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特許7020713多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/30 20060101AFI20220208BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20220208BHJP
   B63B 21/48 20060101ALI20220208BHJP
   B63B 75/00 20200101ALI20220208BHJP
【FI】
B63B21/30
B63B35/44 L
B63B21/48
B63B75/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020185058
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2021195114
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】109119541
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519338049
【氏名又は名称】崑山科技大學
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】林水木
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4557697(US,A)
【文献】特開平5-19034(JP,A)
【文献】特開2016-155467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/30
B63B 35/44
B63B 21/48
B63B 75/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースであって、ウェイトベース、少なくとも1個の浮力ユニット、主減速翼、少なくとも1個の衝撃式打込み杭体を有し、
前記ウェイトベースは、重力を提供し、
前記少なくとも1個の浮力ユニットは、前記ウェイトベースを取り囲んで設置され、しかも前記浮力ユニットとウェイトベース間は、導流空間を備え、
前記主減速翼は、前記ウェイトベースの頂端に設置され、しかも頂端箇所の少なくとも一部により、前記導流空間に対応して遮蔽し、こうして抵抗力空間を形成し、
前記少なくとも1個の衝撃式打込み杭体は、前記ウェイトベースの少なくとも1個の端箇所に直接或いは間接的に設置し、しかも前記衝撃式打込み杭体の底端は前記ウェイトベースより低い
ことを特徴とする、多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項2】
前記多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースは、バランスアンカーをさらに有し、前記ウェイトベース中心箇所の底端に掛けて設置する
ことを特徴とする、請求項1に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項3】
前記多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースは、フレーム体をさらに有し、前記ウェイトベースの周縁箇所に設置し、
前記フレーム体は、平面方向において、前記ウェイトベースから離れた一端に、前記浮力ユニットを設置し、しかも前記フレーム体は中空で、前記導流空間を形成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項4】
前記衝撃式打込み杭体は前記フレーム体に設置され、しかも前記衝撃式打込み杭体は前記ウェイトベースを取り囲んで設置される
ことを特徴とする、請求項3に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項5】
前記浮力ユニットは複数設置し、しかも前記浮力ユニットは、前記ウェイトベースを中心として、両対照に設置し、前記ウェイトベースは、水平面方向上に、相互に垂直な2個の軸方向を備え、前記浮力ユニットは前記軸方向の両端箇所にそれぞれ対応して設置される
ことを特徴とする、請求項3に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項6】
前記フレーム体は、前記ウェイトベース一端に相対し、下端側に向かい延伸して副減速翼をそれぞれさらに設置する
ことを特徴とする、請求項3に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項7】
前記浮力ユニットは、前記ウェイトベース一端に相対し、下端側に向かい延伸して副減速翼をそれぞれさらに設置する
ことを特徴とする、請求項1~6の任意の一項に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項8】
前記衝撃式打込み杭体は、本体及び打込み杭体をさらに有し、
前記本体は収容設置空間を有し、前記本体は、前記収容設置空間頂端にバルブ体を有し、しかも前記本体底端には、収容設置空間に対応して連通する貫通孔を設置し、前記打込み杭体は、アンカー定部及び緩衝部を有し、前記アンカー定部は、前記貫通孔に突出し、前記緩衝部は、前記収容設置空間内に位置し、しかも前記収容設置空間は、前記緩衝部頂端において、前記バルブ体との間に、緩衝空間を形成し、しかも前記打込み杭体の前記アンカー定部は管状或いは末端に錐状尖端を備える柱状を呈し、底端に向かって設置される
ことを特徴とする、請求項1~6の任意の一項に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項9】
前記浮力ユニットの底面位置は前記衝撃式打込み杭体及び前記ウェイトベースより低い
ことを特徴とする、請求項1~6の任意の一項に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【請求項10】
前記多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースは、緩衝傘体をさらに有し、前記ウェイトベース及び前記主減速翼の上端に設置され、
前記緩衝傘体底部には、少なくとも1個の定位ロープを設置し、前記定位ロープ反対端は、前記ウェイトベース或いは前記主減速翼に固定して設置される
ことを特徴とする、請求項1~6の任意の一項に記載の多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースに関し、特にウェイトベース、浮力ユニット、減速翼、衝撃式打込み杭体、アンカーの設置により、水流が減速翼を流れる時に抵抗力を生じ、ウェイトベースの沈下速度を緩やかにし、海底に高速でぶつかることによるウェイトベースの損壊を回避し、衝撃式打込み杭体は各種海底への打ち込み、アンカリングに適用可能で、これにより本発明は深海アンカーのコストを低下させられ、極めて優れたアンカリング力を提供し、海上施設及び海流洋上施設設備の敷設に有利である多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースに関する。
【背景技術】
【0002】
海流は大規模な海水運動である。
そのため、海上施設の建設、及び海流洋上施設設備の敷設においては、海流の方向及び流速を考慮しなければならない。
海上施設或いは海流洋上施設設備に対してアンカーを打ち、これにより海流、風や波等の要因を受けて敷設すべき海域から離れてしまうことを防止する。
【0003】
従来のアンカリング方式は、図1に示す通り、およそ以下の六種に分けられる。
1.デッドウェイトアンカー10(Dead weight):そのアンカリング力はウェイト、及びそれと海底との摩擦力により形成される。
2.打込み杭20(Driven pile):ハンマー或いは振動器を利用し打込み杭20(中空鋼管など)を海底内に圧入し、土壌を圧迫することで摩擦力を生じる。一般的には打込み杭20を一定の深さに圧入しなければ十分な把握力はなく、そうでなければ一定程度のアンカリング力を提供することはできない。
3.ドラグアンカー30(Drag anchor):は現在最も普及しているアンカリング方式で、主に一部或いは全部を海底内に嵌め入れる。アンカリング力の主なソースは、前端を泥土に嵌め入れ提供される抵抗力で、大きさは嵌め入れる深さと関係がある。この方式は一般には、水平アンカリング力のみの提供に適用され、垂直引き動かしには適用されない。それは垂直引き動かし時に、土壌を容易に引き出してしまうからである。
4.サクションアンカー40(Sution anchor):打込み杭同様、中空鋼管を採用するが、その管径は比較的大きい。サクションアンカー40を海底に圧入後、一部分だけが海底上に残り、ポンプを利用し内部の水を吸い出し、蓋をする。これにより内外圧差を形成し、外部の水圧は下へ押す力を提供し、同時に土壌と鋼管間の摩擦力を備え、こうして水平及び垂直のアンカリング力を提供できる。
5.魚雷衝撃式打込み杭50(Torpedo pile):自身の重さを利用し迅速に落下し、これにより軟性海底を貫きアンカリング力を生じる。海が深く海底までの距離が長ければ長いほど、海底まで自由落下する速度は速くなり、貫く深さもより深くなり、こうしてより大きなアンカリング力を生じる。よって、深海で、軟らかい海底のアンカリングに適している。
6.垂直負荷式アンカー60(Vertical load anchor):前述のドラグアンカー30に相似するが、埋め込みはさらに深く、アンカリング方式を変換できる。よって、垂直及び水平のアンカリング力を提供でき、海底基礎施設アンカリングの用途に非常に適している。
【0004】
但し、海底における海流は強烈な流体流動であるため、海底上には沈積物がなく、実際の探査後に全体が岩石海底であるため、アンカーを海底に嵌め入れられないことが発見されることが多い。
前述の2~5のアンカリング方式は、沈積物を有する軟性海底にのみ適用され、岩石海底には適用できない。
デッドウェイトアンカー10は適用できるが、ウェイト摩擦によりアンカリング力を提供するため、極めて大きな重量がなければ、十分なアンカリング力を備えることはできない。
しかしそのため、製造コストが極めて高く、しかも特定の海域海底へ運送することが極めて困難である。
この他、敷設の過程において、深海中の沈入速度が速いことで、海底と衝突し損壊し易い。
【0005】
申請人はかつて特許文献1及び特許文献2の「減速翼を備えるウェイト及び衝撃式打込み杭体複合の深海アンカー装置」を申請した。
それは、ウェイトベースにフロート体を設置し、しかもウェイトベース内部に収容室を形成し、その頂端箇所に減速翼を設置し、ウェイトベース底端に衝撃式打込み杭体を設置する。
これにより、ウェイトベースの重力及び衝撃式打込み杭体を海底に打ち込むことで、極めて高いアンカリング力を達成する。
しかし、それは製造加工コストが高いという欠点を備えるため、使用の普及には不利である。
【0006】
上記に鑑み、発明人は海底のアンカーの研究をさらに進め、上述の問題解決のために開発と改良に着手し、しかも試驗及び修正を経て、本発明の発表に漕ぎ着けた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】台湾特許第I652202号明細書
【文献】台湾特許第I664114号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記先行技術には、製造加工コストが高く、普及に不利であるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の問題を解決できる多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースに関する。
【0010】
本発明による多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースは、ウェイトベース、少なくとも1個の浮力ユニット、主減速翼、バランスアンカー及び少なくとも1個の衝撃式打込み杭体を有し、緩衝傘体を備えることもできる。
【0011】
ウェイトベースは重力を提供し、ベースが海中に沈む時、重力は浮力よりはるかに大きく、海底を強く押し、及び摩擦するアンカー固定力を提供する。
【0012】
浮力ユニットは浮力を提供し、アンカーベース全体を海面に浮かべて引っ張るのに有利で、敷設時には、浮力ユニットに浮力を喪失させられる。
一実施形態中では、該浮力ユニットはフロートである。
浮力ユニットの設置には、フレーム体を設置し、該ウェイトベースの周縁箇所に設置し、該フレーム体は、平面方向において、該ウェイトベースから離れた一端に、該浮力ユニットを設置し、しかも該フレーム体は中空で、該導流空間を形成する。
浮力ユニットは複数設置し、しかも該浮力ユニットは、該ウェイトベースを中心として、両対照に設置する。
好ましくは、該ウェイトベースは、水平面方向上に、相互に垂直な2個の軸方向を備え、該浮力ユニットは、該軸方向の両端箇所にそれぞれ対応するように設置する。
よって、該浮力ユニットは取り囲んで、方形或いは菱形を形成し、海面上でバランスを安定させてのウェイトベース施工に有利である。
【0013】
この他、該浮力ユニットの底面位置は該衝撃式打込み杭体及び該ウェイトベースより低く、これにより本発明が海底に沈む時には、先ず地面にぶつかり着地し、その変形破壊により、衝撃エネルギーを吸収し、これによりウェイトベース及びアンカー構造全体の安全を保護する。
【0014】
減速翼は、主減速翼及び副減速翼を有する。
主減速翼は、該ウェイトベースの頂端に設置され、しかも頂端箇所の少なくとも一部により、該ウェイトベース及び該導流空間に対応して遮蔽し、こうして抵抗力空間を形成する。
これにより、ウェイトベースが水中に沈む時、水流が抵抗力空間を流れると、主減速翼の影響を受けて水流抵抗力を作り出し、これによりウェイトベース沈下の速度を安全範囲まで低下させ、ウェイトベースが高速で海底に衝突することによる損壊を防止する。
【0015】
さらに、フレーム体及び浮力ユニットは、該ウェイトベース一端に相対し、さらにそれぞれ下端側に向かい延伸して副減速翼を傾斜設置する。
副減速翼は抵抗力面積を拡大でき、減速の効果を高めることができる。
この他、副減速翼の設置により、ウェイトベースが沈下して傾斜すると、傾斜した端の副減速翼は作用面積が拡大し、より大きな水抵抗力を生じ、反対端の作用面積は縮小し、より小さな水抵抗力を生じ、こうして復原モーメントを生じる。
【0016】
バランスアンカーは、該ウェイトベース中心箇所の底端に掛けて設置され、該バランスアンカーは一定の重量を備え、海底に嵌め入れられる時、アンカリング力を備え、沈下傾斜時にはその重量により復原モーメントを生じ、これにより全体の配置はウェイトベース沈下時に復元安定作用を備える。
こうして、全体が安定して沈下し、海流による転覆、或いはアンカリングへの影響を避けられ、減速翼による減速及びバランスアンカーの設置により、ウェイトベースはバランスを維持して、ゆっくりと海底に沈み、確実にアンカリング作業を完成できる。
【0017】
緩衝傘体は、該ウェイトベース及び該主減速翼の上端に設置され、該緩衝傘体底部には、少なくとも1個の定位ロープを設置し、該定位ロープ反対端は、該ウェイトベース或いは該主減速翼に固定して設置される。
緩衝傘体の設置により抵抗力面積をさらに拡大し、減速効果を達成し、本発明が横向き海流を受けた時には有効な復原モーメントを生じる。
こうして本発明全体はさらに安定的に沈下し、転覆しにくく、確実に深海のアンカリングを完成できる。
【0018】
衝撃式打込み杭体は、該ウェイトベースの少なくとも1個の端箇所に直接或いは間接的に設置し、一実施形態中では、該衝撃式打込み杭体は該フレーム体に設置され、しかも該衝撃式打込み杭体は該ウェイトベースを取り囲んで設置される。
【0019】
さらに、該衝撃式打込み杭体はさらに本体及び打込み杭体を有する。
該本体は収容設置空間を有し、該本体は、該収容設置空間頂端にバルブ体を有する。
しかも、該本体底端には、収容設置空間に対応して連通する貫通孔を設置し、該打込み杭体は、アンカー定部及び緩衝部を有し、該アンカー定部は、該貫通孔に突出し、該緩衝部は、該収容設置空間内に位置し、しかも該収容設置空間は、該緩衝部頂端において、該バルブ体との間に、緩衝空間を形成し、該打込み杭体の該アンカー定部は管状或いは末端に錐状尖端を備える柱状を呈し、底端に向かって設置される。
これにより、岩石海底に用いる時には、アンカー定部を、末端に錐状尖端を備える柱状に配置し、岩石に衝突させ窪みを作り、ウェイトベース提供の重力を対応させることで、衝撃式打込み杭体は下方へと押されて穴の中に掛かり、或いは岩石上に突出し、非常に大きいアンカリング力を生じる。
砕石、沈積土の海底に用いる時には、アンカー定部を管状に配置し、砕石、砂或いは沈積土中に挿入され、非常に大きいアンカリング力を生じる。
【0020】
本発明は前述の配置により、海面での敷設が容易で、沈下の過程でバランスを維持でき、海流による傾斜或いは転覆を避けられる。
さらに、アンカリング時は重力及び衝撃式打込み杭体の打ち込みにより、極めて大きなアンカリング力を生じ、衝撃式打込み杭体が海底に打ち込まれた後、ウェイトベースの重力により衝撃式打込み杭体を打ち込まれた海底は圧迫を受けて、さらに密実となるため、海底の土壌或いは砕石が衝撃式打込み杭体により動かされ、衝撃式打込み杭体が海底から離脱する恐れはなく、最良のアンカリング力を提供できる。
しかも、ウェイトベースが必要な重力は、重力だけを提供する従来のデッドウェイトアンカーに比べはるかに小さく、設置及び敷設のコストを大幅に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来のアンカリング方式の模式図である。
図2】本発明の立体模式図である。
図3】本発明の俯視模式図である。
図4図3のA-A位置でカットした断面図で、主減速翼及び副減速翼を設置し、緩衝傘体は未設置で、しかもの沈下時における使用状態模式図である。
図5図3のB-B位置でカットした断面図で、主減速翼及び副減速翼を設置し、緩衝傘体は未設置で、しかも沈下時に右に傾く様子を示す使用状態模式図である。
図6】本発明の未沈下時にバランスアンカーを収納する様子を示す模式図である。
図7図3のC-C位置でカットした断図及び受力方向模式図である。
図8図7において仰俯角を生じ、復原モーメントを生じた使用状態模式図である。
図9】本発明に緩衝傘体設置時に、横向き海流を受けて復原モーメントを生じる様子を示す使用状態模式図である。
図10】本発明に緩衝傘体設置時に、沈下速度が1.5 m/s時の復原モーメント作用区間図である。
図11】本発明に緩衝傘体設置時に、沈下速度が3.5 m/s時の復原モーメント作用区間図である。
図12】本発明の衝撃式打込み杭体を岩石海底にアンカリングする様子を示す断面及び使用状態模式図である。
図13】本発明の衝撃式打込み杭体を砕石、沈積土の海底にアンカリングする様子を示す断面及び使用状態模式図である。
図14】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
図15】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
図16】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
図17】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
図18】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
図19】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
図20】本発明の沈下時における流れ場分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(一実施形態)
図2図5に示す通り、本発明による多数のフロート体を備え、デッドウェイトアンカーを複合した深海アンカーベースは、ウェイトベース1、少なくとも1個の浮力ユニット2、減速翼(主減速翼3及び副減速翼4を有する)及び少なくとも1個の衝撃式打込み杭体5を有する。
好ましい実施形態中では、緩衝傘体6を配置する。
【0023】
ウェイトベース1は、重力Wを提供するため、それはかなりの重量を備えるブロック体である。
重圧及び摩擦力(F=μW;μはウェイトベース1と海底間の摩擦係数)により、アンカリング力を達成する。
【0024】
浮力ユニット2は、ウェイトベース1を取り囲んで設置され、これによりウェイトベース1は海面に浮き、他の船舶が海面上で引っ張り方向Dに沿ってウェイトベース1を引っ張ることができる。
浮力ユニット2とウェイトベース1間は、導流空間S1を備える。
【0025】
一実施形態中では、浮力ユニット2はフロートで、これによりウェイトベース1は浮き、沈下させる必要がある時には、浮力ユニット2を取り外しでき、或いは内部に水を充填することで、ウェイトベース1を沈下させられる。
しかも、好ましい実施形態中では、浮力ユニット2の底面位置は、衝撃式打込み杭体5及びウェイトベース1より低く、これにより本発明が海底に沈む時には、先ず地面にぶつかり着地し、それが破壊されることで衝撃エネルギーを吸収し、これによりウェイトベース1及び衝撃式打込み杭体5の安全を保護する。
【0026】
浮力ユニット2の配置及び設置について、一実施形態中では、フレーム体21をさらに有し、ウェイトベース1の周縁箇所に設置する。
フレーム体21は、平面方向において、ウェイトベース1から離れた一端に、浮力ユニット2を設置し、しかもフレーム体21は中空で、導流空間S1を形成し、これにより水流に対する干渉を低下させる。
【0027】
ウェイトベース1の平衡性に対する浮力ユニット2の配置について、具体的な実施形態中では、浮力ユニット2は複数設置し、しかも浮力ユニット2は、ウェイトベース1を中心として、両対照に設置する。
具体的には、ウェイトベース1は、水平面方向上に、相互に垂直な2個の軸方向を備え、浮力ユニット2は、軸方向の両端箇所にそれぞれ対応するように設置する。
よって浮力ユニット2は、取り囲んで、方形或いは菱形を形成して設置されることが分かる。
【0028】
前述の浮力ユニット2の配置に基づき、フレーム体21及び浮力ユニット2は、ウェイトベース1一端に相対し、下端側に向かい延伸して副減速翼4をそれぞれさらに設置する。
副減速翼4の主要な目的は、ウェイトベース1沈下のバランスを安定させ、これによりウェイトベース1の沈下傾斜は復原モーメントを生じ、こうしてウェイトベース1は安定して沈下し、海流により転覆、或いはアンカリングへの影響を回避できる。
一実施形態中では、引っ張り方向D上に位置する浮力ユニット2は、その両側に副減速翼4を設置し、引っ張り方向Dに位置しない。
ウェイトベース1一端に相対し、副減速翼4を設置することで、引っ張り方向D上において、本発明に対する副減速翼4の引っ張りの干渉を主に防止する。
【0029】
主減速翼3は、主にウェイトベース1の頂端に設置し、一実施形態中では、少なくとも1個の連接棒31により、ウェイトベース1に接続して設置され、しかも頂端箇所の少なくとも一部により、ウェイトベース1及び導流空間S1に対応して遮蔽し、こうして抵抗力空間S2を形成する。
これによりウェイトベース1を沈下させる時、水流は抵抗力空間S2へと流れ、流体抵抗力を高め、こうして沈下速度を安全範囲内まで低下させる。
【0030】
これにより、ウェイトベース1と海底の衝撃力を考慮し、仮にウェイトベース1の重量が500トン(tons)なら、沈下速度は約3m/sで、減速翼を設置しない状況下で、異なる類型の海底が、異なるブレーキ時間及び衝撃力を生じることを考慮し、下表1の通りに見積もる:
【0031】
【表1】
【0032】
衝撃力Fimpactは海底反発力Fres及びウェイトベース1重量Wの合計で、海底反発力Fresは以下の数式1の通りである。
【0033】
【数1】
【0034】
表1から分かる通り、ウェイトベース1がラフで硬い海底にぶつかって生じる衝撃力は、約1264.53トンに達して、衝撃力が大きすぎるため、ウェイトベース11の損壊を招く恐れがある。
【0035】
流体抵抗力F及び沈下速度Vの関係は、以下の数式2の通りである。
【0036】
【数2】
【0037】
D12は減速翼を設置するウェイトベース1の坑力係数で、しかも本発明の設置方式により、この値は比較的大きい。ρは海水密度で、Aはウェイトベース1の断面積で、Aは減速翼の断面積である。
【0038】
流体抵抗力はウェイトベース1重量の平衡速度で、即ち沈下速度Vで、以下の数式3の通りである。
【0039】
【数3】
【0040】
12は、減速翼を備えるウェイトベース1の沈下速度である。
【0041】
減速翼を未設置なら、以下の数式4の通りである。
【0042】
【数4】
【0043】
D1は、は減速翼未設置のウェイトベース1の坑力係数で、その値比較的小さく、Vは、減速翼未設置のウェイトベース1の沈下速度である。
【0044】
しかも、数式3と数式4が等しい時、沈下速度V12及びVの関係が、以下の数式5の通り求められる。
【0045】
【数5】
【0046】
数式5から分かる通り、減速翼未設置のウェイトベース1の沈下速度Vは、減速翼設置のウェイトベース1の沈下速度V12よりはるかに大きく、その沈下速度Vが過度に速く、ウェイトベース1損壊の恐れがあることが証明される。
よって減速翼を設置し、沈下速度を低下させる必要がある。
【0047】
図3のA-A位置でカットした断面図である図4、5に示す通り、ウェイトベース1を沈ませ沈下すると、内側の水流は導流空間S1から抵抗力空間S2に流入する。
これにより、導流空間S1を流れる水流は、主減速翼3を経て抵抗力を生じる。
フレーム体21及び浮力ユニット2には、副減速翼4を設置し、抵抗力面積を拡大でき、これにより外側の水流は副減速翼4を流れ抵抗力を生じ、前記の沈下速度制御の目的を達成する。
【0048】
この他、前述の主減速翼3及び副減速翼4の設置により、沈下時に自動的にバランスを取る効果を達成する。
図3のB-B位置でカットした断面図である図5に示す通り、仮に沈下時に海流により右へ偏ったなら、副減速翼4は下端側に向かい延伸して傾斜設置されるため、図5中右側の副減速翼4の、作用面積ARは傾斜により拡大し、これによってさらに大きな水抵抗力FRを生じる。
相対的に、左側の副減速翼4の作用面積ALは減少し、より小さな水抵抗力FLを生じる。
よって、復原モーメントを生じ、本発明全体は自動的に補正され、自ら自動的にバランスを取る効果を達成する。
【0049】
さらに、復原モーメントの産生は、前述の副減速翼4の作用の他に、一実施形態中では、アンカーベース全体にバランスアンカー11を掛けて設置し、それはウェイトアンカー(Wanchor)を備え、しかも、ウェイトベース1中心箇所の底端に掛けて設置する。
一実施形態中では、少なくとも1個のロープ体12をウェイトベース1に掛けて設置し、これによりバランスアンカー11は、本発明全体中心のやや底端に位置する。
バランスアンカー11も、海底に嵌め入れるアンカリング力を備え、本発明全体が沈下すると、復元安定作用を備える。
本発明の未沈下時には、図6に示す通り、バランスアンカー11を、ウェイトベース1に収納或いは置く。
沈下すると、バランスアンカー11はウェイトベース1の底端に沈む。
バランス安定状態は、図2のC-C位置でカットした断面図である図7に示す。
図8に示す通り、本発明が沈下を受け仰俯角θを生じると、バランスアンカー11のウェイトアンカー(Wanchor)は、左へ距離S偏り、全体中心に対して、復原モーメントM=WanchorSを生じる。
これにより、本発明全体は自動復元され、ベースは水平沈下を維持し、流体は減速翼の抵抗力に作用し、沈下速度は最大程度緩やかになる。
こうして、ウェイトベース1は、減速翼による減速及びバランスアンカー11によるバランス維持により、ゆっくりした速度で海底に至り、本発明は安全に沈められ、アンカリングされる。
【0050】
緩衝傘体6は、ウェイトベース1及び主減速翼3の上端に設置される。
緩衝傘体6底部には、少なくとも1個の定位ロープ61を設置し、定位ロープ61反対端は、ウェイトベース1或いは主減速翼3に固定して設置され、その配置により、本発明の減速及び復原モーメント産生の効果をさらに高めることができる。
図9に示す通り、本発明の沈下時に、横向き海流の流速Vcに当たりベースが左へ傾斜すると、緩衝傘体6は抵抗力Fを提供し、復原モーメントMを産生し、それは以下の数式6の通りである。
【0051】
【数6】
【0052】
は、緩衝傘体6の坑力係数で、Aはその断面積で、Vはその沈下速度で、hはウェイトベース1の高さで、Ψは緩衝傘体6のウェイトベース1に対する傾斜角度で、φは、ウェイトベース1の傾斜角度で、CVは、緩衝傘体6の沈下速度である。
【0053】
数式6から分かる通り、ウェイトベース1の傾斜角度φが緩衝傘体6の傾斜角度Ψより大きい時、復原モーメントは必ず生じる。
本発明の沈下時における流れ場分布である付属文書(図14~20)に示す通り、本発明は確かに沈下速度制御の効果を備えることが分かる。なお、図中、Pressureは圧力を意味し、Contourは登高図(潮汐等値図)を意味している。
図10及び図11に示す通り、全体重量が100トンの状況下で、沈下速度がそれぞれ1.5 m/s及び3.5 m/sである時、異なる横向き海流流速の復原モーメントで、多数の状況下で、本発明はすべて復原モーメントの作用区間内にある。
前述のように、本発明全体は安定的に沈下し転覆しにくく、これにより確実にアンカリング作業を行うことができる。
【0054】
また、本発明における海底のアンカリングについて、本発明は少なくとも1個の衝撃式打込み杭体5を、ウェイトベース1の少なくとも1個の端箇所に直接或いは間接的に設置し、しかも衝撃式打込み杭体5の底端はウェイトベース1より低い。
よって、衝撃式打込み杭体5はウェイトベース1の底端或いは側端に設置されることが分かる。
好ましくは、その配置に利するため、一実施形態中では、衝撃式打込み杭体5はフレーム体21に設置され、しかも浮力ユニット2に隣り合って設置される。
しかも、衝撃式打込み杭体5はウェイトベース1を取り囲んで設置され、これによりアンカー錠は海底に入れ込まれ、配置される。
【0055】
ウェイトベース1は極めて重く、前述の沈下速度の影響も加わり、衝撃式打込み杭体5が受ける衝撃圧力は拡大する。
海底接触時衝撃力の過大が衝撃式打込み杭体5の構造を破壊することを防止するため、前述の浮力ユニット2の配置により衝撃力を吸収する他に、衝撃式打込み杭体5の緩衝機構の設計を利用する。
衝撃式打込み杭体5は図12、13に示す通り、本体51及び打込み杭体52を有する。
本体51は収容設置空間511を有し、本体51は、収容設置空間511頂端にバルブ体53を有する。
しかも、本体51底端には、収容設置空間511に対応して連通する貫通孔54を設置する。
打込み杭体52は、アンカー定部521及び緩衝部522を有する。
アンカー定部521は、貫通孔54に突出し、緩衝部522は、収容設置空間内511に位置し、しかも収容設置空間511は、緩衝部522頂端において、バルブ体53との間に、緩衝空間55を形成する。
よって、緩衝部522は収容設置空間511の輪郭に対応し、アンカー定部521アンカリングの方向に、収容設置空間511内において軸方向に可動することが分かる。
これにより、緩衝空間55内は気体を有し、打込み杭体52が衝撃力を受けると、緩衝部522とバルブ体53の緩衝空間55の気体により、打込み杭体52衝撃力を緩める効果を提供できる。
打込み杭体52の衝撃力が大きくなればなるほど圧縮空気圧力も大きくなり、空気の圧力がバルブ体53設定のベント圧力に達するとベントし、衝撃力過大による構造の損壊を防止する。
バルブ体53ベントの具体的圧力設定及びその構造は、従来の技術に属するため、ここでは説明しない。
【0056】
打込み杭体52の海底に対するアンカリングについて、一般に海底には岩石、砕石、沈積土等の種類があるが、本発明の衝撃式打込み杭体5は、各種類の海底にそれぞれ対応し配置される。
よって、岩石海底への応用時には、図12に示す通り、打込み杭体52のアンカー定部521は末端に錐状尖端を備える柱状に配置され、末端に錐状の尖端を備える。
これにより、前述のウェイトベース1の重量及び沈下速度を受け、岩石に衝突し穴を開け、打ち入れて固定する。
前述の複合重力の効果に対応し、打込み杭体52のアンカー定部521は、下方へと押されて、穴の中に掛かり、或いは岩石上に突出し、極めて大きなアンカリング力を生じる。
反対に、砕石、沈積土の海底に用いる時には、図13に示す通り、アンカー定部521は管状に配置され、これにより砕石、砂或いは沈積土中に挿入され、前述の重力の効果を複合し、極めて大きなアンカリング力を生じる。
【0057】
上記を総合すると、海底のタイプがどうであろうと、本発明はウェイトベース1の重力、重圧時の海底との摩擦力により、打込み杭体52を海底に打ち込み、こうしてウェイトベース1の重力が従来のデッドウェイトアンカーよりはるかに小さい状況下で、最良のアンカリング力を達成できる。
よって、海上施設或いは海流洋上施設設備の敷設に、敷設海域の海底類型を別に考慮する必要がなく、本発明によれば即アンカリングできる。
しかも、アンカリングの過程において、コストが高い水中作業を全く行う必要がなく、本発明は確実に適用性及び低コストの効果を備える。
【0058】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0059】
〔従来の構造〕
10 デッドウェイトアンカー、
20 打込み杭、
30 ドラグアンカー、
40 サクションアンカー、
50 魚雷衝撃式打込み杭、
60 垂直負荷式アンカー、
〔本発明〕
1 ウェイトベース、
11 バランスアンカー、
12 ロープ体、
2 浮力ユニット、
21 フレーム体、
3 主減速翼、
31 連接棒、
4 副減速翼、
5 衝撃式打込み杭体、
51 本体、
511 収容設置空間、
52 打込み杭体、
521 アンカー定部、
522 緩衝部、
53 バルブ体、
54 貫通孔、
55 緩衝空間、
6 緩衝傘体、
61 固定ロープ、
D 引っ張り方向、
S1 導流空間、
S2 抵抗力空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20