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特許7020732ウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムおよび総合体調管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-07
(45)【発行日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムおよび総合体調管理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20220208BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220208BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220208BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G16H10/60
G08B21/02
G08B25/00 510M
A61B5/00 102C
G08B25/04 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021085355
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2021-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519378182
【氏名又は名称】株式会社INTERIOR HARAGUCHI
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】原口 祐二
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186402(JP,A)
【文献】特開2002-269662(JP,A)
【文献】特開2014-230207(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008981(WO,A1)
【文献】特表2020-500572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G08B 25/04
G08B 21/02
G08B 25/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体調管理対象者が装着する生体センサ部を備えた腕時計型のウエアラブル端末と、通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末と接続され、該ウエアラブル端末でセンシングされた体調管理情報の処理を行う管理センターに設置された体調管理用サーバ群と、更に体調管理対象者が前記ウエアラブル端末と協働して体調管理を行う体調管理対象者用端末と、体調管理対象者の家族が所有する家族用端末と、体調管理対象者のかかりつけ医者が所有する医者用端末と、体調管理対象者が所在する地域の消防署の通信機器と、前記管理センターに設置されたオペレーター用端末とを有し、前記ウエアラブル端末、前記体調管理用サーバ群、前記体調管理対象者用端末、前記家族用端末、前記医者用端末、前記消防署の通信機器および前記オペレーター用端末が通信ネットワークで接続されており、前記ウエアラブル端末の生体センサ部が少なくとも体調判断部を備え、該体調判断部による体調判断が所定の体調悪化判断であった場合に、その体調悪化情報が前記体調管理用サーバ群を介して前記家族用端末、前記医者用端末、前記消防署の通信機器または前記オペレーター用端末のうちの少なくとも一以上の端末に送信されるようになされており、更に前記前記ウエアラブル端末が、その装着状態で体調管理対象者を自撮り可能なライブカメラ部、並びにGPSおよびマイク部を備え、前記ウエアラブル端末の生体センサ部が、少なくとも6軸加速度センサ、血圧センサ、心拍センサ、血中酸素濃度センサ/SpO2モニタ、呼吸センサおよび皮膚水分モニタを有することを特徴とする、総合体調管理システム。
【請求項2】
更に、体調管理対象者の生活を支援するケアマネージャーが所有するケアマネージャー用端末および/または体調管理対象者の近隣に所在する見守り者が所有する見守り者用端末を備え、これら各端末も通信ネットワークを介してウエアラブル端末、体調管理用サーバ群、体調管理対象者用端末、家族用端末、消防署の通信機器およびオペレーター用端末と接続されている、請求項1記載の総合体調管理システム。
【請求項3】
更に、ウエアラブル端末および/または体調管理対象者用端末がSNS機能部を備え、体調管理用サーバ群を介してSNS上で体調管理対象者の体調に関する投稿が行われるようになされている、請求項1または請求項2記載の総合体調管理システム。
【請求項4】
更に、ウエアラブル端末の生体センサ部が、モーションセンサ、体温センサ、心電図センサ、脳波センサのうちの少なくとも一以上を有する、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システム。
【請求項5】
請求項1載の総合体調管理システムを用いた総合体調管理方法であって、体調管理対象者のウエアラブル端末の生体センサ部におけるモニタリング選択の有無を検知するステップと、該選択があった際には該選択に基づくモニタリングを開始するステップと、その後、該モニタリングデータを体調判断部で判断するステップと、該判断が所定の体調悪化レベルであった際に、その判断結果が体調管理用サーバ群を介して体調管理対象者を見守る家族またはかかりつけ医者のうちの一以上の端末に送信されるステップと、自動的にウエアラブル端末のライブカメラ部が作動して体調管理対象者を自撮りするステップと、その撮影画像が体調管理対象者を見守る家族またはかかりつけ医者のうちの一以上の端末に送信されるステップを有しており、更に、前記撮影画像が体調管理対象者を見守る家族またはかかりつけ医者のうちの一以上の端末に送信されるステップの後に、体調管理用サーバ群またはウエアラブル端末から消防署の通信機器に救護要請を行うステップを有しており、且つ前記前記モニタリングデータが少なくとも6軸加速度センサ、血圧センサ、心拍センサ、血中酸素濃度センサ/SpO2モニタ、呼吸センサおよび皮膚水分モニタによるものであることを特徴とする、総合体調管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病弱者や老人等の見守りが必要な人は勿論、健康な人についても日常の体調をモニタリングして総合的な体調管理を行うウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムおよび総合体調管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば室内にいる見守るべき対象者の状態を、平面位置と高さ方向の情報とで検知可能な3次元距離検知手段と、3次元距離検知手段で得られた前記高さ方向情報等を、室内のベッド領域、ベッドサイド領域およびフロア領域におけるそれぞれの比較基準高さと比較して各領域内での対象者の状況を判断するデータ処理手段と、データ処理手段により、外部に対象者の状況通報を行う判断結果出力手段とを備えた見守りシステムが知られている。
【0003】
また、人等を感知する行動監視センサと、前記行動監視センサが送信するセンサ信号の受信が可能であり、行動監視センサからのセンサ信号の送信有無から人等が正常か異常かを判定してその判定信号を送信する中央処理装置と、中央処理装置から判定信号を受信する通報装置と、通報装置とネットワークで結ばれた保護者端末と、を含み、前記通報装置が前記判定信号を受信すると、通報装置は前記ネットワークを介して保護者端末に判定信号を送信する行動監視システムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-86286号公報
【文献】特開2007-299121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来技術のうち、前者の見守りシステムは、主としてベッドが置かれた寝室において、見守り対象者がベッド上にいるのか、ベッドサイドにいるのか、或いはベッドからフロアに転落しているのかといった大まかな状態を検知するものであるため、トレイ内のように見守り対象者の動きが少ない場所での監視には不向きであり、トレイ内で見守り対象者に異常が発生してもこれを正確に検知できないおそれがあった。
【0006】
また、後者の行動監視システムは、家のリビングやダイニング、或いはペットの餌場等を監視対象として設定し、予め設定した所定時間ごとの移動検知信号の受信の有無によって正常か異常かを判断するものであるため、監視対象が特定の監視エリアを移動している限り、正常と判断される。そのため、例えば監視対象の人やペットの体に異常が発生して苦しんで動いている場合でも、その者が動いている場合には正常と判断してしまうおそれがあり、また逆に監視対象が所定時間を超えて寝ている場合や外出している場合には正常な状態であるにもかかわらず、異常と判断してしまうおそれがあった。そのため、正確な見守り検知が期待できなかった。
【0007】
更に、近年、IoT(Internet of Things)の発達に伴って、ウエアラブル端末を用いた血中酸素濃度の測定や脈拍の測定等を日常的に行って健康管理を実行することも行われているが、現在のウエアラブル端末を用いたバイタルデータの収集は、自己の体調管理に敏感なコアユーザー向けのものであり、該ユーザーの体調異常の分析・検知や緊急対応については、十分な対策が講じられていないというのが実情であった。
【0008】
本発明の目的は、ウエアラブル端末によるトータル・ヘルスモニタリングによって、病弱者や老人、或いは健康な人についても、体調の異変を的確に検知すると共に、体調の異常が起こった際に、迅速且つ適切に対処し得るウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムおよび総合体調管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明は、体調管理対象者が装着する生体センサ部を備えたウエアラブル端末と、通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末と接続され、該ウエアラブル端末でセンシングされた体調管理情報の処理を行う管理センターに設置された体調管理用サーバ群とを有する総合体調管理システムである。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の総合体調管理システムについて、更に、体調管理対象者が前記ウエアラブル端末と協働して体調管理を行う体調管理対象者用端末を有し、該体調管理対象者用端末も通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末および前記体調管理用サーバ群と接続されているものである。
【0011】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の総合体調管理システムについて、更に、体調管理対象者の家族が所有する家族用端末を備え、該家族用端末も通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末および前記体調管理用サーバ群、或いは更に前記体調管理対象者用端末と接続されているものである。
【0012】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、体調管理対象者の生活を支援するケアマネージャーが所有するケアマネージャー用端末および/または体調管理対象者の近隣に所在する見守り者が所有する見守り者用端末を備え、これら各端末も通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末および前記体調管理用サーバ群、或いは更に前記体調管理対象者用端末および前記家族用端末と接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、体調管理対象者のかかりつけ医者が所有する医者用端末を備え、該医者用端末も通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末および前記体調管理用サーバ群、或いは更に前記体調管理対象者用端末、前記家族用端末、前記ケアマネージャー用端末および前記見守り者用端末と接続されているものである。
【0014】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1~請求項5のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、体調管理対象者が所在する地域の消防署の通信機器を有し、該通信機器も通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末および前記体調管理用サーバ群、或いは更に前記体調管理対象者用端末、前記家族用端末、前記ケアマネージャー用端末、前記見守り者用端末および前記医者用端末と接続されているものである。
【0015】
請求項7記載の本発明は、前記請求項1~請求項6のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、前記管理センターに設置されたオペレーター用端末を備え、該端末も通信ネットワークを介して前記ウエアラブル端末および前記体調管理用サーバ群、或いは更に前記体調管理対象者用端末、前記家族用端末、前記ケアマネージャー用端末、前記見守り者用端末、前記医者用端末および消防署の通信機器と接続されているものである。
【0016】
請求項8記載の本発明は、前記請求項1~請求項7のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、前記ウエアラブル端末の生体センサ部が少なくとも体調判断部を備え、該体調判断部による体調判断が所定の体調悪化判断であった場合に、その体調悪化情報が体調管理用サーバ群を介して前記端末に送信されるようになされていることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の本発明は、前記請求項1~請求項8のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、前記ウエアラブル端末が、その装着状態で体調管理対象者を自撮り可能なライブカメラ部を有することを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の本発明は、前記請求項1~請求項9のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、前記ウエアラブル端末がGPSを備えているものである。
【0019】
請求項11記載の本発明は、請求項1~請求項10のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、前記ウエアラブル端末がマイク部を備えているものである。
【0020】
請求項12記載の本発明は、請求項1~請求項11のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、前記ウエアラブル端末および/または体調管理対象者用端末がSNS機能部を備え、前記体調管理用サーバ群を介してSNS上で体調管理対象者の体調に関する投稿が行われるようになされているものである。
【0021】
請求項13記載の本発明は、請求項1~請求項12のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、前記ウエアラブル端末の生体センサ部が、少なくとも6軸加速度センサ、血圧センサ、心拍センサ、血中酸素濃度センサ/SpO2モニタ、呼吸センサおよび皮膚水分モニタを有することを特徴とする。
【0022】
請求項14記載の本発明は、前記請求項1~請求項13のうちのいずれか一項記載の総合体調管理システムについて、更に、前記ウエアラブル端末の生体センサ部が、モーションセンサ、体温センサ、心電図センサ、脳波センサのうちの少なくとも一以上を有することを特徴とする。
【0023】
請求項15記載の本発明は、請求項9記載の総合体調管理システムを用いた総合体調管理方法であって、体調管理対象者のウエアラブル端末の生体センサ部におけるモニタリング選択の有無を検知するステップと、該選択があった際には該選択に基づくモニタリングを開始するステップと、その後、該モニタリングデータを体調判断部で判断するステップと、該判断が所定の体調悪化レベルであった際に、その判断結果がサーバ群を介して体調管理対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および見守り者のうちの一以上の端末に送信されるステップと、自動的にウエアラブル端末のライブカメラ部が作動して体調管理対象者を自撮りするステップと、その撮影画像が体調管理対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および見守り者のうちの一以上の端末に送信されるステップを有することを特徴とするものである。
【0024】
請求項16記載の本発明は、前記請求項15記載の総合体調管理方法について、撮影画像が体調管理対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および見守り者のうちの一以上の端末に送信されるステップの後に、サーバ群またはウエアラブル端末から消防署の通信機器に救護要請を行うステップを有することを特徴とする。
【0025】
請求項17記載の本発明は、請求項5記載の総合体調管理システムを用いた総合体調管理方法であって、体調管理用サーバ群で、ウエアラブル端末を所有する体調管理対象者の個人情報登録の送信を検知するステップと、該送信があった場合には、体調管理対象者の個人情報を記憶蓄積するステップと、体調管理用サーバ群で、当該総合体調管理システムのネートワークを構成する体調管理対象者や該対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および近隣見守り者といった見守り者のネットワーク情報の送信を検知するステップと、該送信があった場合には、前記ネートワーク情報を記憶蓄積するステップと、体調管理用サーバ群で、体調管理対象者のウエアラブル端末からの生体センサ部によるバイタルデータ等の送信を検知するステップと、該送信があった場合には、該バイタルデータ等を記憶蓄積するステップと、その後、体調管理対象者用のウエアラブル端末または端末で体調判断部による前記体調判断が行われて、その結果情報が当該サーバ群で送信されて記憶蓄積されるステップと、その体調判断結果が警告状態または警報状態かを検知するステップと、これらのいずれかに該当する場合には、警告・警報状態を、体調管理対象者を見守る者の端末に配信されるステップを有することを特徴とする。
【0026】
請求項18記載の本発明は、前記請求項17記載の総合体調管理方法について、警告・警報状態を、体調管理対象者を見守る者の端末に配信されるステップの後に、更に消防署の通信機器に対して救護要請が行われるステップを有することを特徴とする。
【0027】
請求項19記載の本発明は、前記請求項9記載の総合体調管理システムを用いた総合体調管理方法であって、ウエアラブル端末で、生体センサ部におけるモニタリング選択の有無を検知するステップと、該選択があった際には該選択に基づくモニタリングを開始するステップと、該モニタリングのデータをサーバ群にアップロードするステップと、該モニタリングデータを前記体調判断部で判断するステップと、該判断が、正常状態、要注視状態、警告状態、警報状態のうちのいずれの状態判断であって、警告状態または警報状態(アラート)のいずれかに該当するか否かを検知するステップと、これらのいずれかに該当すると判断した場合に、その判断結果がサーバ群に送信されるステップと、その後、自動的にライブカメラ部が作動して体調管理対象者を自撮りするステップと、その自撮り画像がサーバ群へアップロードされるステップと、その後、体調管理対象者を見守る者の端末からの電話やメール、SNSによる連絡の有無を検知するステップと、該連絡があった場合にコミュニケーションをとるステップを有することを特徴とする。
【0028】
本発明において、生体センサとは、活動計を含む広い概念のものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムによれば、ウエアラブル端末を装着した体調管理対象者を中心として該体調管理対象者を見守る家族やケアマネージャー、かかりつけ医者等といったネットワークが形成され、該ネットワークによって、トータル・ヘルスマネージメント・プラットフォームが形成され得る。
【0030】
すなわち、前記体調管理対象者の体調は、本人は勿論、前記見守り者側でも把握認識され、体調管理対象者の身体に何らかの異常があった場合には、前記見守り者側で前記ネットワークを介して危機管理が即座に行え、また特に前記ウエアラブル端末にライブカメラ部を有する本発明のシステムによれば、体調管理対象者が体調不良で倒れている場合でもその状況がライブカメラ部を介して前記見守り者側へ即座に配信されるため、体調管理対象者の現状を簡単且つ確実に把握されるという実用的利点が得られる。
【0031】
更に、前記ウエアラブル端末の生体センサ部が、少なくとも6軸加速度センサ、血圧センサ、心拍センサ、血中酸素濃度センサ/SpO2モニタ、呼吸センサおよび皮膚水分モニタの6つを備える本発明のシステムによれば、この6つだけで総合的な体調管理が行えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係る総合体調管理システムの全体図である。
図2】クラウドの階層構成図である。
図3】コンピュータの基本構成図である。
図4】体調管理用サーバの機能ブロック図である。
図5】体調管理データベースサーバの構成図である。
図6】ウエアラブル端末の機能ブロック図である。
図7】生体センサ部の構成例を示す機能ブロック図である。
図8】体調判断部における判断段階を示すフローチャートである。
図9】ウエアラブル端末の正面図である。
図10】同じくウエアラブル端末の正面図であって、稼働状態を示す。
図11】ウエアラブル端末側での処理の一例を示すフローチャートである。
図12】体調管理用サーバ群における処理の一例にフローチャートである。
図13】SNS機能部での見守り者側の投稿例を示す図である。
図14】ウエアラブル端末における処理の一例をフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0034】
図1に示すように、先ず、本発明に係るウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムの全体構成について説明すると、当該システムは、体調管理対象者が腕に装着する腕時計型のウエアラブル端末(0001)と、体調管理の情報処理を行う管理センターに設置された体調管理用サーバ群(0002)と、体調管理対象者の家族が所有する端末であるスマートフォン(0003)と、体調管理対象者の生活を支援するケアマネージャーが所有するパーソナルコンピュータ(0004)と、体調管理対象者のかかりつけ医者が所有するパーソナルコンピュータ(0005)と、体調管理対象者の近隣に所在する介護ヘルパーや知人、或いはパーソナルトレーナ等の見守り者が所有する端末であるスマートフォン(0006)と、救急車が待機する消防署に設置された通信機器(0007)等を有する。
【0035】
ただし、前述したウエアラブル端末(0001)を有する体調管理対象者を中心として本発明に係る総合体調管理システムにおいては、少なくとも救急車が待機する消防署に設置された通信機器(0007)との連携が必須要件であり、他の家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および近隣見守り者の各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)との連携は体調管理対象者の希望や体調状況等に応じて適宜選択され得るものである。すなわち、体調管理対象者が老人や障がい者の介護が求められる者の場合には、家族の端末(0003)との連携も必要となるし、体調管理対象者が要介護認定を受けた者である場合には、更に前記ケアマネージャーの端末(0004)、或いは更に前記近隣見守り者の端末(0006)との連携も必要となる。そして、更に、体調管理対象者が身体的に常時、持病等の不調をかかえている場合には、前述した、かかりつけ医者の端末(0005)との連携、すなわち、図1に示したフルスペックでも総合体調管理システムの構築が必要となる。
【0036】
また、本実施形態の総合体調管理システムは、更に、前記体調管理用サーバ群(0002)を有する管理センターでの情報処理や必要な場合の応対を行うオペレータのパーソナルコンピュータ(0008)と、前記体調管理対象者が所有するスマートフォン(0009)等を有する。なお、本実施形態では、前記ウエアラブル端末(0001)は、腕時計型のものであるが、足首に装着する足首ブレスレットタイプ等、他の形態のものとする場合もある。
【0037】
本実施形態に係る総合体調管理システムは、全体構成が所謂、クラウドサーバシステムであって、クラウドを構成する前記サーバ群(0002)と、該サーバ群(0002)から提供される総合体調管理用のアプリケーションによって、前述したウエアラブル端末(0001)をはじめ、各端末(0003)~(0009)が機能する構成となされている。また、総合体調管理用のアプリケーションは、予め各端末(0001)、(0003)~(0009)にセットアップされていても良い。
【0038】
図2に示すように、本実施形態に係るクラウドサーバシステムにおけるクラウドは、前述したサーバ群(0002)等で構成され、例えば、クラウド基盤層(2101)と、その上層のクラウドサービス層(2102)およびクラウドアプリケーション層(2103)といった階層で構成され、後述するような種々の情報処理を行うものである。
【0039】
本発明で使用する前記サーバ群(0002)におけるサーバ装置は、少なくともコンピュータハードウェアおよびその上で実行されるコンピュータプログラムによって機能するものである。
【0040】
図3に示すように、前記コンピュータとしては、例えばCD-ROMドライブ(1802)の他、MPU(1803)と、該MPU(1803)および前記CD-ROMドライブ(1802)に接続されたバス(1804)と、前記プログラム等を記憶するためのROM(1805)と、前記MPU(1803)に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM(1806)と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク(1807)の他、インターフェース(1808)、入力部(1809)およびディプレイ(1810)等々が付加され得る。
【0041】
図4に示すように、前記サーバ群(0002)は、例えば、DNSサーバ (Domain Name System)(4001)、WEBサーバ(4002)、アプリサーバ(4003)およびDBサーバ(4004)、メールサーバ(4005)、FTP(File Transfer Protocol)サーバ(4006)、ファイルサーバ(4007)等といった複数のサーバ装置で構成され、インターネット等の通信ネットワークを介して前記端末(0001)、(0003)~(0009)と情報通信を行うものである。
【0042】
そして、前述したクラウドサーバ群(0002)は、前記各端末(0001)、(0003)~(0009)との間でインターネット等の通信ネットワークを介して体調管理対象者の体調に関する情報処理や警報(アラート)の発報を適宜実行するものであり、より詳細には、図1に示した総合体調管理システムを実行するための体調管理に係る各種データ等がDBサーバ(4004)に蓄積されており、DNSサーバ (Domain Name System)(4001)によって、当該サーバ群(0002)と前記端末(0001)、(0003)~(0009)がネットワーク上で関連付けられ、前記WEBサーバ(4002)、前記ファイルサーバ(4007)および前記FTP(File Transfer Protocol)サーバ(4006)によって、端末(0001)、(0003)~(0009)との間で体調に関するデータ・ファイルが適宜提供され、また前記アプリサーバ(4003)によって、前記端末(0001)、(0003)~(0009)との間で体調管理に関するプログラムが適宜実行され、それは、例えば後述する各種の生体センサによる生体情報の処理に係るものであり、更に前記メールサーバ(4005)によって、前記端末(0001)、(0003)~(0009)における体調管理に関するメールの送受信が行われるようになされている。
【0043】
また、図5に示すように、前記データベース(DB)サーバ(4004)に蓄積されているデータの一例としては、体調管理対象者に関する個人情報(氏名、年齢、性別、住所、職業、家族構成、病歴、ジョギング等の日常運動の有無)のデータベース(5001)や、体調管理対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および近隣見守り者といった管理者のネットワーク情報のデータベース(5002)、体調管理対象者の現在までのバイタルデータ、アラート(警報)の発報履歴等といった体調情報のデータベース(5003)等が挙げられる。
【0044】
図6に示すように、本実施形態に係る総合体調管理システムにおけるウエアラブル端末(0001)は、前述した体調管理用サーバ群(0002)や端末(0003)~(0009)との種々の通信を行うための通信機能部(6001)と、体調管理に関する種々のアプリケーションやデータ等の情報を記憶するメモリ機能部(6002)と、体調管理に関する情報処理や演算等を実行する演算処理部(6003)と、体温、血圧、心拍数および脈拍等を計測する後述の生体センサ部(6004)と、生体センサ部(6004)による監視を実行するモニタリング部(6005)と、前記生体センサ部(6004)および前記モニタリング部(6005)で得られた種々の生体情報に基づいて体調を判断する体調判断部(6006)と、体調管理対象者を自撮りする広角のライブカメラ部(6007)およびイメージセンサ部(6008)と、マイク部(6009)、GPS(全地球測位システム)(6010)、並びにLINE(登録商標)等のSNSを行うためのSNS機能部(6011)と、種々の入力選択を行うための入力部(6012)等を有する。そして、このようなウエアラブル端末(0001)の各機能部は、体調管理対象者の端末(0009)との間で、適宜に機能分割を行うのが好適である。ただし、前述した全ての機能部を体調管理対象者のウエアラブル端末(0001)に集約させて前記端末(0009)を省略する場合もある。
【0045】
通信機能部(6001)は、前記体調管理用サーバ群(0002)や前記各端末(0003)~(0006)・(0008)・(0009)とのデータ情報等の送受信を行うものであり、モデム、チューナおよびドライバ、通信モジュール等によって実現される。
【0046】
メモリ機能部(6002)は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等によって実現される。
【0047】
演算処理部(6003)は、本実施形態では、前記体調管理用サーバ群(0002)と協働して、体調管理を実行するための処理を行うものであり、MPU(Microprocessor)やMCU(Micro Controller Unit)によって実現される。
【0048】
モニタリング部(6005)は、生体センサ部(6004)におけるセンシングを実行するものであり、通常、ソフトウエアで実現される。
【0049】
体調管理判断部(6006)は、後述する通り、生体センサ部(6004)におけるセンシング結果が正常/異常等の判断を行うものであり、通常、ソフトウエアで実現される。
【0050】
図9に示すように、ウエアラブル端末(0001)におけるライブカメラ部(6007)は、本実施形態では、魚眼レンズ等の広角レンズを備えた小型カメラであり、体調管理対象者がウエアラブル端末(0001)を腕や足に装着した状態において、体調管理対象者や該体調管理対象者が所在する背景場所を自動撮影する機能を有するものである。そして、その撮影画像は、ウエアラブル端末(0001)から体調管理用サーバ群(0002)や各端末(0003)~(0009)等に適宜配信され得る。
【0051】
前記イメージセンサ部(6008)は、前記ライブカメラ部(6007)による撮影画質をサポートするものである。
【0052】
前記マイク部(6009)は、例えば、体調管理対象者の声やその周辺の音声を取得するものである。
【0053】
前記GPS(全地球測位システム)は、本実施形態では、ウエアラブル端末(0001)を装着した体調管理対象者の所在位置を特定するためのものである。
【0054】
前記SNS機能部(6011)は、LINE(登録商標)やユーチューブ(登録商標)等のSNSを通じた当該体調管理対象者とのコミュニケーションや投稿に係る機能を有するものであり、ソフトウエア/アプリケーションによって実現される。
【0055】
前記入力部(6012)は、ウエアラブル端末(0001)において、種々の操作実行を選択するためのフリック入力等に係るものであり、ソフトウエア等によって実現される。
【0056】
そして、前述したウエアラブル端末(0001)は、自動診断プラットフォームを構成するものであり、医療と健康の両面でのトータル・ヘルス・マネージメントによって、24時間リアルタイムで前記体調管理対象者の体調をセンシングして管理し得るものである。
【0057】
より詳細には、図7に示すように、ウエアラブル端末(0001)の生体センサ部(6004)は、種々の生体センサを具備するものであり、例えば、種々の加速度センサ(7001)およびモーションセンサ(7002)、血圧センサ(7003)、心拍センサ(7004)および呼吸センサ(7005)、皮膚水分センサ(7006)、体温センサ(7007)、血中酸素濃度センサ(7008)、心電図センサ(7009)および脳波計(7010)等を有する。
【0058】
なお、前述した生体センサ部(6004)における各センサ(7001)~(7010)は、それらの全部を前記ウエアラブル端末(0001)にセットして使用されても良いし、必要に応じてそれらの一部だけを取捨選択してセットされて使用される場合もあり、更に他のセンサが追加使用される場合もある。
【0059】
また、前述した各センサ(6001)~(6013)は、既存の市販されているものを利用することができ、説明を省略する。
【0060】
前述したように、生体センサ部(6004)におけるセンサの一部は、前記体調管理対象者の端末(0009)に設けるようにして、センシングをウエアラブル端末(0001)で行うように連携する構成とする場合もある。
【0061】
前述した生体センサ部(5004)による体調管理者のセンシングとしては、以下のようなものが挙げられる。すなわち、体調管理者の精神状態、活動状態や活動量(歩数や走行距離)、消費カロリー、リアルタイムでの姿勢、血圧、体温、心拍数と脈拍、心電図、無呼吸症候群、皮膚状態、血中酸素濃度、脳波等が挙げられる。
【0062】
そして、本実施形態では、これらのセンシングに係る前記モニタリング部(5005)でのモニタリングにおいて、前記体調判断部(5006)で、予め定められた体調状況に合致するか否かが判断され、合致した場合には、例えばA.正常状態、B.要注視状態、C.警告状態、D.警報状態(アラート)といった段階的な体調判断が行われる。
【0063】
より詳細には、図8に示すように、前述した体調判断部(5006)による体調状況の判断は、本実施形態では、A~Dまでの四段階に設定され、「A.正常状態」とは、前記生体センサ部(6004)に設けられた各センサ(7001)~(7010)において、いずれのセンサによるモニタリング値が予め定められた正常範囲を逸脱していない状態であり、「B.要注視状態」とは、前記生体センサ部(6004)に設けられた各センサ(7001)~(7010)において、いずれかのセンサによるモニタリング値が予め定められた正常範囲を逸脱しているが、深刻な状況ではないと判断される状態であり、「C.警告状態」とは、前記生体センサ部(6004)に設けられた各センサ(7001)~(7010)において、いずれかのセンサによるモニタリング値が予め定められた正常範囲を逸脱し、且つその程度が体調管理対象者に対する連絡が必要な程度に憂慮される状態であり、「D.警報状態(アラート)」とは、前記生体センサ部(6004)に設けられた各センサ(7001)~(7010)において、いずれかのセンサによるモニタリング値が予め定められた正常範囲を逸脱し、且つ体調管理対象者の救護が必要な状態である。
【0064】
そして、前述した体調判断部(5006)による四段階の体調状況判断は、前記生体センサ部(6004)に設けられた各センサ(7001)~(7010)の単独のモニタリング結果、または複合的なモニタリング結果に基づいて、AI(人工知能)を用いて行われる。
【0065】
前記体調判断部(5006)による四段階の体調状況判断においては、例えば加速センサ(7001)やモーションセンサ(7002)で、体調管理対象者が倒れていると判断した際には、「D.警報状態(アラート)」となる場合があり、また、「心拍数」と「脈拍数」との異同によって、不整脈の有無が判断されて、「C.警告状態」等と判断され得る。
【0066】
体調管理対象者の家族や近隣見守り者が所有する端末(0003)、(0006)は、本実施形態では、スマートフォンであって、当該総合体調管理に係るアプリケーションが前記クラウドサーバ群(0002)からダウンロードされて体調管理対象者の体調に係る種々のデータ等が共有され得るものである。また、前記ケアマネージャー、かかりつけ医者および管理センターのオペレータの端末(0004)・(0005)・(0008)は、パーソナルコンピュータであり、当該総合体調管理に係るソフトウエア/アプリケーションが前記クラウドサーバ群(0002)からダウンロードされて体調管理対象者の体調に係る種々データ等を取扱うようにセットアップされており、体調管理対象者の種々の体調に係るデータ等が共有・閲覧可能となされている。そして、体調管理対象者の家族や近隣見守り者が所有する端末(0003)・(0006)や、ケアマネージャー、かかりつけ医者が所有する端末(0004)・(0005)で取り扱う情報のうち、特に重要なものは、前述した、体調管理対象者の端末(0001)・(0009)における前記体調判断部(5006)で出力される体調状況に係るA.正常状態、B.要注意状態、C.警告状態、D.警報状態といった段階的な体調判断の情報である。また、このような体調判断部(5006)によるモニタリング結果の解析はウエアラブル端末(0001)や端末(0009)で行う他、前記体調管理センターのクラウドサーバ群(0002)で行うようにしても良い。
【0067】
また、前記管理センターの端末(0008)は、当該体調管理システム全体の円滑な稼働をサポートするオペレータが操作するものであり、体調管理対象者は勿論、他の端末(0003)~(0007)からの連絡にも応対するものである。そして、このような管理センターの端末(0008)でのオペレータによる応対は、当該総合体調管理システムの円滑な運営に寄与すると同時にセーフティネットとしての役割を果たすこととなる。
【0068】
本発明において、前述した生体センサ部(5004)として、少なくとも6軸加速度センサ(7001)、血圧センサ(7003)、心拍センサ(7004)、血中酸素濃度センサ/SpO2モニタ(7008)、呼吸センサ(7005)および皮膚水分モニタ(7006)の6つを備えることが好ましい。すなわち、これら6つのセンサによって、体調管理対象者の身体と精神の両面で、後述する種々の状況が把握され得るからである。
【0069】
より詳細には、これら6つのセンサ(7001)、(7003)、(7004)、(7005)、(7006)(7008)によれば、心拍や血圧の変化に基づく、不安神経症や心房細動/心臓発作等の心臓疾患、高血圧症/低血圧症、脳卒中、過度のストレス、および妊娠等の可能性を検知でき、SpO2の下降や睡眠不足に基づく睡眠時無呼吸症候群や不眠症および双極性障害、咳・くしゃみ・発汗および体温変化に基づくかぜ/インフルエンザの発症、並びに呼吸数・体温・皮膚状態変化および非協調運動に基づく熱中症/低体温症の可能性、運動量の減少に基づく各種関節炎の発症、ふるえに基づくパーキンソン病の発症等を総合的に把握することが可能になる。すなわち、ウエアラブル端末(0001)における前述した6つの各センサ(7001)・(7003)・(7004)・(7005)・(7006)・(7008)を使って、単純にモニタリングを行うのではなく、これらモニタリング結果を有機的に診断演算処理することで、体調管理対象者の精神と身体の両面での体調管理を実現できるからである。前記診断演算処理として、AI(人工知能)を活用し得る。
【0070】
そして、前述したモニタリング情報は、前記体調管理サーバ群(0002)に送信されて、体調管理対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者、近隣見守り者の各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)等に適宜送信提供されて共有され得る。
【0071】
図10に示すように、前述したウエアラブル端末(0001)には、例えば前記心電図センサによる心電図がリアルタイムで表示され、他のセンサについても同様である。
【0072】
また、図9図10に示すように、ウエアラブル端末(0001)は、ライブカメラ部(6007)によって自動的に撮影された体調管理対象者自身の画像も表示され、該画像は通信ネットワークを介して接続された体調管理対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者、近隣見守り者の各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)等に適宜送信されることで、体調管理対象者の状況をリアルタイムで視覚的に即座に把握することができる。すなわち、体調管理対象者に発熱や動悸・息切れ等の体調不良や倒れている場合には、ライブカメラ部(6007)によって、撮影された体調管理対象者の顔が赤くなっていたり、或いは逆に顔面蒼白となっている状況、衰弱したり、意識を失っている状況がリアルタイムで各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)へ配信される。また、前記の通り、体調管理対象者が過度の体調不良によって、寝たきり、転倒している場合でも、その現場状況がライブカメラ部(6007)によって、リアルタイムで各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)等へ配信され、これによって、体調管理対象者が前述した体調判断部(6006)による警報状態(アラート)にあることを、家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および近隣見守り者が即座に把握確認することができる。
【0073】
なお、前述したライブカメラ部(6007)による撮影画像送信は、体調管理対象者のプライバシー保護の問題もあるため、予め適切なフィルタリングやマスキング等の何らかの画像処理を施す場合もある。
【0074】
すなわち、前述した生体センサ部(6004)における各センサでのモニタリングは、それぞれ数値や波形等のバイタルデータとして各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)・(0008)・(0009)に配信提供され、またバイタルデータに基づく前記体調判断部(6006)による四段階の体調判断も電気・電子的情報として各端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)・(0008)・(0009)に提供され得るが、最終確認として前記ライブカメラ部(6008)による体調管理対象者自身のライブ画像は、当該システムの誤診やトラブル等を排除して体調管理対象者自身を直接的に把握確認するセーフティネットとして機能するものである。
【0075】
次に、図11に示すように、本実施形態に係るウエアラブル端末を用いた総合体調管理システムにおける処理の一例について説明すると、先ず体調管理対象者のウエアラブル端末(0001)、或いは更に端末(0009)での電源ONを検知し(S1101)、電源ONの後に、生体センサ部(6004)におけるモニタリング選択の有無を検知し(S1102)、該選択があった際には該選択に基づくモニタリングを開始する(S1103)。その後、該モニタリングデータを前記体調判断部(6006)で判断し(S1104)、すなわち体調が前述したA.正常状態、B.要注視状態、C.警告状態、D.警報状態(アラート)のうちのいずれの状態にあるかを判断する。そして、B.要注視状態、C.警告状態、D.警報状態(アラート)のいずれかに該当する否かを検知し(S1105)、該当すると判断した場合、その判断結果がサーバ群(0002)を介して体調管理対象者を見守る家族等の端末(0003)~(0006)に送信される(S1106)。更に、送信された体調判断がC.警告状態やD.警報状態(アラート)であった場合には自動的にウエアラブル端末(0001)のライブカメラ部(6008)が作動して体調管理対象者を自撮りして(S1107)、その撮影画像が体調管理対象者を見守る家族等の端末(0003)~(0006)に自動的に送信される(S1108)。そして、前記D.警報状態(アラート)の場合には、消防署の通信機器(0007)に体調管理対象者の位置情報や個人情報がウエアラブル端末(0001)や端末(0009)から直接的に救護要請が送信されるか、或いは家族等の見守り者の端末(0003)~(0006)を介して救護要請が送信されて、救急車の手配が行われる(S1109)。なお、救急車の手配に際しての確実性を高めるためには、D.警報状態(アラート)を受信した端末(0003)~(0006)において、前記ライブカメラ部(6008)による体調管理対象者の自撮り画像状況を確認してから端末(0003)~(0006)で消防署に連絡すれば、前述した救護要請の精度が向上する。
【0076】
図12に示すように、前述した体調管理用サーバ群(0002)における処理の一例について説明すると、ウエアラブル端末(0001)を所有する体調管理対象者の個人情報登録の送信を検知し(S1201)、該送信があった場合には、体調管理対象者の個人情報を記憶蓄積する(S1202)。この際、該個人情報には体調管理対象者を見守る家族等の見守り者の情報も含まれる。また、体調管理用サーバ群(0002)では、当該総合体調管理システムのネートワークを構成する体調管理対象者や該対象者を見守る家族、ケアマネージャー、かかりつけ医者および近隣見守り者といった見守り者のネットワーク情報の送信を検知し(S1203)、該送信があった場合には、ネートワーク情報を記憶蓄積する(S1204)。更に、体調管理用サーバ群(0002)では、体調管理対象者のウエアラブル端末(0001)からの生体センサ部(6004)によるバイタルデータ等の送信を検知し(S1205)、該送信があった場合には、該バイタルデータ等を記憶蓄積する(S1206)、その後、体調管理対象者のウエアラブル端末(0001)や端末(0009)で体調判断部(6006)による前記体調判断(A~D)が行われて、その結果情報が当該サーバ群に送信されて記憶蓄積される(S1207)。更に、その体調判断結果が「C.警告状態」か「D.警報状態(アラート)」かを検知し(S1208)、これらに該当する場合には警告・警報状態(アラート)を、体調管理対象者を見守る者の端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)に配信されると共に、警報状態(アラート)であった場合には消防署の通信機器(0007)に対して救護要請が行われる(S1209)。
【0077】
なお、体調管理対象者を見守る者の端末(0003)・(0004)・(0005)・(0006)においては、サーバ群(0002)にアクセスして体調管理対象者の健康状態を随時閲覧することができる。
【0078】
また、図13に示すように、ある体調管理対象者の体調状況に関する情報は、SNS機能部(6011)を利用して体調管理対象者を見守る者同士で共有される。
【0079】
なお、体調判断部(6006)による体調判断を体調管理用サーバ群(0002)で行う場合には、前記受信したバイタルデータ等に基づいて、体調管理対象者の前記A~Dまでの四段階の体調判定をサーバ群(0002)で行って、該体調管理用サーバ群(0002)から各端末(0001)~(0009)に必要な配信を行うようにする場合もある。
【0080】
図14に示すように、ウエアラブル端末(0001)における処理の一例について説明すると、電源ONを検知し(S1401)、電源ONの後に、生体センサ部(6004)におけるモニタリング選択の有無を検知し(S1402)、該選択があった際には該選択に基づくモニタリングを開始する(S1403)。そして、該モニタリングのデータはサーバ群(0002)にアップロードされる(S1404)。また、該モニタリングデータを前記体調判断部(6006)で判断し(S1405)、体調が前述したA.正常状態、B.要注視状態、C.警告状態、D.警報状態(アラート)のうちのいずれの状態にあるかを判断する。そして、C.警告状態、D.警報状態(アラート)のいずれかに該当するか否かを検知し(S1406)、該当すると判断した場合、その判断結果がサーバ群(0002)に送信される(S1407)。また、この場合、自動的にライブカメラ部(6007)が作動して体調管理対象者を自撮りし(S1408)、その自撮り画像がサーバ群(0002)へアップロードされ(S1409)、またその後、体調管理対象者を見守る者の端末(0003)~(0006)からの電話やメール、SNSによる連絡の有無を検知し(S1410)、該連絡があった場合にはコミュニケーションをとる(S1411)。また、前記体調判断において、D.警報状態(アラート)の判定となった場合には、サーバ群(0002)を介して所轄の消防署の通信機器(0007)に通報(アラート)が出されて(S1412)、体調管理対象者の所に救急車が到着することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るウエアラブル端末を用いた体調管理システムによれば、ウエアラブル端末を装着した人自身によるリアルタイムでの体調管理と、ウエアラブル端末を装着した人を見守る家族やかかりつけ医者等による見守りが同時に並行して行われるため、万全の体調管理が行え、ウエアラブル端末の分野において幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0082】
(0001) ウエアラブル端末
(0002) クラウドサーバ群
(0003) 家族の端末
(0004) ケアマネージャーの端末
(0005) かかりつけ医者の端末
(0006) 近隣見守り者の端末
(0007) 消防署の通信機器
(0008) 管理センターの端末
(0009) 体調管理対象者の端末
(4004) 体調管理データベースサーバ
(6004) 生体センサ部
【要約】
【課題】 ウエアラブル端末によるトータル・ヘルスモニタリングによって、病弱者や健康な人についても、体調の異変を的確に検知すると共に、体調の異常が起こった際に、迅速且つ適切に対処し得るようにする。
【解決手段】 体調管理対象者のウエアラブル端末(0001)と、管理センターに設置された体調管理用サーバ群(0002)と、体調管理対象者の家族、ケアマネージャー、かかりつけ医師、近隣見守り者等の端末(0003)~(0006)と、救急車が待機する消防署に設置された通信機器(0007)等を有し、これらが通信ネットワークで接続されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14