(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ラッチアップ防止回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20220208BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H01L27/04 H
(21)【出願番号】P 2018088236
(22)【出願日】2018-05-01
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 睦
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-348559(JP,A)
【文献】特開平08-171429(JP,A)
【文献】特開2011-181848(JP,A)
【文献】特開2001-298157(JP,A)
【文献】特開2002-016254(JP,A)
【文献】特開平8-148650(JP,A)
【文献】特開平2-111064(JP,A)
【文献】特開2000-260944(JP,A)
【文献】特開平7-58289(JP,A)
【文献】国際公開第2007/013145(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電位に対し、所定の電位差を有する第1電源電圧、及び、当該第1電源電圧よりも低電圧の第2電源電圧が供給されて動作するICのラッチアップ防止回路であって、
前記第1電源電圧が印加される前記ICの第1電源端子にカソードが接続され、前記第2電源電圧が印加される前記ICの第2電源端子にアノードが接続された第1のダイオードを含み、
前記ICは、前記第1電源端子に印加される電圧をV1、前記第2電源端子に印加される電圧をV2としたとき、前記第1電源端子と前記第2電源端子との間の電圧の絶対最大定格として、下記(1)式が規定され、
前記第1のダイオードは、順方向電圧をVFとしたとき、下記(2)式を満たす
ラッチアップ防止回路。
V2≦V1+α・・・(1)
VF<α・・・(2)
【請求項2】
複数の前記第1のダイオードが並列に設けられている
請求項1に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項3】
前記第1のダイオードは、ショットキーバリアダイオードである
請求項1又は2に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項4】
前記第2電源端子にカソードが接続され、前記基準電位にアノードが接続された第2のダイオードを含む
請求項1から3の何れか一項に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項5】
前記第2のダイオードは、ショットキーバリアダイオードである
請求項4に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項6】
前記第2のダイオードは、ツェナーダイオードである
請求項4に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項7】
前記第1電源端子にカソードが接続され、前記基準電位にアノードが接続された第3のダイオードを含む
請求項1から6の何れか一項に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項8】
前記第3のダイオードは、ショットキーバリアダイオードである
請求項7に記載のラッチアップ防止回路。
【請求項9】
前記第3のダイオードは、ツェナーダイオードである
請求項7に記載のラッチアップ防止回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチアップ防止回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子回路機器では、省電力化や小型化の要求により、これらの電子回路機器を構成する半導体集積回路(IC)の低電圧駆動化や高密度化が求められている。一方、アナログ回路を構成するトランジスタのMOS(Metal Oxide Semiconductor)化により、アナログ回路とデジタル回路とを混載したICの普及が進みつつある。このようなアナログ回路とデジタル回路とを混載したICでは、耐ノイズ性等の観点から、アナログ回路用電源電圧と、アナログ回路用電源よりも低電圧なデジタル回路用電源とを用いた構成がある。
【0003】
一般に、複数の電源電圧を必要とするCMOS(Complementary MOS)構成のICでは、電源端子間電圧の絶対最大電圧が規定されている。このようなICにおいて、絶対最大電圧を超える電位差が印加されると、所謂ラッチアップ現象が生じて基準電位(例えばGND電位)との間がショートし素子破壊を引き起こす可能性がある。例えば、高電圧電源の出力電圧を低電圧電源の出力電圧に降圧する電圧降圧手段を含む電源装置が開示されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、偶発的なESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)やサージ等のノイズが電源線に重畳した場合に、電源端子間電圧の絶対最大電圧の規定を逸脱し、ラッチアップ現象が発生する可能性がある。また、複数のICで電源装置を共有する構成では、電圧降圧手段の構成が複雑化する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、それぞれ異なる電源電圧を印加する複数の電源端子を有する構成において、ラッチアップ現象の発生を抑制することができるラッチアップ防止回路を提供すること、を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るラッチアップ防止回路は、基準電位に対し、所定の電位差を有する第1電源電圧、及び、当該第1電源電圧よりも低電圧の第2電源電圧が供給されて動作するICのラッチアップ防止回路であって、前記第1電源電圧が印加される前記ICの第1電源端子にカソードが接続され、前記第2電源電圧が印加される前記ICの第2電源端子にアノードが接続された第1のダイオードを含み、前記ICは、前記第1電源端子に印加される電圧をV1、前記第2電源端子に印加される電圧をV2としたとき、前記第1電源端子と前記第2電源端子との間の電圧の絶対最大定格として、下記(1)式が規定され、前記第1のダイオードは、順方向電圧をVFとしたとき、下記(2)式を満たす。
【0008】
V2≦V1+α・・・(1)
【0009】
VF<α・・・(2)
【0010】
上記構成によれば、ESDやサージ等のノイズが抑制され、ESDやサージ等のノイズによるラッチアップ現象の発生を抑制することができる。
【0011】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、複数の前記第1のダイオードが並列に設けられていることが好ましい。
【0012】
これにより、ESDやサージ等のノイズによって流れる順方向電流の大きさに応じたノイズ抑制効果を得ることができる。
【0013】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第1のダイオードは、ショットキーバリアダイオードであることが好ましい。
【0014】
これにより、ESDやサージ等の急峻なノイズを効果的に抑制することができる。
【0015】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第2電源端子にカソードが接続され、前記基準電位にアノードが接続された第2のダイオードを含むことが好ましい。
【0016】
これにより、第2電源電圧に重畳した負極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【0017】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第2のダイオードは、ショットキーバリアダイオードであることが好ましい。
【0018】
これにより、第2電源電圧に重畳した急峻な負極性ノイズを効果的に抑制することができる。
【0019】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第2のダイオードは、ツェナーダイオードであることが好ましい。
【0020】
これにより、第2電源電圧に重畳した正極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【0021】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第1電源端子にカソードが接続され、前記基準電位にアノードが接続された第3のダイオードを含むことが好ましい。
【0022】
これにより、第1電源電圧に重畳した負極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【0023】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第3のダイオードは、ショットキーバリアダイオードであることが好ましい。
【0024】
これにより、第1電源電圧に重畳した急峻な負極性ノイズを効果的に抑制することができる。
【0025】
ラッチアップ防止回路の望ましい態様として、前記第3のダイオードは、ツェナーダイオードであることが好ましい。
【0026】
これにより、第1電源電圧に重畳した正極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、それぞれ異なる電源電圧を印加する複数の電源端子を有する構成において、ラッチアップ現象の発生を抑制することができるラッチアップ防止回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例に係る構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の変形例に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態2の変形例に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態3の変形例に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0030】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。本実施形態に係るラッチアップ防止回路1の保護対象であるIC2は、電源回路(不図示)から複数の電源電圧(
図2に示す例では、第1電源電圧Vdd1、第2電源電圧Vdd2)が印加されて動作する半導体集積回路である。このIC2は、例えば、CMOS(Complementary MOS)で構成されている。IC2の構成により本開示が限定されるものではない。
【0031】
IC2は、第1電源端子21と、第2電源端子22と、基準電位端子23と、を有する。第1電源端子21は、基準電位GNDに対して所定の電位差を有する第1電源電圧Vdd1が印加される。第2電源端子22は、第1電源電圧Vdd1よりも低電圧の第2電源電圧Vdd2が印加される。基準電位端子23は、基準電位GNDが印加される。なお、基準電位はGND電位に限るものではない。また、
図1では、第1電源端子21、第2電源端子22、及び基準電位端子23をそれぞれ1つ有する例を示したが、これら第1電源端子21、第2電源端子22、及び基準電位端子23の数はこれに限るものではない。
【0032】
第1電源電圧Vdd1は、例えば、IC2を構成するアナログ回路に供給される5Vの正極性電源電圧である。また、第2電源電圧Vdd2は、例えば、IC2を構成するデジタル回路に供給される3.3Vの正極性電源電圧である。なお、第1電源電圧Vdd1及び第2電源電圧Vdd2は上記に限るものではない。
【0033】
ここで、第1電源端子21に印加される電圧をV1、第2電源端子22に印加される電圧をV2とする。このとき、本実施形態において、IC2は、第1電源端子21と第2電源端子22との間の電圧(以下、「電源端子間電圧」とも称する)の絶対最大定格として、以下の(1)式が規定されている。αは、保護対象であるIC2の絶対最大定格により規定される値である。
【0034】
V2≦V1+α・・・(1)
【0035】
本実施形態に係るラッチアップ防止回路1は、第1電源端子21にカソードが接続され、第2電源端子22にアノードが接続されるダイオード11(第1のダイオード)を含む。
【0036】
ダイオード11に順方向電流が流れるとき、ダイオード11の順方向電圧をVFとすると、第2電源端子22に印加される電圧V2は、以下の(2)式で表される。
【0037】
V2=V1+VF・・・(2)
【0038】
すなわち、上記(1)式を満たすためには、ダイオード11の順方向電圧VFは、以下の(3)式を満たす必要がある。
【0039】
VF<α・・・(3)
【0040】
図2は、比較例に係る構成の一例を示す図である。
図2では、第1電源端子21と基準電位端子23との間、及び、第2電源端子22と基準電位端子23(基準電位)との間に、それぞれツェナーダイオード14,15を設けた構成を示している。
【0041】
偶発的なESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)やサージ等の外部ノイズからIC2を保護する場合、
図2に示すように、各電源端子(
図2に示す例では、第1電源端子21、第2電源端子22)と基準電位端子23(基準電位)との間に、それぞれツェナーダイオード14,15を設ける構成とすることが一般的である。ツェナーダイオード14,15は、各電源端子(第1電源端子21、第2電源端子22)が複数存在する場合、各電源端子に対応して1つずつ設ける必要がある。
【0042】
ツェナーダイオードのツェナー電圧(降伏電圧)は、ばらつき誤差が一般に数%程度であり、各電源端子(第1電源端子21、第2電源端子22)の入力電圧の絶対最大定格に対応して設定される。このため、必ずしも上記(1)式の電源端子間電圧の絶対最大定格を満たせず、ラッチアップ現象が生じて素子破壊を引き起こす可能性がある。
【0043】
本実施形態に係るラッチアップ防止回路1では、上記(3)式を満たすダイオード11を第1電源電圧Vdd1と第2電源電圧Vdd2との間に少なくとも1つ設けることで、ESDやサージ等のノイズが抑制される。これにより、ESDやサージ等のノイズによるラッチアップ現象の発生を抑制することができ、IC2の素子破壊を未然に防ぐことができる。
【0044】
また、上記(1),(3)式において、αが例えば0.3Vであるとき、ダイオード11の順方向電圧VFは、(3)式から、0.3V未満である必要がある。この場合、ダイオード11としては、例えば、順方向電圧VFが小さいショットキーバリアダイオードであることが望ましい。
【0045】
ダイオード11としてスイッチングショットキーバリアダイオードを用いることで、ESDやサージ等の急峻なノイズを効果的に抑制することができる。
【0046】
図3は、実施形態1の変形例に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【0047】
図3に示す実施形態1の変形例に係るラッチアップ防止回路1aでは、第1電源電圧Vdd1と第2電源電圧Vdd2との間に複数個のダイオード11を並列に設けた構成としている。
【0048】
図1に示す実施形態1に係るラッチアップ防止回路1において、ESDやサージ等のノイズによって流れる順方向電流が大きくなると、これに伴い順方向電圧VFが大きくなる。このような場合には、
図3に示すように、第1電源電圧Vdd1と第2電源電圧Vdd2との間に複数個のダイオード11を並列に設けた構成とすることで、上記(3)式を満たすようにしても良い。
【0049】
以上説明したように、実施形態1に係るラッチアップ防止回路1は、保護対象のIC2において第1電源電圧Vdd1が印加される第1電源端子21にカソードが接続され、第2電源電圧Vdd2が印加される第2電源端子22にアノードが接続されたダイオード11(第1のダイオード)を含む。ダイオード11は、第1電源端子21に印加される電圧V1と第2電源端子22に印加される電圧V2との間の電圧の絶対最大定格を満たす。
【0050】
上記構成により、ESDやサージ等のノイズによるラッチアップ現象の発生を抑制することができ、IC2の素子破壊を未然に防ぐことができる。
【0051】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。なお、上述した実施形態1で説明した構成と同じ構成部には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
実施形態1に係る構成では、第2電源電圧Vdd2に負極性のESDやサージ等のノイズ(以下、単に「負極性ノイズ」とも称する)が重畳すると、この負極性ノイズの電圧絶対値がダイオード11の逆方向電圧VRの耐圧を超えてダイオード11が破壊する可能性がある。ダイオード11が短絡破壊した場合、第2電源端子22に第2電源電圧Vdd2よりも電圧値が高い第1電源電圧Vdd1が印加され、IC2や電源回路(不図示)の二次破壊を招く要因となり得る。
【0053】
本実施形態に係るラッチアップ防止回路1bは、
図4に示すように、ダイオード11に加え、第2電源端子22にカソードが接続され、基準電位端子23(基準電位)にアノードが接続されたダイオード12(第2のダイオード)を設けた構成を示している。このような構成において、第2電源電圧Vdd2に負極性ノイズが重畳すると、ダイオード12に順方向電流が流れ、負極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。これにより、ダイオード11の破壊やIC2等の二次破壊を防ぐことができる。
【0054】
また、ダイオード12を設けることで、第1電源電圧Vdd1に負極性ノイズが重畳した場合でも有効に作用する。すなわち、第1電源電圧Vdd1に負極性ノイズが重畳すると、ダイオード11及びダイオード12に順方向電流が流れ、負極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【0055】
ダイオード12としては、ダイオード11と同様に、例えばスイッチングショットキーバリアダイオードを用いることで、急峻な負極性ノイズを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、ダイオード12としては、例えばツェナーダイオードを用いても良い。これにより、第2電源電圧Vdd2に正極性のESDやサージ等のノイズ(以下、単に「正極性ノイズ」とも称する)が重畳した場合でも有効に作用する。すなわち、第2電源電圧Vdd2に正極性ノイズが重畳すると、ダイオード12(ツェナーダイオード)にツェナー電流が流れ、正極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【0057】
図5は、実施形態2の変形例に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【0058】
図5に示す実施形態2の変形例に係るラッチアップ防止回路1cでは、
図3に示した実施形態1の変形例と同様に、第1電源電圧Vdd1と第2電源電圧Vdd2との間に複数個のダイオード11を並列に設けた構成としている。このような構成とすることで、実施形態1の変形例と同様に、上記(3)式を満たすようにしても良い。
【0059】
(実施形態3)
図6は、実施形態3に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。なお、上述した実施形態1,2で説明した構成と同じ構成部には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0060】
実施形態2に係る構成では、第1電源電圧Vdd1に負極性ノイズが重畳すると、ダイオード11及びダイオード12に順方向電流が流れ、負極性ノイズの電圧絶対値が抑制されるが、ダイオード11及びダイオード12の順方向電圧降下が生じることとなる。
【0061】
本実施形態に係るラッチアップ防止回路1dは、
図6に示すように、ダイオード11及びダイオード12に加え、第1電源端子21にカソードが接続され、基準電位端子23(基準電位)にアノードが接続されたダイオード13(第3のダイオード)を設けた構成を示している。このような構成において、第1電源電圧Vdd1に負極性ノイズが重畳すると、ダイオード13に順方向電流が流れ、負極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。これにより、負極性ノイズの抑制効果を高めることができる。
【0062】
ダイオード13としては、ダイオード12と同様に、例えばスイッチングショットキーバリアダイオードを用いることで、急峻な負極性ノイズを効果的に抑制することができる。
【0063】
また、ダイオード13としては、ダイオード12と同様に、例えばツェナーダイオードを用いても良い。これにより、第1電源電圧Vdd1に正極性ノイズが重畳した場合でも有効に作用する。すなわち、第1電源電圧Vdd1に正極性ノイズが重畳すると、ダイオード13(ツェナーダイオード)にツェナー電流が流れ、正極性ノイズの電圧絶対値が抑制される。
【0064】
図7は、実施形態3の変形例に係るラッチアップ防止回路を適用した構成の一例を示す図である。
【0065】
図7に示す実施形態3の変形例に係るラッチアップ防止回路1eでは、実施形態1の変形例及び実施形態2の変形例と同様に、第1電源電圧Vdd1と第2電源電圧Vdd2との間に複数個のダイオード11を並列に設けた構成としている。このような構成とすることで、実施形態1の変形例及び実施形態2の変形例と同様に、上記(3)式を満たすようにしても良い。
【符号の説明】
【0066】
1,1a,1b,1c,1d,1e ラッチアップ防止回路
2 IC
11 ダイオード(第1のダイオード)
12 ダイオード(第2のダイオード)
13 ダイオード(第3のダイオード)
14,15 ツェナーダイオード
21 第1電源端子
22 第2電源端子
23 基準電位端子