(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】気体流量算出装置、気体流量測定システム、気体流量算出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01F 1/34 20060101AFI20220208BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20220208BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G01F1/34 A
G01F1/00 Q
A61M1/00 109
(21)【出願番号】P 2017177106
(22)【出願日】2017-09-14
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
(72)【発明者】
【氏名】金子 暁子
(72)【発明者】
【氏名】岩上 聖
(72)【発明者】
【氏名】酒井 光昭
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136104(JP,A)
【文献】特表2003-502115(JP,A)
【文献】特開2005-046404(JP,A)
【文献】特開平07-163660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0073112(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0136209(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102005040442(DE,A1)
【文献】小楠貴宏,卒業論文:気泡生成と周辺流体に関する研究,日本,2001年02月15日,pp.1-33,https://www.photon.t.u-tokyo.ac.jp/thesis.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-9/02,15/00-15/18,
A61M 1/00-1/38,16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数
が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求め、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出する流量算出部
を備える気体流量算出装置。
【請求項2】
前記流量算出部は、前記最大振幅周波数が所定値以下である場合、前記最大振幅周波数の変化に対して前記気泡の体積が一定として、前記水封部を通過した気体の流量を算出する、
請求項1に記載の気体流量算出装置。
【請求項3】
前記流量算出部は、前記圧力測定値に基づいて、前記水封部における気泡の発生頻度を検出し、検出した気泡の発生頻度に基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出する、
請求項1または請求項2に記載の気体流量算出装置。
【請求項4】
前記流量算出部は、前記圧力測定値をフーリエ変換して前記気泡の発生頻度を検出する、
請求項3に記載の気体流量算出装置。
【請求項5】
水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサと、
前記圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数
が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求め、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出する流量算出部と、
を備える気体流量測定システム。
【請求項6】
水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサによる圧力測定値を取得することと、
前記圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数
が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求め、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出することと、
を含む気体流量算出方法。
【請求項7】
コンピュータに、
水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサによる圧力測定値を取得することと、
前記圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数
が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求めることと、
前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体流量算出装置、気体流量測定システム、気体流量算出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
胸腔ドレナージユニット(drainage unit)は、胸腔内に空気が漏れ出している気胸の患者に対して使用されるもので、胸腔内に溜まった体液(血液、膿、滲・漏出液など)および空気を体外に排出するための装置である。この胸腔ドレナージユニット内には水封部があり、患者の胸腔から排出される空気は気泡となってこの水封部を通過して外部に排出されるようになっている。また、水封部から外部への排出には、吸引圧調整用の水溜まりを経由して吸引ポンプが接続される場合もある。
【0003】
一方、胸腔内に漏れ出した空気の量と肺に開いた穴の大きさや患者の容態などとの間に
は相関関係があると一般に考えられている。このため、胸腔内に漏れ出した空気の流量を
定量的に観測することができれば、臨床的に有用な指標であり、胸腔から胸腔ドレナージユニットへ放出される空気の量は、手術の要否及び退院の可否を決定する際の参考となる。
【0004】
しかしながら、現状では、医師または看護師が目視で水封部を気泡が通過する様子を観
測することにより、胸腔内に漏れ出した空気の流量を定性的にしかも主観的に観測しているに過ぎず、しかも観測している時間もごく短い。
そこで、胸腔から胸腔ドレナージユニットへ放出される空気の量を測定する技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の胸腔ドレナージユニットは、胸腔ドレナージユニットの水封部に光を照射し、水封部を透過する光の透過量を光学的に測定する。水封部を気泡が通過する際、気泡の表面で光が反射することから透過光の光量が減少する。特許文献1に記載の胸腔ドレナージユニットは、水封部を気泡が通過する際の透過光量の減少に基づいて、水封部を通過する空気の流量を求める。
特許文献2に記載の胸腔ドレナージユニットは、水封部と吸引部の圧力差を測定することにより水封部を通過する空気の量を求める。
特許文献3に記載の胸腔ドレナージユニットは、水封部での気泡を光学的に検知して空気流量を計測し、かつ吸引回路での圧力測定によりエアリーク状態をモニタする。
特許文献4に記載の胸腔ドレナージユニットは、水封部の前後の圧力差を測定することにより水封部を通過する空気の量を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5110530号公報
【文献】特開2014-136104号公報
【文献】特開2016-093227号公報
【文献】米国特許第7207946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光量を光学的に測定する方法では、一般的に、外部からの光の影響を受けることが考えられる。例えば、胸腔ドレナージユニットに直射日光が当たった場合、水封部を気泡が通過することによる透過光量の変化が、直射日光が当たっていない場合と異なることが考えられる。胸腔から胸腔ドレナージユニットへ放出される空気の量など空気流量を測定する際、外部からの光に影響されずに測定することができれば、より高精度に測定を行い得る。また、水封部と吸引部の圧力差を測定する方法、および吸引流路に圧力センサを設置する方法、および水封部の前後の圧力差を測定する方法では、一般に、圧力センサと圧力変動の要因となる気泡発生部との物理的距離、すなわち気泡発生部からセンサまでの流路抵抗が大きくなるので、センサが気泡発生による圧力変動を捉えにくく水封部を通過する空気流量の測定精度が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、外部からの光に影響されずに空気流量を測定でき、かつ、気泡発生による圧力変動の検出感度を確保して空気流量を高精度に測定測定できる、気体流量算出装置、気体流量測定システム、気体流量算出方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、気体流量算出装置は、水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求め、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出する流量算出部を備える。
これにより、この気体流量算出装置では、圧力センサと水封部での気泡発生部との物理的距離が比較的短く、この点で、気泡発生による圧力変動の検出感度を確保して高精度な空気流量測定が可能となる。
【0010】
前記流量算出部は、前記最大振幅周波数が所定値以下である場合、前記最大振幅周波数の変化に対して前記気泡の体積が一定として、前記水封部を通過した気体の流量を算出するようにしてもよい。
前記流量算出部は、前記圧力測定値に基づいて、前記水封部における気泡の発生頻度を検出し、検出した気泡の発生頻度に基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出するようにしてもよい。
【0011】
前記流量算出部は、前記圧力測定値をフーリエ変換して前記気泡の発生頻度を検出するようにしてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、気体流量測定システムは、水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサと、前記圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求め、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出する流量算出部と、を備える。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、気体流量算出方法は、水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサによる圧力測定値を取得することと、前記圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求め、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出することと、を含む。
【0016】
本発明の第5の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、水封部に設けられた圧力センサ、または吸引圧調整部から上流側かつ前記水封部よりも下流側に設けられた圧力センサによる圧力測定値を取得することと、前記圧力センサによる圧力測定値をフーリエ変換したパワーが最大となる最大振幅周波数が少なくとも所定の範囲において、前記最大振幅周波数の増加に応じて、前記水封部を通過する気体の気泡の体積が線形に増加する関係に基づいて前記気泡の体積を求めることと、前記気泡の体積と前記気泡の発生頻度とに基づいて、前記水封部を通過した気体の流量を算出することと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部からの光に影響されずに空気流量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る胸腔ドレナージユニットの機能構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る胸腔ドレナージユニット本体の構成例を示す概略構成図である。
【
図3】同実施形態に係る気体流量算出装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【
図4】同実施形態に係る胸腔ドレナージユニット本体の検証実験装置の構成を示す概略構成図である。
【
図5】同実施形態に係る胸腔ドレナージユニット本体の従来臨床実機(圧力センサ無しの気泡目視観測用)を用いた実験における装置構成を示す概略構成図である。
【
図6】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第3水だまりにおける気泡の形状の例を示す図である。
【
図7】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第3水だまりにおける気泡の形状を回転楕円体で近似した場合の、空気流量と楕円の長径および短径との関係を示す図である。
【
図8】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第3水だまりにおける気泡の形状を回転楕円体で近似した場合の、第1水だまりにおける空気流量と気泡の体積との関係を示す図である。
【
図9】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第3水だまりにおける空気流量と気泡の発生頻度との関係の例を示す図である。
【
図10】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第3水だまりにおける空気流量と、胸腔ドレナージユニットによる空気流量算出値との関係の例を示す図である。
【
図11】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第3水だまりにおける気泡の大きさの変化の例を示す図である。
【
図12】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での第1容器における気体の流量と差圧計による圧力測定値との関係の例を示す図である。
【
図13】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が30ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図14】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が40ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図15】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が50ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図16】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が60ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図17】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が70ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図18】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が80ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図19】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が90ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図20】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が100ミリリットル毎分の場合の、差圧計による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
【
図21】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験で空気流量が30ミリリットル毎分の場合の、最大振幅周波数と気泡の発生頻度との関係の例を示す図である。
【
図22】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での空気流量と気泡の発生頻度と最大振幅周波数との関係の例を示す図である。
【
図23】同実施形態に係る検証実験装置を用いた実験での最大振幅周波数と気泡の体積との関係の例を示す図である。
【
図24】同実施形態における最大振幅周波数と気泡の体積との関係からの気体流量の算出例を示す図である。
【
図25】同実施形態で、気泡の体積を直方体に近似して算出した場合の、気体流量算出値の例を示す図である。
【
図26】同実施形態に係る胸腔ドレナージユニットが気体流量を求める処理手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
また、以下では、胸腔ドレナージ(Thoracic DrainageまたはChest Drainage)ユニットにおける空気流量の測定(すなわち、患者の体外に排出される空気流量の測定)に本発明を適用する場合を例に説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、水封部が設けられたガスクロマトグラフィーなど、水封部を通過する気体の流量を測定するいろいろな用途に本発明を適用することができる。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る胸腔ドレナージユニットの機能構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、胸腔ドレナージユニット1は、胸腔ドレナージユニット本体100と、気体流量算出装置200とを備える。
胸腔ドレナージユニット1は、肺から胸腔内に空気が漏れる気胸の患者に用いられ、この患者の肺から胸腔に漏れた空気を体外へ排出する。また、胸腔ドレナージユニット1は、患者の体外へ排出された空気の流量を測定する。胸腔ドレナージユニット1は、気体流量測定システムの例に該当する。
【0021】
胸腔ドレナージユニット1が、患者の体外へ排出された空気の流量を測定することで、この患者の担当医は、測定された空気流量を医療の参考にすることができる。例えば、患者の体外へ排出される空気の流量が30ミリリットル毎分(ml/分)以下になれば、退院してよいと判断することができる。
胸腔ドレナージユニット本体100は、気胸の患者の胸腔に挿入されたチューブにて、患者の肺から胸腔へ漏れた空気を胸腔ドレナージユニット本体100へ流入させる。
【0022】
図2は、胸腔ドレナージユニット本体100の構成例を示す概略構成図である。
図2に示すように、胸腔ドレナージユニット本体100は、チューブ110と、排液部120と、水封部130と、吸引圧調整部140と、吸引ポンプ151と、圧力センサ152と、チェックバルブ153と、第1隔壁161と、第2隔壁162と、第3隔壁163と、第4隔壁164と、第5隔壁165とを備える。水封部130は、第1水だまり131を備える。吸引圧調整部140は、第2水だまり141を備える。
【0023】
また、
図2には、患者900の肺910と、胸腔920と、横隔膜930とが示されている。
図2は、患者900が腹式呼吸を行う場合の例を示しており、横隔膜930の上下動によって肺910が収縮および膨張することで呼吸が行われる。
ここで、患者900は、右肺から空気が漏れて気胸になっている。右肺から漏れた空気が胸腔920に溜まると、横隔膜が上下しても右肺が収縮したままになり、十分に呼吸を行えない。
そこで、胸腔ドレナージユニット本体100を用いて胸腔920から患者900の体外へ空気を放出する。
【0024】
チューブ110は、患者900の胸腔から胸腔ドレナージユニット本体100へ空気を排出する。チューブ110の一方の端部は、患者900の胸腔920に挿入され、もう一方の端部は、胸腔ドレナージユニット本体100の排液部120に接続されている。この状態で、胸腔920に溜まった空気の圧力で、または、吸引ポンプ151によって胸腔ドレナージユニット本体100内が減圧されることで、胸腔920内の空気が胸腔ドレナージユニット本体100へ排出される。
【0025】
排液部120は、患者900の胸腔920から排出された空気の流入を受ける。上記のように、患者900の胸腔920と排液部120とはチューブ110によって接続されており、胸腔920から排出された空気はチューブ110を経由して排液部120内へ流入する。
【0026】
患者900の胸腔920から空気が排出される際、空気と共に血液などの液体が排出される場合がある。この場合、液体もチューブ110を経由して排液部120内へ流入する。
患者900の胸腔920から排液部120内へ流入した空気は、排液部120内の空気圧が水封部130内の空気圧よりも高いことで、さらに排液部120から水封部130へ流入する。一方、患者900の胸腔920から排液部120へ液体が流入した場合、液体は排液部120内に溜まる。
【0027】
水封部130は、排液部120から空気の流入を受け、吸引ポンプ151から胸腔ドレナージユニット本体100の外部へ放出する。水封部130に滅菌蒸留水が入れられで第1水だまり131を構成しており、排液部120からの空気は第1水だまり131(気泡発生部)で気泡となって、第1水だまり131を通過する。ここでいう気泡発生部は、気泡が発生する箇所である。
【0028】
具体的には、排液部120と水封部130とは、第1隔壁161及び第2隔壁162で仕切られており、第1隔壁161の上部、および、第2隔壁162の下部に隙間が設けられている。また、胸腔920からの空気の圧力で、または、吸引ポンプ151が水封部130内部から空気を吸引することで、排液部120内の空気圧が水封部130の空気圧よりも高くなっている。
【0029】
排液部120からの空気は、第1隔壁161と第2隔壁162との間を通って第2隔壁162の下側の隙間に到達する。排液部120内の空気圧が水封部130の空気圧よりも高くなっていることで、第2隔壁162の下側の隙間に到達した空気が水封部130側へ排出される。矢印B11およびB12にて空気の流れを示している。
【0030】
第1水だまり131は、排液部120内の空気圧と水封部130内の空気圧とが同じ状態で水面が第2隔壁162の下側の隙間よりも高くなる量の滅菌蒸留水が水封部130内に入れられて構成されている。第2隔壁162の下側の隙間に到達した空気は、気泡となって第1水だまり131を通過する。
なお、排液部120と水封部130との境界について、第1水だまり131よりも上流(空気の流れで患者900に近い側)を排液部120側とし、第1水だまり131を含んで下流(空気の流れで患者900から遠い側)を水封部130側とする。
【0031】
ここでいう上流は、胸腔ドレナージユニット本体100の構造によって構成される経路にて、患者900に近い側である。下流は、胸腔ドレナージユニット本体100の構造によって構成される経路にて、患者900から遠い側である。
排液部120と水封部130とでは、排液部120の方が上流であり、水封部130の方が下流である。水封部130と吸引圧調整部140とでは、水封部130の方が上流であり、吸引圧調整部140の方が下流である。また、水封部130と吸引ポンプ151とでは、水封部130の方が上流であり、吸引ポンプ151の方が下流である。
【0032】
チェックバルブ153は、水封部130に設けられた安全弁である。チェックバルブ153を開くことで水封部130内の空気圧が大気圧と同じになり、あるいは大気圧に近付き、吸引ポンプ151による排液部120から水封部130への空気の吸引が中止または低減される。
圧力センサ152は、水封部130の上部に設けられており、水封部130内部の圧力(空気圧)を測定する。圧力センサ152の設置場所は水封部130の上部に限定されず、水封部130または水封部130よりも下流で、水封部130の空気圧の影響を受ける場所であればよい。
【0033】
圧力センサ152が、水封部130の側面に設置されていてもよい。また、圧力センサ152がチェックバルブ153に設置されていてもよい。この場合、胸腔ドレナージユニット本体100に対して圧力センサ152を設置するための穴を開ける必要がない。
また、圧力センサ152が、吸引圧調整部140に設置されていてもよい。
水封部130の圧力変化に対するレスポンスを高める観点からは、圧力センサ152が吸引圧調整部140ではなく水封部130の側に設置されていることが好ましい。
【0034】
吸引圧調整部140は、患者900から胸腔ドレナージユニット本体100への空気の排出量を安定させるために設けられている。
水封部130と吸引圧調整部140との間には第3隔壁163が設けられている。第3隔壁163の上部には隙間が設けられており、水封部130と吸引圧調整部140との間を空気が移動可能である。また、吸引圧調整部140と外部との間には、第4隔壁164及び第5隔壁165が設けられている。第4隔壁164の下部に隙間が設けられており、また、第4隔壁164と第5隔壁165との間の空間は大気に開放されている。また、吸引圧調整部140には滅菌蒸留水が入れられて第2水だまり141を構成している。
【0035】
水封部130内の空気圧の大気圧からの低下量がある程度以上大きくなると、大気に開放されている第4隔壁164と第5隔壁165との間の空間から、第2水だまり141を経由して水封部130側へ空気が流入する。これによって、水封部130内の空気圧の低下が緩和され、患者900から胸腔ドレナージユニット本体100への空気の吸引の安定化が図られる。
【0036】
また、吸引ポンプの吸引力が一時的に増加した場合、第2水だまり141が吸引圧調整部140側へ吸引されることで、水封部130および吸引圧調整部140内の空間が減少し、水封部130内の圧力低下が緩和される。吸引ポンプの吸引力が一時的に減少した場合、第2水だまり141が大気側へ押されることで、水封部130および吸引圧調整部140内の空間が増加し、水封部130内の圧力増加が緩和される。
このように、水封部130の空気圧が安定することで、胸腔ドレナージユニット本体100が患者の胸腔から空気を吸引する陰圧を安定させることができる。
【0037】
気体流量算出装置200は、圧力センサ152が測定する水封部130内の空気圧に基づいて、第1水だまり131を通過する空気の流量を算出する。第1水だまり131を通過する空気の流量は、患者の胸腔から排出される空気の流量と同視することができる。
気体流量算出装置200は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)、ワークステーション(Workstation)またはマイコン(Microcomputer)等のコンピュータを用いて構成される。あるいは気体流量算出装置200が、気体流量算出装置200専用のハードウェア回路で構成されていてもよい。
【0038】
図3は、気体流量算出装置200の機能構成を示す概略ブロック図である。
図3は、コンピュータを用いて気体流量算出装置200を構成する場合の機能構成例を示している。
図3に示すように、気体流量算出装置200は、通信部210と、表示部220と、操作入力部230と、記憶部280と、制御部290とを備える。制御部290は、流量算出部291を備える。流量算出部291は、フーリエ変換部292と、気泡発生頻度検出部293とを備える。
【0039】
通信部210は、他の装置と通信を行う。特に通信部210は、圧力センサ152とのインタフェースとして機能する。通信部210は、圧力センサ152からの信号を受信することで、圧力センサ152による圧力測定値を取得する。
表示部220は、例えば液晶パネル又はLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示画面を備え、各種画像を表示する。特に、表示部220は、気体流量算出装置200が算出した空気流量を表示する。
【0040】
操作入力部230は、例えばキーボード及びマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受ける。例えば、胸腔ドレナージユニット本体100の機種によって、あるいは、同一機種の個体差によって、第1水だまり131を通過する気泡の大きさに差がある場合、操作入力部230が、気体流量計算の微調整用パラメータの値の入力を受けるようにしてもよい。
【0041】
記憶部280は、各種データを記憶する。記憶部280は、気体流量算出装置200が備える記憶デバイスを用いて構成される。
制御部290は、気体流量算出装置200の各部を制御して各種処理を実行する。制御部290は、気体流量算出装置200が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部280からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0042】
流量算出部291は、圧力センサ152による圧力測定値に基づいて、水封部130を通過した気体の流量を算出する。
特に、流量算出部291は、圧力センサ152による圧力測定値に基づいて、水封部130の第1水だまり131における気泡の発生頻度を検出し、検出した気泡の発生頻度に基づいて、水封部130を通過した気体の流量を算出する。
【0043】
また、流量算出部291は、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換して気泡の発生頻度を検出する。
また、流量算出部291は、気泡の発生頻度と水封部を通過した気体の流量の関係を線形近似した近似式に基づいて、水封部130における気泡の発生頻度から、水封部130を通過した気体の流量を算出する。
【0044】
フーリエ変換部292は、圧力センサ152による圧力測定値のフーリエ変換を実行する。
気泡発生頻度検出部293は、フーリエ変換部292によるフーリエ変換の結果から、水封部130における気泡の発生頻度を検出する。
【0045】
次に、胸腔ドレナージユニット本体の検証実験装置および気泡目視観測用として従来から臨床にて使用実績のある商用製品の従来臨床実機(圧力センサ無し)を用いた実験について説明する。胸腔ドレナージユニット本体の検証実験装置および従来臨床実機を用いて、胸腔ドレナージユニット本体に流入する空気の流量と、水封部内の空気圧と、空気が水封部の水だまりを通過する際の気泡との関係を調べた。
【0046】
図4は、胸腔ドレナージユニット本体100の検証実験装置の構成を示す概略構成図である。
図4に示すように、チューブ110と、第1容器320と、チューブ330と、第2容器340と、チューブ350と、差圧計361と、チェックバルブ153と、吸引ポンプ151とを用いて検証実験装置300を構成した。
図4の各部のうち、
図2の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、151、153)を付して説明を省略する。
【0047】
第1容器320は、排液部120から水封部130への流入部分および水封部130を模擬する。
第1容器320内には、第1水だまり131を模擬する第3水だまり321(気泡発生部)が設けられている。第3水だまり321は、第1容器320内に蒸留水を入れておくことで構成されている。実験では、第1容器320内に2センチメートルH20(cmH20)の蒸留水を入れて第3水だまり321を構成した。
【0048】
また、第1容器320には、ノズル322が設けられている。ノズル322の一方の端部はチューブ110に接続され、もう一方の端部は第3水だまり321内に入れられている。ノズル322は、
図2の胸腔ドレナージユニット本体100における第1隔壁161と第2隔壁162との間の空間を模擬する。ノズル322の第3水だまり321側の端部には、第2隔壁162の下部の隙間を模擬する隙間が設けられている。それ以外の部分では、ノズル322の端部は第1容器320の底に接している。
ノズル322として、口径5ミリメートル(mm)のものを用いた。
【0049】
第2容器340は、吸引圧調整部140を模擬する。
第2容器340内には、第2水だまり141を模擬する第4水だまり341が設けられている。第4水だまり341は、第2容器340内に蒸留水を入れておくことで構成される。
チューブ330は、水封部130と吸引圧調整部140とを接続する。チューブ330は、水封部130と吸引圧調整部140との間の空気の流路を模擬する。
【0050】
チューブ350は、吸引圧調整部140と吸引ポンプ151とを接続する。
検証実験装置300では、吸引ポンプ151とチェックバルブ153とが第2容器340に設けられている点で、吸引ポンプ151とチェックバルブ153とが水封部130に設けられている、
図2の胸腔ドレナージユニット本体100と異なる。但し、第1容器320と第2容器340とはチューブ330で接続されており、吸引ポンプ151およびチェックバルブ153の設置位置の違いによる影響は小さい。特に、後述する胸腔ドレナージユニット本体の従来臨床実機を用いた実験で第1水だまり131における気泡の大きさおよび発生頻度は、検証実験装置300の第3水だまり321の場合と同様であった。
【0051】
差圧計361は、第1容器320における空気圧P1と、チューブ330における空気圧P2との差圧を測定する。差圧計361は、検証実験の為、差圧計としたが、圧力センサ152を模擬する。
チューブ110の一方の端部には、コンプレッサ811と、レギュレータ812と、ガス流量計813との組み合わせが接続されている。チューブ110のもう一方の端部は、第1容器320に接続されている。
【0052】
コンプレッサ811は、大気を吸い込んで圧縮する。コンプレッサ811が圧縮した空気は、レギュレータ812、ガス流量計813及びチューブ110を経由して、第3水だまり321から第1容器320内に流入する。
レギュレータ812は、レギュレータ812自らを通過する空気の流量を調整することで、第1容器320への空気流量を調整する。
ガス流量計813は、ガス流量計813自らを流れる空気の流量を測定することで、第1容器320への空気流量を測定する。
【0053】
コンプレッサ811とレギュレータ812との間には弁821が設けられている。第1容器320と差圧計361との間には、弁822が設けられている、チューブ330と差圧計361との間には、弁823が設けられている。チューブ350(第2容器340と吸引ポンプ151との間)には、弁824が設けられている。検証実験装置300を用いた実験時には、弁821、822、823、824は、いずれも開放される。
【0054】
検証実験装置300を用いた実験では、吸引ポンプ151による吸引圧を大気圧(大気に開放)とした。
コンプレッサ811から第1容器320へ流入する空気の流量を30ミリリットル(ml)~100ミリリットルの範囲で、10ミリリットル間隔で変化させ、それぞれの空気流量における検証実験装置300の状態を観察した。
【0055】
図5は、胸腔ドレナージユニット本体100の従来臨床実機を用いた実験における装置構成を示す概略構成図である。
図5に示す各部のうち、
図2の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(100、110、120、130、131、140、141、151、153)を付して説明を省略する。また、
図5に示す各部のうち、
図4の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(811、812、813、821)を付して説明を省略する。
【0056】
胸腔ドレナージユニット本体100の従来臨床実機を用いた実験では、蒸留水30ミリリットルを水封部130に入れて第1水だまり131を構成した。吸引ポンプ151による吸引圧を-8センチメートルH20(784パスカル(Pa))とした。
検証実験装置300を用いた実験の場合と同様、胸腔ドレナージユニット本体100の従来臨床実機を用いた実験では、コンプレッサ811から水封部130へ流入する空気の流量を30ミリリットル~100ミリリットルの範囲で、10ミリリットル間隔で変化させた。
胸腔ドレナージユニット本体100を用いた実験で、第1水だまり131における気泡の大きさおよび発生頻度は、検証実験装置300を用いた実験での、第3水だまり321における気泡の大きさおよび発生頻度と同様であった。
【0057】
図6は、検証実験装置300を用いた実験での第3水だまり321における気泡の形状の例を示す図である。
図6は、空気流量が30ミリリットル毎分である場合の例を示している。
図6の横軸は、経過時間を示す。
図6に向かって最も左側の状態の時刻を基準(0秒)として、最も右側の状態の時刻は0.16秒である。
図6では、気泡がだんだん大きくなり、ノズル322の隙間から切り離されて水面への上昇していく様子が示されている。
【0058】
以下で説明するように、コンプレッサ811から第1容器320へ流入する空気の流量を30ミリリットル~100ミリリットルの範囲で変化させたところ、気泡の大きさはおおよそ一定で、空気流量が増えるほど気泡の発生間隔が短くなった。
胸腔ドレナージユニット本体100の従来臨床実機を用いた実験でも同様であった。
【0059】
図7は、検証実験装置300を用いた実験での第3水だまり321における気泡の形状を回転楕円体で近似した場合の、空気流量と楕円の長径および短径との関係を示す図である。
図7のグラフの横軸は空気流量を示す。縦軸は、長径、短径それぞれの長さを示す。
線L111は、長径の長さを示す。線L112は、短径の長さを示す。
【0060】
線L111が示す長径の長さは、空気流量が増加するにつれて増加しているが、長径の長さに対する増加量は小さい。同様に、線L112が示す短径の長さは、空気流量が増加するにつれて増加しているが、短径の長さに対する増加量は小さい。
このように、空気流量が100ミリリットル毎分程度以下と比較的少ない領域では、長径および短径の長さが、空気流量にかかわらずおおよそ一定であることが見出された。
【0061】
図8は、検証実験装置300を用いた実験での第3水だまり321における気泡の形状を回転楕円体で近似した場合の、第3水だまり321における空気流量と気泡の体積との関係を示す図である。特に断らない限り、1つの気泡の体積を、単に気泡の体積と称する。
図8のグラフの横軸は、空気流量を示す。縦軸は、体積を示す。
線L121は、第3水だまり321における空気流量と気泡の体積との関係を示す。
第3水だまり321における気泡の形状を回転楕円体で近似した場合の体積Vは、式(1)のように示される。
【0062】
【0063】
ここで楕円の長軸の長さ、短軸の長さをそれぞれ2a、2bとする。従って、aは、楕円の長軸方向の半径を示す。bは、楕円の短軸方向の半径を示す。
図8に示される気泡の体積は、空気流量が増加するにつれて増加しているが、気泡の体積に対して増加量は小さい。
このように、空気流量が100ミリリットル毎分程度以下と比較的少ない領域では、気泡の体積が、空気流量にかかわらずおおよそ一定であることが見出された。
【0064】
図9は、検証実験装置300を用いた実験での第3水だまり321における空気流量と気泡の発生頻度との関係の例を示す図である。
図9のグラフの横軸は空気流量を示す。縦軸は気泡の発生頻度を示す。
図9では、空気流量と気泡の発生頻度との関係がプロットされている。
図9に示されるように、空気流量が100ミリリットル毎分程度以下と比較的少ない領域では、空気流量と気泡の発生頻度とがおおよそ比例することが見出された。
【0065】
図10は、検証実験装置300を用いた実験での第3水だまり321における空気流量と、胸腔ドレナージユニット1による空気流量算出値との関係の例を示す図である。
図10のグラフの横軸は空気流量を示す。縦軸は空気流量の算出値を示す。
図10では、空気流量の実際値と計算値との関係がプロットされている。また、線L131は、グラフ中で実測値と計算値とが等しい位置を示している。
【0066】
図10では、気泡の形状を回転楕円体で近似したことによる体積の誤差により、空気流量の実際値と算出値との間に差が生じているものの、算出値と実際値とがおおよそ比例する関係が見受けられる。
算出値に対して適切な校正を行うことで、空気流量を測定可能であることが確認された。
【0067】
図11は、検証実験装置300を用いた実験での第3水だまり321における気泡の大きさの変化の例を示す図である。
図11では、空気流量が30ミリリットル毎分である場合の例を示している。
図11のグラフの横軸は基準時からの経過時間を示す。縦軸は、気泡を横から見た場合の面積を示す。
図11では、経過時間が0.2秒から1.0秒の範囲が示されている。
【0068】
線L141は、経過時間と気泡の大きさ(気泡を横から見た面積)との関係を示している。また、気泡がノズル322の隙間から切り離されるタイミングを、図中に破線で示している。0.54秒頃、および、0.91秒頃に、気泡がノズル322の隙間から切り離されている。また、0.58秒頃に、水面に到達した気泡がはじけて面積が大幅に減少し、次の気泡の面積が観測されている。
図11に示されるように、第3水だまり321における気泡は、毎回ほぼ同じ大きさである。また、気泡の発生間隔はほぼ一定である。空気流量が30ミリリットル毎分~100ミリリットル毎分の範囲で変化しても、同様の傾向がみられた。
【0069】
図12は、検証実験装置300を用いた実験での第1容器320における気体の流量と差圧計361による圧力測定値との関係の例を示す図である。
図12のグラフの横軸は基準時からの経過時間を示す。縦軸は、圧力を示す。
図12では、経過時間が0.2秒から1.0秒の範囲が示されている。
【0070】
線L151は、空気流量が30ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L152は、空気流量が40ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L153は、空気流量が50ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L154は、空気流量が60ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L155は、空気流量が70ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L156は、空気流量が80ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L157は、空気流量が90ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。線L158は、空気流量が100ミリリットル毎分である場合の圧力測定値の例を示す。
【0071】
図12に示されるように、空気流量が大きくなるほど差圧計361による圧力測定値が大きくなるという関係が見出された。
また、
図12に示される各線の波形のように、気泡が発生することに圧力値にピークが現れることが見出された。
差圧計361による圧力測定値における傾向は、第1容器320内の圧力の影響を受けたものであり、胸腔ドレナージユニット本体100の圧力センサ152(
図2)を用いた場合も同様の傾向と考えられる。
【0072】
流量算出部291が、空気流量が大きくなるほど圧力センサ152による圧力測定値が大きくなるという関係に基づいて、圧力センサ152による圧力測定値(例えば圧力測定値の平均値)を空気流量に換算するようにしてもよい。
あるいは、流量算出部291が、気泡が発生することに圧力値にピークが現れることに基づいて、圧力のピークの発生間隔または単位時間当たりの発生数を検出して空気流量に換算するようにしてもよい。
【0073】
図13は、空気流量が30ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図13のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワー(振幅)を示す。線L161は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0074】
図14は、空気流量が40ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図14のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L162は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0075】
図15は、空気流量が50ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図15のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L163は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0076】
図16は、空気流量が60ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図16のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L164は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0077】
図17は、空気流量が70ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図17のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L165は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0078】
図18は、空気流量が80ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図18のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L166は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0079】
図19は、空気流量が90ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図19のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L167は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0080】
図20は、空気流量が100ミリリットル毎分の場合の、差圧計361による圧力測定値をフーリエ変換した例を示す図である。
図20のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワーを示す。線L168は、フーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0081】
図13~
図20に示すように、空気流量が多くなるほど最大振幅周波数が高くなることが見出された。このことは、
図12のグラフで空気流量が多くなるほどピークの間隔が狭くなっていることと整合する。ここでいう最大振幅周波数は、振幅が最も大きくなっている周波数である。空気流量が30ミリリットル毎分~90ミリリットル毎分の場合、第1モードの周波数(基本周波数)が最大振幅周波数となっている。ここでいう第1モードの周波数は、ピークを示す周波数のうち最も小さい周波数である。
一方、空気流量が100ミリリットル毎分の場合は、第3モードの周波数(周波数が小さい方から3番目のピークの周波数)が最大振幅周波数となっている。
【0082】
図13~
図20に示される最大振幅周波数は、空気流量が大きくなるほど大きくなっている。
そこで、流量算出部291が、圧力センサ152による圧力測定値のフーリエ変換に基づいて気体流量を算出するようにしてもよい。具体的には、フーリエ変換部292が、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換する。気泡発生頻度検出部293は、圧力測定値をフーリエ変換した結果(周波数情報)に基づいて、気泡の発生頻度を検出する。流量算出部291が、気泡の発生頻度を空気流量に換算する。
【0083】
図21は、空気流量が30ミリリットル毎分の場合の最大振幅周波数と気泡の発生頻度との関係の例を示す図である。
図21のグラフの横軸は周波数を示す。縦軸は、周波数毎のパワー(振幅)を示す。
図21のグラフは、
図13のグラフのうち周波数が0ヘルツ(Hz)~20ヘルツの部分を拡大して示している。線L171は、
図13の線L161と同じく空気流量が30ミリリットル毎分の場合に、差圧計361による圧力測定値のフーリエ変換にて得られた周波数とパワーとの関係を示す。
【0084】
また、
図21では、空気流量が30ミリリットル毎分の場合の気泡の発生頻度が線L172で示されている。
図21では、最大振幅周波数および気泡の発生頻度のいずれも約3ヘルツで一致している。空気流量が30ミリリットル毎分~100ミリリットル毎分の範囲で変化しても、同様に、最大振幅周波数と気泡の発生頻度とが一致した。
【0085】
図22は、空気流量と気泡の発生頻度と最大振幅周波数との関係の例を示す図である。
図22のグラフの横軸は空気流量を示す。縦軸は、気泡の発生頻度、および、最大振幅周波数を示す。
図22では、空気流量毎に、気泡の発生頻度が四角でプロットされ、最大振幅周波数が丸でプロットされている。
【0086】
図22の例で、最大振幅周波数と気泡発生頻度とが一致している。このように、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換して最大振幅周波数を求めることで、気泡発生頻度を検出できることが見出された。
また、最大振幅周波数および気泡発生頻度と、空気流量とが比例することが見出された。従って、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換して最大振幅周波数を検出することで空気流量を測定することができる。
【0087】
特に、空気流量が30ミリリットル毎分~90ミリリットル毎分の場合、
図13~
図19に示されるように、第1モードの周波数が最大振幅周波数となる。従って、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換して第1モードの周波数を検出することで空気流量を測定することができる。
【0088】
図23は、最大振幅周波数と気泡の体積との関係の例を示す図である。
図23のグラフの横軸は最大振幅周波数を示す。縦軸は気泡の体積を示す。線L181は、最大振幅周波数と気泡の体積との関係を示す。
図23の例で、最大振幅周波数が約4ヘルツ以下の領域では、気泡の体積はおおよそ一定である。最大振幅周波数が約4ヘルツより大きい領域では、最大振幅周波数が増加すると気泡の体積が微増している。この領域では、最大振幅周波数と気泡の体積との間に線形の関係があることが見出された。
【0089】
最大振幅周波数と気泡の体積との間に線形の関係があることを利用して、圧力センサ152による圧力測定値から気泡の体積を算出することが考えられる。
気泡の体積を算出できれば、気泡の体積と単位時間当たりの気泡の発生数とを乗算して気体流量を算出することができる。
図22を参照して説明したように、最大振幅周波数が気泡の発生頻度、すなわち単位時間当たりの気泡の発生数を示している。
【0090】
図24は、最大振幅周波数と気泡の体積との関係からの気体流量の算出例を示す図である。
図24は、
図23に示す最大振幅周波数と気泡の体積との関係から算出した気泡の体積に、気泡の発生頻度を乗算して得られた気体流量を示している。
図24の横軸は最大振幅周波数を示す。縦軸は、気体流量を示す。最大振幅周波数毎に、算出された気体流量がプロットされている。
【0091】
図24で、最大振幅周波数と気体流量(算出値)とがおおよそ線形の関係にある。これにより、最大振幅周波数(気泡の発生頻度)と気体流量との間に強い相関性があることが示されている。この相関性によれば、最大振幅周波数から気体流量を算出することができる。
【0092】
気泡の体積を算出する際、回転楕円体による近似に代えて直方体で近似するようにしてもよい。
図25は、気泡の体積を直方体に近似して算出した場合の、気体流量算出値の例を示す図である。
図25の横軸は気体流量の測定値を示す。縦軸は、気体流量の算出値を示す。
【0093】
図25で、気泡を直方体で近似して体積を算出した場合の気体流量の算出値と、そのときの気体流量の測定値の関係がプロットされている。
線L191は、気体流量の測定値と算出値とが一致する場合の、グラフにおける位置を示している。
図25の例で、気体流量の測定値に近い算出値を得られている。
【0094】
次に、
図26を参照して、胸腔ドレナージユニット1の動作について説明する。
図26は、胸腔ドレナージユニット1が気体流量を求める処理手順の例を示すフローチャートである。
図26の処理で、圧力センサ152が水封部130における圧力を測定し、通信部210が、圧力測定値を取得する(ステップS11)。
【0095】
次に、フーリエ変換部292が、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換する(ステップS12)。フーリエ変換部292は、例えばFFT(Fast Fourier Transform)によりフーリエ変換を行う。
そして、気泡発生頻度検出部293が、フーリエ変換部292によるフーリエ変換の結果に基づいて気泡の発生頻度を検出する(ステップS13)。具体的には、気泡発生頻度検出部293は、フーリエ変換の結果から最大振幅周波数を検出する。
図22に示されるように、最大振幅周波数は気泡の発生頻度に一致している。
【0096】
流量算出部291は、気泡の発生頻度から気体の流量を求める(ステップS14)。
図22に示されるように、気泡の発生頻度と気体の流量とは比例しており、流量算出部291は、気体の発生頻度に所定の係数を乗算することで、気体の流量を得られる。
ステップS14の後、
図26の処理を終了する。
【0097】
以上のように、流量算出部291は、水封部130に設けられた圧力センサ152、または吸引圧調整部140から上流側かつ水封部130よりも下流側に設けられた圧力センサ152による圧力測定値に基づいて、水封部130を通過した気体の流量を算出する。
ここで、患者の側から水封部130の第1水だまり131で隔てられた水封部130またはその下流側に圧力センサ152を設定すると、水封部130を通過した空気の流量(第1水だまり131を通過した空気の流量)と関連性の高い圧力値を得られることが見出された。この、水封部130を通過した空気の流量は、患者の胸腔から排出される空気の流量と同視できる。
【0098】
水封部130、または吸引圧調整部140から上流側かつ水封部130よりも下流側に圧力センサ152が設けられ、流量算出部291が、圧力センサ152による圧力測定値に基づいて気体流量を算出することで、流量算出部291は、圧力センサ152が、水封部130を通過した空気の流量と関連性の高い圧力値を測定できるとの知見に基づいて空気流量を算出することができる。この点で、流量算出部291は、患者の胸腔から排出される空気の流量を高精度に測定することができる。
また、流量算出部291が、圧力測定値に基づいて空気流量を算出することで、胸腔から胸腔ドレナージユニットへ放出される空気の量を、外部からの光に影響されずに検出することができる。
また、水封部130、または吸引圧調整部140から上流側かつ水封部130よりも下流側に圧力センサ152が設けられていることで、圧力センサ152と水封部130での気泡発生部との物理的距離が比較的短く、この点で、気泡発生による圧力変動の検出感度を確保して高精度な空気流量測定が可能となる。
【0099】
また、流量算出部291は、圧力センサ152による圧力測定値に基づいて、水封部130の第1水だまり131における気泡の発生頻度を検出し、検出した気泡の発生頻度に基づいて、水封部130を通過した気体の流量を算出する。
ここで、第1水だまり131における気泡の発生頻度と、第1水だまり131を通過する空気の流量との間には高い関連性があることが見出された。具体的には、気体の流量が例えば100ミリリットル毎分など比較的少ない場合、第1水だまり131における気泡の大きさは、流量にかかわらずおおよそ一定であり、従って、第1水だまり131における気泡の発生頻度と、第1水だまり131を通過する空気の流量とがおおよそ比例することが見出された。
【0100】
流量算出部291が、第1水だまり131における気泡の発生頻度に基づいて気体流量を算出することで、第1水だまり131を通過する空気の流量との間には高い関連性があるとの知見に基づいて空気流量を算出することができる。この点で、流量算出部291は、患者の胸腔から排出される空気の流量を高精度に測定することができる。
【0101】
また、流量算出部291は、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換して気泡の発生頻度を検出する。
上記のように、第1水だまり131における気泡の大きさは、流量にかかわらずおおよそ一定であり、従って、第1水だまり131における気泡の発生頻度と、第1水だまり131を通過する空気の流量とがおおよそ比例することが見出された。また、第1水だまり131における気泡の発生周期はおおよそ一定であることが見出された。
【0102】
流量算出部291が、圧力センサ152による圧力測定値をフーリエ変換することで、第1水だまり131における気泡の発生頻度と、第1水だまり131を通過する空気の流量とがおおよそ比例するとの知見、および、第1水だまり131における気泡の発生周期はおおよそ一定であるとの知見に基づいて、空気流量を算出することができる。この点で、流量算出部291は、患者の胸腔から排出される空気の流量を高精度に測定することができる。
【0103】
また、流量算出部291は、気泡の発生頻度と水封部を通過した気体の流量の関係を線形近似した近似式に基づいて、水封部130における気泡の発生頻度から、水封部130を通過した気体の流量を算出する。
上記のように、第1水だまり131における気泡の大きさは、流量にかかわらずおおよそ一定であり、従って、第1水だまり131における気泡の発生頻度と、第1水だまり131を通過する空気の流量とがおおよそ比例することが見出された。
【0104】
流量算出部291が、気泡の発生頻度と水封部を通過した気体の流量の関係を線形近似とすることで、第1水だまり131における気泡の発生頻度と、第1水だまり131を通過する空気の流量とがおおよそ比例するとの知見に基づいて、空気流量を算出することができる。この点で、流量算出部291は、患者の胸腔から排出される空気の流量を高精度に測定することができる。
【0105】
なお、制御部290の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0106】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 胸腔ドレナージユニット
100 胸腔ドレナージユニット本体
110 チューブ
120 排液部
130 水封部
131 第1水だまり
140 吸引圧調整部
141 第2水だまり
151 吸引ポンプ
152 圧力センサ
153 チェックバルブ
161 第1隔壁
162 第2隔壁
163 第3隔壁
164 第4隔壁
165 第5隔壁
200 気体流量算出装置
210 通信部
220 表示部
230 操作入力部
280 記憶部
290 制御部
291 流量算出部
292 フーリエ変換部
293 気泡発生頻度検出部