(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】質量分析のためのシリンジ供給を有する超清浄オートサンプラ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20220208BHJP
G01N 1/34 20060101ALI20220208BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20220208BHJP
【FI】
G01N1/00 101L
G01N1/00 101G
G01N1/34
G01N27/62 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020017586
(22)【出願日】2020-02-05
(62)【分割の表示】P 2017509763の分割
【原出願日】2015-08-19
【審査請求日】2020-03-05
(32)【優先日】2014-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516257707
【氏名又は名称】エレメンタル・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アール・ウィーデリン
(72)【発明者】
【氏名】オースティン・シュルツ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0053522(US,A1)
【文献】国際公開第99/061905(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0196282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 27/62
G01N 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の動作位置と第2の動作位置とを切り替え可能な第1のバルブ
(114)と、
前記第1のバルブに結合された第1の流体保持配管
(206a)と、
前記第1のバルブに結合された第2の流体保持配管
(206b)と、
前記第1のバルブと流体連結され、第1の動作位置と第2の動作位置とを切り替え可能な第2のバルブ
(122)と、
前記第1のバルブ
の前記第2の動作位置と前記第2のバルブ
との間に結合された第1の流体配管
(208a)と、
前記第1のバルブ
の前記第2の動作位置と前記第2のバルブ
との間に結合された第2の流体配管
(208b)と、
前記第1及び第2の流体保持配管(206a、206b)を介して前記第1のバルブに接続されている、第1及び第2のシリンジポンプ
(112a、112b)を含む複数のシリンジポンプと、
を備えるシステムであって、
前記第1のバルブは、前記第1の動作位置で作動流体源(118)と接続され、
前記第1及び第2のバルブの各々が前記第2の動作位置にあるとき、前記第1のシリンジポンプは前記第1の流
体配管
(208a)に流体連結され、
前記第1のバルブが前記第1の動作位置にあるとき、前記第1のシリンジポンプは前記第1の流
体配管に流体連結されず、
前記第1及び第2のバルブの各々が前記第2の動作位置にあるとき、前記第2のシリンジポンプは前記第2の流
体配管
(208b)に流体連結され、
前記第1のバルブが前記第1の動作位置にあるとき、前記第2のシリンジポンプは前記第2の流
体配管
(208b)と流体連結されず、
前記第
1のバルブが作動流体を引き込むための前記第1の動作位置にあるとき、前記第1及び第2のシリンジポンプは
前記作動流体源
(118、204)と流体連結され、
前記第1のシリンジポンプは、前記第1及び第2のバルブの各々が前記第2の動作位置にあるとき、前記引き込まれた作動流体を前記第1の流体配管
(208a)に導入するように構成され、
前記第2のシリンジポンプは、前記第1及び第2のバルブの各々が前記第2の動作位置にあるとき、前記作動流体を前記第2の流体配管
(208b)に導入するように構成される、
システム。
【請求項2】
前記第1及び第2のバルブの間の前記第1の流体配管に結合された第1の精製カラムと、
前記第1及び第2のバルブの間の前記第2の流体配管に結合された第2の精製カラムと、
のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2の精製カラムのうちの1つ以上は、イオン交換樹脂である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のバルブと結合された第1のローダをさらに備え、
前記第1のローダは、前記第1のバルブが前記
作動流体源
(118)から前記第1の流体保持配管に流体を引き込むための前記第1の動作位置にあるとき、前記第1の流体保持配管及び
前記作動流体源と流体連結される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のローダはポンプを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のローダは真空源を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のバルブと結合された第2のローダをさらに備え、
前記第2のローダは、前記第1のバルブが前記
作動流体源
(118)から前記第2の流体保持配管に流体を引き込むための前記第1の動作位置にあるとき、前記第2の流体保持配管と流体連結している、
請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のバルブと流体連結された第3のバルブをさらに備え、
前記第1及び第2の流体保持配管の各々は、前記第1及び第2のバルブの間で結合され、
前記第3のバルブは、第1の動作位置及び第2の動作位置を切り替え可能である、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
誘導結合プラズマ(ICP)分析法は、液体試料中の痕跡元素濃度及び同位体比の定量に一般的に用いられる分析技術である。ICP分析法は、約7000Kの温度に到達する、電磁気的に生成された、不完全電離アルゴンプラズマを採用する。試料がプラズマに導入されると、高温は、試料原子をイオン化し又は試料原子に光を放射させる。各化学元素は、特性質量又は発光スペクトルを生じるので、放出質量又は放射光のスペクトルを測定することにより、原試料の元素構成の定量が可能になる。
【0002】
試料導入システムは、分析のために、液体試料をICP分析機器(例えば、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP/ICP-MS)、誘導結合プラズマ原子発光分析装置(ICP-AES)、又は類似のもの)内に導入するために採用され得る。例えば、試料導入システムは、容器から一定分量の液体試料を取り出し、ICP分析機器によってプラズマ中でイオン化するのに適する多分散エアロゾルに転換する噴霧器に、一定分量の液体試料を搬送し得る。エアロゾルは、その後、より大きいエアロゾル粒子を除去するためにスプレチャンバ内で分類される。スプレチャンバから離れるとすぐに、エアロゾルは、分析のために、ICP-MS又はICP-AES機器のプラズマトーチアセンブリによって、プラズマ内に導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
システムは、第1のバルブ、及び第1のバルブと流体連結する第2のバルブを含むバルブアセンブリを含み得る。バルブアセンブリは、一つ又はそれ以上のシリンジポンプによって促進される作動流体の流れを介して、試料、化学物質(例えば、酸、塩基、有機化学物質等)及び標準物質のうちの一つ又はそれ以上を供給するように構成され得る。さらに、試料、化学物質及び標準物質のうちの一つ又はそれ以上は、試料、化学物質及び標準物質のうちの一つ又はそれ以上の供給の間に、一つ又はそれ以上のシリンジポンプからの物理的分離を維持し得る。
【0004】
この概要は、以下、詳細な説明に更に記載する簡略化した形態で構想の選択を導入するために提供される。この概要は、主張する発明の要旨についての重要な特徴又は本質的な特徴を特定するように意図するものでもなく、主張する発明の要旨の範囲を判断する際の補助として用いることを意図するものでもない。
【0005】
詳細な説明を添付の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示の例示の実施形態に係る、(例えば、質量分析システムに)浄化された流体を供給するように構成されるシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の例示の実施形態に係る、浄化された流体をシステムの部分に導入し、浄化された流体をシステム内部に作動流体として導入するように構成されるシステムの概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の例示の実施形態に係る、ICP-MSによる、高純度化学物質中の痕跡金属の定量に、超清浄な希釈剤及び(例えば、酸性の)化学物質の添加物(spikes)のインライン調合を提供するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
試料導入システムは、分析のために、液体試料をICP分析機器に導入するために採用され得る。例えば、バルブ注入と組み合わさった複数のインラインシリンジは、第1のバルブループ内に充填された試料を、制御された速度で噴霧器に自動供給し、任意に、他の希釈又は標準物質の添加(spiking)を実行するために用いられ得る。例示は、分析前の試料の自動インライン希釈、内部標準溶液の自動追加、及び、追加の方法又は他の適用例に対する、試料への標準溶液又は他の溶液の一連の添加を含む。極端に低い、例えば、5ppt(1兆分の5)より低い、レベルでの金属の分析に対して、一つ又はそれ以上のシリンジポンプによって送り込まれるシリンジ流体中の汚染物質の存在は、測定において誤差を引き起こし得る。さらに、標準物質又は添加物として用いるある溶液は、システム内部のある領域に接触することが許容されると、試料導入システムの部分に影響を及ぼし得る。例えば、精製カラム(例えば、高純度水等の作動流体から不純物を除去するために、イオン交換樹脂を採用するカラム)は、酸性溶液にさらされると捕捉された不純物を放出し得る。酸性溶液を標準物質又は添加溶液として用いると、酸性溶液は、捕捉された不純物がシステム内に放出されることを引き起こし、誤差を導入する結果となり得る。さらに、高純度化学物質中の痕跡材料(例えば、痕跡金属)を分析するとき、任意の汚染された流体を導入することで、誤った試験条件を提供してしまう。例えば、制御された流体の供給のために用いられるシリンジポンプは、異なる流体がシリンジポンプと接触することが許容されると、汚染物を導入してしまう。
【0008】
結果的に、超高純度水等の浄化された流体を供給するシステム及び方法が記載され、このとき、システムは、試料溶液、標準溶液、及び化学(例えば、酸性の、塩基性の、有機等の)溶液の、シリンジポンプからの物理的分離を維持し、ここで、シリンジポンプは、試料溶液、標準溶液、及び化学溶液を流動するシステムを介して作動流体を流動するように利用されるものである。本明細書に記載するシステム及び方法は、ICP-MSによる高純度化学物質中の痕跡材料(例えば、痕跡金属)の定量に、超清浄な希釈剤及び化学物質の添加物のインライン調合を提供する、シリンジ駆動のシステム及び方法を含み得る。
【0009】
概略、
図1を参照すると、浄化された流体を供給するように構成された例示のシステム100が記載される。システム100は、流体を浄化するように(例えば、脱イオン(DI)水を生成するように)構成されたクリーナ(例えば、ポンプ104、及び陽イオン交換カラム等のイオン交換カラム106)を含む。ポンプ104及びイオン交換カラム106は、第1の位置に配置される。システム100は、第1の位置のクリーナと第2の位置との間で、浄化された流体を循環させるように構成されたループ102も含み、第2の位置は、第1の位置から隔絶してもよく(例えば、第1の位置から数メートル、第1の位置から数メートル以上等)、又は第1の位置と同じ位置であってもよい。システム100は、さらに、第2の位置に接続部(例えば、連結管110)を含む。いくつかの実施形態において、ループ102は、T字型接続部108を介して連結管110に接続される。連結管110は、例えば、DI水を質量分析装置に供給するために、質量分析装置に接続するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、連結管110は一つ又はそれ以上のシリンジポンプ112に接続され、シリンジポンプ112は、DI水、並びに場合によっては希釈剤及び/又はキャリア116、並びに内部標準溶液118等を、質量分析装置に供給するように構成され得る。例えば、バルブ114(例えば、回転バルブ)は、シリンジポンプ112と結合される。いくつかの実施形態において、一つ又はそれ以上の精製カラム(例えば、追加の陽イオン交換カラム等の追加のイオン交換カラム120等)は、バルブ114と別のバルブ122(例えば、第2の回転バルブ)との間に配置され、別のバルブ122は、試験管に含まれる複数の試料から試料を自動収集するために、オートサンプラ124等のサンプラアセンブリに接続され得る。いくつかの実施形態において、システム100は、ナトリウム(Na)等の汚染物質元素の1pptより低い濃度を有するDI水を、供給するために用いられ得る。
【0011】
システム100は、シリンジ流体のソースを選択することができる、複数の位置を有するスイッチングバルブも含み得る。シリンジ流体は、シリンジ流体中の汚染物質が精製カラム上でリトレインされることを許容するpH又はイオン強度を有し得る。スイッチングバルブは、また、精製カラムを再生成することができるpH又はイオン強度を有する第2のシリンジ流体を選択してもよい。
【0012】
システム100は、誘電結合プラズマ(ICP)トーチ132に、試料ガス、オートサンプラ124からの試料、内部標準物質118、キャリア116、DI水等を供給するための、サイクロニックスプレチャンバ130と結合する噴霧器128も含み得る。バルブ122は、オートサンプラ124、噴霧器128、及びバルブ114と結合され得る。バルブ122は、オートサンプラ124からの試料、内部標準物質118、キャリア116、及び/又はDI水を受け取り、それらを噴霧器128に供給し得る。バルブ122は、呼び流体等を保持するために試料ループ126とも結合され得る。蠕動ポンプは、噴霧器128から廃棄物を排出するために用いられ得る。例えば、蠕動ポンプは、噴霧器128のドレインチャンバに接続され得る。
【0013】
図2を参照して、浄化された流体をシステム100の部分に導入し、浄化された流体をシステム100内部に作動流体として導入する、供給部200を示す。浄化された流体は、例えば、ナトリウム(Na)等の汚染物質元素の1pptより低い濃度を有する脱イオン水等の超高純度水を含み得る。供給部200は、(符号112a,112b,112c,112dが付された4つのシリンジポンプを示す)複数のシリンジポンプ112と流体連結されたバルブ202(例えば、回転バルブ)を含む。バルブ202は、浄化された流体のソース204とも流体連結される。実施において、浄化された流体のソース204は、
図1に示すイオン交換カラムによって浄化される流体である。実施において、浄化された流体のソース204は、浄化された流体の貯留槽である。実施において、システム100の一つ又はそれ以上の精製カラムを再生成することができるpH又はイオン強度を有する流体は、システムの一つ又はそれ以上の部分のあらゆる所へ分配するために、浄化された流体204として供給部200に導入され得る。
【0014】
バルブ202は、二つの作動位置の間で切り替えることができる。バルブ202の第1の作動位置において、シリンジポンプ112は、浄化された流体のソース204からの浄化された流体を、バルブ202及び結合される流体配管内に引き込む。例えば、シリンジポンプ112aは浄化された流体を流体配管206aに引き込み得、シリンジポンプ112bは浄化された流体を流体配管206bに引き込み得、シリンジポンプ112cは浄化された流体を流体配管206cに引き込み得、及びシリンジポンプ112dは浄化された流体を流体配管206dに引き込み得る。本明細書にさらに記載するように、バルブ202の第2の作動位置において、シリンジポンプは、浄化された流体を流体配管(例えば、流体配管206a,206b,206c,206d)から、システム100の他の部分に流動する。例えば、シリンジポンプ112aは流体を流体配管206aから流体配管208aに流動し得、シリンジポンプ112bは流体を流体配管206bから流体配管208bに流動し得、シリンジポンプ112cは流体を流体配管206cから流体配管208cに流動し得、シリンジポンプ112dは流体を流体配管206dから流体配管208dに流動し得る。実施において、バルブ202は、浄化された流体のシステム100の他の部分への進入に先立って、浄化された流体を処理するように構成される一つ又はそれ以上の精製カラムと流体連結される。一つ又はそれ以上の精製カラムは、浄化された流体を、システムの部分のあらゆる所へ誘導することを許容する前に、浄化された流体の純度を確保し得る。例えば、流体配管208aはバルブ202と精製カラム210aとの間を結合し得、流体配管208bはバルブ202と精製カラム210bとの間を結合し得、流体配管208cはバルブ202と精製カラム210cとの間を結合し得、流体配管208dはバルブ202と精製カラム210dとの間を結合し得る。カラム(210a,210b,210c,210d)の夫々からシステム100への流れを、
図3を参照してさらに記載する。
【0015】
図3を参照して、(例えば、ICP-MSによる高純度化学物質中の痕跡金属の定量に、)超清浄な希釈剤及び(例えば、酸性、塩基性、有機等の)化学物質の添加物のインライン調合を提供するためのバルブアセンブリ300を示す。バルブアセンブリ300は、(バルブ122として示す)第2のバルブと流体連結する(バルブ114として示す)第1のバルブを含む。実施において、バルブ114は、(例えば、シリンジポンプ112aによって流動される)流体配管208a、(例えば、シリンジポンプ112bによって流動される)流体配管208b、及び(例えば、シリンジポンプ112dによって流動される)流体配管208dとの連結器を介して、浄化された流体を受け取るように構成される一方で、バルブ122は、(例えば、シリンジポンプ112cによって流動される)流体配管208cとの連結器を介して、浄化された流体を受け取るように構成される。バルブアセンブリ300は、バルブ114及びバルブ122と流体連結する一つ又はそれ以上の保持ループを含む。例えば、
図3は、バルブ114及びバルブ122と流体連結する(例えば、バルブ114とバルブ122との間に結合される)試料ループ302、バルブ114及びバルブ122と流体連結する(例えば、バルブ114とバルブ122との間に結合される)標準物質ループ304、及びバルブ114及びバルブ122と流体連結する(例えば、バルブ114とバルブ122との間に結合される)化学物質ループ306を表す。化学物質ループ306は、添加溶液等の化学物質をシステム100内部に保持するように構成されるループを示し得、それらに限定するものではないが、酸、塩基、有機化学物質等を含み得る。実施において、試料ループ302は、
図1を参照して記載される試料ループ126に対応し得る。実施において、試料ループ302は約2.5ミリリットル(2.5mL)の体積を有し、標準物質ループ304は約0.3ミリリットル(0.3mL)と約3.0ミリリットル(3.0mL)の間の体積を有し、化学物質ループ306は約0.3ミリリットル(0.3mL)と約3.0ミリリットル(3.0mL)の間の体積を有する。本明細書に用いられるように、用語「ループ」(例えば、試料ループ302、標準物質ループ304、化学物質ループ306)は、コイル状の流体配管、直線状の流体配管、曲線状の流体配管、貯留槽、又は流体を保持し移動するために規定された体積を有する他の構造を言い得る。
【0016】
実施において、バルブ122は、(例えば、流体配管308aを介して)試料を、(例えば、流体配管308bを介して)標準物質を、及び(例えば、流体配管308cを介して)化学物質(例えば、酸、塩基、有機化学物質等)を、受け取るように構成される。実施において、標準物質は内部標準物質118に対応し得る。例えば、試料は、オートサンプラ124を介して獲得され、ローダ310a(例えば、シリンジポンプ又はバキューム等の圧力源又は負の圧力源)を介してバルブアセンブリ300内に及び試料ループ302内に引き込まれ得、標準物質はローダ310b(例えば、シリンジポンプ又はバキューム等の圧力源又は負の圧力源)を介してバルブアセンブリ300内に及び標準物質ループ304内に引き込まれ得、化学物質はローダ310c(例えば、シリンジポンプ又はバキューム等の圧力源又は負の圧力源)を介してバルブアセンブリ300内に及び化学物質ループ306内に引き込まれ得る。
【0017】
実施において、バルブ114及びバルブ122の夫々は、第1の作動位置と第2の作動位置との間で切り替え可能である。例えば、第1の作動位置において、試料はバルブアセンブリ300内に及び試料ループ302内に引き込まれ得、標準物質はバルブアセンブリ300内に及び標準物質ループ304内に引き込まれ得、並びに化学物質はバルブアセンブリ300内に及び化学物質ループ306内に引き込まれ得る。第2の作動位置において、試料は、シリンジポンプ112bによって、流体配管208bを通って供給される浄化された流体(例えば、作動流体)の流れを介して、試料ループ302から流動され、標準物質は、シリンジポンプ112dによって、流体配管208dを通って供給される浄化された流体(例えば、作動流体)の流れを介して、標準物質ループ304から流動され、化学物質は、シリンジポンプ112aによって、流体配管208aを通って供給される浄化された流体(例えば、作動流体)の流れを介して、化学物質ループ306から流動される。その結果として、試料はシリンジポンプ112bから物理的に分離されて留まり、標準物質はシリンジポンプ112dから物理的に分離されて留まり、化学物質はシリンジポンプ112aから物理的に分離されて留まり、浄化された流体(例えば、作動流体)のみが、試料、標準物質、及び化学物質の個々の保持ループからそれらを流動するために、それらと相互作用する。
【0018】
実施において、試料、標準物質、及び化学物質は、試料ループ302、標準物質ループ304、及び化学物質ループ306から、バルブ122の混合ポート312に、夫々に流動される。混合ポート312は、混合ポート312において、試料、標準物質及び化学物質のうちの一つ又はそれ以上を混合し、並びに/又は希釈するため等、シリンジポンプ112cによって供給される浄化された流体(例えば、希釈剤)の流れを受け取るために、流体配管208cとも流体連結され得る。実施において、試料、標準物質、化学物質、及び希釈剤は、混合ポート312によって実質同時に受け取られる。実施において、システム100は、希釈剤の流れを混合ポート312に提供するために特定の時間にシリンジポンプ112cを駆動するように構成されるタイマを含み、このとき、特定の時間は、試料、標準物質及び化学物質のうちの一つ又はそれ以上を実質同時に有する時間、試料、標準物質及び化学物質のうちの一つ又はそれ以上と異なる時間等を含み得る。実施において、バルブ114は、希釈剤のソースと結合され、希釈剤ループから混合ポート312への希釈剤の導入のために、バルブ114とバルブ122との間に結合される希釈剤ループ内に希釈剤を充填するように構成される。
【0019】
バルブ122は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)314と流体連結される。例えば、混合ポート312は、分析のために、混合試料溶液を、混合ポート312からICP-MS314に移動するように構成されるバルブ316(例えば、切替バルブ)と結合され得る。実施において、システム100は、サンプル周期の間に、浄化、排出、補給等され得る。例えば、試料ループは、サンプル周期の間に、(例えば、作動流体、酸性溶液、塩基性溶液、有機溶液、溶媒等を介して)浄化され、及び/又は補充され得る。標準物質ループ304及び化学物質ループ306も、サンプル周期の間に補充され得る。例えば、少なくとも標準物質ループ304の一部、又は全部の標準物質ループ304は、サンプル周期の間に補充され得、少なくとも化学物質ループ306の一部又は全部の化学物質ループ306は、サンプル周期の間に補充され得る等である。ループに補充することは、停滞する溶液がシステム100内部に残存することを抑制し得、システム100のバルブのうちの一つ又はそれ以上内での拡散混合の影響を抑制し得る等する。
【0020】
発明の要旨を、構造特徴、及び/又は処理動作に特有の用語で記載したが、添付の特許請求の範囲に規定する発明の要旨は、前述の特定の特徴又は振る舞いに必ずしも限定するものではないことが理解されるべきである。むしろ、前述の特定の特徴及び振る舞いは、特許請求の範囲を実施する例示の形態として開示される。