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特許7020105画像形成装置、画像形成システム、および処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、および処理方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220208BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220208BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220208BHJP
   G03G 21/02 20060101ALI20220208BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220208BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/00 Z
G03G21/00 388
G03G21/00 384
G03G21/02
H04N1/00 C
H04N1/00 519
G06F3/12 303
G06F3/12 353
G06F3/12 332
G06F3/12 334
G06F3/12 374
G06F3/12 355
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017247746
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019111753
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇司
(72)【発明者】
【氏名】来正 洋一
(72)【発明者】
【氏名】松田 英之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敦士
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173496(JP,A)
【文献】特開2014-168914(JP,A)
【文献】特開2009-226665(JP,A)
【文献】特開2006-162855(JP,A)
【文献】特開2015-018433(JP,A)
【文献】特開2008-177771(JP,A)
【文献】特開2003-136813(JP,A)
【文献】特開2011-121271(JP,A)
【文献】特開2010-282204(JP,A)
【文献】特開2014-133656(JP,A)
【文献】特開2017-149571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 21/00
G03G 21/02
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と通信する画像形成装置であって、
複数の用紙を格納する第1の給紙トレイと、
前記用紙が排出される排出トレイと、
前記用紙の種類を表した種類情報を記憶するメモリと、
前記用紙を前記第1の給紙トレイから前記排出トレイまで搬送するための搬送路と、
前記搬送路の途中に設置され、前記用紙の種類を検知するセンサと、
前記用紙の搬送および前記用紙に対する画像形成を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、前記メモリに前記種類情報が記憶されていないことを条件に、前記複数の用紙のうち前記第1の給紙トレイから最初に給紙される第1の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第1の用紙を前記排出トレイに排出し、
前記第1の用紙に対する前記センサの検知結果を、前記情報処理装置に対して通知する制御を行い、
前記検知結果の通知に対する応答として、前記情報処理装置から前記印刷指示に基づく画像形成の開始指示を受け付けたことを条件に、前記第1の用紙に次いで前記第1の給紙トレイから供給される第2の用紙を含む1枚以上の用紙に対して、前記印刷指示に基づく画像形成を行い、
前記情報処理装置は、前記印刷指示を受け付ける第1のダイアログボックスと、前記開始指示の入力を受け付ける第2のダイアログボックスとをディスプレイに表示し、前記第1のダイアログボックスは前記開始指示の入力が行われるまで前記ディスプレイに継続して表示され、
前記第1の給紙トレイは、前記画像形成装置の本体部から引き出し可能であって、
前記制御部は、
前記情報処理装置から周期的に送られてくる信号に基づき、前記第1のダイアログボックスが前記情報処理装置の前記ディスプレイに表示された状態であるかを判断し、
前記第1のダイアログボックスが前記ディスプレイに表示された状態であると判断した場合に、前記第1の給紙トレイが前記本体部から引き出されたことを条件に、前記第2の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第2の用紙を前記排出トレイに排出する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の用紙に対する前記センサの検知結果を、前記種類情報として前記メモリに記憶させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の給紙トレイは、前記画像形成装置の本体部から引き出し可能であって、
前記制御部は、前記メモリに前記種類情報が記憶されている場合、前記第1の給紙トレイが前記本体部から引き出されたことを条件に、前記メモリから前記種類情報を削除する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記メモリは、不揮発性のメモリであって、
前記制御部は、前記メモリに前記種類情報が記憶されている場合、前記画像形成装置の電源をオフする指示を受け付けたこと、または前記オフする指示を受け付けた後に前記電源をオンする指示を受け付けたことを条件に、前記メモリから前記種類情報を削除する、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第2の給紙トレイをさらに備え、
前記印刷指示は、前記第1の給紙トレイおよび前記第2の給紙トレイのいずれかを指定する指示を含み、
前記制御部は、
前記第1の給紙トレイを指定する前記印刷指示を受け付けた場合、前記メモリに前記種類情報が記憶されていないことを条件に、前記第1の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第1の用紙を前記排出トレイに排出し、
前記第2の給紙トレイを指定する前記印刷指示を受け付けた場合、前記第2の給紙トレイから供給される1枚以上の用紙に対して、前記印刷指示に基づく画像形成を行う、請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
動作モードとして第1のモードと第2のモードとを備え、
前記制御部は、
前記印刷指示を受け付けた場合、前記動作モードが第1のモードに設定され、かつ前記メモリに前記種類情報が記憶されていないことを条件に、前記第1の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第1の用紙を前記排出トレイに排出し、
前記印刷指示を受け付けた場合、前記動作モードが前記第2のモードに設定されているときには、前記第1の用紙を含む前記第1の給紙トレイから供給される1枚以上の用紙に対して、前記印刷指示に基づく画像形成を行う、請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1のモードは、前記画像形成装置の利用者に課金を行うモード、または前記画像形成の実行回数が外部装置によって管理されるモードである、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の給紙トレイの用紙の有無を検知する検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記印刷指示を受け付けた場合、前記第1の給紙トレイに用紙があり、かつ前記メモリに前記種類情報が記憶されていないことを条件に、前記第1の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第1の用紙を前記排出トレイに排出する、請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の給紙トレイは、前記第1の給紙トレイ内で前記用紙をリフトアップ可能であって、
前記制御部は、前記メモリに前記種類情報が記憶されている場合、前記印刷指示を受けた後であって、かつ前記第1の給紙トレイからの用紙の給紙開始前に前記用紙のリフトアップ量が変化したときには、前記メモリから前記種類情報を削除する、請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2のダイアログボックスは、前記印刷指示に基づく画像形成をキャンセルするための入力を受け付け可能であって、
前記制御部は、
前記画像形成をキャンセルするための入力を表すキャンセル指示を前記情報処理装置から受信し、
前記キャンセル指示を受信してから予め定められた時間が経過する迄に、前記第1の給紙トレイが前記本体部から引き出された場合、前記第1の用紙を含む前記第1の給紙トレイから供給される1枚以上の用紙に対して、前記印刷指示に基づく画像形成を行う、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信する画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
複数の用紙を格納する給紙トレイと、
前記用紙が排出される排出トレイと、
前記用紙の種類を表した種類情報を記憶するメモリと、
前記用紙を前記給紙トレイから前記排出トレイまで搬送するための搬送路と、
前記搬送路の途中に設置され、前記用紙の種類を検知するセンサと、
前記用紙の搬送および前記用紙に対する画像形成を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、前記メモリに前記種類情報が記憶されていないことを条件に、前記複数の用紙のうち前記給紙トレイから最初に給紙される第1の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第1の用紙を前記排出トレイに排出し、
前記第1の用紙に対する前記センサの検知結果を、前記情報処理装置に対して通知する制御を行い、
前記検知結果の通知に対する応答として、前記情報処理装置から前記印刷指示に基づく画像形成の開始指示を受け付けたことを条件に、前記第1の用紙に次いで前記給紙トレイから供給される第2の用紙を含む1枚以上の用紙に対して、前記印刷指示に基づく画像形成を行い、
前記情報処理装置は、前記印刷指示を受け付ける第1のダイアログボックスと、前記開始指示の入力を受け付ける第2のダイアログボックスとをディスプレイに表示し、前記第1のダイアログボックスは前記開始指示の入力が行われるまで前記ディスプレイに継続して表示され、
前記給紙トレイは、前記画像形成装置の本体部から引き出し可能であって、
前記制御部は、
前記情報処理装置から周期的に送られてくる信号に基づき、前記第1のダイアログボックスが前記情報処理装置の前記ディスプレイに表示された状態であるかを判断し、
前記第1のダイアログボックスが前記ディスプレイに表示された状態であると判断した場合に、前記給紙トレイが前記本体部から引き出されたことを条件に、前記第2の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第2の用紙を前記排出トレイに排出する、画像形成システム。
【請求項12】
情報処理装置と通信する画像形成装置の処理方法であって、
給紙トレイに格納された複数の用紙を排出トレイまで搬送するステップと、
前記用紙の種類を表した種類情報をメモリに記憶するステップと、
前記用紙の搬送中に前記用紙の種類を検知するステップと、
前記情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、前記メモリに前記種類情報が記憶されていないことを条件に、前記複数の用紙のうち前記給紙トレイから最初に給紙される第1の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第1の用紙を前記排出トレイに排出するステップと、
前記最初に給紙される用紙に対する前記用紙の種類の検知結果を、前記情報処理装置に対して通知するステップと、
前記検知結果の通知に対する応答として、前記情報処理装置から前記印刷指示に基づく画像形成の開始指示を受け付けたことを条件に、前記第1の用紙に次いで前記給紙トレイから供給される第2の用紙を含む1枚以上の用紙に対して、前記印刷指示に基づく画像形成を行得ステップとを備え、
前記情報処理装置は、前記印刷指示を受け付ける第1のダイアログボックスと、前記開始指示の入力を受け付ける第2のダイアログボックスとをディスプレイに表示し、前記第1のダイアログボックスは前記開始指示の入力が行われるまで前記ディスプレイに継続して表示され、
前記給紙トレイは、前記画像形成装置の本体部から引き出し可能であって、
前記処理方法は、
前記情報処理装置から周期的に送られてくる信号に基づき、前記第1のダイアログボックスが前記情報処理装置の前記ディスプレイに表示された状態であるかを判断するステップと、
前記第1のダイアログボックスが前記ディスプレイに表示された状態であると判断した場合に、前記給紙トレイが前記本体部から引き出されたことを条件に、前記第2の用紙に対しては前記印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、前記第2の用紙を前記排出トレイに排出するステップとをさらに備える、処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置を備える画像形成システム、および画像形成装置の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(multifunction peripheral/product/printer)とも称される画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置は、典型的には、PC(Personal Computer)と通信可能に接続される。画像形成装置は、当該PCからの指示に基づき、用紙に対して画像を形成する。また、用紙の種類を検知し、かつ用紙の種類に適した印刷条件で出力(画像形成)する機能(以下、「紙種自動検知機能」とも称する)を有する画像形成装置も知られている。
【0004】
特許文献1には、任意の用紙に対して、プリンタにセットされている用紙の種類(紙種)と印刷設定処理部で設定されている用紙との不適合が発生しているかどうかを用紙種類判別処理部が印刷データに対する処理中の異なるタイミングで複数回検知した情報から判定して、印刷データ生成処理部による印刷データの生成や生成された印刷データの出力を制限する構成のデータ処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、給紙トレイの開閉が検出された際に、開閉された給紙トレイの用紙が交換されたと判断する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、さらに、ユーザに対してこの開閉された給紙トレイの用紙の用紙属性の設定指示を要求するとともに、この給紙トレイを使用不可状態に設定する。さらに、画像形成装置は、設定指示の要求に応答するユーザの設定指示があると、この給紙装置の用紙属性の設定を有効にするとともに、この給紙トレイの使用不可状態を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-62916号公報
【文献】特開2006-88513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の紙種自動検知機能を有する画像形成装置において、紙種自動検知機能を動作させた紙種自動判別モードにおいて、画像形成(プリント)の直前に、他のユーザがトレイ内の用紙を他の紙種の用紙に変更した場合、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまう。それゆえ、ユーザの期待した出力が出来ない可能性がある。
【0008】
このような事態は、たとえば、以下のような局面で起こり得る。まず、ユーザAが画像形成装置のトレイに、厚紙を入れる。その後、ユーザAがPCに印刷指示を入力するためにPCが設置された自席に戻る途中で、別のユーザBが、当該トレイの用紙を厚紙から普通紙に変更する。ユーザAがユーザBによる用紙の変更を知らずに、前回自分が入れた厚紙が入ったままと思い込み印刷をする。このような場合、ユーザAの期待と異なる用紙で出力される。
【0009】
また、特許文献1のデータ処理装置では、上記の判別処理を行なうためには、給紙トレイに、用紙の種類を自動的に判別するメディアセンサを付ける必要がある。しかしながら、画像形成装置は、典型的には、複数の給紙トレイを備える。また、オプションの装置として、複数の給紙トレイを備える給紙装置が画像形成装置に接続され得る。このような構成の場合、特許文献1のデータ装置では、複数の給紙トレイの各々にメディアセンサを取り付ける必要がある。
【0010】
なお、特許文献2の画像形成装置は、紙種自動検知機能を有しておらず、そもそも、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまうことは発生し得ない。
【0011】
本願発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、給紙トレイにメディアセンサを設けることなく、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまうことを防止可能な画像形成装置、画像形成装置を備える画像形成システム、および画像形成装置の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある局面に従うと、画像形成装置は、情報処理装置と通信する。画像形成装置は、複数の用紙を格納する第1の給紙トレイと、用紙が排出される第1の排出トレイと、用紙の種類を表した種類情報を記憶するメモリと、用紙を第1の給紙トレイから第1の排出トレイまで搬送するための搬送路と、搬送路の途中に設置され、用紙の種類を検知するセンサと、用紙の搬送および用紙に対する画像形成を制御する制御部とを備える。制御部は、情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、複数の用紙のうち第1の給紙トレイから最初に給紙される第1の用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、第1の用紙を第1の排出トレイに排出する。制御部は、第1の用紙に対するセンサの検知結果を、情報処理装置に対して通知する制御を行う。
【0013】
好ましくは、制御部は、第1の用紙に対するセンサの検知結果を、種類情報としてメモリに記憶させる。
【0014】
好ましくは、制御部は、検知結果の通知に対する応答として、情報処理装置から印刷指示に基づく画像形成の開始指示を受け付けたことを条件に、第1の用紙に次いで第1の給紙トレイから供給される第2の用紙を含む1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0015】
好ましくは、第1の給紙トレイは、画像形成装置の本体部から引き出し可能である。制御部は、メモリに種類情報が記憶されている場合、第1の給紙トレイが本体部から引き出されたことを条件に、メモリから種類情報を削除する。
【0016】
好ましくは、メモリは、不揮発性のメモリである。制御部は、メモリに種類情報が記憶されている場合、画像形成装置の電源をオフする指示を受け付けたこと、またはオフする指示を受け付けた後に電源をオンする指示を受け付けたことを条件に、メモリから種類情報を削除する。
【0017】
好ましくは、情報処理装置は、印刷指示を受け付ける第1のダイアログボックスと、開始指示の入力を受け付ける第2のダイアログボックスとをディスプレイに表示し、第1のダイアログボックスは開始指示の入力が行われるまでディスプレイに継続して表示される。第1の給紙トレイは、画像形成装置の本体部から引き出し可能である。制御部は、情報処理装置から周期的に送られてくる信号に基づき、第1のダイアログボックスが情報処理装置のディスプレイに表示された状態であるかを判断する。制御部は、第1のダイアログボックスがディスプレイに表示された状態であると判断した場合に、第1の給紙トレイが本体部から引き出されたことを条件に、第2の用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、第2の用紙を第1の排出トレイに排出する。
【0018】
好ましくは、画像形成装置は、第2の給紙トレイをさらに備える。印刷指示は、第1の給紙トレイおよび第2の給紙トレイのいずれかを指定する指示を含む。制御部は、第1の給紙トレイを指定する印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、第1の用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、第1の用紙を第1の排出トレイに排出する。制御部は、第2の給紙トレイを指定する印刷指示を受け付けた場合、第2の給紙トレイから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0019】
好ましくは、画像形成装置は、動作モードとして第1のモードと第2のモードとを備える。制御部は、印刷指示を受け付けた場合、動作モードが第1のモードに設定され、かつメモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、第1の用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、第1の用紙を第1の排出トレイに排出する。制御部は、印刷指示を受け付けた場合、動作モードが第2のモードに設定されているときには、第1の用紙を含む第1の給紙トレイから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0020】
好ましくは、第1のモードは、画像形成装置の利用者に課金を行うモード、または画像形成の実行回数が外部装置によって管理されるモードである。
【0021】
好ましくは、画像形成装置は、第1の給紙トレイの用紙の有無を検知する検知手段をさらに備える。制御部は、印刷指示を受け付けた場合、第1の給紙トレイに用紙があり、かつメモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、第1の用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、第1の用紙を第1の排出トレイに排出する。
【0022】
好ましくは、第1の給紙トレイは、第1の給紙トレイ内で用紙をリフトアップ可能である。制御部は、メモリに種類情報が記憶されている場合、印刷指示を受けた後であって、かつ第1の給紙トレイからの用紙の給紙開始前に用紙のリフトアップ量が変化したときには、メモリから種類情報を削除する。
【0023】
好ましくは、画像形成装置は、第2の排出トレイをさらに備える。制御部は、情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、第1の用紙を第1の排出トレイおよび第2の排出トレイの一方に排出し、第2の用紙を含む1枚以上の用紙を第1の排出トレイおよび第2の排出トレイの他方に排出する。
【0024】
好ましくは、画像形成装置は、第1の用紙と第2の用紙とを第1の給紙トレイに排出した場合、予め定められた通知を情報処理装置に対して送信する。
【0025】
好ましくは、第2のダイアログボックスは、印刷指示に基づく画像形成をキャンセルするための入力を受け付け可能である。制御部は、画像形成をキャンセルするための入力を表すキャンセル指示を情報処理装置から受信する。制御部は、キャンセル指示を受信してから予め定められた時間が経過する迄に、第1の給紙トレイが本体部から引き出された場合、第1の用紙を含む第1の給紙トレイから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0026】
本発明の他の局面に従うと、画像形成システムは、情報処理装置と、情報処理装置と通信する画像形成装置とを備える。画像形成装置は、複数の用紙を格納する第1の給紙トレイと、用紙が排出される第1の排出トレイと、用紙の種類を表した種類情報を記憶するメモリと、用紙を第1の給紙トレイから第1の排出トレイまで搬送するための搬送路と、搬送路の途中に設置され、用紙の種類を検知するセンサと、用紙の搬送および用紙に対する画像形成を制御する制御部とを備える。制御部は、情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、複数の用紙のうち第1の給紙トレイから最初に給紙される第1の用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、第1の用紙を第1の排出トレイに排出する。制御部は、第1の用紙に対するセンサの検知結果を、情報処理装置に対して通知する制御を行う。情報処理装置は、通知に基づき第1の用紙の種類をディスプレイに表示する。
【0027】
本発明のさらに他の局面に従うと、処理方法は、情報処理装置と通信する画像形成装置において実行される。処理方法は、給紙トレイに格納された複数の用紙を排出トレイまで搬送するステップと、用紙の種類を表した種類情報をメモリに記憶するステップと、用紙の搬送中に用紙の種類を検知するステップと、情報処理装置から印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、複数の用紙のうち給紙トレイから最初に給紙される用紙に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、最初に給紙される用紙を排出トレイに排出するステップと、最初に給紙される用紙に対する用紙の種類の検知結果を、情報処理装置に対して通知するステップとを備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、給紙トレイにメディアセンサを設けることなく、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまうことを防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】画像形成システムの概略構成を表した図である。
図2】画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
図3】本体部のハードウェア構成の一例を表したブロック図である。
図4】クライアントPCのハードウェア構成の一例を表したブロック図である。
図5】クライアントPCの機能的構成と、画像形成装置の機能的構成とを表した機能ブロック図である。
図6】給紙トレイ情報を表した図である。
図7】クライアントPCのディスプレイに表示されるダイアログボックスを表した図である。
図8】ボタンが選択された場合に、クライアントPCのディスプレイに表示されるサブダイアログボックスを表した図である。
図9】クライアントPCから印刷指示を受けた場合における、画像形成装置の処理の流れを表したフロー図である。
図10】クライアントPCにおける処理の流れを示したフロー図である。
図11】紙種自動判別結果に基づくダイアログボックスを説明するための図である。
図12】クライアントPCが紙種自動判別結果を画像形成装置から受信する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態におけるネットワークシステムについて、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0031】
<A.システム構成>
(a1.画像形成システム1)
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム1の概略構成を表した図である。
【0032】
図1を参照して、画像形成システム1は、画像形成装置1000と、情報処理装置の一例であるクライアントPC(Personal Computer)2000と、ネットワークコントローラ3000とを備えている。クライアントPC2000は、ネットワークコントローラ3000を介して、画像形成装置1000と通信可能に接続されている。
【0033】
画像形成装置1000は、本体部10と、後処理装置20と、図示しない操作パネルとを備える。なお、画像形成装置1000は、複数の給紙トレイを有する給紙装置をさらに備えていてもよい。
【0034】
本体部10は、スキャナユニット12と、給紙トレイ14A,14Bとを有する。本体部10は、スキャナー機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(multifunction peripheral/product/printer)を含む。本体部10は、コピージョブ、プリントジョブ、スキャンジョブ、ファクスジョブ、ボックスジョブを実行することができる。
【0035】
後処理装置20は、複数の排出トレイ271,272,273を有する。ユーザは、クライアントPC2000によって、複数の排出トレイ271,272,273のうちのいずれの排出トレイに出力するかを指定することができる。また、ユーザは、クライアントPC2000からの指示から印刷指示することもできる。また、ユーザは、スキャナユニット12から原稿を読み込ませて印刷指示を行うこともできる。
【0036】
クライアントPC2000は、PCプリント用のプリンタドライバと、プリンタドライバ動作を補助するPC内常駐アプリとを記憶している。PC内常駐アプリは、プリンタドライバのOpen/Closeの状態を監視できる。また、PC内常駐アプリは、印刷先の画像形成装置と定期的に通信を行い、画像形成装置の情報を取得することができる。
【0037】
ネットワークコントローラ3000には、典型的には、クライアントPC2000を含む複数のクライアントPCとが接続される。ネットワークコントローラ3000は、クライアントPC2000等から受信した印刷指示を管理し、当該印刷指示を画像形成装置1000に送る。また、ネットワークコントローラ3000は、画像形成装置1000から受信した情報を、画像形成装置1000によって指定されたクライアントPCに送る。
【0038】
(a2.画像形成装置1000の内部構造)
図2は、画像形成装置1000の内部構造を示す概略図である。図2を参照して、画像形成装置1000は、上述したように、本体部10と、後処理装置20とを備えている。
【0039】
本体部10は、画像形成ユニット11と、スキャナユニット12と、自動原稿搬送ユニット13と、給紙トレイ14A,14Bと、搬送路15と、メディアセンサ16と、反転搬送路17と、給紙ローラ113とを備えている。
【0040】
本体部10は、画像形成装置1000の動作を制御するコントローラ31をさらに備えている。なお、本例では、本体部10は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタである。本体部10は、印刷設定に基づいて画像形成を実行する。
【0041】
自動原稿搬送ユニット13は、原稿台上に載置された原稿を、原稿読取部の読取位置に自動的に搬送する。スキャナユニット12は、自動原稿搬送ユニット13により搬送された原稿の画像を読み取り、読取データを生成する。
【0042】
給紙トレイ14A,14Bは、リフト機構142と、センサ143とを有する。給紙トレイ14A,14Bは、本体部10から引き出し可能に構成されている。給紙トレイ14A,14Bが本体部10から引き出された状態で、用紙の補充、詰め替え等がユーザによって行われる。給紙トレイ14A,14Bには、用紙Pが収容される。給紙ローラ113は、用紙Pを搬送路15に沿って上方へ送る。
【0043】
リフト機構142は、用紙Pをリフトアップするための機構である。詳しくは、リフト機構142は、給紙トレイ14A,14Bにおける用紙の残量に基づいて、用紙Pの高さ(リフトアップ量)を調整する。リフト機構142による高さ調整によって、給紙ローラ113は、用紙Pを確実に上方に送ることが可能となる。
【0044】
センサ143は、リフトアップ量を検出し、検出結果をコントローラ31に送る。また、センサ143は、用紙が給紙トレイ14A,14Bに残っているかも検出し、検出結果をコントローラ31に送る。なお、リフトアップ量を検出と、用紙の有無の検出とを、別々のセンサで行ってもよい。
【0045】
搬送路15は、片面印刷および両面印刷のときに使用される。反転搬送路17は、両面印刷のときに使用される。
【0046】
画像形成ユニット11は、スキャナユニット12が生成した読取データ、または、クライアントPC2000から取得した印刷データに基づいて、給紙トレイ14A,14Bにより供給される用紙Pに対し画像形成を行なう。
【0047】
画像形成ユニット11は、中間転写ベルト101と、レジストローラ102,103と、イエローの画像形成部104Yと、マゼンタの画像形成部104Mと、シアンの画像形成部104C,ブラックの画像形成部104Kと、画像濃度センサ105と、1次転写装置111と、2次転写装置115と、定着装置120とを有している。
【0048】
メディアセンサ16は、搬送路15に設置される。メディアセンサ16は、典型的には、給紙ローラ113と、2次転写装置115との間に設置される。より詳しくは、メディアセンサ16は、上側の給紙ローラ113と、図示しないタイミングローラとの間に設置される。メディアセンサ16によって、紙種自動検知機能が実現される。
【0049】
メディアセンサ16は、用紙Pの属性(紙種等の特性)を検出する。メディアセンサ16は、たとえば、用紙の属性を数値として出力する。
【0050】
メディアセンサ16による検知結果によって、コントローラ31は、用紙Pが、コート紙、普通紙、上質紙のいずれであるかを判別できる。また、コントローラ31は、当該検知結果によって、用紙の坪量を判定できる。さらに、コントローラ31は、当該検知結果によって、用紙P(メディア)が、OHP(Overhead Projector)フィルム、封筒、インデックス紙のいずれであるかも判別できる。たとえば、用紙Pの坪量によって、コントローラ31は、用紙の種類が、薄紙、普通紙、厚紙のいずれであるかを判別できる。
【0051】
一例として、メディアセンサ16は、用紙Pに光を照射する発光部と、用紙Pにて反射した反射光を受光する受光部とを有する。メディアセンサ16は、この反射光の電圧値から、紙の坪量を判定できる。
【0052】
コントローラ31は、用紙Pの紙種(用紙種類)を検知した場合に画像プロセスを切り替える機構を有する。そのため、ユーザがどのような用紙を給紙トレイ14A,14Bに入れても、画像形成装置1000は、当該用紙に合った搬送速度およびプロファイルで印刷を行うことができる。これにより、画像形成装置1000によれば、不要なジャム、または定着不良による画質劣化を防止することができる。
【0053】
なお、後処理装置20は、パンチ処理装置220と、平綴じ処理部250と、中綴じ処理部260と、排出トレイ271と、排出トレイ272と、下部の排出トレイ273とをさらに備える。パンチ処理装置220は、指定された枚数の一群の用紙(以下、「用紙束」とも称する)に対して穴をあける。平綴じ処理部250は、用紙束に対して平綴じ処理を行う。中綴じ処理部260は、用紙束に対して中綴じ処理を行う。
【0054】
(a3.本体部10のハードウェア構成)
図3は、本体部10のハードウェア構成の一例を表したブロック図である。
【0055】
図3を参照して、本体部10は、コントローラ31と、固定記憶装置32と、短距離無線IF(Inter Face)33と、スキャナユニット12と、操作パネル34と、給紙トレイ14A,14Bと、メディアセンサ16と、画像形成ユニット11と、プリンタコントローラ35と、ネットワークIF36と、ワイアレスIF37とを有する。コントローラ31には、各部11,12,14A,14B,16,32~37がバス38を介して接続されている。
【0056】
コントローラ31は、CPU(Central Processing Unit)311と、制御プログラムの格納されたROM(Read Only Memory)312と、作業用のS-RAM(Static Random Access Memory)313と、画像形成に関わる各種の設定を記憶するバッテリバックアップされたNV-RAM(Non-Volatile RAM:不揮発性メモリ)314と、時計IC(Integrated Circuit)315とを有する。各部311~315は、バス38を介して接続されている。
【0057】
操作パネル34は、各種の入力を行うキー、および表示部を有する。操作パネル34は、典型的には、タッチスクリーンと、ハードウェアキーとで構成される。なお、タッチスクリーンは、ディスプレイの上にタッチパネルが重畳されたデバイスである。
【0058】
ネットワークIF36は、ネットワーク39を介して接続されたクライアントPC2000をはじめとする外部の装置との間で各種の情報を送受信する。
【0059】
プリンタコントローラ35は、ネットワークIF36により受信したプリントデータから複写画像を生成する。画像形成ユニット11は、複写画像を用紙上に形成する。
【0060】
なお、固定記憶装置32は、典型的には、ハードディスク装置である。固定記憶装置32には、各種のデータが記憶されている。
【0061】
(a4.クラインアントPC2000のハードウェア構成)
図4は、クライアントPC2000のハードウェア構成の一例を表したブロック図である。
【0062】
図4を参照して、クライアントPC2000は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU2010と、メモリ2020と、キーボード2030と、ポインティングデバイス2040と、通信IF2050と、ディスプレイ2060とを備えている。メモリ2020は、一例として、データを不揮発的に格納するROM2021と、CPU2010によるプログラムの実行により生成されたデータ、又は入力されたデータを揮発的に格納するRAM2022と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)2023と、データを不揮発的に格納するフラッシュメモリ2024とで構成される。
【0063】
CPU2010は、クライアントPC2000の全体的な動作を制御する。なお、各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
【0064】
ディスプレイ2060は、各種のデータを表示するためのデバイスである。ディスプレイ2060における表示内容は、CPU2010によって制御される。
【0065】
通信IF12050は、画像形成装置1000との間の通信を行なためのインターフェイスである。
【0066】
クライアントPC2000における処理は、各ハードウェアおよびCPU2010により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD2023に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF2050等を介してダウンロードされた後、HDD2023に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU2010によってHDD2023から読み出され、RAM2022に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU2010は、そのプログラムを実行する。
【0067】
同図に示されるクライアントPC2000を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、RAM2022、HDD2023あるいはフラッシュメモリ2024、記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、クライアントPC2000の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0068】
なお、記録媒体としては、DVD-RAMに限られず、DVD-ROM、CD-ROM、FD、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク、EEPROM、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。また、ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0069】
(a4.機能的構成)
図5は、クライアントPC2000の機能的構成と、画像形成装置1000の機能的構成とを表した機能ブロック図である。
【0070】
図5を参照して、クライアントPC2000は、制御部2100と、記憶部2200と、表示部2300と、通信処理部2400とを備える。
【0071】
制御部2100は、クライアントPC2000の全体的な動作を制御する。制御部2100は、CPU2010(図4参照)がメモリ2020に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0072】
記憶部2200は、印刷対象となる画像データを含む各種のデータおよびプログラムを格納する。これらのデータ等は、制御部2100によって利用される。記憶部2200は、メモリ2020に対応する。
【0073】
表示部2300は、制御部2100からの指令に基づき、各種の情報を表示する。たとえば、表示部2300は、画像形成装置1000を制御するための各種のユーザインターフェイスを表示する。表示部2300は、ディスプレイ2060に対応する。
【0074】
通信処理部2400は、画像形成装置1000と通信するためのものである。通信処理部2400は、通信IF2050に対応する。
【0075】
画像形成装置1000は、上述したように、本体部10と、後処理装置20とを備える。本体部10は、制御部501と、記憶部502と、通信処理部503と、表示部504と、操作部505と、画像読取部506と、給紙部507と、画像形成部508と、紙種検知部509とを有する。
【0076】
制御部501は、各部502~509および後処理装置20と通信可能に接続されている。制御部501は、画像形成装置1000の全体的な動作を制御する。制御部501は、コントローラ31に対応する。詳しくは、制御部501は、CPU311(図3参照)がメモリ(312~314,32)に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0077】
メモリとしての記憶部502は、各種のデータおよびプログラムを格納する。記憶部502は、後述する給紙トレイ情報D1(図6参照)を記憶している。これらのデータ等は、制御部501によって利用される。
【0078】
通信処理部503は、クライアントPC2000と通信するためのものである。通信処理部503は、ネットワークIF36に対応する。表示部504は、操作用のユーザインターフェイスを表示する。操作部505は、ユーザからの操作入力を受け付ける。表示部504は、典型的には、操作パネル34を構成するディスプレイに対応する。操作部505は、操作パネル34を構成する、タッチパネルおよびハードウェアキーとで構成される。
【0079】
画像読取部506は、原稿を読み取る。画像読取部506は、スキャナユニット12に対応する。給紙部507は、用紙Pを供給する。給紙部507は、給紙トレイ14A,14Bに対応する。画像形成部508は、用紙Pに画像を形成する。画像形成部508は、画像形成ユニット11に対応する。紙種検知部509は、用紙Pの紙種を検出する。検出された結果は、制御部501に送られる。紙種検知部509は、メディアセンサ16に対応する。
【0080】
制御部501は、メディアセンサ16と協働することによって、紙種自動検知機能を実現する。
【0081】
紙種自動検知機能は、給紙トレイ14A,14Bの用紙の内容が不定の場合(すなわち、どのような用紙が入っているか設定されていない場合)、1枚目の用紙に対する印刷時(画像形成時)に行う処理である。なお、画像形成装置1000は、2枚目以降は、1枚目で判別した紙種で印刷する。
【0082】
紙種自動検知機能が有効な場合(紙種自動判別モードの場合)、制御部501は、給紙トレイ14Aが開閉されると、給紙トレイ14Aに入っている用紙の情報(以下、「用紙種類情報」とも称する)を記憶部502から消去する。同様に、紙種自動検知機能が有効な場合、制御部501は、給紙トレイ14Bが開閉されると、給紙トレイ14Bに入っている用紙の情報(用紙種類情報)を記憶部502から消去する。さらに、紙種自動検知機能が有効な場合、制御部501は、画像形成装置1000の主電源をオフからオンとしたときとには、給紙トレイ14A,14Bに入っている用紙の情報(用紙種類情報)を記憶部502から消去する。どのような用紙がユーザにより給紙トレイ14A,14Bに詰められたか不明のためである。
【0083】
(a5.データ)
図6は、給紙トレイ情報D1を表した図である。
【0084】
図6を参照して、給紙トレイ情報D1は、複数の給紙トレイの各々を識別するための識別情報に関連付けて、給紙トレイに収容されている用紙のサイズの情報と、収容されている用紙の方向の情報と、用紙種類情報と、用紙の坪量とが記憶されている。なお、図6の例では、画像形成装置1000に対してオプション装置として給紙装置が連結されたときのデータ内容を表している。
【0085】
たとえば、給紙トレイ14Aに対応するトレイ#1においては、収容されている用紙のサイズがA3サイズで、横方向に収容されていることが記憶されている。さらに、トレイ#1においては、用紙種類が不明のため記憶されておらず(つまり、紙種が未確定)、坪量についても不明であることが記憶されている。
【0086】
また、トレイ#1から給紙される用紙は、メディアセンサ16の設置場所を通過するため、メディアセンサ16を用いた紙種自動検知が可能であることが坪量に関する項目に記憶されている。
【0087】
一方、給紙トレイ14Bに対応するトレイ#2においては、収容されている用紙のサイズがB5サイズで、縦方向に収容されていることが記憶されている。さらに、トレイ#2においては、用紙種類が普通紙であることが記憶されており(つまり、紙種が確定済)、坪量が50g/m~100g/mであることが記憶されている。
【0088】
以下では、画像形成装置1000の紙種自動検知機能が有効となっている場合に着目して、画像形成システム1で実行される処理を説明する。
【0089】
<B.クライアントPC2000のユーザインターフェイス>
図7は、クライアントPC2000のディスプレイ2060に表示されるダイアログボックスを表した図である。
【0090】
図7を参照して、ユーザは、画像形成装置1000にてプリントを実行する場合、クライアントPC2000に対して、所定の入力を行う。これにより、クライアントPC2000は、ダイアログボックスとしてのプリンタドライバのプロパティ画面2610をディスプレイ2060に表示する。
【0091】
ユーザは、プロパティ画面2610のプルダウンメニュー2611を用いて、給紙トレイの設定を行うことが可能である。なお、図7の例では、給紙トレイにどのような用紙が詰められているか不明であるが、どのような用紙が詰められているかを表示するようにクライアントPC2000を構成してもよい。
【0092】
ユーザによって、「給紙トレイ別用紙設定」のボタン2612が選択されると、クライアントPC2000は、画面を遷移させ、サブダイアログをディスプレイに表示する。
【0093】
図8は、ボタン2612が選択された場合に、クライアントPC2000のディスプレイ2060に表示されるサブダイアログボックスを表した図である。
【0094】
図8を参照して、クライアントPC2000は、給紙トレイ別用紙設定用のサブダイアログボックス2620をディスプレイ2060に表示する。サブダイアログボックス2620は、画像形成装置1000の状態(装置の状態)についての表示領域2621と、プリンタドライバの設定についての表示領域2622とが含まれている。
【0095】
クライアントPC2000は、給紙トレイ情報D1(図6参照)に基づき、装置の状態の欄を表示する。表示領域2621に示されるように、給紙トレイ14Aに対応するトレイ#1については、用紙を入れた後、紙種自動判別を未だ実行していないので、用紙種類および坪量は「不明」の状態となっている。また、トレイ#1からの給紙による紙種自動判別が可能なため、クライアントPC2000は、表示領域2621における坪量の項目に、「自動判別可能」と表示する。
【0096】
また、クライアントPC2000は、表示領域2622においては、現状選択されている給紙トレイを表す文字列を、現在選択されていない給紙トレイを表す文字列とは異なる態様で表示する。たとえば、クライアントPC2000は、現状選択されている給紙トレイを表す文字列を、所定の色でマークングする。
【0097】
<C.制御構造>
図9は、クライアントPC2000から印刷指示を受けた場合における、画像形成装置1000の処理の流れを表したフロー図である。
【0098】
ステップS1において、画像形成装置1000は、クライアントPC2000から印刷ジョブを受信する。画像形成装置1000は、印刷ジョブから、利用する給紙トレイを特定する。具体的には、印刷ジョブの先頭に埋め込まれたPJL(Printer Job Language)に、給紙トレイを指定する情報が含まれているため、画像形成装置1000は、この情報に基づき、利用する給紙トレイを特定する。
【0099】
ステップS2において、画像形成装置1000は、給紙予定のトレイの紙種が確定しているか否かを、給紙トレイ情報D1(図6)に基づき判断する。詳しくは、画像形成装置1000は、給紙予定のトレイの紙種が、ユーザにより設定されている、あるいは自動判別済みかどうかを確認する。より詳しくは、画像形成装置1000は、PLFデータによって指定された給紙トレイの用紙が不定状態(未確定状態,不明な状態)であるか否かを確認する。
【0100】
「不定な状態」とは、給紙トレイ情報D1において、使用する給紙トレイの用紙種類の情報が記憶されていない状態をいう。具体的には、「不定な状態」とは、トレイの用紙を交換したが、ユーザがトレイの用紙種類の情報を入力せず、かつ紙種判別を行っていない状態、あるいは電源をオフした後にオンしたが、ユーザがトレイの用紙種類の情報を入力せず、かつ紙種判別を行っていない状態が挙げられる。
【0101】
画像形成装置1000は、紙種が確定している場合(ステップS2においてYES)、ステップS3において、設定されている各種に対応付けられた、用紙の搬送速度およびプロファイルを用いて印刷(画像形成)を行う。画像形成装置1000は、ステップS3の後、処理をステップS4に進める。
【0102】
画像形成装置1000は、紙種が確定していない場合(ステップS2においてNO)、ステップS5において、用紙の搬送速度を、設定可能速度のうち最低の速度に設定する。搬送速度を落とす理由は、メディアセンサ16による検知(紙種自動判別)ができないためである。
【0103】
ステップS6において、画像形成装置1000は、紙種判別用の給紙を行うことを、クライアントPC2000に通知する。すなわち、画像形成装置1000は、紙種を判別するためだけに用紙を搬送することをクライアントPC2000に通知する。
【0104】
具体的には、たとえば印刷ジョブの終了後の一定の時間、クライアントPC2000のプリンタドライバからステータス確認のために画像形成装置1000にMIB(Management information base)で問い合わせする構成とし、当該問い合わせに対して「紙種自動判別を行った」か否かを返答するようにする。この返答が、クライアントPC2000への上記通知となる。なお、クライアントPC2000は、MIBの代わりに、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)またはXML(Extensible Markup Language)を用いてもよい。
【0105】
ステップS7において、画像形成装置1000は、給紙トレイから用紙を一枚給紙し、メディアセンサ16を用いて紙種の判別を行う。ステップS8において、画像形成装置1000は、給紙された用紙に対して印刷を行うことなく、用紙を排出トレイに排出する。ステップS9において、画像形成装置1000は、紙種判別結果をクライアントPC2000に通知する。
【0106】
ステップS10において、画像形成装置1000は、クライアントPC2000からの印刷開始指示に基づき、設定されているプロパティを用いて印刷を行う。
【0107】
ステップS4において、画像形成装置1000は、印刷ジョブに含まれる全ページのデータの印刷が完了したか否かを判断する。画像形成装置1000は、全ページのデータの印刷が完了したと判断した場合(ステップS4においてYES)、一連の処理を終了する。画像形成装置1000は、全ページのデータの印刷が完了していないと判断した場合(ステップS4においてNO)、処理をステップS3に進める。
【0108】
画像形成装置1000は、ステップS2において紙種が確定していないかった場合であっても、当該処理フローによって、2ページ目以降の用紙の印刷(出力)については、既に紙種が確定している。それゆえ、画像形成装置1000は、2ページ目以降の用紙についてのステップS3においては、確定させた紙種に対応付けられた搬送速度およびプロファイルを用いて印刷することができる。このようにすることにより、画像形成装置1000は、パフォーマンスの低下を最小限に抑えることができる。
【0109】
図10は、クライアントPC2000における処理の流れを示したフロー図である。
図10を参照して、ステップS21において、クライアントPC2000は、画像形成装置1000から給紙トレイ情報D1を取得する。
【0110】
ステップS22において、クライアントPC2000は、ユーザによって指定された給紙トレイについての用紙種類の情報が不定であるか否かを確認する。すなわち、クライアントPC2000は、給紙トレイの用紙が不定状態(未確定状態)であるか否かを確認する。具体的には、クライアントPC2000のプリンタドライバ、および当該プリンタドライバ動作を補助するPC内常駐アプリが、ジョブ投入後、用紙種類が不定か否かを確認する。なお、当該確認は、図9のステップS6に基づいて説明した手法で実現できる。
【0111】
クライアントPC2000は、給紙トレイについての用紙種類の情報が不定であると判断された場合(ステップS22においてYES)、ステップS23において、紙種自動判別結果を画像形成装置1000から受信したか否かを判断する。詳しくは、クライアントPC2000は、画像形成装置1000に、定期的に、自動判別を行ったかの問い合わせを行う。具体的には、クライアントPC2000は、自動判別実施可否を示すMIBコードを定義し、当該MIBコードを送付する。画像形成装置1000は、MIBコードを送付してくるクライアントPCのIPアドレス(もしくは、クライアントPCを一意に判断できるID)をもとに、クライアントPCのIPアドレスから送られてきたジョブで紙種自動判別を行ったかを確認し、確認結果をクライアントPCに返送する。
【0112】
クライアントPC2000は、給紙トレイについての用紙種類の情報が不定でないと判断された場合(ステップS22においてNO)、一連の処理を終了する。クライアントPC2000は、紙種自動判別結果を画像形成装置1000から受信した場合(ステップS23においてYES)、ステップS25において、紙種自動判別結果に基づくダイアログボックスをディスプレイに表示する。
【0113】
図11は、紙種自動判別結果に基づくダイアログボックスを説明するための図である。図11を参照して、クライアントPC2000は、プリンタドライバのプロパティ画面2610に重畳させた状態で、紙種自動判別結果に基づくダイアログボックス2630を表示する。ダイアログボックス2630は、印刷の開始を指示するためのソフトウェアボタン2631と、印刷をキャンセルするためのソフトウェアボタン2632とを含んでいる。
【0114】
再び、図10を参照して、クライアントPC2000は、ステップS25において、ダイアログボックス2630のソフトウェアボタンを選択するユーザ入力を受け付けたか否かを判断する。クライアントPC2000は、ソフトウェアボタン2631を選択する入力を受け付けたと判断した場合、ステップS26において、画像形成装置1000に対して印刷開始を指示する。クライアントPC2000は、ソフトウェアボタン2632を選択する入力を受け付けたと判断した場合、ステップS27において、画像形成装置1000に対して印刷ジョブの破棄を指示する。なお、画像形成装置1000は、クライアントPC2000から特定のMIBコードで問い合わせがあった場合、紙種自動判別結果による印刷判断待ちのジョブの印刷(ステップS26)やジョブの削除(ステップS27)を行う。
【0115】
なお、ソフトウェアボタン2631またはソフトウェアボタン2632が選択された場合、プロパティ画面2610およびダイアログボックス2630は非表示となる。
【0116】
図12は、クライアントPC2000が紙種自動判別結果を画像形成装置1000から受信する処理を説明するための図である。図12を参照して、クライアントPC2000のPC内常駐アプリは、定期的に画像形成装置1000にMIBで問い合わせを行い、画像形成装置1000からの応答内容を確認することにより、画像形成装置1000の内部状態の変更を判断する。
【0117】
なお、上記においては、はじめに印刷ジョブを画像形成装置1000に送付する処理としたが、これに限定されるものではない。クライアントPC2000のプリンタドライバが、画像形成装置1000に、印刷に用いる予定の給紙トレイの状況を確認し、未定であれば紙種自動判別を行わせ、かつ印刷時にはじめて印刷ジョブを送付するように、画像形成システム1を構成してもよい。
【0118】
<D.小括>
(1)図2を参照して、画像形成装置1000は、複数の用紙を格納する給紙トレイ14Aと、用紙が排出される排出トレイ271と、用紙の種類を表した種類情報(図6の給紙トレイ情報D1の一部)を記憶するメモリ(図5の記憶部502に対応)と、用紙を給紙トレイ14Aから排出トレイ271まで搬送するための搬送路15と、搬送路15の途中に設置され、用紙の種類を検知するメディアセンサ16と、用紙の搬送および用紙に対する画像形成を制御するコントローラ31(制御部)とを備える。
【0119】
コントローラ31は、クライアントPC2000から印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、複数の用紙のうち給紙トレイ14Aから最初に給紙される用紙(以下、「用紙Q1」とも称する)に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、用紙Q1を排出トレイ271に排出する。コントローラ31は、用紙Q1に対するメディアセンサ16の検知結果を、クライアントPC2000に対して通知する制御を行う。
【0120】
上記の構成によれば、給紙トレイ14Aから最初に給紙される用紙(用紙Q1)に対しては印刷指示に基づく画像形成が行われることなく、用紙Q1は排出トレイ271に排出される。また、用紙Q1に対するメディアセンサ16の検知結果は、クライアントPC2000に対して通知される。それゆえ、給紙トレイ14Aにメディアセンサを設けることなく、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまうことを防止可能となる。
【0121】
このような構成は、たとえば以下の局面で有効である。たとえば、ユーザAが画像形成装置1000の給紙トレイ14Aに、印刷したい用紙(たとえば厚紙)を入れた後、クライアントPC2000から印刷指示を入力するために自席に戻ったとする。なお、この状態では、画像形成装置1000は、未だ、ユーザAが給紙トレイ14Aに入れた用紙の検知が終わっていない。その後、ユーザAが印刷指示を行う前に別のユーザBが、ユーザAが入れた用紙(厚紙)を給紙トレイ14Aから取り除き、別の用紙(たとえば、普通紙)を入れてしまったとする。
【0122】
コントローラ31による上記の制御が行われない場合、ユーザAは、印刷時においては、自分がトレイに入れた用紙(厚紙)で印刷されると思い込んでおり、出力時において、ユーザBが入れ替えた用紙(普通紙)で印刷されていることに気が付く。しかしながら、コントローラ31によって上記の制御が行われることにより、このような事態の発生を防ぐことができる。
【0123】
(2)コントローラ31は、用紙Q1に対するメディアセンサ16の検知結果を、種類情報(図6参照)としてメモリに記憶させる。上記の構成によれば、次のページ以降において、当該検知結果に基づいたプロパティで印刷を行うことが可能となる。
【0124】
(3)コントローラ31は、検知結果の通知に対する応答として、クライアントPC2000から印刷指示に基づく画像形成の開始指示(図11のソフトウェアボタン2631の押下に基づき生成される指示)を受け付けたことを条件に、用紙Q1に次いで給紙トレイ14Aから供給される用紙(以下、「用紙Q2」とも称する)を含む1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。このような構成によれば、ユーザは、検知結果を確認したうえで、画像形成装置1000に印刷を実行させることが可能となる。
【0125】
(4)給紙トレイ14Aは、画像形成装置1000の本体部10から引き出し可能である。コントローラ31は、メモリに種類情報が記憶されている場合、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出されたことを条件に、メモリから種類情報を削除する。
【0126】
このような構成によれば、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出されると、メモリから種類情報が削除される。給紙トレイ14Aが本体部10から引き出された場合、他のユーザによって用紙の種類が変更されている可能性がある。それゆえ、このような場合にメモリから種類情報を削除することにより、変更後の用紙で印刷が実行されることを防ぐことが可能となる。
【0127】
(5)メモリは、不揮発性のメモリである。コントローラ31は、メモリに種類情報が記憶されている場合、画像形成装置1000の電源をオフする指示を受け付けた後に電源をオンする指示を受け付けたことを条件に、メモリから種類情報を削除する。
【0128】
このような構成によれば、画像形成装置1000の電源をオフする指示を受け付けた後に電源をオンする指示を受け付けると、メモリから種類情報が削除される。電源をオフすされた場合、他のユーザによって用紙の種類が変更されている可能性もある。それゆえ、このような場合にメモリから種類情報を削除することにより、変更後の用紙で印刷が実行されることを防ぐことが可能となる。
【0129】
なお、画像形成装置1000は、画像形成装置1000の電源をオフする指示を受け付けたことをトリガとして、メモリから種類情報を削除してもよい。
【0130】
<E.変形例>
(1)第1の変形例
クライアントPC2000は、印刷指示を受け付けるプロパティ画面2610(図7図11参照)と、印刷の開始指示の入力を受け付けるダイアログボックス2630(図7参照)とをディスプレイ2060に表示し、プロパティ画面2610は、図11に示すように、開始指示の入力が行われるまでディスプレイ2060に継続して表示される。また、上述したように、給紙トレイ14Aは、画像形成装置1000の本体部10から引き出し可能である。
【0131】
このような構成において、コントローラ31は、クライアントPC2000から周期的に送られてくる信号(図12参照)に基づき、プロパティ画面2610がクライアントPC2000のディスプレイ2060に表示された状態であるかを判断する。コントローラ31は、少なくともプロパティ画面2610がディスプレイ2060に表示された状態であると判断した場合に、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出されたことを条件に、上述した用紙Q2に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、用紙Q2を排出トレイ271に排出する。
【0132】
プロパティ画面2610が表示されている状態で、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出された場合、他のユーザによって用紙の種類が変更されている可能性がある。したがって、ユーザが、図11に示したようにプロパティ画面2610およびダイアログボックス2630が表示された状態で印刷開始の指示が入力されると、画像形成装置1000は、用紙Q2に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、用紙Q2を排出トレイ271に排出する。それゆえ、上記の構成によれば、用紙Q1の後続の用紙Q2に対しても、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまうことを防止可能となる。
【0133】
具体的に説明すると、以下のとおりである。PC内常駐アプリでは、図10のステップS11でYESの場合、プリンタドライバのダイアログボックス(プロパティ画面2610)を閉じるまで、定期的に印刷先の画像形成装置1000にMIBで問い合わせを行う。たとえば、常駐アプリは、10秒に1回の割合で問合せを行う。
【0134】
画像形成装置1000では、この通信が続いている間は、プリンタドライバのダイアログボックス(プロパティ画面2610)が開いたままである状態であると認識する。画像形成装置1000では、過去1分間の問い合わせ回数を記憶し続ける。また、画像形成装置1000で、紙種自動検知可能な給紙トレイが開かれたときに、過去1分間の問い合わせ回数を確認し、確認結果が5回以上であることを条件に、給紙トレイを閉じたタイミングで紙種判別用の給紙を行う。この場合、印刷は行わない。
【0135】
(2)第2の変形例
上述したように、画像形成装置1000は、給紙トレイ14Bをさらに備える。上記印刷指示は、給紙トレイ14Aおよび給紙トレイ14Bのいずれかを指定する指示を含む。
【0136】
このような構成において、コントローラ31は、給紙トレイ14Aを指定する印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、上記用紙Q1に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、用紙Q1を排出トレイ271に排出する。コントローラ31は、給紙トレイ14Bを指定する印刷指示を受け付けた場合、給紙トレイ14Bから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。たとえば、コントローラ31は、給紙トレイ14Bを指定する印刷指示を受け付けた場合、メディアセンサ16による用紙Q1の種類の検知結果に応じた条件設定で、用紙Q1を含む給紙トレイ14Bから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0137】
このような構成によれば、給紙トレイ14Aのみから給紙に関し、ユーザの想定していない紙種で印刷が実行されてしまうことを防止可能となる。
【0138】
(3)第3の変形例
画像形成装置1000は、動作モードとして第1のモードと第2のモードとを備える。このような構成において、コントローラ31は、印刷指示を受け付けた場合、動作モードが第1のモードに設定され、かつメモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、用紙Q1に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、用紙Q1を排出トレイ271に排出する。また、コントローラ31は、印刷指示を受け付けた場合、動作モードが第2のモードに設定されているときには、用紙Q1を含む給紙トレイ14Aから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。たとえば、コントローラ31は、印刷指示を受け付けた場合、動作モードが第2のモードに設定されているときには、メディアセンサ16による用紙Q1の種類の検知結果に応じた条件設定で、用紙Q1を含む給紙トレイ14Aから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0139】
このような構成によれば、設定された動作モードによって、画像形成を伴わない、紙種判別用の給紙の実行の有無を切り替えることができる。
【0140】
第1のモードの例として、画像形成装置1000の利用者に課金を行うモードが挙げられる。また、第1のモードの他の例として、画像形成の実行回数が外部装置(たとえば、図示しない外部サーバ)によって管理されるモードが挙げられる。
【0141】
(4)第4の変形例
画像形成装置1000は、給紙トレイ14Aの用紙の有無を検知するセンサ143(図2参照)をさらに備える。このような構成において、コントローラ31は、印刷指示を受け付けた場合、給紙トレイ14Aに用紙があり、かつメモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、用紙Q1に対しては印刷指示に基づく画像形成を行うことなく、用紙Q1を排出トレイ271に排出する。このような構成によれば、用紙がないのに給紙の指令を出すことを防止できる。
【0142】
(5)第5の変形例
給紙トレイ14Aは、図2に示したように、給紙トレイ14A内で用紙Pをリフトアップ可能である。このような構成において、コントローラ31は、メモリに種類情報が記憶されている場合、印刷指示を受けた後であって、かつ給紙トレイ14Aからの用紙の給紙開始前に用紙Pのリフトアップ量が変化したときには、メモリから種類情報を削除する。
【0143】
リフトアップ量が変化した場合、他のユーザによって用紙の種類が変更されている可能性がある。それゆえ、このような場合にメモリから種類情報を削除することにより、変更後の用紙で印刷が実行されることを防ぐことが可能となる。画像形成装置1000は、このような削除処理を、上述した削除処理(すなわち、給紙トレイの引き出しに伴う削除処理、電源オンにともなう削除処理)と組み合わせて行ってもよい。
【0144】
(6)第6の変形例
画像形成装置1000は、第2の排出トレイとして排出トレイ272をさらに備える(図1,2参照)。このような構成において、コントローラ31は、クライアントPC2000から印刷指示を受け付けた場合、メモリに種類情報が記憶されていないことを条件に、用紙Q1を排出トレイ271および排出トレイ272の一方に排出し、用紙Q1の後続の用紙Q2を含む1枚以上の用紙を排出トレイ271および排出トレイ272の他方に排出する。
【0145】
このような構成によれば、画像が印刷されていない用紙Q1(紙種判別用の用紙)については、画像が形成される後続の用紙とは異なる排出トレイに排出される。それゆえ、ユーザは、用紙Q1と画像が形成された用紙とを容易に区別することができる。
【0146】
(7)第7の変形例
画像形成装置1000は、用紙Q1と用紙Q2(詳しくは、印刷指示に基づき画像が形成された1枚以上の用紙)とを給紙トレイ14Aに排出した場合、予め定められた通知をクライアントPC2000に通知する。
【0147】
このような構成によれば、クライアントPC2000において画像形成装置1000からの通知を表示等することにより、ユーザは、通常とは異なった態様で処理が行われたことを、画像が形成された用紙を取りに行く前に知ることができる。
【0148】
たとえば、クライアントPC2000は、上記通知に基づき、一例として、「白紙を出力しました」等の表示をダイアログボックスを用いて行うことが好ましい。
【0149】
(8)第8の変形例
図11に示したように、ダイアログボックス2630は、印刷指示に基づく画像形成をキャンセルするための入力を受け付け可能である。このような構成において、コントローラ31は、画像形成をキャンセルするための入力を表すキャンセル指示をクライアントPC2000から受信する。コントローラ31は、キャンセル指示を受信してから予め定められた時間が経過する迄に、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出された場合、用紙Q1を含む給紙トレイ14Aから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。たとえば、コントローラ31は、キャンセル指示を受信してから予め定められた時間が経過する迄に、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出された場合、メディアセンサ16による用紙Q1の種類の検知結果に応じた条件設定で、用紙Q1を含む給紙トレイ14Aから供給される1枚以上の用紙に対して、印刷指示に基づく画像形成を行う。
【0150】
キャンセル指示を受信してから予め定められた時間が経過する迄に、給紙トレイ14Aが本体部10から引き出された場合、適正な用紙に差し替えられたことが想定される。それゆえ、このような場合には、画像形成を伴わない紙種判別用の給紙を行うことなく、画像形成を速やかに行う方が効率的である。
【0151】
したがって、上記の構成によれば、効率よく画像形成(印刷)を行うことが可能となる。
【0152】
具体的に説明すれば、以下のとおりである。キャンセルを示すソフトウェアボタン2632(図11参照)が選択された場合、ドライバ動作を補助するPC内常駐アプリは、印刷ジョブがキャンセルされたことと、キャンセルされた日時と、紙種自動検知を行った給紙トレイをファイルとして記録する。
【0153】
プリンタドライバは、印刷ジョブを画像形成装置1000に送付する前に、上記ファイルが存在する場合には当該ファイルの内容を確認する。「印刷ジョブを送付する対象(IPアドレスで特定される対象)とトレイが同じ」で、かつ「Cancel_Dateから30分以内」に印刷ジョブを送付する場合は、PJLに紙種自動検知を行わないことを追記する。このPJLを受け取った画像形成装置1000は、紙種自動検知を行わずに、指定されたモードで印刷を行う。
【0154】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0155】
1 画像形成システム、10 本体部、11 画像形成ユニット、12 スキャナユニット、13 自動原稿搬送ユニット、14A,14B 給紙トレイ、15 搬送路、16 メディアセンサ、17 反転搬送路、20 後処理装置、31 コントローラ、34 操作パネル、35 プリンタコントローラ、38 バス、101 中間転写ベルト、102,103 レジストローラ、104C,104K,104M,104Y,508 画像形成部、105 画像濃度センサ、111 1次転写装置、115 2次転写装置、113 給紙ローラ、120 定着装置、142 リフト機構、143 センサ、220 パンチ処理装置、250 平綴じ処理部、260 中綴じ処理部、271,272,273 排出トレイ、1000 画像形成装置、2000 クライアントPC、2060 ディスプレイ、2610 プロパティ画面、2620 サブダイアログボックス、2611 プルダウンメニュー、2612 ボタン、2621,2622 表示領域、2630 ダイアログボックス、2631,2632 ソフトウェアボタン、D1 給紙トレイ情報、P 用紙、3000 ネットワークコントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12