(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ケーブルの取付構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20220208BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220208BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H02G3/30
B60R16/02 623C
B60R16/02 623H
F16B2/22 C
(21)【出願番号】P 2018202868
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】盛 康博
(72)【発明者】
【氏名】正木 岳志
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-92821(JP,A)
【文献】特開2018-99013(JP,A)
【文献】特開2006-325340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
B60R 16/02
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部に対してケーブルを着脱可能に取り付けるケーブルの取付構造であって、
前記ベース部の取付面から延出され、前記ケーブルの外周を取り囲むとともに前記取付面に対して間隔をおいて設けられた先端部を有する囲繞部と、
前記囲繞部の先端部から前記取付面に向かって延出され、前記囲繞部に対して傾動可能に支持された係止片と、
前記取付面に突設され、前記係止片の先端部が弾性力により係止されることで前記囲繞部の外側への前記係止片の傾動を阻止する一方、前記囲繞部の内側への前記係止片の傾動を許容する係止突部と、を備え
、
前記係止突部は、前記係止片の先端部が係止される係止面を有しており、
前記係止面は、前記囲繞部の基端から前記係止突部に向かう方向において前記基端から離間するほど前記取付面からの高さが大きくなるように傾斜している、
ケーブルの取付構造。
【請求項2】
前記係止突部は、前記囲繞部の外側から内側への前記ケーブルの移動を案内する案内面を有しており、
前記案内面は、前記囲繞部の
前記基端から前記係止突部に向かう方向において前記囲繞部の
前記基端から離間するほど前記取付面からの高さが小さくなるように傾斜している、
請求項
1に記載のケーブルの取付構造。
【請求項3】
前記囲繞部の先端部には、前記囲繞部の他の部位よりも脆弱な脆弱部が設けられており、
前記係止片は、前記脆弱部が弾性変形することで前記囲繞部に対して傾動可能である、
請求項1
または請求項2に記載のケーブルの取付構造。
【請求項4】
前記係止片には、前記係止片を傾動させるための操作部が延出されている、
請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載のケーブルの取付構造。
【請求項5】
前記操作部は、前記係止片の先端側とは反対側に向かって延出されている、
請求項
4に記載のケーブルの取付構造。
【請求項6】
前記囲繞部には、リブが突設されている、
請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載のケーブルの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部に対してケーブルを着脱可能に取り付けるケーブルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に配索されるワイヤハーネスの配索経路の途中において、ドアトリムに一体に形成されたクランプによりワイヤハーネスを保持することで当該配索経路を規制するワイヤハーネス取付構造が開示されている。同文献1に記載のワイヤハーネス取付構造は、ワイヤハーネスが取り付けられるベース部と、ベース部に一体的に延設され、ベース部におけるワイヤハーネス取付面との間にワイヤハーネスが抜け止めされた状態でワイヤハーネスを保持する一対のクランプとを備えている。また、上記ワイヤハーネス取付構造は、一対のクランプの間に配置され、クランプで保持されたワイヤハーネスを押圧し当該ワイヤハーネスの軸芯の位置をずらす突設部を備えている。また、各クランプは、ベース部から延出し弾性変形可能な湾曲片と、湾曲片の自由端側に設けられ湾曲片が弾性変形してワイヤハーネスの挿入を許容する挿入部と、湾曲片の基部側に設けられ挿入部から挿入されたワイヤハーネスを保持する保持部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のワイヤハーネス取付構造においては、ベース部とクランプとの間にワイヤハーネスを挿入するための隙間が設けられている。このため、例えばクランプに保持されたワイヤハーネスが意図せず引っ張られた場合に、上記隙間を通じてワイヤハーネスが脱離するおそれがある。
【0005】
一方、こうしたワイヤハーネスの脱離を抑制すべく、上記隙間を小さく設定した場合には、ワイヤハーネスを着脱しにくくなるおそれがある。
本発明の目的は、ケーブルの脱離を簡単な構成によって抑制することのできるケーブルの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのケーブルの取付構造は、ベース部に対してケーブルを着脱可能に取り付けるケーブルの取付構造であって、前記ベース部の取付面から延出され、前記ケーブルの外周を取り囲むとともに前記取付面に対して間隔をおいて設けられた先端部を有する囲繞部と、前記囲繞部の先端部から前記取付面に向かって延出され、前記囲繞部に対して傾動可能に支持された係止片と、前記取付面に突設され、前記係止片の先端部が弾性力により係止されることで前記囲繞部の外側への前記係止片の傾動を阻止する一方、前記囲繞部の内側への前記係止片の傾動を許容する係止突部と、を備える。
【0007】
同構成によれば、係止片が係止突部に係止されている係止位置にあるときには、囲繞部の先端部と係止突部との間が係止片によって閉じられている。一方、係止片が係止突部から離間されている離間位置にあるときには、係止片と係止突部との間に隙間が形成される。このため、ベース部に対してケーブルを取り付ける場合には、係止片を離間位置に傾動させることで、上記隙間を通じて囲繞部の内側にケーブルを移動させることができる。また、係止片に外力が作用していない状態においては、自身の弾性力により係止片の先端部が係止突部に係止されるため、上記隙間がなくなり、ベース部の取付面、囲繞部、係止片、及び係止突部によってケーブルの全周が取り囲まれることとなる。更に、係止突部に係止片の先端部が係止されることによって、囲繞部の外側への係止片の傾動が阻止される。これにより、ケーブルの脱離を抑制することができる。
【0008】
一方、ベース部からケーブルを取り外す場合には、係止片を係止位置に傾動させることで、上記隙間を通じて囲繞部の外側にケーブルを移動させることができる。
上記ケーブルの取付構造において、前記係止突部は、前記係止片の先端部が係止される係止面を有しており、前記係止面は、前記囲繞部の基端から前記係止突部に向かう方向において前記基端から離間するほど前記取付面からの高さが大きくなるように傾斜していることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、ケーブルを取り外す場合に、囲繞部の基端から係止突部に向かう方向において基端から離間するほど取付面からの高さが大きくなるように傾斜している係止面に沿ってケーブルを移動させることで、係止片と係止突部との間の隙間にケーブルが案内される。したがって、ケーブルを容易に取り外すことができる。
【0010】
上記ケーブルの取付構造において、前記係止突部は、前記囲繞部の外側から内側への前記ケーブルの移動を案内する案内面を有しており、前記案内面は、前記囲繞部の基端から前記係止突部に向かう方向において前記囲繞部の基端から離間するほど前記取付面からの高さが小さくなるように傾斜していることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、ケーブルを取り付ける場合に、囲繞部の基端から係止突部に向かう方向において基端から離間するほど取付面からの高さが小さくなるように傾斜している案内面に沿ってケーブルを移動させることで、係止片と係止突部との間の隙間にケーブルが案内される。したがって、ケーブルを容易に取り付けることができる。
【0012】
上記ケーブルの取付構造において、前記囲繞部の先端部には、前記囲繞部の他の部位よりも脆弱な脆弱部が設けられており、前記係止片は、前記脆弱部が弾性変形することで前記囲繞部に対して傾動可能であることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、係止片は囲繞部の先端部に設けられた脆弱部が弾性変形することで囲繞部に対して傾動される。これにより、係止片を容易に傾動させることができる。したがって、ケーブルの着脱作業を円滑に行うことができる。
【0014】
上記ケーブルの取付構造において、前記係止片には、前記係止片を傾動させるための操作部が延出されていることが好ましい。
同構成によれば、係止片から延出する操作部を操作することによって係止片を容易に操作することができる。このため、ケーブルの着脱作業を容易に行うことができる。
【0015】
上記ケーブルの取付構造において、前記操作部は、前記係止片の先端側とは反対側に向かって延出されていることが好ましい。
同構成によれば、例えば操作部が係止片の側方から延出される構成と比較して、囲繞部の先端部を起点として係止片に作用する上記先端部周りの曲げモーメントを大きくすることができる。これにより、係止片を小さな操作力にて容易に傾動させることができる。
【0016】
上記ケーブルの取付構造において、前記囲繞部には、リブが突設されていることが好ましい。
同構成によれば、リブにより囲繞部の曲げ剛性が高められるため、係止片の傾動時に囲繞部が変形しにくくなる。これにより、係止片を所定の軌跡にて傾動させることができる。したがって、ケーブルの着脱作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケーブルの脱離を簡単な構成によって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ケーブルの取付構造が適用されたコネクタにおけるワイヤハーネスの取付構造の一実施形態について、ワイヤハーネスがコネクタに取り付けられた状態を示す斜視図。
【
図2】同実施形態におけるワイヤハーネスの取り付け手順を説明するための図であって、(a)は、ワイヤハーネスが取り付けられる直前の状態を示す側面図、(b)は、ワイヤハーネスが取り付けられている途中の状態を示す側面図、(c)は、ワイヤハーネスが取り付けられた状態を示す側面図。
【
図3】同実施形態におけるワイヤハーネスの取り外し手順を説明するための図であって、(a)は、係止片により囲繞部の外側へのワイヤハーネスの移動が阻止されている状態を示す側面図、(b)は、ワイヤハーネスが取り外されている途中の状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図3を参照して、本発明のケーブルの取付構造をワイヤハーネスが接続されるコネクタに一体に構成されるワイヤハーネスの取付構造として具体化した一実施形態について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のワイヤハーネスの取付構造は、樹脂材料からなるコネクタ10に一体に構成され、ワイヤハーネス100の長さ方向における途中の部分を着脱可能に取り付けるためのものである。
【0021】
コネクタ10は、コネクタ10の側壁を構成するベース部11を備えている。ベース部11は、取付面11aを有している。
ベース部11の取付面11aからは、ワイヤハーネス100の外周を取り囲むとともに取付面11aに対して間隔をおいて設けられた先端部21を有する囲繞部20が延出している。囲繞部20は、取付面11aに対して直交して延出しており、その先端が湾曲している。したがって、先端部21は、囲繞部20の湾曲した部分の先端を構成している。囲繞部20の外面には、囲繞部20の延出方向の略全体にわたってリブ22が突設されている。
【0022】
囲繞部20の先端部21からは、囲繞部20に対して傾動可能に支持された係止片23が取付面11aに向かって延出している。
囲繞部20の先端部21には、囲繞部20の他の部位よりも脆弱な脆弱部24が設けられている。本実施形態の脆弱部24は、上記他の部位よりも弾性変形しやすいように薄肉状に形成されている。
【0023】
係止片23には、係止片23の先端側と反対側に向かって延出した操作部25が連結されている。したがって、係止片23と操作部25とは、囲繞部20の脆弱部24(先端部21)を挟んで互いに反対方向に延出している。このため、操作部25を操作することにより、脆弱部24が弾性変形して、係止片23が脆弱部24を起点として囲繞部20に対して傾動される。
【0024】
ベース部11の取付面11aにおける囲繞部20の内面に対向する部分には、係止突部30が突設されている。
係止突部30の囲繞部20の基端側には、係止片23の先端部が係止される係止面31が形成されている。係止面31は、囲繞部20の基端から係止突部30に向かう方向(以下、方向Aと称する)において囲繞部20の基端から離間するほど取付面11aからの高さが大きくなるように傾斜している。
【0025】
係止突部30の係止面31の反対側には、囲繞部20の外側から内側へのワイヤハーネス100の移動を案内する案内面32が形成されている。案内面32は、方向Aにおいて囲繞部20の基端から離間するほど取付面11aからの高さが小さくなるように傾斜している。
【0026】
以上のことから、係止突部30は、係止片23の弾性力により係止片23の先端部が係止面31に係止されることで、囲繞部20の外側への係止片23の傾動を阻止する一方、囲繞部20の内側への係止片23の傾動を許容する。なお、以降において、係止片23が係止突部30の係止面31に係止されているときの係止片23の位置を係止位置と称し、係止片23が係止突部30の係止面31から離間しているときの係止片23の位置を離間位置と称する。
【0027】
次に、コネクタ10のベース部11に対するワイヤハーネス100の着脱方法について説明する。
まず、ワイヤハーネス100をベース部11に取り付ける場合について説明する。
【0028】
図2(a)に示すように、ワイヤハーネス100がベース部11に取り付けられる前は、係止片23が係止位置にあるため、ワイヤハーネス100の囲繞部20の内側への移動が規制されている。
【0029】
図2(b)に示すように、ワイヤハーネス100をベース部11に取り付ける場合は、まず、操作部25を操作することで、係止片23を離間位置に傾動させる。これにより、係止片23と係止突部30との間に隙間が形成される。そして、
図2(c)に示すように、上記隙間を通じて囲繞部20の内側にワイヤハーネス100を移動させる。このとき、案内面32に沿ってワイヤハーネス100を移動させることで、上記隙間にワイヤハーネス100が案内される。なお、上記隙間はワイヤハーネス100の外径よりも僅かに小さくなっている。
【0030】
こうして、ワイヤハーネス100が囲繞部20の内側に移動すると、係止片23が自身の弾性力により再び係止位置に位置するため、ワイヤハーネス100の囲繞部20の外側への移動が規制される。
【0031】
このようにして、ワイヤハーネス100をベース部11に取り付けることができる。
続いて、ワイヤハーネス100をベース部11から取り外す方法について説明する。
図3(a)に示すように、ワイヤハーネス100がベース部11に取り付けられた状態においては、係止片23が係止位置にあるため、ワイヤハーネス100の囲繞部20の外側への移動が規制されている、
図3(b)に示すように、ワイヤハーネス100をベース部11から取り外す場合は、まず、操作部25を操作することで係止片23を離間位置に傾動させる。これにより、係止片23と係止突部30との間に隙間が形成される。なお、係止片23を離間位置に傾動させる際に、係止片23をベース部11の取付面11aと略水平になる位置まで傾動させることで、上記隙間がワイヤハーネス100の外径よりも僅かに大きくなる。
【0032】
次に、上記隙間を通じて囲繞部20の外側にワイヤハーネス100を移動させる。
こうして、ワイヤハーネス100が囲繞部20の外側に移動すると、係止片23が自身の弾性力により再び係止位置に位置する。
【0033】
このようにして、ワイヤハーネス100をベース部11から取り外すことができる。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ワイヤハーネスの取付構造は、ベース部11の取付面11aから延出され、ワイヤハーネス100の外周を取り囲むとともに取付面11aに対して間隔をおいて設けられた先端部21を有する囲繞部20と、囲繞部20の先端部21から取付面11aに向かって延出され、囲繞部20に対して傾動可能に支持された係止片23とを備える。また、取付面11aに突設され、係止片23の先端部が弾性力により係止されることで囲繞部20の外側への係止片23の傾動を阻止する一方、囲繞部20の内側への係止片23の傾動を許容する係止突部30を備える。
【0034】
こうした構成によれば、係止片23が係止位置にあるときには、囲繞部20の先端部21と係止突部30との間が係止片23によって閉じられている。一方、係止片23が離間位置にあるときには、係止片23と係止突部30との間に隙間が形成される。このため、ベース部11に対してワイヤハーネス100を取り付ける場合には、係止片23を離間位置に傾動させることで、上記隙間を通じて囲繞部20の内側にワイヤハーネス100を移動させることができる。また、係止片23に外力が作用していない状態においては、自身の弾性力により係止片23の先端部が係止突部30に係止されるため、上記隙間がなくなり、ベース部11の取付面11a、囲繞部20、係止片23、及び係止突部30によってワイヤハーネス100の全周が取り囲まれることとなる。更に、係止突部30に係止片23の先端部が係止されることによって、囲繞部20の外側への係止片23の傾動が阻止される。これにより、ワイヤハーネス100の脱離を抑制することができる。
【0035】
一方、ベース部11からワイヤハーネス100を取り外す場合には、係止片23を係止位置に傾動させることで、上記隙間を通じて囲繞部20の外側にワイヤハーネス100を移動させることができる。
【0036】
(2)係止突部30は、係止片23の先端部が係止される係止面31を有しており、係止面31は、方向Aにおいて当該基端から離間するほど取付面11aからの高さが大きくなるように傾斜している。
【0037】
こうした構成によれば、ワイヤハーネス100を取り外す場合に、方向Aにおいて基端から離間するほど取付面11aからの高さが大きくなるように傾斜している係止面31に沿ってワイヤハーネス100を移動させることで、係止片23と係止突部30との隙間にワイヤハーネス100が案内される。したがって、ワイヤハーネス100をベース部11から容易に取り外すことができる。
【0038】
(3)係止突部30は、囲繞部20の外側から内側へのワイヤハーネス100の移動を案内する案内面32を有しており、案内面32は、方向Aにおいて囲繞部20の基端から離間するほど取付面11aからの高さが小さくなるように傾斜している。
【0039】
こうした構成によれば、ワイヤハーネス100を取り付ける場合に、方向Aにおいて基端から離間するほど取付面11aからの高さが小さくなるように傾斜している案内面32に沿ってワイヤハーネス100を移動させることで、係止片23と係止突部30との隙間にワイヤハーネス100が案内される。したがって、ワイヤハーネス100をベース部11に容易に取り付けることができる。
【0040】
(4)囲繞部20の先端部21には、囲繞部20の他の部位よりも脆弱な脆弱部24が設けられており、係止片23は、脆弱部24が弾性変形することで囲繞部20に対して傾動可能である。
【0041】
こうした構成によれば、係止片23は囲繞部20の先端部21に設けられた脆弱部24が弾性変形することで囲繞部20に対して傾動される。これにより、係止片23を容易に傾動させることができる。したがって、ワイヤハーネス100のベース部11に対する着脱作業を円滑に行うことができる。
【0042】
(5)係止片23には、係止片23を傾動させるための操作部25が係止片23の先端側とは反対側に向かって延出されている。
こうした構成によれば、例えば操作部25が係止片23の側方から延出される構成と比較して、囲繞部20の先端部21を起点として係止片に作用する先端部21周りの曲げモーメントを大きくすることができる。これにより、係止片23を小さな操作力にて容易に傾動させることができる。したがって、ワイヤハーネス100のベース部11に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0043】
(6)囲繞部20の外面には、リブ22が突設されている。
こうした構成によれば、リブ22により囲繞部20の曲げ剛性が高められるため、係止片23の傾動時に囲繞部20が変形しにくくなる。これにより、係止片23を所定の軌跡にて傾動させることができる。したがって、ワイヤハーネス100のベース部11に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0044】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・リブ22を省略することもできる。この場合、囲繞部の厚みを大きくすることで当該囲繞部の曲げ剛性を確保するようにしてもよい。
【0045】
・
図5に示すように、係止片23の両側方から延出された操作部225を採用することもできる。この場合、コネクタ10の体格がベース部11から離間する側に増大することを抑制できる。
【0046】
・操作部25を省略することもできる。この場合、例えば、係止片23を押圧することで係止片23を傾動させればよい。
・先端部21の幅を囲繞部20よりも小さくすることで脆弱部を構成することもできる。また、先端部21に複数の孔を設けることで脆弱部を構成することもできる。
【0047】
・脆弱部24は省略することもできる。
・
図4に示すように、それぞれ取付面11aに対して直交する方向に沿って延在する係止面131及び案内面132を有する係止突部130を採用することもできる。
【0048】
・係止突部は、係止面31及び案内面32のいずれか一方のみを有するものであってもよい。
・本発明を車両のドアトリムやインストルメントパネルなどの車両内装材に適用してもよい。
【0049】
・本発明を電気機器などに用いられるワイヤハーネス100以外のケーブルの取付構造に対して適用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
10…コネクタ、11…ベース部、11a…取付面、20…囲繞部、21…先端部、22…リブ、23…係止片、24…脆弱部、25…操作部、30…係止突部、31…係止面、32…案内面、100…ワイヤハーネス、130…係止突部、131…係止面、132…案内面、225…操作部。