IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】タイヤの状態の推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20220208BHJP
   B60C 11/24 20060101ALI20220208BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20220208BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220208BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C11/24 Z
B60C11/03 Z
G06T7/00 350C
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021164969
(22)【出願日】2021-10-06
【審査請求日】2021-10-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【弁理士】
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 麻里子
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035626(JP,A)
【文献】特開2009-102009(JP,A)
【文献】特開2019-067221(JP,A)
【文献】特開2021-088229(JP,A)
【文献】特開2021-165915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0254727(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111257019(CN,A)
【文献】特開2019-184405(JP,A)
【文献】特表2021-524040(JP,A)
【文献】特開2021-063703(JP,A)
【文献】特開2018-020752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M17/02,
B60C11/24,
B60C19/00-19/12,
B60C11/03-11/13,
B60C13/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となるタイヤのトレッドの両端を含むとともに、所定方向に該トレッドが連続するように該トレッドを正面から撮影した画像を取得することと、
前記取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出することと
を含み、
前記学習済みの第1機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する、
タイヤの状態の推定方法。
【請求項2】
前記学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力に基づいて、前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定すること
をさらに含む、
請求項1に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項3】
前記対象となるタイヤの交換が必要か否かの判定結果を表示する判定結果表示画面を生成すること
をさらに含む、
請求項2に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項4】
前記取得した画像を、前記第1機械学習モデルとは異なる学習済みの第2機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの第2機械学習モデルから出力を導出することと
をさらに含み、
前記学習済みの第2機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤのトレッドの溝の深さの推定結果に対応し、
前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することは、前記学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力及び前記学習済みの第2機械学習モデルから導出された出力に基づいて前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することである、
請求項2または3に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項5】
前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果は、トレッドの偏摩耗の程度についての推定結果であり、偏摩耗の程度を段階的に示す指標で表される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項6】
前記第1機械学習モデルから導出された出力に対応する前記指標を、前記偏摩耗の程度を段階的に示す指標の全体に対する位置付けとともに表示する推定結果表示画面を生成すること
をさらに含む、
請求項5に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項7】
前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果は、偏摩耗の類型についての推定結果である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項8】
前記対象となるタイヤの、車両における取付位置の情報を取得することと、
前記取得された取付位置の情報と、前記第1機械学習モデルから導出された出力とに基づいて、推奨されるタイヤのローテーションパターンである、推奨パターンを決定することと
をさらに含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項9】
前記決定された推奨パターンを表示するローテーション画面を生成すること
をさらに含む、
請求項8に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項10】
前記判定結果表示画面のデータを、ネットワークを介してアクセス可能な状態にすることと、
前記判定結果表示画面のデータに、ネットワークを介してアクセスするための2次元コードを生成することと、
をさらに含む、
請求項3に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項11】
前記推定結果表示画面のデータを、ネットワークを介してアクセス可能な状態にすることと、
前記推定結果表示画面のデータに、ネットワークを介してアクセスするための2次元コードを生成することと、
をさらに含む、
請求項6に記載のタイヤの状態の推定方法。
【請求項12】
対象となるタイヤのトレッドの両端を含むとともに、所定方向に該トレッドが連続するように該トレッドを正面から撮影した画像を取得する画像取得部と、
学習済みの機械学習モデルを記憶する記憶部と、
前記取得した画像を前記学習済みの機械学習モデルに入力し、前記学習済みの機械学習モデルから出力を導出する導出部と、
を備え、
前記学習済みの機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する、
タイヤの状態の推定装置。
【請求項13】
前記学習済みの機械学習モデルから導出された出力に対応する前記推定結果を表示する推定結果表示画面を生成する画面生成部
をさらに備える、
請求項12に記載のタイヤの状態の推定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の推定装置と、
前記対象となるタイヤのトレッドを撮影するカメラと、
前記推定結果表示画面を表示するディスプレイと
を備える、
タイヤの状態の推定システム。
【請求項15】
対象となるタイヤのトレッドの両端を含むとともに、所定方向に該トレッドが連続するように該トレッドを正面から撮影した画像を取得することと、
前記取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出することと
をコンピュータに実行させ、
前記学習済みの第1機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する、
タイヤの状態の推定プログラム。
【請求項16】
タイヤのトレッドの両端を含むとともに、所定方向に該トレッドが連続するように該トレッドを正面から撮影した学習用画像と、正解データとのデータセットである学習用データを用意することと、
前記学習用データを用いて、対象となるタイヤのトレッドの両端を含むとともに、所定方向に該トレッドが連続するように該トレッドを正面から撮影した画像を入力すると、前記正解データに対応するデータが出力されるように機械学習モデルのパラメータを調整することと
を含み、
前記正解データは、前記学習用画像のタイヤの偏摩耗の程度を表す指標及び前記学習用画像のタイヤの偏摩耗の類型に対応するラベルの少なくとも一方である、
学習済みモデルの生成方法。
【請求項17】
対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得することと、
前記取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出することと、
前記取得した画像を、前記学習済みの第1機械学習モデルとは異なる学習済みの第2機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの第2機械学習モデルから出力を導出することと、
前記学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力及び前記学習済みの第2機械学習モデルから導出された出力に基づいて、前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することと、
を含み、
前記学習済みの第1機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応し、
前記学習済みの第2機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤのトレッドの溝の深さの推定結果に対応する、
タイヤの状態の推定方法。
【請求項18】
対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得する画像取得部と、
学習済みの第1機械学習モデルと、前記学習済みの第1機械学習モデルとは異なる学習済みの第2機械学習モデルとを記憶する記憶部と、
前記取得した画像を前記学習済みの第1機械学習モデルに入力するとともに前記取得した画像を前記学習済みの第2機械学習モデルに入力し、前記学習済みの第1機械学習モデル及び前記学習済みの第2機械学習モデルからそれぞれ出力を導出する導出部と、
前記学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力及び前記学習済みの第2機械学習モデルから導出された出力に基づいて、前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定する判定部と
を備え、
前記学習済みの第1機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応し、
前記学習済みの第2機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤのトレッドの溝の深さの推定結果に対応する、
タイヤの状態の推定装置。
【請求項19】
対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得することと、
前記取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力することと、
前記取得した画像を、前記学習済みの第1機械学習モデルとは異なる学習済みの第2機械学習モデルに入力することと、
前記学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出することと、
前記学習済みの第2機械学習モデルから出力を導出することと、
前記学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力及び前記学習済みの第2機械学習モデルから導出された出力に基づいて前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することと、
をコンピュータに実行させ、
前記学習済みの第1機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応し、
前記学習済みの第2機械学習モデルの出力は、前記対象となるタイヤのトレッドの溝の深さの推定結果に対応する、
タイヤの状態の推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの状態の推定方法、推定装置、推定システム及び推定プログラムならびに学習済みモデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機械学習モデルを使用してタイヤのトレッド摩耗値を推定する方法を開示する。機械学習モデルは、ハンドル角、車輪速度、前後加速度、ブレーキ圧、走行総距離等の車載センサから得られるセンサデータを収集して使用し、各タイヤのトレッド摩耗を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2021-524040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トレッドには、その全体にわたって均一な摩耗ばかりではなく、特定の部分に集中した摩耗や、タイヤの周方向にわたって特徴的なパターンが出現する摩耗が生じることがある。このような現象は、偏摩耗とも称される。偏摩耗を放置するとタイヤが損傷しやすくなったり、スリップが生じやすくなったり、車両の快適な走行が困難になったりする。このため、偏摩耗を早期に発見し、タイヤ交換やタイヤローテーション等の対策を講じることが重要である。ところが、偏摩耗はトレッドの摩耗量が規定より少ない時点で発生していることがあり、単にトレッドの摩耗量を推定するだけでは発見できないことがある。この点が特許文献1では考慮されていない。
【0005】
本開示は、タイヤの状態としてタイヤの偏摩耗を推定する方法、装置、システム及びプログラムならびに学習済みモデルの生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るタイヤの状態の推定方法は、以下のことを含む:
対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得すること
取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力すること
学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出すること。
なお、学習済みの第1機械学習モデルの出力は、対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する。
【0007】
上記方法は、学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力に基づいて、対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することをさらに含んでもよい。
【0008】
上記方法は、対象となるタイヤの交換が必要か否かの判定結果を表示する判定結果表示画面を生成することをさらに含んでもよい。
【0009】
上記方法は、取得した画像を、第1機械学習モデルとは異なる学習済みの第2機械学習モデルに入力することと、学習済みの第2機械学習モデルから出力を導出することとをさらに含んでもよい。ただし、学習済みの第2機械学習モデルの出力は、対象となるタイヤのトレッドの溝の深さの推定結果に対応する。また、対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することは、前記学習済みの第1機械学習モデルから導出された出力及び前記学習済みの第2機械学習モデルから導出された出力に基づいて前記対象となるタイヤの交換が必要か否かを判定することであってもよい。
【0010】
上記方法において、対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果は、トレッドの偏摩耗の程度についての推定結果であり、偏摩耗の程度を段階的に示す指標で表されてもよい。
【0011】
上記方法は、第1機械学習モデルから導出された出力に対応する指標を、偏摩耗の程度を段階的に示す指標の全体に対する位置付けとともに表示する推定結果表示画面を生成することをさらに含んでもよい。
【0012】
上記方法において、前記対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果は、偏摩耗の類型についての推定結果であってもよい。
【0013】
上記方法は、対象となるタイヤの、車両における取付位置の情報を取得することと、取得された取付位置の情報と、第1機械学習モデルから導出された出力とに基づいて、推奨されるタイヤのローテーションパターンである、推奨パターンを決定することとをさらに含んでもよい。
【0014】
上記方法は、決定された推奨パターンを表示するローテーション画面を生成することをさらに含んでもよい。
【0015】
上記方法は、判定結果表示画面のデータを、ネットワークを介してアクセス可能な状態にすることと、判定結果表示画面のデータに、ネットワークを介してアクセスするための2次元コードを生成することとをさらに含んでもよい。
【0016】
上記方法は、推定結果表示画面のデータを、ネットワークを介してアクセス可能な状態にすることと、推定結果表示画面のデータに、ネットワークを介してアクセスするための2次元コードを生成することとをさらに含んでもよい。
【0017】
本開示の一側面に係るタイヤの状態の推定装置は、画像取得部と、記憶部と、導出部とを備える。画像取得部は、対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得する。記憶部は、学習済みの機械学習モデルを記憶する。導出部は、取得した画像を学習済みの機械学習モデルに入力し、学習済みの機械学習モデルから出力を導出する。なお、学習済みの機械学習モデルの出力は、対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する。
【0018】
上記推定装置は、学習済みの機械学習モデルから導出された出力に対応する推定結果を表示する推定結果表示画面を生成する画面生成部をさらに備えてもよい。
【0019】
本開示の一側面に係るタイヤの状態の推定システムは、上記画面生成部を備える推定装置と、カメラと、ディスプレイとを備えてもよい。カメラは、対象となるタイヤのトレッドを撮影する。ディスプレイは、推定結果表示画面を表示する。
【0020】
本開示の一側面に係るタイヤの状態の推定プログラムは、以下のことをコンピュータに実行させる:
対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得すること
取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力すること
学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出すること。
なお、学習済みの第1機械学習モデルの出力は、対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する。
【0021】
本開示の一側面に係る学習済みモデルの生成方法は、以下のことを含む:
タイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとのデータセットである学習用データを用意すること
学習用データを用いて、対象となるタイヤのトレッドを含む画像を入力すると、正解データに対応するデータが出力されるように機械学習モデルのパラメータを調整すること。
なお、正解データは、学習用画像のタイヤの偏摩耗の程度を表す指標及び学習用画像のタイヤの偏摩耗の類型に対応するラベルの少なくとも一方である。
【発明の効果】
【0022】
以上の側面によれば、対象となるタイヤの画像から、該タイヤの偏摩耗を推定する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係るタイヤの状態の推定システムの全体構成を示す図。
図2】推定装置の電気的構成を示すブロック図。
図3】ユーザ側の情報処理端末の電気的構成を示すブロック図。
図4】一実施形態に係る機械学習モデルの構造の概略を説明する図。
図5A】推定システムにおいてユーザ側の情報処理端末で行われる処理の流れを示すフローチャート。
図5B】推定システムにおいてサーバー装置及び推定装置で行われる処理の流れを示すフローチャート。
図6】ユーザ側の情報処理端末に表示されるユーザーインターフェース画面の例。
図7】ユーザ側の情報処理端末に表示されるユーザーインターフェース画面の別の例。
図8】推定装置に保存される判定テーブルの例。
図9A】推定装置が生成するフィードバック画面の例。
図9B】推定装置が生成するローテーション画面の例。
図10】学習処理の流れを示すフローチャート。
図11A】偏摩耗の一態様を説明する図。
図11B】偏摩耗の一態様を説明する図。
図11C】偏摩耗の一態様を説明する図。
図11D】偏摩耗の一態様を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態に係るタイヤの状態の推定方法、推定装置、推定システム及び推定プログラムならびに学習済みモデルの生成方法について説明する。タイヤの状態とは、タイヤの偏摩耗の状態を含む。
【0025】
<1.推定システムの概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る推定システム5の全体構成図である。推定システム5は、タイヤTの状態としてタイヤTの偏摩耗及び摩耗量を推定し、推定結果やこれに基づいて推奨される対応(タイヤ交換及びタイヤローテーション等)をフィードバックするためのシステムである。本実施形態に係る推定システム5の主たるユーザとして想定されるのは、これに限られないが、車両のドライバーに対し、タイヤの点検サービスを提供する者である。
【0026】
推定システム5は、タイヤTの状態を推定する推定装置1と、タイヤTを撮影するカメラ20と、状態の推定結果等を表示するディスプレイ21とを備える。カメラ20は、被写体のデジタル画像データを生成する撮影装置である。カメラ20は、例えばスマートフォン、タブレット、ラップトップパソコン、スマートウォッチ、及びプッシュボタン付きの携帯電話等、インターネット等のネットワークに接続されるポータブルな情報処理端末に内蔵される。ディスプレイ21は、カメラ20により撮影される画像を含む、種々の情報を表示する表示装置である。ディスプレイ21は、例えばカメラ20が内蔵される情報処理端末が備えるタッチパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶表示素子、プラズマディスプレイ等である。本実施形態では、カメラ20はユーザが使用するスマートフォン2に内蔵されるカメラであり、ディスプレイ21は、スマートフォン2が備えるタッチパネルディスプレイである。
【0027】
詳しくは後述するが、タイヤTの偏摩耗及び摩耗量の推定は、カメラ20により生成されたタイヤTのトレッドを含む画像を入力とする第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131(図4参照)に基づいて行われる。第1機械学習モデル130の出力はタイヤTの偏摩耗の推定結果に対応し、第2機械学習モデル131の出力はタイヤTの摩耗量の推定結果に対応する。推定装置1は、第1及び第2機械学習モデル130,131から導出された出力を総合的に判断し、タイヤTについての推定結果を表示する推定結果及びドライバーに推奨される対応の少なくとも一方を表示するフィードバック画面G3(図9A参照)を生成する。フィードバック画面G3は、後述するウェブデータ7として、サーバー装置4に保存される。これにより、ネットワークを介した情報処理端末からの要求に応じて、当該情報処理端末のディスプレイにフィードバック画面G3が表示される。
【0028】
ユーザは、ディスプレイ21にフィードバック画面G3を表示することで、これをドライバーに示しつつ、タイヤTについての現状及び推奨される対応の説明を行い、必要に応じてユーザが提供し得るサービスを提案することができる。また、ドライバーがスマートフォン、タブレット、ラップトップパソコン、スマートウォッチ、デスクトップパソコン及びプッシュボタン付き携帯電話等、ネットワークに接続される情報処理端末(本実施形態では、スマートフォン3)を所持している場合、ドライバーは、これらの情報処理端末からネットワークを介してウェブデータ7にアクセスし、情報処理端末のディスプレイ31にフィードバック画面G3を表示することができる。これにより、ドライバーは、場所や時の制限を受けることなく、自身でもフィードバック画面G3を確認することができる。
【0029】
以下、推定システム5の各部の詳細について説明した後、第1及び第2機械学習モデル130,131の構成、第1及び第2機械学習モデル130,131に基づく推定方法、及び第1及び第2機械学習モデル130,131の学習方法について順に説明する。
【0030】
<2.各部の構成>
[推定装置]
図2は、推定装置1の電気的構成を示すブロック図である。推定装置1は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップパソコン、ラップトップパソコン、タブレット、スマートフォンとして実現される。推定装置1は、CD-ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体133から、或いはネットワークを介して、プログラム132を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。プログラム132は、スマートフォン2から送られてくる画像データ201(図4参照)に基づいて画像に写るタイヤTの状態を推定するとともに、推定結果に基づいて、何らかの対応が必要か否かを判定し、推奨される対応を決定するソフトウェアであり、推定装置1に後述する動作を実行させる。
【0031】
推定装置1は、制御部10、表示部11、入力部12、記憶部13、及び通信部14を備える。これらの部10~14は、互いにバス線15を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、後述する機械学習モデルのコードや、機械学習モデルの学習過程における誤差等を表示する。この表示は、主として機械学習モデルを学習させ、学習済みの機械学習モデル130,131を生成する者が利用することができる。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、推定装置1に対する操作を受け付ける。
【0032】
記憶部13は、ハードディスク及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成することができる。記憶部13内には、プログラム132が格納されている他、スマートフォン2から送られてくる画像データ201を含むデータが適宜保存される。また、記憶部13内には、後述する学習処理で学習され、後述する推定処理で使用される第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131を定義する情報が格納される。さらに、記憶部13には、これらの機械学習モデルによる推定結果を総合的に判断し、推奨される対応を決定するための判定テーブル134が格納される。判定テーブル134についての詳細は、後述する。
【0033】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM及びRAM等で構成することができる。制御部10は、記憶部13内のプログラム132を読み出して実行することにより、仮想的に画像取得部10A、導出部10B、判定部10C、画面生成部10D及び学習部10Eとして動作する。画像取得部10Aは、第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131へ入力される画像データ201を取得する。導出部10Bは、画像データ201を第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131に入力し、それぞれの機械学習モデルからの出力を導出する。判定部10Cは、導出部10Bにより導出された出力と、判定テーブル134とに基づいて、タイヤ交換またはタイヤローテーションが必要であるか否かを判定する。画面生成部10Dは、判定部10Cによる判定結果等を表示する、フィードバック画面を生成する。通信部14は、ネットワークを介したデータ通信を行う通信インターフェースとして機能する。学習部10Eについては、後述する。
【0034】
[ユーザ側スマートフォン]
図3は、推定システム5を構成するカメラ20と、ディスプレイ21とを備える情報処理端末の電気的構成を示すブロック図である。情報処理端末は、ユーザがタイヤの点検サービスを提供するための装置であり、上述した通り、本実施形態ではスマートフォン2として構成される。本実施形態では、スマートフォン2は汎用のスマートフォンであり、カメラ20及びディスプレイ21に加えて、制御部22、記憶部23、及び通信部24を備える。これらの部20~24は、互いにバス線25を介して接続されており、相互に通信可能である。ディスプレイ21は、上述した通りタッチパネルディスプレイであり、ユーザによる操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示するように構成される。通信部24は、ネットワークを介したデータ通信を行う通信インターフェースとして機能する。
【0035】
制御部22は、CPU、GPU、ROM及びRAM等で構成することができる。記憶部23は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成することができる。記憶部23には、カメラ20で撮影した画像データ201が保存される他、推定システム5の専用アプリケーションプログラム200(以下、単に「アプリ200」とも称する)が格納される。アプリ200は、例えばネットワークを介してスマートフォン2にインストールされる。ユーザがアプリ200を起動すると、カメラ20及びディスプレイ21等が推定システム5の一部として動作するよう制御される。アプリ200は、必要に応じてウェブデータ7とも協働しつつ、ディスプレイ21上に各情報を表示し、後述するタイヤTの状態の推定処理を実行するためのユーザの動作を支援する。
【0036】
[サーバー装置]
サーバー装置4は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、不揮発性で書き換え可能な記憶装置を有する。記憶装置には、推定装置1、スマートフォン2及びスマートフォン3が接続されるネットワークにおいて、推定システム5に関連する専用のウェブサイトを構成するウェブデータ7が格納される。ウェブデータ7は、各情報処理端末のディスプレイで表示される画面のデータ等、ウェブサイトのコンテンツデータが含まれたデータである。ウェブデータ7は、スマートフォン、タブレット、ラップトップパソコン、スマートウォッチ、デスクトップパソコン及びプッシュボタン付き携帯電話から、汎用のウェブブラウザを介してアクセス可能であってよい。
【0037】
サーバー装置4の記憶装置は、車両情報データベースをさらに含む。車両情報は、タイヤTの状態の推定処理を行うにあたって、ユーザが対象の車両に対して発行する識別情報であり、推定システム5内で車両を区別できる情報であれば、特にその形式は限定されない。車両情報は、例えば、当該車両のナンバープレートの数字、サービス提供のためにドライバーに割り当てられた番号、推定処理を開始した日時、及びこれらを組み合わせた数字等であってよい。サーバー装置4は、後述するように、スマートフォン2で起動されるアプリ200を介して車両情報を取得する。サーバー装置4は、取得した車両情報を自身の記憶装置に格納し、車両情報データベースを構築する。
【0038】
また、サーバー装置4は、後述する推定処理において、推定装置1により生成されたフィードバック画面G3を取得する。サーバー装置4は、取得したフィードバック画面G3に固有のURL(Uniform Resource Locator)を割り当てるとともに、これを車両情報データベース内に格納されている該当の車両情報と関連付けて、ウェブデータ7として保存する。これにより、スマートフォン3等、一般の情報処理端末からネットワークを介してフィードバック画面G3へのアクセスが可能となる。ただし、本実施形態では、まず情報処理端末から専用ウェブサイトにアクセスし、情報処理端末のディスプレイに表示されるフォーム画面に対象の車両情報を入力しなければ、フィードバック画面へ到達することができないようになっている。
【0039】
[カード]
本実施形態では、スマートフォン3等からフィードバック画面へのアクセスを容易にすべく、ドライバーの車両情報と、専用ウェブサイトにアクセスするためのURLとが記載された名刺サイズのカード6が、ユーザからドライバーに提供される。URLは、例えばQRコード(登録商標)等の、電子機器により読み取り可能なコード形式でカード6に記載される。
【0040】
[ドライバー側スマートフォン]
スマートフォン3は、ドライバーが所有する情報処理端末の一例である。スマートフォン3は、スマートフォン2と同様に汎用のスマートフォンであり、カメラ30とディスプレイ31とを備える。ディスプレイ31は、タッチパネルディスプレイとして構成される。スマートフォン3は、スマートフォン2とは異なり、アプリ200がインストールされる必要はない。
【0041】
ドライバーは、自身が乗車する車両に含まれるタイヤTについての推定処理が終了すると、ユーザからスマートフォン2のディスプレイ21に表示されるフィードバック画面G3を提示されながら、タイヤTの現状についての説明と、推奨される対応の提案を受ける。そして、自身の車両情報が記されたカード6をユーザから受け取る。その後、ドライバーが改めてフィードバック画面G3を確認するとき、カード6を参照し、コード60をスマートフォン3のカメラ30を使用したバーコードリーダアプリケーションによって読み込む。これにより、ドライバーは、専用ウェブサイトのURLを手打ち入力することなく、スマートフォン3から専用ウェブサイトにアクセスすることができる。このとき、ディスプレイ31に表示される専用ウェブサイトのトップページは、車両情報を入力するフォーム画面となる。ドライバーは、タッチパネルディスプレイ31を操作し、カード6に記載された自身の車両情報を、フォーム画面中の入力欄に入力する。入力された車両情報がドライバーの操作によりサーバー装置4に送信されると、サーバー装置4は、これを車両情報データベースと照合し、一致する車両情報を探し出す。サーバー装置4は、照合により探し出された車両情報と関連付けられたフィードバック画面G3のデータを、スマートフォン3に送信する。これにより、ディスプレイ31にはフィードバック画面G3が表示される。
【0042】
<3.機械学習モデルの構成>
[第1機械学習モデル]
次に、図4を参照しつつ、後述する推定処理の中で使用される第1機械学習モデル130の構成について説明する。第1機械学習モデル130は、上述したように、タイヤTの画像を入力とし、タイヤTの偏摩耗の推定結果に対応する値を出力とする。入力されるタイヤTの画像は、タイヤTの正面から両端を含むトレッドを撮影した画像であり、予め決められたH×Wのピクセル数を有する。偏摩耗の推定結果は、本実施形態では、タイヤTの偏摩耗の程度を段階的に示す指標であり、偏摩耗の程度が少ない順に、偏摩耗レベル1、偏摩耗レベル2、偏摩耗レベル3のいずれかとなる。偏摩耗レベル1は、偏摩耗が生じていないか、殆ど生じていないことを表す。偏摩耗レベル2は、中程度の偏摩耗が生じていることを表す。偏摩耗レベル3は、重度の偏摩耗が生じていることを示す。
【0043】
第1機械学習モデル130は、本実施形態では、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であり、タイヤの種類(夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤ)別に構築される。つまり、第1機械学習モデル130とは、夏タイヤ用の第1機械学習モデル130A、冬タイヤ用の第1機械学習モデル130B、及びオールシーズンタイヤ用の第1機械学習モデル130Cの3つの機械学習モデルの総称である。第1機械学習モデル130A~Cの各々は、異なる学習用データを用いた学習により生成されており、パラメータがそれぞれのタイヤの種類に対して最適化されている。すなわち、第1機械学習モデル130A~Cの層構成は、図4に示す通りで共通であるが、これらを規定するパラメータはそれぞれ異なる。従って、以下では第1機械学習モデル130Aの層構成について説明し、第1機械学習モデル130B,Cについての層構成についての説明は省略する。
【0044】
第1機械学習モデル130Aは、交互に配置された畳み込み層及びプーリング層と、これらの出力側に接続される全結合層と、出力層とを備える。畳み込み層及びプーリング層は、入力画像の特徴を抽出するための層である。1つ目の畳み込み層では、入力画像に対し、これより小さなサイズの多数の重みフィルタによる畳み込み処理が実行される。その結果、重みフィルタの数M(Mは、2以上の整数であり、適宜決定される)と同数の、M枚の特徴マップが生成される。より具体的には、入力画像と各重みフィルタとの内積がラスタスキャンで繰り返し計算され、入力画像に重みフィルタが畳み込まれてゆくことにより、特徴マップが算出される。重みフィルタは、入力画像に含まれる一定のパターン(特徴)を検出し、強調するための値の配列である。特徴マップは、重みフィルタの特徴に反応し、入力画像において重みフィルタの特徴が強調された画像(又は値の配列)である。各重みフィルタの値は、後述する学習処理により最適化されている。
【0045】
次に、1つ目のプーリング層において、特徴マップの各々に対してプーリング処理が実行され、その結果、M枚の特徴マップが生成される。プーリング処理とは、先の特徴マップに含まれる小領域を代表する応答値を出力することにより、先の特徴マップを新たな特徴マップに変換する処理である。このプーリング処理により、先の特徴マップのサイズを縮小することができる。また、位置感度を低下させ、入力画像において検出しようとする特徴の位置のずれを吸収することができる。より具体的には、プーリング処理では、各特徴マップが小領域に分割され、各小領域に含まれる画素値に基づいて応答値となる1つの画素値が決定される。応答値の決定方法は、適宜設定することができ、小領域内の画素値の平均値であってもよいし、最大値であってもよい。
【0046】
新たに生成された特徴マップの各々は、2つ目の畳み込み層にさらに入力される。ここではN(Nは、2以上の整数であり、適宜決定される)枚の新たな重みフィルタが用意され、1つ目の畳み込み層と同様に畳み込み処理が行われる。その結果、N枚の特徴マップが生成される。2つ目の畳み込み層においても、各重みフィルタの値は、後述する学習処理により最適化されている。
【0047】
さらに、N枚の特徴マップの各々は、2つ目のプーリング層に入力される。2つ目のプーリング層では、2度目のプーリング処理が実行され、N枚の特徴マップが新たな特徴マップに変換される。2つ目のプーリング層から出力された特徴マップ(画像)は、1次元のベクトルに変換され、全結合層に入力される。
【0048】
全結合層は、多層パーセプトロンであり、入力画像のタイヤTを偏摩耗レベル1、偏摩耗レベル2、偏摩耗レベル3のいずれかの指標に分類する。全結合層は、それぞれが複数のユニットを有する入力層、中間層及び出力層を有する。各層のユニットを結合する重み係数及びバイアスは、後述する学習処理により最適化されている。全結合層における出力層の各ユニットは、偏摩耗の程度を示す3つの指標(レベル)と対応する。
【0049】
出力層は、全結合層の出力層からの3つの出力値に対し、softmax関数を適用して、タイヤTの偏摩耗が、偏摩耗レベル1、偏摩耗レベル2、偏摩耗レベル3の指標に該当する確率相当値をそれぞれ出力する。確率相当値が最も高いユニットに対応する指標が、タイヤTの偏摩耗の推定結果に対応する。
【0050】
[第2機械学習モデル]
第2機械学習モデル131は、上述したように、タイヤTの画像を入力とし、タイヤTのトレッドの主溝の残り深さ、言い換えるとトレッドの摩耗量の推定結果に対応する値を出力とする。入力されるタイヤTの画像は、第1機械学習モデル130に入力される画像と同一の画像である。トレッドの摩耗量の推定結果は、本実施形態では、トレッドの主溝の残り深さを段階的に示す指標であり、主溝の残り深さが深い順に、摩耗量レベル1、摩耗量レベル2、摩耗量レベル3のいずれかとなる。摩耗量レベル1は、主溝の深さが充分であり、摩耗が生じていないか、殆ど生じていないことを表す。摩耗量レベル2は、主溝の深さが中程度に減っており、中程度の摩耗が生じていることを表す。摩耗量レベル3は、主溝の深さが相当減っており、重度の摩耗が生じていることを示す。
【0051】
本実施形態の第2機械学習モデル131も、第1機械学習モデル130と同様の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であり、タイヤの種類(夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤ)別に構築される。つまり、第2機械学習モデル131とは、夏タイヤ用の第2機械学習モデル131A、冬タイヤ用の第2機械学習モデル131B、及びオールシーズンタイヤ用の第2機械学習モデル131Cの3つの機械学習モデルの総称である。第2機械学習モデル131A~Cの各々は、異なる学習用データを用いた学習により生成されており、パラメータがそれぞれのタイヤの種類に対して最適化されている。このため、第2機械学習モデル131A~Cの層構成は共通であるが、これらを規定するパラメータはそれぞれ異なる。なお、本実施形態では、第2機械学習モデル131A~Cの層構成は図4に示す第1機械学習モデル130と共通である。従って、上述した説明は、第2機械学習モデル131A~Cにも当てはまるため、第2機械学習モデル131A~Cについての層構成の説明は、省略する。
【0052】
なお、本実施形態では、学習済みの第1機械学習モデル130A~C及び学習済みの第2機械学習モデル131A~Cは、後述するように推定装置1に組み込まれている学習部10Eにより生成される。しかし、機械学習モデルを学習させ、学習済みの第1及び第2機械学習モデル130,131を生成する学習機能は、これらの学習済みのモデル130,131に基づいてタイヤの偏摩耗及び主溝の深さを推定する機能から独立していてもよい。言い換えると、推定装置1には推定機能のみを実装し、別のコンピュータで学習した学習済みの第1機械学習モデル130と学習済みの第2機械学習モデル131とを、それぞれ記憶部13に取り込むようにしてもよい。
【0053】
<4.推定システムの動作>
次に、図5図9を参照しつつ、タイヤTの偏摩耗及び摩耗量を推定する推定システム5の動作について説明する。タイヤTの偏摩耗及び摩耗量を推定する推定処理は、推定装置1によって実行される。しかし、推定システム5全体は、推定装置1、スマートフォン2及びサーバー装置4が協働することにより動作する。従って、以下ではスマートフォン2等に表示されるユーザーインターフェース画面についても適宜触れながら、推定装置1による推定処理を含む推定システム5の動作について説明する。この動作は、例えばユーザがスマートフォン2のアプリ200を起動したときにスタートする。図5Aは、スマートフォン2で行われる処理の流れを示すフローチャートであり、図5Bは、サーバー装置4及び推定装置1で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
なお、推定処理は、通常車両の各車輪(ハブ)に装着されている全てのタイヤについて行われるため、以下では車両が4輪乗用車である場合を例に説明する。車両は、各車輪にタイヤTが装着された状態でリフトアップされているものとする。
【0055】
図5Aを参照する。スタート時点では、アプリ200によりディスプレイ21にスタート画面が表示される。スタート画面には、例えば車両情報を入力する入力欄と、入力を確定するための確定ボタンのグラフィックとが表示される。ユーザは、タッチパネルディスプレイ21を操作して入力欄に車両情報を入力する。続いて、ユーザが確定ボタンのグラフィックをタップすると、アプリ200は車両情報の入力を受け付け、これを記憶部23に保存する(ステップS21)。
【0056】
続いて、アプリ200は各車輪に装着されたタイヤTの撮影をユーザに促す撮影指示画面G1をディスプレイ21に表示する(ステップS22)。撮影指示画面G1は、例えば図6に示すように、車両の左前輪、右前輪、左後輪、右後輪に対応する4つのボックスB1~B4を、車両における車輪の位置関係と対応させて表示する。各ボックスの上方には、例えば車輪の位置が表示され、各ボックス内にはカメラアイコンC1が表示される。より具体的には、ボックスB1の上方には「フロント左」、ボックスB2の上方には「フロント右」、ボックスB3の上方には「リア左」、ボックスB4の上方には「リア右」と表示され、撮影指示画面G1におけるボックスB1~B4の位置関係が、車両における車輪の位置関係と対応するようになっている。
【0057】
ユーザは、まず撮影指示画面G1上で、いずれか1つのボックスを選択する。この選択は、例えばそのボックス内に表示されるカメラアイコンC1をタップすることにより行われる。カメラアイコンC1がユーザによりタップされると、アプリ200はカメラ20を起動する。このとき、撮影指示画面G1は一時的にカメラ20のモニタ画面G2に切り替わる。モニタ画面G2は、カメラフレームC2を含む。カメラフレームC2は、第1及び第2機械学習モデル130,131に入力される入力画像と同じH×Wのピクセル数を有するフレームであり、カメラフレームC2の被写体に対して画像データが生成されるように構成される。
【0058】
ユーザは、選択したボックスに対応する位置に取り付けられるタイヤTの側に位置取り、タイヤTのトレッドの両端が、カメラフレームC2内に収まるようにタイヤTを撮影する。ユーザは、撮影された画像をモニタ画面G2で見て、画像が推定処理に使用するデータとして適切であるか否かを確認する。この確認は、例えばトレッドの両端を含むトレッドの主溝が鮮明に撮影されているか、トレッドが正面から撮影されているか、画像の上下方向にトレッドが連続しているか(タイヤTの接地面が写っていないか)、ピントは合っているか、タイヤTの像を妨げる他の映り込みがないか、等について行われる。
【0059】
確認の結果、画像が適切であると判断される場合、ユーザはモニタ画面G2に表示されるタイヤTの種類を選択するための選択ボックスB5~B7の中から適切な選択ボックスをタップし、選択状態とする。選択ボックスB5~B7は、例えば夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤの3種類に対して表示される。ユーザは、タイヤTを目視により確認し、またはドライバーからの聞き取りにより、タイヤTが夏タイヤ、冬タイヤ、オールシーズンタイヤのいずれであるかを判断し、これに応じた選択ボックスB5~B7のいずれかをタップする。これにより、タップされた選択ボックスが選択状態となる。アプリ200は、例えば選択状態となった選択ボックスを明るく表示し、他の選択ボックスをグレーアウトして表示する。
【0060】
続いて、ユーザはモニタ画面G2に表示される「保存」ボタンのグラフィックをタップし、撮影した画像を確定させる。これにより、選択されたタイヤTの種類と関連付けられたタイヤTの画像データ201がアプリ200により生成され、スマートフォン2の記憶部23に保存される。一方、画像が不適切であると判断される場合、ユーザは例えばモニタ画面G2に表示される「やり直し」ボタンのグラフィックをタップし、再度カメラ20による撮影を行う。ユーザは、選択したボックスB1~B4に対応するタイヤTの画像データ201を保存するまで、何度でも撮影をやり直すことができる。
【0061】
アプリ200は、タイヤTの画像データ201が記憶部23に保存されると、再びディスプレイ21に撮影指示画面G1を表示する。ただし、図7に示すように、次に表示される撮影指示画面G1では、既にユーザが撮影を行い、画像を確定させた車輪に対応するボックスの中に、記憶部23に保存された画像データ201のサムネイル画像が表示される。これにより、ユーザはまだ画像データ201が保存されていない車輪を把握することができる。ユーザは、撮影指示画面G1を見て、サムネイルが表示されていないボックスを選択し、選択したボックスに対応するタイヤTの撮影を上記と同様の手順で行う。以上の手順を各輪について繰り返すことにより、4輪のタイヤTのトレッドを含む画像データ201が4枚生成され、記憶部23に保存される。4枚の画像データ201は、ボックスB1~B4に対して生成されることで、自動的に各車輪の位置と関連付けられて記憶部23に保存される。
【0062】
再び図5Aを参照して、アプリ200は、画像データ201が記憶部23に保存されるたびに、車両の全ての車輪についてタイヤTの画像データ201が保存されたか否かを判定する(ステップS23)。全ての車輪について、タイヤTの画像データ201が保存された、つまりタイヤTの画像データ201が4枚揃ったと判定される場合(YES)、アプリ200は後述する開始確認画面をディスプレイ21に表示する(ステップS24)。全ての車輪について、タイヤTの画像データ201が保存されていない、つまりタイヤTの画像データ201が4枚未満であると判定される場合(NO)、上述したようにアプリ200は撮影指示画面G1を再度表示し、残りのタイヤTについての撮影をユーザに促す。
【0063】
ステップS24でディスプレイ21に表示される開始確認画面は、ステップS23で揃ったと判定された4枚の画像データ201を用いて、第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131に基づく推定処理を開始するかどうかをユーザに確認する画面である。開始確認画面は、例えば「AI診断を開始しますか?」等、ユーザに推定処理の開始を問い合わせる旨のメッセージと、「開始する」ボタンのグラフィックと、「戻る」ボタンのグラフィックとを含むことができる。ユーザが「開始する」ボタンのグラフィックをタップすると(YES)、アプリ200は、ステップS22で保存された4枚の画像データ201及びタイヤTの種類、ならびにステップS21で保存した車両情報を、サーバー装置4に送信する(ステップS25)。
【0064】
ユーザは、ステップS22で保存した画像データ201を修正したい場合、ステップS24で「戻る」ボタンのグラフィックをタップすることができる(NO)。この場合、アプリ200は撮影指示画面G1を再度表示するように構成されてもよい。ユーザは、例えば撮影指示画面G1に表示されるサムネイルを見て、画像データ201を修正したい車輪のボックスを選択する。アプリ200は、この操作を受け付けて再びカメラ20を起動し、モニタ画面G2を表示するように構成されてもよい。
【0065】
ステップS25で、画像データ201、車両情報及びタイヤTの種類がサーバー装置4に正常に送信されると、アプリ200は推定装置1により生成されるフィードバック画面G3のデータをサーバー装置4から受信すべく、待機モードに遷移する。ここから図5Bに示す処理が開始する。
【0066】
サーバー装置4は、ステップS25において画像データ201、車両情報及びタイヤTの種類をスマートフォン2から受信すると、受信した車両情報及びタイヤTの種類を自身の車両情報データベースに登録する(ステップS41)。また、サーバー装置4は、画像データ201、車両情報及びタイヤTの種類とともに、推定処理を行い、フィードバック画面G3のデータを送るように要求する指令を推定装置1に送信する(ステップS42)。
【0067】
推定装置1は、ステップS42でサーバー装置4により送信された画像データ201、車両情報及びタイヤTの種類ならびにフィードバック画面G3の要求を受信し、タイヤTの偏摩耗及び摩耗量の推定処理を開始する(ステップS11)。ステップS11では、画像取得部10Aが、受信した画像データ201を読み込む(取得する)。
【0068】
続くステップS12では、導出部10Bが、受信したタイヤTの種類に基づいて、第1機械学習モデル130A~C及び第2機械学習モデル131A~Cの中から、適切なモデルをタイヤTごとに選択する。例えば、タイヤTが夏タイヤである場合、導出部10Bは第1機械学習モデル130Aと第2機械学習モデル131Aとを選択する。この選択は、タイヤTごとにより行われるため、同じ車両のタイヤであっても選択される機械学習モデルが異なる場合がある。
【0069】
続くステップS13では、導出部10Bが、ステップS12で選択した第1機械学習モデル130に当該タイヤTの画像データ201を入力するとともに、ステップS12で選択した第2機械学習モデル131に同じタイヤTの画像データ201を入力する。ステップS12で複数の機械学習モデルが選択された場合は、それぞれの機械学習モデルに、適切なタイヤTの画像データ201が入力される。
【0070】
続くステップS14では、導出部10Bが、第1機械学習モデル130から各画像データ201に対する出力を導出し、記憶部23に保存する。第1機械学習モデル130からの出力は、上述したように、偏摩耗の程度を示す3指標に該当する確率相当値である。同様に、導出部10Bが、第2機械学習モデル131から各画像データ201に対する出力を導出し、記憶部23に保存する。第2機械学習モデル131からの出力は、摩耗量あるいはトレッドの主溝の残り深さを示す3指標に該当する確率相当値である。
【0071】
続くステップS15では、判定部10Cが、ステップS14で導出された第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131の出力に基づいて、各画像データ201のタイヤTの偏摩耗の程度を示す指標と、摩耗量を示す指標とを決定する。判定部10Cは、第1機械学習モデル130からの出力のうち、最も大きな確率相当値を有する指標を偏摩耗の推定結果とする。同様に、判定部10Cは、第2機械学習モデル131からの出力のうち、最も大きな確率相当値を有する指標を摩耗量の推定結果とする。そして、判定部10Cは、記憶部13から判定テーブル134を読み出し、偏摩耗の推定結果及び摩耗量の推定結果に合致するセルを探し出す。図8に示すように、本実施形態における判定テーブル134は、偏摩耗レベルを行、摩耗量レベルを列とする3×3のセルを有する表であり、各セルは、そのセルに合致した場合の判定を示すA1~A3のデータを有する。A1は、偏摩耗及び摩耗量ともに問題がなく、現状における対応は不要との判定を意味する。A2は、偏摩耗及び摩耗量の少なくとも一方が中程度であり、対応としてタイヤのローテーションが推奨されるとの判定を意味する。A3は、偏摩耗及び摩耗量の少なくとも一方が重度であり、対応としてタイヤTの交換が推奨されるとの判定を意味する。
【0072】
例えば、1つの画像データ201について、第1機械学習モデル130の出力に基づく偏摩耗の推定結果が偏摩耗レベル2、第2機械学習モデル131の出力に基づく摩耗量の推定結果が摩耗量レベル1であったとする。判定テーブル134で、これに該当するセルのデータは「A2」であり、この場合にはタイヤのローテーションが推奨される。また、例えば第1機械学習モデル130の出力に基づく偏摩耗の推定結果が偏摩耗レベル3、第2機械学習モデル131の出力に基づく摩耗量の推定結果が摩耗量レベル1であったとする。判定テーブル134で、これに該当するセルのデータは「A3」であり、この場合には当該タイヤの交換が推奨される。このように、判定テーブル134に従った判定によれば、偏摩耗の推定結果と摩耗量の推定結果とが総合的に考慮され、仮に一方がレベル1であっても、他方がレベル2以上である場合には、より程度が大きな方に合わせた対応が推奨される判定となる。これにより、偏摩耗及び摩耗量のいずれか一方の推定のみでは問題ないとされ得るような場合でも、早期に対応を推奨することができ、タイヤTの適切な維持管理が図られる。
【0073】
続くステップS16では、画面生成部10Dが、ステップS15で決定された各指標及び判定に基づき、フィードバック画面G3を生成する。フィードバック画面G3は、例えば図9Aに示すように、4つのボックスB8~B11と、ボックスB8~B11内に表示される画像データ201のサムネイルと、グラフィックC8~C18とを含む。ボックスB8~B11は、撮影指示画面G1と同様、車両の左前輪、右前輪、左後輪、右後輪に対応した位置関係で表示される。タイヤTの画像データ201のサムネイルは、当該画像データ201が関連付けられた車輪に対応するボックスB8~B11内にそれぞれ表示される。
【0074】
グラフィックC8~C11は、数字1~3のいずれかが表示され、順に並ぶ図形を含む。図形の数字は、第1機械学習モデル130から導出された出力に対応する推定偏摩耗レベル1~3をそれぞれ表している。画面生成部10Dは、ボックスB8~B11内に表示されるそれぞれのタイヤTについて、ステップS15で決定された偏摩耗レベルの数字に対応する図形を明るく表示するとともに、その他の数字に対応する図形をグレーアウトさせることで、偏摩耗レベルを視覚的に把握し易く表示する。同様に、グラフィックC12~C15は、数字1~3のいずれかが表示され、順に並ぶ図形を含む。図形の数字は、第2機械学習モデル131から導出された出力に対応する推定摩耗量レベル1~3をそれぞれ表している。画面生成部10Dは、ボックスB8~B11内に表示されるそれぞれのタイヤTについて、ステップS14で決定された摩耗量レベルの数字に対応する図形を明るく表示するとともに、その他の数字に対応する図形をグレーアウトさせることで、摩耗量レベルを視覚的に把握し易く表示する。このように、フィードバック画面G3においては、偏摩耗及び摩耗量の推定結果として、偏摩耗及び摩耗の程度を段階的に示す指標が、指標の全体に対する位置付けとともに表示される。これにより、フィードバック画面G3を確認するユーザ及びドライバーは、偏摩耗及び摩耗の進行度合いを直観的に理解することができる。
【0075】
グラフィックC16~C19は、判定テーブル134に基づく判定結果を示し、判定結果A1~A3に応じた異なる図形を含むことができる。例えば、グラフィックC16は、二重丸の図形を含み、判定結果A1に対応する。グラフィックC17及びC18は、三角形の図形を含み、判定結果A2に対応する。グラフィックC19は、バツの図形を含み、判定結果A3に対応する。すなわち、グラフィックC16~C19は、それぞれのタイヤTに対して対応が必要か否かの判定結果、及び推奨される対応を表示するグラフィックである。グラフィックC16~C19の側には、例えば「対応は必要ありません」「タイヤローテーションが必要です」「タイヤ交換が必要です」等、具体的に対応が必要か否かの判定結果、または推奨される対応を示すメッセージが併記されてもよい。
【0076】
本実施形態のフィードバック画面G3は、判定結果表示画面及び偏摩耗推定結果表示画面の一例である。図9Aに例示するフィードバック画面G3には、偏摩耗の推定結果、摩耗量の推定結果及び判定結果が全て表示されているが、このうちのいずれかが省略されてもよい。また、判定結果表示画面及び偏摩耗推定結果表示画面は、同一の画面データとしてではなく、タイヤごとに、または推定結果もしくは判定結果ごとに、複数の画面のデータとして生成されてもよい。
【0077】
判定部10Cは、ステップS15における判定テーブル134に基づく判定において、ローテーションが推奨されるタイヤが含まれる場合、判定テーブル134に基づく判定に応じて推奨されるタイヤのローテーションパターン(以下、「推奨パターン」とも称する)をさらに決定してもよい。推奨パターンの決定は、例えば判定テーブル134に基づく判定と、車輪の位置情報とに基づいて推奨パターンを決定するアルゴリズムを、予めプログラム132に組み込んでおき、ステップS15でこれを実行することにより行われてもよい。また、判定部10Cは、特に推奨パターンを決定するアルゴリズム等によらず、一般的に推奨されるローテーションパターンを推奨パターンと決定してもよい。
【0078】
画面生成部10Dは、ステップS16において、フィードバック画面G3のデータに加え、推奨パターンを示すローテーション画面G4のデータをさらに生成してもよい。ローテーション画面G4の一例を図9Bに示す。ローテーション画面G4は、例えば各車輪にタイヤTが装着された車両のグラフィックC20と、推奨パターンを示すグラフィックC21~C23と、交換を示すグラフィックC24とを含む。グラフィックC21~C23は、例えば矢印の図形であり、矢印の終端が示す車輪の位置が、矢印の起点にあるタイヤTの付け替え位置として推奨されることを示す。また、グラフィックC24は、例えば循環する矢印の図形であり、タイヤTのグラフィックに重ねて、またはその側に表示されることで、当該タイヤTの交換が推奨されることを示す。また、各タイヤTのグラフィックは、例えば判定テーブル134に基づく判定結果に応じて、模様、色等が変化するようになってもよい。
【0079】
再び図5Bを参照して、画面生成部10Dは、生成したフィードバック画面G3のデータを、サーバー装置4に送信する(ステップS17)。また、ローテーション画面G4のデータが生成される場合は、画面生成部10Dがこれも同様に送信する。これにより、推定装置1では、1組の画像データ201に対するタイヤの状態の推定処理が終了する。
【0080】
サーバー装置4は、推定装置1から送信されてきたフィードバック画面G3のデータを受信し、車両情報データベースと関連付けて自身の記憶装置に保存する(ステップS43)。サーバー装置4は、フィードバック画面G3のデータに対して固有のURLを割り当て、ウェブデータ7とする。その後、サーバー装置4は、フィードバック画面G3のデータをスマートフォン2に送信する(ステップS44)。なお、ローテーション画面G4のデータが送信されてくる場合も、フィードバック画面G3のデータと同様の処理が行われ、ローテーション画面G4のデータもネットワークを介してアクセス可能な状態にされる。これにより、サーバー装置4では、1組の画像データ201に対する処理が終了する。
【0081】
再び図5Aを参照して、スマートフォン2は、ステップS44でサーバー装置4が送信したフィードバック画面G3のデータを受信する。アプリ200は、ディスプレイ21にフィードバック画面G3を表示する(ステップS26)。
【0082】
ユーザは、ディスプレイ21に表示されたフィードバック画面G3をドライバーに提示しつつ、4輪のタイヤについて推定される偏摩耗の状況及び摩耗量の状況、そして推奨される対応について説明する。以下、フィードバック画面G3が図9Aに例示する画面である場合を例に説明する。左前輪(フロント左)について、ユーザは、グラフィックC8及びC12を示しつつ、偏摩耗レベル、摩耗量レベルがともに「1」と推定されることを説明し、続いてグラフィックC16を示しつつ、現状に問題はないと思われる(対応は不要と判定される)ことを説明することができる。右前輪(フロント右)について、ユーザは、グラフィックC9及びC13を示しつつ、偏摩耗レベルは「2」と推定されるが、摩耗量レベルは「1」と推定されることを説明し、続いてグラフィックC17を示しつつ、偏摩耗のさらなる進行を抑制するために、タイヤのローテーションが推奨されることを説明することができる。左後輪(リア左)について、ユーザは、グラフィックC10及びC14を示しつつ、偏摩耗レベルは「1」と推定されるが、摩耗量レベルが「2」と推定されることを説明し、続いてグラフィックC18を示しつつ、摩耗量を平滑化するために、タイヤのローテーションが推奨されることを説明することができる。右後輪(リア右)について、ユーザは、グラフィックC11及びC15を示しつつ、偏摩耗レベルが「3」と推定され、摩耗量レベルが「2」と推定されることを説明し、続いてグラフィックC19を示しつつ、摩耗量は中程度に見えても偏摩耗が重度であるため、タイヤ交換が推奨されることを説明することができる。
【0083】
以上のようなフィードバック画面G3によれば、4輪の画像がサムネイルで一覧化され、推定される偏摩耗レベル及び摩耗量レベルが、全体の段階における位置付けとともにグラフィック形式で表示される。これにより、ユーザからの説明を受けたドライバーは、仮に4輪のタイヤTを点検して回らなくても、納得感を伴って自身の車両のタイヤTについて推定される状況を把握することができる。また、フィードバック画面G3によれば、偏摩耗及び摩耗量のうち、より程度が大きい方に合わせて推奨される対応に合わせ、3種類のグラフィックのうちいずれかが表示される。これにより、ドライバーは、早期にタイヤローテーションまたはタイヤ交換を企図することができる。例えば、図9Aのようなフィードバック画面G3を提示されたドライバーは、少なくとも右前輪のタイヤT及び左後輪のタイヤTの車輪位置を変更するローテーションを考えたり、少なくとも右後輪のタイヤTを交換することを考えたりすることができる。とりわけ偏摩耗のレベルは、タイヤへの知識がそれほど深くない一般的なドライバーにとっては把握が困難な傾向にある。トレッドの摩耗量と比べると、発見に求められる技量や難易度が高く、ドライバーに気付かれないまま長期間放置されがちである。本実施の形態によればこのようなドライバーに交換やローテーションを促すことができる。
【0084】
さらに、ステップS26でスマートフォン2がローテーション画面G4のデータも受信した場合、アプリ200は、ユーザの操作に応じてフィードバック画面G3をローテーション画面G4に切り替え、ディスプレイ21に表示することができる。ユーザは、ローテーション画面G4を確認することで、推奨パターンを容易に認識することができる。また、ローテーション画面G4を提示しながらドライバーに推奨パターンについての説明を行うことができ、ドライバーの納得感をより高めることができる。
【0085】
<5.学習処理の流れ>
以下、図10を参照しつつ、学習済みの第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131を生成するための方法、つまり、学習部10Eにより実行される第1及び第2機械学習モデルの学習方法について説明する。
【0086】
[第1機械学習モデルの学習]
上述したように、本実施形態の第1機械学習モデル130A~Cは、タイヤTの種類別に生成される。このため、第1機械学習モデル130A~Cの学習用データもタイヤTの種類別に用意される。本実施形態では、第1機械学習モデル130Aの学習用データは、夏タイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットであり、第1機械学習モデル130Bの学習用データは、冬タイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットであり、第1機械学習モデル130Cの学習用データは、オールシーズンタイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットである。これらのいずれの学習用データにおいても、正解データは、偏摩耗の程度を表す指標のラベルである。つまり、正解データは、偏摩耗レベル1、偏摩耗レベル2、偏摩耗レベル3のいずれかのラベルである。本実施形態では、学習用画像のタイヤ現物を確認した人によって、学習用画像とこれらのラベルとが組み合わせられる。
【0087】
以下、学習済みの第1機械学習モデル130Aを生成するための学習処理について説明するが、学習済み第1機械学習モデル130B及び130Cも同様の学習処理により生成される。従って、第1機械学習モデル130B及び130Cの学習処理については、説明を省略する。
【0088】
ステップS51では、上述の通り、タイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられたデータセットを多数含む学習用データが用意され、推定装置1の学習部10Eによって記憶部13に保存される。学習部10Eは、学習用データを、訓練用データとテスト用データとに予め分けて保存する。両者の割合は、適宜設定することができる。
【0089】
続くステップS52では、学習部10Eが、訓練用データから、K個のデータセットをサンプルデータとしてランダムに選択する。Kは、バッチサイズとも称される値であり、適宜設定することができる。
【0090】
続くステップS53では、学習部10Eが、第1機械学習モデル130Aに、サンプルデータに含まれるK枚の学習用画像を入力し、第1機械学習モデル130Aからの出力を導出する。出力は、入力されたK枚の学習用画像にそれぞれ組み合わされている正解データに対応するデータであり、本実施形態では、偏摩耗レベル1、偏摩耗レベル2、及び偏摩耗レベル3のラベルに該当する確率相当値である。
【0091】
続くステップS54では、学習部10Eが、ステップS53で導出された出力と、ステップS53で入力された学習用画像に組み合わせられている正解データとの誤差関数の値が最小となるようにパラメータを調整する。より具体的には、学習部10Eが、誤差逆伝播法により、第1機械学習モデル130Aの全結合層における重み係数及びバイアス、ならびに畳み込み層における重みフィルタが有する値を調整し、更新する。
【0092】
続くステップS55では、学習部10Eにより、1エポックの学習が完了したか否かが判断される。本実施形態では、訓練用データの数と同数のサンプルデータについてステップS52~ステップS55までの処理が行われると、1エポックの学習が完了したと判断される。1エポックの学習が完了していないと判断された場合、学習部10Eは、ステップS55の後にステップS52に戻る。すなわち、学習部10Eは、再度ランダムにサンプルデータを選択し、新たに選択されたサンプルデータを用いてステップS53とステップS55までの手順を繰り返す。一方、1エポックの学習が完了したと判断された場合、ステップS56で全エポックの学習が完了したか否かが判断される。
【0093】
学習部10Eは、ステップS56で全エポックの学習が終了していないと判断すると、次のエポックの学習を行うべくステップS52を再度実行する。全エポック数は、特に限定されず、適宜設定することができる。ステップS56で全エポックの学習が終了したと判断されると、学習部10Eは、第1機械学習モデル130Aの学習を終了する。学習部10Eは、第1機械学習モデル130Aの最新のパラメータを記憶部13に格納し、これを学習済みの第1機械学習モデル130Aとする。つまり、以上の手順により、学習済みの第1機械学習モデル130Aが生成される。
【0094】
なお、学習部10Eは、学習が1エポック終了するごとに、テスト用データを第1機械学習モデル130Aに入力して、その出力とテスト用データの正解データに対する誤差を算出し、算出結果を表示部11に表示してもよい。また、全エポックの学習が終了する前に、第1機械学習モデル130Aの出力の誤差が所定の範囲内に収束したと考えられる場合は、その時点で学習を終了させてもよい。
【0095】
[第2機械学習モデルの学習]
学習部10Eは、第1機械学習モデル130A~Cについて以上の学習処理を行うとともに、第2機械学習モデル131A~Cについても同様の学習処理を行う。すなわち、上述したステップS51~S56までの処理は、第2機械学習モデル131A~Cの学習処理についても該当する。このため、第2機械学習モデル131A~Cの学習処理の詳細については説明を省略し、以下では第2機械学習モデル131A~Cの学習用データについて説明する。
【0096】
本実施形態の第2機械学習モデル131A~Cは、タイヤTの種類別に生成される。このため、第2機械学習モデル131A~Cの学習用データもタイヤTの種類別に用意される。本実施形態では、第2機械学習モデル131Aの学習用データは、夏タイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットであり、第2機械学習モデル131Bの学習用データは、冬タイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットであり、第2機械学習モデル131Cの学習用データは、オールシーズンタイヤのトレッドを含む学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットである。これらのいずれの学習用データにおいても、正解データは、摩耗量の程度を表す指標のラベルである。つまり、正解データは、摩耗量レベル1、摩耗量レベル2、摩耗量レベル3のいずれかのラベルである。なお、学習用画像は、第1機械学習モデル130の学習用画像と共通のデータであってよい。
【0097】
本実施形態では、タイヤTの種類ごとに、トレッドの主溝の残り深さに応じた摩耗量レベルが定められており、学習用画像のタイヤ現物において測定された主溝の深さに応じて、適切な摩耗量レベルが選択され、これを表すラベルが学習用画像と組み合わされる。本実施形態では、人がタイヤ現物を確認し、最も摩耗した(浅い)主溝の箇所を選び、その箇所における溝の深さを測定する。
【0098】
<6.特徴>
以上の推定システム5によれば、学習済みの機械学習モデルによりタイヤTの偏摩耗及び摩耗量が推定されるので、人による判断のばらつきが少なくなり、ユーザのタイヤ点検サービスが支援される。また、対応の要否や対応の種類を判定するアルゴリズムでは、推定される偏摩耗の程度及び摩耗量の程度のうち、より重度である方に重み付けがなされているため、より適切な対応が推奨されるとともに、早期にタイヤのローテーションや交換を行うことができる。さらに、フィードバック画面G3やローテーション画面G4のデータが生成されることにより、ユーザはこれらを提示し、ドライバーに対してより効果的に説明やサービスの提案を行うことができ、ドライバーによる適切なタイヤTの管理を促すことができる。ドライバーは、ユーザから提供されるカード6により、好きなタイミングでフィードバック画面G3やローテーション画面G4を確認できるため、後日これらをユーザに提示して、必要なサービスの提供を受けることが可能である。
【0099】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下に示す変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0100】
(1)
上記実施形態では、第1及び第2機械学習モデル130,131としてCNNモデルが用いられたが、機械学習モデルはこれに限定されず、サポートベクタ―マシン(SVM)、ニューラルネットワーク(NN)モデル、K-NNモデル、クラスタリング、k-means、決定木等、その他の機械学習モデル及びこれらを組み合わせたモデルが用いられてもよい。また、第2機械学習モデル131の学習用データは、学習用画像と、正解データとして主溝の深さとが組み合わされたデータセットであってもよい。すなわち、第2機械学習モデル131の出力は、入力画像のタイヤの主溝の残り深さの推定値であってもよい。また、1及び第2機械学習モデル130,131の学習方法は上記実施形態に限定されず、確率的勾配降下法等、公知のパラメータ最適化アルゴリズムを適用することができる。また、損失関数も上記実施形態に限定されず、出力されるデータの性質に応じて適宜変更することができる。
【0101】
(2)
上記実施形態では、タイヤTの状態として、偏摩耗と摩耗量とが合わせて推定されたが、偏摩耗のみを推定し、この推定結果に基づいて推奨される対応が判定されてもよい。
【0102】
(3)
上記実施形態では、偏摩耗の推定として、偏摩耗の程度が推定されたが、これに加えてまたはこれに替えて、偏摩耗の類型が推定されてもよい。偏摩耗の類型とは、例えば図11A~Dに示すパターンである。図11Aは、タイヤTの幅方向(タイヤTの回転軸が延びる方向)において、トレッドの片側が集中して摩耗した状態である、「片減り」である。「片減り」は、タイヤTが車両の左右のいずれの側に装着されているかにより、「内減り」または「外減り」のいずれかにさらに細分化される。図11Bは、タイヤTの幅方向において、トレッドの両側が集中して摩耗した状態である、「両減り」である。図11Cは、タイヤTの幅方向において、トレッドの中央が集中して摩耗した状態である、「センター摩耗」である。図11Dは、タイヤTを周方向から見たときに、トレッドの各ブロックが一方向に摩耗し、のこぎりの歯状となった状態である「ヒールトー摩耗」である。偏摩耗の類型の推定は、例えば入力をタイヤ画像とし、出力を偏摩耗の各パターン及び偏摩耗無しの分類とする、学習済みの機械学習モデルを推定装置1に実装することにより行うことができる。この機械学習モデルの構造は特に限定されない。また、機械学習モデルの学習用データは、タイヤTの学習用画像と、正解データとが組み合わせられた多数のデータセットとすることができる。正解データは、例えば偏摩耗が生じていない状態を含む、偏摩耗の各類型に対応するラベルである。
【0103】
上述のように、推定システム5において偏摩耗の類型が推定される場合、推定装置1の判定部10Cは、推奨される対応をさらに詳細に決定してもよいし、タイヤTの取付位置の情報を併せて取得し、推奨パターンをさらに細分化して決定してもよい。例えば、タイヤTにおいて「両減り」が生じていると推定される場合は、当該タイヤTの空気圧が適正ではなく、減圧気味であることがあるので、例えばドライバーにタイヤTの空気圧の見直しを推奨することができる。一方、タイヤTにおいて「センター摩耗」が生じていると推定される場合は、当該タイヤTの空気圧が適正ではなく、高圧気味であることがあるので、例えばドライバーにタイヤTの空気圧の見直しを推奨することができる。さらに、タイヤTにおいて「片減り」が生じていると推定される場合は、判定部10Cは、当該タイヤTの取付位置の左右を逆にするローテーションパターンを、推奨パターンとして決定することができる。
【0104】
また、推定システム5において偏摩耗の類型が推定される場合、推定装置1の画面生成部10Dは、推定結果表示画面として、タイヤTごとに推定される偏摩耗の類型を示す画面を生成してもよい。偏摩耗の類型は、文字情報で表示されてもよいし、例えば図11A~11Dのようなグラフィックで表示されてもよい。画面生成部10Dは、推奨パターンを表示するローテーション画面をさらに生成してもよい。
【0105】
(4)
上記実施形態では、カード6に表示されるコード60は、専用ウェブサイトのトップページのURLについて生成されたものであった。しかし、トップページのURLに加えてまたはこれに替えて、フィードバック画面G3のURL、及びローテーション画面G4のURLのうち少なくとも一方に対してもコード60を生成し、これをカード6に表示してもよい。これにより、ドライバーは、スマートフォン3等から専用ウェブサイトにアクセスしたときに、フォーム画面に車両情報の入力を要求されることなく、ダイレクトにフィードバック画面G3やローテーション画面G4にアクセスすることができる。また、URLの表示は単に文字表記であってもよく、QRコード(登録商標)以外の1次元コード、スタック型2次元コード、マトリクス型2次元コードであってもよい。さらに、カード6は物理的なカードに限定されず、これを模した画面のデータであってもよく、例えばアプリ200により生成されてもよい。この場合、カード6を模した画面のデータは、スマートフォン2からドライバーの情報処理端末に送信されてもよい。あるいは、ユーザがディスプレイ21にカード6を模した画面を表示し、ドライバーが自身の情報処理端末やカメラによりこれを撮影してもよい。
【0106】
(5)
上記実施形態では、推定装置1とサーバー装置4とが別の装置として構成されていたが、これらの装置は一体的に構成されてもよい。あるいは、スマートフォン2が推定装置1の少なくとも一部の機能を包含してもよく、スマートフォン2がタイヤTの偏摩耗及び摩耗量の少なくとも一方の推定処理を行ってもよい。この場合、アプリ200が学習済みの第1機械学習モデル130、第2機械学習モデル131及びプログラム132の機能が組み込まれたプログラムとして構成され、スマートフォン2にアプリ200をインストールすることで、推定装置1の機能を包括するスマートフォン2が製造されてもよい。また、上記実施形態ではユーザがアプリ200がインストールされたスマートフォン2を使用して、ドライバーに対するサービスを提供した。しかし、推定システム5は、ドライバーがアプリ200を自身のスマートフォン3にインストールして、自身で車両のタイヤTを撮影し、タイヤTの偏摩耗及び摩耗量の少なくとも一方の推定処理を実行するように構成されてもよい。また、タイヤTを撮影し、画像データ201を生成するカメラは、各種情報処理端末に内蔵されるカメラに限られず、撮影専用のデジタルカメラやビデオカメラ等であってもよい。
【0107】
(6)
推定装置1の制御部10は、CPUやGPUの他、ベクトルプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他人工知能専用チップ等を含んで構成されてもよい。
【0108】
(7)
上記実施形態では、タイヤの種類に応じて第1機械学習モデル130A~C及び第2機械学習モデル131A~Cが生成されたが、第1機械学習モデル130及び第2機械学習モデル131は1つだけ生成されてもよいし、反対にさらに多くの種類について生成されてもよい。また、推定装置1は、画像データ201を機械学習モデルに入力するにあたり、リサイズやトリミング等、適宜画像処理を行うように構成されてもよい。
【0109】
(8)
上記実施形態のステップS21~S24でディスプレイ21に表示されるスタート画面、撮影指示画面G1、モニタ画面G2、開始確認画面は、アプリ200に組み込まれている画面であってもよいし、ウェブデータ7として構成された画面であってもよい。また、これらのユーザーインターフェース画面の構成は適宜変更することができる。撮影指示画面G1及びフィードバック画面G3は、例えば、ボックスにより4分割されていなくてもよく、1つの画面につき、1つのタイヤTについての情報が表示され、タブによりタイヤTを切り替えられる構成としてもよい。また、偏摩耗の推定結果を表すグラフィックC8~C11、摩耗量の推定結果を表すグラフィックC12~C15、判定結果を表すグラフィックC16~C19、車両を表すグラフィックC20、及びローテーションや交換を表すグラフィックC21~C24も適宜変更されてもよく、動画形式で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 推定装置
2 スマートフォン
3 スマートフォン
4 サーバー装置
5 推定システム
10 制御部
10A 画像取得部
10B 導出部
10C 判定部
10D 画面生成部
130 第1機械学習モデル
131 第2機械学習モデル
【要約】
【課題】タイヤの偏摩耗を推定する方法等を提供する。
【解決手段】タイヤの状態の推定方法は、以下のことを含む:対象となるタイヤのトレッドを含む画像を取得すること。取得した画像を、学習済みの第1機械学習モデルに入力すること。学習済みの第1機械学習モデルから出力を導出すること。なお、学習済みの第1機械学習モデルの出力は、対象となるタイヤの偏摩耗の推定結果に対応する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D