情報出力部26は受信情報の出力処理を終了する。なお、受信情報の出力の再試行などのステップが適宜設けられてもよい。
【0057】
ここで、親機停電前後の照明制御処理を比較例及び本実施形態を用いて説明する。なお、説明の便宜上、比較例における親機を親機12という。本実施形態の親機2には上述の初期状態データが記憶されているが、比較例の親機12には初期状態データは記憶されていない。したがって、親機2においては、上述したように、起動直後に照明制御部25が、照明器具4の初期状態(30%調光点灯)を実行する。なお、初期状態とは、センサ5が非アクティブな状態、すなわち検知信号を出力しない状態において照明器具4が実行すべき待機状態と定義されてもよい。一方、親機12は、起動時に、停電直前の最終状態を照明器具4に実行させ、あるいは、親機12は起動時に照明制御データを出力せず、子機3がその最終状態を実行するものとする。
【0058】
なお、停電及び復電とは、親機2の主電源のオフ及びオン、親機2が接続される電源設備の遮断及び復帰など、親機2の起動(再起動)を伴う種々の状況を含む概念である。例えば、親機2又は12が、タイマによってオン/オフする点滅器8を介して電源に接続され、点滅器8が所定時刻(例えば朝の所定時刻)にオフとなり、その後の所定時刻(例えば夕方の所定時刻)にオンとなる場合が想定される。すなわち、この照明制御システム1においては、親機2又は12は、昼間には使用されず、夜間に使用される。また逆に、例えば、室内の照明に関して、親機2又は12が、タイマによってオン/オフする点滅器8を介して電源に接続され、点滅器8が所定時刻(例えば22時)にオフとなり、その後の所定時刻(例えば翌8時)にオンとなる場合が想定される。すなわち、この照明制御システム1においては、親機2又は12は、夜間には使用されず、昼間に使用される。いずれの場合であっても、センサ5が検知信号を出力しない場合(検知エリアに人体が存在しない場合)には照明器具4を30%調光点灯に維持し、センサ5が人体を検知すると、検知信号を転送した子機3に紐付けされた照明器具4を80%調光点灯に移行させることが意図されている。
【0059】
図4に、比較例における親機12の停電時における照明制御システム1の動作を示す。
図4において、下段から、センサ5から出力される検知信号、照明器具4(子機3)の状態、及び親機12からの照明制御データを示す。なお、親機2、子機3、照明器具4及びセンサ5は相互に紐付けされているものとする。
【0060】
時刻t1の前において、検知エリアに人体は不在であり、センサ5は検知信号を出力せず、子機3及び照明器具4は30%調光点灯を維持しているものとする。
時刻t1において、センサ5が人体を検知すると、検知信号がセンサ5→子機3→親機12に転送され、親機12は80%調光の照明制御データを子機3に送信する。これにより、照明器具4は80%調光点灯を実行する。
【0061】
時刻t2において、照明器具4が80%調光点灯を継続した状態で、親機12が停電したものとする。その後、人体が不在となり、センサ5は検知信号を出力しなくなるが、親機12は停電中であるため、30%調光点灯に戻すための照明制御データは子機3に送信されない。そのため、子機3及び照明器具4は、80%調光点灯を維持する。
【0062】
時刻t3において、復電により親機12が起動する。ここで、親機12は、停電直前の子機3の最終状態である80%調光点灯を実行するように照明制御データを子機3に送信し、あるいは、いずれの照明制御データも送信しない。これにより、センサ5が検知信号を出力しないにもかかわらず(すなわち、人体が不在であるにもかかわらず)、親機12では照明器具4を30%調光点灯に戻すための照明制御データなどの新たな照明制御データを生成する契機がなく、子機3及び照明器具4は80%調光点灯を維持してしまう。したがって、親機12を含む照明制御システム1では、親機12の復電時に人体が不在であったとしても、照明器具4は人体が存在する場合の点灯状態(80%調光点灯)を継続してしまう。
【0063】
なお、時刻t2において親機2とともに子機3及び照明器具4が停電し、時刻t3において親機2、子機3及び照明器具4が復電する場合であって、子機3が停電直前の最終状態を記憶して復電時にその最終状態を再現するように構成されている場合も、上記と同様である。すなわち、いずれの場合であっても、時刻t3において、人体不在時でも80%調光点灯が実行されるので、センサ5の検知状態と照明器具4の点灯状態との間で不一致が生ずることになる。そのため、時刻t4において、人体の検知によってセンサ5から検知信号が出力されて正常な動作に戻る時点まで、センサ5の検知状態と照明器具4の点灯状態との間に不一致が継続する。
【0064】
これに対して、
図5に、本実施形態における親機2を含む照明制御システム1の動作を示す。
図5において、下段から、センサ5から出力される検知信号、照明器具4(子機3)の状態、及び親機2からの照明制御データを示す。なお、親機2、子機3、照明器具4及びセンサ5は相互に紐付けされているものとし、時刻t2までの動作は
図4に示した比較例の場合と実質的に同様である。
【0065】
時刻t1の前において、検知エリアに人体は不在であり、センサ5は検知信号を出力せず、子機3及び照明器具4は30%調光点灯を維持しているものとする。
時刻t1において、センサ5が人体を検知すると、検知信号がセンサ5→子機3→親機2に転送され、親機2は80%調光の照明制御データを子機3に送信する。これにより、照明器具4は80%調光点灯を実行する。
【0066】
時刻t2において、照明器具4が80%調光点灯を継続した状態で、親機2が停電したものとする。その後、人体が不在となり、センサ5は検知信号を出力しなくなるが、親機2は停電中であるため、30%調光点灯に戻すための照明制御データは子機3に送信されない。そのため、子機3及び照明器具4は、80%調光点灯を維持する。
【0067】
時刻t3において、復電により親機2が起動する。ここで、親機2は、メモリ21に記憶されている照明器具4の初期状態(30%調光点灯)を実行するための照明制御データを子機3に送信する。これにより、子機3及び照明器具4は、(人体が不在であることを条件として)30%調光点灯を実行する。仮に人体が存在していたとしても、センサ5からの検知信号が子機3を介して親機2に転送され、これに応じて親機2が80%調光点灯を子機3に実行させることになるので、センサ5の検知状態と照明器具4の点灯状態との間の不一致は生じない。
【0068】
なお、時刻t2において親機2とともに子機3及び照明器具4が停電し、時刻t3において親機2、子機3及び照明器具4が復電する場合であって、子機3が停電直前の最終状態を記憶して復電時にその最終状態を再現するように構成されている場合も、上記と同様である。すなわち、時刻t3において、親機2が子機3に初期状態(30%調光)を実行させるので、センサ5の検知状態と照明器具4の点灯状態との間の不一致は生じない。その後は、通常動作時と同様に、人体の不在の場合には30%調光点灯が維持され、例えば時刻t4で人体が検知されると、所定期間にわたって80%調光点灯が実行される。
【0069】
このように、比較例の親機12とは異なり、本実施形態の親機2は、その起動時に照明器具4の初期状態を実行するための処理を行うので、センサ5による検知状態と照明器具4で実行されるべき点灯状態との間の不一致を防止することができる。
【0070】
以上のように、本発明の照明制御システム1では、親機2が、子機3と無線通信可能な無線通信部20と、親機2の動作設定を規定する設定ファイル並びに親機2が制御装置7に接続されて使用される場合及び親機2が制御装置7から独立して動作する場合に対応する親機処理をそれぞれ規定した親機プログラムが記憶されたメモリ21と、親機2が制御装置7から独立して動作するか否かを設定ファイルに基づいて判別し、判別結果に対応する親機プログラムを実行して親機2を初期化する起動処理部24と、親機2が制御装置7から独立して動作する場合に、設定ファイル及び親機プログラムに基づいて照明器具4を照明制御するための照明制御データを生成してその照明制御データを無線通信部20から子機3に送信させる照明制御部25とを備える。
【0071】
上記照明制御システム1によると、親機2のメモリ21に、親機2の動作設定を規定する設定ファイル並びに親機2が制御装置7に接続されて使用される場合及び親機2が制御装置7から独立して動作する場合の親機処理をそれぞれ規定した親機プログラムが記憶される。そして、親機2の独立動作時においては、起動処理部24及び照明制御部25が、設定ファイル及び対応の親機プログラムに基づいて制御装置7から独立して親機2の初期化を実行するとともに制御装置7の使用時と同等の照明制御を実行する。これにより、制御装置7が接続可能な親機2に制御装置7が接続されない場合でも高度な照明制御を実現するための低コストかつ標準化された親機2を含む照明制御システム1が実現される。
【0072】
ここで、親機2は、無線通信部20を介して受信された子機信号に基づく受信情報を制御装置7に出力可能な情報出力部26と、親機2が制御装置7から独立して動作する場合に、受信情報の出力処理に応じてダミー通信フレームを生成するフレーム生成部27とをさらに備え、情報出力部26が、受信情報に対する制御装置7からの応答通信フレームの入力又はフレーム生成部27によるダミー通信フレームの生成に応じて、受信情報の出力処理を終了するように構成される。これにより、簡素な制御構成で制御装置7の非接続時及び接続時の双方に共通する通信処理が可能となる。
【0073】
また、設定ファイルに、親機2の起動時に実行すべき照明器具4の状態を示す初期状態データが含まれ、照明制御部25が、親機2の起動時に、初期状態データに基づく照明制御データを生成するように構成される。これにより、親機2の停電中の子機3の動作仕様にかかわらず、親機2によって規定される照明制御が親機2の復電時に実行されるので、親機2の起動後において意図しない子機3及び照明器具4の動作が防止される。
【0074】
さらに、子機3の少なくとも1つにセンサ4が接続され、子機3が、親機2と無線通信可能な無線通信部30及びセンサ5から入力される検知信号を無線通信部30から親機2に転送する検知転送部34を備え、設定ファイルに、親機2、子機3、照明器具4及びセンサ5の紐付けを示す紐付けデータが含まれ、照明制御部25が、紐付けデータに基づいて、検知信号を転送した子機3に紐付けされた照明器具4を照明制御するための照明制御データを生成するように構成される。これにより、制御装置7が接続されない親機2においても、センサ5を用いた一層高度な照明制御が可能となる。
【0075】
またさらに、親機2は、SDカード6から設定ファイルを読み出すように構成された設定取得部23aを備える。これにより、照明制御システム1の使用状態に応じて異なり得る設定ファイルをSDカード6から取得することができるので、親機2を設置先に応じて個別に製造する必要がなく、その製造コストの低減が可能となる。また、照明制御システム1内の設定変更に対して柔軟な対応が可能となる。
【0076】
ここで、設定取得部23aが、SDカード6が親機2に接続されたことに応じて、SDカード6から設定ファイルを読み出してメモリ21に記憶させるように構成されることが望ましい。これにより、SDカード6を親機2に常時装着する必要がなく、親機2の使用時におけるSDカード6の抜取りなどの悪戯、SDカード6の接続外れ又は接触不良による照明制御の中断などが防止される。
【0077】
また、親機2が、一時的に接続される制御装置7から設定ファイルを読み出してメモリ21に記憶させる設定入力部23bをさらに備えていてもよい。これにより、設定ファイルを出荷前に一時的に接続された制御装置7から取得することができるので、制御装置7を使用する場合と同等の設定を入力するのに制御装置7を設置場所で使用する必要がなく、親機2の設置容易性が高まる。
【0078】
<プログラム>
なお、上述した各実施形態における照明制御システム1の特に親機2又は子機3(CPU22又は32)を実現する各構成要素及び処理の各ステップは、メモリ21又は31のROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0079】
また、上記各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(
図2又は
図3に示すフローチャートに対応したプログラム)が、照明制御システム1(親機2又は子機3)に直接に、又は遠隔から供給され得る。したがって、本発明の機能処理を実現するために、照明制御システム1(親機2又は子機3)にインストールされるプログラムコード自体も本発明に含まれる。すなわち、本発明には、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラムも含まれる。そのプログラムは、親機2、子機3などのコンピュータを、上記の設定取得部23a、設定入力部23b、起動処理部24、照明制御部25、情報出力部26、フレーム生成部27、照明出力部33及び検知転送部34の全部又は一部として機能させることができる。このように、本発明は、上記実施形態に示したような作用効果をソフトウェアの導入によって実現できるので、照明制御システム1(特に、親機2及び子機3)の導入容易性を向上することができる。
【0080】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0081】
(1)センサ5又は点滅器8に関する変形
上記実施形態ではセンサ5が人感センサである例を示したが、センサ5は、子機3の周囲の環境照度を検出する照度センサ(明るさセンサ)など、他のセンサであってもよい。この場合、検出照度の低/高に応じて対応の照明器具4の出力がオン/オフ又は増/減される。また、上記実施形態では、時間に応じて動作する点滅器8が使用される構成を示したが、環境照度に応じて動作する(例えば、環境照度が高い昼間にオフし、環境照度が低い夜間にオンする)点滅器8が使用されてもよい。
【0082】
(2)初期状態データに関する変形
上記実施形態では照明器具4の初期状態が調光率(百分率)で規定される構成を示した。一方、初期状態は、オン(全光又は調光)又はオフ(消灯)によって規定されてもよいし、調光率に対応するPWM信号のオンデューティ又はオフデューティで規定されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 照明制御システム
2 親機
3、3-1~3-m 子機
4、4-1~4-n 照明器具
5、5-1~5-p センサ
6 SDカード(取外し可能な記憶媒体)
7 制御装置
8 点滅器
20 無線通信部(親機無線通信部)
21 メモリ
22 CPU
23a 設定取得部
23b 設定入力部
24 起動処理部
25 照明制御部
26 情報出力部
27 フレーム生成部
28 記憶媒体I/F
29 制御装置I/F
30 無線通信部(子機無線通信部)
31 メモリ
32 CPU
33 照明出力部
34 検知転送部
35 出力チャネル
36 入力チャネル