(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】太陽電池ユニット
(51)【国際特許分類】
H02S 30/00 20140101AFI20220208BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20220208BHJP
E01C 5/22 20060101ALI20220208BHJP
H02S 20/21 20140101ALI20220208BHJP
【FI】
H02S30/00
H02S20/10 L
E01C5/22
H02S20/21
(21)【出願番号】P 2018164335
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】596119571
【氏名又は名称】サン・シールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】米森 清祥
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-193860(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107749732(CN,A)
【文献】特開2013-4500(JP,A)
【文献】特開2011-77130(JP,A)
【文献】特開2012-57341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0301355(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
H02S 20/21
E01C 5/00- 5/22
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を含む地表、又は、地表の凹部に単独で又は複数並べて設置される太陽電池ユニットであって、
一つの前記太陽電池ユニットは、
天側に位置する上面(31)、地側に位置する下面(32)、正面(33)、背面(34)、左側面(35)及び右側面(36)からなる直方体状に形成され、左側面及び右側面に直交する方向をX方向と定義し、正面及び背面に直交する方向をY方向と定義すると、下面におけるX方向に互いに異なる位置に正電極(37)及び負電極(38)が露出し、太陽光を受けて発電可能な太陽電池モジュール(30)と、
前記太陽電池モジュールの地側に、X方向において前記太陽電池モジュールの両側に延伸するように敷設され、前記太陽電池モジュールの少なくとも前記正電極及び前記負電極に対応する位置に複数の配線溝(11~14)が凹設される底部ブロック(10)と、
前記配線溝に収容され、前記正電極及び前記負電極にそれぞれ接触し通電される複数の導電バー(21、22)と、
前記太陽電池モジュールのX方向の両側で前記底部ブロックに載置され、前記太陽電池モジュールを挟むように固定する一対のモジュール固定用ブロック(41、42)と、
前記太陽電池モジュールの上面を覆い、太陽光を透過可能であり、X方向の地側の幅(W2)は天側の幅(W1)よりも大きく、且つ、前記太陽電池モジュールの上面の幅(W0)を含むように形成された強化ガラス(50)と、
前記強化ガラスのX方向の両側で一対の前記モジュール固定用ブロックに載置され、前記強化ガラスをX方向に挟み、且つ天側から押さえるように固定する一対の強化ガラス固定用ブロック(61、62)と、
少なくとも前記強化ガラス固定用ブロック及び前記モジュール固定用ブロックに天地方向に形成されたボルト穴(65、45)に挿通される複数のボルト(75)と、
を備え、
前記強化ガラス及び前記太陽電池モジュールを天側から順に分解可能、又は、前記太陽電池モジュールを正面側からY方向に沿ってスライドさせて分解可能である太陽電池ユニット。
【請求項2】
前記底部ブロックは、前記太陽電池モジュールの前記正電極及び前記負電極に対応する位置以外にさらに他の配線溝が凹設されており、
前記配線溝のうち配線に使用されない箇所に絶縁バー(25)が収容される請求項1に記載の太陽電池ユニット。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールは、対向する一対の前記モジュール固定用ブロックに嵌合する凹凸部(391~393)が組立方向の中心に対して非対称に設けられている請求項1または2に記載の太陽電池ユニット。
【請求項4】
前記ボルトの軸に直交する方向から前記ボルトの外周面に向かって締め込まれ、前記ボルトを固定する留めネジ(77)をさらに備える請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽電池ユニット。
【請求項5】
前記モジュール固定用ブロックは、ジャッキアップボルト(87)及びアイボルト(88)が螺合可能な雌ねじ穴(48)が形成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールと設置用のブロック等とがユニット化された太陽電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、太陽電池モジュールを道路上に設置し、道路に照射される太陽エネルギーを発電に利用する技術が開示されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、屋根等に設置される一般的な太陽電池モジュールにおいて、太陽電池モジュールを支持部材の嵌合部にスライド可能に設け、リサイクル時の脱着を容易にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-38228号公報
【文献】特開2015-223012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽電池モジュールを道路上に設置する場合、通行車両等の重量に耐える構造とする必要がある。また、太陽電池モジュールや周辺部品が破損した場合い容易に交換可能であることが求められる。しかし特許文献1には、道路上に設置される太陽電池モジュールについて、故障時の部品交換方法に関し何ら言及されていない。また、特許文献2のリサイクル技術は、屋根等に取り付けられる一般的な太陽電池モジュールを想定したものであり、強度要求の高い道路設置用の太陽電池モジュールに、そのまま適用することは難しい。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、道路上に設置可能な強度を有し、且つ、部品交換が容易な太陽電池ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、道路を含む地表、又は、地表の凹部に単独で又は複数並べて設置される太陽電池ユニットである。一つの太陽電池ユニットは、太陽電池モジュール(30)と、底部ブロック(10)と、複数の導電バー(21、22)と、一対のモジュール固定用ブロック(41、42)と、強化ガラス(50)と、一対の強化ガラス固定用ブロック(61、62)と、複数のボルト(75)と、を備える。
【0008】
太陽電池モジュール(30)は、天側に位置する上面(31)、地側に位置する下面(32)、正面(33)、背面(34)、左側面(35)及び右側面(36)からなる直方体状に形成される。左側面及び右側面に直交する方向をX方向と定義し、正面及び背面に直交する方向をY方向と定義すると、太陽電池モジュールは、下面におけるX方向に互いに異なる位置に正電極(37)及び負電極(38)が露出し、太陽光を受けて発電可能である。
【0009】
底部ブロックは、太陽電池モジュールの地側に、X方向において太陽電池モジュールの両側に延伸するように敷設され、太陽電池モジュールの少なくとも正電極及び負電極に対応する位置に複数の配線溝(11~14)が凹設される。複数の導電バーは、配線溝に収容され、正電極及び負電極にそれぞれ接触し通電される。
【0010】
一対のモジュール固定用ブロックは、太陽電池モジュールのX方向の両側で底部ブロックに載置され、太陽電池モジュールを挟むように固定する。
【0011】
強化ガラスは、太陽電池モジュールの上面を覆い、太陽光を透過可能であり、X方向の地側の幅(W2)は天側の幅(W1)よりも大きく、且つ、太陽電池モジュールの上面の幅(W0)を含むように形成されている。
【0012】
一対の強化ガラス固定用ブロックは、強化ガラスのX方向の両側で一対のモジュール固定用ブロックに載置され、強化ガラスをX方向に挟み、且つ天側から押さえるように固定する。複数のボルトは、少なくとも強化ガラス固定用ブロック及びモジュール固定用ブロックに天地方向に形成されたボルト穴(65、45)に挿通される。
【0013】
そして、この太陽電池ユニットは、強化ガラス及び太陽電池モジュールを天側から順に分解可能、又は、太陽電池モジュールを正面側からY方向に沿ってスライドさせて分解可能である。
【0014】
本発明の太陽電池ユニットは、太陽電池モジュールの上面を強化ガラスが覆うことで、強化ガラスに加わる荷重、例えば通行車両の重量が太陽電池モジュールにかかることが防止される。また、太陽電池モジュール及び強化ガラスのX方向の両側は、それぞれ固定用ブロックで固定されるため、振動や外部の衝撃等による破損が防止される。
【0015】
また、太陽電池モジュールへの通電は、太陽電池モジュールの下面に露出する正負電極と導電バーとの接触により実現される。コネクタ等の着脱作業が不要であるため、組立及び分解が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】太陽電池ユニットを用いた太陽光発電システムの全体構成図。
【
図2】(a)太陽電池ユニットの組立状態、(b)太陽電池モジュールの構成を示す斜視図。
【
図3】底面ブロックの(a)平面図、(b)正面図。
【
図4】底面ブロックの配線溝に導電バーを収容した状態の(a)平面図、(b)正面図。
【
図5】(a)直線型導電バー、(b)L字型導電バー、(c)絶縁バーの斜視図。
【
図6】太陽電池モジュールの誤組立を防止する構造例であり、(a)天側から組み立てる例の平面図、(b)正面側から組み立てる例の正面図。
【
図7】留めネジによるボルトの固定構造を示す(a)VIIa-VIIa線断面図、(b)正面図。
【
図8】モジュール固定用ブロックの(a)ジャッキアップ、(b)吊り下げ方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(一実施形態)
以下、太陽電池ユニットの一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の太陽電池ユニットは、太陽電池モジュールと、当該モジュールを設置するためのブロック等とがユニット化されたものである。この太陽電池ユニットは、道路等の地表に単独で又は複数並べて設置される。
【0018】
最初に、太陽電池ユニット80を用いた太陽光発電システムの全体構成について、
図1を参照して説明する。
図1の例では、複数の太陽電池ユニット80が並べて、地表Gdの凹部Dに設置されている。地表Gdには、公共の道路、公園、駐車場、私有地の地面等が含まれる。また、道路等に設置される場合には、太陽電池ユニット80の高さ相当の凹部Dに設置することで、ユニット上面と周辺との段差を無くすことが好ましい場合がある。
【0019】
太陽電池ユニット80は、太陽電池モジュール30の周囲を各種ブロックが囲むように構成されており、その詳細は
図2を参照して説明する。各太陽電池ユニット80の太陽電池モジュール30により発電された直流電力は、制御ボックス91を経由して蓄電池95に充電される。
【0020】
制御ボックス91にはユニット80毎の電力回路が並列に設けられている。各電力回路には、正極線Lpと負極線Lnとに跨って接続される直流開閉器(図中「SW」)92、バイパスダイオード93、及び、正極線Lpに流れる電流を検出する電流計94等が設けられている。蓄電池95に充電された直流電力は、街灯等の直流機器に供給されたり、パワーコンディショナー(図中「PC」)で交流電力に変換され交流機器に供給されたりする。
【0021】
ところで、屋根等に設置される場合に比べて道路等の地表に設置される場合、太陽電池ユニット80には、通行車両の重量等に耐える強度が要求される。また、太陽電池モジュール30等が故障して部品を交換する場合に、ユニットごと交換するのでなく、故障した部品のみを容易に交換可能であることが求められる。本実施形態の太陽電池ユニット80は、そのような要求に対して考案されたものである。
【0022】
次に
図2(a)を参照し、一つの太陽電池ユニット80の構成について説明する。おおまかに太陽電池ユニット80は、上断、中段、下段の三段構成であり、下段は底部ブロック10により構成される。中段は、中央に太陽電池モジュール30が設置され、その両側に一対のモジュール固定用ブロック41、42が設置される。上段は、中央に強化ガラス50が設置され、その両側に一対の強化ガラス固定用ブロック61、62が設置される。
【0023】
太陽電池モジュール30は、太陽光を受けて発電可能な主要機能部品である。ここで
図2(b)を参照し、位置関係を説明するための用語を定義する。太陽電池モジュール30は、天側に位置する上面31、地側に位置する下面32、正面33、背面34、左側面35及び右側面36からなる直方体状に形成される。なお、「直方体状」とはあくまで全体の概略形状を示すものであり、局所的な凹凸、段差、斜面等が存在してもかまわない。
【0024】
左側面35及び右側面36に直交する方向(すなわち幅方向)をX方向」と定義し、正面33及び背面34に直交する方向(すなわち奥行き方向)を「Y方向」と定義する。なお、高さ方向はZ方向に相当するが、本明細書では、基本的に高さ方向を「天地方向」と記す。なお、X方向及びY方向が含まれる「水平方向」や「天地方向」の用語は厳密な水平、天地を示すものと限らず、柔軟に解釈される。例えば太陽電池ユニット80は傾斜面の道路に設置されてもよく、その場合、道路の基準面が水平面となる。
【0025】
太陽電池モジュール30は、下面32のX方向に互いに異なる位置に正電極37及び負電極38が露出している。底部ブロック10は、太陽電池モジュール30の地側に、X方向において太陽電池モジュール30の両側に延伸するように敷設される。配線溝11~14については、
図3、
図4を参照して後述する。一対のモジュール固定用ブロック41、42は、太陽電池モジュール30のX方向の両側で底部ブロック10に載置され、太陽電池モジュール30を挟むように固定する。
【0026】
強化ガラス50は、太陽電池モジュール30の上面31を覆い、太陽光を透過可能である。また、強化ガラス50は、通行車両等の重量に耐える強度を有する材料で構成されている。正面から視て強化ガラス50は、下辺が上辺より長い等脚台形を呈している。すなわち、X方向の地側の幅W2は、天側の幅W1よりも大きい。且つ、X方向の地側の幅W2は、太陽電池モジュール30の上面31の幅W0を含むように形成されている。
【0027】
また、強化ガラス50の底面と太陽電池モジュール30の上面31との間には、寸法ばらつきによって突き当て状態となった場合に、強化ガラス50が受けた荷重が太陽電池モジュール30に伝わることを避けるため、微小な隙間Δが形成されることが好ましい。
【0028】
一対の強化ガラス固定用ブロック61、62は、強化ガラス50のX方向の両側で一対のモジュール固定用ブロック41、42に載置され、強化ガラス50をX方向に挟み、且つ天側から押さえるように固定する。つまり、
図2に例示する強化ガラス固定用ブロック61、62は、正面から視て、上辺が下辺に対し内側に延伸した台形を呈し、強化ガラス50の両側面に斜め上方から被さるように配置されている。したがって、通行車両による振動等により強化ガラス50が上方に跳ね上がることが防止される。なお、他の実施形態では、強化ガラス50及び強化ガラス固定用ブロック61、62の境界は単一の傾斜面でなく、複数の傾斜面や段差面を組み合わせて構成されてもよい。
【0029】
強化ガラス固定用ブロック61、62には、図示しないボルトが挿通される座繰り穴64及びボルト穴65が形成されている。ボルトによる固定構造に関しては、
図7を参照して後述する。
【0030】
続いて、
図3に示すように、底部ブロック10の上面には配線溝11~14が格子状に凹設されている。配線溝11、12はY方向に延び、配線溝13、14は、配線溝11、12と交差してX方向に延びるように形成されている。各配線溝11~14の幅及び深さは同等であり、底面は平坦である。
図4に示すように、配線溝11、12には、それぞれ導電バー21、22が収容されている。配線溝13、14のうち配線溝11、12と交差する箇所以外の部分には、分断された絶縁バー25が収容されている。
【0031】
配線溝11、12は、それぞれ、太陽電池モジュール30の正電極37及び負電極38のX方向の位置に対応する位置に形成されている。太陽電池モジュール30を底部ブロック10の上面に載せたとき、正電極37は、配線溝11に収容された正極用導電バー21の上面に当接し、負電極38は、配線溝12に収容された負極用導電バー22の上面に当接する。正電極37及び負電極38の当接部は、確実に当接するよう突起状等に形成されることが好ましい。
【0032】
導電バー21、22は、銅等の導電性金属で形成され、正電極37及び負電極38にそれぞれ接触し通電される。組立時の極性の間違いを防止するため、例えば正極用導電バー21には「+」、負極用導電バー22には「-」の文字が表示されたり、異なる着色がされたりすることが好ましい。また、配線溝13、14のうち配線に使用されない箇所に、樹脂や炭素等により形成される絶縁バー25が収容されることで、配線間の異物や漏水等による短絡を防止することができる。
【0033】
図5(a)、(b)に示すように、導電バーは、直線型導電バー21、22の他、配線を直交方向に接続するL字型導電バー23等が用意されており、配線経路に応じて組み合わせて使用される。導電バー21~23の端部には金属製の弾性部24が設置されており、隣接する導電バーに弾性部24が当接することにより電気的接触が保証される。絶縁バーは、
図5(c)に示すような単純な直線型のものが一種類あればよい。
【0034】
次に
図6に、太陽電池モジュール30を前後反対に間違えて取り付けることを防止する構造例を示す。
図6(a)に示すように天側から組み立てる例では、太陽電池モジュール30とモジュール固定用ブロック41、42との対向面に、天地方向に延びる凹凸部391、392が形成されている。凹凸部391、392は、例えば太陽電池モジュール30側のリブと、当該リブが嵌合するモジュール固定用ブロック41、42側の溝とで構成される。凹凸部391、392は、太陽電池モジュール30の中心Oに対し回転非対称に設けられており、前後を反対に間違えた場合、組み立てることができない。
【0035】
図6(b)に示すように正面側から組み立てる例では、太陽電池モジュール30と、片側のモジュール固定用ブロック41との対向面に、Y方向に延びる凹凸部393が形成されている。片側のみに非対称に凹凸部393を形成することで、同様に誤組立を防止することができる。
【0036】
次に
図7を参照し、ブロック同士の固定構造について説明する。ここでは、代表として
図2の左側の強化ガラス固定用ブロック61及びモジュール固定用ブロック41の符号を用いる。強化ガラス固定用ブロック61には、天地方向にボルト75の胴部が挿通されるボルト穴65が形成されている。また、ボルト穴65の上部には、ボルト75のキャップ部が収容される、ボルト穴65より径の大きい座繰り穴64が形成されている。
【0037】
モジュール固定用ブロック41には、ボルト穴65に連通するボルト穴45が形成されている。一般的なボルト締結構造では、モジュール固定用ブロック41に雌ねじ穴を形成し、ボルト75を雌ねじ穴に螺合する。その場合、ボルト75の天側においてキャップに六角レンチ等の工具を装着するスペースが必要となる。それに対し本実施形態では、ボルト75の天側に作業スペースが確保できない場合にも適用可能な固定構造を提案する。
【0038】
図7に示すように、ボルト穴45は雌ねじの形成されていない単純な穴でよい。また、モジュール固定用ブロック41の正面からボルト穴45に向かって水平に留めネジ穴47が形成されている。留めネジ穴47には雌ねじが螺設されている。ボルト75の先端付近には、ボルト穴65に挿入したときの留めネジ穴47の高さに合わせて、外周溝75gが形成されている。留めネジ77は、先端部外径がボルト75の外周溝75gに係合するように留めネジ穴47に螺着され、ボルト75を固定する。さらに、留めネジ77の先端面が外周溝75gの底面に押し付けられてもよい。
【0039】
こうして、ボルト75及び留めネジ77により、強化ガラス固定用ブロック61がモジュール固定用ブロック41に固定される。この構造では、モジュール固定用ブロック41の正面側で留めネジ77を締める作業ができればよい。なお、モジュール固定用ブロック41と強化ガラス固定用ブロック61とは離れない程度に固定されればよく、大きな締結力は必要ない。
【0040】
また、モジュール固定用ブロック41と底部ブロック10との固定については、例えば底部ブロック10の上面から突出する連結ピン15をネジ結合等により設け、連結ピン15の先端付近にボルト75と同様の外周溝15gを形成する。そして、モジュール固定用ブロック41に形成された別の留めネジ穴47に、別の留めネジ77の先端部外径が連結ピン15の外周溝15gに係合するように螺着される。こうして、モジュール固定用ブロック41が底部ブロック10に固定される。
【0041】
次に
図8を参照し、モジュール固定用ブロック41、42と底部ブロック10との分解作業について説明する。ここでは、代表として
図2の左側のモジュール固定用ブロック41の符号を用いる。モジュール固定用ブロック41には、天地方向に貫通する雌ねじ穴48が、好ましくはバランスの良い位置に2箇所形成されている。雌ねじ穴48は、
図7のボルト穴45と兼用されてもよく、別に形成されてもよい。
【0042】
長期間、地中に埋設された後、モジュール固定用ブロック41と底部ブロック10との界面は錆やヤニで貼り付いており、容易に剥がれない可能性がある。そこで、
図8(a)に示すように、モジュール固定用ブロック41の高さより長いネジ長を有するジャッキアップボルト87を2箇所の雌ねじ穴48に、先端が底部ブロック10の上面に当接するまでねじ込む。そして、2箇所のジャッキアップボルト87をさらにバランス良く締め込むことで、界面の貼り付きを引き剥がし、底部ブロック10との縁を切る。縁が切れたら、ジャッキアップボルト87を緩めて抜く。
【0043】
その後、
図8(b)に示すように雌ねじ穴48にアイボルト88を取り付け、ワイヤを架けてクレーン等を用いて引き上げる。こうして、モジュール固定用ブロック41を底部ブロック10から安全に分解することができる。なお、分解作業時以外は雌ねじ穴48にプラグを取り付けることで、異物の侵入防止やねじ山の保護をすることができる。
【0044】
その他、特に太陽電池ユニット80が公共の道路等に設置される場合、不特定者による盗難やいたずらを受けるおそれがある。そこで、外部から操作可能な箇所は、特殊工具でしか緩められないボルト等を使用することが好ましい。
【0045】
(効果)
(1)この太陽電池ユニット80は、太陽電池モジュール30の上面31が強化ガラス50で覆われる。特に、強化ガラス50のX方向の地側の幅W2は、太陽電池モジュール30の上面31の幅W0を含むように形成されているため、上面31の全部が強化ガラス50に覆われることが保証される。また、強化ガラス50の底面と太陽電池モジュール30の上面31との間に微小な隙間Δが形成されることで、強化ガラス50が受けた荷重が太陽電池モジュール30に伝わることが防止される。
【0046】
(2)太陽電池モジュール30は、X方向の両側がモジュール固定用ブロック41、42で固定され、強化ガラス50は、X方向の両側が強化ガラス固定用ブロック61、62で固定されている。したがって、振動や外部の衝撃から太陽電池モジュール30及び強化ガラス50が適切に保護され、破損が防止される。
【0047】
(3)太陽電池モジュール30と制御ボックス91との間の通電に導電バー21、22が用いられるため、一般のケーブルを用いる場合に比べて断線のおそれが少ない。また、太陽電池モジュール30の下面32に露出した正負電極37、38を導電バー21、22に直接接触させるため、コネクタ等の着脱作業が不要で、組立及び分解が容易となる。さらに、配線溝11~14のうち配線に使用されない箇所に絶縁バー25が収容されることで、絶縁性が向上する。
【0048】
(4)太陽電池モジュール30は、対向する一対のモジュール固定用ブロック41、42に嵌合する凹凸部391~393が組立方向の中心に対して非対称に設けられている。これにより、太陽電池モジュール30を前後反対に組み立てることが防止される。
【0049】
(5)ブロック同士の固定構造として、ボルトを直接締結するのでなく、ボルト穴65に挿通されたボルト75の外周溝に側方から留めネジ77を係合させることで固定する。したがって、ボルト75のキャップ側に作業スペースが確保できない場合でも、留めネジ77を回転させることで、容易に組立、分解作業を行うことができる。
【0050】
(6)モジュール固定用ブロック41、42は、ジャッキアップボルト87及びアイボルト88が螺合可能な雌ねじ穴48が形成されているため、底部ブロック10との分解作業や吊り下げ作業を容易に行うことができる。
【0051】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
10・・・底部ブロック、 11~14・・・配線溝、
21、22・・・導電バー、
30・・・太陽電池モジュール、
31・・・上面、 32・・・下面、 33・・・正面、 34・・・背面、
35・・・左側面、36・・・右側面、37・・・正電極、38・・・負電極、
41、42・・・モジュール固定用ブロック、 45・・・ボルト穴
50・・・強化ガラス、
61、62・・・強化ガラス固定用ブロック、
65・・・ボルト穴、 75・・・ボルト、
80・・・太陽電池ユニット。