(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】結束装置
(51)【国際特許分類】
B65B 13/18 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
B65B13/18 A
(21)【出願番号】P 2018030832
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591261060
【氏名又は名称】マイクロジェニックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591260166
【氏名又は名称】太陽パーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】堅田 徹
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅彦
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222396(JP,A)
【文献】特開2015-157634(JP,A)
【文献】特開昭56-023417(JP,A)
【文献】特開2006-050913(JP,A)
【文献】特開2010-274937(JP,A)
【文献】特開2005-247373(JP,A)
【文献】実開昭59-069109(JP,U)
【文献】実開昭54-097387(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のグリップを握り締めることで支点を中心に回動する一対のアームと、結束テープを引き出し可能に支持するテープ支持機構と、前記テープ支持機構から引き出された結束テープを繰り出すテープ繰出し機構と、前記テープ繰出し機構から繰り出された結束テープの端部を保持するテープ保持機構と、前記テープ繰出し機構から繰り出された結束テープの合せ部を圧着するテープ圧着機構と、を備え、前記一対のアーム間に誘引させた被結束物を前記一対のアーム間に張られた結束テープによって結束させる結束装置であって、
前記テープ保持機構は、
一方のアームに設けられる操作板と、他方のアームに設けられ前記操作板によって操作される可動板と、前記他方のアームに設けられ前記可動板に連動するテープ押え板と、前記他方のアームに設けられるテープ受け板と、を備え、前記テープ受け板によって前記テープ押え板の先端部を受けることにより、前記テープ受け板と前記テープ押え板との間で、前記テープ繰出し機構から繰り出された前記結束テープの端部を保持するように構成され、
前記テープ受け板は、弾性体からな
り、
前記テープ押え板の先端部には、前記結束テープの端部に押し付けられる平面が形成され、
前記平面は、テープ押え板の先端部に脱着可能に装着された樹脂製のアタッチメントに形成されていることを特徴とする結束装置。
【請求項2】
前記結束テープは、生分解性材料からなる基材を有することを特徴とする請求項1
に記載の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束装置に関するもので、一対のアーム間に張られた結束テープによって被結束物を結束させるプライヤ型結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるプライヤ型結束装置は、一対のアーム間に結束テープを張る段階で、握られた一対のアームを僅かに戻すと、これに連動してテープ保持機構のテープ押え板が前進し、テープリールから引き出された結束テープの端部がテープ受け板とテープ押え板によって保持される(例えば「特許文献1」参照)。このような結束装置では、生分解性材料を基材とする結束テープ(以下「生分解テープ」と称する)を使用した場合、生分解テープは、非生分解性材料を基材とする通常の結束テープ(以下「非生分解テープ」と称する)と比較して脆弱であるため、テープ押え板の尖形をなすヘッド先端部を突入させることで生分解テープが破損(裂ける)おそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、生分解性材料を基材とする結束テープの破損を防止した結束装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一対のグリップを握り締めることで支点を中心に回動する一対のアームと、結束テープを引き出し可能に支持するテープ支持機構と、前記テープ支持機構から引き出された結束テープを繰り出すテープ繰出し機構と、前記テープ繰出し機構から繰り出された結束テープの端部を保持するテープ保持機構と、前記テープ繰出し機構から繰り出された結束テープの合せ部を圧着するテープ圧着機構と、を備え、前記一対のアーム間に誘引させた被結束物を前記一対のアーム間に張られた結束テープによって結束させる結束装置であって、前記テープ保持機構は、一方のアームに設けられる操作板と、他方のアームに設けられ前記操作板によって操作される可動板と、前記他方のアームに設けられ前記可動板に連動するテープ押え板と、前記他方のアームに設けられるテープ受け板と、を備え、前記テープ受け板によって前記テープ押え板の先端部を受けることにより、前記テープ受け板と前記テープ押え板との間で、前記テープ繰出し機構から繰り出された前記結束テープの端部を保持するように構成され、前記テープ受け板は、弾性体からなり、前記テープ押え板の先端部には、前記結束テープの端部に押し付けられる平面が形成され、前記平面は、テープ押え板の先端部に脱着可能に装着された樹脂製のアタッチメントに形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生分解性材料を基材とする結束テープの破損を防止した結束装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本実施形態に係る結束装置の斜視図であり、特に、カバーを開いた状態を示す。
【
図4】本実施形態に係る結束装置の分解斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る結束装置の説明図であり、上部ユニットの斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る結束装置の説明図であり、上部ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。便宜上、図中の座標系に示されるように「上下方向」、「左右方向」、および「前後方向」を想定するが、当該結束装置1の使用上の向きを限定するものではない。
図1ないし
図4を参照すると、結束装置1は、いわゆるプライヤ型結束装置であって、一対のアーム4,5間に被結束物(図示省略)を誘引させ、この状態で、一対のグリップ2,3を握り締めて一対のアーム4,5を支点を中心に回動させる。これにより、一対のアーム4,5間に張られた結束テープ7(
図1参照)によって被結束物が結束される。
【0009】
図3、
図4に示されるように、結束装置1は、上部ユニット21を支持する上部ベース11と、下部ユニット81を支持する下部ベース71と、を有する。上部ベース11は、樹脂成型部品であり、グリップ2およびアーム4(一方のアーム)が一体に形成される。上部ベース11のグリップ2とアーム4との間には、テープリール(図示省略)に装着された結束テープ7を収容するテープ収容部12が設けられる。また、結束装置1は、前後方向に延びる一対の側板31,32を有する。側板31,32は、上部ベース11を挟むようにして上部ベース11の左右に配設される。なお、側板31と側板32とは、略左右対称に形成された金属部品である。
【0010】
側板31,32は、内側面(対向面)の前後方向中間部に突設された軸部33,34(支点)を有する。軸部33,34は、上部ベース11に形成された軸孔13,13(
図4に左側の軸孔13のみ表示)に摺動可能に嵌合される。側板31,32の後端35,36は、ねじ39によって結合される。側板31,32の後部37,38には、樹脂成型部品であるグリップ3が装着される。側板31,32の後部37,38間には、フランジ41が形成された軸40を介在させる。軸40は、雌ねじが形成された軸孔を有し、グリップ3の左右両側から挿入されたねじ42,42によって、グリップ3とともに側板31,32の後部37,38間に固定される。
【0011】
側板31,32の後部37,38間に介在させた軸40には、ねじりコイルばね43の一端が係合される。ねじりコイルばね43の他端は、上部ベース11のグリップ2の内側に固定される。これにより、グリップ2,3は、ねじりコイルばね43のばね力によって開方向へ付勢される。なお、アーム4,5は、側板31,32の段部45,46が上部ベース11の爪部44,44に当接されることにより、開位置(
図1参照)で保持される。なお、アーム5は、対向する側板31,32の前側部分、換言すると、軸部33,34(支点)よりも前側の部分によって構成される。
【0012】
結束装置1は、アーム4,5の開動作を規制して持ち運び時に好都合な半開位置で保持する規制機構を備える。規制機構は、上部ベース11の左側壁に設けられた断面が略正方形のボス部47と、ボス部47の中心に立設されて上部ベース11の左側壁から側方(左方向)へ延びる軸部48と、軸部48に嵌合される軸孔(図示省略)が形成された規制部材49と、を有する。規制部材49は、ボス部47の内側に抜き差し可能に嵌合される断面が略正方形の嵌合部50と、嵌合部50の左端に設けられて断面が略菱形の規制部51と、を有する。規制部51の端面には、軸孔と同心のザグリ穴52が形成される。ザグリ穴52には、圧縮コイルばね53が挿入される。圧縮コイルばね53は、ワッシャ54(ばね押え板)、圧縮コイルばね53、および軸孔に挿通されたねじ55を軸部48の軸孔56(ねじ孔)に螺合させることで一定量圧縮され、このとき発生する圧縮コイルばね53のばね力によって、規制部材49が上部ベース11に押し付けられる。
【0013】
そして、結束作業時には、規制部51の長い方の対角線がアーム5に対して略平行になるように、規制部材49の嵌合部50をボス部47の内側に嵌合させる。これにより、アーム4,5は、グリップ2,3を握り締めていない状態で開位置(
図1参照)で保持される。他方、結束装置1の持ち運び時には、規制部51の短い方の対角線がアーム5に対して略平行になるように、規制部材49の嵌合部50をボス部47の内側に嵌合させる。換言すると、圧縮コイルばね53を圧縮させながら規制部材49を引き上げた後、規制部材49を結束作業時に対して軸部48の回りに90°回転させ、規制部材49の嵌合部50をボス部47の内側に嵌合させる。これにより、アーム4,5は、持ち運び時に好都合な半開位置で保持される。
【0014】
結束装置1は、結束テープ7を引き出し可能に支持するテープ支持機構を備える。テープ支持機構は、前述したテープリールおよびテープ収容部12を含む。また、テープ支持機構は、テープ収容部12およびアーム4の上部開口を被うカバー14を有する。カバー14の後端部の左右両側には、側方(外側)へ突出させた一対の凸部15,15(
図4に左側の凸部15のみ表示)が設けられる。他方、上部ベース11の上端部の左右両側には、カバー14の凸部15,15が摺動可能に嵌合される同心の孔16,16が設けられる。これにより、カバー14は、上部ベース11に対して孔16,16の軸心回りに回動可能である。
【0015】
図3、
図5、
図6を参照すると、上部ユニット21は、アーム4の内側に設けられた金属製のベース板22を有する。ベース板22は、3個のねじ19によってアーム4に固定される。ベース板22の後端部には、テープ収容部12から引き出された結束テープ7の非粘着面を支持する樹脂ローラ23が設けられる。樹脂ローラ23は、両端がベース板22の側板に支持された軸部材24によって回転可能に支持される。また、ベース板22の前端部には、テープ収容部12から引き出された結束テープ7の左右両側を案内する樹脂製のガイド板25が設けられる。なお、アーム4の前端部右側壁には、上部ユニット21の前端部を被うカバー29がねじ30,30によって固定される。
【0016】
ガイド板25の前端部には、テープ収容部12から樹脂ローラ23を経由して延びる結束テープ7の非粘着面を支持する樹脂ローラ26が設けられる。樹脂ローラ26は、両端がガイド板25の側板に支持された軸部材27によって回転可能に支持される。なお、ガイド板25は、ねじ28,28によってベース板22に固定される。また、テープ支持機構は、樹脂ローラ23,66およびガイド板25を含む。
【0017】
結束装置1は、テープ収容部12から引き出された結束テープ7を繰り出すテープ繰出し機構を備える。テープ繰出し機構は、ベース板22に固定された枠板60上に構成される。テープ繰出し機構は、ガイド板25によって案内された結束テープ7の非粘着面を案内する第1案内板61と、第1案内板61に対向させて設けられてガイド板25によって案内された結束テープ7の粘着面を案内する第2案内板62と、を有する。なお、第1案内板61は金属部品であり、第2案内板62は、樹脂成型部品である。また、結束テープ7は、結束装置1の左側から第1案内板61と第2案内板62との隙間67(
図5参照)へ挿入させることができる。
【0018】
枠板60は、ねじ28,28によってベース板22に固定される。すなわち、ねじ28,28は、ガイド板25と枠板60とをベース板22に共締めすることで固定させる。第1案内板61は、前側に案内面が形成された前側壁63と、前側壁63に対向する後側壁64と、を有する。また、第1案内板61は、ねじ65によって後述する圧着部材91に固定される。第2案内板62は、ねじ66によって第1案内板61の前側壁63に固定される。
【0019】
結束装置1は、テープ収容部12から引き出された結束テープ7の端部8(
図2参照)を保持するテープ保持機構を備える。テープ保持機構は、ねじ69,69によって枠板60の前端部に固定される操作板72と、下部ベース71に設けられる下部ユニット81と、を有する。なお、下部ベース71は、樹脂成型部品であって、4つのねじ70(
図4参照)によって側板31,32の前端部に固定される。
【0020】
図2ないし
図4を参照すると、下部ユニット81は、操作板72によってレバー82(可動板)が押し込まれると、これがトリガーとなって、レバー82に連動してテープ押え板83が作動し、テープ押え板83のヘッド84(先端部)の尖端85(
図2参照)がテープ受け板87に突入する(
図1参照)。これにより、テープ押え板83とテープ受け板87とによって結束テープ7の端部8が保持される。他方、結束テープ7の切断時には、操作板72によってレバー82が押し込まれると、これがトリガーとなって、テープ押え板83が元の位置に引き戻される。
【0021】
結束装置1は、結束テープ7の合せ部を加圧して圧着させるテープ圧着機構を備える。テープ圧着機構は、上部ユニット21のベース板22に設けられる可動部と、下部ベース71に設けられる固定部と、を有する。
図6を参照すると、可動部は、樹脂成型部品である圧着部材91と、圧着部材91を上下方向へ案内するガイド部材93と、を有する。ガイド部材93は、樹脂成型部品であって、ねじ92,92によって枠板60の後端部に固定される。他方、固定部は、合成ゴムからなるテープ圧着板94を有する。テープ圧着板94は、台座95に固定される。台座95には、テープ圧着板94を下部ベース71に固定するためのねじ89,89を螺合させるねじ孔96,96が形成される。なお、ねじ89,89は、テープ受け板87の台座88を下部ベース71に固定する。
【0022】
テープ圧着機構は、圧着部材91とベース板22との間に介装された圧縮コイルばね97を有する。圧縮コイルばね97は、圧着部材91、延いては該圧着部材91と一体で移動する第1案内板61および第2案内板62をベース板22に対して下方向へ付勢する。そして、結束テープ7の合せ部に向かって圧着部材91を下降させ、圧着部材91の下端の凸部を、結束テープ7の合せ部の上から、テープ圧着板94のテープ受面に形成された凹部98に突入させることにより、結束テープ7の合せ部が圧着される。なお、圧着部材91による結束テープ7の合せ部の保持力は、圧縮コイルばね97のばね力により調節可能である。
【0023】
結束装置1は、被結束物に巻き付けられた結束テープ7の合せ部(圧着部)近傍を切断するテープ切断機構を備える。テープ切断機構は、先端にギザ刃が形成された切刃101を有する。切刃101は、ねじ102,102によってベース板22の前端の切刃取付部103に固定される。そして、切刃101を下降させると、切刃101とテープ受け板87とが擦れ違う過程で、圧着部材91によって保持された結束テープ7の合せ部近傍が切刃101によって切断される。
【0024】
結束装置1は、テープ圧着機構による結束テープ7の合せ部の圧着時に、テープ収容部12から引き出された結束テープ7の端部8を、テープ押え板83による押え代を残した状態(
図2参照)でテープ繰出し機構から突出させるためのテープ巻戻り防止機構を備える。テープ巻戻り防止機構は、前述した操作板72に形成されるリブ74を有する。なお、操作板72は、L字型に折り曲げられた金属板からなり、下端で下部ユニット81のレバー82を操作する操作部73と、操作部73の左端から後方向へ延びるリブ74と、を有する。
図5に示されるように、リブ74の後端には、操作部73からの突出高さが下方向へ漸次低くなる傾斜部75が形成される。
【0025】
そして、テープ巻戻り防止機構は、テープ圧着機構による結束テープ7の合せ部の圧着時に、圧着部材91がテープ圧着板94によって押し込まれることにより、操作板72のリブ74の傾斜部75と第2案内板62の前側面77とが摺動しながら相対移動されるように構成される。また、第2案内板62の前側面77は、前述した操作板72のリブ74と第2案内板62との相対移動の過程で、リブ74の傾斜部75によって第2案内板62の前側面77が第1案内板61の前側壁63に押圧されることにより、第1案内板61と第2案内板62との隙間67が狭まるように傾斜が付与されている。このように、第1案内板61と第2案内板62との隙間67が狭まることにより、第1案内板61と第2案内板62との間の結束テープ7の粘着面が第2案内板62の案内面78に貼着される。
【0026】
ここで、本実施形態に係る結束装置1は、生分解性材料を基材とする結束テープ7に対応させている。以下、生分解性材料を基材とする結束テープ7に対応させた構成を説明する。
前述した特許文献1に記載された結束装置では、テープ保持機構のレバーが押し込まれることで、テープ押え板の尖端を金属板からなるテープ受け板のスリットに突入させていた。この場合、テープ押え板の尖端をテープ受け板のスリットに突入させたときの衝撃により、生分解性材料を基材とする結束テープが裂けるという不具合が発生する。
【0027】
そこで、本実施形態では、ゴム製の板からなるテープ受け板87によって、テープ押え板83のヘッド84(先端部)の尖端85をテープ受け板87に突入させたときの衝撃を吸収させるように構成した。また、
図1、
図2に示されるように、テープ押え板83のヘッド84にアタッチメント105を装着し、結束テープ7にアタッチメント105の押圧面106(平面)を押し付けるように構成した。アタッチメント105は、ねじ107によってテープ押え板83のヘッド84の左側面(レバー82との対向面に対して反対側の面)に固定される。また、テープ押え板83の尖端85は、アタッチメント105の上端に位置し、アタッチメント105の押圧面106から突出されている。
【0028】
なお、テープ受け板87の素材は、要求される衝撃吸収性能を満たす弾性体であればよく、例えば、シリコーンゴム等を適用することができる。また、テープ受け板87は、金属製の台座88に接合(接着)されている。また、アタッチメント105は、樹脂成型部品である。さらに、第2案内板62には、下部ユニット81のテープ押え板83を前後方向へ移動させたときのアタッチメント105との衝突を回避する幅の切欠108が形成されている。
【0029】
また、生分解性材料を基材とする脆弱な結束テープ7を使用した場合、グリップ2,3を握り締めて、テープ収容部12から引き出された結束テープ7の端部8をテープ保持機構によって保持した後、結束テープ7の粘着面が第2案内板62の案内面78にしっかりと貼り付いていると、グリップ2,3を開いたときに結束テープ7が引張られて裂けるおそれがある。
【0030】
そこで、本実施形態は、第2案内板62の案内面78に段差79(
図5、
図6参照)を設け、第2案内板62の下部、換言すると、下部ユニット81のテープ押え板83がテープ受け板87に突入したときの衝撃がより伝わりやすい位置に、結束テープ7の粘着面が貼着するように構成した。これにより、テープ押え板83がテープ受け板87に突入したときの衝撃によって、結束テープ7を第2案内板62の案内面78からより確実に剥離させることができる。
【0031】
また、本実施形態は、結束テープ7の粘着面がカバー14の内側に貼り付くことを防止する非粘着性のシート17(
図3参照)を備える。シート17は、テープ収容部12に収容された結束テープ7の粘着面に対向させるようにして、カバー14の内側面に接合(接着)されている。これにより、結束テープ7がカバー14に貼り付くことによる結束テープ7の破損を防ぐことができる。なお、シート17として、スポンジや、表面がフッ素樹脂加工された帯状の板等を用いることができる。
【0032】
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、テープ収容部12から引き出された結束テープ7を、ガイド板25を経由させてテープ繰出し機構の第1案内板61と第2案内板62との間に通す。次に、一対のグリップ2,3を握り締めることで、一対のアーム4,5を支点を中心に回動(閉動作)させる。一対のアーム4,5を閉じてから、握り締めたグリップ2,3を僅かに戻すと、下部ユニット81のテープ押え板83が作動し、テープ押え板83のヘッド84(先端部)の尖端85が、結束テープ7の上からテープ受け板87に突入する。これにより、結束テープ7の端部8(
図2参照)は、テープ押え板83とテープ受け板87との間で保持される。
【0033】
ここで、テープ押え板83の尖端85がテープ受け板87に突入するとき、結束テープ7の端部8の、テープ押え板83の尖端85の近傍部分は、テープ押え板83のヘッド84に装着されたアタッチメント105によってテープ受け板87に押し付けられる。そして、一対のグリップ2,3が完全に開かれると、
図1に示されるように、テープ収容部12から引き出された結束テープ7が一対のアーム4,5間に張られる。この状態で、一対のアーム4,5間に張られた結束テープ7を被結束物に押し当てるように結束装置1を操作すると、結束テープ7がテープ収容部12から引き出されるとともに被結束物が一対のアーム4,5間に誘引される。
【0034】
再び、一対のグリップ2,3を握り締めると、テープ圧着機構の圧着部材91の下端の凸部が、結束テープ7の合せ部の上からテープ圧着板94の凹部98に突入する。これにより、被結束物に巻回された結束テープ7の合せ部が保持され、並行して、下部ユニット81のテープ押え板83が戻される。そして、一対のアーム4,5が完全に閉じられるタイミングで、結束テープ7の合せ部がテープ圧着機構によって圧着され、並行して、結束テープ7の合せ部近傍がテープ切断機構の切刃101によって切断される。
【0035】
また、結束テープ7の合せ部がテープ圧着機構によって圧着される過程で、リブ74の傾斜部75によって第2案内板62の傾斜させた前側面77が押圧されることにより、第1案内板61と第2案内板62との隙間67が狭められる。これにより、第1案内板61と第2案内板62との間にある結束テープ7の粘着面が、第2案内板62の下部の案内面78に貼着され、結束テープ7は、端部8(テープ押え代)がテープ繰出し機構から突出された状態で(
図2参照)、テープ繰出し機構内で保持される。
【0036】
本実施形態は、以下の作用効果を奏する。
本実施形態によれば、一対のグリップ2,3を握り締めることで支点を中心に回動する一対のアーム4,5と、結束テープ7を引き出し可能に支持するテープ支持機構と、テープ支持機構から引き出された結束テープ7を繰り出すテープ繰出し機構と、テープ繰出し機構から繰り出された結束テープ7の端部8を保持するテープ保持機構と、テープ繰出し機構から繰り出された結束テープ7の合せ部を圧着するテープ圧着機構と、を備え、一対のアーム4,5間に誘引させた被結束物を一対のアーム4,5間に張られた結束テープ7によって結束させる結束装置1であって、テープ保持機構は、一方のアーム4に設けられる操作板72と、他方のアーム5に設けられ操作板72によって操作されるレバー82(可動板)と、他方のアーム5に設けられレバー82に連動するテープ押え板83と、他方のアーム5に設けられるテープ受け板87と、を備え、テープ受け板87によってテープ押え板83のヘッド84(先端部)を受けることにより、テープ受け板87とテープ押え板83との間で、テープ繰出し機構から繰り出された結束テープ7の端部8を保持するように構成され、テープ受け板87をゴム製の板(弾性体)によって構成したので、テープ押え板83の尖端85をテープ受け板87に突入させたときの衝撃を当該テープ受け板87によって吸収することが可能である。これにより、テープ押え板83の尖端85をテープ受け板87に突入させたときの衝撃によって、生分解性材料を基材とする結束テープ7が裂けることを防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態では、テープ押え板83のヘッド84(先端部)には、結束テープ7の端部8に押し付けられる押圧面106(平面)が形成されているので、テープ押え板83の尖端85をテープ受け板87に突入させたとき、当該押圧面106(平面)を、テープ押え板83の尖端85の近傍の結束テープ7に押し付けることにより、尖端85が突入した位置を起点とする、生分解性材料を基材とする結束テープ7の破損(裂け)を防ぐことができる。
【0038】
また、本実施形態では、押圧面106(平面)は、テープ押え板83のヘッド84(先端部)に脱着可能に装着された樹脂製のアタッチメント105に形成されているので、用途(使用される結束テープ7)に応じた形状および素材のアタッチメント105を装着することができる。
【0039】
また、本実施形態では、結束テープ7の粘着面がカバー14の内側に貼り付くことを防止する非粘着性のシート17を備えるので、結束テープ7がカバー14に貼り付くことによる当該結束テープ7の破損を防ぐことができる。これにより、脆弱な生分解性材料を基材とする結束テープ7の使用が可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、第2案内板62の案内面78に段差79を設け、第2案内板62の下部(他方のアーム5寄りの位置)に結束テープ7の粘着面が貼着するように構成したので、テープ押え板83がテープ受け板87に突入したときの衝撃によって、結束テープ7を第2案内板62の案内面78からより確実に剥離させることができる。これにより、テープ収容部12から結束テープ7を引き出すときに結束テープ7に負荷がかかることによる当該結束テープ7の破損を防ぐことが可能であり、脆弱な生分解性材料を基材とする結束テープ7の使用が可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 結束装置、2,3 グリップ、4,5 アーム、7 結束テープ、8 端部、72 操作板、82 レバー(可動板)、83 テープ押え板、84 ヘッド(先端部)、87 テープ受け板