(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2018067122
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】511232514
【氏名又は名称】株式会社BOOOM
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】青木 慶
(72)【発明者】
【氏名】大平 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】平野 和彦
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-000806(JP,A)
【文献】特開2017-093858(JP,A)
【文献】特開2012-231857(JP,A)
【文献】特開2014-136088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン制御基板を有する遊技機であって、
前記メイン制御基板は、少なくとも遊技ごとに実施される抽せんによって、指示機能に関わる遊技を許可しない通常区間遊技状態と、指示機能に関わる遊技を許可する有利区間遊技状態とを含む遊技状態間の遷移を制御し、
前記遊技状態が有利区間遊技状態にあって前記指示機能に関わる遊技が許可された区間(指示区間)にあるとき、
前記指示区間における遊技数を上乗せする上乗せ抽せんが遊技ごとに実施され、
前記上乗せ抽せんは、複数の上乗せ数に対する当せん確率が定義される第1の上乗せ抽せんテーブルに基づき実施され、
前記複数の上乗せ数のうち、所定遊技数以上の上乗せに当せんした場合には、前記第1の上乗せ抽せんテーブルとは異なる第2の上乗せ抽せんテーブルに切り替えられるものであって、
前記第2の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数に対する当せん確率は、前記第1の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数に対する当せん確率よりも低く設定される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第2の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数のうち、所定遊技数以上の上乗せに当せんした場合には、前記第1及び第2の上乗せ抽せんテーブルとは異なる第3の上乗せ抽せんテーブルに切り替えられるものであって、
前記第3の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数に対する当せん確率は、前記第1の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数に対する当せん確率よりも高く設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く遊技機の制御技術に関し、より詳細には、回胴装置を備えるスロットマシン等の遊技機における遊技を制御する制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回胴式遊技機(スロットマシン)等の遊技機(以下、「遊技機」と総称する)においては、遊技中にレア役を引き当ててレア役図柄を成立させたことによる高確率遊技モードへの移行、大当たりを引き当てて大当たり図柄を成立させたことによるボーナスゲームへの移行、あるいは、所定ゲームを行うか所定の払い出しを受けるなどしてボーナスゲームを消化したことによる通常ゲームへの移行など、遊技中の所定の契機により遊技状態を変化させ遊技に対する興趣を向上させ、さらには、押し順ナビやAT、ARTといったナビゲーション制御によって遊技の興趣を一層向上させるように多くの創意工夫がなされてきた。
【0003】
一例として、ARTの残りゲーム数が少なくなることに比例して、ARTの上乗せ抽せんの抽せん確率を低下させることにより、遊技に対する興趣を向上させることができる遊技機が提案されている(特許文献1)。
【0004】
すなわち、特許文献1には、複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、前記複数のリールの周面に配された前記複数の図柄のうち、一部の図柄を表示する図柄表示手段と、開始操作を検出する開始操作検出手段と、前記開始操作検出手段により前記開始操作が検出されたことに基づいて、当選役を決定する当選役決定手段と、前記開始操作検出手段により前記開始操作が検出されたことに基づいて、前記図柄表示手段に表示される前記複数の図柄を変動表示させる図柄変動手段と、前記複数のリールのそれぞれに対する停止操作を検出する停止操作検出手段と、前記当選役決定手段により決定された当選役、および、前記停止操作検出手段により検出された停止操作に基づいて、前記図柄変動手段により変動表示されている図柄の停止制御を行う停止制御手段と、前記停止制御手段により前記複数の図柄の変動表示が全て停止されたことに基づいて、予め定められた図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により所定の図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合に、所定の遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、遊技数を計数する遊技数計数手段と、遊技者に不利な通常状態、および、前記通常状態よりも遊技者に有利な特定状態を有する状態のうち、いずれかの状態で遊技を制御する状態制御手段と、所定の条件が成立した場合、所定の遊技数の間、前記状態を前記特定状態に制御可能な状態制御手段と、前記特定状態において、前記当選役決定手段により所定の当選役が決定されたとき、当該特定状態に係る遊技者にとって有利な特典を付与するか否かの抽選を行う特典抽選手段と、を備え、前記特典抽選手段は、前記特定状態にて遊技を制御可能な遊技数の残りが少なくなることに比例して、前記抽選により前記特典を付与する確率が低下する前記抽選を行うことを特徴とする遊技機が開示されている。
【0005】
一方で、近年、大別して「通常区間」「有利区間」という2つの遊技状態区間を管理制御する新しいタイプの遊技機が広まりつつある。
【0006】
その要旨を概説すると、通常区間は、指示機能(押し順ナビ等のナビゲーション機能)に関わる遊技を行わせることができない(つまり、許可しない)区間として位置付けられ、有利区間は、指示機能に関わる遊技を行わせることができる(つまり、許可する)区間として位置付けられる。
【0007】
通常区間では、ナビ抽せんは行えないが、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB)などのボーナス抽せんは行うことができ、併せて、前記ボーナス抽せんの内部当せん中及びボーナス消化区間以外の遊技では有利区間への移行抽せんが行われる(この場合、遊技機個体ごとに設定可能な設定による差異を設けることはできず、いわゆる全設定共通のくじによる抽せんが行われる。通常区間から有利区間への移行抽せんの当せん確率は、ゼロである場合を除き17500分の1以上に設定される。
【0008】
また、有利区間では押し順ナビが行われるほか、当区間の少なくとも一部をチャンゾーン(CZ)に設定したり、当区間においてART抽せんやボーナス(BB、RB)抽せんを実施したり、あるいは、13枚や14枚といった一定枚数を超える払い出しで終了するプチボーナスないしミニボーナスとして位置づけられる第二種特別役物の連続作動装置(ミドルボーナスMB、チャレンジボーナスCB)に対する抽せん等を実施することができる(逆に、これらを一部又は全部を実施しないという選択枝もある)。
【0009】
ここで、ART抽せんとは、特定役図柄を入賞させることをアシストする有利状態を発生させるための抽せんということができる。
また、MB(ミドルボーナス)とは、特定の出目入賞で発生ないし作動し、次のゲーム(遊技)では必ず(あるいは高確率で)何らかの小役が入賞する、通常のボーナスゲームと比較すると払い出しの少ないミニボーナスゲームである。典型的には、遊技媒体等の規定枚数の払い出しによって終了する(あるいは、ボーナス成立で終了する場合もある)。あるいは、特定役成立によって作動し規定枚数の払い出し又はボーナス役成立によって終了する有利状態ということもできる。
CB(チャレンジボーナス)もMBと同種のミニボーナスである。
【0010】
また、有利区間中におけるART抽せん、ART関連のモード移行抽せん、上乗せ抽せん(つまり、ARTに関わる抽せん)には、いわゆる全設定共通のくじによる抽せんが行われる他、設定差のあるくじによる抽せんも行うこともできる。 さらに、当区間には継続可能なゲーム数の上限(一例として、1500G)や差枚数MY(一例として、2400枚)が設定されるほか、当区間の終了条件としては、かかるゲーム数や差枚数MYの上限(リミッター)の他、一部の制約を除く任意の条件を採用することができる。そして、有利区間が終了すると指示機能に関わるフラグ等は全てリセットされるものとされている。
【0011】
このような新しいタイプの遊技機においても、遊技の興趣を一層向上させるように多くの創意工夫が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、かかる新しいタイプの遊技機では、有利区間中の抽せん確率制御に関する十分な工夫はいまだなされていない。
【0014】
したがって、遊技機が有利区間中にある場合の抽せん確率制御に関する更なる工夫が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明の一実施形態にかかる遊技機は、メイン制御基板を有する遊技機であって、前記メイン制御基板は、少なくとも遊技ごとに実施される抽せんによって、指示機能に関わる遊技を許可しない通常区間遊技状態と、指示機能に関わる遊技を許可する有利区間遊技状態とを含む遊技状態間の遷移を制御し、前記遊技状態が有利区間遊技状態にあって前記指示機能に関わる遊技が許可された区間(指示区間)にあるとき、前記指示区間における遊技数を上乗せする上乗せ抽せんが遊技ごとに実施され、前記上乗せ抽せんは、複数の上乗せ数に対する当せん確率が定義される第1の上乗せ抽せんテーブルに基づき実施され、前記複数の上乗せ数のうち、所定遊技数以上の上乗せに当せんした場合には、前記第1の上乗せ抽せんテーブルとは異なる第2の上乗せ抽せんテーブルに切り替えられるものであって、前記第2の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数に対する当せん確率は、前記第1の上乗せ抽せんテーブルに定義される前記複数の上乗せ数に対する当せん確率よりも低く設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる遊技機等によれば、有利区間中(あるいは有利区間における指示区間中)の特定動作を契機として抽せん確率の制御を行い、より興趣ある遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における遊技機の外観を説明する説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態における遊技機の外観を説明する説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態における遊技機の内部構造及び電源ボックスの様子を説明する説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態における遊技機の機能ブロックを説明する説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態における遊技機の遊技状態の制御例を説明する説明図である。
【
図6A】本発明の一実施形態における遊技機の制御フローを説明するフローチャートである。
【
図6B】本発明の一実施形態における遊技機の制御フローを説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態における遊技機の回転リール図柄の配置例等を説明する説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態における遊技機の設定テーブル及び遊技進行を例示的に説明する説明図である。
【
図9】従来の実施形態における遊技機の設定テーブル及び遊技進行を例示的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明にかかる遊技機等を実施するための形態について、図面を参照しながら詳述する。なお、「回胴」を「回転リール」とも呼ぶこととする。
【0019】
図1に、本発明の一実施形態における遊技機の外観を示す。
図1(A)は、遊技機の正面図であり、
図1(B)は、遊技機の右側面図である。
【0020】
図1(A)及び(B)に示すように、遊技機100は、その機構上大きく分けると、前面が開口した筐体101と、筐体101の開口面にヒンジ等によって開閉可能に取り付けられた前面扉102とを備えている。前面扉102の前面部分には、後述するように遊技者が遊技を行うためのボタン類や表示部等が配置されている。
【0021】
遊技機100の前面に位置する前面扉102の上部には、ディスプレイ部1021と、照明部と、スピーカ部とが配置されている。また、前面扉102の中段には、表示窓103が設けられている。遊技者は、この表示窓103から筐体101の内部に収納されている複数の回転リールの外周面を目視することができる。
【0022】
回転リールは、より詳細には、それぞれが回転可能に設けられている第1回転リール1041と第2回転リール1042と第3回転リール1043とからなり、各リールの外周面には、所定の複数の図柄が付されている。遊技者は、表示窓103から第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043の各外周面に付された縦3個の図柄を見ることができ、第1回転リールから第3回転リールまでの縦3個ずつ計9個の図柄を視認することができるようになっている。なお、表示窓103には、縦4個以上の図柄を見せるように構成することもできる。
【0023】
前面扉102の中段に位置し、前面に突出して設けられた卓の上面には、遊技媒体(メダル)投入口105と、MAXBETボタン106と、ステータス表示部(
図1において不図示)とが配置されている。
また、突起して設けられた卓の前面には、スタートレバー107、1BETボタン108、精算ボタン109、第1回転リール停止ボタン110、第2回転リール停止ボタン111、第3回転リール停止ボタン112が配置されている。また、前面扉102の下部には、遊技媒体(メダル)の払出口を備えた遊技媒体(メダル)トレイ115が取り付けられている。
【0024】
前面扉102の上部中央に配置されたディスプレイ部1021は、典型的には、液晶ディスプレイ(LCD)であり、遊技者への画像等による演出を表示や情報提示等を行う。
また、ディスプレイ部1021の左右の任意の位置にスピーカ部と照明部とを備えることができる。ディスプレイ部1021、スピーカ部、及び照明部によって、遊技の演出効果を高めることができる。
【0025】
筐体101内部に設けられている回転リールは、典型的には、上述の通り3個(第1回転リール1041、第2回転リール1042、第3回転リール1043)で構成され、リール状の形状に形成され、ステッピング(パルス)モータから成る回転リール駆動部により、それぞれ回動自在に配置されている。回動中の回転リールは、第1回転リール停止ボタン110、第2回転リール停止ボタン111、第3回転リール停止ボタン112の押下により、それぞれ独立して停止させることができる。また、各回転リール停止ボタンの内部には、ランプが内蔵されており、回胴停止ボタンの操作が可能な状態になると、内蔵されているランプが点灯する。また、回転リール停止ボタンが押下されたときには、ランプは消灯し(あるいは別の色に変わり)、回転リール停止ボタンの操作を受け付ないように構成されている。
【0026】
なお、回転リールの数は、3個を超える構成(例えば、4個)としても良い。
【0027】
第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043の図柄を確認可能な表示窓には、遊技者が投入したメダルの枚数(ベット数)に応じて回転リールの図柄が有効となる並びである有効ラインが設定されている。なお、メダルの枚数(ベット数)はMAX(例えば、3枚)で固定され、このMAX値に対して有効ラインを固定的に設定するものとしても良い。
【0028】
後述する抽せん処理により決定した成立役、及び、それに対応する回転リールの図柄の組み合わせは、予め規定されており、有効ライン上に所定の図柄の組み合わせが揃ったかを判断して、図柄の組み合わせが有効ライン上に揃ったときに入賞と判定される。
【0029】
前面扉102の中段に位置し、突出して設けられた卓の上面に設けられているメダル投入口105は、遊技開始前に所定枚数のメダルを投入するためのものであり、メダル投入口105にメダルを投入するか、BETボタン押下の後、スタートレバー107を操作すると、第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043が回動し、遊技が開始されて抽せんが行われる。
【0030】
1BETボタン108は、遊技機100内部に貯留しているメダル1枚を自動的に投入して、1枚のメダルを1回のゲームにベットするためのものである。1BETボタン108を押下することにより、メダル投入口105からメダルを1枚投入する必要がなくなる。また、2枚のメダルをベットする場合には、1BETボタン108を2回押下する。3枚のメダルを一度にベットする場合には、以下の、MAXBETボタン106を押下すると便利である。
【0031】
MAXBETボタン106は、遊技機100内部に貯留しているメダルを自動的に3枚投入して、3枚のメダルを1回のゲームに対してベットするためのものである。このMAXBETボタン106により、メダル投入口105から3枚のメダルを投入したり、1BETボタン108を3回押下したりする必要はなくなる。
【0032】
精算ボタン109は、内部貯留(クレジット)されたメダルをメダル払出口からメダルトレイ115に払い出して精算するためのものである。
【0033】
図2に、前面扉102の中段に位置し、前面に突出して設けられた卓の上面の外観を示す。
図2(A)は、卓の上面を含む遊技機100の上面図であり、卓の上面にメダル投入口105とMAXBETボタン106とステータス表示部201とが配置されている様子が分かる。
図2(B)は、卓の上面に配置されたステータス表示部201の拡大図である。
【0034】
図2(B)において、ステータス表示部201は、メダルの枚数等を数字で表示する複数の7セグLED、及び、遊技機100の使用状態等を遊技者に知らせる各種LEDが設けられている。
【0035】
メダルの投入枚数LED2011は、現時点でベットされているメダル数が表示される。一例として、1枚のメダルがベットされているときには、「1BET」LEDが点灯し、2枚目のメダルがベットされたときには、「2BET」LEDが更に点灯し、3枚目のメダルがベットされたときには、「3BET」LEDが更に点灯する。
【0036】
投入可能LED2012は、現在メダルの投入が可能であることを示すLEDである。ウエイトLED2013は、現在メダルの投入ができないことを示すLEDである。スタートLED2014は、現在遊技が開始されていることを示すLEDである。再遊技LED2015は、再遊技であることを示すLEDである。
【0037】
払出枚数表示7セグLED2016は、入賞時の払出し枚数を表示する。一例として、実際にメダルが払い出されるたびに総払出し枚数から逆算して表示することができる。
【0038】
貯留メダル数表示7セグLED2017は、現在貯留中のメダルの枚数を表示するLEDである。
【0039】
図3に、本発明の一実施形態における遊技機の内部構造及び電源ボックスの様子を示す。本発明は、この構成に限定されるものではないが、
図3(A)に示す通り、遊技機100の前面内部の電源ボックス301には、電源スイッチ3011の他に、当せん確率を変更する設定キー3012及びセレクトスイッチ3013が配置されている。
【0040】
図3(B)は、
図3(A)の設定キー3012の拡大図である。設定キー3012は、シリンダー部3012aと鍵穴部3012bとからなる。当せん確率の設定値を変更する場合には、まず、鍵穴部3012bに鍵(操作キー)を挿入してOFFの位置からONの位置へ回転させて設定変更状態にし、セレクトスイッチ3013を押下して設定値をインクリメントする。最高設定値の次は、再び最低設定値に戻る。一例として、6段階の設定値が用意されている遊技機の場合は、「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「1」→「2」→・・・というように変更する。なお、セレクトスイッチによって順次変更される設定値は、一例として、払出枚数表示7セグLED2016に逐次表示させて確認できるように構成することができる。
また、このセレクトスイッチ3013は、設定変更不可状態(鍵穴が「OFF」の位置にある状態)においては、遊技機に生じたエラー状態を解除するためのエラー解除スイッチとして機能させることもできる。
【0041】
図4に、本発明の一実施形態における遊技機の機能ブロックを説明する。後述する遊技機100の一連の特徴的動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びこれらのハードウェアとソフトウェアとの協調動作によって実現されている。
【0042】
遊技機は、一実施形態における制御構成として、配線(ハーネス)を介して接続されたメイン制御基板41とサブ制御基板42とからなり、筐体101内部に収納されている。
メイン制御基板41は、一種のボードコンピュータであり、演算処理、遊技機100のデバイス制御等を行うCPU411と、プログラムの作業領域としてデータの一時的な記憶等を行う書き換え可能なRAM412と、遊技機100の制御プログラム及び遊技抽せん処理用の抽せんテーブル等を記憶したROM413と、データ通信バス等の制御を行う制御部414と、ボタンやスイッチ等からの入力や各種LED等への出力、及び回転リールユニット等の駆動を行う入出力部415とを備えている。
【0043】
メイン制御基板41の主な機能は、抽せん処理、回転リールの制御、遊技ステータス(遊技状態)表示等を行うことであり、遊技機に関する規則及び規格等に基づいた処理動作を行うように設計されている。
【0044】
サブ制御基板42は、一種のボードコンピュータであり、演算処理、ディスプレイ部481の制御等を行うCPU421と、プログラムの作業領域としてデータの一時的な記憶等を行う書き換え可能なRAM422と、ディスプレイ部481、照明部482、スピーカ部483の制御を行うプログラム及び各種データを記憶したROM423と、データ通信バス等の制御を行う制御部424と、照明等の駆動を行う入出力部425と、ディスプレイ部481の駆動を行うディスプレイ駆動部426と、スピーカ482から音声や効果音等を発生させるための音源を格納した音源IC427とを備えている。
【0045】
サブ制御基板42の主な機能は、メイン制御基板で判定された抽せん結果に基づく演出等である。具体的には、サブ制御基板42のROM423には、ディスプレイ481、照明部482、及びスピーカ部483によって様々な演出を行うための画像データ等からなる演出データも格納されており、メイン制御基板41から出力される信号によって、ROM内部に格納されている演出データから演出内容を決定して、演出内容に基づいて、ディスプレイ部481、照明部482、及びスピーカ部483の駆動処理を行う。
【0046】
上述したような、ディスプレイ部481、照明部482、及びスピーカ部483によってなされる演出は、コンピュータプログラムとしてROM423等に記憶されており、CPU421によって、適宜、RAM422等へ呼び出され実行されることにより実現される。
【0047】
次に、メイン制御基板41の入出力系統について説明する。
図4に示すように、まず、メイン制御基板41は、入出力部415を介して、BETボタン451(1BETボタン及びMAXBETボタンを含む)、精算ボタン452、スタートレバー453、第1回転リール停止ボタン454、第2回転リール停止ボタン455、第3回転リール停止ボタン456の押下を読み出し可能に構成されている。
【0048】
また、メイン制御基板41には、入出力部415を介して、ステータス表示部46のウエイトLED461、投入可能LED462、再遊技LED463、スタートLED464、投入枚数LED465、払出枚数7セグLED466、貯留メダル数7セグLED467が接続されており、各種LEDの点灯制御、各表示器に出力するべき数字の表示制御を行うように構成されている。
【0049】
また、セレクター部457は、図示しない投入センサとソレノイドとを含み、メダル投入口105内に設けられている投入センサからの信号を、入出力部415を介して読み出し、投入されたメダルの真贋等のチェックを行う。
また、セレクター部457のソレノイドは、例えば、規定枚数のメダルが投入されたとき、或いは、スタートレバー107が操作されたとき、メダルを投入しても、メダルが返却されるように作動してメダルが投入されないように機能する。
【0050】
電源ボックス47の設定キー471は、遊技中の抽せんにおける抽せんテーブルの各役の当せん確率に段階を設けて、設定毎の出玉率を変更する機能を有する。当せん確率の設定は、一例として6段階の設定が可能となっている。メイン制御基板41は、入出力部415を介して設定キー471によって設定された設定値を管理することが可能となっている。より具体的には、設定キーをONにすることでメイン制御基板が設定変更可能モードとなり、セレクトスイッチ472が押下されることによりメイン制御基板に押下された信号が送られ、メイン制御基板において管理されている設定値がインクリメント(又はデクリメント)される。電源ボックス47のセレクトスイッチ472は、設定キー471によって設定可能(設定ON)状態にした場合に設定値を順送り(又は逆送り)に変更するためのスイッチであり、設定不可(OFF)状態では、遊技機にエラー等が発生した場合にメイン制御基板41のCPU411等の初期化を行うことができる。電源スイッチ473は、遊技機に電力を供給するためものである。
【0051】
回転リールユニット43は、第1回転リール1041、第2回転リール1042、及び第3回転リール1043をそれぞれ回転させるためのステッピングモータを備えた第1回転リール駆動部431、第2回転リール駆動部432、第3回転リール駆動部433を有し、各回転リールを独立して回転及び/又は停止するよう制御可能である。また、各回転リールの回転中の位置を検出するための第1回転リール位置センサ434、第2回転リール位置センサ435及び第3回転リール位置センサ436、並びに、それぞれのセンサに対応するインデックス(
図4において不図示)が設けられている。
【0052】
例えば、回転中の第1回転リールの所定の位置を第1回転リール位置センサ434で検出し、第1回転リール位置センサ434により検出した第1回転リールの所定の位置(インデックスの位置)からステッピングモータを駆動したパルス数をカウントすることにより、第1回リールの位置情報を取得ことができる。同様に、第2回転リール及び第3回転リールについても、第2回転リール位置センサ435及び第3回転リール位置センサ436によりそれぞれの回転リールの位置情報を得ることができる。
このようにして、後述する抽せん処理の結果に基づく図柄の表示を制御することができる。
【0053】
ホッパーユニット44は、入賞時にメダルを払い出すためのものであり、図示しないがホッパー駆動部と払出しセンサによって所定の枚数のメダルが払い出される。
【0054】
この他、外部中継端子(
図4において不図示)が設けられ、メイン制御基板41と外部に設けられている遊技データを表示するためのデータランプ(
図4において不図示)とを接続し、メイン制御基板41からの信号をデータランプへ送信するための端子としての機能を果たす。
【0055】
また、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、ROM413、423等のメモリにインストールないし格納され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じてRAM412、422等のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU411、421において演算実行される。
【0056】
なお、演算実行は必ずCPU等の中央処理部で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を採用することもできる。
【0057】
[抽せん処理]
遊技機100における抽せん処理は、一例として、スタートレバーの操作時にメイン制御基板41のROM413に格納されているプログラム及びテーブルに基づいて実行される。ROM413には、抽せん処理プログラムの他、当せん確率テーブル、シンボルテーブルおよび入賞シンボル組合せテーブル等が格納されている。当せん確率テーブルは、乱数発生部(不図示)で発生させる乱数を区分して、各種当せん及び「当せんなし(外れ)」に対応付けられて記憶している。発生させた乱数データと当せん確率テーブル等とを参照することにより遊技に対する各種当せんあるいは外れが決定される。
【0058】
このとき、抽せん処理の結果が外れの場合は、所定の図柄が揃わないように制御されたり、逆に、抽せん処理の結果が当せんの場合は、停止ボタンが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように制御されたりする場合もある。これらの制御を、「スベリ制御」あるいは「引き込み制御」と呼ぶ。一例として、「停止ボタンを押下した後0.19秒以内にリールを停止させること」といった規則がある場合には、リールの回転速度から逆算してスベリが可能となるコマ数(図柄の数)が決定される。そして、各種当せん後、所定の図柄が揃えば入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0059】
[本発明の基本概念(遊技状態の制御)]
本発明の一実施形態における遊技機は、上述のとおりの基本動作を行うが、
図5を参照して、本発明の基本動作としての遊技状態の制御例を説明する。
【0060】
図5に示されるように、本発明の一実施形態における遊技機の遊技状態(遊技ステータス)は、大別して通常区間502と有利区間501とを有し、遊技の進行によってこれらの遊技状態の制御が行われる。
以下では、通常区間502と有利区間501との遷移条件等について詳述する。
【0061】
通常区間502は、指示機能(一例として、押し順ナビ等のナビゲーション機能)に関わる遊技を行わせることができない(つまり、許可しない)区間である。
図1~
図4を参照して説明した本発明の一実施形態における遊技機の基本動作に沿って遊技が進められる。後述する遷移条件(1)が満たされると、遊技状態は有利区間へ遷移する。
通常区間502では、遊技(スタートレバー操作によるメイン基板での抽せん)によって小役やレア役やチャンス役を引き当てたりボーナスを引き当てたりすることができる。
【0062】
ここで、ボーナスには、レギュラーボーナス(RB)やビッグボーナス(BB)などが含まれ、遊技機個体ごとに設定可能な設定値に応じた当せん確率を採用することができる。
【0063】
有利区間501は、指示機能に関わる遊技を行わせることができる(つまり、許可する)区間である。そして、後述する遷移条件(2)が満たされるとこの有利区間501から通常区間502へ戻る。
有利区間501では、「AT(アシストタイム)」や「ART(アシストリプレイタイム)」等の指示機能に関わる遊技であって遊技者にとって有利な遊技の他、通常区間502と同様に「BB(ビックボーナス)」、「RB(レギュラーボーナス)」といった遊技者にとって有利な遊技を行わせることができる。
なお、本発明の一実施形態においては、有利区間501における遊技者にとって有利な遊技という意味で、「AT(アシストタイム)」や「ART(アシストリプレイタイム)」等の指示機能に関わる遊技であって遊技者にとって有利な遊技をボーナス遊技と位置付けることもできる。
かかるボーナス遊技では、遊技媒体の所定の払い出し枚数を払い出すなどの所定の条件をクリアするなどして終了する。
【0064】
次に、
図5における各遊技区間(遊技状態)相互間の遷移条件について、詳述する。
【0065】
(遷移条件(1))
通常区間502から有利区間501へは、一例として、遊技ごとに実施される有利区間501への移行抽せんに当せんすると移行させるように制御することができる。
【0066】
有利区間501への移行抽せんに当せんするケースには、特定のボーナスに当せんしたり、レア役を引き当てたりすることが挙げられる。レア役とは、「チェリー」役や「スイカ」役が所定の図柄組合せや位置等で停止することにより成立する成立役である。その図柄組合せ等によって、「弱スイカ」「強スイカ」等といったレア役がある。一例として、スタートレバー操作時にレア役に当せんさせ(必要に応じて、所定の図柄で停止させ)ることによって当せん役に応じた有利区間移行抽せんを行い当せんした場合、通常区間502から有利区間501へと移行させることができる。
【0067】
(遷移条件(2))
有利区間501から通常区間502へは、一例として、予め定められた所定ゲーム数CZ_MAX_G(一例として、1500G)の消化によって移行するように制御することができる。あるいは、差枚数MY(差枚数が最も減少した時点を基点した場合のこの基点からの差枚数をいう)が一例として2400枚を超えた時点で通常区間502へ移行するよう制御することもできる。その他、有利区間501中に実施される指示機能に関わる遊技が出玉に影響する場合には、上記以外の任意の条件で通常区間502へ移行するように制御することもできる。
【0068】
[本発明の特徴的制御]
次に、本発明の一実施形態にかかる遊技機における例示的な遊技フローを取り上げ、
図6Aを参照しながらさらに具体的に説明する。
図6Aは、通常区間から有利区間へ移行後に抽せんによりARTを作動させ、このARTが終了するまでの動作フローを例示している。
また、本発明の特徴的制御は、特に後述する
図6Bのフローにも表れている。
【0069】
図6AのステップS601において、通常区間から有利区間へ移行した遊技中の遊技機は、ステップS602において有利区間内での抽せん(ART抽せん)処理がなされる。
【0070】
次に、ステップS603へ進み、前ステップでのART抽せんの結果が参照され、当せんしなかった(No)の場合は、ステップS604へ進み、当せんした(Yes)の場合はステップS605へ進んでART処理が実施される。
【0071】
ステップS604では、有利区間が終了したかどうかが判断され(一例として、一定G数を消化したかどうか、差枚数MYが一定数を超えたどうかの判断基準があるが、これらに限定されない)、Noの場合はステップS602へ復帰するが、Yesの場合はステップS607へ進み、通常区間へ遷移する。
【0072】
ステップS606では、ART遊技モードでの遊技が終了したかどうか(一例として、規定G数を消化したかどうかの基準が採用される)が判断され、Noの場合は適宜ゲームカウント数がインクリメント(またはデクリメントされ)ステップS605へ復帰するが、Yesの場合は例示的にステップS607へ進む(本発明は、ART規定ゲーム数を消化すると必ず有利区間を終了させる制御に限定されない)。
【0073】
図6Bは、
図6AのステップS605(ART処理)中の詳細フローである。本発明はこれに限定されるものではないが、ART処理以外の種々の有利状態において本発明の特徴的制御を実行することができる。
【0074】
図6BのステップS651において処理を開始すると、ステップS652へ進み、ART終了条件が満たされるかどうかを判定(例えば、終了フラグが立つとか、所定ゲーム数を消化したなどの判断基準が採用される)し、Yesの場合はステップS659へ進んで本フローとしての処理を終了するが、Noの場合はステップS653へ進む。
【0075】
ステップS653では、抽せん(ナビ抽せん、上乗せ抽せん等の1以上の抽せんが含まれる)を行うなどして1ゲームを進行させた結果、役等に当せんしたかどうかが判断され、Yesの場合はステップS654へ進むが、Noの場合はステップS657へ進む。
【0076】
ステップS654では、上乗せ当せんであって上乗せされたゲーム数が一定以上であったかどうかが判断される。
【0077】
そして、ステップS654でNoの場合は、ステップS656へ進むが、Yesの場合はステップS655へ進む。
ステップS656では、一定ゲーム数未満の上乗せ当せん処理や役当せん(押し順ナビや押し順リプレイ、小役当せんなどもここに含まれる)をした場合の処理が実施される。同ステップの詳細は、本発明の本質ではないので詳細を割愛する。同ステップの後はステップS658へ進む。
【0078】
ステップS655では、ゲーム数の上乗せ処理及び抽せんテーブルの変更処理が行われる。また、必要に応じて適宜演出処理がなされる。その後、ステップS658へ進む。
【0079】
ステップS657では、その他の処理(ハズレの場合の演出処理等)が実施される。その後、ステップS658へ進む。
【0080】
ステップS658では、ゲームのインクリメント処理を行ってステップS652へ復帰する。
【0081】
[一定数以上の上乗せ当せんにおける抽せんテーブル変更について]
上述のとおり、本発明の一実施形態にかかる遊技機においては、一定数以上の上乗せ当せんした場合(ステップS654でYes)に上乗せ処理がなされるとともに抽せんテーブル(上乗せ抽せんテーブル)を変更するが、より具体的には次表に示されるような切り替えテーブルに基づいた抽せんテーブルの切り替えが実施される。
【表1】
上表はあくまでも例示であるが、抽せんテーブルは3つ用意される。抽せんテーブルAは通常の上乗せ抽せん確率テーブルであり、従来の遊技機でも使用されてきたものである。抽せんテーブルBは、抽せんテーブルAが採用されている状態で一定数以上(上表では+300G)の上乗せ当せんした場合に切り替えられるテーブルである。抽せんテーブルBの特徴は、第1に、前記一定数以上の上乗せ当せん確率が有意に低く設定されている点である(但し、確率ゼロではない)。第2に、その他の上乗せ当せん確率(上表では+10Gや+50G)も有意に低く設定されるが確率はゼロとしてもよい点である。
【0082】
そして、抽せんテーブルCは、抽せんテーブルBが採用されている遊技状態において、さらに一定数以上(上表では+300G)の上乗せ当せんした場合(2回目のステップS655での判断においてYes)に切り替えられるテーブルである。抽せんテーブルCの特徴は、各上乗せ当せん確率が当初の抽せん確率テーブルにおける各上乗せ当せん確率よりも高く設定されている点である。
なお、本発明の他の実施形態においては、抽せんテーブルCの全ての上乗せ数に対する上乗せ当せん確率が抽せんテーブルBにおいて対応する上乗せ当せん確率よりも高くなる必要はなく、少なくとも1つの上乗せ数(より好ましくは、所定数以上の上乗せ数)に対する当せん確率について、抽せんテーブルCのほうが高くなれば良い。
【0083】
少なくとも上表のような特徴を有する3つの抽せんテーブルA~Cを採用して
図6Bで示したようなテーブル切り替え制御を行うことによって、所定の上乗せ当せんを契機として抽せんテーブルを切り替えて上乗せ確率を低く抑える区間や逆に上乗せ確率が上昇する区間を設けることができるので、遊技者にとっては興趣のある遊技を楽しむことができるようになる。
【0084】
次に、
図7~
図8を参照しながら、上述した本発明の特徴的な機能を有する遊技機において好適といえる具体的な遊技スペック例及び遊技進行例を説明する。もちろん、後述する個別具体的なスペック等が本発明を制限してしまうというものではなく、あくまでも本発明の理解の容易のための具体例を示すものである。
【0085】
図7(A)に、本発明の一実施形態における遊技機の回転リール図柄の配置例を示す。本発明は、この図柄配置に限定されるものではないが、少なくとも
図7のような図柄配置になっていることにより、上述した本発明の特徴を充分に活かした遊技状態制御が可能となる。
【0086】
図7(A)において、左端(第1列目)の数字は、インデックス番号を表わし、左から2番目の列は、第1回転リール上に付される図柄の名称を表わし、左から3番目の列は、第2回転リール上に付される図柄の名称を表わし、左から4番目の列は、第3回転リール上に付される図柄の名称を表わす。図中は、図柄の名称(「スイカ」「ベル」「BAR」など)を付しているが、実際には、各名称に対応するデザインされた図柄が付される。
【0087】
そして、特徴的な停止図柄に役や兆候図柄といった特定の意味を持たせ(例えば、大当たり役図柄のほか、後述するチャンス目やリーチ目などの兆候図柄)、遊技の進行をより興趣あるものにすることができる。
【0088】
図7(B)に、本発明の一実施形態にかかる遊技機における有効ラインを示す。同図(B)において、有効ラインは、第1回転リール701a、第2回転リール701b、第3回転リール701cのそれぞれ中段に設定されている(ちょうど横一直線になる)。
【0089】
また、
図7には図示されていないが、必要に応じていわゆる「チャンス目」と呼ばれる出目を設定することもできる。チャンス目とは、ボーナス当せん図柄やレア役図柄ではないが、全くのハズレ目という訳でもない、ボーナス等の当せんや通常区間から有利区間への移行に対する期待度が高い出目をいう。
【0090】
さらに、
図7には図示されていないが、必要に応じていわゆる「リーチ目」と呼ばれる出目を設定することもできる。リーチ目とは、通常遊技モードでの遊技中にボーナスゲームが当せんした(が、未だ当せん図柄は揃っていない)ときに表れる停止図柄(出目)のことをいい、ボーナスゲームの告知方法の一種である。
【0091】
(本発明の一実施形態における遊技機の設定例及び遊技進行例)
以上、本発明の一実施形態における遊技機について詳細かつ多面的に説明してきたが、ここでは、
図8を参照し、
図9に示される従来における遊技機の設定例及び遊技進行例と比較しながら、かかる本発明の一実施形態における遊技機のスペック例(設定テーブル例、あるいは、抽せんテーブル例)及び進行例を説明する。
【0092】
(従来の遊技機の設定例及び進行例との比較)
まず、
図8(A)及び
図8(B)に示した本発明の特徴をより深く理解するために、
図9に示した従来の遊技機における設定テーブル例及び遊技進行例について説明する。
【0093】
図9(A)に示された設定テーブル(具体的には、上乗せ抽せんテーブル)は1種類であり、+10Gとなる上乗せの当せん確率が1/100、+50Gとなる上乗せの当せん確率が1/500、+300Gとなる上乗せの当せん確率が1/1000となるように設定されている。
このような設定のもとで遊技機が有利区間のうち指定区間(ARTやATが稼働中である)と呼ばれる遊技状態に入ると、当該遊技機は
図9(B)に示されるような遊技進行となる。
【0094】
すなわち、
図9(B)に示されるように、ART中またはAT中となる指定区間内では同一の抽せんテーブル(抽せん値)が参照されることとなり、左端の1ゲーム目(901)から進行して、ゲームごとに上乗せ抽せん等を実施しながら遊技を進めていく。所定ゲーム数(遊技数)を継続した何ゲーム目か(図中902)に所定以上の上乗せ当せんとなる「+300G」を引き当てた時には、指定区間の上乗せ処理(+300G)が行われ、遊技者の遊技に対する興趣は高くなる。そして、さらに所定ゲーム数(遊技数)を継続した何ゲーム目か(図中903)に所定以上の上乗せ当せんとなる「+300G」を引き当てたとすると、指定区間のさらなる上乗せ処理(+300G)が行われることになる。
しかしながら、かかる遊技進行では、同一の抽せんテーブルが使用されることによる確率上の偏りによって遊技の良し悪しが決まるだけであるので、遊技の興趣としては単調なものとなりやすい。
【0095】
一方で、
図8(A)及び(B)に示される本発明の一実施形態にかかる遊技機においては、まず、
図8(A)に示されるように、上乗せ抽せんテーブルA~Cまでの3つのテーブルが用意され、
図6A及び
図6Bに示された遊技制御を行ってこれらのテーブルの切り替えを行うので、その遊技進行は
図8(B)に示されるようなものとなる。
【0096】
すなわち、
図8(B)に示されるように、ART中またはAT中となる指定区間内(801から開始される)でははじめは上乗せ抽選テーブルAが使用されることとなる(この時点での遊技条件は
図9を参照して説明した従来の遊技機と同様であるか、従来の遊技機よりもやや緩やかな条件(各上乗せ当せん確率をやや高く設定)とされてもよい)。しかしながら、所定ゲーム数(遊技数)を継続した何ゲーム目か(802)に所定ゲーム数以上の上乗せ当せんとなる「+300G」を引き当てた時には、指定区間の上乗せ処理(+300G)が行われるとともに、上乗せ抽せんテーブルはAからBに切り替えられる。このとき、上乗せ当せんとなる確率は極めて低く設定されている。例えば、所定ゲーム数以上の上乗せ当せん確率はゼロではないが有意に低く、その他(所定ゲーム数未満)の上乗せ当せん確率も有意に低く設定される(確率ゼロでもよい)などである。
【0097】
そして、抽せんテーブルBが使用されている遊技状態でさらなる上乗せ当せんを果たした場合には、抽せんテーブルCに切り替えられることにより、当初の抽せんテーブルAよりも有利な当せん条件で遊技が可能となる。
【0098】
以上の遊技制御により、抽せんテーブルAが使用されている遊技区間では、遊技条件(各上乗せ当せん確率)を従来よりもやや高く設定したとしても抽せんテーブルBが使用される遊技区間ではさらなる上乗せが期待できなくなる(但し、確率ゼロではない)ので、指定区間における序盤(抽せんテーブルAが使用されている遊技区間)での上乗せ体験をしやすく調整できる一方で、抽せんテーブルBの使用により、当該テーブルBが使用されている遊技区間へ移行した場合の射幸性の向上をいったん抑制することができる。しかしながら、抽せんテーブルBが使用されている遊技区間でさらなる上乗せを引き当てた場合(その確率は有意に低くなるが)には、逆に当初の遊技区間(抽せんテーブルA使用)での遊技条件よりも有利になるので、遊技者にとっての興趣はこれまでの遊技進行とは異なった良好なものとなる。具体的には、抽せんテーブルBが使用される区間への突入を単なるゴールとするのではなく、この区間の突破(抽せんテーブルCが使用される区間への突入)を新たな目標とすることができるので遊技性は単純なものではなくなり、いっそう良好な興趣を与えることができる。
【0099】
[さらなる応用]
本発明の他の実施形態にかかる遊技機においては、次のようなバリエーションを採用することができる。
(1)抽せんテーブルBが使用されている遊技区間をさらに突破して抽せんテーブルCが使用される遊技区間へ移行させるためのバリエーションとして、いわゆるバトルタイプの演出を採用する。具体的には、遊技(1ゲーム)ごとにバトル演出を行い、成立役に応じて敵体力を減少させ、敵体力がゼロ(あるいは、敵が倒れたら)抽せんテーブルCが使用される遊技区間へ移行させるなどである。
【0100】
(2)
図6BのステップS654では、「一定数以上の上乗せに当せんしたかどうか」を抽せんテーブルを切り替えるための判断基準としたが、所定ゲーム数(遊技数)を継続したゲームごとに差枚数MYをチェックし、その時点で所定数以上の差枚数MYに達していたら抽せんテーブルを切り替えるように制御されてもよい。例えば、ARTやATなどの指定区間開始後、400G目に差枚数MYが1000枚に達していたら抽せんテーブルを切り替える(達していなければ、抽せんテーブルを切り替えることなく遊技続行)、さらに800G目に差枚数MYが2000枚に達していたら抽せんテーブルを切り替える(達していなければ、何もしない)などである。
【0101】
(3)その他、有利区間での消化ゲーム数(遊技数)をカウントしておき、所定ゲーム数に達したら抽せんテーブルを切り替えるよう制御する、あるいは、ARTやATなどの指定区間開始後、当該区間が継続されるべき残りゲーム数をカウントしておき(上乗せが発生すればこの残りゲーム数は書き換え更新される)、この残りゲーム数が所定数に達したら抽せんテーブルを切り替えるよう制御することもできる。
【0102】
以上、具体例に基づき、本発明にかかる遊技機等の実施形態を説明したが、本発明の抽せん処理及び機器制御の実施形態としては、方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0103】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0104】
さらに、プログラムは、必ずしも制御基板上のCPUにおいてのみ、全ての処理が実施される必要はなく、必要に応じて基板に付加された拡張ボードや拡張ユニットに実装された別の処理ユニット(DSP等)によってその一部又は全部が実施される構成とすることもできる。
【0105】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0106】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0107】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0108】
100 遊技機(スロットマシン)
101 筐体
102 前面扉
103 表示窓
105 メダル投入口
107 スタートレバー
108 1BETボタン
109 精算ボタン
115 メダルトレイ(受皿)
41 メイン制御基板
42 サブ制御基板
43 回転リールユニット
431 第1回転リール駆動部
432 第2回転リール駆動部
433 第3回転リール駆動部
434 第1回転リール位置センサ
435 第2回転リール位置センサ
436 第3回転リール位置センサ
44 ホッパーユニット
454 第1回転リール停止ボタン
455 第2回転リール停止ボタン
456 第3回転リール停止ボタン
47 電源部