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特許7020617三次元的な物体を付加的に製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】三次元的な物体を付加的に製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20220208BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20220208BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20220208BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220208BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20220208BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220208BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220208BHJP
【FI】
B22F3/16
B22F3/105
B28B1/30
B29C64/153
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017207798
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2018095955
(43)【公開日】2018-06-21
【審査請求日】2017-11-07
【審判番号】
【審判請求日】2019-10-17
(31)【優先権主張番号】10 2016 124 401.5
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ホフマン
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】本多 仁
【審判官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516387
【文献】特表平9-511705
【文献】特開2016-198958
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F
B33Y
B29C
B28B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム(4)によって凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体(2)を付加的に製造するための方法において、
付加的に製造されるべき前記三次元的な物体(2)の付加的な製造の範囲で、付加的に製造されるべき、又は製造される前記三次元的な物体(2)を完全に又は部分的に包囲する支持構造(11)が、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム(4)によって凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化とによって形成されること、前記三次元的な物体(2)を形成するための前記構造材料(3)の連続的で層ごとの選択的な凝固化が前記構造材料層(3)の第1の凝固化度合いで行われ、前記支持構造(11)を形成するための前記構造材料(3)の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化が、前記第1の凝固化度合いに満たない前記構造材料層(3)の第2の凝固化度合いで行われること、前記支持構造と前記支持構造により支持されるべきあるいは支持される前記三次元的な物体(2)との間に直接的で機械的な接触が少なくとも部分的に存在すること、及び前記方法を実行するための装置から前記付加的に製造された三次元的な物体(2)が取り出されることであって、前記構造材料層(3)の前記第2の凝固化度合いが小さく選択されるため、前記取り出し中に前記支持構造(11)の少なくとも一部が自ら分離されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記支持構造(11)が少なくとも部分的に多孔状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記三次元的な物体(2)を形成するための前記構造材料(3)の連続的で層ごとの選択的な凝固化が前記構造材料(3)の完全な溶融及びこれにつづく冷却によって行われ、前記支持構造を形成するための前記構造材料(3)の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化が完全な溶融及びこれにつづく冷却によって行われないことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記支持構造(11)が、複数の連結する、又は複数の連結しない支持構造部分を備えて形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記支持構造(11)が、付加的に製造されるべき、若しくは製造される前記三次元的な物体(2)を包囲する立方体状の幾何学的な形状をもって形成されるか、又は前記支持構造(11)が、付加的に製造されるべき、若しくは製造された前記三次元的な物体(2)の輪郭にならった幾何学的な形状をもって形成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームによって凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化とが、支持構造に関連した構造データに基づいて行われ、該支持構造に関連した構造データが、物体に関連した構造データに基づき生成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム(4)によって凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体(2)を付加的に製造し、かつ前記連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、前記構造材料層の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化とによって、前記三次元的な物体(2)を完全に又は部分的に包囲する支持構造(11)を付加的に製造するための装置において、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を実行することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームによって凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体を付加的に製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元的な物体を付加的に製造するための適当な方法は基本的に知られている。適当な方法についての公知の例は、選択的レーザ溶融法、略してSLM法である。
【0003】
適当な方法を実行する範囲では、支持構造を形成することが更に知られている。適当な支持構造は、付加的に製造されるべき、あるいは製造された三次元的な各物体に対する支持作用によって特徴付けられているとともに、典型的には支柱形あるいは支柱状の複数の支持要素を含んでいる。したがって、付加的に製造されるべき、あるいは製造された三次元的な各物体は、適当な支持構造によって支持される。適当な支持構造は、付加的な構造工程の完了後に典型的には付加的に製造された三次元的な物体から取り外される。
【0004】
特に線条細工状の(filigrane)、あるいは複雑な幾何学的-構造上の形状を有する三次元的な物体の付加的な製造においては、一方では三次元的な各物体のアクセスが困難な、例えばアンダーカットされた範囲においても十分な支持作用を有し、他方では三次元的な各物体の損傷なく取り外され得る支持構造を形成することが難しいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎をなす課題は、特に従来技術に比して改善された支持構造の実現に関して、三次元的な物体を付加的に製造するための改善された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1による三次元的な物体を付加的に製造するための方法によって解決される。これに従属する請求項は、方法の可能な実施形態に関するものである。また、上記課題は、請求項による装置によって解決される。
【0007】
ここに記載された方法は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、凝固化可能な材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的なアセンブリを付加的に製造するために用いられる。構造材料は、粒子状あるいは粉体状の金属材料、合成樹脂材料及び/又はセラミック材料であり得る。選択的に凝固化されるべき構造材料層の連続的で層ごとの選択的な露光あるいは凝固化は、物体に関する構造データに基づいて行われる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体の幾何学的-構造上の形状を示すものであり、例えば付加的に製造されるべき物体の「スライスされた」CADデータを含むことが可能である。方法は、例えば選択的レーザ溶融法(SLM法)として、又は選択的レーザ焼結法(SLS法)として実行されることが可能である。
【0008】
方法によれば、付加的に製造されるべき前記三次元的な物体(以下単に「物体」ともいう。)の付加的な製造の範囲で、すなわちそれぞれ実際に製造されるべき物体の付加的な構造あるいは付加的な形成のほかに、支持構造の付加的な構造あるいは付加的な形成が行われる。支持構造は、各物体を少なくとも部分的に支持し、したがって、支持構造は、各物体へ作用する少なくとも部分的な支持作用を発揮する。
【0009】
本発明により形成された支持構造は、各物体、すなわち各物体の1つの、複数の又は全ての物体部分を直接包囲している。換言すれば、各物体は、少なくとも部分的に、特に完全に支持構造内へ埋め込まれている。したがって、支持構造とそれぞれ支持されるべき、あるいは支持される物体の間に直接的で機械的な接触が少なくとも部分的に、特に完全に存在する。
【0010】
このとき、支持構造が、各物体を少なくとも部分的に、例えば複数の連結した、又は複数の連結しない支持構造部分によって包囲するか、又は支持構造が各物体を、例えば複数の連結する、又は複数の連結しない支持構造部分を完全に包囲することが考えられる。したがって、支持構造は、連結する複数の、又は連結しない複数の支持構造部分によって形成され得るか、あるいは連結する複数の、又は連結しない複数の支持構造部分を含み得る。適当な支持構造部分は、この支持構造部分をそれぞれ少なくとも部分的に包囲するように、それぞれ少なくとも部分的に各物体に沿って延在している。
【0011】
上述のように、支持構造の形成は、各物体の付加的な製造の範囲において行われる。支持構造は、方法により、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームによって凝固化可能な構造材料の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって形成される。連続的で層ごとの選択的な露光あるいはそれぞれ選択的に凝固化されるべき構造材料層の予備凝固化は、支持構造に関連した構造データに基づき行われる。適当な構造データは、それぞれ付加的に製造されるべき支持構造の幾何学的-構造上の形状を示すものであるとともに、例えば付加的に製造されるべき支持構造の「スライスされた」CADデータを含むことができる。
【0012】
支持構造の形成が構造材料の予備凝固化によって行われることが本質的である。予備凝固化は、特に実際に製造されるべき物体を形成するための構造材料の凝固化に比べて(より)わずかな構造材料の凝固化と理解されるべきである。したがって、支持構造の形成のために行われる予備凝固化は、実際に製造されるべき物体を形成するために行われる凝固化とは、それぞれ実現された凝固化度合いにおいて異なっている。支持構造を形成するために、構造材料は、(後述のとおり、ここでは典型的には構造材料の完全な凝固化はなされない)実際に製造されるべき物体の形成のためよりも(明らかに)わずかに凝固され、このことは、例えば異なる出力の露光装置及び/又は異なる露光パラメータの使用によって、特によりわずかな露光強度によってより短い露光時間などが実現される。異なる凝固化度合いにより、支持構造と実際に製造された物体の間で異なる構造上の特性、すなわち特に機械的な特性が生じる。典型的には、支持構造は、各物体よりも例えば(明らかに)よりわずかな密度及び(明らかに)よりわずかな強度を有している。
【0013】
支持構造が物体を(少なくとも部分的に)直接包囲しているか、あるいは物体が(少なくとも部分的に)支持構造内へ埋め込まれていることにより、支持構造も、物体の(存在する限り)アクセスするのが困難な、例えばアンダーカットされた範囲において十分な支持作用を有している。支持構造が構造材料の予備凝固化によって形成されることで、この支持構造が、問題なく、すなわち特に物体の損傷なく物体から取り外されることが可能である。全体として、これにより、三次元的な物体を付加的に製造するための改善された方法が存在する。
【0014】
支持構造を形成するための予備凝固化は実際に製造されるべき物体を形成するための行効果とはそれぞれ実現される凝固化度合いにおいて異なることが言及された。各物体を形成するための構造材料の連続的で層ごとの選択的な凝固化は構造材料の第1の凝固化度合いにおいて行われ、支持構造を形成するための構造材料の連続的で層ごとの選択的な凝固化は構造材料の第1の凝固化度合いより低い第2の凝固化度合いで行われる。第2の凝固化度合いは小さく選択されているため、支持構造は、問題なく、すなわち特に各物体の損傷なく、物体から取り外されることが可能である。特に、第2の凝固化度合いは、支持構造が手動で物体から取り外せるように、又は物体の取り出し工程中に自ら分離するように小さく選択される。
【0015】
具体的には、支持構造は、少なくとも部分的に、特に完全に多孔状に、すなわち所定の多孔性をもって形成されることが可能である。支持構造の多孔性の形成は、一般に、その線条細工状の形状により各物体の損傷なく各物体から取り外され得る各線条細工状の構造、すなわち例えばスポンジ構造と理解されることができる。
【0016】
物体を形成するための構造材料の連続的で層ごとの選択的な凝固化は、構造材料の完全な溶融(及びこれにつづく冷却)によって行われることができる。したがって、物体を形成するための構造材料の連続的で層ごとの選択的な凝固化は、典型的には、溶融温度を超える温度へ構造材料を加熱する放射エネルギーの選択的な導入によって行われ、その結果、構造材料が溶融され、相転移(固体-液体)が行われる。これに対して、支持構造を形成するための構造材料の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化は、構造材料の(完全な)溶融(及びこれにつづく冷却)によって行われない。支持構造を形成するための構造材料の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化は、典型的には、その溶融温度に満たない温度へ構造材料を加熱する放射エネルギーの選択的な導入によって行われ、その結果、構造材料は溶融せず、したがって相転移(固体-液体)が行われない。しかしながら、このとき、構造材料3は相転移を行わない。連続的で層ごとの選択的な凝固化により、場合によっては隣接する構造材料粒子間での焼結ネックの形成によって形成される隣接する構造材料粒子の焼結結合が形成され得る。しかしながら、このとき、構造材料は相転移を行わない。
【0017】
製造されるべき物体あるいは製造される物体を特に完全に包囲するために、支持構造は、物体を(完全に)包囲する幾何学的な形状をもって形成されることが可能である。支持構造の幾何学的な形状は、特に、製造されるべき、あるいは製造される物体の幾何学的な形状及び凝固化度合い、すなわち支持構造がどの程度物体を包囲すべきかという度合いに依存して選択され得る。これに対応して、支持構造が、直方体形あるいは直方体状の、場合によっては立方体形あるいは立方体状に形成され得ることを単に例示的に述べておく。当然、支持構造は、自由な、すなわち特に幾何学的に一義的に規定されていない幾何学的な形状において形成されることも可能である。
【0018】
したがって、支持構造が、物体の輪郭、特に外部輪郭及び/又は内部輪郭にならった幾何学的な形状をもって形成されることも可能である。したがって、物体の輪郭にならった支持構造の幾何学的な形状は、ある程度の許容量(Aufmass)を除いて、本質的にそれぞれ製造されるべき、あるいは製造される物体の幾何学的な形状に対応している。支持構造がそれぞれ製造されるべき、あるいは製造される物体の輪郭にならった幾何学的な形状で形成されることにより、支持構造の形成に使用される構造部材の量を比較的少なく維持することが可能である。
【0019】
選択的に凝固化されるべき各材料層の連続的で層ごとの選択的な露光あるいは連続的で層ごとの選択的な凝固化は、各物体を形成するために、物体に関連した構造データに基づいて行われることを述べた。さらに、選択的に凝固化されるべき各材料層の連続的で層ごとの選択的な露光あるいは連続的で層ごとの選択的な予備凝固化は、各支持構造を形成するために、支持構造に関連した構造データに基づいて行われることを述べた。支持構造に関連する構造データを生成するための特に演算上の手間を少なく維持するために、支持構造に関連した構造データは、それぞれ物体に関連した構造データに基づいて生成されることが可能である。このようにして、支持構造がいずれにしてもそれぞれ支持されるべき物体(部分)の幾何学的な形状を考慮して形成されることが同様に保証されている。
【0020】
また、本発明は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームによって凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体を付加的に製造するための装置に関するものである。装置は、例えば、SLM装置、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行するための装置として、又はSLS装置として、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)を実行するための装置として形成されることが可能である。装置は、当該装置が呪術の方法を実行するために設置されていることによって特徴付けられている。したがって、方法に関連した全ての実施は同様に装置についても当てはまる。
【0021】
装置は、付加的な構造工程の実行に典型的に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、特に、(装置の構造平面内で)選択的に凝固化されるべき構造材料層を形成するために設置されている積層装置と、(装置の構造平面内で)選択的に凝固化されるべき構造材料層を選択的に露光させるために設置されている露光装置とが含まれている。積層装置は、典型的には複数の構成要素、すなわち例えば特にブレード状の積層工具を含む積層要素と、積層要素を所定の運動軌道に沿ってガイドするためのガイド装置とを含んでいる。露光装置も、典型的には複数の構成要素、すなわち例えばエネルギービームあるいはレーザビームを発生させるためのビーム発生装置と、ビーム発生装置によって発生されるエネルギービームあるいはレーザビームを選択的に凝固化されるべき積層装置の露光されるべき範囲へ偏向させるためのビーム偏向装置と、例えばフィルタ要素、対物レンズ要素、レンズ要素のような様々な光学的な要素とを含んでいる。
【0022】
本発明を、図面における実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施例による装置の原理図である。
図2】一実施例による支持構造の原理図である。
図3】一実施例による支持構造の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、一実施例による装置1の原理図が示されている。
【0025】
装置1は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームあるいはレーザビーム4によって凝固化可能な構造材料3すなわち例えば金属粉体から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体2、すなわち特に技術的な部材あるいは技術的な部材群の付加的な製造に用いられる。装置1は、LaserCUSING(登録商標)装置として、すなわち選択的レーザ溶融法を実行するための装置として形成されることができる。
【0026】
装置1は、付加的な構造過程の実行に必要な機能構成要素を含んでおり、図1には、例えば積層装置6及び露光装置5が示されている。
【0027】
積層装置6は、選択的に露光されるべき、あるいは選択的に凝固化されるべき構造材料層を装置1の構造平面内で形成するために設置されている。積層装置6は、複数の積層要素(不図示)を含む積層要素アセンブリ(不図示)を含んでおり、これら積層要素アセンブリは、ガイド装置(不図示)を介して、双方向矢印P1によって示唆されているように、水平方向へ移動可能に支持されている。
【0028】
露光装置5は、選択的に凝固化されるべき構造材料層を装置1の構造平面内で選択的に露光させるために設置されているとともに、このために、エネルギービーム4を発生させるために設置されているビーム発生装置(不図示)と、場合によってはビーム発生装置から発生されたエネルギービーム4を選択的に凝固化されるべき構造材料層の露光されるべき範囲へ偏向させるために設置されているビーム偏向装置(不図示)と、例えばフィルタ要素、対物レンズ要素、レンズ要素などのような様々な光学的な要素とを含んでいる。
【0029】
また、図1には、配量モジュール、構造モジュール8及びオーバーフローモジュール9が図示されており、これらモジュールは、装置1の不活性化可能なプロセスチャンバ10の下方の範囲へドッキング(angedockt)されている。上記モジュールは、プロセスチャンバ10の下方の範囲も形成することが可能である。
【0030】
装置1によって、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームあるいはレーザビーム4によって凝固化可能な構造材料3から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体2を付加的に製造する方法を実行することが可能である。選択的に凝固化されるべき各構造材料層の連続的で層ごとの選択的な露光あるいは凝固化は、物体に関連した構造データに基づいてなされる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体2の幾何学的-構造上の形状を示すとともに、製造されるべき物体2の例えば「スライスされた」CADデータを含むことができる。方法は、LaserCUSING(登録商標)方法、すなわち選択的レーザ溶融法であり得る。
【0031】
方法によれば、それぞれ付加的に製造されるべき物体2の付加的な製造の範囲において、すなわちそれぞれ実際に製造されるべき物体の付加的な構造あるいは付加的な形成のほかに、支持構造11の付加的な構造あるいは付加的な形成が行われる。支持構造11は、各物体2を少なくとも部分的に支持し、したがって、支持構造11は、各物体2へ作用する少なくとも部分的な支持作用を発揮する。
【0032】
支持構造11の実施例は、図2及び図3において、原理図で図示されている。図2及び図3では例示的にそれぞれ、物体2として、個々に仮想の立方体のエッジに沿って配置あるいは整向された支柱状の物体部分から成る線条細工状で立方体状の骨組み構造が図示されている。
【0033】
図2及び図3に基づき、支持構造11が各物体2、すなわち個々の、各物体2の複数の物体部分又は全体的な物体部分を直接包囲していることが明らかである。換言すれば、物体2は、(ぴったりと)支持構造11内へ埋め込まれている。したがって、支持構造11とそれぞれ支持されるべき、あるいは支持された物体2の間の直接的で機械的な接触が存在する。このために、支持構造11は、複数の連結した、又は複数の連結しない支持構造部分によって形成されることができるか、あるいは複数の連結する、又は複数の連結しない支持構造部分を含むことができる。適当な支持構造部分は、この支持構造部分をそれぞれ少なくとも部分的に包囲するように、それぞれ少なくとも部分的に各物体2に沿って延在している。
【0034】
上述のように、支持構造11の形成は、各物体2の付加的な製造の範囲において行われる。支持構造11は、方法により、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム4によって凝固化可能な構造材料3の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化とによって形成される。連続的で層ごとの選択的な露光あるいはそれぞれ選択的に凝固化されるべき構造材料層の予備凝固化は、支持構造に関連した構造データに基づき行われる。適当な構造データは、それぞれ付加的に製造されるべき支持構造の幾何学的-構造上の形状を示すものであるとともに、例えば付加的に製造されるべき支持構造11の「スライスされた」CADデータを含むことができる。支持構造に関連する構造データを生成するための特に演算上の手間を少なく維持するために、支持構造に関連した構造データは、それぞれ物体に関連した構造データに基づいて生成されることが可能である。このようにして、支持構造11がいずれにしてもそれぞれ支持されるべき物体2の幾何学的な形状を考慮して形成されることが同様に保証されている。
【0035】
支持構造11の形成が構造材料3の予備凝固化によって行われることが本質的である。予備凝固化は、特に実際に製造されるべき物体2を形成するための構造材料3の凝固化に比べて(より)わずかな構造材料3の凝固化と理解されるべきである。したがって、支持構造11の形成のために行われる予備凝固化は、実際に製造されるべき物体2を形成するために行われる凝固化とは、それぞれ実現された凝固化度合いにおいて異なっている。支持構造11を形成するために、構造材料3は、実際に製造されるべき物体2の形成のためよりも(明らかに)わずかに凝固され、このことは、例えば異なる露光装置及び/又は異なる露光パラメータの使用によって、特によりわずかな露光強度によってより短い露光時間などが実現される。異なる凝固化度合いにより、支持構造11と実際に製造された物体2の間で異なる構造上の特性、すなわち特に機械的な特性が生じる。支持構造11は、各物体2よりも例えば(明らかに)よりわずかな密度及び(明らかに)よりわずかな強度を有している。
【0036】
物体2を形成するための構造材料3の連続的で層ごとの選択的な凝固化は構造材料3の第1の凝固化度合いにおいて行われ、支持構造11を形成するための構造材料3の連続的で層ごとの選択的な凝固化は構造材料3の第1の凝固化度合いより低い第2の凝固化度合いで行われる。第2の凝固化度合いは小さく選択されているため、支持構造11は、問題なく、すなわち特に物体2の損傷なく、物体2から取り外されることが可能である。特に、第2の凝固化度合いは、支持構造11が手動で物体2から取り外せるように、又は物体2の取り出し工程中に自ら分離するように小さく選択される。
【0037】
物体2を形成するための構造材料3の連続的で層ごとの選択的な凝固化は、構造材料3の完全な溶融(及びこれにつづく冷却)によって行われる。したがって、物体を形成するための構造材料3の連続的で層ごとの選択的な凝固化は、溶融温度を超える温度へ構造材料3を加熱する放射エネルギーの選択的な導入によって行われ、その結果、構造材料3が溶融される。このとき、構造材料3は相転移を行う。これに対して、支持構造11を形成するための構造材料3の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化は、構造材料3の(完全な)溶融(及びこれにつづく冷却)によって行われない。支持構造11を形成するための構造材料3の連続的で層ごとの選択的な予備凝固化は、溶融温度に満たない、場合によっては焼結ネックの形成によって形成される隣接する構造材料粒子の焼結結合を許容する温度へ構造材料3を加熱する放射エネルギーの選択的な導入によって行われる。しかしながら、このとき、構造材料3は相転移を行わない。
【0038】
支持構造11の適当にもろい特性を実現するために、支持構造11は、少なくとも部分的に、特に完全に多孔状に、すなわち所定の多孔性をもって形成されることが可能である。具体的には、支持構造11は、例えばスポンジ構造(「スポンジ支持部」)として形成されることが可能である。
【0039】
支持構造11が物体2を直接包囲しているか、あるいは物体2が支持構造11内へ埋め込まれていることにより、支持構造11も、物体2の(存在する限り)アクセスするのが困難な、例えばアンダーカットされた範囲において十分な支持作用を有している。支持構造11が構造材料3の予備凝固化によって形成されることで、この支持構造が、問題なく、すなわち特に物体2の損傷なく物体2から取り外されることが可能である。
【0040】
製造されるべき、あるいは製造された物体2を包囲するために、図2に示されているように、支持構造11は、物体2を(完全に)包囲する幾何学的な形状をもって形成されることが可能である。支持構造11の幾何学的な形状は、物体2の幾何学的な形状及び凝固化度合い、すなわち支持構造11がどの程度物体2を包囲すべきかという度合いに依存して選択されている。図2に示された実施例では、支持構造11は、直方体形あるいは直方体状の、場合によっては立方体形あるいは立方体状に形成されている。物体2が支持構造11の内部に配置されていることが明らかであり、支持構造11は、物体2を完全に包囲している。特に、各支柱状の物体部分は、直接支持構造11によって包囲されている。
【0041】
同様の結果は、例えば球形あるいは球状の幾何学的な形状の支持構造11によって得ることが可能である。支持構造11の球形あるいは球状の幾何学的な形状は、この支持構造が物体2を完全に包囲するように寸法設定されている。基本的には、支持構造11も、自由な、すなわち特に幾何学的に一義的に規定されていない幾何学的な形状で形成されることが可能である。
【0042】
図3に示された実施例では、支持構造11は、物体2の輪郭、特に外部輪郭及び/又は内部輪郭にならった幾何学的な形状をもって形成されることも可能である。したがって、物体2の輪郭にならった支持構造11の幾何学的な形状は、ある程度の許容量(Aufmass)を除いて、本質的に物体2の幾何学的な形状に対応している。図3に示された実施例では、支持構造11は、同様に、個々に仮想の立方体のエッジに沿って配置あるいは整向された(中空)支柱状の支持構造部分から成る線条細工状で(filigrane)立方体状の骨組み構造を備えている。(中空)支柱状の支持構造部分は、この支持構造部分に割り当てられた支柱状の物体部分を完全に包囲している。
【0043】
支持構造11が物体2の輪郭にならった幾何学的な形状をもって形成されることで、支持構造11を形成するために用いられる構造材料3の量を比較的小さく維持することが可能である。
図1
図2
図3