(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】仮想ゴルフシミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20220208BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A63B69/36 541S
A63B69/36 541W
A63B69/00 A
(21)【出願番号】P 2018038872
(22)【出願日】2018-03-05
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516212(JP,A)
【文献】特表2014-509550(JP,A)
【文献】特開2007-301173(JP,A)
【文献】特表2013-533786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0093307(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0274240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファーによる実際のショットを計測装置により計測した計測データを取得するデータ取得部と、
前記計測データに基づいて、前記ゴルファーのショット特性を分析する分析部と、
前記ショット特性に応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーを仮想的に生成する生成部と、
前記ゴルファーから仮想空間内での前記仮想ゴルファーの
ショットの方向及び強さの指示を受け取る操作受付部と、
前記指示に従って、前記仮想空間内での前記仮想ゴルファーのショットを
前記ショット特性に基づいてシミュレーションするシミュレーション部と、
前記シミュレーションの結果を出力する出力部と
を備える、
仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項2】
前記操作受付部は、前記仮想空間としてのゴルフコースの選択を受け付け、
前記シミュレーション部は、前記仮想ゴルファー
の前記ゴルフコース内
でのショットをシミュレーションする、
請求項1に記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項3】
前記シミュレーション部は、前記仮想ゴルファー
の前記ゴルフコース
でのショットをシミュレーションする
ことと、前記ゴルフコース上の次の打席における前記仮想ゴルファーの次のショットをシミュレーションすることとを繰り返す、
請求項2に記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項4】
前記計測データは、飛距離、ヘッド速度、ボール速度、上下打ち出し角、左右振れ角、スピン量、バラツキ度合、フェース角及びヘッド軌道角の少なくとも1つに関するデータを含む、
請求項1から3のいずれかに記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項5】
前記ショット特性は、飛距離、左右ぶれ、ミス方向及びミスショット確率の少なくとも1つに関する特性を含む、
請求項1から4のいずれかに記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項6】
前記操作受付部は、前記仮想ゴルファーのショットごとに、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、及びパターの中から選択される複数種類のゴルフクラブ群の中から、前記仮想ゴルファーに使用させるゴルフクラブの選択を受け付ける、
請求項1から5のいずれかに記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記仮想空間を二次元又は三次元的に表す映像を生成する、
請求項1から6のいずれかに記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記仮想空間内で前記仮想ゴルファーを模したキャラクターが動く映像を生成する、
請求項1から7のいずれかに記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項9】
前記データ取得部は、前記計測装置、又は前記計測装置に接続され、前記計測装置から送信されてくる前記計測データが蓄積されたサーバーから、前記計測データを取得する、
請求項1から8のいずれかに記載の仮想ゴルフシミュレーション装置。
【請求項10】
ゴルファーによる実際のショットを計測装置により計測した計測データを取得することと、
前記計測データに基づいて、前記ゴルファーのショット特性を分析することと、
前記ショット特性に応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーを仮想的に生成することと、
前記ゴルファーから仮想空間内での前記仮想ゴルファーの
ショットの方向及び強さの指示を受け取ることと、
前記指示に従って、前記仮想空間内での前記仮想ゴルファーのショットを
前記ショット特性に基づいてシミュレーションすることと、
前記シミュレーションの結果を出力することと
をコンピュータに実行させる、仮想ゴルフシミュレーションプログラム。
【請求項11】
ゴルファーによる実際のショットを計測装置により計測した計測データを取得することと、
前記計測データに基づいて、前記ゴルファーのショット特性を分析することと、
前記ショット特性に応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーを仮想的に生成することと、
前記ゴルファーから仮想空間内での前記仮想ゴルファーの
ショットの方向及び強さの指示を受け取ることと、
前記指示に従って、前記仮想空間内での前記仮想ゴルファーのショットを
前記ショット特性に基づいてシミュレーションすることと、
前記シミュレーションの結果を出力することと
を含む、仮想ゴルフシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想ゴルフシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な種類のゴルフゲーム機が知られている。典型的には、ユーザーにゲーム機の入力装置を操作させて、仮想的にゴルフコースを進ませるようなゲーム機がある(例えば、特許文献1参照)。この種のゲーム機は、ユーザーが実際にゴルフクラブをスイングすることなく、仮想ゴルフを楽しむ遊戯機であるが、一方で、実際にゲーム機の傍に設置される打席でユーザーにゴルフクラブをスイングさせるようなゲーム機もある。後者のゲーム機では、ユーザーによる実際のゴルフスイングを計測装置で計測してコンピュータでシミュレーションし、そのシミュレーション結果に従ってユーザーに仮想的にゴルフコースを進ませる(例えば、特許文献2及び3参照)。実際のゴルフスイングをシミュレーションするこの種の装置は、遊戯機というよりも、ゴルフの練習等の用途で使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-38916号公報
【文献】特表2013-516212号公報
【文献】特開2007-301173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなゲーム機は、ユーザーの実際のゴルフの能力を反映することができない。他方、特許文献2及び3のような装置は、ユーザーの実際のゴルフの能力を反映する形でゲームが進行するものの、ユーザーはゲームを進行させるために何度も何度も実際にゴルフスイングを行わなければならず、負担が大きい。また、打席や計測装置を設置しなければならず、仮想ゴルフを実施するための環境に制約がある。
【0005】
本発明は、ゴルファーの実際のゴルフの能力を反映した仮想ゴルフを簡易に実行することができる仮想ゴルフシミュレーション装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、ゴルファーによる実際のショットを計測装置により計測した計測データを取得するデータ取得部と、前記計測データに基づいて、前記ゴルファーのショット特性を分析する分析部と、前記ショット特性に応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーを仮想的に生成する生成部と、前記ゴルファーから仮想空間内での前記仮想ゴルファーの動作の指示を受け取る操作受付部と、前記指示に従って、前記仮想空間内での前記仮想ゴルファーのショットをシミュレーションするシミュレーション部と、前記シミュレーションの結果を出力する出力部とを備える。
【0007】
第2観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記操作受付部は、前記仮想空間としてのゴルフコースの選択を受け付け、前記シミュレーション部は、前記仮想ゴルファーが前記ゴルフコース内を仮想的に進むように、連続的に前記仮想ゴルファーのショットをシミュレーションする。
【0008】
第3観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第2観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記シミュレーション部は、前記仮想ゴルファーに前記ゴルフコース内を仮想ラウンドさせるように、連続的に複数回のショットをシミュレーションする。
【0009】
第4観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記計測データは、飛距離、ヘッド速度、ボール速度、上下打ち出し角、左右振れ角、スピン量、バラツキ度合、フェース角及びヘッド軌道角の少なくとも1つに関するデータを含む。
【0010】
第5観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記ショット特性は、飛距離、左右ぶれ、ミス方向及びミスショット確率の少なくとも1つに関する特性を含む。
【0011】
第6観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記操作受付部は、前記仮想ゴルファーのショットごとに、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ及びパターの中から選択される複数種類のゴルフクラブ群の中から、前記仮想ゴルファーに使用させるゴルフクラブの選択を受け付ける。
【0012】
第7観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記出力部は、前記仮想空間を二次元又は三次元的に表す映像を生成する。
【0013】
第8観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点から第7観点のいずれかに係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記出力部は、前記仮想空間内で前記仮想ゴルファーを模したキャラクターが動く映像を生成する。
【0014】
第9観点に係る仮想ゴルフシミュレーション装置は、第1観点から第8観点のいずれかに係る仮想ゴルフシミュレーション装置であって、前記データ取得部は、前記計測装置、又は前記計測装置に接続され、前記計測装置から送信されてくる前記計測データが蓄積されたサーバーから、前記計測データを取得する。
【0015】
第10観点に係る仮想ゴルフシミュレーションプログラムは、以下をコンピュータに実行させる。
(1)ゴルファーによる実際のショットを計測装置により計測した計測データを取得すること
(2)前記計測データに基づいて、前記ゴルファーのショット特性を分析すること
(3)前記ショット特性に応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーを仮想的に生成すること
(4)前記ゴルファーから仮想空間内での前記仮想ゴルファーの動作の指示を受け取ること
(5)前記指示に従って、前記仮想空間内での前記仮想ゴルファーのショットをシミュレーションすること
(6)前記シミュレーションの結果を出力すること
【0016】
第11観点に係る仮想ゴルフシミュレーション方法は、以下を含む。
(1)ゴルファーによる実際のショットを計測装置により計測した計測データを取得すること
(2)前記計測データに基づいて、前記ゴルファーのショット特性を分析すること
(3)前記ショット特性に応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーを仮想的に生成すること
(4)前記ゴルファーから仮想空間内での前記仮想ゴルファーの動作の指示を受け取ること
(5)前記指示に従って、前記仮想空間内での前記仮想ゴルファーのショットをシミュレーションすること
(6)前記シミュレーションの結果を出力すること
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ゴルファーによる実際のショットの計測データに基づいて、ゴルファーのショット特性が分析され、これに応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーが仮想的に生成される。そして、ゴルファーの操作に従って、仮想空間内での仮想ゴルファーのショットがシミュレーションされ、シミュレーションの結果が出力される。すなわち、ゴルファーの実際のゴルフの能力に応じた能力を有する「アバター」ともいうべき仮想ゴルファーが生成され、この仮想ゴルファーがゴルファーに操作されて、仮想ゴルフが実行される。従って、ゴルファーの実際のゴルフの能力を反映した仮想ゴルフを簡易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る仮想ゴルフシミュレーション装置を含む仮想ゴルフシミュレーションシステムの機能ブロック図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る計測装置の構成を示す図。
【
図4】仮想ゴルフシミュレーション工程の流れを示すフローチャート。
【
図5】ゴルファーのアバターを生成するルーチンの流れを示すフローチャート。
【
図6】ゴルフコースを平面的に表示するゴルフ画面の例。
【
図7】ゴルフコース内でアバターがショットを行う様子を三次元的に表示するゴルフ画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る仮想ゴルフシミュレーション装置、プログラム及び方法について説明する。
【0020】
<1.仮想ゴルフシミュレーションシステムの全体構成>
図1に、本実施形態に係る仮想ゴルフシミュレーション装置1(以下、シミュレーション装置1ということがある)を含む仮想ゴルフシミュレーションシステム100の全体構成図を示す。シミュレーション装置1は、ゴルファーGに自身の実際のゴルフの能力を反映した仮想ゴルフを提供する装置である。仮想ゴルフは、様々な用途で、例えば、遊戯やゴルフの能力の診断、ゴルフの学習等の目的で実行される。そのために、シミュレーション装置1は、ゴルファーGによる実際のショットを計測した計測データを取得し、計測データに基づいてゴルファーGのショット特性を分析し、それに応じたショット特性を持つ仮想ゴルファーGvを仮想的に生成する。そして、ゴルファーGに仮想ゴルファーGvの動作を指示させ、当該指示に従って仮想空間内での仮想ゴルファーGvのショットをシミュレーションし、シミュレーションの結果を出力する。すなわち、ゴルファーGの実際のゴルフの能力に応じた能力を有する「アバター」ともいうべき仮想ゴルファーGvが生成され、ゴルファーGがこの仮想ゴルファーGvを操作することにより、仮想ゴルフが実行される。
【0021】
ゴルファーGの実際のショットの計測は、計測装置2により実行される。
図1に示す通り、計測装置2は、インターネット等の通信ネットワーク8に接続されており、通信ネットワーク8を介して計測データをサーバー3にアップロードする。サーバー3は、計測装置2から送信されてくる計測データを蓄積し、通信ネットワーク8に同じく接続されているシミュレーション装置1からの要求に応じて、シミュレーション装置1に計測データを送信する。
【0022】
シミュレーション装置1は、計測装置2及びサーバー3とともに、仮想ゴルフシミュレーションシステム100を構成する。以下、計測装置2、サーバー3及び仮想ゴルフシミュレーション装置1の構成について説明した後、仮想ゴルフの実行処理の流れについて説明する。
【0023】
<2.各部の構成>
<2-1.計測装置>
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係る計測装置2は、慣性センサユニット30及びカメラシステム5、並びにこれらに接続される解析装置20として実現される。ただし、計測装置2の構成は、これに限られず、ゴルファーGのショット特性を分析するのに適した計測データを計測可能なものであれば、特に限定されない。
【0024】
本実施形態に係る計測装置2は、ゴルフスクールやゴルフ用品の販売店等の専門の場所に設置される。このような特定の場所において、ゴルファーGは、自身に適したゴルフクラブを決定するため(いわゆる「フィッティング」のため)や、自身のゴルフの能力の診断のため等に、カメラシステム5が設置されている打席において、慣性センサユニット30が取り付けられているゴルフクラブ4の試打を行う。
【0025】
<2-1-1.慣性センサユニット>
慣性センサユニット30は、
図2に示す通り、ゴルフクラブ4のグリップ42におけるヘッド41と反対側の端部に取り付けられており、グリップ42の挙動を計測する。なお、ゴルフクラブ4は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト40と、シャフト40の一端に設けられたヘッド41と、シャフト40の他端に設けられたグリップ42とから構成される。慣性センサユニット30は、スイング動作の妨げとならないよう、小型且つ軽量に構成されている。慣性センサユニット30は、ゴルフクラブ4に対して着脱自在に構成することができる。
【0026】
図3に示すように、慣性センサユニット30には、加速度センサ31、角速度センサ32及び地磁気センサ33が搭載されている。また、慣性センサユニット30には、これらのセンサ31~33から出力されるセンサデータを外部の解析装置20に送信するための通信装置34も搭載されている。なお、本実施形態では、通信装置34は、スイング動作の妨げにならないように無線式であるが、ケーブルを介して有線式に解析装置20に接続するようにしてもよい。
【0027】
加速度センサ31、角速度センサ32及び地磁気センサ33はそれぞれ、これらのセンサ31~33の取付位置を原点とするxyz局所座標系での加速度、角速度及び地磁気のデータを検出する。より具体的には、加速度センサ31は、x軸、y軸及びz軸方向の加速度ax、ay、azを計測する。角速度センサ32は、x軸、y軸及びz軸周りの角速度ωx、ωy、ωzを計測する。地磁気センサ33は、x軸、y軸及びz軸方向の地磁気mx、my、mzを計測する。これらのセンサデータは、通信装置34を介して解析装置20に送信される。
【0028】
<2-1-2.カメラシステム>
図2及び
図3に示す通り、カメラシステム5は、複数台のカメラ51及び52と、複数台のストロボ53、53、54及び54とを備えており、ストロボ式の撮影を行う。カメラ51は、インパクト前後のヘッド41及びボール60の様子を上方から撮影できるように、ゴルファーGの正面側において、支持台57に固定されており、アドレス時のボール60の斜め上方に配置されている。ストロボ53及び53も、支持台57に固定されており、カメラ51の下方に配置されている。また、カメラ52は、カメラ51とは異なる位置からインパクト前後のヘッド41及びボール60の様子を撮影できるように、ゴルファーGの正面側において、アドレス時のボール60の前方に配置されている。ストロボ54及び54は、カメラ52の左右に配置されている。なお、ゴルフボール60には、カメラ51及び52により撮影された画像データからボール60の挙動を抽出し易いように、適宜、点状、線状等の形状のマーカーが付されている。
【0029】
また、カメラシステム5は、投光器55A及び55Bと、受光器56A及び56Bとを備えており、投光器55A及び受光器56Aが1つのタイミングセンサを構成し、投光器55B及び受光器56Bがもう1つのタイミングセンサを構成している。これらのタイミングセンサにより生成されるタイミング信号は、ストロボ53、53、54及び54の発光及びそれに続くカメラ51及び52の撮影のタイミングを決定するのに使用される。
【0030】
さらに、カメラシステム5は、以上の装置51~56Bの動作を制御するための制御装置50も備えている。制御装置50は、CPU、ROM及びRAM等を有しており、以上の装置51~56Bの他、解析装置20の通信部25にも接続されている。
【0031】
投光器55A及び55Bは、ゴルファーGの正面側の地面付近において、カメラ51の下方に配置されている。一方、受光器56A及び56Bは、ゴルファーGの足のつま先付近に配置されている。投光器55A及び受光器56Aは、ゴルファーGの背から腹に向かう方向に概ね平行な直線上に配置されており、互いに対向している(
図2参照)。投光器55B及び受光器56Bについても同様である。投光器55A及び55Bは、ゴルフスイング中、常時、それぞれ受光器56A及び56Bに向けて光を照射しており、受光器56A及び56Bがこれを受光する。しかし、ゴルフクラブ4が投光器55A及び55Bと受光器56A及び56Bとの間を通過するタイミングでは、投光器55A及び55Bからの光がゴルフクラブ4により遮られるため、受光器56A及び56Bはこれを受光することができない。受光器56A及び56Bはこのタイミングを検出し、これを受けてタイミング信号を生成する。制御装置50は、タイミング信号が生成された時刻を基準として、一定の時間、ストロボ53、53、54及び54に発光を命令するとともに、カメラ51及び52に撮影を命令する。カメラ51及び52により撮影された画像データの形式のセンサデータは、制御装置50に送信され、制御装置50からさらに解析装置20に送信される。
【0032】
<2-1-3.解析装置>
解析装置20は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。
図3に示す通り、解析装置20は、コンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体27から、或いは通信ネットワーク8を介して、プログラム23aを汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。プログラム23aは、慣性センサユニット30及びカメラシステム5から送信されてくるセンサデータを解析するためのソフトウェアであり、解析装置20に後述する動作を実行させる。
【0033】
解析装置20は、表示部21、入力部22、記憶部23、制御部24及び通信部25を備える。これらの部21~25は、互いにバス線26を介して接続されており、相互に通信可能である。記憶部23は、ハードディスク等で構成することができる。記憶部23内には、プログラム23aが格納されている他、センサユニット30及び5から送信されてくるセンサデータが保存される。制御部24は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部23内のプログラム23aを読み出して実行することにより、記憶部23内のセンサデータに基づいて、ゴルファーGによる実際のショットを解析する。通信部25は、センサユニット30及び5等の外部のデバイスとの間でデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。制御部24によるショットの解析結果として得られる各種解析値を含む計測データは、通信部25を介してサーバー3に送信される。
【0034】
表示部21は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、制御部24によるショットの解析結果等をユーザーに対し表示する。ここでいうユーザーは、ゴルファーG自身やそのインストラクター等、解析結果を必要とする者の総称である。入力部22は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、解析装置20に対するユーザーからの操作を受け付ける。
【0035】
<2-2.サーバー>
サーバー3は、ハードウェアとしてはデータベースサーバーやストレージサーバー等と呼ばれるサーバーコンピュータであり、不揮発性の大容量記憶装置を含み、通信ネットワーク8に接続される。この大容量記憶装置には、計測装置2から取得される計測データが蓄積される。サーバー3は、通信ネットワーク8を介して仮想ゴルフシミュレーション装置1から大容量記憶装置内の計測データの配信要求を受け付け、適宜、要求された計測データをシミュレーション装置1に対し配信する。サーバー3は、計測データの配信要求を受け付けたとき、アクセス元のシミュレーション装置1を操作するゴルファーGの認証を行い、認証に成功した場合に、シミュレーション装置1に対し計測データを配信する。
【0036】
<2-3.仮想ゴルフシミュレーション装置>
仮想ゴルフシミュレーション装置1は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。また、シミュレーション装置1は、ゴルファーGが所持する任意のコンピュータとして実現することができる。
図1に示す通り、シミュレーション装置1は、コンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体17から、或いは通信ネットワーク8を介して、プログラム13aを汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。プログラム13aは、仮想ゴルフを実行するためのソフトウェアであり、シミュレーション装置1に後述する動作を実行させる。
【0037】
仮想ゴルフシミュレーション装置1は、表示部11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11~15は、互いにバス線16を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、仮想ゴルフの実行画面等をユーザーに対し表示する。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、シミュレーション装置1に対するユーザーであるゴルファーGからの操作を受け付ける。
【0038】
記憶部13は、ハードディスク等で構成することができる。記憶部13内には、プログラム13aが格納されている他、サーバー3から取得された計測データが保存される。制御部14は、CPU、ROM及びRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内のプログラム13aを読み出して実行することにより、仮想的にデータ取得部14a、分析部14b、生成部14c、操作受付部14d、シミュレーション部14e及び出力部14fとして動作する。各部14a~14fの動作の詳細については、後述する。通信部15は、サーバー3等の外部のデバイスとの間でデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
【0039】
<3.仮想ゴルフの実行処理の流れ>
仮想ゴルフの実行処理の流れについて説明する。この処理には、ゴルファーGの実際のゴルフショットを計測する前処理としての計測工程と、このときの計測データに基づいて、ゴルファーGのゴルフショットをシミュレーションする仮想ゴルフシミュレーション工程とが含まれる。前者の工程は、計測装置2により実行され、後者の工程は、仮想ゴルフシミュレーション装置1により実行される。また、後者の工程は、ゴルファーGが仮想ゴルフをコンピュータゲームとして楽しむため、又は自身のゴルフの能力を把握し学習するため等の様々な目的の下、シミュレーション装置1を操作するゴルファーGにより実行される。本実施形態に係る仮想ゴルフシミュレーション工程では、ゴルファーGがゴルフコースをラウンドする状況がシミュレーションされる。
【0040】
<3-1.計測工程>
計測工程は、計測装置2が設置されているゴルフスクールやゴルフ用品の販売店等の特定の場所で実行される。このような特定の場所において、ゴルファーGは、ゴルフクラブのフィッティングや自身のゴルフの能力の診断等を目的として、ゴルフクラブ4の試打を行う。すなわち、計測工程の本来の目的は、必ずしも仮想ゴルフシミュレーション工程において仮想ゴルフを実行する目的とは一致しない。つまり、計測工程において収集された計測データをサーバー3内に保存しておき、これを後の仮想ゴルフシミュレーション工程で流用することで、計測装置2が設置されていない環境下においてもゴルファーGが簡易に仮想ゴルフを実行することができる。
【0041】
計測工程では、まず、ゴルファーGにより、上述のカメラシステム5が設置された打席において、上述の慣性センサユニット30付きゴルフクラブ4がスイングされ、ボール60が打撃される。以下、計測工程での実際のショットをテストショットと呼ぶことがある。そして、テストショット時のグリップ42の加速度ax、ay、az、角速度ωx、ωy、ωz及び地磁気mx、my、mzのセンサデータが、慣性センサユニット30により計測される。これらのセンサデータは、慣性センサユニット30から解析装置20に送信される。一方、解析装置20は、これを通信部25を介して受信し、記憶部23内に格納する。本実施形態では、少なくともアドレスからインパクトまでの時系列のセンサデータが収集される。
【0042】
また、計測工程では、カメラシステム5により、テストショット時のインパクト前後のヘッド41及びボール60の近傍の様子を写す画像データが撮影される。これらの画像データは、センサデータとして制御装置50を介して解析装置20に送信される。一方、解析装置20は、これを通信部25を介して受信し、記憶部23内に格納する。
【0043】
典型的には、計測工程では、様々な種類のゴルフクラブ4が試打される。これらのゴルフクラブ4の中には、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ及びパター等の様々なカテゴリーのゴルフクラブが含まれ、同じカテゴリーのゴルフクラブ4の中には、番手違いの複数本のゴルフクラブが含まれることがある(例えば、3番、5番及び7番アイアンが含まれる)。そして、これらのゴルフクラブ4が順番に試打され、各ゴルフクラブ4に対し、センサデータが別々に収集される。
【0044】
制御部24は、ゴルファーGにより試打された各ゴルフクラブ4に対し、記憶部23内のセンサデータを解析することにより、各種解析値を算出する。本実施形態では、このような解析値として、ボール60の飛距離、ヘッド速度(典型的には、インパクト直前のヘッド41の速度)、ボール速度(典型的には、ボール60の初速度)、ボール60の上下打ち出し角、ボール60の打ち出し時の左右振れ角、ボール60のスピン量、バラツキ度合(典型的には、弾道の左右距離のバラツキを表す標準偏差)、フェース角(典型的には、インパクト直前のフェース角)、ヘッド軌道角(典型的には、インパクト直前のヘッド軌道角)等が計測される。なお、ゴルフの練習場や計測装置2による計測では飛距離が伸びるが、ゴルフコースでは飛距離が伸びないタイプのゴルファーGもいる。そのような場合には、ボール60の飛距離は、センサデータに基づく解析値ではなく、ゴルファーGが手動で設定することもできる。また、上記のようなセンサデータに基づく上記のような解析値の算出方法としては、様々知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。また、本実施形態では、各ゴルフクラブ4の試打は、複数回ずつ、好ましくは2回~5回ずつ行われる。この場合、複数回の試打分のセンサデータに基づいて各種解析値の平均値を算出することができ(ただし、バラツキ度合いを除く)、この平均値の使用により、解析の精度を向上させることができる。
【0045】
以上の通り算出された各種解析値は、計測結果を表す画面上にゴルフクラブ4毎にまとめられ、表示部21上に表示される。これを受けて、ユーザーは、ゴルファーGに適したゴルフクラブを選択したり、ゴルファーGのゴルフの能力を診断したりすることができる。
【0046】
また、以上の通り算出された各種解析値は、計測装置2による計測データとしてサーバー3に送信され、保存される。サーバー3内では、計測データは、対応するゴルフクラブ4の種類を識別する情報(以下、クラブIDという)に関連付けて格納される。また、計測データは、クラブIDの他、さらにゴルファーGを識別する情報(以下、ゴルファーIDという)に関連付けて格納される。なお、解析装置20からサーバー3に送信される計測データには、上記のような解析値に代えて又は加えて、センサデータそのものが含まれていてもよい。この場合、後述する仮想ゴルフシミュレーション工程において、シミュレーション装置1は、センサデータに基づいてゴルファーGのショット特性を分析することができる。
【0047】
<3-2.仮想ゴルフシミュレーション工程>
次に、
図4を参照しつつ、仮想ゴルフシミュレーション工程について説明する。仮想ゴルフシミュレーション工程は、ゴルファーGがシミュレーション装置1の入力部12に対して所定の操作を行い、プログラム13aにより実装される仮想ゴルフを実行するためのアプリケーション(以下、ゴルフアプリケーションという)を起動することにより開始する。ゴルフアプリケーションの起動により、表示部11上には、仮想ゴルフの実行画面(以下、ゴルフ画面という)が表示される。ゴルフ画面は、出力部14fにより生成される。
【0048】
本実施形態では、仮想ゴルフは、ゴルファーGが仮想空間内のゴルフコースを仮想的にラウンドするように進行する。そのため、ステップS1として、操作受付部14dは、ゴルフコースの選択をゴルファーGから受け付ける。ゴルフ画面には、ゴルフアプリケーション内に設定されている複数のゴルフコースが選択肢として提示され、ゴルファーGが入力部12に対して所定の操作を行うことにより、特定のゴルフコースを選択することができる。シミュレーション部14eは、この操作に従って選択されたゴルフコースを、仮想ラウンドを行うゴルフコースとして設定する。出力部14fは、選択されたゴルフコースをグラフィック表示する。
図6は、このような画面W1の一例であり、出力部14fは、選択されたゴルフコースを二次元的に表す映像(平面図)を含むゴルフ画面W1を生成し、表示部11上に表示させる。
【0049】
次に、ステップS2として、仮想ゴルフのプレイヤーであるゴルファーGのアバターが生成される。アバターは、仮想空間内で仮想ゴルフを行う仮想ゴルファーであり、以下、アバターにも参照符号Gvを付す。アバターGvは、
図5に示すフローチャートに従って生成される。まず、データ取得部14aが、通信ネットワーク8を介してサーバー3にアクセスし、サーバー3からゴルファーGに対応する計測データ及びその関連情報(クラブIDを含む)を取得する(ステップS21)。このとき、サーバー3側では、ゴルファーIDに基づくゴルファーGの認証が行われる。すなわち、データ取得部14aが、入力部12を介してゴルファーGに入力させたゴルファーIDをサーバー3に送信し、サーバー3がこれを受けて、計測データへのアクセスの可否を判断する。ゴルファーGの認証に成功した場合には、当該ゴルファーGに対応する計測データ及びその関連情報が、サーバー3からシミュレーション装置1に送信される。
【0050】
続いて、分析部14bが、サーバー3からダウンロードされた計測データ及びその関連情報に基づいて、ゴルファーGのショット特性を分析する(ステップS22)。より具体的には、分析部14bは、計測データに含まれる上記の各種解析値に基づいて、ゴルファーGのショット特性を示す値(以下、ショット特性値)を算出する。本実施形態では、このとき、計測データだけでなく、その関連情報に含まれるクラブIDに基づいて、後述するステップS4で選択可能な各ゴルフクラブに対し、ゴルファーGのショット特性値が算出される。
【0051】
本実施形態で算出されるショット特性値には、上述の各種解析値と同様に、飛距離、ヘッド速度、ボール速度、上下打ち出し角、左右振れ角、スピン量、バラツキ度合、フェース角及びヘッド軌道角が含まれる他、左右ブレ、ミスショット方向及びミスショット確率が含まれる。実際にショットの計測が行われたゴルフクラブ(以下、テストクラブという)での飛距離の値としては、計測データに含まれるテストクラブでの飛距離の値がそのまま採用される。一方、実際にショットの計測が行われていないゴルフクラブ(以下、非テストクラブという)での飛距離は、テストクラブに関する計測データに基づいて推定される。例えば、分析部14bは、飛距離と所定のパラメータとの比例関係をテストクラブでの飛距離から特定し、この比例関係に基づいて非テストクラブでの飛距離を算出することができる。なお、一般に、番手やクラブ長さが小さいほどロフト角が小さくなり、飛距離も伸びることから、ここでいうパラメータとしては、番手やクラブ長さ、ロフト角等を採用することができる。
【0052】
ショット特性値である左右ブレは、計測データに含まれるボール速度、上下打ち出し角、左右振れ角及びスピン量等のボール60の弾道を決定する情報(以下、弾道情報という)に基づいて算出される。ボール速度が異常な場合には、ヘッド速度を参照して補正することができるため、弾道情報にヘッド速度を含めることもできる。ミスショット方向も、計測データに含まれる弾道情報に基づいて算出される。例えば、左右振れ角及びサイドスピン量から、左に出て左に曲がる傾向があるか、右に出て右に曲がる傾向があるか等を判定し、これらの判定結果からミスショット方向を算出することができる。ミスショット確率も、計測データに含まれる弾道情報に基づいて算出される。例えば、テストショットの回数分の、ミスショットと分類される弾道が計測された回数として、ミスショット確率を算出することができる。なお、ミスショット確率は、計測データに含まれるヘッド軌道及びフェース角に基づいて(例えばこれらの偏差に基づいて)調整してもよい。また、飛距離以外のショット特性値についても、飛距離の場合と同様に、テストクラブについてはテストクラブの計測データに基づいて算出され、非テストクラブについてはテストクラブの計測データから推定することができる。なお、計測データにセンサデータが含まれる場合には、ショット特性値を算出するに当たり、センサデータを使用することもできる。
【0053】
続いて、生成部14cは、ゴルファーGのショット特性に応じた特性を持つアバターを生成する(ステップS23)。本実施形態では、ステップS22で算出されたショット特性値を、仮想空間内でプレーするアバターGvの能力を表すショット特性値としてそのまま設定する。また、生成部14cは、アバターGvに対し、ショット特性値の他、ゴルファーGの属性情報を設定する(ステップS24)。ここでいう属性情報には、例えば、ゴルファーGの性別、名前(ニックネームを含む)、年齢及び体型等が含まれる。本実施形態では、
図7に示すように、ゴルフ画面W2上にゴルフコースを三次元的に表す映像が生成されるとともに、このゴルフコース内でアバターGvを模したキャラクターが動く映像が生成される。このアバターGvの映像を生成するために、ここで設定された属性情報が利用される。
【0054】
ステップS2では、仮想ゴルフを実行するキャラクターが設定される。このキャラクターは、ゴルファーGのアバターGv、すなわちゴルファーGの様々な特性を体現した仮想空間内での分身となる。よって、仮想ゴルフを遊戯として実行する場合には、その遊戯性が向上する。また、ゴルファーGと同じ特性を有するアバターGvが仮想ゴルフをプレーすることで、ゴルファーGは、自身の能力を的確に把握することができるとともに、ゴルフコースのラウンドの予習及び復習を行い、自分に合ったラウンド時のプレー方法を習得することも可能になる。
【0055】
アバターGvの設定が完了すると、ゴルフゲームをスタートさせることができる。操作受付部14dは、ゴルファーGからゲームスタートの命令を受け付け、ゴルファーGが入力部12を介して所定の操作を行うと、ゲームがスタートする(ステップS3)。
【0056】
ゲームがスタートすると、まず、操作受付部14dは、次のショットでアバターGvに使用させるゴルフクラブの選択をゴルファーGから受け付ける(ステップS4)。ゴルフ画面には、ゴルフアプリケーション内に設定されている複数のゴルフクラブが選択肢として提示され、ゴルファーGが入力部12に対して所定の操作を行うことにより、特定のゴルフクラブを選択することができる。シミュレーション部14eは、この操作に従って選択されたゴルフクラブを、次のショットに使用されるゴルフクラブとして設定する。
【0057】
ゴルフクラブの設定後、出力部14fは、ゴルフコース及びアバターGvをグラフィック表示する。
図7は、このような画面W2の一例であり、出力部14fは、仮想空間の景色、より具体的には、ゴルフコース上の次のショットを行う打席及びそこから見た飛球方向の景色を三次元的に表す映像を含むゴルフ画面W2を生成し、表示部11上に表示させる。ここに表示されるアバターGvの姿には、ステップS24で設定された属性情報が反映され、ここに表示されるアバターGvが持っているゴルフクラブの形状には、ステップS4で選択されたゴルフクラブの形状が反映される。
【0058】
以上のようなゴルフ画面が表示された状態で、操作受付部14dは、ゴルフコース上でアバターGvに次のショットを行わせるための指示をゴルファーGから受け付ける(ステップS5)。ゴルフ画面には、ショットの方向及び強さの入力を促す情報が提示され、ゴルファーGが入力部12に対して所定の操作を行うことにより、特定のショットの方向及び強さを選択した上で、アバターGvに次のショットを指示することができる。
【0059】
ゴルファーGから次のショットの指示が入力されると、シミュレーション部14eは、これに従って、ゴルフコース内でのアバターGvのショットをシミュレーションする(ステップS6)。具体的には、シミュレーション部14eは、現在選択されているゴルフクラブについてのアバターGvのショット特性値、並びにステップS5で入力されたショットの方向及び強さに基づいて、ボール60の弾道をシミュレーションする。また、ゴルフコース上でのボール60の到達点もシミュレーションする。ボールの到達点は、ステップS5のショットの方向からショット特性値の左右ブレに従ってシフトした方向に、ショット特性値の飛距離だけ、現在のボールの位置から離れた位置(以下、基準位置という)を基準として算出される。シミュレーション部14eは、基準位置を算出した後、これをバラツキ度合に応じてシフトさせることにより、最終的なボールの到達点を決定することができる。また、シミュレーション部14eは、現在選択されているゴルフクラブについてのアバターGvのミスショット確率で、アバターGvにミスショットさせる。この場合、最終的なボールの到達点は、基準位置からミスショット方向にシフトする。なお、ショット特性値としてミスショット時の飛距離、飛距離についてのバラツキ度合、及び飛距離についてのミスショット確率を算出しておき、最終的なボールの到達点を算出するに際し、ショットの方向だけでなく飛距離も調整してもよい。また、シミュレーション部14eは、同様の情報に基づいて、ボール60の挙動だけでなく、ショット中のゴルファーG及びゴルフクラブの挙動もシミュレーションする。また、ミスショット確率は、計測データから算出するのではなく、ゴルファーGが任意に設定することもできる。
【0060】
以上のシミュレーションの結果は、表示部11上にグラフィック表示される(ステップS7)。出力部14fは、アバターGv、ゴルフクラブ及びボールの挙動に関するシミュレーションの結果に従って、アバターGvを模したキャラクターがゴルフクラブをスイングし、これによりボールが飛球する様子を表す映像を生成する。この映像は、
図7に示すようなゴルフコースの背景の映像に重ねて表示される。
【0061】
1つのショットに関する処理が終了すると、ラウンドが終了するまで、次のショットに対するステップS4~S7が繰り返される(ステップS8)。これにより、アバターGvによる複数回のショットが連続的にシミュレーションされ、ゴルファーGはアバターGvとともに、ゴルフコース内を仮想的にラウンドしながら進むことができる。
【0062】
ラウンドが終了すると、出力部14fは、スコア等のラウンドの結果を示すゴルフ画面を生成し、これを表示部11上に表示させる。ゴルファーGは、これを見て、自身のプレーを知ることができる。そして、ゴルファーGは、実際にゴルフコースに行かずとも、あたかも実際にゴルフコースをラウンドしたかのような疑似体験をすることができ、それ自体を遊戯として楽しむこともできるし、ゴルフを学習することもできる。
【0063】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0064】
<4-1>
上記実施形態では、ゴルフスクールやゴルフ用品の販売店等の特定の場所で収集された計測データがインターネット上のサーバー3に蓄積され、これがサーバー3からゴルファーGが所持する端末(仮想ゴルフシミュレーション装置1)にダウンロードされ、アバターGvの設定に利用された。しかしながら、計測データは、計測が行われた解析装置20の記憶部25に蓄積され、ここからゴルファーGが所持するシミュレーション装置1に直接的に受け渡しされてもよいし、或いは仮想ゴルフを解析装置20で実行してもよい。
【0065】
<4-2>
上記実施形態におけるステップS22のショット特性の分析は、解析装置20で実行されてもよい。この場合、解析装置20による分析の結果をサーバー3に予め登録しておき、仮想ゴルフの実行時に仮想ゴルフシミュレーション装置1にこれをダウンロードすれば、シミュレーション装置1におけるステップS22の実行を省略することができる。本例では、解析装置20の制御部24が、ゴルファーGのショット特性の分析を行う分析部として動作することになる。
【0066】
<4-3>
上記実施形態では、アバターGvのショット特性値は全て、ゴルファーGの実際のショット特性値と同じ値に設定されたが、アバターGvのショット特性値の一部又は全部を、ゴルファーGの実際のショット特性値とは異なるものとしてもよい。すなわち、ユーザーの選択により又は自動的に、ゴルファーGの実際の能力よりも高い又は低い能力を有するアバターを生成することもできる。このような場合であっても、アバターGvのショット特性をゴルファーGのショット特性に応じて設定すれば、ゴルファーGの能力を反映したアバターGvを生成することができる。また、アバターGvに仮想ゴルフを繰り替し実行させると、アバターGvの能力が成長するように構成してもよく、この場合、仮想ゴルフの遊戯性を高めることもできる。これに変えて又は加えて、仮想ゴルフを実行するゴルファーGが、通信ネットワーク8を介してゴルフアプリケーションの配信元等に課金することで、アバターGvの能力を成長させることができるようにしてもよい。
【0067】
<4-4>
上記実施形態では、アバターGvが三次元的にグラフィック表示されたが、二次元的にグラフィック表示することもできる。例えば、
図6のようなゴルフコースの平面図上において、アバターGvを表すアイコンをアバターGvの現在位置に表示してもよい。
【0068】
<4-5>
シミュレーション部14eは、アバターGvのショットを、ゴルファーGが入力部12の操作子を操作するタイミングに応じて制御してもよい。すなわち、ショットの方向及び強さのような、仮想ゴルフにおけるアバターGvの各ショットを決定付けるパラメータが、ゴルファーGが入力部12を操作するときの操作感によって決定されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 仮想ゴルフシミュレーション装置
2 計測装置
3 サーバー
13a プログラム(仮想ゴルフシミュレーションプログラム)
14a データ取得部
14b 分析部
14c 生成部
14d 操作受付部
14e シミュレーション部
14f 出力部
G ゴルファー
Gv アバター(仮想ゴルファー)