(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】補助接点ユニット
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20220208BHJP
H01H 50/04 20060101ALI20220208BHJP
H01H 50/14 20060101ALI20220208BHJP
H01R 9/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H01H50/54 C
H01H50/04 C
H01H50/14 A
H01R9/00 B
(21)【出願番号】P 2018167006
(22)【出願日】2018-09-06
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】代島 英樹
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101563(JP,A)
【文献】特開2011-154865(JP,A)
【文献】特開2011-34972(JP,A)
【文献】特開2001-160431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00 - 50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁接触器に装着されるケースに補助回路端子部を備えた補助接点ユニットであって、
前記ケースは、上部ケースと、該上部ケースに上方から取り付けられる端子カバーと、前記上部ケースに下方から取り付けられ、前記電磁接触器に対するユニット側連結面を有する下部ケースとを備え、
前記補助回路端子部は、前記端子カバーに形成された電線挿入口と、電線が前記電線挿入口から前記上部ケース内に挿入される方向に沿って接点板部が一端に設けられている導電端子板と、前記上部ケース内に挿入された電線を弾性力で前記接点板部に押し付ける弾性部材とを備え、
前記上部ケースに、前記導電端子板の接点板部の、前記弾性力が作用する方向の背面側に位置する支持部を設け、
前記下部ケースに、前記接点板部と前記支持部との間に入り込み、前記接点板部の背面側を支持する支持板部を設け、
前記端子カバーに、前記下部ケースに設けた支持板部及び前記上部ケースに設けた支持部を前記弾性力が作用する方向の正面側及び背面側から挟み込んで固定する固定部を設けたことを特徴とする補助接点ユニット。
【請求項2】
前記下部ケースのユニット側連結面に設けられた可動フック部を備え、
該可動フック部が、前記電磁接触器の本体側連結面に形成した引掛け穴に係合することが可能な可動爪及び被押圧片を形成したフック部本体と、直線ばねとを備え、前記ユニット側連結面に形成した本体収容凹部に前記フック部本体をスライド自在に収容し、前記フック部本体のスライド方向に直交して前記ユニット側連結面に形成したばね収容凹部に、長さ方向の中間部を前記フック部本体に係合させて前記直線ばねを収容する構造とし、
前記フック部本体は、前記本体収容凹部内をスライドするスライド板と、該スライド板の下面から下方に突出して設けられ、下端側に前記可動爪をスライド方向に突出するように形成した係合部と、前記可動爪が突出している側の前記スライド板の一側面に設けられた前記被押圧片と、前記スライド板の一側面と逆側の他側面側に設けられ、前記直線ばねの長さ方向中央部に係合するとともに前記直線ばねの浮き上がりを防止するばね係合保持片とを備え、
前記スライド板の他側面は、前記係合部の前記可動爪が突出している側と逆側の面と面一になるように形成され、
前記スライド板の一側面には、前記フック部本体の重心位置を前記スライド板の他側面側から一側面側にずらす肉盛部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の補助接点ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器に装着される補助接点ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電流路を開閉する電磁接触器には、補助接点ユニットが装着されることがある。この補助接点ユニットは、一般に、ユニットケース本体の一側に設けられた一方側補助回路端子部と、ユニットケース本体の他方側に設けられた他方側補助回路端子部と、ユニットケース本体の内部に補助接点部とを備えている。そして、補助接点部は、補助可動接点と、一方側補助回路端子部に接続された第1補助固定接点及び他方側補助回路端子部に接続された第2補助固定接点とを有している。そして、補助可動接点が、電磁接触器の接点部に連動して動作し、第1補助固定接点及び第2補助固定接点が開閉されるようになっている。
そして、一方側補助回路端子部には例えば電源側に接続された電線が接続され、他方側補助回路端子部には例えば負荷側に接続された電線が接続される。
【0003】
この種の補助接点ユニットを装着する電磁接触器として、従来、例えば特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1に示す補助接点ユニットは、ユニットケース本体の一側に設けられた一方側補助回路端子部と、ユニットケース本体の他方側に設けられた他方側補助回路端子部と、ユニットケース本体の内部に補助接点部とを備えている。そして、一方側補助回路端子部及び他方側補助回路端子部は、同様の構成を有し、それぞれ、ユニットケース本体に固定される雌ねじ付きタブ端子部と、この雌ねじ付きタブ端子部に螺合するねじ付き端子部とを備えている。また、ねじ付き端子部は、端子板と、この端子板に取り付けられた雄ねじとを備えている。そして、電線の先端に接続された圧着端子が、雌ねじ付きタブ端子部とねじ付き端子部の端子板との間に挟持されることにより、雌ねじ付きタブ端子部に接続されるようになっている。
【0004】
一方、近年、回路遮断器や電磁接触器などの電気機器では、例えば、特許文献2に示すような電線を弾性保持する弾性部材を備えたスプリング端子が採用されてきている。
特許文献2に示すスプリング端子は、電気機器のケースに設けた電線挿入口と、ケース内に配置された導電端子板とを備えている。導電端子板は、電線が電線挿入口からケース内に挿入される方向に沿って接点板部が一端に設けられている。また、このスプリング端子は、ケース内に挿入された電線を弾性力で接点板部側に押し付ける弾性部材を備えている。このスプリング端子においては、電線を電線挿入口からケース内に挿入すると、弾性部材による弾性力で電線を接点板部側に押し付け、これにより電線を導電端子板に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-154865号公報
【文献】特許第5539809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年においては、特許文献2に示すようなスプリング端子を例えば特許文献1に示すような補助接点ユニットの一方側補助回路端子部及び他方側補助回路端子部に採用したいとの要望がある。
ここで、特許文献2に示すようなスプリング端子を補助接点ユニットの一方側補助回路端子部及び他方側補助回路端子部に採用した場合、ケース内に挿入された電線が弾性部材の弾性力によって導電端子板の接点板部に押し付けられる。このため、電線を導電端子板に接続した際に、導電端子板の接点板部が弾性部材の弾性力によって倒れ込んでしまい、適切な電線保持力を得られないおそれがある。
【0007】
従って、本発明はこの従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電線を導電端子板に接続した際に導電端子板の接点板部が弾性部材の弾性力によって倒れ込むのを防止することができる、補助回路端子部を備えた補助接点ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る補助接点ユニットは、電磁接触器に装着されるケースに補助回路端子部を備えた補助接点ユニットであって、前記ケースは、上部ケースと、該上部ケースに上方から取り付けられる端子カバーと、前記上部ケースに下方から取り付けられ、前記電磁接触器に対するユニット側連結面を有する下部ケースとを備え、前記補助回路端子部は、前記端子カバーに形成された電線挿入口と、電線が前記電線挿入口から前記上部ケース内に挿入される方向に沿って接点板部が一端に設けられている導電端子板と、前記上部ケース内に挿入された電線を弾性力で前記接点板部に押し付ける弾性部材とを備え、前記上部ケースに、前記導電端子板の接点板部の、前記弾性力が作用する方向の背面側に位置する支持部を設け、前記下部ケースに、前記接点板部と前記支持部との間に入り込み、前記接点板部の背面側を支持する支持板部を設け、前記端子カバーに、前記下部ケースに設けた支持板部及び前記上部ケースに設けた支持部を前記弾性力が作用する方向の正面側及び背面側から挟み込んで固定する固定部を設けたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る補助接点ユニットによれば、電線を導電端子板に接続した際に導電端子板の接点板部が弾性部材の弾性力によって倒れ込むのを防止することができる、補助回路端子部を備えた補助接点ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る補助接点ユニットを電磁接触器に装着した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す補助接点ユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す補助接点ユニットを前方斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す補助接点ユニットを後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】
図1に示す補助接点ユニットを前方斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示す補助接点ユニットを後方斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】
図1に示す補助接点ユニットを前後方向に沿って切断した断面図である。
【
図8】上部ケース11を前方斜め上方から見た斜視図である。
【
図9】
図1に示す補助接点ユニットに用いられる導電端子板の斜視図である。
【
図10】補助接点ユニットを前方斜め下方から見た斜視図であり、可動フック部を分解した状態で示している。
【
図11】フック部本体を前方斜め下方から見た斜視図である。
【
図12】フック部本体を後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図13】フック部本体の可動爪が引掛け穴に係合した状態を示す断面図である。
【
図14】
図1に示す補助接点ユニットを電磁接触器に装着した状態における電線引張試験の概要を示す説明図である。
【
図15】参考例に係る補助接点ユニットを電磁接触器に装着した状態を示す斜視図である。
【
図17】
図15に示す補助接点ユニットを前方斜め上方から見た斜視図である。
【
図18】
図15に示す補助接点ユニットを後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図19】
図15に示す補助接点ユニットを前方斜め下方から見た斜視図である。
【
図20】
図15に示す補助接点ユニットを後方斜め下方から見た斜視図である。
【
図21】
図15に示す補助接点ユニットを前後方向に沿って切断した断面図である。
【
図22】
図15に示す補助接点ユニットに用いられる導電端子板の斜視図である。
【
図23】補助接点ユニットを前方斜め下方から見た斜視図であり、可動フック部を分解した状態で示している。
【
図24】フック部本体を前方斜め下方から見た斜視図である。
【
図25】フック部本体を後方斜め上方から見た斜視図である。
【
図26】フック部本体の可動爪が引掛け穴に係合した状態を示す断面図である。
【
図27】
図15に示す補助接点ユニットを電磁接触器に装着した状態における電線引張試験の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
図1には、補助接点ユニット1を電磁接触器2に装着した状態が示されている。
ここで、電磁接触器2は、電流路を開閉するものであり、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体形状のケース本体5を備えている。電磁接触器2は、このケース本体5の前側及び後側のそれぞれに設けられた前側端子部3a及び後側端子部3bと、ケース本体5の前側及び後側のそれぞれに設けられた前側コイル端子部4a及び後側コイル端子部4bとを備えている。また、ケース本体5内には、図示しない可動接点と、前側端子部3a及び後側端子部3bのそれぞれに接続された図示しない固定接点とからなる接点部と、接点部を駆動する図示しない電磁石ユニットとが収納されている。そして、接点部は、図示しない消弧室内に収納され、この消弧室はケース本体5に装着される消弧カバー6によって覆われている。
【0013】
ここで、消弧カバー6は、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる矩形板状に形成され、その上面が補助接点ユニット1を連結する本体側連結面6aとされている。この本体側連結面6aには、補助接点ユニット1を装着するための複数の第1引掛け穴7a及び第2引掛け穴7b(
図13参照)が形成されている。第1引掛け7aは、
図1及び
図13に示すように、消弧カバー6の前側の長辺側縁部に寄った位置に形成され、第2引掛け穴7bは、
図13に示すように、消弧カバー6の後側の長辺側縁部に寄った位置に形成されている。
【0014】
また、補助接点ユニット1は、
図1、
図2及び
図7に示すように、電磁接触器2の本体側連結面6aに装着されるケース10を備えている。また、この補助接点ユニット1は、ケース10に設けられた複数(本実施形態にあっては4個)の前側補助回路端子部20a及び複数(本実施形態にあっては4個)の後側補助回路端子部20bを備えている。更に、補助接点ユニット1は、ケース10の内部に設けられた図示しない補助接点部を備えている。
ケース10は、
図1乃至
図7に示すように、上部ケース11と、上部ケース11に上方から取り付けられる端子カバー12と、上部ケース11に下方から取り付けられる下部ケース13とを備えている。
【0015】
上部ケース11は、
図8に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体形状に形成されている。上部ケース11は、前側に複数(本実施形態にあっては4個)の前側導電端子板収容空間11aを備えるとともに、後側に複数(本実施形態にあっては4個)の後側導電端子板収容空間11bを備えている。各前側導電端子板収容空間11a及び各後側導電端子板収容空間11bは、前後において対をなす位置に配置されている。各前側導電端子板収容空間11aには、前側補助回路端子部20aを構成する後述の前側弾性部材22a及び前側導電端子板23aが収容される。また、各後側導電端子板収容空間11bには、後側補助回路端子部20bを構成する後述の後側弾性部材22b及び後側導電端子板23bが収容される。
【0016】
そして、複数の前側導電端子板収容空間11aと複数の後側導電端子板収容空間11bとの間は、左右方向に延びる第1仕切り壁11cによって仕切られている。また、複数の前側導電端子板収容空間11aは、上部ケース11の左右方向に沿って一列状に配置され、隣接する前側導電端子板収容空間11a間は第2仕切り壁11dによって仕切られている。各前側導電端子板収容空間11aは、前側が開放している。また、複数の後側導電端子板収容空間11bも、上部ケース11の左右方向に沿って一列状に配置され、隣接する後側導電端子板収容空間11b間は第3仕切り壁11eによって仕切られている。各後側導電端子板収容空間11bは、後側が開放している。
【0017】
そして、各前側導電端子板収容空間11aにおいて、2組の第1圧入用突起11f及び第2圧入用突起11gが第1仕切り壁11cから前方に延びている。また、各後側導電端子板収容空間11bにおいても、図示はしないが第1仕切り壁11cから2組の第1圧入用突起11f及び第2圧入用突起11gが第1仕切り壁11cから後方に延びている。
また、各前側導電端子板収容空間11aに対応する第1仕切り壁11c及び各後側導電端子板収容空間11bに対応する第1仕切り壁11cには、圧入用孔11h及び接続板用スリット11iが形成されている。
【0018】
また、端子カバー12は、上部ケース11の上方を覆う形状に形成されて上部ケース11に上方から取り付けられる。端子カバー12の上部ケース11に形成された前側導電端子板収容空間11aに対応する位置には、
図2及び
図7に示すように、前側電線挿入口21aが形成されている。また、端子カバー12の上部ケース11に形成された後側導電端子板収容空間11bに対応する位置には、後側電線挿入口21bが形成されている。前側電線挿入口21aは、前側導電端子板収容空間11aに連通し、後側電線挿入口21bは、後側導電端子板収容空間11bに連通する。
更に、下部ケース13は、上部ケース11の下方部及び図示しない補助接点部を収容する上部ケース収容部13aを備え、上部ケース11に下方から取り付けられる。上部ケース収容部13aの下面は、電磁接触器2の本体側連結面6aが当接して電磁接触器2を連結するユニット側連結面13cとされている。
【0019】
次に、前側補助回路端子部20a及び後側補助回路端子部20bのそれぞれについて説明する。前側補助回路端子部20aは、いわゆるスプリング端子を採用し、
図2及び
図7に示すように、端子カバー12に形成された前述の前側電線挿入口21aと、前側導電端子板23aと、前側弾性部材22aとを備えている。また、後側補助回路端子部20bも、スプリング端子を採用し、
図7に示すように、端子カバー12に形成された前述の後側電線挿入口21bと、後側導電端子板23bと、後側弾性部材22bとを備えている。後側導電端子板23bは前側導電端子板23aと対称形状をなし、後側弾性部材22bは前側弾性部材22aと対称形状をなすため、それぞれの説明は省略する。
【0020】
ここで、前側導電端子板23aは、
図7及び
図9に示すように、略矩形状に形成され、前後方向及び左右方向に延びる基板部24と、基板部24の後端から下方に折り曲げられる略矩形状の垂下板部25とを備えている。前側導電端子板23aは、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することにより形成される。
ここで、基板部24の右端には、上部ケース11の一方の組の第1圧入用突起11f及び第2圧入用突起11g間に圧入される圧入部28が設けられている。また、基板部24の左端には、他方の組の第1圧入用突起11f及び第2圧入用突起11g間に圧入される圧入部28が設けられている。
【0021】
また、前側導電端子板23aは、垂下板部25の左端部から後方に折り曲げ形成された圧入板部26と、垂下板部25の右端部から後方に折り曲げ形成された接続板部27とを備えている。圧入板部26は、上部ケース11に形成された圧入用孔11hに圧入固定される。また、接続板部27は、上部ケース11に形成された接続板用スリット11i内に挿入される。
また、前側導電端子板23aは、基板部24の前端(請求項1における導電端子板の一端)から上方に折り曲げ形成された略矩形状の接点板部29を備えている。接点板部29は、前側導電端子板23aを上部ケース11に固定した際に、
図7に示すように、電線W(
図14参照)が前側電線挿入口21aから上部ケース11内に挿入される方向に沿って延びている。接点板部29の上縁の左右方向中央部には、上縁から下方に縦長に延びるスリット29cが形成され、このスリット29cを挟んで第1接点板部29a及び第2接点板部29bが形成されている。そして、第1接点板部29aには、左右方向に延び且つ後方に突出する第1接点29aaが形成され、第2接点板部29bには、左右方向に延び且つ後方に突出する第2接点29baが形成されている。
【0022】
また、前側弾性部材22aは、
図7に示すように、前側導電端子板収容空間11aにおける第1仕切り壁11cに固定される上下方向に延びる略矩形板状の固定部22aaを備えている。また、前側弾性部材22aは、固定部22aaの上端から湾曲部22abを介して前方斜め下方に延びる電線保持部22acを備えている。前側弾性部材22aは、弾性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。電線保持部22acは、端子カバー12に形成された前側電線挿入口21aから上部ケース11の各前側導電端子板収容空間11a内の接点板部29と電線保持部22acとの間に挿入された電線Wを、弾性力で接点板部29の第1接点29aa及び第2接点29abに押し付ける。これにより電線Wを保持する。電線Wが接点板部29の第1接点29aa及び第2接点29abに押し付けられることで、電線Wは前側導電端子板23aに接続される。
【0023】
また、電線Wが前側導電端子板23aに接続された状態で、湾曲部22abの近傍を上方から工具等によって押圧すると、電線保持部22acが変位して電線Wに対する押圧力が解除され、電線Wを引き抜くことができる。
そして、補助接点部は、図示はしないが、電磁接触器2の接点部に連動する補助可動接点を備えている。また、補助接点部は、前側補助回路端子部20aの前側導電端子板23aの接続板部27に接続された第1補助固定接点と、後側補助回路端子部20bの後側導電端子板23bの接続板部に接続された第2補助固定接点とを備えている。
【0024】
ここで、端子カバー12に形成された前側電線挿入口21aから上部ケース11の各前側導電端子板収容空間11a内の接点板部29と前側弾性部材22aとの間に挿入された電線Wは、前側弾性部材22aの弾性力によって前側導電端子板23aの接点板部29の第1接点29aa及び第2接点29abに押し付けられる。また、端子カバー12に形成された後側電線挿入口21bから上部ケース11の各後側導電端子板収容空間11b内の接点板部と後側弾性部材22bとの間に挿入された電線Wは、同様に後側弾性部材の弾性力によって後側導電端子板23bの接点板部の第1接点及び第2接点に押し付けられる。このため、電線Wを前側導電端子板23aあるいは後側導電端子板23bに接続した際に、前側導電端子板23aあるいは後側導電端子板23bの接点板部29が前側弾性部材22aあるいは後側弾性部材22bの弾性力によって倒れ込んでしまい、適切な電線保持力を得られないおそれがある。
【0025】
そこで、本実施形態に係る補助接点ユニット1にあっては、上部ケース11に、
図7に示すように、前側導電端子板23aの接点板部29の、弾性力が作用する方向(前方向)の背面側、即ち前側に位置する複数の前側の支持部11jを設けている。また、上部ケース11に、後側導電端子板23bの接点板部の、弾性力が作用する方向(後方向)の背面側、即ち後側に位置する複数の後側の支持部11jを設けている。前側の支持部11jは、
図8に示すように、各前側導電端子板収容空間11aにおいて、左右方向に隣接する第2仕切り壁11d間を橋渡すように設けられる。また、後側の支持部11jは、各後側導電端子板収容空間11bにおいて、左右方向に隣接する第3仕切り壁11e間を橋渡すように設けられる。
【0026】
また、下部ケース13には、
図7に示すように、前側導電端子板23aの接点板部29と前側の支持部11jとの間に入り込み、接点板部29の背面側、即ち前側を支持する複数の前側の支持板部13bが設けられている。また、下部ケース13には、同様に、
図7に示すように、後側導電端子板23bの接点板部と後側の支持部11jとの間に入り込み、接点板部の背面側、即ち後側を支持する複数の後側の支持板部13bが設けられている。前側の支持板部13bは、
図2乃至
図7に示すように、上部ケース収容部13aの前端上縁から上方に延び、左右方向に隣接する第2仕切り壁11d間に入り込んで前側導電端子板収容空間11aの前側を閉塞する。また、後側の支持板部13bは、
図2乃至
図7に示すように、上部ケース収容部13aの後端上縁から上方に延び、左右方向に隣接する第3仕切り壁11e間に入り込んで後側導電端子板収容空間11bの後側を閉塞する。
【0027】
更に、端子カバー12には、下部ケース13に設けた前側の支持板部13b及び上部ケース111に設けた前側の支持部11jを前側弾性部材22aによる弾性力が作用する方向の正面側(後側)及び背面側(前側)から挟み込んで固定する複数の固定部12cが設けられている。各固定部12cは、前側の支持板部13bを弾性力が作用する方向の正面側(後側)から背面側(前面側)に向けて押圧する傾斜面12aと、前側の支持部11jを弾性力が作用する方向の背面側(前面側)で支持する支持板部12bとを備えている。また、端子カバー12には、同様に、下部ケース13に設けた後側の支持板部13b及び上部ケース111に設けた後側の支持部11jを後側弾性部材22bによる弾性力が作用する方向の正面側(前側)及び背面側(後側)から挟み込んで固定する複数の固定部12cが設けられている。各固定部12cは、後側の支持板部13bを弾性力が作用する方向の正面側(前側)から背面側(後面側)に向けて押圧する傾斜面12aと、後側の支持部11jを弾性力が作用する方向の背面側(後面側)で支持する支持板部12bとを備えている。
【0028】
ここで、補助接点ユニット1の組立に際しては、前側補助回路端子部20aについて、端子カバー12及び下部ケース13を取り外した状態の上部ケース11の各前側導電端子板収容空間11aに、各前側導電端子板収容空間11aの上方から前側弾性部材22aを挿入する。そして、前側弾性部材22aの固定部22aaを第1仕切り壁11cに固定する。次いで、各前側導電端子板収容空間11aに、その前方から前側導電端子板23aを挿入し、前側導電端子板23aの圧入部28を第1圧入用突起11f及び第2圧入用突起11g間に圧入して固定する。また、同時に、圧入板部26を上部ケース11に形成された圧入用孔11hに圧入する。また、後側補助回路端子部20bについても同様に後側弾性部材22b及び後側導電端子板23bの上部ケース11への固定を行う。
次いで、上部ケース11に補助接点部を組み込むとともに、下部ケース13を上部ケース11の下方から取り付ける。この際に、下部ケース13に設けられた前側の支持板部13bを、
図7に示すように、前側導電端子板23aの接点板部29と前側の支持部11jとの間に入れ込む。また、下部ケース13に設けられた後側の支持板部13bを、
図7に示すように、後側導電端子板23bの接点板部と後側の支持部11jとの間に入れ込む。
【0029】
更に、端子カバー12を上部ケース11の上方から上部ケース11に取り付ける。この際に、前側の固定部12cにより、下部ケース13に設けた前側の支持板部13b及び上部ケース11に設けた前側の支持部11jを前側弾性部材22aによる弾性力が作用する方向の正面側(後側)及び背面側(前側)から挟み込んで固定する。また、後側の固定部12cにより、下部ケース13に設けた後側の支持板部13b及び上部ケース11に設けた後側の支持部11jを後側弾性部材22bによる弾性力が作用する方向の正面側(前側)及び背面側(後側)から挟み込んで固定する。
これにより、補助接点ユニット1が完成する。
そして、この補助接点ユニット1を電磁接触器2に装着した状態で、電線Wを前側電線挿入口21aから上部ケース11の各前側導電端子板収容空間11a内の接点板部29と電線保持部22acとの間に挿入する。すると、挿入された電線Wは、前側弾性部材22aの弾性力によって電線保持部22acにより前側導電端子板23aの接点板部29の第1接点29aa及び第2接点29abに押し付けられて前側導電端子板23aに接続される。
【0030】
この際に、下部ケース13に設けられた前側の支持板部13bが接点板部29の背面側、即ち前側を支持しているので、接点板部29が前側弾性部材22aの弾性力によって前側に倒れ込むことはない。そして、端子カバー12に設けられた固定部12cにより、下部ケース13に設けた前側の支持板部13b及び上部ケース11に設けた前側の支持部11jを弾性力が作用する方向の正面側(後側)及び背面側(前側)から挟み込んで固定している。このため、前側の支持板部13bも確実に固定されて前側弾性部材22aの弾性力によって前側に倒れ込むことはない。これにより、接点板部29の倒れ込みを確実に阻止することができ、適切な電線保持力を得ることができる。
なお、電線Wは、後側導電端子板23bにも接続されるが、その作用は前側導電端子板23aに接続される場合と同様なので、その説明は省略する。
【0031】
次に、補助接点ユニット1を電磁接触器2へ装着する構成及びその方法について、
図1、
図5及び
図6、及び
図10乃至
図13を参照して説明する。
図5及び
図6に示すように、下部ケース13の下面であるユニット側連結面13cには、前側の長辺側縁部に一対の固定フック部31が互いに所定間隔を置いて突出して設けられている。各固定フック部31には、下部ケース13のユニット側連結面13cから離間する方向に向く爪部31aが設けられている。各固定フック部31の爪部31aは、
図1及び
図13に示すように、補助接点ユニット1の下部ケース13を電磁接触器2の消弧カバー6に装着する際に、消弧カバー6の本体側連結面6aに形成された第1引掛け穴7aに係合する。
【0032】
また、ユニット側連結面13cには、後側の長辺側縁部に可動フック部32が設けられている。
この可動フック部32は、
図5、
図6及び
図10に示すように、フック部本体33と、直線ばね34とを備えている。また、可動フック部32は、ユニット側連結面13cに形成されてフック部本体33を前後方向にスライド自在に収容する本体収容凹部35と、ユニット側連結面13cに形成されて直線ばね34を収容するばね収容凹部36とを備えている。
ここで、本体収容凹部35は、
図10に示すように、下部ケース13のユニット側連結面13cの後側の長辺側縁部から前方に延びるように形成され、本体収容凹部35の後部側の下方は、停止部37aによって覆われている。停止部37aには前後方向に貫通するスリット37bが形成されている。
【0033】
また、ばね収容凹部36は、本体収容凹部35の前端側においてフック部本体33のスライド方向である前後方向に直交する左右方向に延び、ばね収容凹部36の左右方向両端には、収容される直線ばね34の両端を係止する一対の係止部36aが設けられている。ばね収容凹部36は、左端部から左右方向中央部に向けて後側の長辺側縁部から遠ざかるような傾斜した直線状に形成されるとともに、右端部から左右方向中央部に向けて後側の長辺側縁部から遠ざかるような傾斜した直線状に形成される。直線ばね34は、ばね収容凹部36内に収容され、その左右方向両端部が一対の係止部36aによって係止される。
【0034】
そして、フック部本体33は、
図10乃至
図13に示すように、本体収容凹部35内に前後方向にスライド自在に収容されるスライド板33aと、スライド板33aの下面から下方に突出する係合部33bとを備えている。係合部33bの下端には、電磁接触器2の本体側連結面6aに形成した第2引掛け穴7bに係合することが可能な可動爪33cがスライド方向である後方向に突出するように形成されている。また、フック部本体33は、可動爪33cが突出している側(後側)のスライド板33aの一側面(後面)33dに設けられた被押圧片33fを備えている。被押圧片33fは、スライド板33aの一側面33dから後方に延びる連結片33eの後端に設けられている。また、フック部本体33は、スライド板33aの一側面33dと逆側の他側面(前面)33g側に設けられ、直線ばね34の長さ方向中央部に係合するとともに直線ばね34の浮き上がりを防止するばね係合保持片33hを備えている。
また、スライド板33aの他側面(前面)33gは、
図11に示すように、係合部33bの可動爪33cが突出している側と逆側の面(前面)33baと面一になるように形成されている。
【0035】
更に、スライド板33aの一側面(後面)33dには、
図11及び
図12に示すように、フック部本体33の重心位置をスライド板33aの他側面(前面)33g側から一側面(後面)33d側(
図13におけるA側)にずらす肉盛部33iが形成されている。
そして、フック部本体33のスライド板33aは、
図5、
図6、
図10及び
図13に示すように、被押圧片33fが下部ケース13のユニット側連結面13cの後側の長辺側縁部から後方に突出するように、本体収容凹部35内に前後方向にスライド自在に収容される。この際に、フック部本体33の連結片33eが停止部37aに形成されたスリット37b内を前後方向に貫通する。また、フック部本体33のばね係合保持片33hがばね収容凹部36内に収容された直線ばね34の長さ方向(左右方向)の中央部に係合する。
【0036】
そして、フック部本体33のスライド板33aを本体収容凹部35内に収容した初期状態では、
図5及び
図6に示すように、直線ばね34の弾性力が後方に向けてフック部本体33に作用し、フック部本体33の係合部33bの後面が停止部37aに当接する。これにより、フック部本体33の後方への抜け止めがなされる。また、フック部本体33の係合部33bの後面が停止部37aに当接した状態では、
図6に示すように、肉盛部33iが停止部37aの上方に入り込み、フック部本体33の下方への抜け止めがなされる。
フック部本体33のスライド板33aを本体収容凹部35内に収容した初期状態から被押圧片33fを前方に押圧すると、フック部本体33は、直線ばね34による弾性力に抗して前方に移動する。この際に、弓状に弾性変形した直線ばね34の弾性復元力がフック部本体33に対して後方に作用する。
【0037】
次に、補助接点ユニット1を電磁接触器2へ装着するに際しては、
図13に示すように、先ず、下部ケース13のユニット側連結面13cに設けられた各固定フック部31の爪部31aを、消弧カバー6の本体側連結面6aに形成された第1引掛け穴7aに係合する。
その一方、可動フック部32については、被押圧片33fを前方に押圧してフック部本体33を前方に移動させた状態で可動爪33cを、消弧カバー6の本体側連結面6aに形成された第2引掛け穴7b内に入れ込む。この際に、可動爪33cは第2引掛け穴7bに対し、非係合状態となっている。また、フック部本体33には、弓状に弾性変形した直線ばね34の弾性復元力が後方に向けて作用している。
【0038】
次いで、被押圧片33fへの押圧状態を解除する。すると、フック部本体33には、弓状に弾性変形した直線ばね34の弾性復元力が後方に向けて作用しているので、自動的にフック部本体33は後方に移動し、
図13に示すように、可動爪33cが第2引掛け穴7bに対し係合状態となる。
これにより、補助接点ユニット1を電磁接触器2へ装着することができる。
そして、本実施形態に係る補助接点ユニット1にあっては、スライド板33aの他側面(前面)33gは、
図11に示すように、係合部33bの可動爪33cが突出している側と逆側の面(前面)33baと面一になるように形成されている。このため、スライド板33aの他側面(前面)33gには係合部33bの面(前面)33baから突出する重量物は存在しない。また、スライド板33aの一側面(後面)33dには、
図11及び
図12に示すように、フック部本体33の重心位置をスライド板33aの他側面(前面)33g側から一側面(後面)33d側(
図13におけるA側)にずらす肉盛部33iが形成されている。
【0039】
このため、
図14に示すように、電線Wを引っ張った際に、
図13に示すように、フック部本体33の可動爪33cが後側、即ち矢印Bで示す可動爪33cが第2引掛け穴7bにおける消弧カバー6の係止部側に回動する。これにより、フック部本体33が外れることを効果的に防止することができる。
また、補助接点ユニット1を電磁接触器2から取り外す際には、被押圧片33fを前方に押圧してフック部本体33を前方に移動させて可動爪33cを非係合状態とし、前述と逆の操作を行って補助接点ユニット1を電磁接触器2から取り外せばよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る補助接点ユニット1の効果を説明するために、参考例に係る補助接点ユニットについて
図15乃至
図27を参照して説明する。
図15には、参考例に係る補助接点ユニット101を電磁接触器102に装着した状態が示されている。
ここで、電磁接触器102は、電磁接触器2と基本構成は同様であり、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体形状のケース本体105を備えている。電磁接触器102は、このケース本体105の前側及び後側のそれぞれに設けられた前側端子部103a及び後側端子部(図示せず)と、ケース本体105の前側及び後側のそれぞれに設けられた前側コイル端子部104a及び後側コイル端子部(図示せず)とを備えている。また、ケース本体105内には、図示しない可動接点と、前側端子部103a及び後側端子部のそれぞれに接続された図示しない固定接点とからなる接点部と、接点部を駆動する図示しない電磁石ユニットとが収納されている。そして、接点部は、図示しない消弧室内に収納され、この消弧室はケース本体105に装着される消弧カバー106によって覆われている。
【0041】
ここで、消弧カバー106は、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる矩形板状に形成され、その上面が補助接点ユニット101を連結する本体側連結面106aとされている。この本体側連結面106aには、補助接点ユニット101を装着するための複数の第1引掛け穴107a及び第2引掛け穴107b(
図26参照)が形成されている。第1引掛け107aは、
図15及び
図26に示すように、消弧カバー106の前側の長辺側縁部に寄った位置に形成され、第2引掛け穴107bは、
図26に示すように、消弧カバー106の後側の長辺側縁部に寄った位置に形成されている。
【0042】
また、補助接点ユニット101は、
図15、
図16及び
図21に示すように、電磁接触器102の本体側連結面106aに装着されるケース110を備えている。補助接点ユニット101は、ケース110に設けられた4個の前側補助回路端子部120a及び4個の後側補助回路端子部120bと、ケース110の内部に設けられた図示しない補助接点部とを備えている。
ケース110は、
図15乃至
図21に示すように、上部ケース111と、上部ケース111に上方から取り付けられる端子カバー112と、上部ケース111に下方から取り付けられる下部ケース113とを備えている。
【0043】
上部ケース111は、
図16に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略直方体形状に形成され、前側に4個の前側端子収容空間111aを備えるとともに、後側に4個の後側端子収容空間111bを備えている。各前側端子収容空間111a及び各後側端子収容空間111bは、前後において対をなす位置に配置されている。各前側端子収容空間111aには、前側補助回路端子部120aを構成する後述のねじ付き端子部121a及び雌ねじ付きタブ端子部122aが収容される。また、各後側端子収容空間111bにも、同様に、後側補助回路端子部120bを構成する後述のねじ付き端子部121b及び雌ねじ付きタブ端子部122bが収容される。
【0044】
そして、前側端子収容空間111aと後側端子収容空間111bとの間は、左右方向に延びる第1仕切り壁111cによって仕切られている。また、前側端子収容空間111aは、上部ケース11の左右方向に沿って一列状に配置され、隣接する前側端子収容空間111a間は第2仕切り壁111dによって仕切られている。各前側端子収容空間111aは、前側が開放している。また、後側端子収容空間111bも、上部ケース111の左右方向に沿って一列状に配置され、隣接する後側端子収容空間111b間は第3仕切り壁111eによって仕切られている。各後側端子収容空間111bは、後側が開放している。
【0045】
また、端子カバー112は、上部ケース111の上方を覆う形状に形成されて上部ケース111に上方から取り付けられる。
更に、下部ケース113は、上部ケース111に下方から取り付けられて上部ケース111の下方部及び図示しない補助接点部を収容する。下部ケース113の下面は、電磁接触器102の本体側連結面106aが当接して電磁接触器102を連結するユニット側連結面113aとされている。
【0046】
次に、前側補助回路端子部120a及び後側補助回路端子部120bのそれぞれについて説明する。前側補助回路端子部120aは、
図16及び
図21に示すように、本実施形態の前側補助回路端子部20aと異なり、ねじ付き端子部121aと、雌ねじ付きタブ端子部122aとを備えている。また、後側補助回路端子部120bは、
図21に示すように、ねじ付き端子部121bと、雌ねじ付きタブ端子部122bとを備えている。後側のねじ付き端子部121bは、前側のねじ付き端子部121aと同様の構成を有し、後側の雌ねじ付きタブ端子部122bは、前側の雌ねじ付きタブ端子部122aと同様の構成を有すため、それぞれの説明は省略する。
【0047】
ここで、ねじ付き端子部121aは、端子板121aaと、端子板121aaに取り付けられた雄ねじ121abとを備えている。
また、雌ねじ付きタブ端子部122aは、
図22に示すように、上下方向及び左右方向に延びる矩形板状の基板部123と、基板部123の上端から後方に折り曲げ形成された平板状の雌ねじ付き端子板部124とを備えている。また、雌ねじ付きタブ端子部122aは、基板部123の下端から下方に延び、更に後方に折り曲げられる折り曲げ片125と、折り曲げ片125の下縁から下方に延びる接続板部126とを備えている。
【0048】
そして、基板部123の中央部には、矩形状の開口123aが形成されるとともに、開口123aの下縁から上方に突出する第1圧入突起部123bが設けられている。また、折り曲げ片125の上縁にも第2圧入突起部125aが設けられている。更に、雌ねじ付き端子板部124の中央部には、雌ねじ部124aが形成されている。
この雌ねじ付きタブ端子部122aは、
図21に示すように、上部ケース111の各前側端子収容空間111aに前側から挿入されて第1圧入突起部123b及び第2圧入突起部125aが各前側端子収容空間111aに形成された壁部に圧入される。これにより、雌ねじ付きタブ端子部122aは、上部ケース111に固定される。
【0049】
前側補助回路端子部120aが、このように、ねじ付き端子部121aと、雌ねじ付きタブ端子部122aとからなる場合、前側補助回路端子部120aに接続される電線W(
図27参照)は、その先端に図示しない圧着端子を接続したものが用いられる。そして、電線Wを接続するに際しては、上部ケース111に固定された雌ねじ付きタブ端子部122aの雌ねじ付き端子板部124上に電線Wに接続された圧着端子を置く。そして、ねじ付き端子部121aの端子板121aaで圧着端子を挟みつつ、雄ねじ121abを圧着端子を通して雌ねじ部124aに螺合する。これにより、電線Wは、前側補助回路端子部120aに接続される。
【0050】
また、電線Wを前側補助回路端子部120aから取り外すには、ねじ付き端子部121aの雄ねじ121abによる螺合を解除すればよい。
一方、後側補助回路端子部120bに電線Wを接続するに際しても、同様に、上部ケース111に固定された雌ねじ付きタブ端子部122bの雌ねじ付き端子板部上に電線Wに接続された圧着端子を置く。そして、ねじ付き端子部121bの端子板121baで圧着端子を挟みつつ、雄ねじ121bbを圧着端子を通して雌ねじ付きタブ端子部122bの雌ねじ部に螺合すればよい。
【0051】
ここで、参考例に係る補助接点ユニット101における前側補助回路端子部120a及び後側補助回路端子部120bにあっては、ねじ付き端子部121a、121b及び上部ケース111に固定された雌ねじ付きタブ端子部122a、122bによって電線Wを接続する。このため、本実施形態に係る補助接点ユニット1におけるスプリング端子を採用した前側補助回路端子部20a及び後側補助回路端子部20bのような、接点板部29の倒れ込みがなく、適切な電線保持力を得ることができる。
しかしながら、参考例に係る補助接点ユニット101における前側補助回路端子部120a及び後側補助回路端子部120bの場合、電線Wの先端に圧着端子を接続する必要がある。また、電線Wの前側補助回路端子部120a及び後側補助回路端子部120bへの接続にねじ止め作業が必要となり、その作業が面倒である。
【0052】
これに対して、本実施形態に係る補助接点ユニット1における前側補助回路端子部20a及び後側補助回路端子部20bの場合、電線Wの先端に圧着端子を接続する必要はない。また、電線Wの前側補助回路端子部20a及び後側補助回路端子部20bへの接続は、前側電線挿入口21aから上部ケース11の各前側導電端子板収容空間11a内の接点板部29と電線保持部22acとの間に挿入するだけでよく、簡単である。
そして、本実施形態に係る補助接点ユニット1における前側補助回路端子部20a及び後側補助回路端子部20bの場合、スプリング端子を採用しているため、前述の欠点が懸念される。しかし、前述したように、前側弾性部材22aや後側弾性部材22bによる接点板部29の倒れ込みを確実に阻止し、適切な電線保持力を得ている。
【0053】
次に、参考例に係る補助接点ユニット101を電磁接触器102へ装着する構成及びその方法について、
図15、
図19及び
図20、及び
図23乃至
図26を参照して説明する。
図19及び
図20に示すように、下部ケース113の下面であるユニット側連結面113aには、本実施形態に係る下部ケース13と同様に、前側の長辺側縁部に一対の固定フック部131が互いに所定間隔を置いて突出して設けられている。各固定フック部131には、下部ケース113のユニット側連結面113aから離間する方向に向く爪部131aが設けられている。各固定フック部131の爪部131aは、
図26に示すように、補助接点ユニット101の下部ケース113を電磁接触器102の消弧カバー106に装着する際に、消弧カバー106の本体側連結面106aに形成された第1引掛け穴107aに係合する。
【0054】
また、ユニット側連結面113aには、後側の長辺側縁部に可動フック部132が設けられている。
この可動フック部132は、
図19、
図20及び
図23に示すように、本実施形態に係る補助接点ユニット1における可動フック部32と同様に、フック部本体133と、直線ばね134とを備えている。また、可動フック部132は、ユニット側連結面113aに形成されてフック部本体133を前後方向にスライド自在に収容する本体収容凹部135と、ユニット側連結面113aに形成されて直線ばね134を収容するばね収容凹部136とを備えている。
【0055】
ここで、本体収容凹部135は、
図23に示すように、下部ケース113のユニット側連結面113aの後側の長辺側縁部から前方に延びるように形成され、本体収容凹部135の後部側の下方は、停止部137aによって覆われている。停止部137aには前後方向に貫通するスリット137bが形成されている。
また、ばね収容凹部136は、本体収容凹部135の前端側においてフック部本体133のスライド方向である前後方向に直交する左右方向に延び、ばね収容凹部136の左右方向両端には、収容される直線ばね134の両端を係止する一対の係止部136aが設けられている。ばね収容凹部136は、左端部から左右方向中央部に向けて後側の長辺側縁部から遠ざかるような傾斜した直線状に形成されるとともに、右端部から左右方向中央部に向けて後側の長辺側縁部から遠ざかるような傾斜した直線状に形成される。直線ばね134は、ばね収容凹部136内に収容され、その左右方向両端部が一対の係止部136aによって係止される。
【0056】
そして、フック部本体133は、
図23乃至
図25に示すように、本体収容凹部135内に前後方向にスライド自在に収容されるスライド板133aと、スライド板133aの下面から下方に突出する係合部133bとを備えている。係合部133bの下端には、電磁接触器102の本体側連結面106aに形成した第2引掛け穴107bに係合することが可能な可動爪133cがスライド方向である後方向に突出するように形成されている。また、フック部本体133は、可動爪133cが突出している側(後側)のスライド板133aの一側面(後面)133gに設けられた被押圧片133eを備えている。また、フック部本体133は、スライド板133aの一側面133gと逆側の他側面(前面)133h側に設けられ、直線ばね134の長さ方向中央部に係合するとともに直線ばね134の浮き上がりを防止するばね係合保持片133fを備えている。被押圧片133eは、スライド板133aの一側面133gから後方に延びる連結片133dの後端に設けられている。
【0057】
ここで、スライド板133aの他側面(前面)133hは、本実施形態におけるスライド板33aの他側面33gと異なり、
図24に示すように、係合部133bの可動爪133cが突出している側と逆側の面(前面)133baに対して前方に突出するように形成されている。
また、スライド板133aの一側面(後面)133gには、
図20及び
図25に示すように、フック部本体133の係合部133bの後面が停止部137aに当接した状態で停止部137aの上方に入り込む抜け止め突起133iが突出形成されている。これにより、フック部本体133の下方への抜け止めをする。この抜け止め突起133iは、
図25と
図12とを比較して参照するとわかるように、本実施形態における肉盛部33iと比べて極めて小さい。
【0058】
そして、フック部本体133のスライド板133aは、
図19、
図20、
図23及び
図26に示すように、被押圧片133eが下部ケース113のユニット側連結面113aの後側の長辺側縁部から後方に突出するように、本体収容凹部35内に前後方向にスライド自在に収容される。この際に、フック部本体133の連結片133dが停止部137aに形成されたスリット137b内を前後方向に貫通する。また、フック部本体133のばね係合保持片133fがばね収容凹部136内に収容された直線ばね134の長さ方向(左右方向)の中央部に係合する。
【0059】
そして、フック部本体133のスライド板133aを本体収容凹部135内に収容した初期状態では、
図19及び
図20に示すように、直線ばね134の弾性力が後方に向けてフック部本体133に作用し、フック部本体133の係合部133bの後面が停止部137aに当接する。これにより、フック部本体133の後方への抜け止めがなされる。また、フック部本体133の係合部133bの後面が停止部137aに当接した状態では、
図20に示すように、抜け止め突起133iが停止部137aの上方に入り込み、フック部本体133の下方への抜け止めがなされる。
【0060】
フック部本体133のスライド板133aを本体収容凹部135内に収容した初期状態から被押圧片133eを前方に押圧すると、フック部本体133は、直線ばね134による弾性力に抗して前方に移動する。この際に、弓状に弾性変形した直線ばね134の弾性復元力がフック部本体133に対して後方に作用する。
次に、補助接点ユニット101を電磁接触器102へ装着するに際しては、先ず、
図26に示すように、下部ケース113の各固定フック部131の爪部131aを、消弧カバー106の本体側連結面106aに形成された第1引掛け穴107aに係合する。
【0061】
その一方、可動フック部132については、被押圧片133eを前方に押圧してフック部本体133を前方に移動させた状態で可動爪133cを、消弧カバー106の本体側連結面106aに形成された第2引掛け穴107b内に入れ込む。この際に、可動爪133cは第2引掛け穴107bに対し、非係合状態となっている。また、フック部本体133には、弓状に弾性変形した直線ばね134の弾性復元力が後方に向けて作用している。
次いで、被押圧片133eへの押圧状態を解除する。すると、フック部本体133には、弓状に弾性変形した直線ばね34の弾性復元力が後方に向けて作用しているので、自動的にフック部本体133は後方に移動し、
図26に示すように、可動爪133cが第2引掛け穴107bに対し係合状態となる。
これにより、補助接点ユニット1を電磁接触器2へ装着することができる。
【0062】
ここで、参考例に係る補助接点ユニット101にあっては、スライド板133aの他側面(前面)133hは、本実施形態におけるスライド板33aの他側面33gと異なり、係合部133bの可動爪133cが突出している側と逆側の面(前面)133baに対して前方に突出するように形成されている。このため、係合部133bの面(前面)133baから前方に突出する重量物が存在する。また、スライド板133aの一側面(後面)133gには、
図25に示すように、抜け止め突起133iが設けられているもののその大きさは本実施形態における肉盛部33iと極めて小さく、その重量は軽い。このため、
図26に示すように、フック部本体133の重心位置は前側(
図26におけるC側)に寄っている。
このため、
図27に示すように、電線Wを引っ張った際に、
図26に示すように、フック部本体133の可動爪133cが前側、即ち矢印Dで示す可動爪133cが第2引掛け穴107bにおける消弧カバー6の係止部側から離れる側に回動する。これにより、フック部本体133が外れてしまうおそれがある。
【0063】
これに対して、本実施形態に係る補助接点ユニット1の場合、前述したように、スライド板33aの他側面(前面)33gは、
図11に示すように、係合部33bの可動爪33cが突出している側と逆側の面(前面)33baと面一になるように形成されている。このため、スライド板33aの他側面(前面)33gには係合部33bの面(前面)33baから突出する重量物は存在しない。また、スライド板33aの一側面(後面)33dには、
図11及び
図12に示すように、フック部本体33の重心位置をスライド板33aの他側面(前面)33g側から一側面(後面)33d側(
図13におけるA側)にずらす肉盛部33iが形成されている。
このため、
図14に示すように、電線Wを引っ張った際に、
図13に示すように、フック部本体33の可動爪33cが後側、即ち矢印Bで示す可動爪33cが第2引掛け穴7bにおける消弧カバー6の係止部側に回動する。これにより、フック部本体33が外れることを効果的に防止することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、上部ケース11に設けられる支持部11jは、接点板部29の、弾性力が作用する方向の背面側に位置すればよく、図示した形状に限られない。
また、下部ケース13に設けられる支持板部13bは、接点板部29と支持部11jとの間に入り込み、接点板部29の背面側を支持するものであればよく、図示した形状に限られない。
更に、端子カバー12に設けられる固定部12cは、下部ケース13に設けた支持板部13b及び上部ケース11に設けた支持部11jを弾性力が作用する方向の正面側及び背面側から挟み込んで固定するものであればよく、図示した形状に限られない。
【符号の説明】
【0065】
1 補助接点ユニット
2 電磁接触器
3a 前側端子部
3b 後側端子部
4a 前側コイル端子部
4b 後側コイル端子部
5 ケース本体
6 消弧カバー
6a 本体側連結面
7a 第1引掛け穴
7b 第2引掛け穴
10 ケース
11 上部ケース
11a 前側導電端子板収容空間
11b 後側導電端子板収容空間
11c 第1仕切り壁
11d 第2仕切り壁
11e 第3仕切り壁
11f 第1圧入用突起
11g 第2圧入用突起
11h 圧入用孔
11i 接続板用スリット
11j 支持部
12 端子カバー
12a 傾斜面
12b 支持板部
12c 固定部
13 下部ケース
13a 上部ケース収容部
13b 支持板部
13c ユニット側連結面
20a 前側補助回路端子部(補助回路端子部)
20b 後側補助回路端子部(補助回路端子部)
21a 前側電線挿入口(電線挿入口)
21b 後側電線挿入口(電線挿入口)
22a 前側弾性部材(弾性部材)
22aa 固定部
22ab 湾曲部
22ac 電線保持部
22b 後側弾性部材(弾性部材)
23a 前側導電端子板(導電端子板)
23b 後側導電端子板(導電端子版)
24 基板部
25 垂下板部
26 圧入板部
27 接続板部
28 圧入部
29 接点板部
29a 第1接点板部
29aa 第1接点
29b 第2接点板部
29ba 第2接点
31 固定フック部
31a 爪部
32 可動フック部
33 フック部本体
33a スライド板
33b 係合部
33c 可動爪
33d スライド板の一側面(後面)
33e 連結片
33f 被押圧片
33g スライド板の他側面(前面)
33h ばね係合保持片
33i 肉盛部
34 直線ばね
35 本体収容凹部
36 ばね収容凹部
36a 係止部
37a 停止部
37b スリット
W 電線