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特許7020296無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220208BHJP
【FI】
G05D1/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018102020
(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2019207515
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】榎本 浩司
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111554(JP,A)
【文献】特開2005-339371(JP,A)
【文献】特開平9-264750(JP,A)
【文献】特開2000-242330(JP,A)
【文献】特開2010-249628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車の経路データ作成支援プログラムであって、
前記無人搬送車は、規定された誘導路に従って走行し、前記誘導路の近傍に設けられたマークを検出すると、
前記経路データに含まれるマーク配置リストに示される、前記マークの各々の前記誘導路に対する相対的な位置関係と、検出した前記マークの方向とを比較し、一致した場合に前記マークに対応付けられた動作を実行し、
コンピュータに、複数の前記マークの各々の前記誘導路に対する相対的な位置関係を導出する相対位置導出機能を実現させ
前記相対位置導出機能は、前記相対的な位置関係として、前記誘導路の進行方向に対して複数の前記マークの各々が左側に位置するか、右側に位置するか、または両側に位置するかの左右位置を判定する、経路データ作成支援プログラム。
【請求項2】
前記相対位置導出機能は、複数の前記マークの各々に対し、前記マーク近傍における前記誘導路の前記進行方向を向く経路ベクトルと、前記経路ベクトル上に設けられた基点から前記マークを向く方向ベクトルとの外積を計算し、前記外積の方向により前記左右位置を導出し、
前記経路ベクトルは、前記マークの各々の前記誘導路との垂線の足を基点、終点、又は、両方とする、請求項に記載の経路データ作成支援プログラム。
【請求項3】
無人搬送車の経路データ作成支援方法であって、
前記無人搬送車は、規定された誘導路に従って走行し、前記誘導路の近傍に設けられたマークを検出すると、前記経路データに含まれるマーク配置リストに示される、前記マークの各々の前記誘導路に対する相対的な位置関係と、検出した前記マークの方向とを比較し、一致した場合に前記マークに対応付けられた動作を実行し、
コンピュータが、複数の前記マークの各々の前記誘導路に対する相対的な位置関係を導出し、前記相対的な位置関係として、前記誘導路の進行方向に対して複数の前記マークの各々が左側に位置するか、右側に位置するか、または両側に位置するかの左右位置を判定する、経路データ作成支援方法。
【請求項4】
コンピュータが、複数の前記マークの各々に対し、前記マーク近傍における前記誘導路の前記進行方向を向く経路ベクトルと、前記経路ベクトル上に設けられた基点から前記マークを向く方向ベクトルとの外積を計算し、前記外積の方向により前記左右位置を導出し、
前記経路ベクトルは、前記マークの各々の前記誘導路との垂線の足を基点、終点、又は、両方とする、請求項に記載の経路データ作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無人搬送車によって資材を搬送することが行われている。この無人搬送車を走行させるにあたり、磁気誘導、レーザレーダ誘導、電磁誘導、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)誘導等、様々な誘導方式が使用されている。
これら誘導方式の中には、予め無人搬送車が走行する走行経路に沿って設けられた誘導路をセンサ等により検知することにより、無人搬送車を誘導するものがある。
例えば磁気誘導においては、誘導路として磁気テープ等の発磁体が敷設され、無人搬送車に搭載された磁気センサ等により発磁体を検知することにより無人搬送車が誘導される。
【0003】
上記のような走行経路は、無人搬送車の運用開始前に経路データとして運用システム等に登録されることがある。特許文献1には、パソコンで実行されている経路作成ソフトウェアを利用して、地図データ上に経路を指定することによって経路位置情報を設定することが開示されている。
【0004】
誘導路の近傍には、マークが設けられることがある。例えば磁気誘導においては、マークは磁気を発する磁気マークである。磁気マークは、無人搬送車の速度変更、停止、前進後進切り替え、無線通信に用いる使用帯域の変更等、無人搬送車に何らかの動作を実行させたい場所に設けられる。無人搬送車は、誘導路に従って走行中に、磁気センサ等が磁気マークを検出すると、検出された磁気マークに対応する動作を実行するように設定されている。
マークは、誘導路の進行方向に対して右側、または左側に設けられる。誘導路の両側に設けられることもある。無人搬送車には、このような左右位置等の、誘導路の進行方向に対する各マークの相対的な位置関係が登録されている。すなわち、無人搬送車は、走行中に次に検出すべきマークが誘導路に対してどの位置に在るべきかを把握しており、これと異なる位置にマークを検出した場合にはマークを誤って検出したと判断し、異常停止する。これにより、無人搬送車の信頼性の高い誘導が可能となっている。
【0005】
上記のようなマークは、例えば既に説明した特許文献1に開示されたような経路作成ソフトウェアを用いて、マークに関する情報、例えば左右位置などの誘導路の進行方向に対する相対的な位置関係を誘導路と併せて編集し、設定することにより無人搬送車に登録することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-253414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような手法においては、無人搬送車が検出したマークの位置の正誤判定を行うためには、各マークが誘導路の進行方向に対してどの位置に相対的に在るのかを、経路作成ソフトウェアを用いて人手で設定して情報として入力しなければならない。より具体的には、マークの左右位置の設定においては、各マークが誘導路の進行方向に対して右側に在るのか、左側に在るのか、それとも両側に在るのかを、作業員が目視で判断し、それぞれのマークに対して判断した左右位置を入力しなければならない。
【0008】
特に誘導路の形状、経路が複雑で、マークの数が多い場合においては、このような作業には誤りが生じやすい。加えて、無人搬送車が誘導路上を後進することもある場合においては、誤りの発生がより顕著となりがちである。マークの位置を誤って無人搬送車に登録すると、実際の誘導路上では正しくマークが設置されているにもかかわらず、マークの位置を誤りであると判定し無人搬送車が異常停止してしまう。
また、上記のような作業は煩雑であり手間がかかる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、マークの位置指定が容易となり、位置指定の誤りを低減可能な、無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、無人搬送車の経路データ作成支援プログラムであって、前記無人搬送車は、規定された誘導路に従って走行し、当該誘導路の近傍に設けられたマークを検出すると、当該マークに対応付けられた動作を実行し、コンピュータに、複数の前記マークの各々の前記誘導路に対する相対的な位置関係を導出する相対位置導出機能を実現させる、経路データ作成支援プログラムを提供する。
【0011】
また、本発明は、無人搬送車の経路データ作成支援方法であって、前記無人搬送車は、規定された誘導路に従って走行し、当該誘導路の近傍に設けられたマークを検出すると、当該マークに対応付けられた動作を実行し、コンピュータが、複数の前記マークの各々の前記誘導路に対する相対的な位置関係を導出する、経路データ作成支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マークの位置指定が容易となり、位置指定の誤りを低減可能な、無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態における無人搬送車及びこれに経路データを登録する経路データ作成システムの説明図である。
図2】無人搬送車の誘導路及びマークの例の説明図である。
図3】経路データにおけるマーク配置リストの例である。
図4】前記実施形態における経路データ作成システムを構成する経路データ作成支援プログラムのブロック図である。
図5】経路データにおけるマーク読取り指定に関する説明図である。
図6】誘導路とマークの座標に関する説明図である。
図7】上記マーク配置リストに対応するマーク位置データの例である。
図8】誘導路に対するマークの相対的な位置関係の導出に関する説明図である。
図9】誘導路に対するマークの相対的な位置関係の導出に関する説明図である。
図10】前記実施形態の無人搬送車の経路データ作成支援方法のフローチャートである。
図11】前記実施形態の第1変形例に関する、誘導路に対するマークの相対的な位置関係の導出に関する説明図である。
図12】前記実施形態の第2変形例に関する、誘導路に対するマークの相対的な位置関係の導出に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態における無人搬送車は、規定された誘導路に従って走行し、誘導路の近傍に設けられたマークを検出すると、マークに対応付けられた動作を実行するものである。本実施形態における無人搬送車の経路データ作成支援プログラムは、上記のような無人搬送車を対象とし、コンピュータに、複数のマークの各々の誘導路に対する相対的な位置関係を導出する相対位置導出機能を実現させる。
【0015】
図1(a)は、実施形態における無人搬送車を平面視した模式図であり、図1(b)は、この無人搬送車に経路データを登録する経路データ作成システムの説明図である。
無人搬送車1は、本実施形態においては工場内で資材等の被搬送物を搬送するものである。
無人搬送車1は、駆動輪2、自在輪3、センサ4、制御部5、及び受信部6を備えている。
本実施形態においては、駆動輪2は、無人搬送車1の進行方向Rを前方としたときに、前方右側と後方左側にそれぞれ1つずつが設けられている。駆動輪2は、互いに独立して旋回し、駆動することが可能となるように設けられている。
自在輪3は、無人搬送車1の前方左側と後方右側に設けられている。自在輪3は、2つの駆動輪2と共に無人搬送車1を支持可能となるように設けられている。自在輪3は、2つの駆動輪2により無人搬送車1が進行方向を変更するのに伴い、水平面内で自在に回動してこれに追従する。
【0016】
制御部5は、後述する経路データに従って、無人搬送車1を走行制御する。経路データは後述する経路データ作成システム10により作成されて、受信部6を介して制御部5内に記憶される。
制御部5は、本実施形態においては、磁気誘導により無人搬送車1を走行制御する。このため、予め規定された走行経路に沿って磁気テープ等の発磁体が誘導路7として敷設されている。センサ4は、例えば磁気センサであり、このセンサ4により発磁体を検知することにより、制御部5は誘導路7に従って無人搬送車1を誘導し走行させる。
【0017】
誘導路7の近傍には、マークMが設けられている。本実施形態においては、マークMは磁気を発する磁気マークである。マークMは、無人搬送車1の速度変更、停止、前進後進切り替え、無線通信に用いる使用帯域の変更等、無人搬送車1に何らかの動作を実行させたい場所に設けられる。無人搬送車1は、誘導路7に従って走行中に、センサ4がマークMを検出すると、検出されたマークMに対応付けられた動作を実行するように設定されている。
【0018】
経路データは、上記のような、誘導路7やマークMに関する情報を備えている。作業者は、経路データ作成システム10を用いて、この経路データを作成する。
経路データ作成システム10は、情報処理装置11、入力部13、表示部16、及び送信部17を備えている。
情報処理装置(コンピュータ)11は、中央演算処理装置やメモリ等を搭載した、スタンドアロンコンピュータ等である。
入力部13は、キーボード14とマウス15を備えており、これらを介して作業者は経路データを情報処理装置11上で編集する。
表示部16はディスプレイ等であり、編集中の、あるいは編集が終了した経路データを表示する。
送信部17は、編集が終了した経路データを外部へ送信する。
【0019】
本実施形態における、無人搬送車の経路データ作成支援プログラム20は、無人搬送車1の経路データを作業者が編集、作成するにあたり、これを支援するプログラムである。経路データ作成支援プログラム20は、ソフトウェアとして情報処理装置11内に格納されて、情報処理装置11により実行される。
まず、経路データをより詳細に説明する。経路データ作成支援プログラム20により作成支援される経路データは、誘導路データ、マーク位置データ、及びマーク配置リストを備えている。図2は、誘導路データ31及びマーク位置データ32の例の説明図であり、図3図2に示される誘導路データ31及びマーク位置データ32に対応する、マーク配置リスト33の説明図である。
【0020】
誘導路データ31は、無人搬送車1が走行する経路の位置を示すデータである。図2に示される例においては、誘導路データ31は、第1~第4の直線部7a、7c、7e、7fと、これら直線部7a、7c、7e、7f間に設けられて方向を変えながら直線部7a、7c、7e、7fを繋ぐ第1及び第2湾曲部7b、7dを備えている。
本例においては、無人搬送車1は、図2において右下に示される始点SPから出発し、第1直線部7aを左向きに走行した後に第1湾曲部7bを介し進行方向を略90度変えて、第2直線部7cを上向きに走行する。無人搬送車1は第2直線部7cを走行した後に、第2湾曲部7dを介して第1直線部7aと略平行に設けられた第3直線部7eを右向きに走行して、中間点MPに到達し、一旦停止する。その後、無人搬送車1は、第3直線部7eを左向きに逆走、後進し、第3直線部7eが第2湾曲部7dとの接合部から更に左方向へ延伸するように設けられた第4直線部7fを更に後進して終点EPへ到達し、動作を終了する。
【0021】
図2に示されるように、マーク位置データ32は、誘導路7上に設けられたマークMの位置を示すデータである。本例においては、7個のマークMが誘導路7に設けられている。
各マークMには、上記のような始点SPから始まり終点EPに至るまでの無人搬送車1の進行方向の順番に、M~Mの番号が付与されている。マークM、Mは、誘導路7の第1直線部7a近傍に設けられている。マークM、Mは、誘導路7の第2直線部7c近傍に設けられている。マークMは、誘導路7の第3直線部7e近傍に、特に中間点MPの近くに設けられている。マークMは、誘導路7の第4直線部7f近傍に、特に終点EPの近くに設けられている。
マークM、M、M、M、Mは、誘導路7の片側にのみ設けられており、マークMは、誘導路7の両側に設けられている。
【0022】
既に説明したように、無人搬送車1はマークMを検出すると、検出されたマークMに対応付けられた動作を実行するように設定されている。図3に示されるようなマーク配置リスト33には、この、各マークMに対して無人搬送車1が実行すべき動作が指定されている。
より詳細には、マーク配置リスト33には、「マーク番号」、「配置」、「動作変更内容」の3つの項目が、各マークMに対して登録されている。
項目「マーク番号」には、マーク位置データ32において説明した、各マークMに付与された番号M~Mが登録されている。
【0023】
項目「配置」には、各マークMの誘導路7に対する相対的な位置関係が登録されている。本実施形態においては、この相対的な位置関係は、誘導路7の進行方向に対して各マークMが左側に位置するか、右側に位置するか、または両側に位置するかの左右位置である。図3に示されるマーク配置リスト33においては、マークMが進行方向の左側に在る場合には「L」の値が、右側に在る場合には「R」の値が、及び両側に在る場合には「W」の値が、それぞれ登録されている。
マーク配置リスト33において、マークMは、無人搬送車1が辿る順に登録されている。無人搬送車1は、このようなマーク配置リスト33を基に走行する。すなわち、無人搬送車1は、マーク配置リスト33を参照することで走行中に次に検出すべきマークMが誘導路7に対して左右あるいは両側のどの位置に在るべきかを把握可能であり、これと異なる位置にマークMを検出した場合にはマークMを誤って検出したと判断し、異常停止する。これにより、無人搬送車1の信頼性の高い誘導が可能となっている。
【0024】
項目「動作変更内容」には、無人搬送車1が各マークMを検出した際に実行すべき動作が登録されている。図3に示されるマーク配置リスト33においては、無人搬送車1がマークM及びマークMを検出した場合には、走行速度を高速とするように設定されている。無人搬送車1がマークM及びマークMを検出した場合には、走行速度を低速とするように設定されている。無人搬送車1がマークMを検出した場合には、一時停止した後に、高速で後進するように設定されている。無人搬送車1がマークMを検出した場合には、停止するように設定されている。
【0025】
上記のような誘導路データ31、マーク位置データ32、及びマーク配置リスト33により、経路データ30が構成されている。
経路データ作成支援プログラム20は、作業者によるこのような経路データ30の作成を支援するものである。
図4は、経路データ作成支援プログラム20のブロック図である。経路データ作成支援プログラム20は、入力機能21とマーク配置リスト自動生成機能22を備えており、情報処理装置11にこれらを実現、実行させる。
【0026】
入力機能21は、作業者による誘導路7及び複数のマークMの入力を支援する。すなわち、入力機能21は、経路データ作成システム10の入力部13を用いて、作業者に、誘導路データ31とマーク位置データ32を入力させる。
誘導路データ31及びマーク位置データ32を入力機能21により入力する際には、経路データ作成支援プログラム20は、表示部16に、無人搬送車1を走行させる場所の地図を表示する。作業者は、この地図上の、無人搬送車1を走行させたい場所に誘導路7を描画することにより、誘導路データ31を入力する。例えば、作業者は、各直線部7a、7c、7e、7f及び各湾曲部7b、7dの始点と終点をマウス15で指定して誘導路データ31を構成する各部分を入力することにより、誘導路7を入力する。
【0027】
作業者は、上記のように描画した誘導路7上の、無人搬送車1に何らかの動作を実行させたい場所にマークMを描画することにより、マーク位置データ32を入力する。例えば、作業者は、誘導路7の左右あるいは両側の、マークMを設置したい場所をマウス15で指定することにより、マークMを設置する。
更に作業者は、設置した全てのマークMに対し、無人搬送車1の進行方向の順番に、昇順に番号M~Mを付与する。番号は、各マークMをマウス15で選択して番号をキーボード14により入力することにより付与されてもよいし、小さい番号から順番にマークMをマウス15でクリックすることにより自動的に付与されてもよい。
【0028】
入力機能21はまた、マーク配置リスト33の編集を可能とする。基本的にはマーク配置リスト33は、次に説明するマーク配置リスト自動生成機能22により自動生成される。しかし、本実施形態においては、マーク配置リスト自動生成機能22は、マーク配置リスト33の「動作変更内容」項目を空欄の状態で出力する。このため、作業者は、自動生成されたマーク配置リスト33の「動作変更内容」項目を、入力機能21を介して入力する。作業者は、入力機能21により、自動生成されたマーク配置リスト33の、マーク配置リスト自動生成機能22により自動設定された項目を編集し、自動設定された内容とは異なる内容にすることもできる。
【0029】
マーク配置リスト自動生成機能22は、上記のように入力機能21を介して入力された誘導路データ31及びマーク位置データ32を基に、マーク配置リスト33を自動的に生成する。
マーク配置リスト自動生成機能22は、マーク読取り指定機能23、座標計算機能24、直近誘導路導出機能25、相対位置導出機能26、及びマーク配置リスト出力機能27を備えている。経路データ作成支援プログラム20は、情報処理装置11に、これらの各機能を実現、実行させる。
【0030】
マーク読取り指定機能23は、作業者に、マーク配置リスト33として自動生成する対象の経路の始点となるマークMの番号と終点となるマークMの番号、及び進行方向を設定させる。図5は、マーク読取り指定機能23により作業者に入力を促す際の画面の模式的な説明図である。
マーク読取り指定機能23は、マーク番号指定リスト40、進行方向選択ボタン41、及びマーク読取りボタン42を表示部16に表示する。
【0031】
作業者は、マーク番号指定リスト40に、マーク配置リスト33として自動生成する対象の経路の始点となるマークMの番号と終点となるマークMの番号を入力する。マーク番号指定リスト40の項目「From」には始点となるマークMの番号すなわち開始番号が、項目「To」には終点となるマークMの番号すなわち終了番号が、それぞれ入力される。
作業者は、進行方向選択ボタン41により、無人搬送車1の進行方向を入力する。進行方向選択ボタン41はラジオボタンとして実現されており、「前進」と「後進」のいずれかが選択できるようになっている。
【0032】
上記の設定が終了した後、作業者がマーク読取りボタン42を押下すると、以下に順次説明するようなマーク配置リスト33の自動生成処理が実行される。すなわち、以下に説明する座標計算機能24、直近誘導路導出機能25、相対位置導出機能26、及びマーク配置リスト出力機能27の各処理によって、マーク番号指定リスト40に指定された開始番号から終了番号までのマークMを検索し、探索された各マークMに関するマーク配置リスト33を自動生成する。その際に、誘導路7とマークMの位置関係から、誘導路7の進行方向に向かって各マークMがどちら側に在るのかを判定する。
【0033】
座標計算機能24は、入力機能21を介して作業者により入力された誘導路データ31とマーク位置データ32を、例えば地図上の座標系によりデータ化しリストとして保持する。図6は、図2に示された例に対する座標計算機能24の処理結果を示す説明図である。
【0034】
座標計算機能24は、まず、誘導路データ31を、進行方向の向きを備える複数のベクトルに分解する。図2に示された誘導路7は、第1~第4の直線部7a、7c、7e、7fと、第1及び第2湾曲部7b、7dを備えていたが、座標計算機能24は、誘導路7を、この各々に対応する複数のセグメント(誘導路セグメント)45a~45fに分割する。
セグメント45aは、第1直線部7aに相当するセグメント45であり、地図上の座標系における座標A(x、y)すなわち始点SPから、地図上の座標系における座標B(x、y)へと向かうベクトルとして表わされる。セグメント45bは、第1湾曲部7bに相当するセグメント45であり、座標B(x、y)から座標C(x、y)へと向かうベクトルとして表わされる。このように、誘導路7においては湾曲して表されていた部分は、内部データにおいては、座標計算機能24によって、湾曲部の始点から終点へ向かうベクトルへと変換される。同様に、セグメント45c、45d、45e、45fは、第2直線部7c、第2湾曲部7d、第3直線部7e、第4直線部7fの各々に相当するセグメント45であり、図6に示されるように、それぞれ、座標C(x、y)、D(x、y)、E(x、y)、F(x、y)、G(x、y)によりベクトルとして表わされる。
このように、経路データ作成支援プログラム20は、誘導路7をセグメント45に分解して誘導路7が複数のセグメント45から構成されていると見做す。すなわち、経路データ作成支援プログラム20は、誘導路7を処理対象とする場合においては、実際には、各セグメント45に対して処理を行う。
座標計算機能24は、これらの各セグメント45のベクトルデータを、リストとして、図示されない記憶部に保持する。
【0035】
座標計算機能24は、マーク位置データ32に登録されている各マークMの地図上の座標系における座標値を計算する。図6においては、マークMの座標値は、座標M(x、y)となっている。同様に、マークM、M、M、Mの座標値は、それぞれ、座標M(x、y)、M(x、y)、M(x、y)、M(x、y)となっている。
図2に示されるように、マークMは2つ有り、これらは誘導路7の両側に設けられている。このように、同じ番号が付与されたマークMが有る場合は、これらは対応するものであり誘導路7の両側に設けられているものとして、誘導路7に対するマークMの相対的な位置情報、すなわち図3に示されるマーク配置リスト33において当該マークMの「配置」を「W」と確定し、任意の一方のマークMは考慮せずに以下の処理を行う。したがって、図6においては、マークMは、座標M(x、y)として図6上で誘導路7の下側に示された一方のみが図示されている。
座標計算機能24は、これらの各マークMの座標データをマーク位置データ32として、例えば図7に示されるようなリストとして保持する。本リストには、各マークMに付与された番号と、対応する座標値が登録されている。
【0036】
直近誘導路導出機能25は、複数のマークMの各々に対し、当該マークMに最も近い誘導路7のベクトル、すなわちセグメント45を、直近誘導路として導出する。
より詳細には、直近誘導路導出機能25は、複数のマークMの各々に対し、当該マークMから複数のセグメント45a、45c、45e、45fの各々に対して垂線を設けてその長さを計算し、この垂線の長さが最も短いセグメント45を、マークMに対する直近誘導路とする。
【0037】
図8(a)は、直近誘導路導出機能25の動作の説明図である。また、図8(b)、(c)は、後続の相対位置導出機能26の動作の説明図である。図8中の各図においては、セグメント45aと、これらの近傍に設けられた、マークM、Mの周辺のみが拡大して示されている。
図8(a)には、マークMに対し、これに最も近いセグメント45が、座標Aから座標Bへと向かうベクトルに対応するセグメント45aである場合が示されている。図8(a)において、マークMのセグメント45aに対する垂線が破線で示されており、垂線の足が座標M´として示されている。
【0038】
直近誘導路導出機能25は、各マークMに対して総当たり的に、すなわち、全てのセグメント45に対する垂線の長さを計算して直近誘導路を導出してもよいが、セグメント45及びマークMの量が多い場合には特に、より効率的に直近誘導路を導出するのが望ましい。
例えば、地図データを複数の小領域に格子状に分割し、各小領域に内包されるセグメント45やマークMを各小領域に対応付けて把握し、各マークMに対する直近誘導路の導出対象を、当該マークMが内包される同じ小領域に含まれるセグメント45に限定することで、計算量を低減可能である。
【0039】
相対位置導出機能26は、上記のようにして得られた結果を基に、複数のマークMの各々の、誘導路7すなわち直近誘導路に対する相対的な位置関係を導出する。本実施形態においては、相対位置導出機能26は、相対的な位置関係として、誘導路7の進行方向すなわち直近誘導路のベクトルの方向に対して、複数のマークMの各々が左側に位置するか、右側に位置するか、または両側に位置するかの左右位置を判定する。
【0040】
相対位置導出機能26は、まず、複数のマークMの各々に対し、当該マーク近傍における誘導路の進行方向を向く経路ベクトルを計算する。本実施形態においては、進行方向の順に並べられたマークMを順に辿った際に、連続する2つのマークMの位置関係により、経路ベクトルの計算及び以降の処理内容が異なっている。ここではまず、図8(b)に示されるマークMとMのように、連続する2つのマークMの直近誘導路が同一のセグメント45である場合を説明する。
図8(b)に示されるような場合においては、相対位置導出機能26は、マークMのセグメント45aに対する垂線の足である座標M´を基点とし、この基点から、マークMのセグメント45aに対する垂線の足である座標M´へと向かうベクトルを、経路ベクトルRVとして計算する。
【0041】
相対位置導出機能26は、次に、図8(c)に示されるように、各マークM、Mに対応する方向ベクトルDV、DVを計算する。より詳細には、相対位置導出機能26は、経路ベクトルRVの基点M´から、各マークM、Mに向かうベクトルを、方向ベクトルDV、DVとして計算する。すなわち、マークMの方向ベクトルDVは座標M´から座標Mへ向かうベクトルとなり、マークMの方向ベクトルDVは座標M´から座標Mへ向かうベクトルとなる。
【0042】
相対位置導出機能26は、更に、経路ベクトルRVと、各方向ベクトルDV、DVとの外積を計算する。
図8(c)に示される場合においては、経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積は、誘導路7の設けられた平面すなわち紙面に対する鉛直軸上で、右手座標系において手前側、すなわち正方向を向いている。このような場合に、相対位置導出機能26は、方向ベクトルDVに対応するマークMが直近誘導路の、すなわち誘導路7の左側に位置すると判定する。
また、図8(c)に示される場合においては、経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積は、誘導路7の設けられた平面すなわち紙面に対する鉛直軸上で、右手座標系において奥側、すなわち負方向を向いている。このような場合に、相対位置導出機能26は、方向ベクトルDVに対応するマークMが直近誘導路の、すなわち誘導路7の右側に位置すると判定する。
【0043】
このように、相対位置導出機能26は、複数のマークMの各々に対し、当該マークM近傍における誘導路7の進行方向を向く経路ベクトルRVと、当該経路ベクトルRV上に設けられた基点M´から当該マークM、Mを向く方向ベクトルDV、DVとの外積を計算し、外積の方向により左右位置を導出する。
そして、相対位置導出機能26は、誘導路7の設けられた平面に対する鉛直軸において、外積が正方向であれば当該マークMは誘導路7の左側に位置し、負方向であれば右側に位置すると判定する。
このとき、上記のように基点M´は、例えば図8(c)のマークMの場合には当該マークMの誘導路7に対する垂線の足M´であり、マークMの場合には当該マークMに隣接するマークMの、誘導路7に対する垂線の足M´である。
【0044】
次に、図9を用いて、連続する2つのマークMの直近誘導路が異なるセグメント45である場合の、相対位置導出機能26の動作を説明する。
例えば図2に示されるように、マークMは進行方向において誘導路7の湾曲した後の場所に位置している。このような場合においては、図9(a)に示されるように、マークMの直近誘導路はセグメント45cである一方で、直前のマークMの直近誘導路はセグメント45aとなり、連続する2つのマークMとMの直近誘導路が異なるという状況が発生する。
このような場合において、相対位置導出機能26は次のようにマークMの位置を判定する。
【0045】
まず、相対位置導出機能26は、図9(a)に示されるように、これら2つのマークMとMの各々の直近誘導路すなわちセグメント45a、45cを、これらセグメント45a、45cが共に接続している湾曲部に相当するセグメント45bの方向に延伸させて、2つの直近誘導路の交点O(x、y)を導出する。
次に、相対位置導出機能26は、図9(b)に示されるように、2つの直近誘導路の交点O(x、y)を基点とし、この基点から、マークMのセグメント45cに対する垂線の足である座標M´へと向かうベクトルを、マークMの位置を判定する際の経路ベクトルRVとして計算する。
【0046】
相対位置導出機能26は、更に、図9(c)に示されるように、マークMに対応する方向ベクトルDVを計算する。この場合においては、相対位置導出機能26は、経路ベクトルRVの基点OからマークMに向かうベクトルを、方向ベクトルDVとして計算する。すなわち、マークMの方向ベクトルDVは座標Oから座標Mへ向かうベクトルとなる。
その上で相対位置導出機能26は、上記と同様な要領で経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積を計算し、これを基にマークMの左右位置を導出する。この場合においては、経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積は、誘導路7の設けられた平面すなわち紙面に対する鉛直軸上で、右手座標系において手前側、すなわち正方向を向いている。したがって、相対位置導出機能26は、方向ベクトルDVに対応するマークMが直近誘導路の、すなわち誘導路7の左側に位置すると判定する。
【0047】
このように、相対位置導出機能26は、マークMが進行方向において誘導路7の湾曲した後の場所に位置する場合に、基点を、湾曲部7b、7dを挟んで方向を変えて設けられている2本の直線部7a、7c、7eの各々を、湾曲部7b、7dの方向に延伸させた交点として処理を行う。
【0048】
マーク配置リスト出力機能27は、相対位置導出機能26によって判定された各マークMの誘導路7に対する相対的な位置情報を、マークMに対応付けて、図3に示されるマーク配置リスト33として出力する。
既に説明したように、マーク配置リスト出力機能27は、「動作変更内容」の項目を空欄とした状態でマーク配置リスト33を出力する。この「動作変更内容」の項目には、入力機能21を介して作業者により適切な内容が入力される。
【0049】
次に、図1図9、及び図10を用いて、上記の無人搬送車の経路データ作成支援方法を説明する。図10は、無人搬送車の経路データ作成支援方法のフローチャートである。
本経路データ作成支援方法においては、情報処理装置11が、複数のマークの各々の誘導路に対する相対的な位置関係を導出する。
【0050】
処理が開始されると(ステップS0)、入力機能21は、表示部16に、無人搬送車1を走行させる場所の地図を表示する。作業者は、この地図上の、無人搬送車1を走行させたい場所に誘導路7を描画することにより、誘導路データ31を入力する(ステップS2)。
また、作業者は、上記のように描画した誘導路7上の、無人搬送車1に何らかの動作を実行させたい場所にマークMを描画することにより、マーク位置データ32を入力する。
【0051】
誘導路データ31及びマーク位置データ32の入力が完了すると、マーク読取り指定機能23は、作業者に、マーク配置リスト33として自動生成する対象の経路の始点となるマークMの番号と終点となるマークMの番号、及び進行方向を設定させる(ステップS4)。
作業者がマーク読取りボタン42を押下すると、マーク配置リスト33の自動生成処理が実行される。
【0052】
まず、座標計算機能24が、入力機能21を介して作業者により入力された誘導路データ31とマーク位置データ32を、例えば地図上の座標系によりデータ化しリストとして保持する(ステップS6)。
より詳細には、座標計算機能24は、まず、誘導路データ31を、進行方向の向きを備える複数のベクトルに分解する。座標計算機能24は、これらの各セグメント45のベクトルデータを、リストとして図示されない記憶部に保持する。
また、座標計算機能24は、マーク位置データ32に登録されている各マークMの地図上の座標系における座標値を計算する。
【0053】
次に、直近誘導路導出機能25が、複数のマークMの各々に対し、当該マークMに最も近い誘導路7のベクトル、すなわちセグメント45を、直近誘導路として導出する(ステップS8)。
より詳細には、直近誘導路導出機能25は、複数のマークMの各々に対し、当該マークMから複数のセグメント45a、45c、45e、45fの各々に対して垂線を設けてその長さを計算し、この垂線の長さが最も短いセグメント45を、マークMに対する直近誘導路とする。
【0054】
更に、相対位置導出機能26が、上記のようにして得られた結果を基に、複数のマークMの各々の、誘導路7すなわち直近誘導路に対する相対的な位置関係を導出する(ステップS10)。本実施形態においては、相対位置導出機能26は、相対的な位置関係として、誘導路7の進行方向すなわち直近誘導路のベクトルの方向に対して、複数のマークMの各々が左側に位置するか、右側に位置するか、または両側に位置するかの左右位置を判定する。
より詳細には、相対位置導出機能26は、複数のマークMの各々に対し、当該マークM近傍における誘導路7の進行方向を向く経路ベクトルRVと、当該経路ベクトルRV上に設けられた基点から当該マークMを向く方向ベクトルDVとの外積を計算し、外積の方向により左右位置を導出する。
そして、相対位置導出機能26は、誘導路7の設けられた平面に対する鉛直軸において、外積が正方向であれば当該マークMは誘導路7の左側に位置し、負方向であれば右側に位置すると判定する。
【0055】
相対位置導出機能26による判定処理が終了すると、マーク配置リスト出力機能27が、相対位置導出機能26によって判定された各マークMの誘導路7に対する相対的な位置情報を、マークMに対応付けて、図3に示されるマーク配置リスト33として出力する(ステップS12)。
最後に、作業者が、空欄として出力された「動作変更内容」の項目を編集し、マーク配置リスト33を完成させ(ステップS14)、処理が終了する(ステップS16)。
【0056】
完成されたマーク配置リスト33は、経路データ作成システム10の送信部17、及び無人搬送車1の受信部6を介し、無人搬送車1内に格納される。
無人搬送車1は、実際に誘導路7に沿って走行する際に、マーク配置リスト33を参照し、検出したマークMの位置がマーク配置リスト33の「配置」項目に登録された内容と一致するか否かを判定する。無人搬送車1は、走行中に検出したマークMの位置が、マーク配置リスト33の「配置」項目に登録された内容と異なる場合に、異常停止する。
【0057】
次に、上記の無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法の効果について説明する。
【0058】
本実施形態においては、無人搬送車1は、規定された誘導路7に従って走行し、誘導路7の近傍に設けられたマークMを検出すると、マークMに対応付けられた動作を実行し、本実施形態の無人搬送車1の経路データ作成支援プログラム20においては、情報処理装置11に、上記のような無人搬送車1を対象とするものであって、複数のマークMの各々の誘導路7に対する相対的な位置関係を導出する相対位置導出機能26を実現させる。
上記のような構成によれば、相対位置導出機能26が複数のマークMの各々の誘導路7に対する相対的な位置関係を導出する。このため、作業者が経路データ作成支援プログラム20を使用して、マークMと誘導路7における当該マークMの相対的な位置関係を対応付けたマーク配置リスト33を作成するに際し、これらの位置関係を判断する必要がない。このため、マークMの位置指定が容易であり、なおかつ、位置指定時の人為的な誤りを低減可能である。
【0059】
また、相対位置導出機能26は、相対的な位置関係として、誘導路7の進行方向に対して複数のマークMの各々が左側に位置するか、右側に位置するか、または両側に位置するかの左右位置を判定する。
上記のような構成によれば、相対位置導出機能26が複数のマークMの各々の誘導路7に対する左右位置を導出する。このため、作業者が経路データ作成支援プログラム20を使用して、マークMと誘導路7における当該マークMの左右位置を対応付けたマーク配置リスト33を作成するに際し、これらの位置関係を判断する必要がない。このため、マークMの位置指定が容易であり、なおかつ、位置指定時の人為的な誤りを低減可能である。
【0060】
また、相対位置導出機能26は、複数のマークMの各々に対し、当該マークM近傍における誘導路7の進行方向を向く経路ベクトルRVと、当該経路ベクトルRV上に設けられた基点から当該マークMを向く方向ベクトルDVとの外積を計算し、外積の方向により左右位置を導出する。
上記のような構成によれば、ベクトルRV、DV及びこれらの外積の計算によりマークMの左右位置を導出できる。したがって、マークMの左右位置の判定が確実であり、かつ容易である。
【0061】
また、相対位置導出機能26は、誘導路7の設けられた平面に対する鉛直軸において、外積が正方向であれば当該マークは誘導路の左側に位置し、負方向であれば右側に位置すると判定する。
上記のような構成によれば、マークMの左右位置の判定が確実であり、かつ容易である。
【0062】
また、基点は、当該マークまたは当該マークに隣接するマークの、誘導路7に対する垂線の足である。基点は、例えば図8(c)のマークMの場合には当該マークMの誘導路7に対する垂線の足であり、マークMの場合には当該マークMに隣接するマークMの、誘導路7に対する垂線の足である。
上記のような構成によれば、各マークMに関する演算を行うに際し、各ベクトルRV、DVの基点を、誘導路7上の当該マークMまたは隣接するマークMに最も近い位置である垂線の足とすることで、ベクトルRVとベクトルDVの間の角度を大きくすることができる。このため、計算時の誤差と、及びこれに起因する判定不良を低減可能である。
【0063】
また、当該マークMが進行方向において誘導路7の湾曲した後の場所に位置する場合に、基点は、湾曲部7b、7dを挟んで方向を変えて設けられている2本の直線部7a、7c、7eの各々を、湾曲部7b、7dの方向に延伸させた交点Oである。
上記のような構成によれば、連続する2つのマークMの直近誘導路が異なる場合であっても、正確な演算が可能である。
【0064】
また、誘導路7は、複数のセグメント(誘導路セグメント)45a~45fから構成され、情報処理装置11に、複数のマークMの各々に対し、当該マークMに最も近いセグメント45a~45fを直近誘導路として導出する直近誘導路導出機能25を実現させ、相対位置導出機能26は、当該マークMに対して導出された直近誘導路に対して相対的な位置関係を導出する。
上記のような構成によれば、各マークMが誘導路7に対してどのような位置に在るのかを判定するに際し、誘導路7を複数のセグメント45a~45fに分割した際の最も近いセグメント45a~45fを直近誘導路として、これに対する相対的な位置関係を導出する。このため、作業者がマークMを誘導路7上に設けた際に、誘導路7上のどの位置にマークMを設置しようとしたのかを、正確に判断することが可能である。
【0065】
また、直近誘導路導出機能25は、複数のマークMの各々に対し、当該マークMから複数のセグメント45a~45fの各々に対する垂線の長さを計算し、当該垂線の長さが最も短いセグメント45a~45fを当該マークMに対する直近誘導路とする。
上記のような構成によれば、直近誘導路の正確な導出が可能である。
【0066】
また、経路データ作成支援プログラム20は、情報処理装置11に、誘導路7及び複数のマークMを入力する入力機能21を実現させる。
上記のような構成によれば、作業者が容易に誘導路7及び複数のマークMを入力することができる。
【0067】
また、情報処理装置11に、複数のマークMに対して導出された相対的な位置関係を、マークMに対応付けてマーク配置リスト33として出力するマーク配置リスト出力機能27を実現させる。
上記のような構成によれば、経路データ作成支援プログラム20を用いた計算結果を、マーク配置リスト33として容易に取り出し、無人搬送車1に送信可能である。
【0068】
[実施形態の第1変形例]
次に、図11を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法の第1変形例を説明する。図11は、本第1変形例における相対位置導出機能の動作の説明図である。本第1変形例における相対位置導出機能は、上記実施形態の経路データ作成支援プログラム20の相対位置導出機能26とは、ベクトルRV、DVの基点が異なっている。
【0069】
上記実施形態においては、各ベクトルRV、DVの基点を、マークMまたは当該マークMに隣接するマークMの、誘導路7に対する垂線の足としていた。また、マークMが進行方向において誘導路7の湾曲した後の場所に位置する場合に、すなわち連続する2つのマークMの直近誘導路が異なるセグメント45である場合に、基点を、湾曲部7b、7dを挟んで方向を変えて設けられている2本の直線部7a、7c、7eの各々を、湾曲部7b、7dの方向に延伸させた交点Oとして処理を行っていた。
これに対し、本変形例においては、各ベクトルRV、DVの基点を、マークMの直近誘導路として導出されたセグメント45上の任意の点としている。
【0070】
図11(a)は、本変形例における、連続する2つのマークMの直近誘導路が同一のセグメント45である場合の基点BPを説明する説明図である。図11(a)において、マークMの直近誘導路はセグメント45aであり、マークMのセグメント45aに対する垂線の足が座標M´として示されている。
この場合において、基点BPはマークMの直近誘導路であるセグメント45a上の任意の場所に設けられている。この基点BPから、座標M´へと向かうベクトルが、経路ベクトルRVとして計算される。また、基点BPから、座標Mへ向かうベクトルが、方向ベクトルDVとして計算される。
本変形例の相対位置導出機能は、上記のように計算された経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積を計算し、その結果を基に、マークMの相対的な位置を判定する。
【0071】
図11(b)は、本変形例における、連続する2つのマークMの直近誘導路が異なるセグメント45である場合の基点BPを説明する説明図である。図11(b)において、マークMの直近誘導路はセグメント45cであり、マークMのセグメント45cに対する垂線の足が座標M´として示されている。
この場合において、基点BPはマークMの直近誘導路であるセグメント45c上の任意の場所に設けられている。この基点BPから、座標M´へと向かうベクトルが、経路ベクトルRVとして計算される。また、基点BPから、座標Mへ向かうベクトルが、方向ベクトルDVとして計算される。
本変形例の相対位置導出機能は、上記のように計算された経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積を計算し、その結果を基に、マークMの相対的な位置を判定する。
【0072】
本第1変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0073】
[実施形態の第2変形例]
次に、図12を用いて、上記実施形態として示した無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法の第2変形例を説明する。図12は、本第2変形例における相対位置導出機能の動作の説明図である。本第2変形例における相対位置導出機能は、上記実施形態の経路データ作成支援プログラム20の相対位置導出機能26とは、ベクトルRV、DVの基点が異なっている。
より詳細には、本変形例においては、各ベクトルRV、DVの基点を、マークMの直近誘導路として導出されたセグメント45の始点としている。
【0074】
図12(a)は、本変形例における、連続する2つのマークMの直近誘導路が同一のセグメント45である場合の基点BPを説明する説明図である。図12(a)において、マークMの直近誘導路はセグメント45aであり、マークMのセグメント45aに対する垂線の足が座標M´として示されている。
この場合において、基点BPはマークMの直近誘導路であるセグメント45aの始点である座標A(x、y)に設けられている。この基点BPから、座標M´へと向かうベクトルが、経路ベクトルRVとして計算される。また、基点BPから、座標Mへ向かうベクトルが、方向ベクトルDVとして計算される。
本変形例の相対位置導出機能は、上記のように計算された経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積を計算し、その結果を基に、マークMの相対的な位置を判定する。
【0075】
図12(b)は、本変形例における、連続する2つのマークMの直近誘導路が異なるセグメント45である場合の基点BPを説明する説明図である。図12(b)において、マークMの直近誘導路はセグメント45cであり、マークMのセグメント45cに対する垂線の足が座標M´として示されている。
この場合において、基点BPはマークMの直近誘導路であるセグメント45cの始点である座標C(x、y)に設けられている。この基点BPから、座標M´へと向かうベクトルが、経路ベクトルRVとして計算される。また、基点BPから、座標Mへ向かうベクトルが、方向ベクトルDVとして計算される。
本変形例の相対位置導出機能は、上記のように計算された経路ベクトルRVと方向ベクトルDVの外積を計算し、その結果を基に、マークMの相対的な位置を判定する。
【0076】
本第2変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0077】
なお、本発明の無人搬送車の経路データ作成支援プログラム及び経路データ作成支援方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0078】
例えば、上記実施形態及び各変形例において、無人搬送車1は磁気誘導により走行制御されていたが、これに限られないことは言うまでもない。
例えば、無人搬送車が、走行経路に沿って電線を埋設して電流を流すことにより生じた磁界を検出して走行するように、電磁式の誘導方式によって誘導されても構わない。
また、無人搬送車が、走行経路に沿って路面上に設けられた光反射テープに対して光を照射し、反射波を受光することにより走行経路に沿って走行するように、光学式の誘導方式によって誘導されても構わない。
上記のいずれの誘導方式であっても、誘導路に沿ってマークを設けることにより、無人搬送車を上記実施形態及び各変形例と同様に制御可能である。したがって、上記実施形態及び各変形例における効果と同様な効果を奏するのは言うまでもない。
【0079】
同様に、無人搬送車が、レーザ誘導により誘導されている場合においても、上記実施形態及び各変形例と同様な経路データ作成支援プログラムを用いることが可能である。
レーザ誘導においては、予め走行経路に反射板が設置され、無人搬送車に搭載されたレーザレーダ等により反射板を検知することにより無人搬送車が誘導される。
この場合においては、実際の走行経路上には誘導路及びマークは配置されない。誘導路及びマークは、無人搬送車の内部に、仮想的な誘導路及び仮想的なマークとして保持されている。無人搬送車は、内部に保持された仮想的な誘導路を辿りながら自己位置を推定し、近辺に設けられた仮想的なマークを探索する。仮想的なマークが検出された場合に、無人搬送車は、自己位置や進行方向と仮想的なマークの位置を基に、マークが無人搬送車の左右どちら側に在るのかを判定する。より詳細には、無人搬送車は内部に、図7を用いて説明したようなリストを保持しており、これに登録されている座標値を基に、マークの判定を実行する。
このような場合であっても、上記実施形態及び各変形例で説明したような経路データ作成支援プログラムを適用可能であり、したがって、上記実施形態及び各変形例における効果と同様な効果を奏するのは言うまでもない。
【0080】
また、上記実施形態及び各変形例においては、相対位置導出機能26は、相対的な位置関係として、誘導路7の進行方向すなわち直近誘導路のベクトルの方向に対して、複数のマークMの各々の左右位置を判定し、マーク配置リスト33を自動生成した。これに伴い、無人搬送車1は、走行中に検出したマークMがマーク配置リスト33に登録された左右位置に一致するか判定した。ここで、相対位置導出機能は、左右位置に代えて、あるいは左右位置に加えて、誘導路7からのマークMの距離を測定し、これをマーク配置リストへ登録してもよい。
この場合には無人搬送車は、磁気誘導の場合においては、例えば複数のセンサを誘導路7から異なる距離の位置に設け、どのセンサが最も強くマークMを検出したかにより、誘導路7からのマークMの距離を推定し、これがマーク配置リストに登録された距離と一致するかを判定してもよい。
【0081】
また、上記第2変形例においては、各ベクトルRV、DVの基点を、マークMの直近誘導路として導出されたセグメント45の始点としていたが、これに限られず、セグメント45の終点としてもよいのは、言うまでもない。
【0082】
また、上記実施形態及び各変形例においては、マーク配置リスト出力機能27は、項目「動作変更内容」を空欄としてマーク配置リスト33を出力したが、これに限られない。例えば、入力機能21を用いて各マークMのマーク位置データ32を入力する際に、例えば各マークMの属性として、当該マークMで実行させたい無人搬送車1の動作を予め作業者が設定し、マーク配置リスト出力機能27は、この属性の内容を「動作変更内容」内に含めた状態でマーク配置リスト33を出力するようにしてもよい。
このようにした場合においては、マーク配置リスト33を出力する度に動作変更内容を入力する必要がなくなる。
【0083】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 無人搬送車
4 センサ
6 受信部
7 誘導路
7a、7c、7e、7f 直線部
7b、7d 湾曲部
10 経路データ作成システム
11 情報処理装置
13 入力部
14 キーボード
15 マウス
16 表示部
17 送信部
20 経路データ作成支援プログラム
21 入力機能
22 マークリスト自動生成機能
23 マーク読取り指定機能
24 座標計算機能
25 直近誘導路導出機能
26 相対位置導出機能
27 マーク配置リスト出力機能
33 マーク配置リスト
45 セグメント(誘導路セグメント)
M、M、M、M、M、M、M マーク
O 交点
R 進行方向
RV 経路ベクトル
DV、DV、DV、DV 方向ベクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12