(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】水平メッキ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C25D 5/04 20060101AFI20220208BHJP
C25D 1/10 20060101ALI20220208BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20220208BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20220208BHJP
C25D 17/12 20060101ALI20220208BHJP
C25D 21/00 20060101ALI20220208BHJP
C25D 21/04 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C25D5/04
C25D1/10
C25D17/06 E
C25D17/10 Z
C25D17/12 C
C25D21/00 A
C25D21/00 B
C25D21/00 J
C25D21/04
(21)【出願番号】P 2020566521
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 KR2019003208
(87)【国際公開番号】W WO2019190115
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0035521
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520310654
【氏名又は名称】エクストル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EXTOL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7SA 103HO, 27, EMTIBEUI 1‐RO 43BEON‐GIL, DANWON‐GU, ANSAN‐SI, GYEONGGI‐DO 15657, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ウク・ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナム・ジン
(72)【発明者】
【氏名】シム,ヨン・ソブ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ホン・ヨン
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0000133(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0014519(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/10
C25D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間にメッキ液が充填され
、上面が開放された直方体状のメッキタンクと、
正極電源と連結され、前記メッキタンクの上部に位置するアノードと、
一面にメッキ層が形成されるように負極電源と連結された基板であって、前記メッキタンクの内部に前記メッキタンクの水平方向に配され、前記アノードの下に配置される前記基板と、
前記メッキタンクの下部空間からメッキ液が充填されるように、前記メッキタンクにメッキ液を供給するメッキ液供給部と、
前記基板に連結されて負極電源を供給す
る基板電極端子と、
前記アノードの一側または両側に位置するノズルであって、メッキ液を前記基板に向けて噴射する1つまたは複数個の噴射口を含む前記ノズルと、
前記メッキタンクでオーバーフローされるメッキ液を収容するオーバーフローメッキ液収容部と、を含み、
前記アノードは、前記メッキタンクの水平方向に前記基板と平行に移動自在
であり、
前記アノードは、前記メッキタンクの水平方向及び前記アノードの移動方向に対して垂直に延びる棒状であり、
前記オーバーフローメッキ液収容部は、前記メッキタンクに充填完了して、前記メッキタンクの上部空間でオーバーフローされるメッキ液が貯蔵されるように、前記メッキタンクの外部空間を取り囲む形態に形成され、
前記メッキタンクの両側面の下部から前記アノードの延長方向に離隔して位置し、前記アノードの移動方向に沿って延びて、前記アノードの前記メッキタンクの水平方向への移動を案内する一対のアノードガイド部と、
前記アノードの上部に結合され、両端部が下側に折り曲げられて、前記一対のアノードガイド部に前記アノードガイド部の長手方向に沿って移動自在にそれぞれ結合されるアノード支持部と、
をさらに含む、メッキ装置。
【請求項2】
前記アノード及び前記ノズルは、前記メッキタンクの水平方向に延び、前記アノードの移動方向
に対し垂直に延びる棒状である、請求項
1に記載のメッキ装置。
【請求項3】
前記アノードガイド部は、前記メッキタンクの両側に互いに平行に対向するように位置する2つのアノードガイド部で構成される、請求項
1に記載のメッキ装置。
【請求項4】
前記メッキタンクの内部に前記メッキタンクの水平方向に配列された複数個の基板支持ローラーであって、前記基板が載置されて、前記基板を支持することができる前記複数個の基板支持ローラーをさらに含み、
前記基板支持ローラーが回転することにより、前記基板支持ローラー上に置かれた基板が移動可能な、請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項5】
前記基板電極端子は、複数個のクランプで構成され、前記複数個のクランプは、前記基板の各辺にそれぞれ連結される、請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項6】
前記メッキ装置は、マスク製造装置であり、
前記基板のメッキ層が形成される一面には、マスクパターンが形成されている、請求項1に記載のメッキ装置。
【請求項7】
前記メッキ液供給部を通じて前記メッキタンクに供給されるメッキ液と前記ノズルを通じて前記基板に噴射されるメッキ液は、同じ成分からなる、請求項
1に記載のメッキ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のうち何れか一項に記載のメッキ装置で行われるメッキ方法において、
前記基板を前記メッキタンクの水平方向に前記メッキタンクの内部に移動する段階と、
前記基板電極端子を前記基板に連結する段階と、
前記メッキタンクの内部に前記メッキ液供給部を通じて前記メッキ液を供給する段階と、
前記アノードが前記基板の水平方向に平行に移動しながら、前記基板上にメッキ工程を行う段階と、
を含む、メッキ方法。
【請求項9】
請求項
1から請求項
7のうち何れか一項に記載のメッキ装置で行われるメッキ方法において、
前記基板を前記メッキタンクの水平方向に前記メッキタンクの内部に移動する段階と、
前記基板電極端子を前記基板に連結する段階と、
前記メッキタンクの内部に前記メッキ液供給部を通じて前記メッキ液を供給する段階と、
前記アノードが前記基板の水平方向に平行に移動しながら、前記基板上にメッキ工程を行う段階と、を含み、
前記基板上にメッキ工程を行う段階は、前記ノズルを通じてメッキ液を供給する段階を含む、メッキ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月28日付の大韓民国特許出願10-2018-0035521号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、メッキ装置及び方法に係り、より具体的に、水平方向に置かれた基板に亘って均一にメッキを行える装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造工程のフォトリソグラフィーパターニングのために、露光用マスクが用いられる。マスクは、主に熱膨張などを考慮して、インバー(Invar:鋼鉄とニッケルとの合金)が使われる。マスク製作のためのインバー合金(36%Ni-64%Fe)またはスーパーインバー合金(32%Ni-63%Fe-5%Co)の代表的な生産方式は、冷間圧延方式が用いられているが、冷間圧延方式で厚さ50μm以下の薄板を得るためには、多段の圧延工程が必要なので、工程が長く、複雑であって、製造コストが高いという短所がある。また、冷間圧延方式で生産される50μm以下の圧延インバー薄板は、その幅が500mm以下に制限されて、大面積工程材料への適用に多くの難点がある。
【0004】
したがって、最近、一面にマスクパターンが形成された基板を用いて電鋳メッキ方式でマスクを製造する製造装置1が開発されている。このような電鋳メッキ方式を利用した一般的なマスク製造装置1は、アノードと基板とをそれぞれメッキ液(電解液)が満たされたメッキタンクの内部にメッキタンクの垂直方向に位置させ、アノードと基板とを互いに平行な状態で対向するように配置し、アノードと基板とにそれぞれ正極電源と負極電源とを連結する方式で基板の一面にメッキ層を形成させる方式(以下、「垂直メッキ方式」と称する、
図3a及び
図3b参照)で構成される。以後、メッキ層を基板から分離して後処理した後、マスクを最終的に製造完了する。この際、メッキ層には、基板の一面に形成されたマスクパターンが転写されて残される。
【0005】
このような垂直メッキ方式によれば、アノード2あるいは製品3が浸漬されたメッキタンク4にメッキ液が循環供給される場合に、循環のための電解液の流れ(
図3aの点線矢印方向参照)がタンク4の上部に繋がりながら、製品の上部側のメッキが厚くなるという問題点が発生する。また、このような垂直メッキ方式の場合、アノード2から発生する水素気泡がタンク4の上部側に押し寄せながら、製品にエアポケットが生じてメッキの不良原因になり、気泡を離隔させるために隔膜を設置すれば、製品との間隔が広くなって、メッキ偏差の発生が懸念される。特に、10世代基板(3.13m×2.88m)の場合、設備の高さが10メートルまで高くなり、アノードまたは製品の流動時に、下側ガイドレールが液面の下に位置して、設備の問題が発生する恐れがあり、製品のクランプも、液面の下に位置して、製品とアノードとの干渉による不良も懸念されるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスク製造工程のようなメッキ工程を行う装置及び方法において、垂直メッキ方式を使用する従来技術とは異なって、メッキの厚さ偏差を減らしながらも、前述したエアポケットによる問題点を解決することができる新たなメッキ方式が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によるメッキ装置は、内部空間にメッキ液が充填されるメッキタンク;正極電源と連結され、前記メッキタンクの上部に位置するアノード;一面にメッキ層が形成されるように負極電源と連結された基板であって、前記メッキタンクの内部に前記メッキタンクの水平方向に配され、前記アノードの下に配置される前記基板;前記メッキタンクの下部空間からメッキ液が充填されるように、前記メッキタンクにメッキ液を供給するメッキ液供給部;及び前記基板に連結されて負極電源を供給することができる基板電極端子;を含み、前記アノードは、前記メッキタンクの水平方向に前記基板と平行に移動自在である。
【0008】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置で行われるメッキ方法において、前記基板を前記メッキタンクの水平方向に前記メッキタンクの内部に移動する段階;前記基板電極端子を前記基板に連結する段階;前記メッキタンクの内部に前記メッキ液供給部を通じて前記メッキ液を供給する段階;及び前記アノードが前記基板の水平方向に平行に移動しながら、前記基板上にメッキ工程を行う段階;を含みうる。
【0009】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置で行われるメッキ方法において、前記基板を前記メッキタンクの水平方向に前記メッキタンクの内部に移動する段階;前記基板電極端子を前記基板に連結する段階;前記メッキタンクの内部に前記メッキ液供給部を通じて前記メッキ液を供給する段階;及び前記アノードが前記基板の水平方向に平行に移動しながら、前記基板上にメッキ工程を行う段階;を含み、前記基板上にメッキ工程を行う段階は、前記ノズルを通じてメッキ液を供給する段階を含みうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アノードとノズルとが一体化されてメッキ液(電解液)と電流とを供給することによって、厚さ偏差が従来技術である垂直メッキ方式に比べて著しく低くなるという長所がある。また、ノズルが水平方向に移動しながら、基板(マスタ、製品)の表面または周囲に形成された気泡を除去するために、前述した従来技術によるエアポケットの発生による問題点を解決することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例による水平メッキ装置の概略図を図示する。
【
図3a】従来技術による垂直メッキ装置を図示する。
【
図3b】従来技術による垂直メッキ装置を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例によるメッキ装置は、内部空間にメッキ液が充填されるメッキタンク;正極電源と連結され、前記メッキタンクの上部に位置するアノード;一面にメッキ層が形成されるように負極電源と連結された基板であって、前記メッキタンクの内部に前記メッキタンクの水平方向に配され、前記アノードの下に配置される前記基板;前記メッキタンクの下部空間からメッキ液が充填されるように、前記メッキタンクにメッキ液を供給するメッキ液供給部;及び前記基板に連結されて負極電源を供給することができる基板電極端子;を含み、前記アノードは、前記メッキタンクの水平方向に前記基板と平行に移動自在である。
【0013】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置は、前記アノードの一側または両側に位置するノズルであって、メッキ液を前記基板に向けて噴射することができる1つまたは複数個の噴射口を含む前記ノズルをさらに含みうる。
【0014】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置は、前記メッキタンクの側面付近に位置し、前記メッキタンクの水平方向に延びて、前記アノードの前記メッキタンクの水平方向への移動を案内することができるアノードガイド部;及び前記アノードが連結されて、前記アノードを支持するアノード支持部であって、前記アノードガイド部に沿って移動可能に連結される前記アノード支持部;をさらに含みうる。
【0015】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置において、前記アノードは、前記メッキタンクの水平方向に延び、前記アノードの移動方向の垂直に延びる棒状である。
【0016】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置において、前記アノード及び前記ノズルは、前記メッキタンクの水平方向に延び、前記アノードの移動方向の垂直に延びる棒状である。
【0017】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置において、前記アノードガイド部は、前記メッキタンクの両側に互いに平行に対向するように位置する2つのアノードガイド部で構成することができる。
【0018】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置は、前記メッキタンクの内部に前記メッキタンクの水平方向に配列された複数個の基板支持ローラーであって、前記基板が載置されて、前記基板を支持することができる前記複数個の基板支持ローラーをさらに含み、前記基板支持ローラーが回転することにより、前記基板支持ローラー上に置かれた基板が移動可能である。
【0019】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置において、前記基板電極端子は、複数個のクランプ(clamp)で構成され、前記複数個のクランプは、前記基板の各辺にそれぞれ連結される。
【0020】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置は、マスク製造装置であり、前記基板のメッキ層が形成される一面には、マスクパターンが形成されうる。
【0021】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置において、前記メッキ液供給部を通じて前記メッキタンクに供給されるメッキ液と前記ノズルを通じて前記基板に噴射されるメッキ液は、同じ成分からなるものである。
【0022】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置で行われるメッキ方法において、前記基板を前記メッキタンクの水平方向に前記メッキタンクの内部に移動する段階;前記基板電極端子を前記基板に連結する段階;前記メッキタンクの内部に前記メッキ液供給部を通じて前記メッキ液を供給する段階;及び前記アノードが前記基板の水平方向に平行に移動しながら、前記基板上にメッキ工程を行う段階;を含みうる。
【0023】
また、本発明の一実施例によるメッキ装置で行われるメッキ方法において、前記基板を前記メッキタンクの水平方向に前記メッキタンクの内部に移動する段階;前記基板電極端子を前記基板に連結する段階;前記メッキタンクの内部に前記メッキ液供給部を通じて前記メッキ液を供給する段階;及び前記アノードが前記基板の水平方向に平行に移動しながら、前記基板上にメッキ工程を行う段階;を含み、前記基板上にメッキ工程を行う段階は、前記ノズルを通じてメッキ液を供給する段階を含みうる。
【0024】
以下、本発明の一実施例による基板が水平に配され、基板上にアノードが水平方向に移動しながら、メッキが行われる装置(本発明の明細書で「水平メッキ装置」と称する)10を詳しく説明する。添付図面は、本発明の例示的な形態を図示したものであって、これは、本発明をより詳しく説明するために提供されるものであり、これにより、本発明の技術的な範囲が限定されるものではない。
【0025】
また、図面符号に関係なく同一または対応する構成要素は、同じ参照番号を付与し、これについての重複説明は省略し、説明の便宜上、示された各構成部材の大きさ及び形状は、誇張または縮小されうる。
【0026】
図1は、本発明の一実施例による水平メッキ装置10の概略図を図示し、
図2は、
図1の水平メッキ装置10の要部を図示する。
【0027】
まず、本発明の一実施例による水平メッキ装置10は、例えば、マスク製造装置10であり、より具体的には、マスク製造装置10は、一面にマスクパターンが形成された基板を用いて電鋳メッキ方式でマスクを製造する装置である。
【0028】
図1及び
図2を参照すれば、水平メッキ装置10は、メッキ液が充填されるメッキタンク100と、メッキタンク100の内部に配されて、正極電源が連結されたアノード200及び負極電源が連結された基板300と、メッキタンク100にメッキ液(電解液)を供給するメッキ液供給部110と、を含んで構成される。
【0029】
メッキタンク100は、メッキ液供給部110から供給されるメッキ液が充填される空間であって、内部に基板300が配される。アノード200は、メッキタンク100上で水平方向(例えば、X軸方向)に移動自在に配される。また、本発明による水平メッキ装置10は、メッキタンク100でオーバーフローされるメッキ液を収容することができるオーバーフローメッキ液収容部(図示せず)をさらに含みうる。オーバーフローメッキ液収容部は、メッキタンク100に充填完了してメッキタンク100の上部空間でオーバーフローされるメッキ液が貯蔵されるようにメッキタンク100の外部空間を取り囲む形態に形成されうる。メッキタンク100の壁面には、基板300がメッキタンク100の内外部に出入りできるように、後述する水門をさらに含みうる。また、メッキタンク100には、内部に貯蔵されたメッキ液を外部排出することができる排出口(図示せず)をさらに含むこともある。メッキタンク100の水平方向は、メッキタンク100に満たされたメッキ液が形成する水面と平行な方向に、重力方向と垂直な方向である。
【0030】
本発明によるアノード200は、メッキタンク100の上部に配されて正極電源を供給される。また、アノード200は、メッキタンク100の上部で後述するように、メッキタンク100の水平方向に移動自在である。メッキタンク100内に収容されるメッキ液にアノード200の全体が浸漬されても、アノード200の一部(基板300と対向する下端部側)が浸漬されても良い。メッキタンク100の側面付近にメッキタンク100の水平方向に沿って延びて、アノード200の移動を案内することができるアノードガイド部210が配されている。アノードガイド部210には、アノード支持部220がアノードガイド部210に沿って移動可能に連結される。アノード支持部220には、アノード200が連結されてアノード200を支持する。アノード200を支持するアノード支持部220がメッキタンク100の水平方向に延びたアノードガイド部210に沿って移動することにより、アノード200がメッキタンク100の水平方向に移動可能にした。
【0031】
アノードガイド部210は、
図1に示したように、メッキタンク100の両側に互いに平行に対向するように2つのアノードガイド部210で構成することができるが、本発明は、これに限定されず、メッキタンク100の一側のみに構成されるか、メッキタンク100の上に別途に支持可能に固定されているなど、多様な変形、変更が可能である。本発明によるアノードガイド部210及びアノード支持部220のそれぞれの形状及び配置は、
図1に示されたことに限定されず、アノード200を水平方向に沿って案内することができるものであれば、適用可能であり、本発明が具現される多様な環境によって、変形、変更が可能である。
【0032】
アノード200は、メッキタンク100の水平方向に延びた形状であるが、アノード200の移動方向の垂直に延びる棒状である。例えば、
図1に示したように、アノード200がX軸方向に移動する場合に、アノード200は、Y軸方向に延びた形状である。したがって、メッキタンク100の内部に水平方向に載置された基板300上をアノード200が移動して、基板300上に均一にメッキ工程が行われるようにした。一実施形態として、アノード200がメッキ工程時間の間にメッキタンク100上でアノードガイド部210に沿って往復運動しながら、基板300上に均一にメッキ膜を形成しうる。
【0033】
また、アノード200には、アノード200の長手方向(例えば、Y軸方向)と平行であり、アノード200の一側または両側に位置するノズル230が装着される。ノズル230は、メッキ液を基板300に向けて噴射することができる1つまたは複数個の噴射口を含む。
【0034】
一実施形態として、アノード200に装着されたノズル230から噴射されるメッキ液は、後述するメッキ液供給部110から供給されるメッキ液と同一である。例えば、メッキ液供給部110を通じてメッキタンク100の内部に供給されるメッキ液がマスク製造のためのニッケルイオンまたは鉄イオンを含有したものであれば、アノード200に装着されたノズル230から噴射されるメッキ液も、同様にマスク製造のためのニッケルイオンまたは鉄イオンを含有したメッキ液を使用することができる。
【0035】
他の実施形態としては、アノード200に装着されたノズル230から噴射されるメッキ液は、後述するメッキ液供給部110から供給されるメッキ液と当該工程の目的に合わせて成分が一部変形されたものでもある。
【0036】
ノズル230は、アノード200に装着されているので、アノード200の移動によって共に水平方向に移動しながら、基板300に均一にメッキ液を噴射することができる。アノード200に装着されたノズル230から基板300に均一にメッキ液が噴射されることによって、基板300の表面に形成された気泡が除去される。それにより、従来技術での問題点であるエアポケットの形成による問題点を防止可能にした。
【0037】
アノード200は、溶融されず、正極電源を供給される役割を果たす。したがって、不溶性の導電性材質で形成され、例えば、フェライト、白金メッキチタン、白金クラッドチタン、鉛合金、炭素、IrO2/Tiなどの材質で形成されうる。一方、アノード200に装着されたノズル230で、メッキに必要な陽イオンを含んだメッキ液を供給するので、非導電性材質であるPE、PP、PVC、テフロン(Teflon)などの材質で形成されうる。
【0038】
基板300は、アノード200に対応するものであって、メッキタンク100の内部に配されて、負極電源を供給され、負極電極板として機能する。この際、基板300は、一面にメッキ層が形成されるようにメッキタンク100の内部にアノード200(より正確には、アノード200が水平方向に移動する領域)と対向する位置に配される。
【0039】
このような基板300は、負極電源を供給されて負極電極板として機能するので、アノード200と基板300とにそれぞれ正極電源及び負極電源が供給されると共に、メッキ液がメッキタンク100に充填されれば、負極電極板として機能する基板300の表面にメッキ層が形成される。これは、メッキ液に含有されたイオン粒子が負極電極板である基板300の表面でメッキ層を成す一般的なメッキ原理によるものであって、このようなメッキ原理についての詳細な説明は省略する。
【0040】
基板300は、アノード200と対向する一面にメッキ層が形成される。例えば、マスク製造のためのメッキ工程で、基板300は、マスタであり、このような基板300のアノード200と対向する一面には、マスクパターンが形成されている。基板300は、導電性材質で形成されうる。
【0041】
メッキ液供給部110は、メッキタンク100の下部空間の基板300の下に位置してメッキタンク100にメッキ液を供給する。メッキ液供給部110は、メッキタンク100の下部空間からメッキ液が充填されるようにメッキタンク100にメッキ液を供給するが、メッキ液を貯蔵する別途のメッキ液貯蔵タンク(図示せず)からメッキ液をポンピングしてメッキタンク100に供給するポンプに連結されても良い。メッキ液供給部110の形状は、例えば、メッキタンク100の内部に延びた管または板状にも製作され、このような管または板状にメッキ液をメッキタンク100に供給する複数個の噴射口または供給用開口部を含む形状に具現可能である。しかし、本発明は、これに限定されず、メッキタンク100の壁面に開閉可能な注入口(図示せず)の形状にも具現されるなど、多様な変形、変更が可能である。
【0042】
一方、メッキ液は、例えば、マスク製造の場合、ニッケルイオン及び/または鉄イオンが溶解された電解液であって、例えば、FeSO4・7H2O(Ferrous Sulfate)、NiSO4・6H2O(Nickel Sulfate)、NiCl2・6H2O(Nickel Chloride)、FeCl2・4H2O(Ferrous Chloride)、及びNi(NH2SO3)2(Nickel Sulfamate)からなるグループから選択された少なくとも1つを主成分とし、ホウ酸などの添加剤を添加して作ったメッキ液が使われるが、これに限定されず、ユーザの必要に応じて多様な種類が使われる。
【0043】
メッキタンク100は、メッキ液を排出することができる排出口(図示せず)をさらに含みうる。排出口を通じて排出されたメッキ液は、
図1に示したように、別途のメッキ液貯蔵タンク(図示せず)に流入され、メッキ液貯蔵タンクで異物分離などの再処理過程を経て、再びメッキ液供給部110及び/または前述したノズル230を通じてメッキタンク100に供給される循環過程を経るように構成することができる。追加的に、または代案として、排出口には、このような循環流れの構成以外にも、メッキタンク100の内部の洗浄水などの外部への排出のための構成が連結されても良い。すなわち、排出口を通じて排出された液体の流れがメッキタンク100に供給される循環過程からなっても、外部に排出されても良い。
【0044】
一方、メッキタンク100の内部には、メッキタンク100の水平方向に延び、配列された複数個の基板支持ローラー400が装着されており、複数個の基板支持ローラー400上に基板300が載置されて基板300を支持することができる。基板支持ローラー400が回転することにより、基板支持ローラー400上に置かれた基板300がメッキ工程のために、メッキタンク100の内部に移動することができる。同様に、メッキ工程が完了した後に、基板支持ローラー400が回転することにより、基板支持ローラー400上に置かれた基板300がメッキタンク100の外部に移動自在である。より具体的には、例えば、メッキタンク100の壁面に水門が備えられて、メッキタンク100の水門が開かれれば、基板支持ローラー400が回転して基板300がメッキタンク100の内部に移動し、メッキタンク100の水門が閉まれば、メッキタンク100の内部にメッキ液が供給されてメッキ工程が進行する。メッキ工程が完了すれば、メッキ液が排出され、メッキタンク100の水門が開き、基板支持ローラー400が回転してメッキが完了した基板300がメッキタンク100の外部に移動する。
【0045】
また、基板支持ローラー400の回転を微細に調節して、基板300のメッキタンク100の内部の水平方向への精密な位置調節も可能である。
【0046】
一方、このような複数個の基板支持ローラー400上に基板300が載置されば良いので、メッキタンク100の内部に収容されるサイズの基板300であれば、基板300のサイズに関係なく基板300が基板支持ローラー400上に載置されて安全にメッキ工程及び基板300の移動自在である。従来の垂直メッキ方式では、基板が垂直にメッキタンクに位置するが、基板のサイズが大きいか、重い場合に、製品移動及びタンク載置時などに製品損傷の発生の恐れが高かった(特に、ガラス製品の場合、破損の恐れがさらに大きくなる)(
図3b参照)。しかし、本発明によれば、基板300が水平方向に配列された複数個の基板支持ローラー400上に載置されてメッキ工程がなされ、運搬されるので、従来の垂直メッキ方式よりも破損の恐れが非常に低くなるという長所がある。基板支持ローラー400は、非導電性材質で形成され、例えば、PP、PE、PVC、テフロンなどで形成されうる。
【0047】
一方、基板300は、基板300に負極電源を供給することができる基板電極端子410に接触して負極電源に連結される。基板電極端子410は、例えば、基板300に連結されるクランプ410である。クランプ410は、1つで備えられてもよく、複数個備えられてもよい。例えば、
図2の場合、長方形の板状である基板300の4辺に複数個のクランプ410が連結され、一実施形態として、基板300上により均一にメッキが進行するように、基板300の各辺にそれぞれ10個(point)のクランプ410が連結され、基板300と基板電極端子410との接点の個数は、例えば、少なくとも30個(point)以上である。本発明は、これに限定されず、クランプ410の個数(すなわち、基板300と基板電極端子410との接点の個数)及び基板300にクランプ410が連結される位置などが、本発明が具現される多様な環境に合わせて変形、変更が可能である。
【0048】
本発明によるメッキ方法は、前述した水平メッキ装置10で行われ、より具体的に、次の段階からなる。
【0049】
まず、基板300を基板支持ローラー400によってメッキタンクの水平方向にメッキタンク100の内部に移動する段階(段階1)が行われる。
【0050】
次に、基板電極端子410を基板300に連結する段階(段階2)が行われる。
【0051】
次に、メッキタンク100の内部にメッキ液供給部110を通じてメッキ液を供給する段階(段階3)が行われる。
【0052】
次に、基板300上にメッキ工程を行う段階であって、アノード200を通じて電流を供給し、ノズル230を通じてメッキ液を供給する段階(段階4)が行われる。この際、既定のメッキ時間の間にアノード200及びアノード200に装着されたノズル230が共にメッキタンク100の水平方向に、すなわち、基板300の水平方向に平行に往復移動しながら、基板300に均一なメッキ膜を形成する。
【0053】
本発明で使用する「連結」という用語は、物理的連結及び/または電気的連結を含み、各構成要素間の直接連結及び他の構成要素を介在した間接連結を含む。
【0054】
前述した本発明の技術的構成は、当業者が、本発明のその技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態で実施可能であるということを理解できるであろう。したがって、前述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解しなければならない。また、本発明の範囲は、前記の詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって表われる。また、特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その等価概念から導出されるあらゆる変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、アノードとノズルとが一体化されてメッキ液(電解液)と電流とを供給することによって、厚さ偏差が従来技術である垂直メッキ方式に比べて著しく低くなるという長所がある。また、ノズルが水平方向に移動しながら、基板(マスタ、製品)の表面または周囲に形成された気泡を除去するために、前述した従来技術によるエアポケットの発生による問題点を解決することができるという長所がある。